JP3907818B2 - 窒化珪素回路基板、半導体装置及び窒化珪素回路基板の製造方法 - Google Patents

窒化珪素回路基板、半導体装置及び窒化珪素回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化珪素回路基板及びその製造方法並びに窒化珪素回路基板を用いた半導体装置に関し、特に、機械的強度および耐熱サイクル特性が改善され、放熱特性に優れた高熱伝導性窒化珪素回路基板およびその製造方法並びに半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
回路基板は、セラミック板と金属回路板とを接合することによって作られ、この接合方法として、ろう材などの結合材を使用せずにセラミック板と金属回路板とを接合する直接接合法が知られている。この方法は、金属回路板に含まれる成分どうし、あるいは金属回路板とセラミック板成分との共晶化合物を加熱によって発生させ、この化合物を接着剤として接合する方法である。この接合方法は、アルミナなどの酸化物セラミックスに対して有効な方法である。ところが、特開平6−135771号公報に提案されるような窒化物セラミックス、特に窒化珪素セラミック板を金属回路板と接合させた場合、生じる共晶液相の濡れ性が低く接合強度が低くなり、半導体素子を作動させて繰り返しの熱サイクルを接合部分に負荷すると、接合部分付近のセラミック板にクラックが発生し、耐熱サイクル特性が低い回路基板となってしまう。従って、窒化物セラミック板に対しては、有効な手段ではない。
【0003】
しかし、窒化珪素セラミック板は、高い機械的強度や耐熱性のみならず、高い熱伝導性を有する材料であるため、発明者等は、接合性を改善する方法として、特願平7−250318において、高熱伝導性窒化珪素セラミック板と金属回路板とを接合する際にアルミニウムと酸素を含む中間層を利用する手法を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特願平7−250318において提案する手法は、接合性の点で優れた方法であるが、さらに接合部の耐熱サイクル特性及び信頼性を向上させることが求められている。本発明は、さらに信頼性ある回路基板を製造するためになされたもので、焼結した窒化珪素セラミック板が本来備える高強度を利用し、さらに熱伝導率が高く放熱性に優れるとともに、耐熱サイクル特性を大幅に改善した高熱伝導性窒化珪素回路基板を提供するとともにこの窒化珪素基板を利用することで熱サイクルに対する信頼性を向上させた半導体装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、中間層の酸化アルミニウムの分布を制御することによって中間層の特性を改善できることを見いだし、本発明の窒化珪素回路基板、これを用いた半導体装置及び窒化珪素回路基板の製造方法を発明するに至った。
【0006】
本発明の窒化珪素回路基板は、酸化アルミニウム成分を含む化合物と酸化珪素とを含有する中間層を介して窒化珪素セラミック板と金属回路板とが接合されている窒化珪素回路基板であって、該中間層の酸化アルミニウム成分濃度は該窒化珪素セラミック板側よりも該金属回路板側において高く、酸化珪素濃度は該金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高い
【0007】
上記中間層の厚さは0.5〜15μmであり、上記中間層の酸化アルミニウム成分濃度は該金属回路板側において40重量%以上に達する。
【0008】
上記中間層はチタンを含有してもよく、該チタンの濃度は前記金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高い。
【0009】
上記中間層は窒素を含有してもよく、該窒素の濃度は前記金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高い。
【0010】
又、本発明に係る半導体装置は、上述に記載の窒化珪素回路基板と、該窒化珪素回路基板に搭載される半導体素子とを有する。
【0011】
更に、本発明の窒化珪素回路基板の製造方法は、酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層を介して窒化珪素セラミック板と金属回路板とが接合されている窒化珪素回路基板の製造方法であって、酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層を窒化珪素セラミック板上に形成し、形成された中間層を酸化アルミニウムを含有する固体面に接触させながら加熱した後に、金属回路板を該中間層に接触させながら加熱して該金属回路板と該中間層とを接合する。
【0012】
上記中間層を酸化アルミニウムを含有する固体面に接触させながら加熱する際に、加熱雰囲気として酸素量が20%以下の窒素雰囲気を用いて1400℃以上且つ窒化珪素セラミック板の焼結温度より低い温度に加熱することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0014】
酸化アルミニウム成分を含む化合物をゾル・ゲル法、ディップ法、スピンコート法、CVD法等により焼結後の窒化珪素セラミック板表面に形成し、この酸化アルミニウム含有層を加熱処理すると、酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層が表面に形成された窒化珪素セラミック板が得られる。この加熱処理の際に、酸化アルミニウム含有層内には窒化珪素セラミック板に起因するシリカ成分が生成し、更に酸化アルミニウム含有層の表面から酸化アルミニウム成分の揮散が起こる。このため、得られた中間層における酸化アルミニウム成分の濃度は中間層の中央部付近で最も高く、セラミック板付近及び表面付近において低くなる。このような中間層を金属回路板と接触させ加熱して接合した場合、中間層の表面における酸化アルミニウム成分の濃度が低いほど接合強度は低下する。又、中間層を介して接合される金属回路板とセラミック板とでは熱膨張係数が大きく異なり、加熱・冷却を繰り返す熱サイクルを行うと、応力歪により中間層の破壊及び接合部の破断が生じる。
【0015】
ところが、セラミック板に形成された酸化アルミニウム含有層の加熱処理をアルミナ煉瓦等に接触させながら行うと、得られる中間層の酸化アルミニウム成分の濃度は、アルミナ煉瓦に接していた表面付近が最も高く、セラミック板側に向かって減少する。このような中間層をもつ窒化珪素セラミック板と金属回路板とを接合すると、表面付近の酸化アルミニウム成分濃度の高さによって接合強度が向上する。更に、シリカの熱膨張係数はアルミナに比べて小さいので、セラミック板側でシリカ成分濃度が高く金属回路板側で酸化アルミニウム成分濃度が高い構造は、熱サイクルで生じる応力歪を減少させ、中間層の耐熱サイクル特性及び信頼性が改善される。本発明に係る窒化珪素回路基板は、このように酸化アルミニウム成分の濃度に特徴を有する中間層を介して窒化珪素セラミック板と金属回路板とが接合されたものである。
【0016】
まず、窒化珪素セラミック板について説明する。
【0017】
本発明は高熱伝導性の窒化珪素セラミック板の使用に限定される物ではないが、窒化珪素の利点の1つは高い熱伝導性を得られることであり、熱伝導率が60W/mK程度以上の高熱伝導性窒化珪素セラミック板を用いることが実際においては望まれる。熱伝導率が60W/mK以上の窒化珪素セラミック板は、例えば、微細で高純度を有する窒化珪素粉末に希土類元素酸化物等を所定の割合で添加した原料混合粉末を成形、脱脂し、得られた成形体を所定温度で一定時間保持して焼結した後、所定以下の冷却速度で徐冷することによって得られる。また、酸素や不純物陽イオン元素含有量を低減した高純度の窒化珪素原料粉末を使用して所定条件で焼結することにより、粒界相におけるアモルファス(非晶質)相の生成を効果的に抑制し粒界相における結晶化合物を20体積%以上(粒界相全体に対し)とすることによっても得られ、結晶化合物を50体積%以上とすることにより熱伝導率が80W/mK以上のセラミックス板も得られる。又、焼結後の冷却速度を毎時100℃以下にすると、窒化珪素焼結体の粒界相がアモルファス(非晶質)状態から結晶相を多く含む相に変化し、高強度特性と高熱伝導性が同時達成される。
