以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明にかかる除加湿装置の一例の斜視図であり、図2は図1に示す除加湿装置の前カバーを外した正面図であり、図3は図1に示す除加湿装置の背面カバーを外した背面図であり、図4は図1に示す除加湿装置の断面図である。なお、以下の説明において、図1に示す状態を除加湿装置Aの使用状態とし、左側を正面、すなわち、フロントとし、右側を背面、すなわち、リヤとする。
除加湿装置Aは周囲の空気を吸い込むとともに、空気に含まれる塵埃等の異物を除去する空気清浄機能、空気に含まれる水分を除去する除湿機能、空気の湿度を高める加湿機能を備えた装置である。除加湿装置Aは、筐体1、送風機2、空気清浄ユニット3、除湿ユニット4及び加湿ユニット5を備えている。
筐体1は除加湿装置Aの外装部材であり、ケース11、フロントカバー12、リヤカバー13、ルーバ14、吹出し口15、第1吸込口16、第2吸込口17及び仕切部材18を備えている。ケース11は、内部に空間を有する箱型の部材であり、直方体形状を有している。ケース11は例えば、板金等を用いて形成されるものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
図1に示すように、ケース11は縦長に立設した状態で使用されるものであり、互いに反対側に向く面が正面及び背面となっている。そして、正面及び背面は開口を有しており、正面にはフロントカバー12が、背面にはリヤカバー13がそれぞれ着脱可能に取り付けられている。フロントカバー12及びリヤカバー13は筐体1の内部の機器に使用者の手等が不意に進入するのを抑制する保護部材であるとともに、ケース11に取り付けられていることで、強度部材としての役割も果たす。また、フロントカバー12又はリヤカバー13を取り外すことで、送風機2、空気清浄ユニット3、除湿ユニット4、加湿ユニット5等の内部機器を取り扱うことができる。ここで、「取り扱い」としては、内部機器の修理、保守、点検等を挙げることができるが、これらに限定されない。
筐体1は、第1吸込口16及び第2吸込口17から吸い込んだ空気から異物を除去するとともに、必要に応じて加湿又は除湿した空気を吹出し口15から吹出す。吹出し口15は除加湿装置Aを使用状態に設置したときに、上面に開口している。そして、吹出し口15にルーバ14が設けられている。ルーバ14は、吹出し口15から吹出す空気の流れ方向、すなわち、気流の方向を調整するためのフィンであり、吹出し口15を閉じることができる扉としても使用される。つまり、除加湿装置Aでは、動作していないときには、ルーバ14を閉じ、動作開始とともに開く。なお、ルーバ14は、除加湿装置Aの動作に応じて自動で開閉するものであってもよいし、手動で開閉するものであってもよい。また、一定の角度まで自動で開いたのち、手動で所望の角度に調整することができるものであってもよい。
図4に示すように、ケース11の背面には、空気清浄ユニット3が配置される開口111が設けられている。そして、第1吸込口16及び第2吸込口17は開口111に形成されている。第2吸込口17、第1吸込口16及び第2吸込口17が上から順に並んで配置されている。第1吸込口16及び第2吸込口17は後述の空気清浄フィルタ31に覆われており、空気清浄フィルタ31を通過した空気が、第1吸込口16及び第2吸込口17から吸い込まれる。なお、第1吸込口16は後述の第1風路R1の空気の流入口であり、第2吸込口17は後述の第2風路R2の空気の流入口である。
仕切部材18は、第1風路R1と第2風路R2とを分けるための仕切である。ケース11の内部には上側の仕切部材181と下側の仕切部材182とが設けられている。また、ケース11を背面側から見たときに、開口の上側の仕切部材181と下側の仕切部材182とで挟まれる空間と重なる部分が第1吸込口16であり、それ以外の部分すなわち仕切部材181の上部又は仕切部材182の下側と重なる部分が第2吸込口17である。
送風機2は、多翼ファン21、ファンケース22、ファンモータ23及び吐出口24を備えている。多翼ファン21は、ここでは、遠心方向に空気を排出するファンであり、回転することで、中央部分から空気を吸い込むとともに、外周に向かう気流を発生させる。多翼ファン21は軸方向に並べて組み合わせた構成を有しており、軸方向の両端の中央部分から空気を吸い込むことが可能な構成を有する、いわゆる両翼ファンである。また、図4では、送風機2は上部が背面側に近づくように傾斜しているが、傾斜しないように、設けられていてもよい。
