JP6564659B2 - 水洗大便器装置 - Google Patents
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Description
このため、特許文献1の便器装置では、粉砕部にて所定以下の大きさまで粉砕された微細物のみが圧送部に流入するようにして、圧送部の流路詰まりを防止している。
このように構成された本発明においては、便器本体に例えば「ボックスティッシュ」や「流せるおしり拭き」のような異物が流されると、粉砕部で粉砕されて繊維状となり圧送部に流入する。流入口から圧送部内に流入する繊維状の異物及び洗浄水は、インペラの回転によって発生する遠心力によって径方向流路から外側の周方向流路に流れる。周方向流路内の異物及び洗浄水は、周方向流路を周回し、流出口部から流出する。しかしながら、この際に、繊維状の異物が開始部と、流出口部との間において流路が分岐される分岐部に引っ掛かり、引っ掛かった繊維状の異物に次々と新たな繊維状の異物が絡まり合って大きく成長し、周方向流路を詰まらせるという新しい問題が発生する。しかしながら、本実施形態による水洗大便器装置によれば、圧送部の周方向流路外側壁は、変化点の下流側に設けられるほぼ直線状の流路を長くするように、変化点の下流側における周方向流路外側壁の半径の増加率を、変化点の上流側における半径の一定の増加率よりも増加させ、変化点の下流側の周方向流路の幅を広げるように形成されている。従って、流出口部に至るほぼ直線状の流路が比較的長くなるため、繊維状の異物が流出口部に向かう際の繊維状の異物の姿勢を直線的な流れに沿う向きに向かせることができ、繊維状の異物が分岐部に引っ掛かることを防止し、これにより、引っ掛かった繊維状の異物に次々と新たな繊維状の異物が絡まり合って大きく成長し、周方向流路を詰まらせることを防止できる。
このように構成された本発明においては、圧送部の周方向流路外側壁は、変化点の下流側に設けられるほぼ直線状の流路を長くするように、変化点の下流側における周方向流路外側壁の半径の増加率を、変化点の上流側における半径の一定の増加率よりも所定の範囲で増加させ、変化点の下流側の周方向流路の幅を広げるように形成されている。従って、より確実に流出口部に接続されるほぼ直線状の流路が長くなるため、繊維状の異物が流出口部に向かう際の繊維状の異物の姿勢を直線的な流れに沿う向きに向かせることができ、繊維状の異物が分岐部に引っ掛かることをより確実に防止することができる。
このように構成された本発明においては、変化点からストレート部に至るまでの領域において、汚物及び洗浄水が乱れることを抑制することができる。従って、流出口部から流出する汚物及び洗浄水が乱れることを抑制することができる。
また、給水装置24は、貯水タンクから洗浄水を供給するタンク方式のものであってもよい。
粉砕圧送装置4は、貯留槽46を備え、この貯留槽46の内部には、粉砕部34が設けられている。粉砕部34は、粉砕室48を有し、この粉砕室48は、周壁48aの内部に形成されている。粉砕室48の周壁48aは、その一方側で上述した排水トラップ管路26の排出口32と連通している。粉砕室48の下部には、粉砕室48内で汚物を撹拌するための円盤50が設けられている。この円盤50は、電動モーター38に取り付けられた回転軸52(共通の回転駆動軸)に直結され、回転可能となっている。さらに、この円盤50の上面には、多数の突起50aが形成され、これらの突起50aに汚物が引っ掛かり、撹拌され易くなっている。
圧送部36は高揚程が実現可能な遠心式ポンプを形成している。圧送部36は、ポンプ室56を備え、このポンプ室56の下部には、下部カバー57が取り付けられ、この下部カバー57の中央部に、汚物及び洗浄水が流入する流入口58が形成されている。ポンプ室56の外周側には汚物及び洗浄水が流出する流出口60が形成されている。
圧送部36は、さらに、このポンプ室56の周方向流路外側壁64の内側に配置され且つポンプ室56内で回転するインペラ62を備えている。このインペラ62は、円盤形状の円盤部66と、円盤部から部分的に下方に突出して設けられた突起部68と、を備えている。
また、インペラ62の2つの突起部68のそれぞれの外周側壁面68bとポンプ室56の周方向流路外側壁64の間には、インペラ62の外周を周方向に延びる周方向流路76が形成される。インペラ62において径方向流路74が形成されている領域においては、この径方向流路74の出口部分と、周方向流路外側壁64との間に、周方向流路76が形成される。周方向流路76は、径方向流路74と連通し、下流端の流出口部76bがポンプ室56の流出口60と連通するようになっている。