【0018】
好ましい窒化珪素セラミック板の態様として、希土類元素を酸化物換算で、1.0〜12.5重量%、不純物陽イオン元素としてのLi、Na、K、Fe、Ca、Mg、Sr、Ba、Mn、Bの含有量は合計で0.3重量%以下であり、熱伝導率が25℃下で60W/mK以上である高熱伝導性窒化珪素セラミック板が挙げられる。また、別の好ましい様態として、窒化珪素粒子および粒界相から構成され、粒界相中における結晶化合物相が粒界相全体に対して体積比で20%以上を占め、熱伝導率が60W/mK以上である高熱伝導性窒化珪素セラミック板が挙げられる。このような窒化珪素セラミック板の表面に、好ましくは厚さが0.5〜15μmでありアルミニウムと酸素を含有し、酸化アルミニウム含有量が、接合する金属回路板近傍のほうが窒化珪素セラミック板近傍よりも高い中間層が形成され、この中間層を介して金属回路板を窒化珪素セラミック板に接合することにより回路基板ならびに半導体装置が製造される。
【0019】
窒化珪素セラミック板は、例えば以下の方法で製造される。まず、酸素含有量が1.7重量%以下で、不純物陽イオン量がLi、Na、K、Fe、Ca、Mg、Sr、Ba、Mn、Bの合計で0.3重量%以下であり、α相の窒化珪素を90重量%以上含有し、平均粒径0.8μm以下の窒化珪素粉末を用意する。これに焼結助剤として希土類元素を酸化物換算で1.0〜12.5重量%となるように添加した原料混合粉体を必要に応じてバインダ等を利用して成形する。成形体を脱脂した後、温度1800〜2000℃で加圧雰囲気中で焼結し、毎時100℃以下の冷却速度で上記焼結温度から焼結時に上記希土類元素によって形成された液相が凝固する温度に至るまで冷却する。
【0020】
上記製造方法において、上記原料混合体にさらに、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、ホウ化物からなる群より選択される少なくとも1種を0.2〜3.0重量%の割合で添加してもよく、必要に応じてアルミナ(Al23 )および窒化アルミニウム(AlN)の少なくとも一方を0.1〜2.0重量%の範囲で加えることができる。
【0021】
上記製造方法によれば、窒化珪素を母相とする組織中に希土類元素を含む粒界相が形成され、気孔率が1.5体積%以下で、熱伝導率が60W/mK以上となり、三点曲げ強度が室温で60 kgf/mm2 以上となる機械的特性および熱伝導性がともに優れた窒化珪素セラミック板が得られる。
【0022】
本発明に使用される高熱伝導性窒化珪素セラミック板の主原料となる窒化珪素粉末は、焼結性、強度および熱伝導性を考慮すると、酸素含有量が1.7重量%以下で、0.5〜1.5重量%、Li、Na、K、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Bなどの不純物陽イオン元素の含有量が0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下で、α相窒化珪素を90重量%以上、好ましくは93重量%以上含有し、平均粒径が0.8μm以下、好ましくは0.4〜0.6μm程度の微細な窒化珪素粉末を使用するのが望ましい。平均粒径が0.8μm以下の微細な原料粉末を使用することにより、少量の焼結助剤であっても気孔率が1.5体積%以下の緻密な焼結体を作製することが可能である。また、Li、Na、K、Fe、Mg、Ca、Sr、Ba、Mn、Bのような元素は、不純物陽イオン元素として熱伝導性を阻害するため、60W/mK以上の熱伝導率を確保するためには、上記不純物陽イオン元素の含有量は合計で0.3重量%以下であることが必要である。さらに、β相の窒化珪素と比較して焼結性に優れたα相の窒化珪素を90体積%以上含有する窒化珪素原料粉末を使用することにより、高密度で高熱伝導性の窒化珪素セラミック板を製造することができる。
【0023】
また、窒化珪素原料粉末に焼結助剤として添加する希土類元素としては、Y、La、Sc、Pr、Ce、Nd、Dy、Ho、Gd、Ybなどの酸化物もしくは熱処理によってこれらの酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、アルコキサイド等の形態で用いられる。焼結助剤は、単独あるいは必要に応じて2種類以上を組み合わせて添加してもよいが、特に酸化イットリウム(Y23 )が好ましい。これらの焼結助剤は、焼結工程途中に窒化珪素原料粉末と反応して液相を生成し、焼結を促進する。上記焼結助剤の添加量は、酸化物換算で原料粉末に対して1.0〜12.5重量%の範囲に設定される。この添加量が1.0重量%未満の場合には焼結を促進させる効果が十分に発現されず、一方添加量が12.5重量%を超えると過剰の粒界相が生成し、熱伝導率や機械的強度の低下につながる恐れがある。より好ましくは3.0〜6.0重量%の範囲であることが望ましい。
【0024】
また、他の添加成分としてアルミナ(Al23 )または窒化アルミニウム(AlN)の少なくとも一方を添加すると、上記希土類元素と反応して液相を生成し焼結を促進する効果があり、特に加圧焼結を行う場合において著しい効果を発揮するものである。これらの添加量が合計で0.1重量%未満の場合においては緻密化が不十分である一方、2.0重量%を超えると過剰の粒界相を生成したり、または一部のアルミニウム原子が窒化珪素粒子に固溶しはじめ、熱伝導率の低下が起こる。従って、添加量は0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲に設定することが望ましい。
【0025】
また、他の添加成分として使用するTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Wの酸化物、炭化物、ケイ化物、ホウ化物は、結晶組織において分散強化の機能を果たし、窒化珪素セラミック板の機械的強度を向上させるものである。上記化合物の添加量が0.2重量%未満の場合には強度向上の効果が低く、一方3.0重量%を超えると熱伝導性や電気絶縁破壊強度の低下につながる。従って、その添加量は0.2〜3.0重量%の範囲、より好ましくは0.3〜2.0重量%の範囲にすることが望ましい。
【0026】
さらに、上記Ti、Zr、Hf等の化合物は、窒化珪素セラミック板を着色し不透明性を付与する遮光材としても機能する。そのため、特に光によって誤動作を生じやすい集積回路などを搭載する回路基板に適用する場合には、上記化合物を添加することが望ましい。
【0027】
窒化珪素焼結体中に形成される粒界相は、窒化珪素セラミック板の熱伝導率に大きく影響するため、高熱伝導性窒化珪素セラミック板となるには、体積比で粒界相の20%以上が結晶相で占められるようにすることが重要である。
【0028】
窒化珪素セラミック板の気孔率を1.5体積%以下にして、窒化珪素焼結体内に形成される粒界相の20体積%以上が結晶相で占められるようにするためには、窒化珪素成形体を1800〜2000℃の温度で0.5〜10時間程度加圧焼結し、かつ焼結終了後における冷却速度を毎時100℃以下、より好ましくは50℃以下に調整・制御することが重要である。焼結温度を1800℃未満に設定した場合には焼結体の緻密化が不十分となり、機械的強度および熱伝導率が低下してしまう。一方、焼結温度が2000℃を超えると窒化珪素の分解・蒸発が激しくなり好ましくない。
【0029】
焼結後の冷却速度は粒界相を結晶化させるため、ひいては高い機械的強度と熱伝導性を得るための重要な因子であり、冷却速度が毎時100℃を超えるような急速な冷却を行うと、焼結体に含まれる粒界相のアモルファス相(非晶質相)の割合が大きくなり、強度と熱伝導性が低下してしまう。
