JP6631773B2 - 非据付け型水洗圧送式大便器装置 - Google Patents
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Description
このような水洗圧送式大便器装置は、トイレットペーパーや汚物等を粉砕し圧送するようになっているが、汚物やトイレットペーパー以外の異物が誤って流された場合に、異物が流路を塞いで詰まりを起こしたりする課題が知られている。
特に、このような水洗圧送式大便器装置は、介護用に使用者の居室内のベッドサイド等に配置されることが多いことから、流路の詰まり等による故障が発生すると、汚物から臭気が発生し、居室において使用者に致命的な不快感を与えることとなる。また衛生状態も悪化する。このように、水洗圧送式大便器装置の詰まりを防ぐための異物対策は、商品事業としての成立を左右する非常に重要な課題となっている。
このような課題を解決すべく、本発明の発明者らが行った研究によれば、上述のような製品は、最終的に微生物によって分解されることをもって、便器装置に流すことができると表示しているものもあり、上述のJISP4501の規格を満たしていないものも多く含んでおり、必ずしも便器装置に流すことに適しておらず、水に溶けるために非常に長い時間がかかる等、容易には粉砕されない場合がある。上述のような製品の多くは、紙、布等の繊維状の素材を組合せて紙状、織物状又は布状に形成されている。よって、これらの製品は、粉砕部において、水流の力により、繊維状の小片の状態までほぐすことができる場合が多い。しかしながら、これらの製品は、粉砕部において、完全に粉砕することできず、中途半端に繊維状の状態までしか粉砕できず、繊維状の異物(以下「繊維物」という)を生じさせる結果となる。このような繊維物は、一本一本は糸くずのように非常に小さく且つ細かい繊維である。従って、繊維物は、通過規制孔を通過することができ、遠心圧送装置に流入することができる。繊維物は、一本一本は糸くずのように非常に小さいものの、遠心圧送装置で激しく攪拌されるうちに繊維物同士が絡まりあって集まると繊維物の大きな塊を形成する場合がある。このような繊維物の大きな塊が圧送装置の内部の流路を詰まらせることとなる。
本発明の発明者は、このような粉砕部にて繊維状の状態までしか粉砕されない異物(中途半端にしか粉砕できない異物)から生じた繊維物が、粉砕部から通過規制部を通過して遠心圧送装置に流れ、遠心圧送装置で再び繊維物同士が絡まりあって塊となり圧送装置の詰まりを生じさせるという課題が生じていることを新たに認識したものである。
従来の水洗圧送式大便器装置においては、粉砕部内に設けられたカッターにより投入されたものを全て粉砕することにより排出しようとしていたが、粉砕できないおむつ等の異物を噛み込んでカッターの回転をロックしてしまうことが生じていた。これに対し、本発明の発明者らは、汚物は粉砕部内の水流の攪拌により微細に分解可能であるという知見を見出し、異物等をカッターによりカッティングしないことにより駆動手段がロックしにくい水流攪拌方式の粉砕部を発明した。よって、仮に異物等が投入された場合においても、無理にカッティングしないことにより、回転をロックさせずに、水流の攪拌により汚物の排出を継続することができる。
このように、出願人らは、非据付け型の水洗圧送式大便器装置の実用化に成功し、大きな事業的な成功を得ている。
しかしながら、近年の技術開発に伴い、介護や乳児のためのお尻拭き、他の衛生用品、医療品、又は他の清掃用品等で水洗大便器にそのまま流せるとうたわれている新しいタイプの商品が開発されている。従来の便所据付け式の水洗大便器であればこれらの商品の排出には問題が生じないが、非据付け型の水洗圧送式大便器装置においては、排水管に勾配が付けられないこともあり、粉砕後に遠心圧送装置により粉砕した汚物を圧送して排出する必要があることから、非据付け型の水洗圧送式大便器装置において、さらなる固有の課題が発生している。
具体的には、上述のようないわゆる流せるお尻拭き等は水流攪拌方式の粉砕部において、中途半端にしか分解できずに、繊維状の繊維物を生じてしまう。従って、おしり拭き等の分解により生じた繊維物が、遠心圧送装置において再び塊状に絡み合い、圧送装置のつまりを生じさせるという課題が発生することとなった。
このように、遠心圧送装置が詰まり、水洗大便器が使用できなくなることは、一人でトイレに行けないような移動が不自由な使用者にとって非常に大きな問題を生じる。