周方向流路76は、インペラ62の外周に沿って環状に流路を形成する。環状に形成される周方向流路76の各領域の角度位置を角度の表現を用いて説明しやすくするため、下述の開始部76aの位置を角度0°とし、この開始部76aからインペラ62の回転方向D1に沿って下流側に向かって徐々に角度が増加し、周方向流路76内を一周して開始部76aの外側の流出口部76bの位置の角度を360°として説明する。
ポンプ室56の周方向流路外側壁64は、0°の位置の開始部76aから所定角度の位置の変化点76eまで、インペラ62の回転方向D1に向かって、圧送部36の中心Cから周方向流路外側壁64までの半径R1が一定の増加率で徐々に増加している。従って、周方向流路外側壁64の半径R1が0°の位置の開始部76aから所定角度の変化点76eまで増加し、インペラの半径r1は、その半径が一定であるので、周方向流路76の幅W1は、開始部76aにおける最小の幅から、下流側に向かって、徐々に増加するように形成されている。このように、ポンプ室56の周方向流路外側壁64は、0°の位置の開始部76aから所定角度の変化点76eまで、インボリュート曲線に沿って、半径R1が一定の増加率で徐々に増加するように形成されている。
なお、ストレート部76cにおけるコーナー部76fの下流側領域の周方向流路外側壁64が、比較的大きな円弧に沿って形成され、且つやや湾曲して形成されていてもよい。すなわち、ストレート部76cは、周方向流路外側壁64がゆるやかに曲がり且つ内側の周方向流路76がほぼ直線状の流路を形成している場合も含んでいる。
ポンプ室56の周方向流路外側壁64は、その変化点76eの近傍において、この変化点76eよりも下流側領域における圧送部36の中心Cから周方向流路外側壁64までの半径R2の増加率が、変化点76eよりも上流側領域における同様の半径R1の増加率に対して、1.2倍以上且つ20倍以下の範囲の大きさに形成され、より好ましくは、5倍以上且つ10倍以下の範囲の大きさに形成されている。
ポンプ室56の周方向流路外側壁64は、その変化点76eの角度位置、半径R2の増加率等により周方向流路76のコーナー部76fの形状が異なる。よって、ストレート部76cの入口の形成される角度位置も、例えば270°〜315°の範囲のうちの角度位置、例えば約300°、約280°又は約270°等の角度位置であってもよい。
変化点76eの下流側の領域において、周方向流路外側壁64の半径R2が増大され、流路が外側に膨らむように形成される。周方向流路外側壁64が外側に膨らむように形成されることから、コーナー部76fの頂部の湾曲部分の大きさが比較的小さく形成され、コーナー部76fの下流側領域の周方向流路外側壁64が、概ね直線状に形成される。従って、コーナー部76fの下流側領域から、ストレート部76cが形成される。流出口部76bの直前に流出口部76bと直線的に並ぶストレート部76cが形成されることにより、ストレート部76cの入口76hから分岐部76dまでの距離L1が、このストレート部76cが形成されていない場合の流出口部76bの入口76iから分岐部76dまでの距離L2と比べて、ストレート部76cの長さの分だけ、直線状の流路の距離が長く形成されている。
また、本実施形態における流出口部76bを通る中心軸線が、分岐部76dの近傍からコーナー部76fと交差する位置までの長さは、比較例における流出口部176bを通る中心軸線が、分岐部176dの近傍からコーナー部176fと交差する位置までの長さよりも長くされている。
図6においては、図5の粉砕圧送装置の圧送部の圧送室の周方向流路外側壁に変化点を設け、所定角度の変化点の領域の下流側に設けられるストレート部を長くするように、変化点の領域の近傍における周方向流路外側壁の半径の増加率を、上記一定の増加率よりもさらに増加させ、変化点の領域の下流側の周方向流路の幅を広げるように形成し、且つこの圧送室内の周方向流路において繊維状の異物が流れる様子を概略的に示しており、図7においては、比較例として、粉砕圧送装置の圧送部の圧送室の周方向流路外側壁をインボリュート曲線に沿って形成し、且つこの圧送室内の周方向流路において繊維状の異物が流れる様子を概略的に示している。
