JP6571214B2 - ノッチ経路シグナル伝達阻害剤化合物 - Google Patents

ノッチ経路シグナル伝達阻害剤化合物 Download PDF

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Description

老化、騒音への暴露、化学薬品への暴露、投薬、疾患、及び遺伝的障害による内耳の感覚有毛細胞の喪失は、毎年多くの人々に聴覚障害を引き起こす。病因に関わらず、蝸牛のコルチ器官内に位置する機械感覚性有毛細胞の死または機能不全は、感音性難聴(SNHL)の主な原因である。聴力損失を抑制するための予防措置は、主に耳栓や騒音の低減、ヘッドフォンの中止などの周辺機器の保護に限定されている。SNHLの現在の治療法は、補聴器を用いた音の増幅や、蝸牛インプラントを用いた生存螺旋神経節ニューロンの電気刺激による有毛細胞のバイパスなどの電子技術に主に基づいている。突然の感音性難聴に対して、全身療法または中耳内治療を行うためステロイド投与も提案されている。
蝸牛感覚上皮は、音の振動の検出に適合した有毛細胞を含み、該振動は該有毛細胞の頂端表面にある不動毛によって電気インパルスに変換され、VIIIth脳神経を介して脳に伝達される。哺乳動物において、発達中に産生された聴覚有毛細胞は、分裂終了後(post−mitotic)であり、喪失後または正常細胞代謝回転の一部として、置換されない。その結果、聴覚有毛細胞喪失によるSNHLは不可逆的である。胚期における聴覚有毛細胞の発達には、予定感覚上皮細胞(prosensory epithelial cell)がノッチ(Notch)シグナル伝達によって媒介される側抑制のプロセスによって、有毛細胞または支持細胞のいずれかの異なる運命を獲得する、分化が含まれる。予定感覚上皮細胞は、隣接する有毛細胞上のリガンドによって刺激される活性ノッチシグナル伝達によって、有毛細胞に分化することが妨げられる。これらの細胞は支持細胞になる。
ノッチシグナル伝達は、哺乳動物の発生及び組織の恒常性において重要な役割を果たす進化的に保存された経路である。ノッチ受容体及びリガンドは、1回膜貫通ドメインを含有し、細胞表面上で発現されるので、そのような理由で、ノッチシグナル伝達は、これらの受容体及びリガンドを発現する隣接する細胞間の連通を仲介する上で特に重要である。齧歯類及びヒトで判明した4つの既知のノッチ受容体があり、ノッチ1〜ノッチ4と呼ばれる。ノッチ受容体は、最初に単一のポリペプチドとして合成される細胞外及び細胞内ドメインから構成されるヘテロ二量体タンパク質である。受容体−リガンド相互作用は、γ−セクレターゼ活性が関与するノッチ受容体ポリペプチドの一連のタンパク質分解切断を引き起こす。γ−セクレターゼ活性は、転写因子複合体を形成するために核に転位する原形質膜の内部側からノッチ細胞内ドメインを切断する。ノッチ細胞内ドメイン(NICD)は、タンパク質の活性型である。様々なノッチシグナル伝達機能としては、増殖、分化、アポトーシス、血管新生、遊走、及び自己再生が含まれる。正常組織の発生及び維持中のノッチシグナル伝達のこれらの多様な役割は、色々な種類の癌において異常に活性化される。ノッチシグナル伝達の発癌性機能としては、アポトーシスの阻害及び細胞増殖の促進が含まれる。
γ−セクレターゼは、ノッチ活性化カスケードにおいて中心的役割を果たす。その結果、γ−セクレターゼの阻害剤は、癌治療のためのノッチ受容体活性化をブロックする可能性について積極的に研究されている。臨床試験が継続しているが、市販のノッチ阻害剤化学療法薬は出現していない。
γ−セクレターゼは、ノッチシグナル伝達経路を介して、また、予定感覚細胞(prosensory cell)分化の中心的役割を果たす。その結果、γ−セクレターゼの阻害剤は、SNHLの治療のためのノッチ受容体活性化をブロックする可能性について積極的に研究されている。全身循環への侵入のための様々な方法論によってノッチ阻害剤を投与して、異常に上昇したレベルで及び長期間、atonalホモログ1(Atoh1またはMath1)発現を誘導するのではなく、蝸牛環境において、より標的化された発現レベル及び期間でAtoh1発現を誘導することは有用であり、望ましい。Atoh1を調節できないことは、聴覚有毛細胞の研究及び聴覚有毛細胞再生のための治療法の開発の障害となっている。WO2014/039781のような研究が続けられているが、聴覚有毛細胞の喪失によって引き起こされる感音性難聴を治療するための市販のノッチ阻害剤は出現していない。
ノッチ経路シグナル伝達阻害活性を有する化合物を見出す必要がある。さらに、γ−セクレターゼ阻害活性によってノッチ経路シグナル伝達を阻害する化合物を見出す必要がある。ノッチ経路シグナル伝達及びγ−セクレターゼ阻害活性に寄与する可能性のある異なる構造的特徴を有する化合物を見出す必要もある。さらなる必要性は、ノッチ経路シグナル伝達を阻害することによってAtoh1発現を誘導する化合物を見出すことである。望ましい吸収、分布、代謝及び排泄特性を示す化合物を見出すことがさらに必要である。
本発明の1つの態様は、下記構造の化合物:

4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド、もしくは実質的にジアステレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容される塩を提供することにある。
本発明のさらなる態様は、下記構造の化合物:

