JP6562323B2 - セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法、および接合体 - Google Patents

セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法、および接合体 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法、および接合体に関する。
セラミックス部材と金属部材とを接合する技術には、多くの需要がある。しかしながら、セラミックス部材と金属部材の組み合わせ如何では、接合が難しい場合があることが知られている。
例えば、アルミナとアルミニウム部材を適正に接合させることが難しいことは、当業者には良く知られている。
これは、アルミニウム部材の表面には、セラミックス部材との接合を妨害する酸化膜(アルミナ層)が存在するためであると考えられる。すなわち、接合過程において、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜によって、セラミックス部材とアルミニウム部材の間に良好な親和性、さらには良好な密着性が得られず、これにより両者の間で良好な接合状態を形成することができないものと考えられる。
なお、このような問題に対処するため、例えば、銅、ニッケルまたはチタン系のろう材を利用することが検討されている(特許文献1、2)。すなわち、これらのろう材をセラミックス部材の接合面にろう付けした場合、ろう材とアルミニウム部材との間の親和性が高まるため、このろう材を介して、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合させることができることが報告されている。
特開平11−228245号公報 特許第4367675号明細書
前述のように、特許文献1、2には、銅、ニッケルまたはチタン系のろう材を利用することにより、接合の難しいセラミックス部材とアルミニウム部材を接合できることが記載されている。
しかしながら、この方法では、セラミックス部材の接合面に対するフラックスによる表面処理、およびセラミックス部材の接合面へのろう付けなど、多くの処理工程が必要となる。このため、この方法には、接合工程を簡略化することが難しいという問題がある。
また、この方法では、使用されるフラックスは、塩化物およびフッ化物を含む。このため、最終的に得られる製品中に塩化物やフッ化物が残留してしまう可能性が高い。このような残留化合物は、製品の品質、例えば接合強度を低下させる原因となり得る。
このため、より簡便で低コストな方法で、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させる技術が要望されている。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、より簡便にセラミックス部材とアルミニウム部材を接合する方法を提供することを目的とする。また、本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とが良好な強度で接合された接合体を提供することを目的とする。
本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
(a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
(b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
(c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、600℃〜1400℃の温度で加熱するステップと、
を有する方法が提供される。
また、本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
(a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
(b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
(c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、660℃〜1400℃の温度で加熱するステップと、
を有する方法が提供される。
ここで、本発明による方法において、前記セラミックス部材は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートからなる群から選定された、少なくとも一つの材料を含んでも良い。
また、本発明による方法において、前記(d)のステップの後、前記アルミニウム部材中に、炭素塊、炭化物塊または金属シリコン塊が形成されても良い。
さらに、本発明では、アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材と、アルミニウム部材とが、アルミノシリケートを含有する接合層を介して接合された接合体が提供される。
さらに、本発明では、アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材と、アルミニウム部材とが接合された接合体であって、
両者の間には、前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材に比べて、シリコンの量が高い領域が存在することを特徴とする接合体が提供される。
ここで、本発明による接合体において、前記アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートからなる群から選定された、少なくとも一つの材料を含んでも良い。
また、本発明による接合体において、前記アルミニウム部材中には、炭素塊、炭化物塊または金属シリコン塊が含まれても良い。
また、本発明による接合体において、前記アルミニウム部材の前記セラミックス部材とは反対の側には、アルミノシリケートを含有する第2の接合層を介して、第2のセラミックス部材が配置されても良い。
あるいは、本発明による接合体において、前記アルミニウム部材の前記セラミックス部材とは反対の側には、第2のセラミックス部材が配置され、
前記第2のセラミックス部材と前記アルミニウム部材の間には、前記第2のセラミックス部材および前記アルミニウム部材に比べて、シリコンの量が高い領域が存在しても良い。
本発明では、より簡便にセラミックス部材とアルミニウム部材を接合する方法を提供することができる。また、本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とが良好な強度で接合された接合体を提供することが可能になる。
アルミニウム部材の上にシロキサン系ポリマーを塗布したサンプルについて、示差熱−熱重量(TG−DTA)同時分析を行った際の結果を示したグラフである。 本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法(第1の接合方法)のフローを概略的に示した図である。 シロキサン系ポリマーの一種であるPMPhSの化学構造式である。 シロキサン系ポリマーの一種であるPMSQの化学構造式である。 本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する別の方法(第2の接合方法)のフローを概略的に示した図である。 本発明の一実施例による接合体の概略的な構成を示した断面図である。 本発明の一実施例による別の接合体の概略的な構成を示した断面図である。 実施例1に係る接合体における接合部分の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 実施例1に係る接合体における接合部分のエネルギー分散形X線分光分析(EDS)結果を示す図である。 実施例1に係る接合体における接合界面のX線回折(XRD)分析のX線パターンを示す図である。 TEMを用いて実施例6に係る接合体を観察した結果を示した図である。 実施例7において作製された接合体の平面図(写真)を示した図である。 実施例8において作製された接合体の平面図(写真)を示した図である。 実施例9において作製された接合体の平面図(写真)を示した図である。 実施例10において作製された接合体の平面図(写真)を示した図である。 実施例14において作製された接合体の平面図(写真)を示した図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
