JP6566763B2 - トンネル掘削機の位置決め方法およびトンネル掘削機の誘導装置 - Google Patents

トンネル掘削機の位置決め方法およびトンネル掘削機の誘導装置 Download PDF

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Description

本発明は、トンネル掘削機の位置決め方法およびトンネル掘削機の誘導装置に関する。
機械掘削方式によるトンネル施工では、トンネル掘削機によって地山を所定延長(例えば1m)掘削した後、トンネル掘削機を切羽から退避させ、その後、ズリの搬出や支保工の施工等を行う。支保工の施工が完了したら、トンネル掘削機を切羽に配置し、再び地山の掘削を実行する。
このようなトンネルの施工方法として、トンネル掘削機に設けられた位置計測装置によってトンネル掘削機の位置や姿勢を測定し、その測定結果に基づいてトンネル掘削機を制御することで、設計断面に基づいたトンネル施工を行う場合がある。
例えば、特許文献1には、トンネル掘削機に傾斜測定部とプリズムターゲットとを設置しておき、このプリズムターゲットをトータルステーションで視準することによりトンネル掘削機の位置を測定するとともに、傾斜測定部によってトンネル掘削機の傾斜角等を測定することでトンネル掘削機の位置および姿勢を算出し、この算出結果に基づいてトンネル掘削機の位置を制御するトンネル掘削方法が開示されている。
特開2003−262090号公報
掘削中のトンネル掘削機の位置や姿勢を測定・制御するトンネル掘削方法はあるものの、一度退避させたトンネル掘削機を所望の位置に配置する技術は確立されていなかった。
また、トンネル坑内では不陸があるため、トンネル掘削機の位置情報を正確に把握することができたとしても、一度退避させたトンネル掘削機を、所望の位置(例えば、退避前の位置)において所望の姿勢に配置するのは困難であった。
掘削を再開する際に、トンネル掘削機のカッタが適切な位置に配置されていないと、掘削済の領域でカッタが旋回したり、地山へのカッタの貫入量が大きくなりすぎるおそれがある。
掘削済の領域でカッタが旋回すると、空振りの状態となるため、掘削効率が悪く、早期施工の妨げとなる。
また、地山へのカッタの貫入量が大きいと、掘削能力を超えた負荷がトンネル掘削機に作用するおそれがある。
このような観点から、本発明は、効率的な掘削を可能とする、トンネル掘削機の位置決め方法およびトンネル掘削機の誘導装置を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、第一の発明は、切羽から退避させたトンネル掘削機を前記切羽に再配置する際のトンネル掘削機の位置決め方法であって、退避前における前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置である前回中心位置を記憶する記憶ステップと、計画上のブーム旋回中心位置である計画中心位置を含む領域内に前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置が配置されるように前記トンネル掘削機を移動させる第一の移動ステップと、前記計画中心位置と前記前回中心位置とを通る円弧上かつ前記領域内に前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置が配置されるように前記ブーム旋回中心位置を前後進させる第二の移動ステップとを備え、前記円弧は、切羽の右端部または左端部を中心とし、かつ、前記トンネル掘削機のブーム旋回半径を半径としていることを特徴としている。
前記第二の移動ステップでは、例えば、前記トンネル掘削機をトンネル軸方向に沿って前後進させればよい。
かかるトンネル掘削機の位置決め方法によれば、計画位置(計画中心位置)の近傍にトンネル掘削機を移動させた後、計画中心位置と前回中心位置との関係から求めた位置までブーム旋回中心位置を前進させるのみで第二の移動ステップが完了するため、簡易に掘削機の配置を行うことができる。そのため、カッタの位置を簡易に所望の位置に配置することができ、ひいては、効率的な掘削作業が可能となる。
前記前回中心位置を中心とした前記トンネル掘削機のブームの旋回範囲に基づいて掘削切羽面の位置情報を算出し、前記掘削切羽面の位置情報とトンネルの設計線形とに基づいて計画中心位置を算出するのが望ましい。