先ず、比較例の水洗大便器装置における設計思想は、図7に示すように、圧送部の圧送室(ポンプ室)の圧送性能を重視して、ポンプ室の周方向流路外側壁の形状をインボリュート曲線に沿った形状に形成していた。遠心ポンプにおいては、周方向流路内を流れる洗浄水の流速エネルギーを、なるべく高い効率で、圧力エネルギーに変換することが重要であり、周方向流路の断面積を徐々にインボリュート曲線に沿った一定の割合で増大させることにより、流れの流速を減少させ、圧力を増大させる。従って、ポンプ室の周方向流路外側壁の形状をインボリュート曲線に沿って徐々に変化させ、高い圧送性能を実現することが、汚物及び異物の排出に貢献すると考えられてきた。このように、周方向流路外側壁の形状をインボリュート曲線に沿って徐々に変化させ、急激な変化を無くすことで、周方向流路内の流れの乱れを無くし、なるべく高い圧送性能で、ポンプ室内の汚物及び洗浄水を排出することが重要であると考えられてきた。
具体的には、図6に示すように、流出口部76bと直線的な流路を形成するような、流出口部76bに接続されるストレート部76cを比較的長く形成するように、周方向流路外側壁64上に変化点76eを設け、この変化点76eの下流側において周方向流路外側壁64の半径R2が増大させ、且つ周方向流路76の幅を広げるように形成した。
本実施形態においては、周方向流路76の幅W1は、0°の角度位置の開始部76aにおける最小の幅から、所定角度(本実施形態においては約240°の角度)の角度位置の変化点76eまでほぼ一定の増加率(変化率)で徐々に増加するように形成されている。所定角度の変化点76eは、変化点76eを境にして、その下流側の周方向流路外側壁64の半径R2の増加率(変化率)を、その上流側の周方向流路外側壁64の半径R1の増加率から増加させるように変化させている。周方向流路外側壁64の半径R2の増加率もほぼ一定の増加率となっている。変化点76eを境にして、その下流側の周方向流路76の幅W2の増加率(変化率)は、その上流側の周方向流路76の幅W1の増加率からさらに増加していることが分かる。本実施形態においては、変化点76eは、約240°の角度位置に設けられ、ストレート部76cの開始位置は、約300°の角度位置に位置している。
これに対し、比較例の水洗大便器装置における圧送部においては、周方向流路外側壁164はインボリュート曲線に沿った形状に形成され、開始部176aから、流出口部176bまで周方向流路176の幅W3がほぼ一定の増加率で徐々に増加するように形成されている。比較例においては、変化点76eは設けられておらず、直線的な流路を形成する流出口部176bの入口位置は、約315°の角度位置に位置している。
また、ストレート部76c及び流出口部76bの直線的な流路においては、周方向流路外側壁64が、ほぼ直線状の連続した壁面を形成しているので、汚物及び洗浄水の流れは、周方向流路外側壁64に沿って直線的に整った流れを形成しやすく、乱れにくくなっている。従って、この流れに含まれる繊維状の異物Fの向きを直線的な流れに沿って整えやすくなっている。
このように構成された本発明においては、便器本体2に例えば「ボックスティッシュ」や「流せるおしり拭き」のような異物が流されると、粉砕部34で粉砕されて繊維状となり圧送部36に流入する。流入口58から圧送部36内に流入する繊維状の異物F及び洗浄水は、インペラ62の回転によって発生する遠心力によって径方向流路74から外側の周方向流路76に流れる。周方向流路76内の異物及び洗浄水は、周方向流路76を周回し、流出口部76bから流出する。しかしながら、この際に、繊維状の異物Fが開始部と、流出口部76bとの間において流路が分岐される分岐部76dに引っ掛かり、引っ掛かった繊維状の異物Fに次々と新たな繊維状の異物が絡まり合って大きく成長し、周方向流路76を詰まらせるという新しい問題が発生する。
しかしながら、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、圧送部36の周方向流路外側壁64は、変化点76eの下流側に設けられるほぼ直線状の流路を長くするように、変化点76eの下流側における周方向流路外側壁64の半径R2の増加率を、変化点76eの上流側における半径R1の一定の増加率よりも増加させ、変化点76eの下流側の周方向流路76の幅W2を広げるように形成されている。
従って、流出口部76bに至るほぼ直線状の流路が比較的長くなるため、繊維状の異物Fが流出口部76bに向かう際の繊維状の異物Fの姿勢を直線的な流れに沿う向きに向かせることができ、繊維状の異物Fが分岐部76dに引っ掛かることを防止し、これにより、引っ掛かった繊維状の異物Fに次々と新たな繊維状の異物Fが絡まり合って大きく成長し、周方向流路76を詰まらせることを防止できる。