前述のように、アルミニウム部材の表面には、セラミックス部材との接合を妨害する酸化膜(アルミナ層)が存在するため、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させることは難しい。また、これまでに提案されているセラミックス部材とアルミニウム部材の接合方法は、簡便な方法であるとは言い難い。また、従来の方法では、仮にセラミックス部材とアルミニウム部材を接合することができたとしても、接合部分に塩化物やフッ化物のような不純物が残留してしまう可能性が高い。このため、製品の品質、例えば接合強度の面で、問題が生じ得る。また、このような残留化合物を洗浄除去しようとすると、洗浄によるコストの増大や環境上の問題が生じ得る。
本願発明者らは、このような背景から、より簡便な方法で、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させる技術について、鋭意研究開発を推進してきた。その結果、本願発明らは、セラミックス部材とアルミニウム部材との間に、特定の種類の接合材を設置することにより、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させることができることを見出し、本願発明に至った。
すなわち、本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
(a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
(b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
(c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、600℃〜1400℃の温度で加熱するステップと、
を有する方法が提供される。
本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材との間に、シロキサン系ポリマーを含む接合材(以下、「接合材1」とも称する)、または炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材(以下、「接合材2」とも称する)が配置される。
これらの接合材1、2は、いずれも、炭素(カーボン)原子を含む。この炭素原子は、高温状態において、アルミニウム部材の表面に形成されている酸化膜を還元したり、酸化膜を不安定な状態する役割を果たす。従って、接合材1、2を使用した場合、炭素原子の働きにより、アルミニウム金属を覆う酸化膜のバリア性を低下させ、アルミニウム部材を活性化、すなわち反応しやすい状態にさせることができる。
また、接合材1は、Si−O−Si基を有し、この反応基は、高温環境において、酸化膜のバリア機能が低下した、いわゆる「活性な」アルミニウム部材と反応することができる。同様に、接合材2は、「活性な」アルミニウム部材と反応し得るシリカゾルを有する。
従って、セラミックス部材とアルミニウム部材の間に前述のような接合材1または接合材2を介在させて、低酸素雰囲気下で熱処理を実施した場合、接合材中に含まれる炭素原子によって、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜の一部が還元される。あるいは、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜が不完全な状態となる。これにより、アルミニウム部材が活性化される。
活性化されたアルミニウム部材は、接合材中に含まれる反応成分、すなわち、Si−O−Si基またはシリカ粒子と反応する。これにより、アルミニウム部材と接合材の界面で、接合材中のSi−O−Si基またはシリカ粒子がケイ素と酸素を含有する物質、例えばアルミノシリケートに変化して、接合層が形成される。
ここで、本発明では、セラミックス部材として、アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材が使用される。そのようなセラミックス部材は、ケイ素と酸素を含有する接合層に対して親和性を有する。また、アルミニウム部材も、ケイ素と酸素を含有する接合層に対して親和性を有する。
このため、接合層の存在により、セラミック部材が接合層と強固に密着されるとともに、アルミニウム部材も接合層と強固に密着される。その結果、セラミックス部材とアルミニウム部材は、ケイ素と酸素を含有する接合層を介して接合される。
本発明による接合方法では、以上のような現象により、セラミックス部材とアルミニウム部分との間で、良好な接合を得ることができる。
ところで、本発明による接合方法では、組立体の熱処理温度、すなわち、セラミック部材とアルミニウム部材の接合温度は、600℃〜1400℃の範囲である。これは以下の実験結果に基づくものである。
図1には、アルミニウム部材の上にシロキサン系ポリマーを塗布したサンプルについて、示差熱−熱重量(TG−DTA)同時分析を行った際の結果を示す。分析は、不活性ガス雰囲気下で実施した。
図1において、横軸は温度を示し、左縦軸は、サンプルの初期の重量に対する変化量(%)を表し、右縦軸は、熱フロー(W/g)を表す。また、図1において、破線は、サンプルの重量変化(左縦軸)を示しており、実線は、サンプルの熱フロー(右縦軸)を表している。
この分析結果から、不活性雰囲気下においてサンプルを加熱していくと、約500℃でシロキサン系ポリマーの分解が完了して、サンプルの重量がほぼ一定になることがわかる。また、さらにサンプルを加熱していくと、2段階の吸熱ピークが生じることが観測されるようになる。第1の吸熱ピークは、温度約580℃〜600℃の範囲に認められ、第2の吸収ピークは、温度約660℃近傍に認められる。
このうち、第1の吸熱ピークは、アルミニウム部材の表面における化学反応、すなわちシロキサン系ポリマーの分解によって生じた生成物により、アルミナの表面酸化物が還元される反応に対応するものと考えられる。また、第2の吸熱ピークは、アルミニウムの融解による相変化に対応するものと考えられる。
この結果から、第1の吸熱ピークの温度を確実に超えるような温度域、すなわち600℃以上の温度では、アルミニウムの表面酸化膜が還元されるため、アルミニウム部材を活性化させることができる。従って、接合温度を600℃以上とすることにより、アルミニウム部材とセラミックス部材の接合が可能になる。
なお、第2の吸熱ピークを超える温度域、すなわち660℃以上の温度域では、アルミニウム部材が溶融するため、アルミニウム部材の活性は、よりいっそう高くなる。従って、接合温度を660℃以上とした場合、アルミニウム部材とセラミックス部材を、より簡単に接合することが可能となる。
一方、接合温度が1400℃を超えると、アルミニウム部材の気化による逸散が無視できなくなる。
本発明では、このような観点から、セラミック部材とアルミニウム部材の接合温度は、600℃〜1400℃の範囲に設定されている。
なお、以上の説明は、現時点で考察される一メカニズムに基づいて、生じ得る現象を記載したものに過ぎない。すなわち、本発明による接合方法では、他のメカニズムにより、セラミックス部材とアルミニウム部分との間に良好な接合が形成されても良い。
(本発明の一実施例による接合方法)