また、前記トンネル掘削機の位置を補正した後、前記掘削切羽面の位置情報に基づいて、前記トンネル掘削機のスラストジャッキの伸縮長およびブームの角度を設定する調整ステップを備えているのが望ましい。
第二の発明は、トンネル掘削機に取り付けられたターゲット、ストローク計および傾斜計と、固定点に設置したトータルステーションと、演算部、記憶部および制御部を備えた制御手段とを備えるトンネル掘削機の誘導装置であって、前記演算部は、前記トータルステーションによるターゲットの測定結果と、前記ストローク計および傾斜計の計測値とに基づいて前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置および掘削切羽面の位置情報を算出し、前記記憶部は、前記トータルステーション、前記ストローク計および前記傾斜計の計測値と、前記演算部の計算値とを記憶し、前記制御部は、前記演算部の計算値に基づいて前記トンネル掘削機の移動量、スラストジャッキの伸縮量およびブームの角度を制御することを特徴としている。
かかるトンネル掘削機の誘導装置によれば、トンネル掘削機を掘削開始位置に簡易に配置することが可能となる。
なお、前記演算部によって算出された計画上のブーム旋回中心位置である計画中心位置と、前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置の現在位置との位置関係を表示する表示部をさらに備えていれば、作業員が、表示部に表示されたデータに基づいて、トンネル掘削機を操作することが可能となる。
本発明のトンネル掘削機の位置決め方法およびトンネル掘削機の誘導装置によれば、効率的なトンネル掘削が可能となる。
本発明の実施形態に係るトンネル掘削機を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のA矢視図である。 トンネル掘削機の誘導装置を示すブロック図である。 トンネル掘削機の位置決め方法を示す模式図であって、(a)はブーム旋回中心位置の周囲を示す拡大平面図、(b)は切羽付近を示す平面図である。 トンネル掘削機の位置決め方法を示す模式図であって、(a)はブーム旋回中心位置の周囲を示す拡大平面図、(b)は切羽付近を示す平面図である。 (a)および(b)はスイングサイクルを示す模式図である。 トンネル施工状況を示す平面図である。
本実施形態では、トンネル掘削機1を利用したトンネル施工方法について説明する。
本実施形態のトンネル掘削機1は、いわゆる自由断面掘削機であって、図1(a)に示すように、掘削機本体2と、カッタホイール3と、ブーム4とを備えている。
掘削機本体2には、図1(b)に示すように、クローラ21と、ブーム支持部22と、スラストジャッキ23と、グリッパ24とが設けられている。
クローラ21は、トンネル掘削機1の走行手段である。なお、本実施形態では、クローラ式のトンネル掘削機1を採用するが、トンネル掘削機1の走行手段は限定されるものではなく、例えばタイヤ式(ホイール式)であってもよい。また、トンネル掘削機1は、トンネル内に敷設されたレール上を走行するものでもよい。
クローラ21は、掘削機本体2に搭載された油圧モータ(図示せず)によって駆動し、油圧モータは掘削に搭載された油圧ポンプ(図示せず)の油圧で駆動する。油圧ポンプは電動モータ(図示せず)により駆動し、電動モータは、坑口側に配設された発電機もしくは商用電源からケーブルを介して送電された電力によって駆動する。掘削機本体2の後部には、ケーブルを適宜移動させるケーブルハンドラ25が設けられている。
ブーム支持部22は、掘削機本体2の前端から突出した突出部分221を備えており、この突出部分221においてブーム4を回動可能に支持している。
ブーム支持部22は、掘削機本体2に摺動可能に支持されていて、スラストジャッキ23を伸縮させると、トンネル掘削機1の進行方向に沿って移動する。
スラストジャッキ23は、図1(a)および(b)に示すように、ブーム支持部22と掘削機本体2との間に介設されている。
本実施形態では、4本のスラストジャッキ23を備えているが、スラストジャッキ23の数および配置は限定さえるものではない。
本実施形態のスラストジャッキ23のスラスト量(ストローク長)は1.2mとするが、スラストジャッキ23のスラスト量は限定されるものではない。例えば、0.7m〜1.2mの範囲内で適宜設定してもよい。
掘削機本体2は、図1(c)に示すように、グリッパ24がトンネルの内壁に当接することで固定される。