N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、もしくは実質的にジアストレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容される塩である。
本発明の別の態様は、化合物1、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、または化合物2、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、または上記のいずれかの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
本発明の別の態様は、患者における、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌及び腺様嚢胞癌である癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または、化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、患者の肺癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、の治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
本発明の別の態様は、聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療を必要とする患者においてそれを行う方法であって、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、の治療有効量を前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、聴覚有毛細胞生成の誘導を必要とする患者においてそれを行う方法であって、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩の治療有効量を、前記患者に投与することを含む、方法を提供する。
本発明の別の態様は、療法に使用するための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、またはその医薬的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
本発明のさらなる態様は、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌及び腺様嚢胞癌の治療のための医薬の製造のための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマーもしくはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明のなおさらなる態様は、肺癌の治療に使用するための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
本発明のさらなる態様は、聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療に使用するための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
本発明のさらなる態様は、聴覚有毛細胞生成を誘導するために使用するための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
本発明の別の態様は、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌及び腺様嚢胞癌の治療のための医薬の製造のための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
本発明のさらなる態様は、肺癌の治療のための医薬の製造のための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明の別の態様は、聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療のための医薬の製造のための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、聴覚有毛細胞生成を誘導するための医薬の製造のための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、イヌコンパニオンアニマルにおける聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴を治療する方法であって、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくは薬学的に許容されるその塩または、化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくは薬学的に許容されるその塩の、治療上有効量を前記イヌコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法を提供する。
本発明の別の態様は、それを必要とするイヌコンパニオンアニマルにおける聴覚有毛細胞生成を誘導する方法であって、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を、前記イヌコンパニオンアニマルに投与することを含む、方法を提供する。
「化合物1、そのジアステレオマー」という語句は、4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド、またはジアステロマーである4,4,4−トリフルオロ−N−((S)−1−(((S)−9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドまたは4,4,4−トリフルオロ−N−((S)−1−(((R)−9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[(1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドを意味する。同様に、「化合物2、そのジアステレオマー」という語句は、N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、またはジアステレオマーであるN−((S)−1−(((S)−8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミドまたはN−((S)−1−(((R)−8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミドを意味する。
用語「患者」は哺乳動物を意味し、「哺乳動物」は出生後期間後のヒトを含むが、これに限定されない。ヒトの出生後期間は、出産直後から30日間の期間である。
「治療有効量」または「有効量」は、化合物1、異性体1もしくは異性体2であるその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、化合物2、異性体1もしくは異性体2である、実質的に純粋なジアステレオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩のいずれか、あるいは上記のいずれかを含む医薬組成物の、癌患者におけるノッチシグナル伝達を阻害し、標的癌細胞を破壊するか、または患者の癌の進行を遅らせもしくは停止させるのに必要な、いずれかの投与量を意味する。同様に、「治療有効量」または「有効量」は、化合物1、異性体1もしくは異性体2であるその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、化合物2、異性体1もしくは異性体2である、その実質的に純粋なジアステレオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩のいずれか、あるいは上記のいずれかを含む医薬組成物の、聴覚有毛細胞喪失または損傷に起因する感音性難聴患者におけるノッチシグナル伝達を阻害し、または聴覚有毛細胞生成を誘導するために必要な、投与量を意味する。
「化合物1または化合物2の実質的に純粋なジアステレオマー」は、他の異性体を実質的に含まない異性体1または異性体2を意味する。化合物1の6位または化合物2の5位で異性体純度が90%を超える鏡像体過剰率である場合、化合物1または化合物2が「実質的にジアステレオマー的に純粋」である。別の実施形態において、異性体純度は、化合物1の6位または化合物2の5位で95%を超える鏡像体過剰率である。さらに別の実施形態において、異性体純度は、化合物1の6位または化合物2の5位で98%を超える鏡像体過剰率である。さらに別の実施形態において、異性体純度は、化合物1の6位または化合物2の5位で99%以上の鏡像体過剰率である。化合物1または化合物2のジアステレオマー混合物を含む全ての立体異性体は、本発明内で検討される。
癌を治療するための、化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩の予想される投薬量は、0.1〜100mg/患者/日の範囲にある。好ましい投薬量は、1.0〜75mg/患者/日の範囲であると予想される。最も好ましい投薬量は、2.0〜50mg/患者/日の範囲であると予想される。聴覚有毛細胞の喪失または損傷によって引き起こされる感音性難聴を治療するため、または聴覚有毛細胞生成を誘導するための、化合物1、そのジアステレオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩、またはその化合物2、そのジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の予想される投与量は0.01〜100mg/患者/日の範囲である。好ましい投薬量は、0.1〜10mg/患者/日の範囲であると予想される。最も好ましい投薬量は、0.2〜1.0mg/患者/日の範囲であると予想される。
癌、感音性難聴、または聴覚有毛細胞生成を誘導するために、患者を治療するのに必要な正確な投薬量及び治療時間は、病気の段階及び重症度ならびに個々の患者の特定のニーズ及び応答を考慮して医師によって決定される。1日あたりの投薬量として表されるが、投与レジメンは、患者に対してより最適な治療利益を提供し、薬物関連毒性を管理及び改善するように調整され得る。毎日の投与に加えて、隔日投与(Q2D)、1日おきに5日間投与し、2日間投与しない(T.I.W.)、3日ごと(Q3D)、または21日間の投与サイクルにわたって毎週1回(Q.I.W.)または他の投与レジメンが適切であり得る。
用語「治療」、「治療する」及び「治療すること」は、癌、聴覚有毛細胞の喪失もしくは損傷に起因する感音性難聴、または聴覚有毛細胞生成を誘導に対する介入の全範囲を含み、例えば1つ以上の症状を緩和し、遅延または逆転させ、患者が患う、癌または聴覚有毛細胞の喪失もしくは損傷の進行を遅延させまたは患者の有毛細胞生成を誘導するための、活性化合物の投与を含むことを意味する。
「イヌコンパニオンアニマル」とは、ペット、介助犬、救助犬、放牧犬及び家畜犬を含むが、これらに限定されない家畜及び家畜繁殖犬を意味する。
ヒトの「聴覚聴力喪失」、「感音性難聴」または「難聴」とは、患者の聴力閾値(特定の周波数で聞こえる最も弱い音(強度))が、軽度の場合21〜40dB、中等度の場合は41〜55dB、中重度の場合56〜70dB、重度の場合71〜90dB、そして最重度の場合91dB以上であることを意味する。試験される強度は、通常、0dB〜最大120dBの範囲である。試験する周波数は、通常250、500、1000、2000、4000及び8000Hzである。診断聴力評価は、純音平均聴力(pure tome average)を含む純音聴力検査、語音聴取閾値を含む語音聴力検査、聴性脳幹反応評価(ABRまたはBAER)、経鼓膜蝸電図法(ECOG)、耳音響放射試験(OAE)を含む当業者によって知られ使用される日常的な試験によって行われる。小児及び乳児の評価は、視覚強化聴力検査、遊戯聴力検査、耳音響放射(OAE)、及び聴性脳幹反応評価を含む、当業者によって知られ使用される日常的な試験によっても行われる。
本発明の化合物は、好ましくは、薬学的に許容される担体を有する医薬組成物として製剤化され、様々な経路によって投与される。癌を治療するためには、好ましくは、このような組成物は、経口投与用のものである。
聴覚有毛細胞の喪失または損傷、または聴覚有毛細胞生成を誘導する感音性難聴を治療するためには、局所または全身療法を提供する経口または非経口投与に適した医薬組成物を調合し、投与してもよい。経口組成物は、錠剤、被覆錠剤、硬質または軟質ゼラチンカプセル、溶液、乳液または懸濁液を含む。非経口組成物は、皮下注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸腔内、胸骨内、経鼓膜(transtympanic)、内耳内、または蝸牛内の注射、または注入を含む投与を可能にするように調合され得る。医薬組成物は、組成物の患者への投与時に本発明の化合物を生物学的に利用できるように調合することができ、または医薬有効成分の制御放出または持続放出をもたらすように調合することができる。中耳腔への経鼓膜投与に適した医薬組成物が好ましく、中耳の蝸牛窓小窩への投与も好ましい。内耳内注射及び蝸牛内注射も企図される。難聴治療のための好ましい投与経路は、局所的な経鼓膜注射であるが、これは、全身送達を得るための代わりの投与経路に適した医薬組成物を除外せず、局所的な経鼓膜投与の代替または追加する組成物及び投薬計画を含み得る。放出間隔は、送達ビヒクルまたは、化合物1もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩が関連する送達ビヒクル剤の混合物に依存して、三(3)日から九十(90)日の範囲であり得る、徐放性局所送達組成物も好ましい。
薬物の標的送達のための医薬組成物、調製方法、及び送達システムは、当技術分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaro,et al.,eds.,19thed.,Mack Publishing Co.,1995),Salt and Plontke,“Principles of Local Drug Delivery to the Inner Ear”,Audiol Neurotol,2009,(14),350−360、Rhee,et al.,“Sustained−Release Injectable Drug Delivery,”Pharmaceutical Technology,Special Issue Drug Delivery,01 Nov.2010においてみることができる。医薬組成物は、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスキング剤または酸化防止剤を含有することができる。
本発明の化合物は、多くの無機及び有機酸と反応して、薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。このような薬学的に許容される塩及びこれらを調製するための共通方法は、当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahl,et al.,HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE,(VCHA/Wiley−VCH,2002)、S.M.Berge,et al.,“Pharmaceutical Salts,“Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,January 1977においてみることができる。
化合物1、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、または化合物2、その実質的に純粋なジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩は、当技術分野で公知であるならびに以下に記載する、様々な手順によって調製できる。特定の合成工程は、様々な方法で組み合わせて、化合物1、そのジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩、またはその化合物2、そのジアステレオマー、もしくはそれらの薬学的に許容される塩を調製することができる。
化合物1は、4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドと称され、及び4,4,4−トリフルオロ−N−{{1S)−2−[(9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}ブタンアミドとも称してもよく;また、ブタンアミド、4,4,4−トリフルオロ−N−[(1S)−1−メチル−2−オキソ−2−[(2,3,5,6−テトラヒドロ−9−メトキシ)−3,3−ジメチル−5−オキソ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)アミノ]エチル]−とも称してもよく、化合物1を明白に同定するために他の名称を用いることができる。ジアステレオマーは、4,4,4−トリフルオロ−N−((S)−1−(((S)−9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド及び4,4,4−トリフルオロ−N−((S)−1−(((R)−9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミドと称される。ジアステレオマーの各々を明白に同定するために、他の名称を使用することができる。
化合物2は、N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミドと称され、及びN−{(1S)−2−[(8、8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}−4,4,4−トリフルオロブタンアミドと称してもよく;また、ブタンアミド、4,4,4−トリフルオロ−N−[(1S)−1−メチル−2−オキソ−2−[(6,8,9,10−テトラヒドロ−8,8−ジメチル−6−オキソ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ]エチル]−とも称してよく、化合物2を明白に同定するために他の名称を用いることができる。ジアステレオマーは、N−((S)−1−(((S)−8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド及びN−((S)(((R)−8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミドと称される。ジアステレオマーの各々を明白に同定するために、他の名称を使用することができる。
化合物1及び化合物2は、2つのキラル中心のうちの1つが固定されて描かれていることが理解されるであろう。本明細書では、(R)−及び(S)−のカーン−インゴルド−プレローグ表記が、特定の異性体を指すために用いられる。特定の立体異性体は、エナンチオマー的に純粋なまたは富化された出発物質を用いる立体特異的合成によって調製することができる。化合物1または化合物2を含む出発物質、中間体、またはラセミ混合物のいずれかの特定の立体異性体は、Stereochemistry of Organic Compounds、E(I)Eliel and S.H.Wilen(Wiley 1994)及びEnantiomers,Racemates,and Resolutions,J.,Jacques,A.Collet,and S.H.Wilen(Wiley 1991)に見られるような当該技術分野で周知の技術によって分離することができ、キラル固定相でのクロマトグラフィー、酵素的分割、または分別結晶、またはその目的のために形成されたジアステレオマーの、例えばジアステレオマー塩の、クロマトグラフィーが挙げられる。キラル化合物が単離され、またはその異性体に分割されるが、絶対配置または旋光度が決定されない場合、異性体は、それぞれがキラルクロマトグラフィーから溶出する順序に対応する異性体1及び異性体2として任意に指定され、キラルクロマトグラフィーが合成の初期に開始される場合、同じ指定が後続の中間体及び実施例に適用される。本発明の化合物を含む全ての混合物が本発明の範囲内にあると考えられるが、好ましい実施形態は、化合物1、異性体2、または化合物2、異性体2である。
本発明の化合物の合成において初期出発物質として使用される化合物は周知であり、市販されていない限りにおいて、当業者によって一般的に使用される標準手順によって特定の参照文献を用いて容易に合成されるか、または一般参照テキストで見出される。
既知の手順及び方法の例には、一般的な参照テキストに記載されたものが含まれ、例えばComprehensive Organic Transformations,VCH Publishers Inc,1989、Compendium of Organic Synthetic Methods,Volumes 1−10,1974−2002,Wiley Interscience、Advanced Organic Chemistry,Reactions Mechanisms,and Structure,5thEdition,Michael B.Smith and Jerry March,Wiley Interscience,2001、Advanced Organic Chemistry,4thEdition,Part B,Reactions and Synthesis,Francis A.Carey and Richard J.Sundberg,Kluwer Academic/Plenum Publishers,2000などであり、そこに引用された参考文献を参照されたい。
本明細書中で使用される場合、以下の用語が、示される意味を有する:「mAtoh1」はマウスatonal相同体1タンパク質を指し、「hAtoh1」は、ヒトatonal相同体1タンパク質を指し、「基本培地」は、500mlのDMEM/F12培地+5mlのN2 100Xストック及び10mlのB27 50Xストック+500μlのアンピシリンストック(1000×、50mg/ml)及び1667μl Fungizone(300X)を指し、「BFGF」は塩基性線維芽細胞増殖因子を指し、「DMEM」は、ダルベッコ改変イーグル培地を指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を指し、「EGF」は表皮成長因子を指し、「EGTA」はエチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラ酢酸を指し、ES/MSエレクトロスプレー質量分光法を指し、「FBS」はウシ胎仔血清を指し、「GFP」は緑色蛍光タンパク質に変化し、「h」は時間(hourまたhours)を指し、「HBSS」はハンクの平衡塩類溶液を指し、「HEK」とは、ヒト胚性腎臓を指し、「IC50」は、その薬剤について可能な最大阻害応答の50%を産生する薬剤の濃度を指し、「IgG」は免疫グロブリンGを指し、「Math1」は ヒト遺伝子atonalホモログ1を指し、「培地A」はそれぞれ20,10,50及び50ng/mlでの200mlの基本培地+EGF bFGF+IGF−1+ヘパラン硫酸を指し、「MEM」は最小限の必須培地を指し、「min」は分を指し、「MS」は質量分析を指し、「N1ICD」はNotch1細胞内ドメインを指し、「nGFP」は、核緑色蛍光タンパク質を指し、「OC」はコルチ器官を指し、「PBS」はリン酸緩衝化生理食塩水を指し、「PBST」は、リン酸緩衝食塩水+Tween(登録商標)を指し、「qPCR」は定量的ポリメラーゼ連鎖反応を指し、「qRT−PCR」は定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を指し、「rpm」は毎分回転数を指し、「RLT緩衝液」はRNeasyLysis緩衝液を指し、「RT」は室温を指し、「Tbp」はTATA結合タンパク質を指す、
調製例1
1−ブロモ−3−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)プロパン−2−オン