次に、図面を参照して、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法(第1の接合方法)について、より詳しく説明する。
図2には、第1の接合方法のフローを概略的に示す。
図2に示すように、第1の接合方法は、
アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップ(ステップS110)と、
前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーを含むステップ(ステップS120)と、
前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップ(ステップS130)と、
前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、600℃〜1400℃の温度で加熱するステップ(ステップS140)と、
を有する。
以下、各ステップについて詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、セラミックス部材およびアルミニウム部材が準備される。
セラミックス部材は、アルミニウムおよび/またはケイ素を含む限り、特に限られない。セラミックス部材は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライト、および/またはアルミノシリケートを含んでも良い。
例えば、アルミナとしては、重量比で90wt%以上のアルミナを含む高純度アルミナが挙げられる。窒化アルミニウムとしては、重量比で90wt%以上の窒化アルミニウムを含む高純度窒化アルミナが挙げられる。窒化ケイ素としては、重量比で90wt%以上の窒化ケイ素を含んでいる高純度窒化ケイ素が挙げられる。
なお、セラミックスの結晶形態に特に制限はないが、アルミナとしては、α−アルミナを好適に使用できる。
セラミックス部材の形状は特に限られず、セラミックス部材は、ブロック、板、棒、またはディスク等の形状を有しても良い。
同様に、アルミニウム部材の形状は特に限られず、アルミニウム部材は、ブロック、板、棒、箔、またはディスク等の形状を有しても良い。
なお、本願において、「アルミニウム部材」という用語は、実質的にアルミニウム金属で構成された部材の他、重量比で50wt%以上のアルミニウム金属を含む部材、実質的にアルミニウム合金で構成された部材、および重量比で50wt%以上のアルミニウム合金を含む部材等が含まれる。
アルミニウム合金は、例えばAl−Si合金等であっても良く、例えば、ケイ素を12wt%程度含むシルミンであっても良い。
(ステップS120)
次に、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の少なくとも接合面に、接合材が設置される。接合材としては、シロキサン系ポリマーを含む接合材(すなわち、接合材1)が使用される。
ここで、接合材1の仕様について、簡単に説明する。
(接合材1)
シロキサン系ポリマーを含む接合材1において、シロキサン系ポリマーの種類は、特に限られない。
シロキサン系ポリマーは、例えば、主鎖として直鎖状のSi−O−Si基を有するシロキサン系ポリマー、例えばポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)および/またはポリメチルフェニルシロキサン(PMPhS)であっても良い。あるいは、シロキサン系ポリマーは、例えば、Si−O−Si基を主骨格とする3次元構造を有するシルセスキオキサン系ポリマー、例えばポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)および/またはポリフェニルシロキサン(PPSQ)であっても良い。
図3および図4には、参考のため、PMPhS(図3)およびPMSQ(図4)の化学構造式を示した。
セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の接合面(以下、単に「接合面」と称する)への接合材1の設置方法は、特に限られない。
接合材1は、例えば、塗布法などにより、接合面に設置しても良い。塗布法としては、ディッピング法、スピンコーター法、スプレー法等の手法が挙げられる。接合材1は、なるべく均等に塗布することが望ましいため、引き上げ速度が1mm/秒以下のディッピング法、または回転速度が1500rpm以上のスピンコーター法による塗布が望ましい。
なお、接合材1の厚みによって、最終的に得られる接合層の厚さが変化する。従って、目的に応じて接合材1の種類と厚みを調整することが好ましい。
また、シロキサン系ポリマーは、粘性が高いため、ディッピング法等で接合面に塗布する際は、溶媒で希釈し、粘性を適宜調整することが好ましい。この際には、相溶性の観点から、ベンゼンやトルエン等の芳香族系有機溶媒を使用することが好ましい。溶媒濃度は、0.001mol/L〜1mol/Lの範囲であっても良い。
前述のように、シロキサン系ポリマーに含まれる炭素原子は、例えば、アルミニウム部材の表面を覆う酸化層を還元して、アルミニウム部材の反応活性を高める役割を有する。また、炭素原子は、接合層と接合面の界面近傍で、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材と接合層とを結合するアンカーとしても機能すると考えられる。このため、シロキサン系ポリマーは、重量比で1wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは10wt%〜30wt%の炭素を含有していることが望ましい。
セラミックス部材の接合面に設置される接合材の量が少なすぎると、接合材が接合面全体に均一に広がらず、アルミニウム部材の接合面において、酸化層を十分に還元できないおそれがある。そのため、接合材の厚みは、0.1μm(溶媒揮発後)以上とすることが好ましい。一方、接合材が厚過ぎても、接合は可能である。しかしながら、接合材の厚みが厚すぎると、接合材部分のセラミックス化に伴う収縮により、セラミックス部材と接合層の界面に、クラックが生じやすくなる。このため、接合材の厚さは、1mm(溶媒揮発後)以下とすることが好ましい。
また、接合材の設置量が過剰な場合、アルミニウム部材によるシロキサンの還元のため、接合層とアルミニウム部材の界面付近に金属シリコンが析出しやすくなる。ケイ素含有量が高いシロキサン系ポリマーを使用した場合も同様である。従って、シロキサン系ポリマー中のケイ素含有量は、10wt%〜45wt%の範囲で選択することが好ましい。
特に、籠状シロキサン(シルセスキオキサン)は、ケイ素および酸素の含有量が高く、金属シリコンが析出しやすい。従って、接合層において、金属シリコンの析出を押さえたい場合は、直鎖状シロキサン(シリコーンオイル)を用いることが好ましい。ただし、アルミニウム部材中に金属シリコンが形成された場合、接合部材の強度が向上するため、強度を重視する場合、ケイ素含有量の高いシロキサン系ポリマーを使用しても良い。
また、フェニル基を多く含有するシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材の接合層側に、炭素塊または炭化物塊が形成されやすくなる。従って、炭素塊または炭化物塊の生成を抑えたい場合は、側鎖にフェニル基を有するシロキサン系ポリマーを使用しないことが好ましい。ただし、アルミニウム部材中に炭素塊または炭化物塊が形成された場合、強度が向上することがある。
(ステップS130)
次に、セラミックス部材とアルミニウム部材とを、接合材1を介在させた状態で積層し、組立体を構成する。すなわち、セラミックス部材の接合面と、アルミニウム部材の接合面とが、接合材1を介して対向するようにして、セラミックス部材とアルミニウム部材が配置される。