本実施形態では、掘削機本体2の前後左右にそれぞれグリッパ24が設けられている(図1(a)および(b)参照)。グリッパ24は、伸縮可能な支持部材26を介して掘削機本体2に取り付けられている。支持部材26が伸張することで、グリッパ24はトンネルの内壁に当接する。
支持部材26は、掘削機本体2にトンネル掘削機1の移動方向に対して交差する方向での回動が可能に取り付けられている。
なお、本実施形態では4つのグリッパ24が配設されているが、グリッパ24の数や配置は限定されるものではない。
カッタホイール3は、図1(a)および(b)に示すように、地山の切削を行う部材であって、削機本体2の前方に配置されている。
カッタホイール3は、側面視円形を呈しており、ブーム4の先端に回転可能に保持されている。本実施形態のカッタホイール3は、直径が2.7mであるが、カッタホイール3の寸法は限定されない。
カッタホイール3の周縁面には、複数のカッタ31,31,…が取り付けられている。本実施形態では、カッタ31としてディスクカッタを採用するが、カッタ31の構成は限定されない。また、カッタホイール3は、ドラム式であってもよく、カッタホイール3の形状は限定されない。
本実施形態では、カッタホイール3の周縁面に複数のカッタ31,31,…が3列に分かれて配設されている。中央の列には8個のカッタ31,31,…が等間隔で配設されていて、左右の列にはそれぞれ4個のカッタ31,31,…等間隔で配設されている。また、左右の列のカッタ31は、左右に広がる方向に傾斜している。
なお、カッタ31の数、配置および向きは限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
ブーム4は、ブーム支持部22に取り付けられている。
本実施形態のブーム4は、スイングブーム41とピッチングブーム42とを備えている。
スイングブーム41は、底盤と平行な面内において、水平旋回可能である。このスイングブーム41の旋回時の中心が、ブーム旋回中心位置となる。
本実施形態では、スイングブーム41の左右にスイングシリンダ43,43が配設されている。スイングシリンダ43は、一端がスイングブーム41に取り付けられていて、他端がブーム支持部22に取り付けられている。一方のスイングシリンダ43が伸張するとともに他方のスイングシリンダ43が収縮することで、スイングブーム41が左右に回動する。
ピッチングブーム42は、スイングブーム41の先端を中心にして、上下方向に回動可能である。ピッチングブーム42の先端には、カッタホイール3が回転可能に支持されている。
本実施形態では、ピッチングブーム42の上面に沿ってピッチングシリンダ44が配設されている。ピッチングシリンダ44の一端はピッチングブーム42に取り付けられていて、他端はスイングブーム41に取り付けられている。ピッチングブーム42は、ピッチングシリンダ44が伸縮することにより、上下方向に回動する。
トンネル掘削機1を移動させる際には、トンネル掘削機の誘導装置5(以下、単に「誘導装置5」という)を利用する。
誘導装置5は、図2に示すように、トンネル掘削機1に取り付けられたターゲット51、ストローク計52および傾斜計53と、トータルステーション54と、制御手段55と、表示部56とを備えている。
ターゲット51は、図1に示すように、掘削機本体2の2箇所に固定されている。ターゲット51の配置や数は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
ストローク計52は、シリンダ(スラストジャッキ23、スイングシリンダ43またはピッチングシリンダ44)のストローク長を計測する。ストローク計52の計測結果は、制御手段55に送信される。
本実施形態では、スラストジャッキ23、スイングシリンダ43およびピッチングシリンダ44のそれぞれにストローク計52が設置されているが、ストローク計52の数や取付位置は限定されない。
傾斜計53は、掘削機本体2の傾斜角を計測する。傾斜計53の計測結果は、制御手段55に送信される。
本実施形態では、掘削機本体2に傾斜計53が設置されているが、傾斜計53の設置個所や数は限定されない。
トータルステーション54は、トンネル坑内または坑口付近の固定点に設置されていて、ターゲット51を自動追尾し、リアルタイムに位置情報を取得する。トータルステーション54による測定結果は、制御手段55に送信される。
制御手段55は、図2に示すように、演算部551、記憶部552および制御部553を備えている。
