JP6566764B2 - トンネル掘削方法 - Google Patents
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Description
トンネル掘削機を利用したトンネル施工では、カッタホイールを一定方向に回転させながら、カッタホイールを保持するブームを上下左右に移動させることで地山の掘削を行う。このとき、ブームの伸縮機能あるいは掘削機本体のスラスト機能を利用して、カッタホイールに設けられたカッタ(ディスクカッタやピック等)を岩盤に貫入させる。
ところが、地山は随時変化するので、カッタの貫入量が地山の変化に追従していないと、当該貫入量が過大または過小になるおそれがある。
カッタの貫入量が過大である場合は、カッタモータに定格以上の負荷が作用するのでカッタモータが停止したり、トンネル掘削機に損傷が生じてしまう。
また、カッタの貫入量が過小である場合は、カッタホイールが空振りするなど、無駄な動きになることによって、掘削サイクルタイムの延長を招いてしまう。
さらに、カッタホイールの移動速度は、カッタホイールに作用する負荷に関わらず、一定の速度に設定するのが一般的である。そのため、掘削済み部分での移動時間はロスタイムとなる。
さらに、掘削中のカッタモータの電流値が前記第一の閾値よりも低く設定された第三の閾値(例えば、カッタモータの定格電流上限値の20%)以下の場合には、前記トンネル掘削機の機械能力最大速度で前記カッタホイールを移動させるようにすれば、カッタホイールの移動時間を短縮させることが可能となり、ひいては、スイングサイクルのサイクルタイムを短縮することができる。
本実施形態のトンネル掘削機1は、いわゆる自由断面掘削機であって、図1(a)に示すように、掘削機本体2と、カッタホイール3と、ブーム4とを備えている。
クローラ21は、トンネル掘削機1の走行手段である。なお、本実施形態では、クローラ式のトンネル掘削機1を採用するが、トンネル掘削機1の走行手段は限定されるものではなく、例えばタイヤ式(ホイール式)であってもよい。また、トンネル掘削機1は、トンネル内に敷設されたレール上を走行するものでもよい。
ブーム支持部22は、掘削機本体2に摺動可能に支持されていて、スラストジャッキ23を伸縮させるとトンネル掘削機1の進行方向に沿って移動する。
本実施形態では、4本のスラストジャッキ23を備えているが、スラストジャッキ23の数および配置は限定さえるものではない。
本実施形態のスラストジャッキ23のスラスト量(ストローク長)は1.2mとするが、スラストジャッキ23のスラスト量は限定されるものではない。例えば、0.7m〜1.2mの範囲内で適宜設定してもよい。
本実施形態では、掘削機本体2の前後左右にそれぞれグリッパ24が設けられている(図1(a)および(b)参照)。グリッパ24は、伸縮可能な支持部材26を介して掘削機本体2に取り付けられている。支持部材26が伸張することで、グリッパ24はトンネルの内壁に当接する。
支持部材26は、掘削機本体2にトンネル掘削機1の移動方向に対して交差する方向での回動が可能に取り付けられている。
なお、本実施形態では4つのグリッパ24が配設されているが、グリッパ24の数や配置は限定されるものではない。
カッタホイール3は、側面視円形を呈しており、ブーム4の先端に回転可能に保持されている。本実施形態のカッタホイール3は、直径が2.7mであるが、カッタホイール3の寸法は限定されない。
なお、カッタ31の数、配置および向きは限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
本実施形態のブーム4は、スイングブーム41とピッチングブーム42とを備えている。
スイングブーム41は、底盤と平行な面内において水平旋回可能である。
本実施形態では、ピッチングブーム42の上面に沿ってピッチングシリンダ44が配設されている。ピッチングシリンダ44の一端はピッチングブーム42に取り付けられていて、他端はスイングブーム41に取り付けられている。ピッチングブーム42は、ピッチングシリンダ44が伸縮することにより、上下方向に回動する。