なお、組立体において、セラミックス部材とアルミニウム部材は、実質的に無加圧状態で相互に積層されても良い。ただし、両者の間にある程度の荷重を加えても良い。
(ステップS140)
次に、接合処理のため、組立体が熱処理される。これにより、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して接合された接合体が製造される。
熱処理は、実質的に酸素が存在しない雰囲気、例えば不活性ガス雰囲気または真空雰囲気で実施される。熱処理を大気雰囲気のような酸素を含む環境下で実施した場合、アルミニウム部材の表面の酸化物が十分に還元せず、セラミックス部材とアルミニウム部材との間で、良好な接合を得ることが難しくなる。
不活性ガス雰囲気は、例えば、アルゴン、ヘリウム、および/または窒素などの雰囲気であっても良い。真空雰囲気における真空度は、例えば、大気圧を0MPaとした場合、−0.08MPa以下である。
熱処理の温度は、600℃〜1400℃の範囲である。熱処理の温度は、例えば、660℃〜1400℃の範囲である。ちなみに、この温度範囲では、アルミニウムは液体となる。熱処理の温度が1400℃を超えると、アルミニウム部材が気化するおそれがある。
特に、熱処理の温度は、900℃以上であることが好ましい。900℃以上では、アルミニウム部材の表面に存在する酸化物が活性化し、AlO蒸気に変化することが期待される。また、アルミニウム部材の表面の酸化物のエネルギー低下の点から、熱処理の温度は、900℃〜1300℃の範囲であることが好ましい。
組立体を熱処理することにより、接合材1が変化して、セラミックス部材とアルミニウム部材との界面に、接合層が形成される。
接合層は、「ケイ素リッチ」な層であっても良い。ここで、「ケイ素リッチ」と言う用語は、アルミニウム部材およびセラミック部材に比べて、ケイ素の量が有意に上昇していることを意味する。
特に、接合層は、アルミノシリケートを含んでも良い。アルミノシリケートは、結晶質または非晶質であっても良い。
アルミノシリケートは、一般式がAlSi(0<X<3、0<Y<51、0<Z<104)で表される。アルミノシリケートは、アルミナとシリカの混合体であっても良い。
なお、接合層中にはアルミノシリケートの他に、他の物質、例えばアルミニウム、アルミナ、および/またはシリカが存在しても良い。条件によっては、接合層には、ムライトのようなケイ素とアルミニウムが混在した酸化物が含まれる場合もある。
ここで、接合材1として、炭素含有量の多いシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材内に、塊状炭素が形成される場合がある。この炭素塊の外側は、アルミニウムカーバイドとなっている。この炭素塊は、接合部材の強度向上に寄与することが期待される。その他、炭化ケイ素と、アルミニウムと、ケイ素とを同時に含む炭化物等が生成されることもあり得る。
一方、接合材1として、炭素含有量の低いシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材中に炭素塊または炭化物塊は、ほとんど生じない。従って、この場合は、高純度のアルミニウム部材を得ることができる。
また、ケイ素含有量の多い接合材1を用いた場合、アルミニウム部材中には、金属シリコン塊が形成される場合がある。この金属シリコン塊は、アルミニウム部材と接合材との反応により、接合層が生成する際に、未反応のSi−O−Si基が還元され、これがアルミニウム部材内に拡散進入したものであると考えられる。このような金属シリコン塊は、炭素塊または炭化物塊と同様、接合部材の強度向上に寄与することが期待される。
以上の工程により、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して良好に接合された接合体が製造される。
(本発明の一実施例による別の接合方法)
次に、図5を参照して、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する別の方法(第2の接合方法)について説明する。
図5には、第2の接合方法のフローを概略的に示す。
図5に示すように、第2の接合方法は、
アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップ(ステップS210)と、
前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、炭素粉末含有シリカゾルを含むステップ(ステップS220)と、
前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップ(ステップS230)と、
前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、600℃〜1400℃の温度で加熱するステップ(ステップS240)と、
を有する。
ここで、ステップS210、およびステップS230〜ステップS240は、それぞれ、前述の第1の接合方法におけるステップS110、およびステップS130〜ステップS140と実質的に同様である。そこで、ここでは、ステップS220について説明する。
(ステップS220)
第2の接合方法では、接合材として、炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材(すなわち、接合材2)が使用される。
ここで、接合材2の仕様について、簡単に説明する。
(接合材2)
炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材2において、使用されるシリカゾルの形態は、特に限られない。ただし、炭素粒子の偏在を避けるため、炭素粉末はなるべく細かいもの、例えば#2000よりも細かい粉末を使うことが好ましい。例えば、シリカ粒子の粒子径が小さい(20nm以下の)コロイド系のシリカゾルを使用しても良い。そのようなシリカゾルとしては、例えば、スノーテックスNおよびスノーテックスN−40(日産化学社製)等がある。
接合材2を調製するためには、シリカゾル中に、炭素粉末を添加する必要がある。添加される炭素粉末としては、例えば、カーボンブラック(三菱化学社製)またはケッチェンブラック(ライオン社製)などが挙げられる。
炭素含有量は、シリカ粒子に対する質量比で1wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは10wt%〜30wt%である。これは、前述の接合材1において、シロキサン系ポリマーに含まれる炭素量と同等の値である。
接合材2は、シリカゾル中に炭素粉末を添加して調製されるため、接合材1に比べて、炭素粉末とシリカゾルの配合比率を自由に調整することができるという利点がある。
シリカゾルと炭素粉末を混合させる際の溶媒としては、例えば、エタノールおよびイソプロピルアルコール等が使用される。これらの溶媒は、シリカゾルおよび炭素粉末に対して悪影響を及ぼさず、速乾性であるため好ましい。
このような接合材2は、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の少なくとも接合面に設置される。
接合面への接合材2の設置方法は、特に限られず、例えば、前述のステップS120で説明したような、接合面への接合材1の設置方法が同様に適用できる。
その後、ステップS230〜ステップS240を経て、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して良好に接合された接合体が製造される。
以上、第1の接合方法および第2の接合方法を例に、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法について説明した。しかしながら、以上の説明は、単なる一例に過ぎず、前述の方法の一部を変更したり、他の工程を組み合わせたりしても良いことは当業者には明らかである。