従って、より確実に流出口部76bに接続されるほぼ直線状の流路が長くなるため、繊維状の異物Fが流出口部76bに向かう際の繊維状の異物の姿勢を直線的な流れに沿う向きに向かせることができ、繊維状の異物Fが分岐部76eに引っ掛かることをより確実に防止することができる。
2 便器本体
4 粉砕圧送装置
6 屋内給水管
8 屋内排水管
10 床
12 脚
14 アームレスト
16 建物
16a 屋内
16b 屋外
18 屋外給水管
20 屋外排水管
22 ボウル部
24 給水装置
26 排水トラップ管路
28 給水弁
30 導水路
32 排出口
34 粉砕部
36 圧送部
38 電動モーター
40 操作部
42 報知部
44 制御部
46 貯留槽
48 粉砕室
48a 周壁
48b 通過開口
50 円盤
50a 突起
52 回転軸
54 流路
56 ポンプ室
57 下部カバー
58 流入口
60 流出口
62 インペラ
64 周方向流路外側壁
66 円盤部
68 突起部
68b 外周側壁面
74 径方向流路
76 周方向流路
76a 開始部
76b 流出口部
76c ストレート部
76d 分岐部
76e 変化点
76f コーナー部
76g 流出口部外側壁
76h 入口
76i 入口
136 圧送部
164 周方向流路外側壁
176 周方向流路
176a 開始部
176b 流出口部
176d 分岐部
176f コーナー部
176i 入口
A1 矢印
A2 矢印
A3 矢印
C 中心
D1 回転方向
D2 接線方向
F 異物
L1 距離
L2 距離
r1 半径
R1 半径
R2 半径
R3 半径
W1 幅
W2 幅
W3 幅
Claims (3)
- 非据え付け型の水洗大便器装置であって、
便器本体と、
この便器本体に洗浄水を供給する給水手段と、
上記便器本体から洗浄水と共に排出された汚物を粉砕する粉砕部と、
この粉砕部により粉砕された汚物と洗浄水を圧送する圧送部と、
この圧送部により圧送された汚物と洗浄水を外部に排出するための可撓性の排水管と、
上記粉砕部と圧送部との間に設けられ、粉砕部で所定以下の大きさに粉砕された汚物を通過させて圧送部に送る通過規制部と、を有し、
上記圧送部は、
この圧送部の内側に配置され且つ上記圧送部内で回転するインペラと、
上記圧送部の中央部に形成された流入口と、
上記圧送部の外周部に形成された流出口と、上記インペラ上で上記流入口から外周に向けて延びる径方向流路と、
上記圧送部の周方向流路外側壁と上記インペラとの間に形成され、且つ上記インペラの外周を周方向に延びる周方向流路と、を備えた遠心式の圧送部であり、
上記周方向流路は、
その全周のうち0°の位置に設けられる最も幅の狭い開始部と、
上記圧送部の上記周方向流路外側壁の接線方向に沿ってほぼ直線的に延び、上記開始部分の外側の360°の位置を通るように形成されている流出口部と、
上記開始部と、上記流出口部との間において流路が分岐される分岐部と、
上記流出口部と直線的な流路を形成するように、上記流出口部に接続されるストレート部と、
を備え、
上記圧送部の上記周方向流路外側壁は、上記0°の位置の上記開始部から所定角度の位置の変化点まで、上記インペラの回転方向に向かって、上記圧送部の中心から上記周方向流路外側壁までの半径が一定の増加率で徐々に増加し、上記周方向流路の幅を徐々に増加させるように形成され、さらに、上記所定角度の変化点は、180°〜270°のいずれかの位置に形成され、さらに、上記変化点の下流側に設けられる上記ストレート部を長くするように、上記変化点の下流側における上記周方向流路外側壁の半径の増加率を、上記変化点の上流側における半径の上記一定の増加率よりも増加させ、上記変化点の下流側の上記周方向流路の幅を広げるように形成されている、水洗大便器装置。 - 上記圧送部の上記周方向流路外側壁は、上記周方向流路外側壁の変化点の近傍において、この変化点よりも下流側領域における上記圧送部の中心から上記周方向流路外側壁までの半径の増加率が、上記変化点よりも上流側領域における上記圧送部の中心から上記周方向流路外側壁までの半径の増加率の1.2倍以上且つ20倍以下の範囲に形成されている、請求項1に記載の水洗大便器装置。
- 上記圧送部の上記周方向流路外側壁は、上記変化点から上記ストレート部に至るまでの領域における半径の増加率をほぼ一定とする、請求項1又は2に記載の水洗大便器装置。
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