多翼ファン21はファンケース22の内部に回転可能に配置されている。ファンケース22は、吐出口24と連結されており、多翼ファン21の周方向に発生した気流を吐出口24に向けて吹出すことができる構成を有している。ファンケース22は多翼ファン21の軸方向の両端のそれぞれと対向するように設けられた2個の面を有しており、それらの面にはそれぞれ空気を吸い込むための第1吸気口25と第2吸気口26とが設けられている。図4に示すように、ファンケース22は、第1吸気口25が背面側、第2吸気口26が正面側に向くようにケース11の内部に固定されている。
多翼ファン21は、ファンモータ23の出力軸に取り付けられている。ファンモータ23はファンケース22に固定されており、ファンモータ23が回転駆動することで、多翼ファン21が回転する。吐出口24は多翼ファン21の回転によって発生した気流を吐出する開口である。吐出口24は、ファンケース22の多翼ファン21が配置された内部と連通した筒形状を有している。そして、吐出口24は吹出し口15と連通している。つまり、吐出口24から吐出された気流は、吹出し口15を経て除加湿装置Aの外部に吹出される。なお、吹出し口15を気流の流れ方向に一定の長さを有するように形成することで、吹出す気流を整流することができ、気流を遠くまでいきわたらせることが可能である。なお、図示を省略しているが、吹出し口15にイオン発生器を配置して、必要に応じて気流にイオンを包含させるようにしてもよい。
空気清浄ユニット3は、空気清浄フィルタ31及びメッシュ32を備えている。空気清浄ユニット3は、ケース11の背面に設けられた開口111に配置されている。メッシュ32は、網目状の部材であり、開口111から内部に手、工具等が侵入するのを抑制するための保護部材であるとともに、空気清浄フィルタ31がずれないように保持する保持具として利用される。空気清浄フィルタ31は、通過する空気から塵、埃等の異物を捕集するフィルタである。空気清浄フィルタ31及びメッシュ32は開口111に対して着脱可能に取り付けられている。
空気清浄フィルタ31としては、不織布フィルタを挙げることができるがこれに限定されない。空気清浄フィルタ31は、通過する空気の量が多いほど、気流の流量が高いほど、異物の捕集効率が高くなる。また、空気清浄フィルタ31は、捕集した異物の量が多くなると、空気が通過しにくくなる。そのため、リヤカバー13を取り外すだけで着脱可能な構成となっている。また、空気清浄フィルタ31は使い捨てでもよいし、洗浄後再利用するようにしてもよい。第1吸込口16及び第2吸込口17の全てが1個の空気清浄フィルタ31で覆われていてもよいし、分割して覆うようなものであってもよい。
除湿ユニット4は、蒸発器41、凝縮器42、除湿トレイ43及び除湿タンク44を備えている。除湿ユニット4は、通過する空気を冷却し空気に含まれる水分を結露させることで、空気に含まれる水分を取り除く、すなわち、除湿する。除湿ユニット4は、冷媒を循環させ、冷媒の相変化を利用して、空気を冷却する冷凍サイクル装置を備えている。冷凍サイクル装置は、蒸発器41、凝縮器42以外にも、図示を省略した圧縮機、膨張器等を備えている。
蒸発器41及び凝縮器42は、熱交換器であり、例えば、フィンを用いた熱交換器を挙げることができるがこれに限定されない。除湿ユニット4は、ケース11の送風機2に対して正面側に設けられており、第2吸気口26に近接して配置される。送風機2の駆動により第2吸気口26からファンケース22に空気が吸い込まれると、蒸発器41及び凝縮器42のフィンの隙間を流れる気流が発生する。
蒸発器41は通過する空気を冷却し、凝縮器42は通過する空気を暖める。そのため、除湿ユニット4では、気流の上流側に蒸発器41を配置して通過する空気を冷却して、蒸発器41、ここでは、主にフィンやパイプに結露させる。そして、蒸発器41で冷やされた空気を凝縮器42で高温の冷媒との熱交換で暖め、蒸発器41に流入したときと同じ又は略同じ温度に昇温する。以上のことから、除湿ユニット4では、気流の凝縮器42よりも上流に蒸発器41が配置される。