例えば、前述の2つの例では、接合体は、セラミックス部材と、接合層と、アルミニウム部材とがこの順に積層された構造を有する。しかしながら、接合体は、例えば、第1のセラミックス部材、第1の接合層、アルミニウム部材、第2の接合層、および第2のセラミック部材がこの順に積層された構造を有しても良い。
そのような接合体は、例えば、前述の組立体を製造する工程(ステップS130、ステップS230)において、2つのセラミックス部材のそれぞれの接合面に接合材を配置し、さらに両セラミックス部材の間にアルミニウム部材が介在された組立体を構成し、この組立体を、ステップS140、ステップS240のように熱処理することにより製造することができる。
(本発明の一実施例による接合体)
次に、図6および図7を参照して、本発明の一実施例による接合体について説明する。
図6には、本発明の一実施例による接合体の概略的な断面図を示す。
図6に示すように、この接合体100は、セラミックス部材110と、アルミニウム部材130と、両者の間に配置された接合層150とを有する。
セラミックス部材110は、アルミニウム成分および/またはケイ素成分を含有するセラミックスで構成される。例えば、セラミックス部材110は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートの少なくとも1種を含む。
アルミニウム部材130は、前述のように、実質的にアルミニウム金属で構成された部材、重量比で50wt%以上のアルミニウム金属を含む部材、実質的にアルミニウム合金で構成された部材、または重量比で50wt%以上のアルミニウム合金を含む部材であっても良い。また、アルミニウム部材130の内部には、炭素塊、炭化物塊、または金属シリコンが存在しても良い。
接合層150は、アルミノシリケートを含む層であっても良い。
あるいは、より一般的には、接合層150は、「ケイ素リッチ」な層で構成される。ここで、「ケイ素リッチ」と言う用語は、アルミニウム部材130およびセラミック部材110に比べて、ケイ素の量が有意に上昇していることを意味する。
前述のようなメカニズムにより、アルミノシリケート、あるいは「ケイ素リッチ」な層を含む接合層150の存在によって、セラミックス部材110とアルミニウム部材130の間に、良好な接合状態が得られる。従って、このような構成の接合体100は、良好な接合強度を有する。
図7には、本発明の一実施例による別の接合体の概略的な断面図を示す。
図7に示すように、この接合体200は、図6に示した接合体100を構成する各部材に加えて、さらに、第2のセラミックス部材260および第2の接合層290を有する。すなわち、この接合体200は、第1のセラミックス部材210、第1の接合層250、アルミニウム部材230、第2の接合層290、および第2のセラミックス部材260をこの順に配置することにより構成される。
ここで、第2のセラミックス部材260は、アルミニウム成分および/またはケイ素成分を含有するセラミックスで構成される。例えば、第2のセラミックス部材260は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートの少なくとも1種を含む。また、第2の接合層290は、アルミノシリケートを含む層であっても良く、あるいは、より一般的には、第2の接合層290は、「ケイ素リッチ」な層であっても良い。
このような構成の第2の接合体200においても、第1および第2の接合層250、290の存在により、良好な接合強度が得られることは、容易に予想されるであろう。
以下、本発明の実施例について、詳しく説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
まず、寸法20×30×20mmのアルミナ(純度99.5%のα−アルミナ)ブロックを2つ準備した。また、市販のポリメチルフェニルシロキサン(KF−54:信越化学製。以下、「PMPhS」と称する)を濃度0.1mol/Lで含有するトルエン溶液を準備した。
次に、前記トルエン溶液中に2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、PMPhSが均一に塗布された。
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、61.8wt%であり、ケイ素の含有量は、20.6wt%であり、酸素の含有量は、11.8wt%である。
次に、一方のアルミナブロックの接合面に接するようにして、厚さ22μmの市販のアルミ箔(マイホイル:住軽アルミ製)を配置した後、このアルミ箔上に、別のアルミナブロックを配置した。この際には、別のアルミナブロックの接合面がアルミ箔と接するようにして、別のアルミナブロックを配置した。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、900℃で1時間焼成した。これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例1に係る接合体」と称する。
走査型電子顕微鏡(SEM)(JEM−5600:JEOL社製)を用いて、実施例1に係る接合体の接合断面を観察した。図8には、測定結果(SEM画像)を示す。
図8に示すように、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることがわかる。また、アルミニウム層の内部には、寸法約5μmの炭素塊(黒っぽい粒子)が複数存在していることがわかる。
なお、この図8の倍率では、アルミナブロックとアルミニウム層の間の接合層は、視認できない。しかしながら、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが予想される。
図9には、実施例1に係る接合体のEDS分析結果の一例を示す。この分析には、エネルギー分散形X線分光分析装置(JEM−2300:JEOL社製)を使用した。また、この分析は、実施例1に係る接合体のアルミナブロックとアルミニウム層の間の界面近傍で実施した(図8の枠で囲まれた領域参照)。
図9から、アルミナブロックとアルミニウム層の間には、接合層として、厚さ約4μmのケイ素リッチな層が形成されていることがわかる。
このケイ素リッチな接合層をX線回折装置(RINT2500:Rigaku社製)で分析したところ、図10に示す結果が得られた。
図10に示す結果から、このケイ素リッチな接合層は、アルミノシリケート(AlSi50103、Al1.9Si0.052.95、およびAlSi10)を含有していることが確認された。
この実施例1に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施した。試験片の作製および4点曲げ試験の実施は、JIS R 1601:2008に準ずる方法で実施した。試験数は、6とした。
試験片の4点曲げ試験の結果、曲げ強度は、平均255MPaであり、最大強度は304MPaであった。また、試験後の各試料片を観察したところ、試験片の半数以上は、アルミナブロック内で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
以下の表1の「実施例1」の欄には、実施例1に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例2では、シロキサン系ポリマーとして、PMPhSの代わりに、市販のポリメチルヒドロシロキサン(KF−99:信越化学社製。以下、「PMHS」と称する)を使用した。PMHSは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、26.9wt%であり、ケイ素の含有量は、41.8wt%であり、酸素の含有量は、23.9wt%であった。
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例2に係る接合体」と称する。