窒素下でテトラヒドロフラン(197mL)及びアセトニトリル(197mL)中の2−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)アセチルクロリド(52g、197.3mmol)の0℃の撹拌溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(118.4mL、236.80mmol、ヘキサン中2M)を滴下添加する。15分後、室温まで温め、窒素下で2時間撹拌する。濃縮して濃厚な赤色油状物(61g)を得る。酢酸(265mL)中の先のステップからの2−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)アセチルアジドの5℃の撹拌溶液に臭化水素(36mL、197mmol、酢酸中33%)を滴下添加する。添加後、窒素下で室温まで温める。45分後、氷/水(500mL)でクエンチし、褐色の沈殿を得る。固体をろ過し、水(100mL)及びヘキサン(100mL)で洗浄し、真空下45℃で2時間乾燥させて、橙色の油状物として標記化合物を得る(63.0g、99%)。1H NMR(300MHz,CDCl):7.17−7.12(m,2H),6.85(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),4.03(s,2H),3.97(s,2H),3.79(s,3H)。
調製例2
(3Z)−1−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)−3−(3,3−ジメチルピロリジン−2−イリデン)プロパン−2−オン

調製例1で得られた中間体、1−ブロモ−3−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)プロパン−2−オン(60.00g、186mmol)及びヨウ化カリウム(31g、86mmol)のテトラヒドロフラン(600mL)の懸濁液に3,3−ジメチルピロリジン−2−チオン(26.5g、205mmol)を室温で一度に加え、1時間撹拌する。メチルtert−ブチルエーテル(200mL)を添加し、固体をろ別し、ろ過ケーキをメチル−tert−ブチルエーテル(100mL)ですすぎ、1−(2−ブロモ−4−メトキシ−フェニル)−3−[((4,4−ジメチル−2,3−ジヒドロピロール−1−イウム−5−イル)スルファニル]プロパン−2−オンヨージドを淡黄色固体(100g)として得る。アセトニトリル(1L)中の固体(100g、201mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(56mL、401mmol)及びトリフェニルホスフィン(58g、221mmol)を加え、65℃で2.5時間撹拌する。メチルtert−ブチルエーテル(200ml)を添加し、固体をろ別する。ろ液を蒸発させ、残留物をメチルtert−ブチルエーテル(20mL)で粉砕し、固体をろ別する(2回)。合わせたろ液を蒸発させて、50gの粗製物質を得る。残留物を、ヘキサン中の酢酸エチルの20〜50%勾配で溶出するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの固体として標記化合物を得る(41g、70%)。MS(m/z):338.0/340.0(M+/M+2)。
調製例3
9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−A]ベンズアゼピン−5(6H)−オン

調製例2で得られた中間体、(3Z)−1−(2−ブロモ−4−メトキシフェニル)−3−(3,3−ジメチルピロリジン−2−イリデン)プロパン−2−オン(40.0g,118mmol)、酢酸パラジウム(2.7g、12mmol)、炭酸セシウム(77g、237mmol)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(13.7g、24mmol)、及びN−メチル−2−ピロリドン(1.2L)の混合物を窒素で脱ガス/フラッシュする(3回)。懸濁液を150℃で4時間加熱する。室温に冷却し、固体をろ別し、酢酸エチルで洗浄し、固体を廃棄する。ろ液に酢酸エチル(1L)及び水(500mL)を添加し、固体をケイソウ土を介してろ過して廃棄する。ろ液層を分離し、水性分から酢酸エチル(2×20mL)、次いでジクロロメタン(3×100mL)で抽出する。合わせた有機層を5%重炭酸ナトリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して100mLの暗褐色油状物を得る。シリカパッドで物質をろ過し、ジクロロメタン、続いて1%メタノール/ジクロロメタンで溶離し、ろ液を濃縮する。残留物を酢酸エチルと5%重炭酸ナトリウム水溶液の間で分配し、酢酸エチルで水性分から逆抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、粗生成物を暗褐色泡状物として得る。生じた泡を酢酸エチル(250mL)に溶解し、SiliaBond Thiol(登録商標)(80g)を添加し、室温で一晩撹拌する。固体をろ別し、ろ過ケーキを酢酸エチル及びジクロロメタンで洗浄し、ろ液を濃縮して、明褐色の固体として標記化合物を得る(19.6g、65%)。MS(m/z):258.0(M+H)。
調製例4
6−ヒドロキシイミノ−9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−5(6H)−オン

テトラヒドロフラン(336mL)中の調製例3で得られた中間体9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[[1,2−A]ベンズアゼピン−5(6H)−オン(16.8g、65mmol)の撹拌した0℃の溶液に、カリウムtert−ブトキシド(11g、98mmol)を数回に分けて添加して15分間撹拌する。亜硝酸アミル(12.2mL、91mmol)を滴下し、混合物を0℃で30分間撹拌する。反応混合物を氷/水(200mL)に注ぎ、混合物を酢酸エチルで抽出する(2×200mL)。結晶化した固体をろ過し、ジクロロメタン(2×100mL)によりろ液から抽出する。合わせた有機物をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、淡褐色の固体を得る。1:1メチルtert−ブチルエーテル/ヘキサンで固体を粉砕し、先に集めた固体と合わせて、淡黄色固体として標記化合物を得る(16.5g、88%)。MS(m/z):287.1(M+H)。
調製例5
6−アミノ−9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a][1]ベンズアゼピン−5(6H)−オン

ジクロロメタン(248mL)中の調製例4で得られた中間体、6−ヒドロキシイミノ−9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−5(6H)−オン(16.5g、58mmol)及び亜鉛粉末(11.3g、173mmol)の攪拌した5℃〜10℃の懸濁液にトリフルオロ酢酸(17mL、231mmol)を、10分間かけて滴下して加え、次に室温まで温める。ケイソウ土のパッドを通して混合物をろ過し、氷と飽和炭酸ナトリウム水溶液(1:1,500mL)との混合物にろ液を注ぐ。得られた懸濁液をケイソウ土を介してろ過し、フィルターパッドをジクロロメタンですすぐ。ジクロロメタン(100mL)で水層から抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、淡褐色泡状物として標記化合物を得る(14.7g、94%)。MS(m/z):273.1(M+H)。
調製例6
ベンジル(2S)−2−(4,4,4−トリフルオロブタノイルアミノ)プロパノエート

L−アラニンベンジルエステル塩酸塩(7g、32.5mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(28mL、162mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(7.5g、49mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(9.3g、49mmol)を、ジクロロメタン(162mL)中の4,4,4−トリフルオロ酪酸(7.1g、49mmol)の撹拌溶液に加え、N下、室温で20時間撹拌する。20%クエン酸水溶液(150mL)でクエンチし、混合物を5分間撹拌し、層を分離し、ジクロロメタン(100mL)を用いて水性から抽出する。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、10.6gの淡黄色固体を得る。残留物を、ヘキサン中の酢酸エチルの25〜50%勾配で溶出するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体として標記化合物を得る(9.2g、94%)。MS(m/z):304.2(M+H)。
調製例7
(2S)−2−(4,4,4−トリフルオロブタノイルアミノ)プロパン酸

メタノール(88mL)中の調製例6で得られた中間体、ベンジル(2S)−2−(4,4,4−トリフルオロブタノイルアミノ)プロパノエート(8.8g、29mmol)の撹拌溶液にパラジウム(1.8g、0.8mmol、C上5%)室温で加える。混合物を脱気し、水素(バルーン雰囲気)下で5時間撹拌する。混合物をケイソウ土でろ過し、メタノールでパッドを洗浄し、ろ液を濃縮して白色固体を得る。固体をジクロロメタンで粉砕し、真空下、室温で一晩乾燥させて、白色固体として標記化合物を得る(6.11g、収率99%)。MS(m/z):214.1(M+H)。
調製例8
メチル3−(3,3−ジメチル−2−チオキソピロリジン−1−イル)プロパノエート

3,3−ジメチルピロリジン−2−チオン(15.7g、122mmol)及びアクリル酸メチル(12mL、134mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、窒素下室温で撹拌した。水酸化ナトリウム(0.8g、20mmol)を添加し、窒素下室温で一晩撹拌した。ブラインで希釈し、酢酸エチルで抽出し、層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して粗固形物27.5gを得る。残留物を、ヘキサン中の酢酸エチルの20〜50%勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固体として標記化合物を得る(25.9g、99%)。MS(m/z):216.2(M+H)。
調製例9
メチル3−[(2Z)−2−(2−エトキシ−2−オキソ−エチリデン)−3,3−ジメチル−ピロリジン−1−イル]プロパノエート

トルエン(156mL)中の調製例8で得られた中間体、メチル3−(3,3−ジメチル−2−チオキソピロリジン−1−イル)プロパノエート(41.4g、192mmol)の撹拌溶液にテトラキス(アセタト)ジロジウム(II)(3.74g、8.5mmol)を添加し、窒素下110℃に加熱した。エチルジアゾアセテート(89mL、844mmol)を約18時間かけて滴下で加え、次いで110℃で一晩加熱する。濃縮し、残留物を、ヘキサン中の30%酢酸エチルで溶出するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の油状物として標記化合物を得た(34.5g、67%)。MS(m/z):270.2(M+H)。
調製例10
エチル(2Z)−2−(3,3−ジメチルピロリジン−2−イリデン)アセテート

窒素下30℃未満の温度に維持した水/氷浴を使用して、テトラヒドロフラン(430mL)中の調製例9で得られた中間体メチル3−[(2Z)−2−(2−エトキシ−2−オキソ−エチリデン)−3,3−ジメチル−ピロリジン−1−イル]プロパノエート(33.8g、126mmol)の撹拌溶液に、カリウムヘキサメチルジシラジド(301mL、トルエン中0.5M、151mmol)を滴下で45分かけて添加する。添加終了後40分間攪拌する。重炭酸ナトリウム飽和水溶液(250mL)でクエンチし、次いで濃縮する。ジエチルエーテルとブライン溶液との間で分配し、水性物から酢酸エチル(×4)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して37gの物質を得る。ヘキサン中の10%酢酸エチルで溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標記化合物を得た(9.1g、40%)。MS(m/z):184.2(M+H)。
調製例11
エチル(2Z)−2−[3,3−ジメチル−1−(3−メチル−2−ピリジル)ピロリジン−2−イリデン]アセテート