トンネル掘削方法は、カッタホイール3を回転させながら移動させて地山の切削を行うスイングサイクルを複数回繰り返すことにより地山を掘削する。
本実施形態では、図2(a)および(b)に示すように、切羽Kの右側(切羽右側)KRと左側(切羽左側)KLとに分割して交互に掘削する。すなわち、トンネル掘削機1により切羽右側KRを所定延長(例えば1m)掘進した後、トンネル掘削機1を移動させて、切羽左側KLの切削を行う。なお、切羽Kの切削は、切羽左側KLから行ってもよい。また、切羽切削時の分割数は、トンネル断面形状に応じて適宜設定すればよく、例えば、トンネル断面が小さい場合には分割する必要はなく、トンネル断面が大きい場合には3つ以上に分割してもよい。
各回のスイングサイクルでは、まず、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)にカッタホイール3を配設し、カッタホイール3を回転させつつスラストジャッキ23を伸張させる。こうすることでカッタ31を岩盤に貫入させる。
本実施形態では、前回のスイングサイクルにおけるカッタモータの電流値が、カッタモータの定格電流上限値の80%未満(第一の閾値)である場合には、今回のスイングサイクルにおけるカッタ31の貫入量およびカッタホイール3の移動速度のうちの少なくとも一方を、前回のスイングサイクルよりも大きくする。一方、前回のスイングサイクルにおけるカッタモータの電流値が、カッタモータの定格電流上限値の95%以上(第二の閾値)である場合には、今回のスイングサイクルにおけるカッタの貫入量およびカッタホイールの移動速度のうちの少なくとも一方を、前回のスイングサイクルよりも小さくする。
なお、カッタ31の岩盤への貫入量およびカッタホイール3の移動速度の設定方法(基準)は、限定されるものではない。例えば、前記のスイングサイクルにおけるカッタモータの電流値とカッタモータの定格電流上限値との関係により、カッタ31の貫入量を算出してもよい。
カッタホイール3が切羽Kの右端部に到達したら、切羽Kの中央に向けてブーム4を左側に旋回させるとともに上方向に回動させる(矢印S2)。
カッタホイール3が切羽Kの中央に到達したら、トンネル頂部に向けてブーム4を上昇させる(矢印S3)。
カッタホイール3がトンネル頂部に到達したら、切羽Kの右端部に向けてブーム4を右側に旋回させるとともに下方向に回動させる(矢印S4)。
すなわち、カッタモータの電流値が大きい場合(例えば、カッタモータの定格電流上限値の95%以上である場合)にはカッタホイールの移動速度を遅くして切削を確実に行い、カッタモータの電流値が小さい場合(例えば、カッタモータの定格電流上限値の80%未満である場合)には、カッタホイール3の移動速度を速めてスイング時間の短縮を図る。
さらに、掘削中のカッタモータの電流値が閾値(本実施形態ではカッタモータの定格電流上限値の20%(第三の閾値))以下の場合(カッタモータに負荷がほとんどかからない場合)には、トンネル掘削機1の機械能力最大速度でカッタ31を移動させる。なお、本実施形態では第三の閾値をカッタモータの定格電流上限値の20%以下に設定したが、第三の閾値はこれに限定されるものではなく、カッタモータの定格電流上限値の30%以下となるように適宜設定すればよい。
このとき、カッタホイール3は、いわゆる空振りの状態となるので、カッタホイール3は機械能力最大速度で移動させる。
切羽左側KLを切削する際は、切羽右側KRの切削と同様に、スイングサイクルを繰り返す。切羽左側KLのスイングサイクルでは、まず、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)にカッタホイール3を配した状態で、カッタホイール3を回転させつつスラストジャッキ23を伸張させる。こうすることでカッタ31を岩盤に貫入させる。
カッタホイール3が切羽Kの左端部に到達したら、切羽Kの中央に向けてブーム4を右側に旋回させるとともに上方向に回動させる(矢印S7)。