また、除湿トレイ43は、蒸発器41の下部に配置された容器であり、蒸発器41の表面で結露した結露水、いわゆる、ドレン水を受けるための受け皿である。そして、除湿トレイ43で受けた水は、不図示の配管を介して除湿タンク44に送られる。除湿タンク44は、ケース11にスライドして着脱可能に設けられた容器である。除湿タンク44に溜まったドレン水の量、例えば、水位を検出することができるようになっている。除加湿装置Aでは、除湿タンク44に一定量のドレン水が溜まると、警告を行うようになっているとともに、除加湿装置Aの少なくとも除湿ユニット4は停止する。使用者が、警告に応じて除湿タンク44を取り外して、溜まったドレン水を排水することで、再度利用可能になる。なお、空気清浄が可能な構成であるため、除湿タンク44を取り外しても、空気清浄運転と同様に、ファン21を動かし続けてもよい。
なお、本実施形態では、冷凍サイクルを用いて除湿を行っているが、これに限定されず、乾燥剤等の水を吸着する材料を用いた除湿ユニットを用いてもよい。
加湿ユニット5は、加湿ロータ51、駆動モータ52、加湿トレイ53、加湿部材54及び加湿タンク55を備えている。図3等に示すように、加湿ロータ51は外周部分に設けられた円筒部511と、円筒部511の内側を支持する支持部512とを備えており、ケース11に回転可能に支持されている。円筒部511の内部には、水を含むことができる、すなわち、水を保持できる加湿部材54が配置される。円筒部511及び支持部512は加湿部材54を保持する保持部材としての役割を果たす。
加湿ロータ51は回転可能に設けられており、加湿ロータ51は不図示の動力伝達機構を介して駆動モータ52から出力される軸力が伝達されて回転する。加湿ロータ51及び加湿トレイ53は、加湿ロータ51の下部が、加湿トレイ53の内部を通過するように配置される。そして、加湿ロータ51の円筒部511には、水をすくい上げることができるバケットが設けられており、加湿ロータ51は回転するときにバケットで加湿トレイ53に溜まっている水をすくい上げ、上部から加湿部材54に水を流す。これにより、加湿部材54に水を供給する。加湿部材54は不織布等の無数の微小隙間を有する部材を備えており、毛細管現象によって全体に水が行き渡る。なお、加湿トレイ53と加湿タンク55とは配管で接続されており、加湿トレイ53に一定以上の水量となるように、加湿タンク55から水が追加されるようになっている。
加湿ロータ51を回転させる構成とするとともに、複数個の加湿部材54を独立して保持するようにしてもよい。加湿ロータ51の回転を停止することでバケットからの水の供給を停止することができるので、加湿部材54を容易に乾燥させることができる。つまり、加湿機能から空気清浄機能又は除湿機能に切り替えたときに、湿度の高い空気が流れる時間を短くすることができる。なお、切り替え後の機能は、空気清浄機能又は除湿機能に限定されるものではない。
加湿ユニット5は、ケース11内に、送風機2に対して背面側に設けられており、第1吸気口25に近接して配置される。すなわち、加湿ユニット5の加湿ロータ51の回転軸方向の端部が第1吸気口25と対向するように配置されている。送風機2の駆動により第1吸気口25からファンケース22に空気が吸い込まれると、加湿ロータ51の円筒部511の内部を軸方向に流れる気流が発生する。円筒部511の内部には加湿部材54が配置されており、加湿部材54が水を保持している、すなわち、湿っているとき、加湿部材54は気流に対して水を供給する、すなわち、流れる空気を加湿する。なお、加湿ユニット5の位置は加湿ロータ51を流れる気流が、加湿運転時に水を保持している加湿部材54を通過するように、調整されている。
なお、除加湿装置Aにおいて、加湿ユニット5は、加湿ロータ51を回転させてバケットで水をすくい、すくい上げた水を上部から加湿部材54に流すものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、加湿部材54が加湿トレイ53に貯められている水と接触し、毛細管現象でいきわたらせる構成であってもよい。なお、加湿トレイ53及び(又は)加湿タンク55には、例えば、除菌機能のような、溜まっている水が劣化するのを抑制するための機能が備えられていてもよい。
次に本発明にかかる除加湿装置Aの気流の流れる径路である風路について説明する。図5は本発明にかかる除加湿装置の風路を示す図である。図5には、矢印を用いて第1風路及び第2風路を記載している。
図5に示すように、除加湿装置Aには、空気清浄フィルタ31を通過した空気が第1吸込口16から、加湿ユニット5、第1吸気口25、ファンケース22及び吐出口24を経て吹出し口15に至る第1風路R1が形成されている。第1風路R1は、第1吸込口16から吸い込まれた空気が、直接、加湿ユニット5に流入するとともに通過し第1吸気口25からファンケース22に流入する経路を含んでいる。