反応容器中の1,4−ジオキサン(15mL)溶液に、2−ブロモ−3−メチルピリジン(1.5g、8.7mmol)、調製例10で得られた中間体である、エチル(2Z)−2−(3,3−ジメチルピロリジン−2−イリデン)アセテート(1.6g、8.7mmol)及びsym−ジメチルエチレンジアミン(0.77mL、8.7mmol)を混ぜ合わせる。10分間撹拌しながらこの溶液に窒素を通して泡立てる。炭酸カリウム(3.6g、26mmol)及びヨウ化銅(I)(0.83g、4.4mmol)を全て一度に加え、密閉し、120℃で2日間加熱攪拌する。ジクロロメタンで希釈し、ケイソウ土を介してろ過し、ろ液を濃縮する。ヘキサン中5〜100%酢酸エチルの勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、淡黄色油状物として標記化合物を得る(1.58g、66%)。MS(m/z):275.0(M+H)。
調製例12
8,8−ジメチル−9,10−ジヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6(8H)−オン

反応容器中、調製例11で得られた中間体、エチル(2Z)−2−[3,3−ジメチル−1−(3−メチル−2−ピリジル)ピロリジン−2−イリデン]アセテート(2.88g、10.5mmol)及びテトラヒドロフラン(60mL)の撹拌溶液に、シリンジを介してナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(22mL、テトラヒドロフラン中1M、22mmol)を添加する。容器を密閉し、攪拌しながら70℃で3日間加熱する。室温に冷却し、ブラインでクエンチし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して、褐色油状物を得る。残留物を、ヘキサン中の50−100%酢酸エチルの勾配で溶出するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体として標記化合物を得た(1.70g、71%)。MS(m/z):229.2(M+H)。
調製例13
6−アジド−10−アザ−3,3−ジメチル−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−5−オン

テトラヒドロフラン(50mL)中の調製例12の中間体、8,8−ジメチル−9,10−ジヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6(8H)−オン(1.85g、8.1mmol)の撹拌した−78℃の溶液に、リチウムジイソプロピルアミド(7.0mL、10.5mmol、ヘキサン中1.5M)を10分間かけて窒素下で添加する。30分後、シリンジを介して酢酸(2.3mL、41mmol)を添加し、次いで窒素下で室温に温める。重炭酸ナトリウム飽和水溶液でクエンチする。ブラインと酢酸エチルとの間で混合物を分配し、層を分離し、酢酸エチル層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して褐色固体を得る。ヘキサン中5〜60%酢酸エチルの勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、標記化合物(1.2g、55%)を得る。MS(m/z):270.2(M+H)。
調製例14
5−アミノ−3,3−ジメチル−9,10−ジヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6(8H)−オン

エタノール(50mL)及び水(15mL)中の調製例13で得られた中間体、6−アジド−10−アザ−3,3−ジメチル−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−5−オン(1.2g、4.5mmol)の撹拌溶液に、室温で、亜鉛末(1.2g、18mmol)、続いて塩化アンモニウム(5g、66mmol)を添加する。1時間後、酢酸エチルで希釈し、固体をろ別し、ろ液を濃縮する。酢酸エチルとブラインとの間で残留物を懸濁させ、層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮する。ジクロロメタン中5〜40%の[メタノール/ジクロロメタン中の10%2Mアンモニア]の勾配で溶出するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、黄色固体として標記化合物を得る(0.72g、67%)。MS(m/z):244.2(M+H)。
調製例15
tert−ブチルN−[(1S)−2−[(10−アザ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)アミノ]−1−メチル−2−オキソ−エチル]カルバメート

テトラヒドロフラン(10mL)中の調製例14で得られた中間体、5−アミノ−3,3−ジメチル−9,10−ジヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6(8H)−オン(0.72g、3.0mmol)の撹拌された0℃溶液に、(2S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(0.69g、3.6mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.55g、3.6mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.67mL、3.9mmol)を、窒素下で加えた。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.68g、3.6mmol)を加え、混合物を窒素下で室温に温める。2時間後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。ブラインで有機層を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮する。ヘキサン中の50−100%酢酸エチルの勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーにより残留物を精製して、黄色固体として標記化合物を得る(1.04g、84%)。MS(m/z):415.0(M+H)。
調製例16
(2S)−2−アミノ−N−(10−アザ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)プロパンアミド塩酸塩

1,4−ジオキサン(40mL)中の調製例15で得られた中間体、tert−ブチルN−[(1S)−2−[(10−アザ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)アミノ]−1−メチル−2−オキソ−エチル]カルバメート(1.04g、2.5mmol)の撹拌溶液に、塩酸(12.5mL、50mmol、ジオキサン中4M)を添加し、攪拌しながら45℃まで温める。LC/MSが完全な反応を示すとき、濃縮して、黄色固体として標記化合物を得る(0.93g、粗製)。MS(m/z):315.2(M+1)。
実施例1
4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド

パート1
ジアステレオマー4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド
ジクロロメタン(294mL)中の調製例5で得られた中間体、6−アミノ−9−メトキシ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−5(6H)−オン及び調製例7で得られた中間体、(2S)−2−(4,4,4−トリフルオロブタノイルアミノ)プロパン酸(10.9g、51mmol)の撹拌溶液に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(12.4g、65mmol)を室温で添加する。混合物を5℃に冷却し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(8.75g、65mmol)を添加し、室温で10分間撹拌を続ける。混合物を水(3×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して暗色の固体を得る。メチルtert−ブチルエーテルで粉砕して、オフホワイトの固体として標記化合物(ジアステレオマーの混合物)を得た(22.0g、87%)。MS(m/z):468.1(M+H)。
パート2
4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド異性体1及び2
10%アセトニトリル/エタノール(0.2%ジメチルエチルアミン)で溶離するChiralpak ADカラムで、実施例1、パート1からのジアステレオマーの混合物を分離して、白色固体として異性体1の化合物(R=3.20分)を得(9.8g、38%)、及び白色固体として異性体2化合物(Rt=7.37分)を得た(9.0g、36%)。MS(m/z):両異性体に対し468.2(M+H)。
実施例2
N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド

パート1
ジアステレオマーN−{(1S)−2−[(8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}−4,4,4−トリフルオロブタンアミド
テトラヒドロフラン(50mL)中の調製例16によって提供された中間体(2S)−2−アミノ−N−(10−アザ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,6−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズアゼピン−6−イル)プロパンアミド塩酸塩(0.93g、2.6mmol)の撹拌した0℃の溶液に、4,4,4−トリフルオロブタン酸(0.45g、3.2mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.49g、3.2mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(2.3mL、13.2mmol)を添加する。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.61g、3.2mmol)を添加し、混合物を窒素下で16時間室温に温める。水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。ブラインで有機層を洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮する。残留物を、ヘキサン中75−100%酢酸エチルの勾配で溶離するシリカのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの固体として標記化合物(ジアステレオマーの混合物)を得る(0.82g、71%)。MS(m/z):439.2(M+1)。
パート2
N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド異性体1及び2
15%MeOH/CO2(気体)で溶離するChiralpak AD−Hカラムで、実施例2、パート1からのジアステレオマーの混合物を分離して、白色固体として異性体1(R=1.60分)を得(194mg、24%エピマー化して32%DE(ジアステレオマー過剰))、及び白色固体として異性体2(R=2.31分)を得る(469mg、57%)。MS(m/z):両異性体に対し439.0(M+H)。
癌は、その開始及び進行が、DNA複製、ゲノム安定性、細胞増殖、細胞死、接着、血管新生、浸潤、及び細胞ならびに組織微小環境における転移を調節する1つ以上の遺伝子の異常な機能によって誘起される疾患の異種集団としての認識が高まっている。「癌」遺伝子の変異体または異常な機能は、天然発生のDNA多型、ゲノムコピー数における変化(増幅、欠失、染色体消失、または重複を通して)、遺伝子ならびに染色体構造における変化(染色体転位、逆位、または無秩序な遺伝子発現をもたらす他の再配置を通して)、及び点変異からの結果であり得る。癌性新生物は、1つの異常な遺伝子機能によって誘起され、同じ異常な遺伝子機能によって維持され得るか、または追加の異常な遺伝子機能によって維持及び進行が悪化され得る。
上述した遺伝的染色体異常の他に、癌のそれぞれは、DNAメチル化、ゲノム刷り込み、及びアセチル化、メチル化、もしくはリン酸化によるヒストン修飾が含まれるゲノムの後成的修飾も含み得る。後成的修飾は、悪性の誘起及び/または維持において役割を果たし得る。
ヒト癌における細胞遺伝学的異常の広範なカタログが編集され、オンラインで維持され定期的に更新されている(The Mitelman Database of Chromosome Aberrations in Cancer at the US National Cancer Institute (NCI)Cancer Genome Anatomy Project(CGAP)を参照)。このデータベースには、本発明の悪性腫瘍の少なくともいくつかの染色体異常が含まれる。Wellcome Trust Sanger Institute Cancer Genome Projectは、腫瘍形成に因果関係がある全ヒト遺伝子の詳細なオンライン「Cancer Gene Census」ならびにヒト癌の体細胞突然変異のデータベースCOSMIC(癌の体細胞突然変異のカタログ)を維持している。種々の癌と因果関係を有する細胞遺伝学的変化に関する豊富な情報を含むさらなる情報源は、Atlas of Genetics and Cytogenetics in Oncology and Haematologyである。
生検、免疫表現型検査及び他の検査による癌の悪性の診断が既知であり、日常的に使用されている。高解像度の染色体分染法及び高度染色体画像法技術に加えて、癌が疑われる場合の染色体異常は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、核型決定、スペクトル核型決定(SKY)、マルチプレックスFISH(M−FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、一塩基多型アレイ(SNPチップ)及び当業者に既知でありまた使用される他の診断ならびに分析試験などの細胞遺伝子学的分析を通して決定することができる。
ノッチの発癌性の役割は、ノッチ1細胞内ドメインのT細胞受容体−βプロモータ領域への転位を伴い、その結果、ノッチ1細胞内ドメインの過剰発現をもたらすヒトT細胞白血病において最初に報告された(Grabher et al.Nature Review Cancer,2006(6):347−359;Weng et al.Science,2004(306):269−271).マウスの造血前駆細胞中のノッチ1細胞内ドメインの過剰発現は、ヒトと同様に、マウスにT細胞急性リンパ芽球性白血病を生じさせる。T細胞急性リンパ芽球白血病に加えて、ノッチシグナルが、受容体増幅及びリガンド及び/または受容体の過剰発現を含む複数の機序を通じて、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病(Rosati et al,Blood,2009(113):856−865)、急性骨髄性白血病(Sliwa et al.Int J Clin Exp Pathol,2014(7(3)):882−889)、慢性骨髄性白血病(Nakahara et al.Blood,2010(115(14)):2872−2881)、赤白血病(Robert−Moreno et al,Leukemia,2007(21):1496−1503)を含む他の癌において発癌性であるという証拠が増加してある。リガンド及び/または受容体の突然変異または過剰発現に起因する異常な構成的ノッチシグナル伝達はまた、トリプルネガティブ乳癌(Stoeck et al,Cancer Discovery,2014(4):1154−1167)、乳癌、卵巣癌(Park et al.Cancer Research,2006(66):6312−6318)、黒色腫(Gast et al.Genes,Chromosomes&Cancer,2010(49):733−745)、肺癌、非小細胞性肺癌(Westhoff et al.PNAS,2009(106):22293−22298)、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、扁平上皮細胞癌(口腔)、皮膚癌及び髄芽腫(Rangathan et al.,Nature Review Cancer,2011(11):338−351 and Supplementary information S1(table))を含むいくつかの固形腫瘍悪性腫瘍に関与する。リガンド及び/または受容体の突然変異または過剰発現に起因する異常な構成的ノッチシグナル伝達も血管肉腫(Ravi et al,J Clin Oncol,2007,(25(18S,June 20 Supplement)):Abstract 10030)、横紋筋肉腫(Belyea et al,Clin Cancer Res,2011(17(23)):7324−7336;Roma et al,Clin Cancer Res,2011(17(3)):505−513)、脂肪肉腫(J Clin Oncol,2009,(27(15S,Supplement)):Abstract 10526)、悪性線維性組織球腫(Wang et al,Cancer Res,2012,(72):1013−1022)、肝細胞癌(Villanueva et al,Gastroenterology,2012,(143):1660−1669)、肝内外胆管癌(Wu et al,Int J Exp Pathol,2014,(7(6)):3272−3279;Sekiya et al,J Clin Invest,2012,(122(11)):3914−3918;Yoon et al,World J Gastroenterol,2011,(17(35)):4023−4030)、及び腺様嚢胞癌(Bell et al,Annals of Diagnostic Pathology,2014,(18):10−13;Stoeck et al,Cancer Discov,2014,(4):1154−1167)に関与する。ノッチシグナル伝達の阻害は、構成的ノッチシグナル伝達経路の異常な活性化によって疾患が誘導された癌患者に治療上の利益を提供する魅力的な標的を提示する。Shih et al.Cancer Research,2007(67)1879−1882。
内耳有毛細胞発生のための決定的な遺伝子の1つは、基本的ならせん−ループ−へリックス転写因子atonal−1(Atoh1)の哺乳動物相同体である。蝸牛細胞におけるAtoh1の発現は、聴覚有毛細胞生成に必要である。Atohlを発現するコルチ発生器官内の予定感覚上皮細胞は、聴覚有毛細胞に分化し(Helms et al,Development 2000,(127(6)):1185−1196)、及びAtohlは聴覚有毛細胞分化の最も初期のマーカーの1つである。コルチ器官の支持細胞は、繊毛形成(Zheng et al,Nature Neuroscience,2000,(3(6)):580−586;Kawamoto et al,J Neurosci,2003,(23(11)):4395−4400;Izumikawa et al,Nat Med,2005,(11(3)):271−276;及び適切な有毛細胞機能(Kawamoto et al,2003)を含む有毛細胞の特徴を発生させる可能性を維持する。
蝸牛の各有毛細胞は、有毛細胞及び神経節に対する栄養的及び構造的支持を提供し、ギャップ結合細胞間連絡によってコルチ器官の適切なイオン濃度を維持する上で不可欠である、非感覚的支持細胞によって取り囲まれている。有毛細胞には、内有毛細胞と外有毛細胞の2種類がある。ヒトを含む哺乳動物の蝸牛有毛細胞は、一列の内有毛細胞と三列の外有毛細胞からなる。内有毛細胞は実際の感覚受容体であり、脳に投射する聴神経線維の95%がこの亜集団から生じる。外有毛細胞の末端は、ほとんど全部が脳の細胞から生じる遠心性の軸索由来のものであり、これらの細胞は、聴覚前置増幅器として機能する。支持細胞は、聴覚有毛細胞の喪失または損傷の後に聴覚有毛細胞生成において重要な役割を果たす。発生中、有毛及び支持細胞は共通の前駆体から発生し、有毛細胞の出現はノッチシグナル伝達経路によって媒介される接触阻害を介して支持細胞になるために細胞を囲むシグナルを示す(Kelley,Nat Rev Neurosci,2006、(11):837−849。
それらの共有された発生経路と共に、聴覚有毛細胞に分化転換する細胞を支持する能力に基づいて、支持細胞は有毛細胞前駆体として機能し得ると仮定されている(Parker et al,Audiology and Neurootology,2004,(9(2)):72−80)。いくつかの研究は、支持細胞における細胞周期阻害を回避することにより、哺乳動物における聴覚有毛細胞生成をもたらし得ることを実証している(Lowenheim et al,Proc Natl Acad Sci USA,1999,(96):4084−4088;Torchinsky et al,J Neurocytol,1999,(28(10−11)):913−924;Minoda et al,Hear Res,2007,(232):44−51)。したがって、成体哺乳動物支持細胞は、一旦それらが自由に細胞周期に入ると、聴覚有毛細胞に分化転換する能力を維持する。
聴覚有毛細胞の回復のための薬物治療は、新しいアプローチであり、中耳液、好ましくは蝸牛窓小窩への投与は、実際の蝸牛への注入なしに、治療用量及び適切な時間でAtoh1発現を効果的に誘導して、蝸牛における支持細胞の聴覚有毛細胞分化転換を引き起こことができる。Mizutari et al,Neuron,2013,(77(1)):58−69は、ガンマセクレターゼ阻害剤(LY411575)の中耳送達を用いて、マウスの音響外傷に冒された聴覚有毛細胞を再生し、支持細胞からの新しい有毛細胞は有意で測定可能な聴力回復をもたらしたことを示した。この研究は、マウスモデルにおける聴覚有毛細胞の生成及び聴覚の回復に対するノッチ経路シグナル伝達阻害の治療効果の概念的証拠を提供し、生理学的効果についての機構的(聴覚有毛細胞への支持細胞分化)説明を提供した。用量制限毒性は、LY411575の全身投与中に示された。
以下のインビトロ及びインビボ研究は、特定の癌細胞株に対する、化合物1及び2、またはそれらの実質的に純粋なジアステレオマーのノッチ経路シグナル伝達阻害活性及び有効性を実証する。これらのアッセイは、ヒト臨床化学療法活性を示すものとして当業者に一般的に認識されている。γ−セクレターゼによるノッチ細胞内ドメイン切断の阻害は、ノッチ1、ノッチ2、ノッチ3及びノッチ4受容体のそれぞれに対して有効であると考えられている。ノッチ経路シグナル伝達阻害活性及び効力を証明するアッセイは、実質的に以下のように、または同様のデータを与える同様のアッセイによって実施することができる。
ノッチ1 N1ICD核内蓄積細胞イメージングアッセイ
HEK293ΔE12細胞(HEK293細胞は、そのN末端に23アミノ酸のシグナルペプチド配列MPRLLTPLLCLTLLPALAARGLR(配列番号2)を有するアミノ酸1703−2183、NP_032740.3(全長マウスNotch1タンパク質前駆体:配列番号1)をコードするマウスNotch1 cDNAを安定に発現するように操作される)を、96ウェルプレートに5000細胞/ウェルで播種し、5%ウシ胎仔血清(FBS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(高グルコース)中、37℃、5%COで24時間インキュベートする。細胞を、試験化合物1000nM〜0.05nMの範囲で1:3希釈の10ポイントでの投与及び0.2%の最終ジメチルスルホキシド(DMSO)濃度で処理する。24時間処理した後、細胞プレートを以下のステップで順次処理する:細胞を室温(RT)で30分間100μl/ウェルPREFER(商標)固定剤で固定し、室温で20分間リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中の100μl/ウェルの0.1%TRITON(登録商標)X100で細胞を浸透させ、それぞれ100μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、1%ウシ血清アルブミンを含むPBS中1:2000のウサギ抗N1ICD(ノッチ1細胞内ドメイン)抗体50μl/ウェルを添加して37℃で1.5時間インキュベートし、それぞれ100μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、1%ウシ血清アルブミンを含むPBS中1:1000希釈のヤギ抗ウサギIgG(Immunoglobulin G)Alexa488の50μl/ウェルと37℃で1時間インキュベートし、それぞれ100μl/ウェルのPBSで3回洗浄し、100μl/ウェルの15μMヨウ化プロピジウムと50μg/mlのRNAse を30分間添加して核を染色する。プレートをACUMEN EXPLORER(商標)レーザー走査蛍光マイクロプレートサイトメーター(TTP LABTECH LTD)でスキャンして、655nm−705nmでの蛍光(DNA結合ヨウ化プロピジウムの放出)及び505nm−530nmでの核領域におけるN1ICDに結合する抗体の蛍光を伴う総細胞核計数/ウェル及び総核面積/ウェルを測定する。主なアッセイ出力は、核N1ICDの総蛍光面積対総核面積の比であり、正規化された核N1ICD信号である。相対細胞傷害性プロファイリングを0.2%DMSO対照細胞に対する%細胞数として収集した。切断されたノッチ1またはN1ICDを認識する抗体は、Val1744のヒトノッチ1のアミノ末端切断部位に対応するヒトペプチドに対して産生される。未処理の対照細胞では、ノッチ1から生成されたN1ICDが核内に転座して蓄積する。細胞をノッチ1切断阻害化合物で処理すると、核N1ICDのシグナルが減少する。濃度応答及びIC50は、核N1ICDシグナルについての4つのパラメータロジスティックにフィットする曲線によって決定され、%細胞数は、細胞傷害性プロファイリングについて同じグラフにプロットされる。本質的に上記のアッセイを実施すると、化合物1、異性体2の平均IC50は0.37nM(+/−0.16;n=2)であり、化合物2、異性体2では1.55nM(+/−1.12;n=2)である。いずれの化合物も1000nM濃度まで細胞数に影響を及ぼさない。これらのデータ証拠では、化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2はそれぞれノッチ1に対する親和性を有し、ノッチ1細胞内ドメイン細胞シグナル伝達ペプチドの細胞内蓄積を阻害する。