【0030】
上記冷却速度を厳密に調整すべき温度範囲は、焼結温度(1800〜2000℃)から、前記焼結助剤の反応によって生成する液相が固化するまでの温度範囲である。例えば、前述のような焼結助剤を使用した場合の液相固化温度は、おおむね1500〜1600℃前後である。焼結温度から液相固化温度の範囲の冷却速度を毎時100℃以下、より好ましくは毎時50℃以下に制御することにより、粒界相の20体積%以上、望ましくは50体積%以上が結晶相となり、機械的強度と熱伝導に優れた窒化珪素セラミック板を得ることが可能となる。
【0031】
上述を集約すると、高熱伝導性窒化珪素セラミック板の製造の好適な一例は、次のようなものとなる。まず、上述の微細な粒径を有し不純物含有量が少ない窒化珪素粉末に対して適量の焼結助剤、有機バインダ等の必要な添加剤を添加し、混合して原料混合粉体を調整し、次に、得られた原料混合粉体を汎用の金型プレス法あるいはドクターブレード法などのシート成形法を用いて成形して所望形状の成形体を得る。この成形体を非酸化性雰囲気中で最高温度600〜800℃で脱脂を行い、脱脂後の成形体を窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気中で1800〜2000℃の温度で雰囲気加圧下で所定時間焼結を行い、さらに必要に応じて焼結体の研削加工等を行う。
【0032】
上記製法によって製造された高熱伝導性窒化珪素基板は、気孔率が1.5体積%以下で、60W/mK(25℃)以上の高熱伝導性を有し、また3点曲げ強度が60 kgf/mm2 以上と機械的強度にも優れている。製造条件を更に好適化すれば、強度を80kgf/mm2 以上に向上させることも可能である。
【0033】
次に、本発明の酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層について説明する。
【0034】
酸化アルミニウム成分を含む化合物としては、例えばアルミナ(Al23 )単体、ムライト等に代表されるアルミノシリケイト(Al23 −SiO2 )、希土類アルミネイト等の化合物を挙げることができる。特にアルミナが好ましい。また、アルミニウムと酸素を含むガラスなどのアモルファス相なども使用することができ、複数種の化合物を含んでいてもよい。但し、結晶相である方が、窒化珪素セラミック板との結晶格子のマッチングによってより大きい接合強度が得られる。これらの化合物に含まれるアルミニウム及び酸素が、接合の熱処理中に発生する金属回路板の共晶液相の濡れ性を改善すると同時に、共晶液相と反応して金属回路板と中間層との間に、M−Al−O化合物(Mは金属回路板を形成する金属元素)が生成し、この化合物の生成によって金属回路板と中間層とが強固に接合され、さらに中間層と窒化珪素セラミック板との間も強固に接合されることで、金属回路板を窒化珪素セラミック板に強固に接合することが可能となる。特に、金属回路板がアルミニウムを主成分とする場合には、金属回路板のアルミニウムと中間層に含まれるアルミニウムが相互に拡散して、さらに強固に接合することが可能となる。
【0035】
酸化アルミニウム成分を含む化合物は、焼結後の窒化珪素セラミック板表面に種々の方法によって形成することができる。ゾルゲル法、ディップ法、スピンコート法などによって後工程の熱処理によって所望の化合物となる前駆体の均質な膜を形成して該化合物とする方法、あるいはCVD法やPVD法などによって該化合物を形成する方法等が挙げられる。これらの方法で窒化珪素セラミック板の表面に酸化アルミニウム成分を含む化合物を膜状に積層した後に熱処理することにより、接合用の中間層が形成される。また、アルミニウムを含むガラスなどの場合には微細な粉末を窒化珪素セラミック板上に塗布し、その融点まで加熱して溶融させる方法も可能である。
【0036】
酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層内に前述のような酸化アルミニウム成分の濃度勾配を形成する方法としては、酸化アルミニウム成分を含む化合物の層を表面に形成した窒化珪素セラミック板を、酸化アルミニウム成分を含むレンガ等のセラミック材に当接させて、酸素を含む雰囲気中で高温で所定時間熱処理を行うことが挙げられる。このように酸化アルミニウムを含んだ固体面と接触させた状態で熱処理を行うと、形成した化合物の表面から酸化アルミニウム成分が熱処理中に揮散することを意図的に防止できる。同時に、このセラミック材から中間層へ酸化アルミニウム成分を拡散させることができる。熱処理する際に使用するセラミック材は、酸化アルミニウム成分含有材料であれば特に限定はされないが、好ましくはアルミナ(Al23 )を60重量%以上含有するものが望ましい。一方、窒化珪素セラミック板に近い側では酸素を含有する雰囲気中で熱処理することにより窒化珪素が一部酸化されて酸化珪素(SiO2 )が生成し、酸化珪素と酸化アルミニウム含有化合物が反応してSiO2 の含有量が多い部分が形成され、相対的に酸化アルミニウム成分の含有量が低下する。この方法で熱処理することにより、後工程において金属回路板と接合される部分の中間層の酸化アルミニウム含有濃度が高く、窒化珪素セラミック板側で酸化アルミニウム濃度が低くなるような濃度勾配を形成することができる。熱処理温度は、好ましくは800℃〜1800℃、より好ましくは1000℃〜1600℃の範囲に設定される。800℃以下では、中間層と窒化珪素回路基板の十分な密着強度を得ることができず、一方、1800℃以上で熱処理すると、SiO2 の生成を制御することが困難となると同時に窒化珪素の分解にともなう気体の発生により、中間層内部に気泡が発生し、金属回路板を接合した際に密着強度低下につながる。加熱後の冷却は、応力緩和及び結晶相の形成し易さ等の点から穏やかに行うのが好ましい。
【0037】
このような濃度勾配を持った中間層の形成は次のような効果をもたらす。すなわち、金属回路板は窒化珪素セラミック板と比較して大きな熱膨張係数を持つが、金属回路板に接する側では中間層の熱膨張係数が比較的大きな酸化アルミニウム(熱膨張係数:8×10-6/℃)の含有量が多く、一方、熱膨張係数が小さい窒化珪素セラミック板側では熱膨張係数の小さなSiO2 (熱膨張係数:3×10-6/℃)の含有量が多い。このように構成することで、中間層に酸化アルミニウムの濃度勾配がない状態と比較して、金属回路板の接合のための熱処理や素子搭載後の素子駆動による発熱にともなう膨張、収縮による熱応力を効果的に緩和できる。また、中間層の熱膨張係数は窒化珪素セラミック基板から離れるに従って大きくなる構成によって、中間層を形成するための熱処理及びその後の冷却を経た窒化珪素セラミック基板には圧縮応力が働く。通常、セラミック材料では圧縮応力がかかることにより機械的強度が向上することが知られており、本発明においても窒化珪素セラミック基板が本来有する機械的特性をさらに向上できる。
【0038】
さらに、二次的な効果として、熱処理時に酸化アルミニウム含有セラミック材ではさむことにより中間層を形成した窒化珪素セラミック板の熱応力にともなうそりやうねりを押さえる効果もある。熱処理時にそりやうねりが発生すると、後工程で金属回路板を接合する際に金属回路板と窒化珪素セラミック板の間に隙間が生じ、強固な接合を形成することができなくなり、結果として回路基板としての信頼性低下につながる。
【0039】
中間層の厚さは、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μmの範囲に設定される。中間層の厚さが0.5μm未満であると、上記共晶液相の濡れ性を改善する効果が不十分である。一方、中間層の厚さが15μmを超えると、この層が熱抵抗となって窒化珪素セラミック板の高熱伝導性を阻害する。また、中間層と窒化珪素セラミック板との熱膨張率の差の緩和が困難になり、素子駆動中の発熱などによって中間層が剥離する等の問題を生じる可能性がある。
【0040】
