JP6425057B2 - 中折れ型トンネル掘削機の制御方法 - Google Patents

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本発明は、中折れ型トンネル掘削機(シールド掘削機)の制御方法に関し、特に中折れ部に設けられた方向制御ジャッキを掘進中に制御するとともに後胴部の推進ジャッキを制御して、力点の位置を制御する方法に関する。
従来、トンネルを構築する方法としてトンネルボーリングマシン(T.B.M)やシールド工法が多用されており、シールド工法では、筒状のスキンプレートの前部側(前胴)に地山を掘削するためのカッタヘッド、スキンプレートの後部側(後胴)の内部に推進ジャッキやエレクタ装置などを備えたシールド掘進機が用いられる。
また、曲線施工を要する際には、中折れシールド掘進機Aが用いられ、この中折れシールド掘進機は、例えば図1に示すように、前胴部1と、後胴部2とを複数の方向制御ジャッキ(中折れジャッキ)で連結し、これら方向制御ジャッキを伸縮駆動することによって中折れさせ、曲線施工を滑らかに行えるように構成されている。
また、特許文献1には、中折れ型のトンネル掘削機の制御方法が開示されている。この特許文献1では、トンネル掘削機の方向を修正しながら曲げて掘進する場合に、前胴部の先端面が常時トンネル掘削機の軌道を修正する方向に設定した垂直面の目標姿勢を向くように、方向制御ジャッキのストロークを制御するようにしている。
又は、トンネル掘削機の掘進中における前胴部の位置・姿勢と計画線上に設けた目標点から、前胴部の掘進中の垂直面である目標姿勢を設定し、掘進中に前胴部の先端面が目標姿勢を向くように、方向制御ジャッキのストロークを制御するようにしている。
又は、掘進開始時のトンネル掘削機の前胴部の位置・姿勢から掘進終了時の目標位置・姿勢までを、前胴部と後胴部の最大屈曲角度から求まる曲率半径を最小値とする円弧と直線でなす仮想線で滑らかに結ぶ。そして、仮想線に設けた複数個の垂直な面を掘進中のトンネル掘削機の前胴部の目標姿勢とし、掘進中に前胴部の先端面が上記目標姿勢に向くように、方向制御ジャッキを制御するようにしている。
又は、トンネル掘削機の後胴部先端の位置・姿勢或いは後胴部をそのまま前胴部方向に伸ばして求めた仮想の前胴部先端の位置・姿勢と、計画線上に設けた目標点とからトンネル掘削機の目標制御角を設定する。そして、目標制御角に対する目標力点位置の関数より後胴部に設けられた推進ジャッキの目標力点位置を設定し、推進ジャッキの全推力が作用すると仮定した力点位置が目標力点位置に一致するように、推進ジャッキの推力を制御するようにしている。
特許第2941671号公報
しかしながら、上記の特許文献1の制御方法においては、ジャッキ圧制御の演算を行うための基礎となるジャッキパターンを設定し、必要な推力作用点位置を得るためのジャッキ圧配分を、そのジャッキパターンを用いた演算によって得るようにしている。そして、この手法では、あらゆる作用点をカバーすることが可能である反面、非常に複雑な演算が必要になってしまい、精度よく方向制御を行えるようにするために多大な労力を要することになる。
さらに、上記従来のような中折れ型トンネル掘削機Aは、中小口径への適用が主で、大口径トンネルの曲線施工への適用実績が少ない(ない)。これは、理論的には図1に示すように、口径が大きくなるほど、同じ中折れ角θでも必要な回転モーメントを生み出す偏芯量eが相対的に小さくなるため、前胴部を中折れさせるだけでなく、推進作用点を制御して偏芯モーメントを生じさせる必要が生じることに起因すると考えられる。このため、口径が大きくなっても曲線部を滑らかに精度よく瀬施工できるようにする中折れ型トンネル掘削機の制御方法の開発が強く求められている。
本発明は、上記事情に鑑み、ジャッキ圧力配分を容易に設定して曲線施工を滑らかで且つ精度よく方向制御できるようにし、大口径の曲線施工に対しても確実に且つ好適に適用できる中折れ型トンネル掘削機の制御方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の中折れ型トンネル掘削機の制御方法は、前胴部と後胴部を複数の中折れジャッキである方向制御ジャッキで連結し、前記複数の方向制御ジャッキを伸縮駆動することによって前記後胴部に対して前記前胴部を中折れ/屈曲させ、且つ複数の推進ジャッキを伸縮駆動することによって地山掘進させて曲線施工を行うように構成された中折れ型トンネル掘機を制御する方法であって、曲線施工でのトンネル掘削機に作用する回転モーメントの発生メカニズムを適用し、前記中折れ型トンネル掘削機の施工履歴データの解析を行うことで、前記後胴部に対する前記前胴部の屈曲角度である中折れ角(θ)、及び前記推進ジャッキによる推進合力の力点である推進作用点(F,F)を推定する中折れ角/推進作用点推定工程と、セグメントの組み立て順序を含む施工サイクルとトンネルの計画線である線形条件に基づき、必要な偏芯モーメントを生み出す推進作用点の必要範囲(Xmin〜Xmax,Ymin〜Ymax)を設定する推進作用点範囲設定工程とを備え、前記推進作用点範囲設定工程は、円滑なトンネル掘機の姿勢制御のために必要とする分割幅(W、W)を設定し、N=(Xmax−Xmin)/W、N=(Ymax−Ymin)/Wから、前記推進作用点の必要範囲をN×Nのグリッドに分割する分割グリッド設定工程と、前記推進ジャッキに対する必要なジャッキ圧配分パターン数N ×N の値に基づいて求め、このN通りのジャッキ圧配分パターンを記憶しておくジャッキ圧配分パターン設定/記憶工程とを備え、前記中折れ角/推進作用点推定工程で得られた推定値に基づき、前記推進作用点範囲設定工程のジャッキ圧配分パターンを選択して前記推進ジャッキ及び前記方向制御ジャッキを制御することを特徴とする。
また、本発明の中折れ型トンネル掘削機の制御方法において、地山掘進とセグメントの組立を同時に施工する際には、施工サイクルとトンネルの線形条件に基づき、地山掘進・セグメント組立の同時施工を行うためのセグメントピース数(P)を設定するセグメントピース数設定工程とを備え、前記推進ジャッキに対する必要なジャッキ圧配分パターン数NをN=P×n(セグメントの組み立てパターン)×N×Nで求め、同時施工中の各組立ピースに応じた前記推進ジャッキのジャッキ圧配分パターンを選択することが望ましい。
本発明の中折れ型トンネル掘削機の制御方法においては、複雑な演算を適用せず、予め用意したジャッキ圧配分のパターンを直接選択するシンプルな制御システムを用い、大断面・道路本線トンネル等の曲線部を滑らかに精度よく施工することが可能になる。また、この制御方法は、必要な偏芯モーメントを生み出すようにジャッキ圧配分のパターンが設定されているため、中小口径だけでなく、大口径トンネルのシールド掘削機による曲線施工にも適用することができ、効率的な地山掘進とセグメント組立の同時施工を好適に実現することが可能である。
本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機を示す図である。 本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法における施工履歴データの解析の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法における施工履歴データの解析の説明で用いた図である。 本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法において、推進作用点の必要範囲をグリッド分割する説明に用いた図である。 本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法において、推進ジャッキの制御パターンの一例を示す図である。
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法について説明する。
はじめに、本実施形態のトンネル掘進機Aは、図1に示すように、筒状のスキンプレートの前部側(前胴部1)に地山を掘削するためのカッタヘッド、スキンプレートの後部側(後胴部2)の内部に推進ジャッキやエレクタ装置などを備えたシールド掘進機であり、中折れ部の前胴部1と、後胴部2とを複数の方向制御ジャッキ(中折れジャッキ、推進ジャッキ)で連結し、この方向制御ジャッキを伸縮駆動することによって中折れさせ、曲線施工を滑らかに行えるように構成されている。
そして、本実施形態の中折れ型トンネル掘削機Aの制御方法では、まずはじめに、曲線施工でのトンネル掘削機Aに作用する回転モーメントの発生メカニズムを適用し、図2及び図3に示すように施工履歴データの解析を行う。さらに、この施工履歴データの解析によって、中折れ角(θ)及び推進作用点(Fx,Fy)を推定する(中折れ角/推進作用点推定工程)。
次に、図4に示すように、施工サイクルとトンネルTの線形条件に基づき、必要な偏芯モーメントを生み出す推進作用点(Fx,Fy)の必要範囲(Xmin〜Xmax,Ymin〜Ymax)を設定する(推進作用点範囲設定工程)。さらに、施工サイクルとトンネルの線形条件に基づき、地山掘進・セグメント組立の同時施工を適用するセグメントピース数(P)を設定する(セグメントピース数設定工程)。
そして、本実施形態の中折れ型トンネル掘削機Aの制御方法では、推進作用点範囲設定工程で、円滑なシールド掘削機Aの姿勢制御のために必要とする分割幅(W、W)を設定し、N=(Xmax−Xmin)/W、N=(Ymax−Ymin)/Wから、推進作用点の必要範囲をN×Nのグリッドに分割する(分割グリッド設定工程)。