また、空気清浄フィルタ31を通過した空気が第2吸込口17から、送風機2を迂回して除湿ユニット4、第2吸気口26、ファンケース22及び吐出口24を経て吹出し口15に至る第2風路R2が形成されている。なお、第2風路R2は、上側の第2吸込口17から流入した空気が上側の仕切部材181の上部を通過し、フロントカバー12に沿って下方に流れ、除湿ユニット4を通過して第2吸気口26からファンケース22に流入する上側の風路R21を含んでいる。また、第2風路R2は、下側の第2吸込口17から流入した空気が下側の仕切部材182の下部を通過し、フロントカバー12に沿って上方に流れ、除湿ユニット4を通過して第2吸気口26からファンケース22に流入する下側の風路R22を含んでいる。
除加湿装置Aでは、除湿ユニット4及び加湿ユニット5の動作にかかわらず、多翼ファン21の回転駆動によって、第1風路R1及び第2風路R2(R21及びR22)に気流が発生する。第1風路R1の吸込口である第1吸込口16及び第2風路R2(R21、R22)の第2吸込口17はいずれも空気清浄フィルタ31に覆われており、第1吸込口16及び第2吸込口17を通過する気流は空気清浄フィルタ31を通過する。
そして、除加湿装置Aは、除湿ユニット4及び加湿ユニット5を選択的に動作させることが可能な構成となっている。すなわち、除湿ユニット4及び加湿ユニット5の両方を停止、除湿ユニット4だけを動作及び加湿ユニット5だけを動作の3種の動作に切り替わる。以下に3種の動作について説明する。
除湿ユニット4及び加湿ユニット5の両方を停止すると空気清浄ユニット3の空気清浄フィルタ31で異物を取り除くだけの空気清浄運転が行われる。すなわち、第1風路R1で発生する気流は、加湿ユニット5を通過するが、加湿ユニット5が停止しているため通過する空気の加湿は行われない。また、第2風路R2(R21、R22)で発生する気流は、除湿ユニット4を通過するが、除湿ユニット4が停止しているため通過する空気の除湿は行われない。そのため、第1吸込口16及び第2吸込口17から吸い込まれて吹出し口15から吹出される空気は、塵埃等は捕集されるが除湿も加湿もされない。
除湿ユニット4だけを動作させた場合、第1風路R1を流れる気流は、動作していない加湿ユニット5を通過するため、加湿されない。また、第2風路R2(R21、R22)を流れる気流は、動作している除湿ユニット4を通過するため、除湿される。すなわち、除湿ユニット4を動作させた除湿運転のときには、気流(空気)から空気清浄フィルタ3
1で異物を捕集するとともに、第2風路R2(R21、R22)を流れる気流を除湿する運転となる。
加湿ユニット5だけを動作させた場合、第2風路R2(R21、R22)を流れる気流は、動作していない除湿ユニット4を通過するため、加湿されない。また、第1風路R1を流れる気流は、動作している加湿ユニット5を通過するため、加湿される。すなわち、加湿ユニット5を動作させた除湿運転のときには、通過する空気から空気清浄フィルタ31で異物を捕集するとともに、第1風路R1を流れる気流を加湿する運転となる。
以上のように、空気清浄運転、除湿運転及び加湿運転が行われる。次に第1風路R1と第2風路R2について説明する。空気清浄ユニット3、除湿ユニット4及び加湿ユニット5はそれぞれ異なる動作を行う。各動作は、気流の流量によってその効率が変化する。例えば、空気清浄ユニット3では、気流の流量が多いほど、異物を捕集する効率が高くなる。一方、除湿ユニット4では、気流が蒸発器41を通過するときに流れる空気を冷却し結露を発生させることで除湿する。そのため、気流は、結露が発生する温度に冷却される間蒸発器41と接触していることが好ましい。逆に、接触が長すぎると結露が終わった気流が蒸発器41と接触し続けるため効率が悪い。すなわち、除湿ユニット4では、除湿の効率が最も高くなる流速、あるいは、流量が存在する。また、同様に加湿ユニット5は、濡れた加湿部材54を通過するときに気流に水分を付与するものであるため、加湿の効率が最も高くなる流速、あるいは、流量が存在する。
そして、除加湿装置Aでは、運転にかかわらず第1風路R1及び第2風路R2に気流が発生するため、空気清浄ユニット3を通過する気流の流量、第1風路R1を流れる気流の流量及び第2風路R2を流れる気流の流量には次の関係が成り立つ。