このような繊維物を、粉砕部や遠心圧送装置において取り除こうとする場合には、専門のスタッフによるメンテナンスにより繊維物を定期的に取り除く手間が生じてしまい、たまった繊維物に汚物が付着して悪臭の問題も生じてしまう。
従って、上述のような流せるお尻拭き等は非据付け型の水洗圧送式大便器装置に投入しないようにさせることが検討されていた。
本発明の発明者らは、逆に、圧送装置から繊維物をうまく排出することが出来れば、繊維物を取り除くメンテナンスを省くことができ、上述のような流せるお尻拭き等を非据付け型の水洗圧送式大便器装置に投入できるようになると考えて検討を行ってきた。ベッドサイドなどで使用した流せるおしり拭き等をすぐ流すことができれば、移動に困難を抱えている使用者が流せるおしり拭き等を他の場所に捨てる手間が省け、これを水洗圧送式大便器装置で排出することができるため、使用者にとって非常に有用となる。おしり拭きや汚物をふき取ったような清掃用品等が流せないと、さらに介護する人がこれらを処分する手間が生じることとなるが、このような手間も無くすことができる。
よって、ベッドサイド等において様々な異物及び汚物を投入される可能性がある非据付け型の水洗圧送式大便器装置において、繊維物が絡み合うことを抑制するように水流の攪拌を生じにくくしながら圧送できる容積式ポンプを粉砕部と組合せることにより、分解できない異物を粉砕部に残し且つ繊維状まで分解できた繊維物を容積式ポンプから排出させることができる。
このような課題を解決することにより、いわゆる流せるおしり拭き等の分解により繊維物を生じさせるような異物を投入しても、圧送装置において繊維物を絡まり合って大きく成長させること及び圧送装置を詰まらせることを抑制しながら、圧送することができ、使用を継続することができる非据付け型の水洗圧送式大便器装置を提供することができる。
また、このように構成された本発明においては、圧送装置は、回転式の容積ポンプによって構成されているので、圧送装置内に流入した汚水の攪拌及び汚水の乱れを抑制し、繊維物が絡まりやすくなる流れが発生することを抑制し、繊維物を含む汚水を排水ホースに圧送しやすくすることができる。よって、往復動作式の容積式ポンプを用いることにより汚水中の繊維物がその容積式ポンプのケースとそのピストンとの間に挟まりロックを生じてしまうことを防ぐことができる。さらに、往復動作式のピストンの往復動作により脈打つように汚水が周期的に移動することで排水性能が確保できなくなり、洗浄水が比較的多く必要となってしまうということを防ぐことができる。
また、このように構成された本発明においては、容積式ポンプのねじ状の内部回転体の回転軸の一端側に入口部が配置され、他端側に出口部が配置されているので、ねじ状の内部回転体の回転軸の方向に沿って連続的な排水が安定してなされることができ、汚水の排水が良好になされることができる。また、回転軸の方向に沿った直線的な流れにより水流の攪拌を生じにくくすることができ、繊維物が絡みにくくすることができる。さらに、ねじポンプにおいては、ねじポンプの長さを増大させることにより圧送性能を増大させることが可能となるため、圧送性能を増大させるためにモータの回転数を増大させることを防ぐことができ、モータの大型化、高回転数化に伴って騒音の大きさが増大することも防ぐことができる。
このように構成された本発明においては、粉砕部内の汚物及び異物を、駆動手段により駆動される回転板の回転により、カッターを用いずに、生じた水の攪拌によって粉砕された汚物及び/又は繊維状の繊維物に分解することができる。
このように構成された本発明においては、圧送装置は、入口部の仮想中心軸線と、出口部の仮想中心軸線とが、同一水平面上に配置されるように構成されている。従って、入口部から出口部までの流路の方向が変化せず、水流の攪拌が生じにくくされているので、繊維物が絡まることを抑制し、排出されやすくなっている。
このように構成された本発明においては、圧送装置は、圧送室ケーシングと内部回転体との間には、所定量の隙間が常に残存するように形成される。従って、圧送室ケーシングと内部回転体との間に繊維物を挟み込むことを抑制することができ、繊維物を排出しやすくすることができる。また、内部回転体の回転数を増大させることにより、繊維物の噛み込みを抑制しながら、粉砕された汚物の粘性を利用して、容積式ポンプの圧送性能を確保することができる。