上述に従って酸化アルミニウムを含有する層を窒化珪素セラミック板上に形成し加熱処理を行うことによって得られる中間層と窒化珪素セラミック板との密着強度は、加熱処理時間あるいは加熱処理雰囲気によって低くなる場合がある。このような窒化珪素セラミック板に金属回路板を接合しセラミック回路基板として使用すると、応力がかかった際に金属回路板がセラミック板から剥離するなど信頼性が低下する。
【0041】
この様な場合、酸化アルミニウム含有層と窒化珪素セラミック板との界面にチタン(Ti)を存在させることによって、中間層と窒化珪素セラミック板との密着強度を向上させることができる。チタンは活性金属の一種で、酸化アルミニウム成分を含有する中間層内部のアルミニウム(Al)と一部反応し、TiAl3 等のTi−Al化合物あるいは窒素雰囲気中で熱処理を行った場合にはTi2 AlN等の化合物が微視的な領域で生成する。一方、窒化珪素セラミック板との間では、セラミック板に含まれるシリコン(Si)とチタンとが反応して微視的にTi−Si化合物(Ti5 Si3 等)が生成し、結果としてチタンが存在することによって中間層と窒化珪素セラミック板との間の密着強度が著しく向上する。
【0042】
あるいは、酸化アルミニウム含有層と窒化珪素セラミック板との界面に窒素を多く存在させることによっても、中間層と窒化珪素セラミック板との密着強度を改善できる。窒素は、ベースとなる窒化珪素セラミック板にも含まれており、中間層の窒化珪素セラミック板側に窒素が多く含まれると、中間層内と窒化珪素セラミック板内とで窒素が連続的に存在することにより、両者の接合強度を高め密着強度を著しく向上させる。
【0043】
チタンが窒化珪素回路板の界面にある場合について、このような中間層は、酸化アルミニウム含有化合物を窒化珪素回路板表面に形成する前に、予めチタン含有化合物を窒化珪素回路基板表面に形成し、酸化アルミニウム含有化合物を形成した後熱処理することにより得ることができる。
【0044】
前記チタン化合物は、接合に用いる中間層を形成するための熱処理中に中間層に含まれる酸化アルミニウム成分あるいは窒化珪素回路板に含まれるシリコンと微視的に反応し得るもので有れば特に限定されず、チタン単体、酸化チタン、チタニウムアルコキシド、チタンの炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、塩化物等を用いることができる。
【0045】
前記チタンを含む化合物は、焼結後の窒化珪素セラミック板表面に種々の方法によって形成することができる。溶液の場合にはゾル−ゲル法、ディップ法、スピンコート法などによって後工程の熱処理によって所望の化合物となる前駆体の均質な膜を形成する方法などが挙げられ、又、CVD法やPVD等によって化合物を形成する方法等が挙げられる。形成するチタン化合物は、0.01〜5μm、好ましくは0.03〜3μmの厚さに設けるのが望ましい。
【0046】
前記中間層のチタンには、濃度分布が存在し得る。チタンの濃度分布は、前述の中間層を形成するための熱処理によってチタンが中間層内部へと拡散することによって生じ、窒化珪素回路板近傍でチタン濃度が高く、金属回路板に近い側で低くなる。
【0047】
窒素が窒化珪素回路板の界面に存在する場合について、このような中間層を生成する方法としては、酸化アルミニウム含有化合物を窒化珪素回路板表面に形成する前に、予め高温で安定な窒化物(窒化アルミニウム、窒化チタン等)や酸窒化物(サイアロン等)や高温での熱処理でこれらの化合物になり得る前駆体物質を窒化珪素回路基板表面に供給し、酸化アルミニウム含有化合物を形成した後に熱処理する方法が挙げられる。あるいは、酸化アルミニウム含有化合物を窒化珪素セラミック板上に形成した後に高温で熱処理して窒化珪素セラミック板側から中間層へと窒素を拡散させる方法を採用してもよい。
【0048】
前述の高温で安定な窒素化合物は、焼結後の窒化珪素セラミック板表面に種々の方法によって形成することができる。溶液の場合にはゾル−ゲル法、ディップ法、スピンコート法などによって前駆体となる均質な膜を形成する方法などが挙げられ、又、CVD法やPVD等によって化合物を形成する方法等が挙げられる。高温での熱処理によって窒化珪素セラミック板から中間層内部へと窒素を拡散させ、中間層と窒化珪素セラミック板との間の接合を強固にし、且つ、前述の酸化アルミニウム成分の濃度勾配を形成するためには、1400℃より高く窒化珪素セラミック板を焼結した温度より低い温度で熱処理することが好ましく、その雰囲気も酸素含有量が20%以下の窒素雰囲気中であることが望ましい。雰囲気の酸素含有量が多くなると、熱処理が1400℃より高い温度であるために窒化珪素セラミック板の分解が始まるので好ましくない。
【0049】
前記中間層の窒素には、濃度分布が存在し得る。窒素の濃度分布は、前述の中間層を形成するための熱処理によって窒素が窒化珪素セラミック板から中間層内部へと拡散することによって生じ、窒化珪素回路板近傍で窒素濃度が高く、金属回路板に近い側で低くなる。
【0050】
次に、本発明の金属回路板について説明する。
【0051】
金属回路板を構成する金属としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、銀(Ag)、コバルト(Co)の単体、酸素を含むもの、および合金など加熱により共晶液相を生じ接合可能なものならば特に限定はされないが、特に導電性の点および価格の点などからCu、Al、Ni(一定量の酸素を含有するものも含まれる)ならびにその合金が望ましい。金属回路板の接合は、たとえば金属回路板が銅の場合には以下のような方法で行われる。まず、図1及び図2に示すように、酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層3を所望の厚さに形成した窒化珪素セラミック板2の表面の所定の位置に、酸素を含有する金属(銅)回路板4、5を接触配置させ、必要ならば荷重をかけた状態で銅と酸化銅(Cu2 O)の共晶温度(1065℃)以上に加熱する。加熱を一定時間続けて共晶液相を生成させることで、この液相を接合材として金属(銅)回路板4、5が窒化珪素セラミック板2に接合され、窒化珪素回路基板1が形成される。他の種類の金属回路板も基本的には同じ方法で接合が可能であるが、その場合にはこの共晶液相が生じる温度を考慮して熱処理する温度を適宜設定する必要がある。
【0052】
さらに、図3及び図4に示すように、本発明に従って、上記窒化珪素回路基板1上に半導体素子7を搭載することによって半導体装置6、8が形成される。特に、その高熱伝導性を利用して、高出力半導体素子を搭載する半導体装置が好適に製造でき、例えばバイポーラトランジスタ、IGBT、GTRなどを搭載したパワーモジュールと呼ばれる半導体装置が代表的である。図3及び図4において参照符号9はボンディングワイヤを示し、符号10は取り出しリード端子、符号11はハンダ、符号12は銅ベース板を示す。このような半導体装置は、主として各種モータ制御および大電力スイッチングなどの用途に用いることができる。これらにおいては、半導体装置の駆動、停止にともなう素子の発熱、冷却の熱サイクルがかかるが、前記窒化珪素回路基板が有する高強度、高熱伝導性、高信頼性によって十分対応可能である。さらに、本発明の窒化珪素回路基板は、半導体素子搭載用のパッケージなどにも応用可能である。
【0053】
以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、これらの実施例は本発明の理解を容易にする目的で記載されるものであり、本発明を特に限定するものではない。
【0054】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明する。
【0055】
(実施例1)