演算部551は、トータルステーション54によるターゲット51の測定結果と、ストローク計52および傾斜計53の計測値とに基づいてトンネル掘削機1のブーム旋回中心位置および掘削切羽面の位置情報を算出する。
記憶部552は、トータルステーション54、ストローク計52および傾斜計53の計測値と、演算部551の計算値とを記憶する。
制御部553は、演算部551の計算値に基づいてトンネル掘削機1の移動量、スラストジャッキ23の伸縮量およびブーム4の角度(上下左右)を制御する。
表示部56は、いわゆるモニターであって、図3(a)および図4(a)に示すように、演算部551によって算出された計画上のブーム旋回中心位置である計画中心位置Pと、トンネル掘削機1のブーム旋回中心位置の現在位置Pとの位置関係を表示する。本実施形態では、計画中心位置Pの前後左右20cmずつの範囲(計40cm×40cmの領域)が表示されるように設定する。なお、表示部56が表示する範囲(領域A)は限定されるものではない。
次に、トンネル掘削機1を利用したトンネル施工方法について説明する。
本実施形態では、掘削工程、支保工程および位置決め工程を繰り返すことでトンネルの施工を行う。
掘削工程は、トンネル掘削機1により地山を切削することで、切羽Kを前進させる工程である。
本実施形態では、図5(a)および(b)に示すように、切羽Kの右側(切羽右側)Kと左側(切羽左側)Kとに分割して交互に切削する。すなわち、トンネル掘削機1により切羽右側Kを所定延長(例えば1m)掘進した後、トンネル掘削機1を移動させて、切羽左側Kの切削を行う。なお、切羽Kの切削は、切羽左側Kから行ってもよい。また、切羽切削時の分割数は、トンネル断面形状に応じて適宜設定すればよく、例えば、トンネル断面が小さい場合には分割する必要はなく、トンネル断面が大きい場合には3つ以上に分割してもよい。
切羽右側Kを切削する際は、スイングサイクルを繰り返し実施することにより、所定延長(例えば1m)切削する。以下、スイングサイクルの一例を示す。なお、以下に示すスイングサイクルは、トンネルの中央部に切削開始位置を設定しているが、切削開始位置は、トンネルの左右の端部に設定してもよい。
各回のスイングサイクルでは、まず、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)にカッタホイール3を配置した状態で、カッタホイール3を回転させつつスラストジャッキ23を伸張させる。こうすることでカッタ31を岩盤に貫入させる。
次に、図5(a)に示すように、カッタ31を岩盤に貫入させた状態で、切羽Kの右端部に向けてブーム4を右側に旋回させて、切羽Kを横方向に切削する(矢印S1)。
カッタホイール3が切羽Kの右端部に到達したら、切羽Kの中央に向けてブーム4を左側に旋回させるとともに上方向に回動させる(矢印S2)。
カッタホイール3が切羽Kの中央に到達したら、トンネル頂部に向けてブーム4を上昇させる(矢印S3)。
カッタホイール3がトンネル頂部に到達したら、切羽Kの右端部に向けてブーム4を右側に旋回させるとともに下方向に回動させる(矢印S4)。
そして、カッタホイール3が切羽Kの右端部に到達したら、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)に向けて、ブーム4を左方向に旋回させる(矢印S5)。
切羽右側Kにおいてスラストジャッキ23を伸張させつつ、スイングサイクルを複数回行って所定延長の掘削が終了したら(図6参照)、トンネル掘削機1をトンネルの左側に移動させて、切羽左側Kの切削を行う。
切羽左側Kを切削する際は、切羽右側Kの切削と同様に、スイングサイクルを繰り返す。切羽左側Kのスイングサイクルでは、まず、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)にカッタホイール3を配置した状態で、カッタホイール3を回転させつつスラストジャッキ23を伸張させる。こうすることでカッタ31を岩盤に貫入させる。
次に、図5(b)に示すように、カッタ31を岩盤に貫入させた状態で、切羽Kの左端部に向けてブーム4を旋回させて、切羽Kを横方向に切削する(矢印S6)。
カッタホイール3が切羽Kの左端部に到達したら、切羽Kの中央に向けてブーム4を右側に旋回させるとともに上方向に回動させる(矢印S7)。
カッタホイール3が切羽Kの中央に到達したら、トンネルの頂部に向けてブーム4を上上昇させる(矢印S8)。