さらに、図5に示すような各推進ジャッキに対する必要なジャッキ圧配分パターン数Nを、N=P×n×N×Nで求め(本実施形態ではセグメントの組み立てパターン甲乙によりn=2とする)、このN通りのジャッキ圧配分パターンを記憶しておく(ジャッキ圧配分パターン設定/記憶工程)。
そして、本実施形態の中折れ型トンネル掘削機Aの制御方法では、中折れ角/推進作用点推定工程で得られた推定値に基づき、同時施工中の各組立ピースに応じて記憶された推進作用点範囲設定工程のジャッキ圧配分パターンを選択し、このジャッキ圧配分パターとなるように各ジャッキを制御し、地山掘進とセグメント組立の同時施工を行うようにする。
したがって、本実施形態の中折れ型トンネル掘削機Aの制御方法においては、複雑な演算を適用せず、予め用意したジャッキ圧配分のパターンを直接選択するシンプルな制御システムを用い、大断面・道路本線トンネル等の曲線部を滑らかに精度よく施工することが可能になる。また、この制御方法は、必要な偏芯モーメントを生み出すようにジャッキ圧配分のパターンが設定されているため、中小口径だけでなく、大口径トンネルのシールド掘削機Aによる曲線施工にも適用することができ、効率的な地山掘進とセグメント組立の同時施工を好適に実現することが可能である。
以上、本発明に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、地山掘進・セグメント組立の同時施工を行い、施工サイクルとトンネルの線形条件に基づき、地山掘進・セグメント組立の同時施工を適用するセグメントピース数(P)を設定し、必要なジャッキ圧配分パターン数NをN=P×n(セグメントの組み立てパターン)×N×Nで求めるものとして説明を行った。
これに対し、本発明に係る中折れ型トンネル掘削機の制御方法においては、必ずしも地山掘進・セグメント組立の同時施工を行い、同時施工を適用するセグメントピース数(P)に基づいて必要なジャッキ圧配分パターン数Nを決めなくてもよい。すなわち、地山掘進・セグメント組立を分離して施工する場合、また、同時施工する場合であっても、適宜手法を選定して、必要なジャッキ圧配分パターンを設定できればよい。
1 前胴部
2 後胴部
A シールド掘削機

Claims (2)

  1. 前胴部と後胴部を複数の中折れジャッキである方向制御ジャッキで連結し、前記複数の方向制御ジャッキを伸縮駆動することによって前記後胴部に対して前記前胴部を中折れ/屈曲させ、且つ複数の推進ジャッキを伸縮駆動することによって地山掘進させて曲線施工を行うように構成された中折れ型トンネル掘機を制御する方法であって、
    曲線施工でのトンネル掘削機に作用する回転モーメントの発生メカニズムを適用し、前記中折れ型トンネル掘削機の施工履歴データの解析を行うことで、前記後胴部に対する前記前胴部の屈曲角度である中折れ角(θ)、及び前記推進ジャッキによる推進合力の力点である推進作用点(F,F)を推定する中折れ角/推進作用点推定工程と、
    セグメントの組み立て順序を含む施工サイクルとトンネルの計画線である線形条件に基づき、必要な偏芯モーメントを生み出す推進作用点の必要範囲(Xmin〜Xmax,Ymin〜Ymax)を設定する推進作用点範囲設定工程とを備え、
    前記推進作用点範囲設定工程は、円滑なトンネル掘機の姿勢制御のために必要とする分割幅(W、W)を設定し、N=(Xmax−Xmin)/W、N=(Ymax−Ymin)/Wから、前記推進作用点の必要範囲をN×Nのグリッドに分割する分割グリッド設定工程と、
    前記推進ジャッキに対する必要なジャッキ圧配分パターン数N ×N の値に基づいて求め、このN通りのジャッキ圧配分パターンを記憶しておくジャッキ圧配分パターン設定/記憶工程とを備え、
    前記中折れ角/推進作用点推定工程で得られた推定値に基づき、前記推進作用点範囲設定工程のジャッキ圧配分パターンを選択して前記推進ジャッキ及び前記方向制御ジャッキを制御することを特徴とする中折れ型トンネル掘削機の制御方法。
  2. 請求項1記載の中折れ型トンネル掘削機の制御方法において、
    地山掘進とセグメントの組立を同時に施工する際には、施工サイクルとトンネルの線形条件に基づき、地山掘進・セグメント組立の同時施工を行うためのセグメントピース数(P)を設定するセグメントピース数設定工程とを備え、
    前記推進ジャッキに対する必要なジャッキ圧配分パターン数NをN=P×n(セグメントの組み立てパターン)×N×Nで求め、同時施工中の各組立ピースに応じた前記推進ジャッキのジャッキ圧配分パターンを選択することを特徴とする中折れ型トンネル掘削機の制御方法。
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