カッタホイール3が切羽Kの中央に到達したら、トンネルの頂部に向けてブーム4を上上昇させる(矢印S8)。
カッタホイール3がトンネルの頂部に到達したら、切羽Kの左端部に向けてブーム4を左側に旋回させるとともに下方向に回動させる(矢印S9)。
そして、カッタホイール3が切羽Kの左端部に到達したら、切羽Kの中央部下側(切削開始位置)に向けて、ブームを右方向に旋回させる(矢印S10)。
すなわち、前回のスイングサイクルのデータに基づいて、地山状況に応じた最適な貫入量によって地山の切削を行うため、カッタモータへの過負荷および機械構造体の損傷を抑制し、無駄な動きを最小限に抑えることによるサイクルタイムの短縮を可能としている。
さらに、カッタホイール3による切削がいわゆる空振りの状態になる場合には、トンネル掘削機1の機械能力最大速度でカッタホイール3を移動させるため、カッタホイール3の移動時間を短縮させることが可能となり、ひいては、スイングサイクルのサイクルタイムを短縮することができる。
本実施例では、標準的な岩盤に対して、カッタ31の貫入量を6mm(実施例1)、9mm(実施例2)および13mm(実施例3)として、カッタホイール3の移動速度を14m/minによって切削した場合の電流値を測定した。図3および表1に測定結果を示す。
各実施例の電流値に基づいて、式1により各実施例の上限値を算出すると、上限値はそれぞれ68.58(A)、97.80(A)、141.96(A)となった。
上限値=平均値+標準偏差×2 ・・・ 式1
したがって、修正貫入量は、前回の貫入量にこの割合を乗じた値とすればよく、実施例1〜3の修正貫入量は、それぞれ12.34mm,12.98mm,12.91mmとすればよい。
例えば、本実施形態のトンネル掘削機のトンネル施工方法が適用可能なトンネルは、機械掘削方式のトンネルであればよく、その規模や用途は限定されるものではない。
前回の切削時のカッタモータの電流値を利用した今回の切削時のカッタの貫入量およびカッタホイールの移動速度を決定方法は、前記に示した方法(割合や計算方法)に限定されるものではない。
また、切削時のカッタホイールの速度は、予め設定された速度で行ってもよく、必ずしも掘削中のカッタモータの電流値に応じて変化させる必要はない。
2 掘削機本体
3 カッタホイール
31 カッタ
4 ブーム
Claims (2)
- カッタホイールを回転させながら移動させて地山の切削を行うスイングサイクルを複数回繰り返すことにより、地山を掘削するトンネル掘削方法であって、
前回のスイングサイクルにおける地山に対するカッタの貫入量、カッタホイールの移動速度およびカッタモータの電流値に基づいて、今回のスイングサイクルにおけるカッタの貫入量およびカッタホイールの移動速度を設定し、
各回のスイングサイクルでは、
切羽の中央下側から切羽の端部に向けてブームを旋回させて横方向に切削し、
前記カッタホイールが切羽の端部に到達したら、切羽の端部から切羽の中央に向けてブームを旋回させるとともに上方向に回動させ、
前記カッタホイールが切羽の中央に到達したら、トンネル頂部に向けてブームを上昇させ、
前記カッタホイールがトンネル頂部に到達したら、切羽の端部に向けてブームを旋回させるとともに下方向に回動させる
ことを特徴とする、トンネル掘削方法。 - 前記電流値が、前記カッタモータの定格電流上限値の80%未満である場合には、今回のスイングサイクルにおけるカッタの貫入量およびカッタホイールの移動速度のうちの少なくとも一方を、前回のスイングサイクルよりも大きくし、
前記電流値が、前記カッタモータの定格電流上限値の95%以上である場合には、今回のスイングサイクルにおけるカッタの貫入量およびカッタホイールの移動速度のうちの少なくとも一方を、前回のスイングサイクルよりも小さくすることを特徴とする、請求項1に記載のトンネル掘削方法。
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