カッタホイール3がトンネルの頂部に到達したら、切羽Kの左端部に向けてブーム4を左側に旋回させるとともに下方向に回動させる(矢印S9)。
そして、カッタホイール3が切羽Kの左端部に到達したら、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)に向けて、ブームを右方向に旋回させる(矢印S10)。
支保工程は、切羽Kを所定延長(例えば1m)だけ前進させた後、トンネル掘削機1を退避させて、切削により露出した地山に沿って支保工を構築する工程である。
トンネル掘削機1を退避させたら、ズリ出しを行った後、支保工の施工を行う。
本実施形態では、支保工として、吹き付けコンクリートを吹き付けるとともに、鋼製支保工を組み立てる。なお、地山状況(地山等級)に応じてロックボルトを地山に打設してもよいし、先受け工等の補助工を採用してもよい。
トンネル掘削機1を退避させる際には、トンネル掘削機1のブーム旋回中心位置(前回中心位置P)を記憶部552に記憶させておく(記憶ステップ)。
前回中心位置Pは、トータルステーション54の測定結果に基づく位置情報(ターゲット51の座標)と、スラストジャッキ23の伸張長さ等により算出する。
位置決め工程は、切羽Kから退避させたトンネル掘削機1を、切羽Kに再配置する工程である。
トンネル掘削機1の再配置(位置決め方法)を行うには、まず、領域A内にトンネル掘削機1のブーム旋回中心位置Pが配置されるようにトンネル掘削機1を移動させる(第一の移動ステップ)。このとき、スラストジャッキ23は、収縮された状態となっている。なお、領域Aは、記憶部552に記憶された前回中心位置Pに基づいて演算する。
本実施形態では、オペレータがトンネル掘削機1を操作することにより、トンネル掘削1を所定の位置に移動させる。このとき、オペレータは、表示部56に表示された方向および距離に従って、トンネル掘削機1を操作する。
トンネル掘削機1の移動が完了したら、アウトリガー27によりトンネル掘削機1の水平性を確保するとともに、グリッパ24を伸張させて掘削機本体2を固定する。
このとき、図3(b)および図4(b)に示すように、掘削切羽面Kとカッタホイール3(切削線CL0)との間にわずかな隙間が残った状態となる。
なお、演算部551は、記憶部552に記憶された前回中心位置Pを読み出し、前回中心位置Pを中心としたトンネル掘削機1のブーム4の旋回範囲に基づいて掘削切羽面Kの位置情報(カッタホイール3の移動軌跡)を算出し、この掘削切羽面Kの位置情報とトンネルの設計線形Lとに基づいて計画中心位置Pを算出する。
次に、図3および図4に示すように、計画中心位置Pと前回中心位置Pとを通る直線上の点(掘削中心位置P)に、トンネル掘削機1のブーム旋回中心位置Pが配置されるように、スラストジャッキ23を伸張あるいは収縮させて、ブーム旋回中心位置Pを補正(前後進)する(第二の移動ステップ)。ここで、切削線C L0 は、切羽面において最も掘削が遅れている右端部または左端部(トンネル掘削機1に近い方の切羽面の端部)を中心とし、かつ、トンネル掘削機1のブーム旋回半径を半径としている。
このとき、制御部553は、演算部551によって算出された距離分だけスラストジャッキ23を移動(伸張あるいは収縮)させる制御信号をスラストジャッキ23に出力する。また、制御部553は、カッタホイール3が切羽K(切削開始位置)に当接させるべく、ブーム4の角度を調整する制御信号をスイングシリンダ43およびピッチングシリンダ44に出力する。
なお、スラスト長およびブームの角度等の調整は、オペレータがモニター(表示部)を確認しながら手動で行ってもよい。
演算部551は、式1を利用してスラスト長Lを算出する。
Figure 0006566763
ここで、Lは計画中心位置Pから補正前のブーム旋回中心位置Pまでの距離(計測値)であって、Lは計画中心位置Pから補正後のブーム旋回中心位置Pまでの距離(計算値)である。
距離Lは、前回中心位置Pがトンネル掘削機1の計画上の中心線Lよりも左側にずれている場合(図3参照)には式2により算出し、前回中心位置Pがトンネル掘削機1の計画上の中心線よりも右側にずれている場合(図4参照)には式3により算出する。
また、S1は計画上の中心線Lと前回中心位置とのずれ、S2は計画上の中心線Lとブーム旋回中心位置Pとのずれである。
Figure 0006566763