酸素を1.2重量%、不純物陽イオン元素を0.2重量%含有し、α相型窒化珪素を96%含む平均粒径0.6μmの窒化珪素原料粉末に、焼結助剤として平均粒径0.8μmの酸化イットリウム(Y23 )粉末と、平均粒径0.6μmのアルミナ(Al23 )粉末を全体量に対してそれぞれ4重量%、1.2重量%となるように添加し、ブタノール中で24時間湿式混合した後に、乾燥して原料粉末混合体とした。次に、得られた原料粉末混合体に有機バインダを添加してさらに混合した後、1t/cm2 の成形圧力でプレス成形して80×50×0.9mm3 の成形体を作製した。次に、得られた成形体を最高温度700℃で窒素ガス中で脱脂を行った後、この脱脂体を窒素ガス雰囲気中8気圧で1880℃で8時間焼成し、引き続き冷却速度を毎時100℃として1500℃まで冷却し、その後、炉冷を行ってち密な窒化珪素焼結体を得た。この焼結体を研削加工して厚さ0.6mmの窒化珪素セラミック板を得た。
【0056】
次に、接合のための中間層を以下の方法で作製した。まず、アルミニウムブトキサイドに75℃に暖めた温水を入れ、25分間激しく攪拌した。次にこの溶液に硝酸(HNO3 )を加えたところ、半透明なゾルが得られた。この溶液の液量が半分になるまで水を蒸発させた後、最後に2−ブタノールを加えてコーティング溶液とした。この溶液に上記窒化珪素セラミック板を浸漬させ、5cm/分の速度でゆっくり垂直に引き上げて溶液のディッピングを行った後、自然乾燥させた。次に、この基板をアルミナ含有量98重量%のレンガで挟み電気炉内にセットし、空気中において1400℃で2時間熱処理して、厚さ4μmで、非晶質相、アルミノシリケート(Al23 −SiO2 )結晶相及びクリストバライト(SiO2 )などから構成される中間層を形成した窒化珪素セラミック板を作製した。この中間層内部のアルミナ含有量をオージェ分析により解析したところ、表面付近では85重量%で、内部に行くに従ってSiO2 含有量が増加し、窒化珪素セラミック板付近では11重量%であった。
【0057】
次に、中間相を形成した窒化珪素セラミック板の両側に厚さ0.3mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1075℃で1分間加熱処理することにより銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合して図1に示すような高熱伝導性窒化珪素回路基板を作製した。
【0058】
得られた窒化珪素セラミック板の熱伝導率を測定したところ、82W/mKであり、気孔率は0.2体積%であった。また粉末X線回折法で測定した窒化珪素セラミック板内部の粒界相における結晶相の割合は33体積%であった。
【0059】
得られた回路基板の強度特性、靱性を測定するために三点曲げ強度試験、および最大たわみ量を測定した。最大たわみ量は、支持スパン50mmで上記回路基板を支持した状態で中央部に荷重を負荷し、回路基板が破断した時のたわみ高さを測定して最大たわみ量とした。その結果、三点曲げ強度は78 kgf/mm2 で、最大たわみ量は1.3mmであった。
【0060】
銅の回路基板と窒化珪素セラミック板の接合強度の密着強度を評価するために、ピール強度試験を行った。ピール強度は、厚さ0.3mmで幅3mmのタフピッチ銅板を先述と同様の方法で中間層を形成した窒化珪素セラミック板に接合し、その端をインストロン試験機を用いてセラミック板に対して90度方向に上に剥すことによって測定した。この時のクロスヘッドスピードは50mm/分とした。その結果、ピール強度は9.2 kgf/cmであり、密着強度は十分であった。
【0061】
さらに、−45℃〜室温まで加熱し、引き続き室温から125℃まで加熱した後に、再び室温を経て−45℃まで冷却する過程を1サイクルとして繰り返し回路基板に付与する耐熱サイクル試験を行って、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定したところ、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0062】
また、この高熱伝導性窒化珪素回路基板に複数の半導体素子を搭載して図3に示すような半導体装置を製造した。この半導体装置に通電して、過渡熱抵抗を測定したところ、従来の窒化アルミニウム基板を用いた半導体装置と同等の優れた放熱性を示した。また、窒化珪素基板内部や銅板との接合部などにもクラックなどの発生はなく優れた耐久性と信頼性を有することが確認された。
【0063】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で窒化珪素の焼結まで行った後、冷却過程を制御することなく炉冷によって室温まで冷却して、緻密で熱伝導率が39W/mKの窒化珪素焼結体を得た。この時の冷却速度は平均でおよそ毎時500℃であった。この後、実施例1と同様の方法でアルミナ(Al23 )表面層を形成し、さらに実施例1と同様の方法で熱処理を行った後、実施例1と同様の方法で銅板を接合して回路基板を製造した。得られた窒化珪素回路基板の三点曲げ強度は62 kgf/mm2 、最大たわみ量は1.2mmであった。又、耐熱サイクル試験では、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0064】
(実施例3)
実施例1と同様の窒化珪素原料粉末を用い、焼結助剤として平均粒径0.9μmの酸化ホルミウム(Ho23 )4重量%、平均粒径0.6μmのアルミナ(Al23 )粉末0.6重量%を添加し、実施例1と同様の方法で成形、脱脂を行った後、8気圧の窒素ガス雰囲気ガス中において1880℃で5時間焼結を行った。焼結後、1500℃までの冷却速度を毎時50℃として冷却し、それ以降は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素焼結体を得た。この窒化珪素焼結体を研削加工して厚さ0.5mmの窒化珪素セラミック板を得た。
【0065】
得られた窒化珪素セラミック板は、気孔率が0.2体積%で、粒界相における結晶相の割合は55体積%であり、また熱伝導率は91W/mKと高かった。
【0066】
次に、金属回路板を接合するための中間層を以下の方法で作製した。まず、エタノールを溶媒としてオルトケイ酸エチル(Si(OEt)4 )を溶解し、更に水と硝酸(HNO3 )とをエタノールに加えたものを滴下して、この溶液を還流した。この還流した溶液に、水をエタノールに溶解した溶液を加え、さらにアルミニウムイソプロポキシド(Al(isoーPrO)3 )を加えた後,再び還流した。この溶液に、濃塩酸を溶媒で希釈したものを滴下し、攪拌・還流してコーティング溶液を調整した。このコーティング溶液を滴下しながらスピンコーティング法によって窒化珪素セラミック基板表面に膜を形成した後、乾燥した。次に、実施例1で用いたアルミニウムブトキサイドの溶液を用いて再度スピンコーティングにより積層した。このようにして2層を窒化珪素セラミック板表面に形成した後、アルミナ含有量92重量%の煉瓦で挟み、空気中において1300℃で2時間熱処理して、厚さが6μmで、アルミナ、ムライト、クリストバライトなどで構成された金属回路板接合用の中間層を形成した。
【0067】
次に、中間層を形成した窒化珪素セラミック板の両面に厚さ0.3mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1075℃で1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合した。
【0068】
接合後に基板を切断し、切断面においてEPMAにより線分析を行った結果、中間層内部の銅板に近い側ではアルミナ成分濃度が90重量%となり、窒化珪素セラミック基板に近くなるにしたがってSiO2 濃度が高くなり、窒化珪素セラミック基板付近のアルミナ成分濃度は15重量%であった。
【0069】
得られた回路基板の強度特性、靱性を測定するために、三点曲げ強度および最大たわみ量を実施例1と同様の方法で測定した。その結果、三点曲げ強度は88 kgf/mm2 で最大たわみ量は1.3mmであった。また、金属回路板の接合強度を評価するために実施例1と同様の方法でピール強度を測定したところ、7.7 kgf/cmと高い値であった。