実施例2に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例2に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部に、炭素塊は認められなかった。
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約1μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(AlSi50103、Al1.9Si0.052.95、およびAlSi10)を含有していることが確認された。
実施例2に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均176MPaであり、最大強度は277MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
なお、実施例2に係る接合体の曲げ強度は、実施例1に係る接合体に比べて幾分低くなっている。これは、アルミニウム層内に形成された炭素塊の有無によるものと考えられる。すなわち、実施例2に係る接合体では、接合材中に含まれる炭素量が比較的少ないため、熱処理後にアルミニウム層内に炭素塊が形成せず、実施例1に係る接合体ほど強度が上昇しなかったものと予想される。
前述の表1の「実施例2」の欄には、実施例2に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例3では、シロキサン系ポリマーとして、PMPhSの代わりに、市販のポリメチルシルセスキオキサン(YR−33707:モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製。以下、「PMSQ」と称する)を使用した。PMSQは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、10.2wt%であり、ケイ素の含有量は、47.6wt%であり、酸素の含有量は、40.7wt%であった。
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例3に係る接合体」と称する。
実施例3に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例3に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、寸法約3μm×3μm×30μmの金属シリコン塊が複数存在していることが確認された。
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約2μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(AlSi50103、Al1.9Si0.052.95、およびAlSi10)を含有していることが確認された。
実施例3に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均225MPaであり、最大強度は278MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
前述の表1の「実施例3」の欄には、実施例3に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
(実施例4)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例4では、接合材として、炭素粉末を含むシリカゾルを使用した。
このため、まず、エタノールで希釈した市販のシリカゾル(スノーテックスN:日産化学社製)中に、炭素粉末(#2700、三菱化学社製)を添加し、炭素粉末量が10wt%の混合溶液を調製した。
次に、この混合溶液中に、2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。
これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、炭素粉末を含むシリカゾルが均一に塗布された。
なお、塗布材中に含まれる炭素の含有量は、30.3wt%であり、ケイ素の含有量は、32.6wt%であり、酸素の含有量は、37.1wt%であった。
その他の条件は、実施例1の場合と同様である。
これにより、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「実施例4に係る接合体」と称する。
実施例4に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例4に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、金属シリコン塊が認められた。
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。接合層は、約5μmの厚さであった。また、接合層は、アルミノシリケート(AlSi50103、Al1.9Si0.052.95、およびAlSi10)を含有していることが確認された。
実施例4に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均212MPaであり、最大強度は272MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
前述の表1の「実施例4」の欄には、実施例4に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
なお、本技術の応用例として、セラミックス部材上へのスクリーン印刷法またはインクジェット法によるアルミニウム配線形成が考えられる。このため、これらの実現性を確認するため、以下の実験を行った。
(実施例5)
純度99%以上であるアルミニウム粉末(和光純薬製)を85wt%程度含むスラリー(溶媒:エタノール)を作製し、実施例1と同じ要領で表面をコーティングしたアルミナ基板上にスラリーをスクリーン印刷の要領で塗布し、アルゴン雰囲気下、900℃で1時間焼成した。その結果、スクリーンと同じ模様の配線状のアルミニウム金属が、アルミナ基板上に接合された。このアルミニウム金属は、指で引っ掻いても剥離せず、良好な接合力を有することが確認された。
(実施例6)
焼成温度を900℃から950℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、2つのアルミナブロックがアルミ箔を介して接合された接合体を製作した。この接合体を、以下、「実施例6に係る接合体」と称する。
実施例6に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例6に係る接合体においても、各アルミナブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、炭化物塊が複数存在していることが確認された。
また、アルミナブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。
図11には、透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM−2010:JEOL社製、S−5000:日立社製)を用いて、実施例6に係る接合体を観察した結果を示す。なお、図11には、接合部近傍のTEM画像に加えて、接合部近傍の3箇所(A点、B点およびC点)における元素分析の結果を同時に示した。
図11に示すように、アルミニウム層の領域に相当するA点では、アルミニウムのピークのみが検出された。また、アルミナブロックの領域に相当するC点では、アルミニウムと酸素のピークが観測された。
これに対して、両者の界面に相当するB点では、A点およびC点では認められなかったシリコンの存在を示す大きなピークが認められた。なお、B点では、酸素および炭素の大きなピークも同時に観測された。