(空気清浄ユニット3を通過する気流の流量)=(第1風路R1を流れる気流の流量)+(第2風路R2を流れる気流の流量)
加湿運転を行う場合には、第1風路R1を流れる気流の流量が加湿ユニット5による加湿の効率が最も高くなるように多翼ファン21を駆動する。このとき、第2風路R2(R21、R22)にも気流が発生するため、上述の式より空気清浄ユニット3に流れる気流の流量は、第1風路R1を流れる気流の流量よりも多くなる。つまり、加湿運転時に加湿の効率が最も高くなる流量で加湿ユニット5に気流を流すととともに、空気清浄ユニット3には、加湿運転で効率が最も高くなる流量よりも大きい流量の空気を流すことができる。また、同様に、除湿運転時に除湿の効率が最も高くなる流量で除湿ユニット4に気流を流すととともに、空気清浄ユニット3には、除湿運転で効率が最も高くなる流量よりも大きい流量の空気を流すことができる。
これにより、除湿運転時に除湿の効率を最も高くする又は加湿運転時に加湿の効率を最も高くするとともに、空気清浄ユニット3による異物を捕集する効率を高めることが可能である。また、除加湿装置Aでは、第1吸込口16及び第2吸込口17から吸い込んだ空気は、第1風路R1及び第2風路R2(R21、R22)を経て、吹出し口15から吹出される。そのため、除加湿装置Aで除湿運転又は加湿運転を行う場合、従来の除湿機又は加湿機を単独で使い場合よりも、多くの気流を外部に放出することができる。そのため、除湿又は加湿を行った気流を遠くまでいきわたらせることが可能である。
なお、第1風路R1に加湿ユニット5による気流に対する加湿の効率が最大となる流量の気流が流れるとき、第2風路R2(R21、R22)に除湿ユニット4による気流に対する除湿の効率が最大となる流量となるように、送風機2、除湿ユニット4、加湿ユニット5、第1風路R1及び第2風路R2(R21、R22)を形成してもよい。このようにすることで、送風機2の多翼ファン21を一定回転させることで、除湿及び加湿の効率を最大とするとともに、空気清浄の効率を高めることが可能である。なお、空気清浄運転を行うときには、除湿又は加湿を行わないので、さらに高回転で多翼ファン22を回転させるようにしてもよい。
本実施形態において、除加湿装置Aは、第1風路R1、すなわち、送風機2の第1吸気口25側に加湿ユニット5を配置し、第2風路R2、すなわち、送風機2の第2吸気口26側に除湿ユニット4を配置しているが、これに限定されるものではない。除湿ユニット4を第2吸気口26から離して配置してもよいし、加湿ユニット5を第1吸気口25から離して配置してもよい。また、除湿ユニット4を第1風路R1に、加湿ユニット5を第2風路R2に配置してもよい。
本実施形態において、除加湿装置Aの第2風路R2は、送風機2のファンケース22を迂回する上側の風路R21と下側の風路R22とを備えているが、これに限定されない。例えば、上側の風路R21又は下側の風路R22のいずれか一方だけが設けられているものであってもよい。本実施形態の除加湿装置Aの第2風路R2のように、上側の風路R21及び下側の風路R22が備えられていることで、蒸発器41の広い範囲に偏らないように気流を流すことができるため、除湿効率を高めることが可能である。
また、第2流路R2は送風機2を上下に迂回しているが、上下ではなく左右、換言すると、横方向に送風機2を迂回してもよい。また、上下左右で送風機2を迂回してもよい。第2風路R2に設けられた、除湿ユニット4又は加湿ユニット5が効率よく動作する流量の気流を流すことができ、送風機2を迂回する風路を広く採用することができる。
(第2実施形態)
本発明にかかる除加湿装置の他の例について図面を参照して説明する。図6は本発明にかかる除加湿装置の他の例の断面図である。図6に示す除加湿装置Bは、吹出し口15bと送風機2bが異なる以外は、除加湿装置Aと同じ構成を有している。そのため、実質上同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図6に示すように、吹出し口15bには仕切150が設けられている。吹出し口15bは、仕切150によって第1風路R1の一部を構成する第1吹出し部151と、第2風路R2の一部を構成する第2吹出し部152とに仕切られている。
また、送風機2bのファンケース22bの内部には、仕切部27が設けられている。仕切部27は、多翼ファン21の第1風路R1側と第2風路R2側との境界と一致する面を構成するように設けられている。なお、仕切部27は多翼ファン21とは非接触であり多翼ファン21の駆動を妨げないようになっている。