このように構成された本発明においては、容積式ポンプの2つの内部回転体の中央領域の一方側に入口部が配置され、他方側に出口部が配置され、入口部の仮想中心軸線と、出口部の仮想中心軸線とが、同一仮想軸線上に配置されるように構成されている。従って、入口部から流入する汚水の向きと、出口部から流出する汚水の向きとが同一仮想軸線の方向に沿って同じであり、排水の流れを比較的安定させやすくすることができ、汚水の排水が良好にされやすくすることができる。また、入口部から流入する汚水の向きに対して、出口部から流出する汚水の向きが曲がる場合と比べて、容積式ポンプ内を流れる汚水の攪拌を生じにくくすることができ、繊維物が絡まり合いにくくすることができる。
また、このように構成された本発明においては、回転式の容積式ポンプの2つの内部回転体は、ルーローの三角形の形状に形成され、外周面の凹凸を低減するようにしているので、2つの内部回転体の回転に伴う負圧によって発生する水流の攪拌、及びギヤの外周の凹凸による水流の攪拌が発生しにくくすることができる。従って、繊維物を更に絡みにくくすることができる。
図1は、本発明の一実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の斜視図であり、図2は本発明の一実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の全体構成図である。
水洗圧送式大便器装置1は、水洗式の便器装置であるので、従来の居室に配置可能な非水洗式のポータブルトイレのように汚物を他者が後始末する必要がなく、且つ汚物から臭気が発生することなく、居室等に配置することができる。ベッドサイドの設置されているような居室において臭気が発生することを防ぐことができることは使用者にとって非常に重要なメリットである。
水洗圧送式大便器装置1は、基部2が床Bに固定されておらず、使用者によって移動可能に形成されている。非据付け型水洗圧送式大便器装置1は、後述するように、建物A側の給水設備と可撓性の給水管22を介して接続され、且つ、建物A側の排水設備と床面上に配置された非勾配部分を有する排水管66(例えば排水ホース)を介して接続されている。従って、非据付け型水洗圧送式大便器装置1は、居室内において、自在に設置位置を変更することができる。さらに便器本体4には跳ね上げ式のアームレストが取付けられ、使用者の立ち座りをサポートし、さらに座った状態のバランスを確保できるようになっている。
ここで、上述したように、本実施形態の水洗圧送式大便器装置1の便器本体4として使用される便器については、一例として、洗浄水が便器本体4のボウル部12の高さ方向の落差により汚物を排出する洗い落し式の便器の形態について説明しているが、このような形態に限定されず、サイホン式やサイホンジェット式の便器、或いは、便器本体4の排出口部18にフラップ弁を設けたフラップ弁方式の便器等についても適用可能である。
給水管22は、その一部が給水ホース26等により可撓性に形成され、建物Aに対しての水洗圧送式大便器装置1の位置を変更することができる。水洗圧送式大便器装置1の床上の位置や向きを自在に変えることが出来る。また、給水管22の位置を調整することも可能である。
この給水バルブ24は、後述する制御部30からの指令により開閉動作が制御され、給水装置6の給水管22から便器本体4への洗浄水の給水又は止水が切り替えられるようになっている。
操作部28は、制御部30と制御信号の通信ができるように接続されている。これにより、使用者が便器本体4の使用後、リモコン(図示せず)等に設けられた洗浄開始を指令するための洗浄スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御部30が、その指令に基づいて給水装置6に給水指令をし、給水装置6から便器本体4内へ所定時間給水が行われ、便器本体4が洗浄されるようになっている。
本発明の一実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の粉砕圧送装置において、粉砕室内の汚物等の攪拌が開始された直後の状態を示す図であり、図4は本発明の一実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の粉砕圧送装置において、粉砕室内の汚物等が攪拌され、繊維状に分解された繊維物が生じる様子を示す図であり、図5は本発明の一実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の粉砕圧送装置において、粉砕室内の汚物等が攪拌され、繊維状に分解された繊維物及び汚物断片を含む汚水を、圧送装置から排水管に圧送する様子を示す図である。