この結果から、アルミニウム層とアルミナブロックの界面には、接合層が存在しており、この接合層は、アルミニウム層およびアルミナブロックに比べて、シリコン含有量が有意に高くなっていることが確認された。
実施例6に係る接合体を切り出して、試験片を作製し、試験片の4点曲げ試験を実施したところ、曲げ強度は、平均242MPaであり、最大強度は289MPaであった。試験後の試料片は、半数以上がアルミナブロック部分で破断していることが確認された。このことから、アルミノシリケートを含む接合層は、アルミナブロックの強度に匹敵する接合強度を有すると予想される。
前述の表1の「実施例6」の欄には、実施例6に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量、ならびに4点曲げ試験結果などをまとめて示した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例1では、各アルミニウムブロックの接合面に、PMPhSを塗布しなかった。
組立体をアルゴン雰囲気下900℃で1時間焼成した後、組立体を観察したところ、両アルミナブロックは、接合されていなかった。両アルミナブロックの間の部分を観察したところ、この箇所には、酸化アルミニウムは存在するものの、アルミニウム層は、認められなかった。また、同箇所において、アルミノシリケートの存在は、観測されなかった。
比較例1では、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を得ることができなかったため、4点曲げ試験は実施しなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例2では、接合材として、ポリカルボシラン(Nipusi Type−A:日本カーボン社製。以下、「PCS」と称する)を使用した。PCSは、トルエン溶液中に、濃度が0.1mol/Lとなるように添加して使用した。
その後、このトルエン溶液中に、2つのアルミナブロックを完全に浸漬した後、これらを1mm/秒の速度で引き上げた。その後、各アルミナブロックを大気雰囲気下で十分に乾燥させた。
これにより、少なくとも各アルミナブロックの接合面(20×30mmの一面)には、PCSが均一に塗布された。
次に、大気下、200℃において、各アルミナブロックを22.5時間保持し、酸化不融化処理を行った。その後、アルゴンガス流通下において、各アルミナブロックを1200℃で1時間熱処理した。これにより、セラミック部材の表面(接合面)に、SiCからなる接合材を形成した。
なお、計算上、接合材中に含まれる炭素の含有量は、49.8wt%であり、ケイ素の含有量は、37.6wt%であり、酸素の含有量は、12.5wt%であると予想される。
次に、一方のアルミナブロックの接合面に接するようにして、厚さ24μmの市販のアルミ箔(マイホイル:住軽アルミ製)を配置した後、このアルミ箔上に、別のアルミナブロックを配置した。この際には、別のアルミナブロックの接合面がアルミ箔と接するようにして、別のアルミナブロックを配置した。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、800℃で1時間焼成した。これにより、2つのアルミナブロックが接合された接合体が得られた。この接合体を、以下、「比較例2に係る接合体」と称する。
比較例2に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、比較例2に係る接合体の場合、2つのアルミナブロックの間には、厚さ約40μmのセラミックス接合層が形成されていることがわかった。しかしながら、2つのアルミナブロックの間には、アルミニウム部材が残存していないことが確認された。このことから、比較例2の方法では、アルミニウム部材は、処理中にほとんどが消失してしまうことがわかった。
比較例2では、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を得ることができなかったため、4点曲げ試験は実施しなかった。
前述の表1の「比較例2」の欄には、比較例2に係る接合体を製造する際に使用した接合材、該接合材中の炭素、ケイ素および酸素含有量などをまとめて示した。
(実施例7)
以下の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
まず、寸法30mm×30mm×厚さ2.5mmのアルミナ板(純度99.5%のα−アルミナ)を準備した。また、実施例1と同様の方法で、PMPhSを含むトルエン溶液を準備した。
次に、アルミナ板上にトルエン溶液を5滴滴下した後、アルミナ板を3000rpmで回転させ、スピンコートを実施した。
次に、アルミナ板上に、市販のアルミニウム線(純度99%以上:ニラコ社製)を配置した。アルミニウム線の太さは、直径100μmφ、500μmφ、および1000μmφの3種類とした。その後、アルミナ板をアルゴン雰囲気下900℃で1時間焼成した。
これにより、アルミナ板上に各種太さのアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
図12には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例8)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
ただし、この実施例8では、アルミニウム線の代わりに、寸法が20mm×20mm×厚さ300μmのアルミニウム板(純度99.5%のα−アルミナ)を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、650℃、1時間とした。
これにより、アルミナ板上にアルミニウム板が接合された接合体が得られた。
図13には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、アルミニウム板は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、アルミニウム板は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例9)
実施例8の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
ただし、この実施例9では、アルミニウム板の代わりに、実施例1で使用したものと同じアルミニウム箔(20mm×20mm×厚さ22μm)を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
これにより、アルミナ板上にアルミニウム箔が接合された接合体が得られた。
図14には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、アルミニウム箔は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、アルミニウム箔は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
なお、基板の上には、接合剤由来の炭素塊の残留が見られた。
(実施例10)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム合金部材の接合体を製作した。だだし、この実施例10では、アルミニウム線の代わりに、直径2000μmφのAl−Si合金(シルミン:ケイ素量12wt%)線を使用した。また、アルミナ板の熱処理(アルミニウム合金部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、650℃、1時間とした。
これにより、アルミナ板上にAl−Si合金線が接合された接合体が得られた。