以上のように、吹出し口15bに仕切150が設けられているとともに、ファンケース22bの内部に仕切部27が設けられていることで、第1風路R1と第2風路R2(R21、R22)を流れた気流が、除加湿装置Aの内部で混合されなくなる。そして、仕切150及び仕切部27の位置を適切に調整することで、第1風路R1及び第2風路R2を流れる気流の流量を加湿及び除湿に最適な流量に正確に調整することができる。
(第3実施形態)
本発明にかかる除加湿装置の他の例について図面を参照して説明する。図7は本発明にかかる除加湿装置の他の例の第1ダンパを開いた状態の断面図であり、図8は図7に示す除加湿装置の第1ダンパを閉じた状態の断面図である。また、図9は第1ダンパを開いたときの気流を示す図であり、図10は第1ダンパを閉じたときの気流を示す図である。
図7、図8に示す除加湿装置Cは、加湿ユニット5cが除加湿装置Aの加湿ユニット5と異なるとともに、気流の流れ方向或いは流量を調整する第1ダンパ61及び第2ダンパ62を備えている。図7、図8に示す例では、便宜上、ケース11、フロントカバー12、リヤカバー13等を含む、筐体1の形状が除加湿装置Aとは異なっているが、実質上同じ構造を有している。以下、除加湿装置Cの説明において、除加湿装置Aと実質的に同じ部分には同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図7、図8に示すように、送風機2が、多翼ファン21の回転軸が水平になるように配置されているが、実質上、除加湿装置Aの多翼ファン2と同じ構成を有している。つまり、背面側に第1吸気口25が正面側に第2吸気口26が設けられている。そして、除加湿装置Cでは、第1吸気口25に隣接するように、除湿ユニット4が設けられている。
図7、図8に示すように、除湿ユニット4の下方に仕切部材18が配置されている。除加湿装置Cでは、背面側から見て開口111の仕切部材18よりも上部が第1吸込口16であり、仕切部材18よりも下部が第2吸込口17である。そして、第1吸込口16から吸い込まれた空気は除湿ユニット4の蒸発器41に進入するように、除湿ユニット4が設けられている。
加湿ユニット5cは、加湿部材56と、加湿トレイ57と、ハウジング58とを備えている。加湿部材56は、毛細管現象で水分を吸い上げることができる部材であり、加湿トレイ57内に収容されている。加湿トレイ57は、貯水可能な容器である。加湿トレイ57には不図示の加湿タンクから水が供給されるようになっている。加湿部材56は下部が水の中に収まるように加湿トレイ57に収容されている。
そして、加湿部材56及び加湿トレイ57はハウジング58に収納されて、ケース11に取り付けられている。ハウジング58は、気密な材料で形成された筒状の部材であり、加湿部材56及び加湿トレイ57を収納する部材であるとともに、加湿部材56が撓んだり、折れたりしないように保持する保持部材としての役割を果たす。このような、加湿ユニット5cは、除加湿装置A等で用いているような、加湿ユニット5に比べて構造が簡単であるとともに、小型化が可能である。ハウジング58は、ファンケース22の下方に間隔をあけて配置されている。
図7、図8に示すようにハウジング58の上面と、ファンケース22の下面との間には気流が通過可能な空間が形成されている。除加湿装置Cでは、この空間に第1ダンパ61が設けられている。第1ダンパ61は、曲面611と、回転支持部612とを備えている。曲面611は、円筒形の一部であり、紙面奥行方向に幅を有している。第1ダンパ61は回転支持部612が枢支されており、曲面611の中心軸回りに回転することで、風路を開閉する。なお、第1ダンパ61は、除加湿装置Cの運転に合せて自動的に回転するものであり、図示を省略した動力源からの動力で駆動される。
フロントカバー12の内面には、受け部材63が設けられている。受け部材63はダンパがそれ以上回転しないようにするための規制部材である。図7に示すように、第1ダンパ61は、図7中、時計回りに最も回転したときに、曲面611の端部が受け部材63と接触し、回転が規制される。また、図9に示すように、第1ダンパ61の端部が受け部材63と接触しているとき、気流はファンケース22とハウジング58の間を通過して第2吸気口26からファンケース22内部に流入する。このときの第1ダンパ61の状態を開状態とする。なお、このとき、第2風路R2には気流が流れない。