インビボ標的阻害研究
動物研究
ノッチ処理薬力学(PD)の阻害に対する化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2のインビボ効果を評価するために、動物研究は非担癌Balb/Cマウス(Charles River)で行った。各群につき合計5匹のマウスを使用する。マウスは通常の飼料で自由に飼育される。処理は、化合物またはビヒクル(0.25%Tween−80中の1%Na−CMC)の0.2mL容量の経口投与(胃管栄養)で開始する。処理後の指定された時点(投与後4または8時間)に、動物はCO窒息及び頸部脱臼によって屠殺される。組織(肺)を取り出し、切断されたN1ICDによって測定されたPD応答分析に使用する。
N1ICD分析
肺におけるN1ICDレベルを評価するために、凍結組織から約75mgを切り出し、均質化する前に細かく切り刻む(実際の質量を記録する)。凍結した腫瘍サンプルをLysing Matrix−D(商標)チューブに移し、氷冷XY溶解緩衝液(25mMトリスpH7.5、10μg/mlトリプシン/キモトリプシン阻害剤、10μg/mlアプロチニン、60mMβ−グリセロールリン酸、1%Triton(登録商標)X−100、10mM NaF、2.5mMピロリン酸、150mM NaCl、15mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)pH8.0、5mMエチレングリコール−ビス(2−アミノエチルエーテル)−N,N,N,N’−テトラ酢酸(EGTA)pH8.0、1mMバナジン酸ナトリウム、10μg/mlロイペプチン、1mMジチオスレイトール、1μMミクロシスチンLR、10μg/ml N−p−トシル−L−フェニルアラニンクロロメチルケトン(TPCK)、2mM Nα−p−トシル−L−アルギニンメチルエステル塩酸塩(TAME)、15mM 4−ニトロフェニルリン酸ジ(トリス)塩(PNPP)、0.1mM 4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオライド塩酸塩(AEBSF)、5mMベンズアミジン、1μMオカダ酸)であって1×完全錠剤(Roche Complete(商標)No.11697 498 001)及び1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich P8340)を質量対体積比75mg/mlで含有する、緩衝液中に再懸濁させた。組織を、Fast Prep FP120ホモジナイザー(Thermo Scientific、Rockford、IL)中で6.0の速度で4℃で30秒間ホモジナイズし、続いて氷上で15分間インキュベートする。これを均質化が完了するまで合計2〜3サイクル繰り返す。溶解物を4℃エッペンドルフ遠心分離機で30,000rpmで15分間回転させて破片を除去する。400μlの上清を取り出し、新しいエッペンドルフチューブに移し、凍結/解凍サイクルを行う。試料を4℃エッペンドルフ遠心分離機で30,000rpmで30分間再度回転させ、120μlの上清を分析のために収集する。Thermomax(商標)プレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて、Pierce BCA Protein Assay Kit(商標)(Thermo Scientific、Rockford、IL)を使用して総タンパク質濃度を測定する。N1ICDレベルを、カスタムN1ICD ELISAを用いて決定する。分析物を、切断されたノッチ1(Val1744)特異的ウサギモノクローナル抗体で捕捉し、C末端ノッチ1 SULFO−TAG(商標)(Meso Scale Discovery,Gaithersburg,Maryland)ポリクローナルヒツジ抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN)で検出する。溶解物を、1×Complete錠剤(Roche Complete(商標)mini No.11 836 153 001)及び1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma−Aldrich P8340)を含有する氷冷ELISAトリス溶解緩衝液(R6OTX)(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、Maryland)の2μg/μlに溶解し)、25μlをELISAプレートに加える。分析物及び検出抗体を捕捉するために、50μgタンパク質溶解物のインキュベーションをそれぞれ室温で1時間行う。プレートを、Sector Imager 6000(商標)(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、Maryland)で読み取る。バックグラウンドを差し引いたN1ICDを全タンパク質に対して標準化し、ビヒクル処理群に対する%阻害として示す。化合物1、異性体2または化合物2、異性体2の最後の投与の4時間後に採取した腫瘍におけるDunett法によって測定したN1ICD%阻害及び統計学的有意性(p値)は、本質的に上記の通りであり、表1に要約される。
表1のデータは、マウス肺組織中の化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2によるN1ICD切断の阻害を証明している。表1のデータはさらに、上記に記載された機能活性データとインビボ相関を提供する。
耳球におけるmAtoh1発現の誘導
一般に、コルチ器官の細胞単離は、主にOshima et al.,Methods Mol Biol.,2009;493:141−162の方法により0日目に実施する。細胞の培養及び増殖は3〜4日間行われる。細胞のプレーティング及び試験化合物の処理は、3日目または4日目に行われる。付着と分化は次の7日間にわたり起こる。10日目または11日目に、細胞溶解及びRNA単離を行う。TaqMan qRT−PCRを12日目に行い、結果をAtoh1及びTbp1発現について13〜15日目に分析する。
細胞の単離
両性の生後1〜4日齢の生後マウス(トランスジェニック系統:mAtoh1−driven nGFP;Lumpkin EA,et al.,Gene Expr Patterns,2003;(36):389−95から側頭骨錐体部からの周辺組織を取り出す。巻き貝形の蝸牛は、鉗子を用いて前庭器官から分離される。発達のこの段階では、骨迷路は完全に石灰化されておらず、鉗子を用いて容易に解体される。蝸牛の骨迷路を注意深く開き、蝸牛軸の螺旋に沿って一緒に巻き付く、らせん靭帯と付着したコルチ器官を、蝸牛軸からの頂端を巻き戻すことにより、取り出す。基部から開始して、細かい鉗子を使用してコルチ器官かららせん靭帯を分離する。
解体されたコルチ器官(OC)を、850μlの氷冷HBSSで満たされた個々の1.5mlチューブに移す。最大12個のOC組織を同じチューブに移す。OC組織をクイックスピンダウンさせ、HBSSを除去する。100μlの予め温めておいたTrypLE(商標)Select(Life Technologies)を添加し、37℃で13分間インキュベートして細胞を分離する。解離したOC組織をクイックスピンダウンさせる。TrypLE(商標)Selectを除去する。100μlの培地A(DMEM/F12、N2サプリメント(LifeTechnologies)、B27サプリメント(LifeTechnologies)、アンピシリン(50μg/ml)及びファンギゾン(LifeTechnologies)、EGF(20ng/ml)、bFGF(10ng/ml)、IGF−1 50ng/ml)、及びヘパラン硫酸(50ng/ml))を添加する。切開し消化した組織をP200ピペットチップで粉砕する。細胞の凝集物や残骸を取り除き、細胞懸濁液を移し、予め濡らした70μmの細胞ストレーナを通して洗浄し、細胞懸濁液を単一の新しい培養管にプールする。解離チューブと細胞ストレーナを十分な培地Aですすぎ、細胞懸濁液共にプールする。血球計数器またはCountess(登録商標)(Life Technologies)を用いて細胞密度を計数する。新鮮な培地Aを細胞懸濁液に添加して1.0E5細胞/mlの最終プレーティング密度を達成し、超低付着培養器T−75(Greiner)にプレーティングする。
懸濁液中で培養してOC球体を増殖させる
解離された単細胞を、培地A中の超低付着培養器(Greiner)中で、37℃の5%CO加湿インキュベーターにおいて、3〜4日間培養し、浮遊細胞から第一世代の球体と呼ばれるクローン的に成長した球体を得る。培養期間中に細胞が付着していない皿に付着する場合、穏やかに混合することでそれらを取り除くことができる。
培養の付着と処理
球体を3〜4日間培養した後、球体を顕微鏡で視覚的に計数して、この工程のml当たりの耳の球体の播種密度を標準化する。遠心分離により細胞を回収し、基本培地中の球体を約2000球体/mlの濃度で再懸濁する。1ウェル当たり約300球体を得るために、細胞培養処理した96ウェルプレートのウェルあたり150μlの容量で球体を播種する。基本培地(DMEM/F12、N2補充液(LifeTechnologies)B27補充液(LifeTechnologies)、アンピシリン(50μg/ml)及びFungizone(LifeTechnologies)中で、200μlの最終容量の実験試薬で球体を4回処理する。5%CO、37℃で加湿温度制御インキュベーター内で処理した球体を7日間培養する。培地を除去し、RNA抽出を進める。
RNA抽出
ウェル当たり175μlの1%β−メルカプトエタノールを補充した緩衝液RLT plus(Qiagen)を添加する。RNA抽出の前にBuffer RLT Plusで希釈した4ng/μlのRNAキャリア(RNeasy(登録商標)Plus Micro Kit、Qiagen)2.5μlを各ウェルに加える。RNeasy(登録商標)Plus Micro Kit(Qiagen)を用いて、メーカーの使用説明書に従って全RNAを抽出する。
cDNA合成
cDNA合成のためのランダムヘキサマーを使用するメーカーのプロトコルに従って、SuperScript(登録商標)III First−Strand Synthesis System(LifeTechnologies、カタログ18080−051)を用いてcDNA合成を行う。超純粋ヌクレアーゼフリー水21μlを加えてcDNAを50%希釈する。5μlの希釈したcDNAをqPCRに用いる。
qPCR
処理された球体培養物由来の有毛細胞マーカーの発現を定量するために、目的の遺伝子mAtoh1及び内在性対照遺伝子を検出するためのプローブを用いたqPCRを、単一の2色多重反応で行う。TaqMan Gene Expression Master Mix(LifeTechnologies、4369016)及び目的のプローブ(Atoh1;Mm00476035_s1及び内在性対照プローブ(Tbp1;Mm00446971_m1、LifeTechnologies)をメーカーの使用説明書に従って用いる。条件は各プローブについて一定に保たれる。処理群間の相対的遺伝子発現をΔΔC法を用いて分析し、反復測定値を平均する。実験は最低3回実施され、総平均として報告される。
表2のデータは、3つの濃度(10nM、100nM及び1μM)で、化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2のそれぞれで処理した耳の球体におけるAtoh1発現、有毛細胞発生のマーカーの相対定量値(RQ)を示す。データ(±平均の標準誤差、SEM)は、陰性対照(DMSO担体)処理した試料と比較した遺伝子発現の誘導倍数(fold−induction)を表す。(*、陰性対照との有意差、p<0.05)。
ヒト腫瘍細胞株におけるhAtoh1発現の誘導
hAtoh1発現を誘導する能力における、化合物1、異性体2及び2、異性体2の効力を評価するために、ヒト腫瘍細胞株を利用する。この細胞株の内因性ノッチシグナル伝達調節は、内耳におけるものと同様である。一般に、このアッセイは、Kazanjian et al.,Gastroenterology,2010,139(3):918−928及び Supplementary Materials and Methodsの原則に従って実施される。
一般に、標準的な細胞培養技術が用いられる。増殖培地(MEM 10%FBS)中に維持された低継代ヒト結腸直腸腺癌細胞株LS174T(ATCC CL−188)を、96ウェル組織培養処理プレートに、1ウェルあたり100μlのアッセイ培地(MEM 1%FBS)中の10,000個の細胞でプレーティングする。
翌日、10mMストック試験化合物(100%DMSOで希釈)の半対数段階希釈を実施して、11種類の減量用量の薬物化合物を得た。最終濃度は10μM〜0.127nMに及ぶ。各ウェルのDMSO濃度を100%として、3.16倍段階希釈を使用する。最初のDMSO希釈液のさらに1:10希釈をアッセイ培地で実行する再びアッセイ培地中に1:100の別の希釈を行う。
100μlの試験化合物希釈物を、細胞及び増殖培地を含む各ウェルに添加し、37℃、5%CO中で72時間増殖させる。
4日目にプレートから細胞を回収し、RNAを抽出し、RNeasy(登録商標)Plus 96 RNA(Qiagen)を用いて,メーカーのプロトコールに従って精製する。
cDNA合成は、cDNA合成のためのランダムヘキサマーを用いるメーカーのプロトコールに従って、SuperScript(登録商標)III First−Strand合成システム(LifeTechnologies、18080−051)を用いて実施する。21μlの超純粋ヌクレアーゼフリー水を加えることによりcDNAを50%希釈する。5μlの希釈したcDNAをqPCRに用いる。
qPCR
処理された球体培養物からの有毛細胞マーカーの発現を定量するために、単一の2色多重反応におけるhAtoh1またはTBP発現を検出するためのqPCRプローブが実施される。各試料の相対的遺伝子発現を測定するため、TaqMan Gene Expression Master Mix(LifeTechnologies、 4369016)及び目的のプローブ(ヒトAtoh1;LifeTechnologies Assay Id Hs00944192_s1)と、内在性対照(ヒトTBP;LifeTechnologies Assay Id Hs00427620_m1)を、メーカーの使用説明書に従って使用する。条件は各プローブについて一定に保たれる。処理群間の相対的遺伝子発現をΔΔC法を用いて分析し、反復測定値を平均する。