【0070】
また、耐熱サイクル試験を実施例1と同様の方法で行った結果、1000回のサイクルでも基板部にクラックは発生しなかった。
【0071】
(比較例1)
実施例1と同様の方法でアルミニウムブトキサイドの溶液に窒化珪素セラミック板を浸漬し、それを実施例1と同じ速度で引き上げた後、乾燥した。このセラミック板を1400℃で2時間、空気中で熱処理する際に、アルミナレンガで挟まずに熱処理を行った。このセラミック板に実施例1と同様の方法でタフピッチ銅板を接合した。得られた回路基板にはわずかにそり、うねりが発生しており、さらにセラミック板を切断して切断面で接合のための中間層内部のアルミナ成分の分布をEPMA線分析で調べたところ、厚さ4μmの中間層において銅板からおよそ1.5μmのところで78重量%となり最もアルミナ成分濃度が高く、銅板に近づいても窒化珪素セラミック板に近づいてもアルミナ成分濃度は減少する傾向が見られた。三点曲げ強度は62 kgf/mm2 、最大たわみ量は0.9mm、ピール強度は5.1 kgf/cmといずれも実施例1と比較してやや低い値となった。さらに、そり・うねりのために銅板の接合状態は一部で未接合の部分があり、実用に供することが困難な試料もあった。さらに耐熱サイクル試験を実施例1と同様の方法で実施した結果、900回を越えた時点でクラックが発生し機械的強度に問題があった。
【0072】
(比較例2〜4)
実施例3と同様の方法で作製した窒化珪素セラミック板を用いて、中間層をまったく形成しなかったもの(比較例2)、上記窒化珪素セラミック板を空気中1300℃で12時間熱処理してセラミック基板表面に酸化層(SiO2 )を厚さ4μmで形成したもの(比較例3)、および実施例3と同様の方法で中間層を形成したが、その厚みが0.4μmであったもの(比較例4)を作成し、それぞれについて、実施例3と同様の方法で銅回路板を接合し、その密着強度をピール強度試験によって評価した。その結果、比較例2の中間層をまったく形成しなかったものでは回路板を接合することができなかった。一方、SiO2 層を形成した比較例3では、ピール強度が2.6 kgf/cmであり、中間層の厚さが0.4μmの比較例4では1.9 kgf/cmといずれも低い値で、実用に供することができなかった。
【0073】
(実施例4〜7)
実施例1と同様の方法で窒化珪素セラミック板を作製し、その表面に接合のために表1に示す種々のアルミネート化合物の中間層をアルコキサイド溶液を用いて実施例1及び3と同様のディップ法により作製し、これをアルミナ含有量99wt%のレンガで挟んで空気中において1400℃で2時間熱処理した。さらにその表面に、表1に示すように、タフピッチ銅回路板(実施例4、7)、Siを含むAl回路板(実施例6)、および酸素を含むNi回路板(実施例5)を各々共晶液相を利用して接合し、回路基板を作製した。なお、接合温度を、実施例6では最高温度585℃とし、実施例5では1445℃とした。得られた回路基板のピール強度を評価し、また熱サイクル試験を行って信頼性の試験を行った。いずれの回路基板でも金属回路板は窒化珪素セラミック板に対して強固に接合されており、また熱サイクル試験を1000回行ってもクラックは発生しなかった。
【0074】
【表1】
Figure 0003907818
(実施例8)
1.2重量%の酸素及び0.15重量%の不純物陽イオンを含有し、α相窒化珪素を94%含有する平均粒径0.8μmの窒化珪素原料粉末に対して、焼結助剤として平均粒径0.9μmの酸化イッテルビウム(Yb23 )粉末が5重量%、平均粒径0.6μmのAl23 粉末が0.9重量%、平均粒径0.9μmのAlN粉末が0.3重量%となるように混合し、実施例1と同様の方法で成形及び脱脂を行って脱脂体を得た。次に、この脱脂体を8.5気圧窒素ガス雰囲気中にて1930℃で5時間加熱した後、1500℃までの冷却速度を毎時80℃に制御して冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素焼結体を得た。これを研削して、厚さが0.6mmの窒化珪素セラミック板を得た。得られた窒化珪素セラミック板の気孔率は0.2体積%であり、粒界相における結晶相の割合は48体積%で、その熱伝導率は76W/mKであった。
【0075】
次に、この窒化珪素セラミック板表面に金属回路板を接合するための中間層を以下の方法で作製した。窒化珪素セラミック板をアセトンで洗浄した後、スパッタ装置内にアルミニウムターゲットに対向する形で設置し、Ar分圧0.1Pa、O2 分圧を0.2Paとしてアルミニウムをスパッタした。この結果、窒化珪素セラミック板表面にアモルファスのAl23 薄膜が得られた。この表面にアモルファスのAl23 薄膜を形成した窒化珪素セラミック板をアルミナ含有量98wt%のレンガで挟んで炉内にセットし、1500℃で30分間、空気中で熱処理を行った。中間層内部のアルミナ含有量をオージェ分析により解析したところ、表面付近では76重量%で、内部に行くに従ってSiO2 含有量が増加し、窒化珪素セラミック板付近では16重量%であった。
【0076】
得られた窒化珪素セラミック板の両面に厚さが0.3mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1073℃で1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合した。
【0077】
銅を接合した回路基板に対して実施例1と同様の方法で三点曲げ強度、最大たわみ量、耐熱サイクル試験およびピール強度試験を行った結果、三点曲げ強度は70 kgf/mm2 、最大たわみ量は1.0mm、耐熱サイクル試験は1000回以上、ピール強度は8.5 kgf/cmといずれも優れた値で実用に十分供することができる回路基板であった。
【0078】
(実施例9)
まず、酸素を1.2重量%、不純物陽イオンを0.2重量%含有し、α相型窒化珪素を96%含む平均粒径が0.8μmの窒化珪素原料粉末に、焼結助剤として平均粒径0.9μmの酸化イットリウム(Y23 )粉末と、平均粒径0.6μmのアルミナ(Al23 )粉末を全体量に対してそれぞれ3重量%、1.2重量%となるように添加し、ブタノール中で8時間湿式混合した後に、乾燥して原料粉末混合体とした。次に、得られた原料粉末混合体にアクリル系の有機バインダを添加してさらに混合した後、100MPaの成形圧力でプレス成形して80×50×0.9mm3 の成形体を作製した。次に、得られた成形体を最高温度700℃で窒素ガス中で脱脂を行った後、この脱脂体を窒素ガス雰囲気中7気圧で1850℃で10時間焼成し、引き続き冷却速度を毎時80℃として1450℃まで冷却し、その後、炉冷を行ってち密な窒化珪素焼結体を得た。この焼結体を研削加工して厚さ0.6mmの窒化珪素セラミック板を得た。
【0079】
得られた窒化珪素セラミック板の熱伝導率及び気孔率を測定した。その結果、熱伝導率は91W/mKであり、気孔率は0.2体積%であった。又、粉末X線回折法で測定した窒化珪素セラミック板内の粒界相における結晶相の割合は28体積%であった。
【0080】
次に、汎用のスパッタ装置内に前記窒化珪素セラミック板をセットし、アルゴンガスを導入しながらTiをスパッタし、窒化珪素セラミック板の両面に厚さ0.3μmのTi薄膜を形成した。続いて、アルミニウムブトキサイドに75℃に暖めた温水を加えて激しく攪拌した後、この溶液に硝酸(HNO3 )を加え、さらに混合を続けて半透明なアルミナゾルを調製した。この液を加熱して液量を半分にした後、最後にブタノールを添加してコーティング溶液とした。この溶液に前記窒化珪素セラミック板を浸漬し、5cm/分の速度でゆっくり引き上げて溶液のディッピングを行った後、自然乾燥させた。引続き、この窒化珪素セラミック板をアルミナ含有量98%の断熱レンガで挟み、電気炉内にセットし、空気中におて1250℃で2時間熱処理して、厚さが4μm、非晶質相及び結晶相のアルミノシリケート(Al23 −SiO2 )及びクリストバライト相(SiO2 )等から構成される中間相を窒化珪素セラミック板表面に形成した。