図8に示すように、第1ダンパ61は、図8中、反時計回りに最も回転したときに、曲面611の受け部材63と接触する端部と反対側の端部がファンケース22と接触する。図10に示すように、第1ダンパ61の端部がファンケース22と接触しているとき、曲面611が、ファンケース22とハウジング58の間の空間を塞ぐため気流は加湿ユニット5cを通過する。このときの第1ダンパ61の状態を閉状態とする。このとき、第2風路R2に気流が流れる。
図7、図8に示すように、仕切部材18とファンケース22との間には隙間が形成されている。この隙間は、除湿ユニット4を通過して第1吸気口25に流入する気流の一部がファンケース22とハウジング58に通過できるように構成されている。そして、除加湿装置Cでは、仕切部材18に回転可能に設けられた平板状の部材で、隙間を開閉する第2ダンパ62が設けられている。第2ダンパ62が閉状態のときには、除湿ユニット4を通過して第1吸気口25に流入する気流が隙間からファンケース22とハウジング58に流れない。一方、第2ダンパ62が開状態のときには、除湿ユニット4を通過して第1吸気口25に流入する気流が隙間からファンケース22とハウジング58に流れる。なお、第2ダンパ62は、除加湿装置Cの運転に合せて自動的に開閉するものであり、図示を省略した動力源からの動力で駆動される。また、第1ダンパ61と第2ダンパ62との動力源を共通化してもよい。
除加湿装置Cの運転の種類は、除加湿装置Aと同じ、すなわち、空気清浄運転、除湿運転及び加湿運転である。まず、除湿運転について説明する。除湿運転時には、図9に示すように、第1ダンパ61を開き、第2ダンパ62を閉じる。この状態で、多翼ファン21を駆動すると、第1吸気口25及び第2吸気口26からファンケース22に空気が吸い込まれ、気流が発生する。除加湿装置Cでは、第1吸込口16及び第2吸込口17のそれぞれから空気が吸い込まれる。第1吸込口16から吸い込まれた空気は、除湿ユニット4、第1吸気口25、ファンケース22、吐出口24を経て吹出し口15に至る第1風路R1を流れる。
一方、第2吸込口17から吸い込まれた空気は、ファンケース22とハウジング58の間の空間をとおり、第2吸気口26、ファンケース22、吐出口24を経て吹出し口15に至る風路である、第3風路R3を流れる。第3風路R3を流れる気流は加湿ユニット5cを通過せずに、吹出し口15から外部に吹出される。
次に、加湿運転時について説明する。図10に示すように、加湿運転時には、第1ダンパ61を閉じて第2ダンパを開く。第1ダンパ61が閉じられることで、第3風路R3の一部であるファンケース22とハウジング58との間の空間は第1ダンパ61によって塞がれる。そのため、第2吸込口17から吸い込まれた空気は、加湿ユニット5c、第2吸気口26、ファンケース22、吐出口24を経て吹出し口15に至る第2風路R2を流れる。また、第2ダンパ62を開いているので、第1吸込口16を通過した空気の一部が、第1風路R1から第2風路R2に分岐して流れる風路である、バイパス風路R4を流れて第2風路R2に合流する。
すなわち、加湿運転時には、第2吸込口17から吸い込まれた空気と第1吸込口16から吸い込まれた空気のうちバイパス風路R4を通過した空気とが、第2風路R2を流れ、加湿されて吹出し口15から外部に吹出される。加湿運転時には、除湿ユニット4は停止しているので、バイパス風路R4を通過して第2風路R2に合流した空気は除湿されていない。そのため、第2吸込口17から吸い込まれた空気と同じ或いは略同じ湿度であり、湿度の変動を抑えつつ加湿する空気の流量を増やすことができる。
また、空気清浄運転のときには、除湿及び加湿を行わないので、除湿運転時と同様に第1風路と第3風路とが形成されるように、第1ダンパ61を開いて、第2ダンパ62を閉じて駆動する。
除加湿装置Cでは、空気清浄運転及び除湿運転時には、第1ダンパ61を開状態、第2ダンパ62を閉状態にして、気流が第2風路R2を通らないようにしている。これにより、空気清浄運転時や除湿運転時に気流の一部が加湿されてしまうのを抑制できる。例えば、加湿運転時に室内の湿度が十分に上昇したため空気清浄運転に切り替える場合に、切り替わった直後に湿っていない、すなわち、加湿されていない空気を吹出すことができる。加湿部材56が乾燥する時間を待たなくても加湿されていない空気が吹出される。