4つの別々のアッセイを実施して、各試験化合物のIC50値を得る。IC50値は、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアを使用して、各化合物について分析された108の合計点での4.0E−11〜1.0E−6Mの濃度範囲にわたる12の用量に対して、濃度応答データを「log(アンタゴニスト)対応答(3パラメーター)」モデルにフィッティングすることによって決定される。化合物1、異性体2及び2、異性体2のIC50値を表3に示す。
表3のデータは、このアッセイにおける聴覚有毛細胞生成のマーカーであるhAtoh1の相対的発現によって計算される、化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2のIC50値を示す。
コルチ器官外植アッセイにおける化合物の応答
一般に、Corti器官の器官外植片培養は、0日目に、Parker et al.,Journal of Visualized Experiments,2010,(36),e1685に記載の方法に従って実施する。外植培養を4〜7日間実施し、その時点で培養物をqRT−PCRのための細胞溶解または免疫組織化学のための組織固定のいずれかのために調製する。
コルチ器官外植片の単離と培養
両性の生後1〜4日齢の生後マウス(トランスジェニック系統:Atoh1−driven nGFP;Lumpkin EA,et al.,Gene Expr Patterns,,2003;(36):389−95)から側頭骨錐体部からの骨胞(bulla)及び周辺組織を取り出す。コルチ器官をハンクス溶液中で解体し、らせん靭帯を取り出し、ポリ−L−オルニチン(0.01%、Sigma)及びラミニン(50mg/ml、Becton Dickinson)で被覆されたカバースリップ上に移植片を置き、平坦な蝸牛表面を有する調製物を得る。次いで、各蝸牛外植片を24ウェルプレート(Falcon)の単一ウェルに入れ、5%ウシ胎仔血清、5%ウマ血清、及びペニシリン−ストレプトマイシン(LifeTechnologies)を含むDMEM(Invitrogen)で培養する。実験化合物を0日目に培地で添加し、2〜3日ごとに交換する。全ての培養物を37℃の5%CO加湿インキュベーター中で維持する。
qRT−PCRによる遺伝子発現解析
RNA抽出は、1ウェルあたり350μlのRLT Plus緩衝液(Qiagen)で外植組織を溶解して行い、全RNAはRNeasy(登録商標)Plus Mini Kit(Qiagen)で精製する。cDNA合成は、ランダムヘキサマーを用いたSuperScript(登録商標)III First−Strand Synthesis System(LifeTechnologies)を用いて行う。有毛細胞マーカー発現の誘導を定量化するために、qPCRをTaqMan Gene Expression Master Mix(LifeTechnologies、4369016)及び目的遺伝子(例えば、hAtoh1;アッセイID Mm00476035_s1、Pou4f3;アッセイID Mm04213795_s1及びMyo7a;アッセイID Mm01274015_m1,LifeTechnologies)及び内在性対照遺伝子Tbp(アッセイID Mm00446971_m1、LifeTechnologies)を検出するためのプローブを使用してアッセイした。処理群間の相対的遺伝子発現をΔΔC法を用いて分析し、反復測定値を平均する。実験は最低3回実施され、総平均として報告される。
表4のデータは、化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2で1μMで処理したコルチ器官外植片における、有毛細胞発生マーカーAtoh1、Pou4f3及びMyo7aの発現の相対的定量値(RQ)を示す。データ(±SEM)は、陰性対照処理試料と比較した遺伝子発現における誘導倍数を表す。
新しいAtoh1発現有毛細胞の免疫染色
外植培養後、組織を200μlのCytofix/Cytoperm(BD)で30分間24ウェルプレートに固定し、TritonX100(PBST)を含むPBSですすぎ、及びPBST中の4%正常ロバ血清とヤギ抗GFP(1:2500;AbCAM、ab5450)及びウサギ抗ミオシンVIIa(1:1000;Proteus Bioscience#25−6790)からなる一次抗体溶液200μlで1時間染色する組織をPBSTで完全に洗浄し、Alexa Fluor 488ロバ抗ヤギIgG(1:1000;Invitrogen、A−11055)及びAlexa Fluor 568ロバ抗ウサギIgG(1:1000;Invitrogen、A10042)からなる二次抗体溶液で1時間染色する。次いでそれらをPBSTで完全に洗浄し、顕微鏡スライド上に載せる。個々の有毛細胞は、Atoh1代替マーカーGFP(緑色)及びミオシンVIIa(赤色)の発現によって同定され、画像化され、次いで、試験化合物で処理した試料中の新生毛細胞の形成を未処理対照または陰性対照(生物学的不活性化合物)処理試料における有毛細胞数と比較して調べるために、中央頂点領域で100μMでの長さを計数した。盲検細胞計数を別々の実験で5回測定する。
表5のデータは、1μMで化合物1、異性体2(n=13)または化合物2、異性体2(n=15)の存在下で4日間培養し、及びGFP(代替Atoh1マーカー)及びミオシンVIIaに対する免疫染色した、コルチ器官外植片の器官における外有毛細胞数を示す。有毛細胞のパーセント増加は、陰性対照処理サンプル(n=18)と比較される。
聴覚毒性損傷後の遺伝子発現解析
様々なコルチ器官器官型外植片培養を、聴覚毒性損傷後の続く化合物処理に応答する有毛細胞再生をモデル化するのに使用する。この損傷モデルは、Korrapati et al.,PLOSOne,2013,8(8),e73276に記載された方法に従って実施され、そこで、中間頂端有毛細胞の95%の減少が報告されている。0日目に、コルチ器官外植片内の有毛細胞を損傷し選択的に殺すために、アミノグリコシド処理(ゲンタマイシン(100μM))を18〜24時間加える。1日目にゲンタマイシンを除去し、5μMの化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2での処理を開始した。外植片培養を、上記のqRT−PCRプロトコールのために培養物が調製された時点で合計4日間続けられる。ゲンタマイシン誘導損傷の目視確認は、陰性対照化合物で処理した培養物間で容易に観察される。しかしながら、qRT−PCRによって得られた聴覚毒性損傷後の化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2処理に対する応答の定量的測定は、予定感覚有毛細胞(prosensory hair cell)マーカーAtoh1及びPou4f3及び有毛細胞マーカーMyo7Aの遺伝子発現の増加を測定した。
表6のデータは、ゲンタマイシン(100μM)損傷後の、化合物1、異性体2及び化合物2、異性体2を5μMで処理したコルチ器官外植片における有毛細胞発生マーカーAtoh1、Pou4f3及びMyo7aのqRT−PCRによる遺伝子発現の相対的増加を示す。データは、ゲンタマイシン誘導有毛細胞損傷を伴う陰性対照処理サンプルと比較した遺伝子発現増加のパーセントを表す。(*、陰性対照との有意差、p<0.05)
全耳の迷路骨包培養における有毛細胞マーカーの誘導
蝸牛骨迷路及び前庭器官を含む耳の迷路骨包(耳の迷路骨包外植片)は、両性の生後1〜4日齢のマウス(トランスジェニック株:Atoh1−driven−nGFP、Lumpkin EA,et al.,Gene Expr.Patterns,2003,3(4):389−95)から、Parker et al.,Journal of Visualized Experiments,2010,(36),e1685に一般的に記載される方法に従って解体する。全耳の迷路骨包を頭頂骨から単離し、DMEM、高グルコース、5%FBS、5%ウマ血清、1μg/mlアンピシリンを含有する培地中で回転培養システムで最大3日間、エクスビボで維持する。
耳の迷路骨包外植片は、様々な送達ビヒクル中の試験化合物の内耳への浸透性を評価するために使用する。様々な送達ビヒクル中の化合物1、異性体2(7.2mM)の組成物を用いて試験を行う。小容積(100〜200nl)は、蝸牛窓小窩に直接適用される。蝸牛を切開し、処理し、1〜2時間インキュベートし、次いで回転培養に入れる。48時間後。耳の迷路骨包外植片を開き、蝸牛骨迷路からのコルチ器官を取り出し、RT−PCRによってアッセイする。
組成物を1〜2時間放置し、次いで培地で洗い流す。次いで、耳の迷路骨包外植片を未処理培地中で48時間培養する。蝸牛を開けて、コルチ器官全体を解体し、定量的RT−PCRのために調製して(上記コルチ器官外植片アッセイに記載されているように)Atoh1有毛細胞マーカー発現レベルを測定する。表7は、指定された送達ビヒクル中のAtoh1誘導を示す。全ての試験組成物における化合物1、異性体2によるAtoh1の発現上昇(2〜3倍、12〜17のn)が、培養48時間後のビヒクルのみで対照処理した耳の迷路骨包外植片と比較して測定される。
インビボ外リンパ試験化合物の内耳への取り込み
ケタミン/キシラジンの混合物で雌アルビノハートレーモルモット(Charles River、France)を麻酔後、全耳迷路骨包培養アッセイについて上記した組成物中の化合物1、異性体2の70μlを経鼓膜経路で注射して中耳を完全に満たす。外リンパ(内耳液)試料を注射0.5、1、6、24及び48時間後に抽出し、試験化合物の濃度についてLCMS(n=5)によってアッセイする。表8は、これらの送達ビヒクルを用いて中耳に経鼓膜投与した後、試験化合物が内耳に取り込まれたことを示している。
アミノ酸配列
配列番号(マウスノッチ1タンパク質前駆体、全長)
MPRLLTPLLCLTLLPALAARGLRCSQPSGTCLNGGRCEVANGTEACVCSGAFVGQRCQDSNPCLSTPCKNAGTCHVVDHGGTVDYACSCPLGFSGPLCLTPLDNACLANPCRNGGTCDLLTLTEYKCRCPPGWSGKSCQQADPCASNPCANGGQCLPFESSYICRCPPGFHGPTCRQDVNECSQNPGLCRHGGTCHNEIGSYRCACRATHTGPHCELPYVPCSPSPCQNGGTCRPTGDTTHECACLPGFAGQNCEENVDDCPGNNCKNGGACVDGVNTYNCRCPPEWTGQYCTEDVDECQLMPNACQNGGTCHNTHGGYNCVCVNGWTGEDCSENIDDCASAACFQGATCHDRVASFYCECPHGRTGLLCHLNDACISNPCNEGSNCDTNPVNGKAICTCPSGYTGPACSQDVDECALGANPCEHAGKCLNTLGSFECQCLQGYTGPRCEIDVNECISNPCQNDATCLDQIGEFQCICMPGYEGVYCEINTDECASSPCLHNGHCMDKINEFQCQCPKGFNGHLCQYDVDECASTPCKNGAKCLDGPNTYTCVCTEGYTGTHCEVDIDECDPDPCHYGSCKDGVATFTCLCQPGYTGHHCETNINECHSQPCRHGGTCQDRDNSYLCLCLKGTTGPNCEINLDDCASNPCDSGTCLDKIDGYECACEPGYTGSMCNVNIDECAGSPCHNGGTCEDGIAGFTCRCPEGYHDPTCLSEVNECNSNPCIHGACRDGLNGYKCDCAPGWSGTNCDINNNECESNPCVNGGTCKDMTSGYVCTCREGFSGPNCQTNINECASNPCLNQGTCIDDVAGYKCNCPLPYTGATCEVVLAPCATSPCKNSGVCKESEDYESFSCVCPTGWQGQTCEVDINECVKSPCRHGASCQNTNGSYRCLCQAGYTGRNCESDIDDCRPNPCHNGGSCTDGINTAFCDCLPGFQGAFCEEDINECASNPCQNGANCTDCVDSYTCTCPVGFNGIHCENNTPDCTESSCFNGGTCVDGINSFTCLCPPGFTGSYCQYDVNECDSRPCLHGGTCQDSYGTYKCTCPQGYTGLNCQNLVRWCDSAPCKNGGRCWQTNTQYHCECRSGWTGVNCDVLSVSCEVAAQKRGIDVTLLCQHGGLCVDEGDKHYCHCQAGYTGSYCEDEVDECSPNPCQNGATCTDYLGGFSCKCVAGYHGSNCSEEINECLSQPCQNGGTCIDLTNSYKCSCPRGTQGVHCEINVDDCHPPLDPASRSPKCFNNGTCVDQVGGYTCTCPPGFVGERCEGDVNECLSNPCDPRGTQNCVQRVNDFHCECRAGHTGRRCESVINGCRGKPCKNGGVCAVASNTARGFICRCPAGFEGATCENDARTCGSLRCLNGGTCISGPRSPTCLCLGSFTGPECQFPASSPCVGSNPCYNQGTCEPTSENPFYRCLCPAKFNGLLCHILDYSFTGGAGRDIPPPQIEEACELPECQVDAGNKVCNLQCNNHACGWDGGDCSLNFNDPWKNCTQSLQCWKYFSDGHCDSQCNSAGCLFDGFDCQLTEGQCNPLYDQYCKDHFSDGHCDQGCNSAECEWDGLDCAEHVPERLAAGTLVLVVLLPPDQLRNNSFHFLRELSHVLHTNVVFKRDAQGQQMIFPYYGHEEELRKHPIKRSTVGWATSSLLPGTSGGRQRRELDPMDIRGSIVYLEIDNRQCVQSSSQCFQSATDVAAFLGALASLGSLNIPYKIEAVKSEPVEPPLPSQLHLMYVAAAAFVLLFFVGCGVLLSRKRRRQHGQLWFPEGFKVSEASKKKRREPLGEDSVGLKPLKNASDGALMDDNQNEWGDEDLETKKFRFEEPVVLPDLSDQTDHRQWTQQHLDAADLRMSAMAPTPPQGEVDADCMDVNVRGPDGFTPLMIASCSGGGLETGNSEEEEDAPAVISDFIYQGASLHNQTDRTGETALHLAARYSRSDAAKRLLEASADANIQDNMGRTPLHAAVSADAQGVFQILLRNRATDLDARMHDGTTPLILAARLAVEGMLEDLINSHADVNAVDDLGKSALHWAAAVNNVDAAVVLLKNGANKDMQNNKEETPLFLAAREGSYETAKVLLDHFANRDITDHMDRLPRDIAQERMHHDIVRLLDEYNLVRSPQLHGTALGGTPTLSPTLCSPNGYLGNLKSATQGKKARKPSTKGLACGSKEAKDLKARRKKSQDGKGCLLDSSSMLSPVDSLESPHGYLSDVASPPLLPSPFQQSPSMPLSHLPGMPDTHLGISHLNVAAKPEMAALAGGSRLAFEPPPPRLSHLPVASSASTVLSTNGTGAMNFTVGAPASLNGQCEWLPRLQNGMVPSQYNPLRPGVTPGTLSTQAAGLQHSMMGPLHSSLSTNTLSPIIYQGLPNTRLATQPHLVQTQQVQPQNLQLQPQNLQPPSQPHLSVSSAANGHLGRSFLSGEPSQADVQPLGPSSLPVHTILPQESQALPTSLPSSMVPPMTTTQFLTPPSQHSYSSSPVDNTPSHQLQVPEHPFLTPSPESPDQWSSSSPHSNISDWSEGISSPPTTMPSQITHIPEAFK
配列番号2(シグナルペプチド)
MPRLLTPLLCLTLLPALAARGLR