図15には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、Al−Si合金線は、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、Al−Si合金線は、アルミナ板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例11)
実施例1と同様の方法により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例11では、セラミックス部材として、アルミナブロックの代わりに、窒化ケイ素ブロック(20mm×4mm×4mm)を使用した。すなわち、PMPhSが塗布された2つの窒化ケイ素ブロックを、アルミニウム箔を介して接合面(20mm×4mmの一面)同士で接合して、接合体を作製した。
実施例11に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例11に係る接合体においても、各窒化ケイ素ブロックの間には、連続的で、比較的厚さが均一なアルミニウム層が存在していることが確認された。なお、アルミニウム層の内部には、炭化物(炭化ケイ素)塊が複数存在していることが確認された。
また、窒化ケイ素ブロックとアルミニウム層の界面には、隙間やボイドは認められず、接合層は、健全な状態で存在していることが確認された。
(実施例12)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
ただし、この実施例12では、アルミナ板の代わりに、寸法が20mm×20mm×厚さ1mmの窒化ケイ素板を使用した。
これにより、窒化ケイ素板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化ケイ素板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例13)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。
ただし、この実施例13では、アルミナ板の代わりに、寸法が25mm×25mm×厚さ400μmの窒化アルミニウム板を使用した。
これにより、窒化アルミニウム板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化アルミニウム板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例14)
実施例13の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例14では、熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
これにより、窒化アルミニウム板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
図16には、得られた接合体の平面図(写真)を示す。なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化アルミニウム板に対して良好に接合していることがわかった。
(実施例15)
実施例12の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合体を製作した。ただし、この実施例15では、熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、600℃、1時間とした。
これにより、窒化ケイ素板上にアルミニウム線が接合された接合体が得られた。
なお、いずれのアルミニウム線も、指で引っ掻いた程度では、全く剥離しなかった。このことから、各アルミニウム線は、窒化ケイ素板に対して良好に接合していることがわかった。
(比較例3)
実施例7の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例3では、アルミナ板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例7の場合と同様である。
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、アルミナ板に接合していないことがわかった。
(比較例4)
実施例12の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例4では、窒化ケイ素板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例12の場合と同様である。
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、窒化ケイ素板に接合していないことがわかった。
(比較例5)
実施例13の場合と同様の手順により、セラミックス部材とアルミニウム部材の接合を試みた。ただし、この比較例5では、窒化アルミニウム板の熱処理(アルミニウム部材との接合)条件は、アルゴン雰囲気下、580℃、1時間とした。その他の条件は実施例13の場合と同様である。
熱処理後に確認したところ、いずれのアルミニウム線も、窒化アルミニウム板に接合していないことがわかった。
以下の表2には、実施例7〜実施例15、および比較例3〜比較例5に係る接合体の作製条件、および接合状態をまとめて示した。
本発明は、例えば、セラミックス接合技術、ヘテロ材料(金属−セラミックス)製造技術、およびセラミックス基板に対する配線技術等に利用することができる。
100 接合体
110 セラミックス部材
130 アルミニウム部材
150 接合層
200 接合体
210 第1のセラミックス部材
230 アルミニウム部材
250 第1の接合層
260 第2のセラミックス部材
290 第2の接合層

Claims (6)

  1. アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材と、アルミニウム部材とが、アルミノシリケート(ただしムライトを除く)を含有する接合層を介して接合された接合体であって、
    前記接合層には、AlSi50103、AlSi10、およびAl1.9Si0.052.95が含有されていることを特徴とする接合体。
  2. 前記セラミックス部材と、前記アルミニウム部材との間には、前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材に比べて、シリコンの量が高い領域が存在することを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートからなる群から選定された、少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の接合体。
  4. 前記アルミニウム部材中には、炭素塊、炭化物塊または金属シリコン塊が含まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の接合体。
  5. さらに、前記アルミニウム部材の前記セラミックス部材とは反対の側には、アルミノシリケートを含有する第2の接合層を介して、第2のセラミックス部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の接合体。
  6. さらに、前記アルミニウム部材の前記セラミックス部材とは反対の側には、第2のセラミックス部材が配置され、
    前記第2のセラミックス部材と前記アルミニウム部材の間には、前記第2のセラミックス部材および前記アルミニウム部材に比べて、シリコンの量が高い領域が存在することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の接合体。
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