また、空気清浄運転時や除湿運転時には、気流が加湿ユニット5cを通過しないため、運転が切り替わるたびに、除湿部材56を乾燥させなくてもよい。これにより、空気清浄運転或いは除湿運転から加湿運転に切り替わった直後に、除湿部材56に水をいきわたらせる時間を待たなくても加湿された空気が吹出される。
これらのことより、除加湿装置Cでは、空気清浄運転又は除湿運転から加湿運転に、或いは、加湿運転から空気清浄運転又は除湿運転に切り替わるときの応答性が高くなる。
除加湿装置Aでは、加湿運転時に第2ダンパ62を開いて、バイパス風路R4を介して、第1風路R1から第2風路R2に空気を分流させている。このことは、第1吸込口16の一部を運転に応じて、第2吸込口17として動作させることと同じである。これにより、開口111が小さくても、除湿又は加湿を行うのに効率の高い気流を除湿ユニット又は加湿ユニットに流すことが可能となる。すなわち、除湿、加湿の効率を低下させることなく、除加湿装置を小型化することが可能である。
なお、第2吸込口17が、加湿の効率を高めることができる流量の気流を発生することができる大きさの場合、第2ダンパ62を閉じたまま、加湿運転を行うようにしてもよい。さらには、第2吸込口17が、バイパス風路R4からの空気が無くても加湿ユニット5cの加湿の効率をもっとも高める流量の気流を流せる大きさである場合、第2ダンパ62は省略してもよい。
また、第1ダンパ61及び第2ダンパ62は開度の調整が可能であってもよい。このようにすることで、加湿運転時に第2風路R2と第3風路R3に空気を分散させて流すことができる。これにより、加湿される空気の量、換言すると、空気中に付与される水分量を調整することができ、湿度調整を行うことが可能である。
本実施形態において、第1ダンパ61は円筒の一部の曲面611と回転支持部612を備えた構成のものを採用しているがこれに限定されるものではない。例えば、平板を回転させることで、開閉することで、流量を調整するダンパであってもよい。加湿ユニット5cに流れる気流の流量を調整することができるダンパを広く採用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
以上説明した本発明にかかる除加湿装置は、第1吸込口と、第2吸込口と、吹出し口とを含む筐体と、前記第1吸込口から前記吹出し口に至る第1風路と、前記第2吸込口から前記吹出し口に至る第2風路と、前記第1風路又は前記第2風路の一方の内部に設けられた加湿ユニットと、他方に設けられた除湿ユニットと、前記第1風路及び前記第2風路の内部に配置され前記第1風路及び前記第2風路のそれぞれの内部に気流を発生させる送風機とを備えたている。
上述した除加湿装置は、前記送風機が、多翼ファンと、ファンケースとを備えており、前記ファンケースは、前記第1風路を流れる気流を前記ファンケース内部に吸い込む第1吸気口と、前記第1吸気口と前記多翼ファンを挟んで反対側に設けられて前記第2風路を流れる気流を前記ファンケース内部に吸い込む第2吸気口とを備え、前記第2風路が前記ファンケースを迂回するように形成されていてもよい。
上述した除加湿装置は、前記除湿ユニットが前記第1吸気口又は前記第2吸気口のどちらか一方に近接して設けられていてもよい。
上述した除加湿装置は、前記加湿ユニットが前記第1吸気口又は前記第2吸気口のどちらか他方に近接して設けられていてもよい。
上述した除加湿装置は、前記第1風路に前記除湿ユニットが設けられているとともに、前記第2風路に前記加湿ユニットが設けられており、前記第2吸込口から前記加湿ユニットを迂回して前記第2吸気口に至る第3風路と、前記第2風路又は前記第3風路に流れる気流の流量を調整する第1ダンパとを備えていてもよい。
上述した除加湿装置は前記第1風路から前記第2風路に気流を流すバイパス風路を備え、前記第1ダンパの上流に設けられ前記バイパス風路を開閉する第2ダンパを備えており、前記第2ダンパは前記第1ダンパが前記第2風路に気流を発生させる状態のときに前記バイパス風路に気流が流れるように開いてもよい。
上述した除加湿装置は、前記筐体の内部には、前記第1風路と前記第2風路とを仕切る仕切部材が設けられていてもよい。
上述した除加湿装置は、前記ファンケースの内部には、前記第1吸気口側と前記第2吸気口側に分離する仕切壁が設けられていてもよい。
上述した除加湿装置は、前記第1吸込口と前記第2吸込口とは、前記筐体の同じ面に配置されており、空気清浄フィルタが前記第1吸込口及び前記第2吸込口を覆っていてもよい。