粉砕圧送装置10は、便器本体4の排出口部18と連通し、汚物を粉砕する粉砕手段36を備えた粉砕部34と、粉砕部34の下流側に設けられ、この粉砕手段36により粉砕された汚物及び汚水を外部の排水設備38へ圧送する圧送装置40と、粉砕部34と圧送装置40との間の流路を形成する貯留槽42と、粉砕部34の出口部34aから圧送装置40の入口部40aまでの間の流路に設けられ、所定以下の大きさを有する物体を通過させる通過規制部44と、粉砕部34の出口部34aから圧送装置40の入口部40aまでの間の流路に設けられ、粉砕部34から圧送装置40への流路を開閉する圧送装置流入弁46とを備えている。
底板58は、粉砕室50内の底部に設けられている。この底板58が回転することにより、水をかきまわすことでき、粉砕室50内の汚水及び汚物等が攪拌される。底板58には、その上面から上方に突出するような突起部60が複数形成されており、この突起部60により、水をかきまわすことでき、粉砕室50内の汚水及び汚物等が攪拌される。
圧送装置40は、粉砕部34により粉砕された汚物及び汚水を外部の排水設備38へ圧送する圧送装置40の外形を構成する圧送室ケーシング62と、圧送室ケーシング62内に配置される内部回転体64と、内部回転体64をポンプ回転軸63を中心に回転させる圧送装置電動モータ65と、圧送室ケーシング62から圧送される汚水等を送る排水管66とを備えている。
内部回転体64が回転されることにより、圧送室ケーシング62内の汚水等を、その圧力を高めて排水管66から比較的高い圧力で強制的に圧送できるようになっている。本実施形態のような、ねじポンプにおいては、内部回転体64及び圧送室ケーシング62で構成されるねじポンプの長さを増大させることにより圧送性能を増大させることが可能となるため、圧送性能を増大させるために圧送装置電動モータ65の回転数を増大させることを防ぐことができ、モータの大型化、高回転数化に伴って騒音の大きさが増大することも防ぐことができる。なお、前述の記載は、圧送装置電動モータ65の回転数を増大させることを除く趣旨ではなく、本実施形態において、圧送装置電動モータ65の回転数を増大させ、内部回転体64の回転数を増大させることにより、輸送流体の攪拌を抑制しながら輸送圧力を増大させることも可能である。
排水管66は、居室内での曲がりを可能にするため、配管径が約20mm程度の比較的細い直径の配管である。従って、固形の物体が比較的つまりやすく、20mm近い固形の物体が排水管66を流れないようにする必要がある。
図6は本発明の一実施形態による圧送式便器装置における、制御部の制御シーケンスを示すフローチャートである。ここで、図6において、Sは各ステップを示している。
制御部30は、使用者が操作部28を洗浄開始操作したと判定した場合には、給水バルブ24を開き、給水管22から便器本体4への給水を開始させる。便器本体4への洗浄水の給水により、洗浄水が便器本体4のボウル部12上の汚物と、トイレットペーパーと、流せるおしり拭きと、オムツとを洗い流し、汚水及びこれらの汚物等が粉砕室50内に排出される。制御部30は、使用者が操作部28を洗浄開始操作したと判定してから、所定のボウル部12の洗浄時間が経過した後に、S2に進む。
ここで、図3に示すように、電動モータ54の回転が、回転軸56及び底板58に伝達される。底板58の回転により、水流が内側壁52に衝突しながら壁に沿って上昇した後に内側に戻ってくるように攪拌される。また、図4に示すように、汚水及び汚物等は、粉砕室50内でさらに激しく攪拌され、汚物等が内側壁52に衝突する衝撃力等によりほぐされるように分解され且つ粉砕される。
これに対し、「粉砕できない異物」に区分されるオムツについては、水の攪拌によって基本的に分解されないため、図3乃至図5において点線Eで示すように、ほぼ原型をとどめたまま、粉砕部34内に存在している。このように「粉砕できない異物」については分解できないため、通過規制部44を通過することができず、粉砕部34内に残されることとなる。このような場合には、報知部32が、使用者に粉砕室50内に粉砕できない異物が存在していることを報知する。
S5において、制御部30は、圧送装置流入弁46を開き、汚水及びほぼ液状の状態で汚物断片Cを含む汚物及び/又は繊維状の繊維物Fを、粉砕室50から貯留槽42に流出させる。このとき通過規制部44が粉砕部34の出口部34aに設けられているので、粉砕できていない比較的大きな物体(例えば、粉砕できない異物)が粉砕室50内に存在した場合においても、通過規制部44の孔70を通過することができず、孔70に引っ掛かる。よって、比較的大きな物体が圧送装置40及び排水管66に流れ込み、これらを詰まらせることを防ぐことが出来る。