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 下記構造の化合物:

4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル−5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド、実質的にジアステレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
[2] 下記構造の化合物:

N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、実質的にジアステレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
[3] [1]もしくは[2]のいずれかに記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[4] 患者における、T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌及び腺様嚢胞癌である癌を治療する方法であって、それを必要とする患者に[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかの治療有効量を投与することを含む、方法。
[5] 肺癌の治療を必要とする患者において肺癌を治療する方法であって、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかの治療有効量を投与することを含む、方法。
[6] 聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療を必要とする患者において聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴を治療する方法であって、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかの治療有効量を前記患者に投与することを含む、方法。
[7] 聴覚有毛細胞生成の誘導を必要とする患者において聴覚有毛細胞生成を誘導する方法であって、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩のいずれかの治療有効量を前記患者に投与することを含む、方法。
[8] 療法に使用するための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[9] T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌または腺様嚢胞癌の治療に使用するための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[10] 肺癌の治療に使用するための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[11] 聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療に使用するための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[12] 聴覚有毛細胞生成を誘導するのに使用するための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩。
[13] T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌または腺様嚢胞癌の治療のための医薬の製造のための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
[14] 肺癌の治療のための医薬の製造のための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
[15] 聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療のための医薬の製造のための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
[16] 聴覚有毛細胞生成を誘導するための医薬の製造のための、[1]もしくは[2]に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。


Claims (7)

  1. 下記構造の化合物:


    4,4,4−トリフルオロ−N−((2S)−1−((9−メトキシ−3,3−ジメチル
    −5−オキソ−2,3,5,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[f]ピロロ[1,2−a
    ]アゼピン−6−イル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イル)ブタンアミド、実質
    的にジアステレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容さ
    れる塩。
  2. 下記構造の化合物:


    N−((2S)−1−((8,8−ジメチル−6−オキソ−6,8,9,10−テトラヒ
    ドロ−5H−ピリド[3,2−f]ピロロ[1,2−a]アゼピン−5−イル)アミノ)
    −1−オキソプロパン−2−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンアミド、実質的に
    ジアステレオマーとして純粋なその異性体、または上記のいずれかの薬学的に許容される
    塩。
  3. 請求項1もしくは2のいずれかに記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステ
    レオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、
    医薬組成物。
  4. T細胞性急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病
    、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、赤白血病、トリプルネガティブ乳癌、乳癌、卵
    巣癌、黒色腫、肺癌、非小細胞性肺癌、膵癌、神経膠芽細胞腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、
    子宮頸癌、前立腺癌、肝癌、口腔扁平上皮癌、皮膚癌、髄芽腫、血管肉腫、横紋筋肉腫、
    脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫、肝細胞癌、肝内外胆管癌または腺様嚢胞癌の治療のため
    の医薬の製造のための、請求項1もしくは2に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋
    なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
  5. 肺癌の治療のための医薬の製造のための、請求項4に記載の使用。
  6. 聴覚有毛細胞喪失に起因する感音性難聴の治療のための医薬の製造のための、請求項1
    もしくは2に記載の化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれ
    らの薬学的に許容される塩の使用。
  7. 聴覚有毛細胞生成を誘導するための医薬の製造のための、請求項1もしくは2に記載の
    化合物、もしくはその実質的に純粋なジアステレオマー、またはそれらの薬学的に許容さ
    れる塩の使用。
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