【0081】
中間層内部のアルミナ含有量を断面のEPMA分析により解析したところ、表面付近では77重量%で、内部に行くに従ってSiO2 含有量が増加し、窒化珪素セラミック板付近では約32重量%であった。又、中間層内部で窒化珪素セラミック板に近づくにつれてTiの強度が高くなり、中間層とセラミック板の界面にはわずかなTiの偏析も認められた。
【0082】
次に、中間相を形成した窒化珪素セラミック板の両側に厚さ0.3mmのタフピッチ銅(酸素を僅かに含む銅板)からなる銅回路板を配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1073℃で1分間加熱処理することにより銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合して図1に示すような高熱伝導性窒化珪素回路基板を作製した。
【0083】
得られた回路基板の強度特性、靱性を測定するために三点曲げ強度試験、および最大たわみ量を測定した。最大たわみ量は、支持スパン50mmで上記回路基板を支持した状態で中央部に荷重を負荷し、回路基板が破断した時のたわみ高さを測定して最大たわみ量とした。その結果、三点曲げ強度は690MPaで、最大たわみ量は1.3mmであった。
【0084】
銅の回路基板と窒化珪素セラミック板の接合強度の密着強度を評価するために、ピール強度試験を行った。ピール強度は、厚さ0.3mmで幅3mmのタフピッチ銅板を先述と同様の方法で中間層を形成した窒化珪素セラミック板に接合し、その端をインストロン試験機を用いてセラミック板に対して90度方向に上に剥すことによって測定した。この時のクロスヘッドスピードは50mm/分とした。その結果、ピール強度は11.2 kgf/cmであり、接合強度は十分であった。
【0085】
さらに、−45℃〜室温まで加熱し、引き続き室温から125℃まで加熱した後に、再び室温を経て−45℃まで冷却する過程を1サイクルとして繰り返し回路基板に付与する耐熱サイクル試験を行って、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定したところ、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0086】
また、この高熱伝導性窒化珪素回路基板に複数の半導体素子を搭載して図3に示すような半導体装置を製造した。この半導体装置に通電して、過渡熱抵抗を測定したところ、従来の窒化アルミニウム基板を用いた半導体装置と同等の優れた放熱性を示した。また、窒化珪素基板内部や銅板との接合部などにもクラックなどの発生はなく優れた耐久性と信頼性を有することが確認された。
【0087】
(実施例10)
実施例9と同様の窒化珪素原料粉末を用い、焼結助剤として平均粒径が1.1μmの酸化ディスプロシウム(Dy23 )を5重量%、平均粒径が0.6μmの窒化アルミニウム粉末0.8重量%を添加し、更に平均粒径が1.5μmのWO3 粉末を0.3重量%添加した後、実施例9と同様の方法で成形、脱脂を行った。その後、7気圧の窒素ガス雰囲気中で、1900℃で6時間焼結を行った。焼結後、1500℃までの冷却速度を毎時50℃として冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素焼結体を得た。この窒化珪素焼結体を研削加工して、厚さが0.65mmの窒化珪素セラミック板を得た。
【0088】
得られた窒化珪素セラミック板の気孔率は0.3体積%で、粒界相における結晶相の割合は52体積%で、熱伝導率は98W/mKであった。
【0089】
次いで、エタノールを溶媒としてチタンテトラエトキシド(Ti(OEt)4 )を溶解し、更に水と塩酸(HCl)とをエタノールに加えたものを滴下し、この溶液を還流した。この還流した溶液に、水をエタノールに溶解した溶液をを加え、更に攪拌・還流を続け部分加水分解して、コーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を滴下しながらスピンコート法によって窒化珪素セラミック基板表面に膜を形成した後、乾燥した。続いて、実施例9で用いたアルミニウムブトキサイドの溶液と同じものを用いて、更にスピンコーティング法により膜を積層した。
【0090】
このようにしてチタン含有層及び酸化アルミ成分含有層の2層を窒化珪素セラミック板上に形成した後、酸素含有量が5%の窒素雰囲気中でアルミナ含有量が96重量%のレンガで破産で1300℃で2時間熱処理することにより厚さ3.5μmのアルミナ、アモルファス層などで構成された金属回路板接合用の中間層を形成した。
【0091】
次に、中間相を形成した窒化珪素セラミック板の両側に厚さ0.3mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1073℃で1分間加熱処理することにより銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合して窒化珪素回路基板を作製した。
【0092】
得られた回路基板を切断し、切断面においてEPMAにより線分析を行った。その結果、中間層内部の銅板に近い側ではアルミナ成分濃度が85重量%となり、窒化珪素セラミック板に近くなるに従ってTi、Si等の濃度が高くなり、中間層内部で窒化珪素セラミック近傍のアルミナ濃度は約28重量%であった。又、マイクロX線回折により中間層と窒化珪素セラミック近傍の構成相を調べたところ、Ti5 Si3 の存在が確認された。
【0093】
又、回路基板の強度特性、靱性を測定するために三点曲げ強度試験および最大たわみ量を実施例9と同様の方法で測定した。その結果、三点曲げ強度は880MPaで、最大たわみ量は1.2mmであった。更に、 金属回路板と窒化珪素セラミック板の接合強度を評価するために、実施例9と同様の方法でピール強度を測定したところ、ピール強度は10.7 kgf/cmと高い値であった。更に、耐熱サイクルも実施例9と同様の方法で測定したところ、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0094】
(比較例5)
実施例10と同様の方法でチタンテトラエトキシドの溶液及びアルミニウムブトキサイドの溶液を調製し、これらの溶液を混合・攪拌した後還流し、半透明の浸漬用溶液を調製した。続いて、この溶液に、実施例9と同様に得られた窒化珪素セラミック板を浸漬して引き上げた後、乾燥した。この窒化珪素セラミック板をアルミナレンガで挟まなかったこと以外は実施例10と同様の熱処理を行った後、タフピッチ銅からなる金属回路板を接合することにより窒化珪素回路基板を製造した。
【0095】
得られた回路基板の強度特性及び靭性値を評価するために三点曲げ強度及び最大たわみ量を測定した。その結果、三点曲げ強度は860MPa、最大たわみ量は1.2mmと高い値であった。しかし、金属回路板の接合強度をピール強度を用いて評価したところ、ピール強度は4.6 kgf/cmと低い値で、実用に供することはできなかった。又、金属回路板の剥離モードを調べたところ、中間層と窒化珪素セラミック板との間で起こっていた。中間層内部の組成分析をEPMAを用いて調べたところ、酸化アルミニウム成分の濃度及びチタンの含有量は中間層内部でほぼ均一であり、中間層の構成相はほとんどがTi−Al−Oであった。
【0096】
(比較例6)
最初にスパッタ装置を用いて窒化珪素セラミック板にスパッタした金属がTiではなくZrである以外は実施例9と同様の方法で中間層を形成し、更に熱処理を行った後、実施例9と同様の方法でタフピッチ銅板からなる金属回路板を接合することにより窒化珪素回路基板を製造した。
【0097】
得られた回路基板の強度特性及び靭性値を評価するために三点曲げ強度及び最大たわみ量を測定した。その結果、三点曲げ強度は710MPa、最大たわみ量は1.1mmであった。
【0098】