また、通過規制部44の孔70は、繊維物Fを通過させることができるので、繊維物Fを粉砕室50内に溜めこまずに積極的に圧送装置40に流すことができる。従って、繊維物Fを粉砕室50内で絡め捕る場合のように定期的に繊維物Fを取り除くメンテナンスが必要となってしまうことを防ぐことができ、分解により繊維物Fを生じてしまう様な流せるおしり拭き等の異物を水洗圧送式大便器装置1に投入しても繊維物Fを絡まないように排水管66に排出することができる。
S7においては、制御部30は、粉砕圧送装置10の電動モータ54及び圧送装置電動モータ65を停止させる(ON状態からOFF状態にする)。そして、制御部30は、S8に進み、一連の制御を終了し、待機状態に戻る。
従来の水洗圧送式大便器装置においては、粉砕部内に設けられたカッターにより投入されたものを全て粉砕することにより排出しようとしていたが、粉砕できないおむつ等の異物を噛み込んでカッターの回転をロックしてしまうことが生じていた。これに対し、本発明の発明者らは、汚物は粉砕部34内の水流の攪拌により微細に分解可能であるという知見を見出し、異物等をカッターによりカッティングしないことにより電動モータ54がロックしにくい水流攪拌方式の粉砕部を発明した。よって、仮に異物等が投入された場合においても、無理にカッティングしないことにより、回転をロックさせずに、水流の攪拌により汚物の排出を継続することができる。
このように、出願人らは、非据付け型の水洗圧送式大便器装置1の実用化に成功し、大きな事業的な成功を得ている。
しかしながら、近年の技術開発に伴い、介護や乳児のためのお尻拭き、他の衛生用品、医療品、又は他の清掃用品等で水洗大便器にそのまま流せるとうたわれている新しいタイプの商品が開発されている。従来の便所据付け式の水洗大便器であればこれらの商品の排出には問題が生じないが、非据付け型の水洗圧送式大便器装置1においては、排水ホース68に勾配が付けられないこともあり、粉砕後に遠心圧送装置により粉砕した汚物を圧送して排出する必要があることから、非据付け型の水洗圧送式大便器装置において、さらなる固有の課題が発生している。
具体的には、上述のようないわゆる流せるお尻拭き等は水流攪拌方式の粉砕部34において、中途半端にしか分解できずに、繊維状の繊維物Fを生じてしまう。従って、おしり拭き等の分解により生じた繊維物Fが、遠心圧送装置において再び塊状に絡み合い、圧送装置のつまりを生じさせるという課題が発生することとなった。
このように、遠心圧送装置が詰まり、水洗大便器が使用できなくなることは、一人でトイレに行けないような移動が不自由な使用者にとって非常に大きな問題を生じる。
このような繊維物Fを、粉砕部や遠心圧送装置において取り除こうとする場合には、専門のスタッフによるメンテナンスにより繊維物Fを定期的に取り除く手間が生じてしまい、たまった繊維物Fに汚物が付着して悪臭の問題も生じてしまう。
従って、上述のような流せるお尻拭き等は非据付け型の水洗圧送式大便器装置に投入しないようにさせることが検討されていた。
本発明の発明者らは、逆に、圧送装置から繊維物をうまく排出することが出来れば、繊維物を取り除くメンテナンスを省くことができ、上述のような流せるお尻拭き等を非据付け型の水洗圧送式大便器装置に投入できるようになると考えて検討を行ってきた。ベッドサイドなどで使用した流せるおしり拭き等をすぐ流すことができれば、移動に困難を抱えている使用者が流せるおしり拭き等を他の場所に捨てる手間が省け、これを水洗圧送式大便器装置で排出することができるため、使用者にとって非常に有用となる。おしり拭きや汚物をふき取ったような清掃用品等が流せないと、さらに介護する人がこれらを処分する手間が生じることとなるが、このような手間も無くすことができる。
よって、ベッドサイド等において様々な異物及び汚物を投入される可能性がある非据付け型の水洗圧送式大便器装置1において、繊維物Fが絡み合うことを抑制するように水流の攪拌を生じにくくしながら圧送できる容積式ポンプを粉砕部34と組合せることにより、分解できない異物を粉砕部34に残し且つ繊維状まで分解できた繊維物Fを容積式ポンプから排出させることができる。
このような課題を解決することにより、いわゆる流せるおしり拭き等の分解により繊維物Fを生じさせるような異物を投入しても、圧送装置40において繊維物Fを絡まり合って大きく成長させること及び圧送装置40を詰まらせることを抑制しながら、圧送することができ、使用を継続することができる非据付け型の水洗圧送式大便器装置1を提供することができる。