カッタホイール3を切羽Kに当接させたら、スラストジャッキ23を伸張させつつ切削を行うことで、地山の切削を切削予定線CL1まで行う(掘削工程)。
本実施形態のトンネル掘削機1の誘導装置5を利用したトンネル掘削機の位置決め方法によれば、計画位置(計画中心位置P)の近傍にトンネル掘削機1を移動させた後、計画中心位置Pと前回中心位置Pとの関係から求めた位置までトンネル掘削機1を前進させるのみで第二の移動ステップが完了するため、簡易にトンネル掘削機1の配置を行うことができる。そのため、カッタの位置を簡易に所望の位置に配置することができ、ひいては、無駄な空振りや過剰な負荷による機械の損傷等を発生させることのない、効率的な掘削作業が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態のトンネル掘削機の位置決め方法および誘導装置が適用可能なトンネルは、機械掘削方式のトンネルであればよく、その規模や用途は限定されるものではない。
トンネル掘削機に設けられる各計測器の種類、配置および数等は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
前記実施形態では、前回中心位置(ブーム旋回中心位置)を中心としたトンネル掘削機のブームの旋回範囲に基づいて掘削切羽面の位置情報を算出したが、掘削切羽面の位置情報の算出方法は限定されるものではなく、例えば、カッタホイールの足跡によって算出してもよい。
1 トンネル掘削機
2 掘削機本体
3 カッタホイール
4 ブーム
5 トンネル掘削機の誘導装置
51 ターゲット
52 ストローク計
53 傾斜計
54 トータルステーション
55 制御手段
前回中心位置
ブーム旋回中心位置
計画中心位置

Claims (4)

  1. 切羽から退避させたトンネル掘削機を、前記切羽に再配置する際のトンネル掘削機の位置決め方法であって、
    退避前における前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置である前回中心位置を記憶する記憶ステップと、
    計画上のブーム旋回中心位置である計画中心位置を含む領域内に前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置が配置されるように前記トンネル掘削機を移動させる第一の移動ステップと、
    前記計画中心位置と前記前回中心位置とを通る円弧上かつ前記領域内に、前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置が配置されるように前記ブーム旋回中心位置を前後進させる第二の移動ステップと、を備え、
    前記円弧は、切羽の右端部または左端部を中心とし、かつ、前記トンネル掘削機のブーム旋回半径を半径としていることを特徴とする、トンネル掘削機の位置決め方法。
  2. 前記前回中心位置を中心とした前記トンネル掘削機のブームの旋回範囲に基づいて掘削切羽面の位置情報を算出し、
    前記掘削切羽面の位置情報とトンネルの設計線形とに基づいて前記計画中心位置を算出することを特徴とする、請求項1に記載のトンネル掘削機の位置決め方法。
  3. トンネル掘削機に取り付けられたターゲット、ストローク計および傾斜計と、
    固定点に設置したトータルステーションと、
    演算部、記憶部および制御部を備えた制御手段と、を備えるトンネル掘削機の誘導装置であって、
    前記演算部は、前記トータルステーションによるターゲットの測定結果と、前記ストローク計および傾斜計の計測値とに基づいて前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置および掘削切羽面の位置情報を算出し、
    前記記憶部は、前記トータルステーション、前記ストローク計および前記傾斜計の計測値と、前記演算部の計算値とを記憶し、
    前記制御部は、前記演算部の計算値に基づいて前記トンネル掘削機の移動量、スラストジャッキの伸縮量およびブームの角度を制御することを特徴とする、トンネル掘削機の誘導装置。
  4. 前記演算部によって算出された計画上のブーム旋回中心位置である計画中心位置と、前記トンネル掘削機のブーム旋回中心位置の現在位置との位置関係を表示する表示部をさらに備えていることを特徴とする、請求項に記載のトンネル掘削機の誘導装置。
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