さらに、ねじポンプにおいては、ねじポンプの長さを増大させることにより圧送性能を増大させることが可能となるため、圧送性能を増大させるためにモータの回転数を増大させることを防ぐことができ、モータの大型化、高回転数化に伴って騒音の大きさが増大することも防ぐことができる。
図7(a)は本発明の第2実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置101の圧送装置140を示す概略水平断面図であり、図7(b)は図7(a)の内部回転体164の状態から内部回転体164がさらに回転した状態を示す概略水平断面図であり、図7(c)は図7(b)の内部回転体164の状態から内部回転体164がさらに回転した状態を示す概略水平断面図であり、図7(d)は図7(c)の内部回転体164の状態から内部回転体164がさらに回転した状態を示す概略水平断面図であり、図7(e)は図7(d)の内部回転体164の状態から内部回転体164がさらに回転した状態を示す概略水平断面図である。図7(a)乃至図7(e)において、主な水流の流れを矢印により示し、内部回転体164の回転を点線矢印により示している。
第2実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置は、上述した第1実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置と構造がほぼ同じであるため、ここでは、第2実施形態の第1実施形態とは異なる部分等を説明する。
圧送装置140は、粉砕部34により粉砕された汚物及び汚水を外部の排水設備38へ圧送する圧送装置140の外形を構成する圧送室ケーシング162と、圧送室ケーシング162内に配置される内部回転体(ギヤ)164と、内部回転体164を2つのポンプ回転軸163を中心にそれぞれ回転させる圧送装置電動モータ65と、圧送室ケーシング162から圧送される汚水等を送る排水管66とを備えている。
内部回転体164は、ルーローの三角形形状を形成し、その三角形形状の各辺は、外側に湾曲した弧(例えば円弧)により形成されている。内部回転体164は、繊維物Fが詰まることを抑制するため、内部回転体164の三角形の頂点164aが、圧送室ケーシング162の内壁と接触することを防ぐように、頂点164aがポンプ回転軸63を中心に圧送室ケーシング162の内径よりもやや小さい直径を有するように形成されている。従って、内部回転体164の頂点164a及び外周の辺164bと、ケーシングを形成する圧送室ケーシング162との間には、所定量の隙間Sが常に残存するように形成されている。この隙間Sが常に存在するため、繊維物Fが内部回転体164と圧送室ケーシング162との間に詰まりにくくすることができる。2つの内部回転体164はそれぞれ同時に逆向きの回転(一方は時計回り、他方は反時計回り)をするようになっているが、互いの内部回転体164の頂点が内側にくるタイミングと、辺が内側にくるタイミングとが合わさるようになっており、互いの内部回転体164同士は接触しないように回転を続けることができる。
このように内部回転体164が回転されることにより、圧送室ケーシング162内の汚水等を、その圧力を高めて排水管66から比較的高い圧力で強制的に圧送できるようになっている。
変形例として、一方の内部回転体164は、回転軸56の下部端に取り付けられ、このとき回転軸56の回転をギヤ等により他方の内部回転体164に伝達するように構成されていてもよい。
例えば、図7(a)に示すような、辺164bと圧送室ケーシング162との間に形成される空間領域D3は、図7(b)においては空間領域D4の位置に移動され、図7(c)においては空間領域D5の位置に移動され、図7(d)においては空間領域D6の位置に移動され、図7(e)においては空間領域D7の位置に移動される。
このように、辺164bと圧送室ケーシング162との間に形成される空間領域が出口部162bに向かって徐々に移動する。内部回転体164の回転に伴って、入口部162aから流入した洗浄水をほぼ同じ大きさ(ほぼ変わらない大きさ)の空間領域内に収容したまま出口部162bに向かって移動して押し出すように圧送するので、流入した洗浄水の攪拌及び洗浄水の乱れを抑制し、各領域内において渦流が発生することを抑制し、仮に渦流が発生したとしてもこれが増大することを抑制しながら、出口部162bから排水管66に圧送することができる。また、各領域内において流速差が生じて流れが滞留する部分が発生することを抑制する。このようにして、圧送室ケーシング162及び内部回転体164は、辺164bと圧送室ケーシング162との間に形成される空間領域において、繊維物Fを絡まりあわせるような流れを積極的に生じさせにくいような安定状態をとりながら、繊維物Fを含む汚水等を入口部162aから出口部162bに搬送することができ、繊維物Fを排水管66に圧送することができる。
図8は、本発明の第3実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の粉砕圧送装置において、粉砕部234内の汚物等が粉砕され、圧送装置40から圧送される様子を示す図である。
第3実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置は、上述した第1実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置と構造がほぼ同じであるため、ここでは、第3実施形態の第1実施形態とは異なる部分等を説明する。
粉砕圧送装置210は、便器本体4の排出口部18と連通し、汚物を粉砕する粉砕手段36を備えた粉砕部234を備えている。
粉砕部234は、このような構成により粉砕刃を設けずに、粉砕室250内における洗浄水の攪拌による水流の旋回及び対流により、汚物等を移動しつつ、側部248に衝突させ且つ強い水流に晒すことにより粉砕するようになっている。粉砕室250は内部が空洞の円柱形状に形成されている。このように粉砕室250は、流入口部244と、底板246と、側部248と、頂部251を備えている。
流入口部244は、粉砕室250の頂部251のほぼ中央に形成されたほぼ円形の流入口256と、流入口256を形成する円形の縁部分の内側が下方に傾斜するように形成された漏水防止部258とを備えている。
流入口部244の流入口256は、便器本体4から排出された汚水に含まれる汚物を粉砕室250内に搬送する排出口部18を、開口の内側に離間した状態で受け入れられるように、粉砕室250の上部に形成されている。
変形例として、側部が、底板と接続されずに形成されていてもよい。この場合、側部が、底板を介さずに、回転軸56に取付けられ、回転軸56によって回転される。この場合においては、底板が電動モータ54により回転される場合に、側部も、電動モータ54により底板の回転速度と同じ速度で一緒に回転駆動される。
頂部251は、その外縁部と、側部248の上端とが接続されているので、側部248とともに回転するようになっており、遠心力を受けて側部248に沿って上昇する水流が、側部248の上部から頂部251に沿って内側に折り返すことができるようになっている。頂部251は、底板246とほぼ平行に配置されている。
圧送装置40は、第1実施形態による非据付け型水洗圧送式大便器装置の圧送装置40と同様の構造であり、水の攪拌によって分解された汚物及び繊維物Fが混入した汚水を、水流の攪拌を生じにくくするように容積式ポンプによって可撓性の排水管66に圧送するよう構成されている。
2 基部
4 便器本体
6 給水装置
8 機能部
10 粉砕圧送装置
12 ボウル部
14 導水路
16 排水トラップ管路
18 排出口部
20 給水設備
22 給水管
24 給水バルブ
26 給水ホース
28 操作部
30 制御部
32 報知部
34 粉砕部
34a 出口部
36 粉砕手段
38 排水設備
40 圧送装置
40a 入口部
42 貯留槽
44 通過規制部
46 圧送装置流入弁
50 粉砕室
52 内側壁
54 電動モータ
56 回転軸
57 異物ホールドバー
58 底板
60 突起部
62 圧送室ケーシング
62a 入口部
62b 出口部
63 ポンプ回転軸
64 内部回転体
64a 羽根
65 圧送装置電動モータ
66 排水管
68 排水ホース
70 孔
101 水洗圧送式大便器装置
140 圧送装置
162 圧送室ケーシング
162a 入口部
162b 出口部
163 ポンプ回転軸
164 内部回転体
164a 頂点
164b 辺
201 水洗圧送式大便器装置
210 粉砕圧送装置
234 粉砕部
244 流入口部
246 底板
248 側部
250 粉砕室
251 頂部
256 流入口
258 漏水防止部
260 突起部
A 建物
A1 仮想中心軸線
A2 仮想中心軸線
A3 回転軸線
A4 仮想中心軸線
A5 仮想中心軸線
B 床
C 汚物断片
D1 空間領域
D2 空間領域
D3 空間領域
D4 空間領域
D5 空間領域
D6 空間領域
D7 空間領域
F 繊維物
S 隙間
X 矢印
Claims (5)
- 居室のベッドサイドにも配置可能な非据付け型の水洗圧送式大便器装置であって、
建物に対して移動可能な非据付け型の水洗大便器と、
上記水洗大便器から汚物を搬送するための洗浄水を供給する給水手段と、
上記水洗大便器から排出された汚物を分解して、粉砕された汚物を排水管に圧送する粉砕圧送装置とを有し、
上記粉砕圧送装置は、
上記水洗大便器から洗浄水とともに搬送された汚物及び異物を溜める粉砕部と、
上記水洗大便器から搬送される汚物及び異物を受け入れるように上記粉砕部に形成された供給口と、
上記粉砕部自体を回転駆動させる、もしくは上記粉砕部の内部に設けられた回転板を駆動させる駆動手段と、
粉砕された汚物を排出するように上記粉砕部に形成された排出口と、
上記排出口から排出された汚物を含む汚水を可撓性の排水ホースを介して排水管に圧送する圧送装置と、を備え、
上記粉砕圧送装置は、汚物及び異物を上記粉砕部内で水の攪拌によって分解するように構成され、分解できなかった異物を上記粉砕部に残し、繊維状まで分解できた繊維物を汚水中に含めて上記圧送装置に排出させるように構成され、
上記圧送装置は、
容積式ポンプであるねじポンプを構成するねじ状の内部回転体と、
上記内部回転体を内側に配置する圧送室ケーシングとを備え、
上記圧送室ケーシングは、上記内部回転体の回転軸の一端側に入口部を形成すると共に上記内部回転体の上記回転軸の他端側に出口部を形成し、さらに、上記圧送室ケーシングの上記入口部及び上記出口部は、上記内部回転体の上記回転軸の下方側に配置され、
上記圧送装置は、上記水の攪拌によって分解された汚物及び繊維物が混入した汚水を、水の攪拌を生じにくくするようにねじポンプによって上記可撓性の排水ホースに圧送するよう構成されている、ことを特徴とする非据付け型水洗圧送式大便器装置。 - 上記粉砕圧送装置は、上記駆動手段により駆動される上記回転板の回転により上記粉砕部内の汚物及び異物を洗浄水とともに攪拌し、汚物及び異物をカッターを用いずに水の攪拌によって粉砕された汚物及び/又は繊維状の繊維物に分解するよう構成されている、請求項1記載の非据付け型水洗圧送式大便器装置。
- 上記圧送装置は、上記入口部の仮想中心軸線と、上記出口部の仮想中心軸線とが、同一水平面上に配置されるように構成されている、請求項1又は2に記載の非据付け型水洗圧送式大便器装置。
- 上記圧送装置は、上記圧送室ケーシングと上記内部回転体との間には、所定量の隙間が常に残存するように形成される、請求項3に記載の非据付け型水洗圧送式大便器装置。
- 居室のベッドサイドにも配置可能な非据付け型の水洗圧送式大便器装置であって、
建物に対して移動可能な非据付け型の水洗大便器と、
上記水洗大便器から汚物を搬送するための洗浄水を供給する給水手段と、
上記水洗大便器から排出された汚物を分解して、粉砕された汚物を排水管に圧送する粉砕圧送装置とを有し、
上記粉砕圧送装置は、
上記水洗大便器から洗浄水とともに搬送された汚物及び異物を溜める粉砕部と、
上記水洗大便器から搬送される汚物及び異物を受け入れるように上記粉砕部に形成された供給口と、
上記粉砕部自体を回転駆動させる、もしくは上記粉砕部の内部に設けられた回転板を駆動させる駆動手段と、
粉砕された汚物を排出するように上記粉砕部に形成された排出口と、
上記排出口から排出された汚物を含む汚水を可撓性の排水ホースを介して排水管に圧送する圧送装置と、を備え、
上記粉砕圧送装置は、汚物及び異物を上記粉砕部内で水の攪拌によって分解するように構成され、分解できなかった異物を上記粉砕部に残し、繊維状まで分解できた繊維物を汚水中に含めて上記圧送装置に排出させるように構成され、
上記圧送装置は、上記水の攪拌によって分解された汚物及び繊維物が混入した汚水を、水の攪拌を生じにくくするように容積式ポンプによって上記可撓性の排水ホースに圧送するよう構成され、
上記容積式ポンプは、2つの内部回転体を有するギヤポンプにより形成され、上記2つの内部回転体の中央領域の一方側に入口部が形成され、他方側に出口部が形成され、入口部の仮想中心軸線と、出口部の仮想中心軸線とが、同一仮想軸線上に配置されるように構成され、上記2つの内部回転体は、ルーローの三角形の形状に形成される、非据付け型水洗圧送式大便器装置。
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