銅回路板と窒化珪素セラミック板との接合強度を評価するためにピール強度試験を行ったところ、ピール強度は3.3 kgf/cmであり、接合強度は低い値であった。又、−45℃〜室温まで加熱し、引き続き室温から125℃まで加熱した後に再び室温を経て−45℃まで冷却する過程を1サイクルとして繰り返し回路基板に付与する耐熱サイクル試験を行って、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定した。その結果、約150回で窒化珪素セラミック板から金属回路板が剥離し、実用に供することができないことが判明した。剥離のモードを調べたところ、ジルコニウムを含む層と窒化珪素セラミック板の密着強度が低いために耐熱サイクル試験で不具合が発生したものと推定された。
【0099】
(実施例11〜14)
実施例9と同様の方法で窒化珪素セラミック板を作製し、その表面に金属回路板接合のためにTi層を実施例9と同様の方法でスパッタ法により厚さ0.5μmで形成した。更に、Ti層の上に表2に示す種々のアルミネート化合物のアルコキサイド溶液を用いて中間層を実施例10と同様のスピンコート法により作製し、これをアルミナ含有量98wt%のレンガで挟んで1300℃で表2に示す所定の雰囲気条件下で熱処理した。さらにその表面に、表2に示すように、タフピッチ銅回路板(実施例11)、Siを含むAl回路板(実施例12)、および酸素を含むNi回路板(実施例13)、無酸素銅板の表面を僅かに酸化した銅板(実施例14)を各々共晶液相を利用して前記窒化珪素セラミック板に接合し、回路基板を作製した。なお、接合温度は、実施例12では最高温度585℃とし、実施例13では1445℃とした。
【0100】
得られた回路基板のピール強度を評価し、また熱サイクル試験を行って信頼性の試験を行った。結果を表2に記載する。
【0101】
【表2】
Figure 0003907818
前記表2から明らかなように、実施例11〜14の回路基盤はいずれも金属回路板が窒化珪素セラミック板に対して強固に接合され、熱サイクル試験を1000回行ってもクラックは発生しなかった。
【0102】
(実施例15)
1.0重量%の酸素及び0.2重量%の不純物陽イオンを含有し、α相窒化珪素を94%含有する平均粒径0.7μmの窒化珪素原料粉末に対して、焼結助剤として平均粒径1.0μmの酸化イッテルビウム(Yb23 )粉末を6重量%添加し、平均粒径0.5μmのAl23 粉末と平均粒径0.6μmのAlN粉末を各々0.5重量%及び0.3重量%添加した後混合し、実施例91と同様の方法で成形及び脱脂を行って脱脂体を得た。次に、この脱脂体を7.5気圧窒素ガス雰囲気中にて1900℃で6時間加熱した後、1500℃までの冷却速度を毎時100℃に制御して冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素セラミック板を得た。
【0103】
得られた窒化珪素セラミック板の気孔率は0.2体積%であり、粒界相における結晶相の割合は45体積%で、その熱伝導率は85W/mKであった。
【0104】
次に、塩化チタン(TiCl3 )をエタノールに溶解したアルコール溶液を前記窒化珪素セラミック板にスピンコート法で塗布し、乾燥して窒化珪素セラミック板上に厚さ約1.5μmで塩化チタンの微結晶を析出させた。続いて、この窒化珪素セラミック板をスパッタ装置内にアルミニウムターゲットと対向する形で設置し、Ar分圧0.1Pa、O2 分圧を0.2Paとしてアルミニウムをスパッタした。この結果、窒化珪素セラミック板表面にアモルファスのAl23 薄膜が得られた。表面にTi化合物とAl23 薄膜とを形成したこの窒化珪素セラミック板をアルミナ含有量98wt%のレンガで挟んで炉内にセットし、1500℃で20分間、空気中で熱処理を行った。
【0105】
得られた窒化珪素セラミック板表面の中間層(3μm)内部のアルミナ含有量を解析したところ、表面付近では82重量%で、内部に行くに従ってアルミナ含有量が減少し、窒化珪素セラミック板付近では23重量%であった。又、Tiが窒化珪素セラミック板近傍に偏析している傾向が認められた。
【0106】
得られた窒化珪素セラミック板の両面に厚さが0.3mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1072℃で1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合し窒化珪素回路基盤を製造した。
【0107】
得られた回路基板に対して、強度及び靭性の評価を行った。その結果、三点曲げ強度は770MPa、最大たわみ量は1.3mm、耐熱サイクル試験は1000回以上、ピール強度は9.8 kgf/cmといずれも優れた値で実用に十分供することができる回路基板であった。
【0108】
(実施例16)
1.0重量%の酸素及び0.4重量%の不純物陽イオンを含有し、α相窒化珪素を92%含有する平均粒径0.7μmの窒化珪素原料粉末に対して、焼結助剤として平均粒径1.0μmの酸化イットリウム(Y23 )粉末と、平均粒径0.8μmのAl23 粉末とを各々4重量%及び0.9重量%となるように添加し、ブタノール中で8時間湿式混合した後、乾燥して原料混合粉末を調製した。次に、この原料混合粉末にアクリル系有機バインダを添加して更に混合した後、100MPaの成形圧力でプレス成形して80×50×0.9mm3 の成形体を得た。更に、この成形体を最高700℃の温度で窒素ガス雰囲気中で脱脂を行って脱脂体を得た。この脱脂体を8気圧の窒素ガス雰囲気中にて1880℃で8時間加熱焼結した後、1450℃までの冷却速度を毎時60℃に制御して冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素セラミック板を得た。
【0109】
得られた窒化珪素セラミック板の熱伝導率を測定したところ、91W/mKであり、気孔率は0.2体積%であった。又、粉末X線回折法で測定した窒化珪素セラミック板内の粒界相における結晶相の割合は45体積%であった。
【0110】
次に、アルミニウムブトキサイドに75℃に暖めた温水を加え激しく攪拌した後、この溶液に硝酸(HNO3 )を加え、更に混合を続けて半透明なアルミナゾルを調製した。この液の液量を加熱により半分まで減少させた後、最後にブタノールを添加してコーティング溶液とした。この溶液に前記窒化珪素セラミック板を浸漬し、5cm/分の速度でゆっくり引き上げて溶液のディッピングを行った後、自然乾燥させた。引続き、この窒化珪素セラミック板をアルミナ含有量96%の断熱レンガで挟み、電気炉内にセットし、酸素含有量3%の窒素雰囲気中において1550℃で2時間熱処理して、厚さが4μmでアルミナとサイアロン(Si−Al−O−N)等から構成される中間相を窒化珪素セラミック板表面に形成した。この中間層内部のアルミナ含有量を断面のEPMA分析により求めたところ、表面近傍では83重量%で、内部に行くに従って窒素及び珪素含有量が増加し、窒化珪素セラミック板付近では約44重量%であった。
【0111】
得られた窒化珪素セラミック板の両面に厚さが0.3mmのタフピッチ銅(酸素をわずかに含む銅板)からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1073℃にて1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合し図1に示すような窒化珪素回路基板を製造した。
【0112】
得られた回路基板に対して、強度特性及び靭性を評価するために、実施例9と同様の方法により三点曲げ強度及び最大たわみ量を測定した。その結果、三点曲げ強度は720MPa、最大たわみ量は1.2mmであった。
【0113】
銅回路板と窒化珪素セラミック板との接合強度を評価するために実施例9と同様の方法によりピール強度試験を行った。その結果、ピール強度は10.8 kgf/cmであり、接合強度は十分であった。
【0114】
さらに、−45℃〜室温まで加熱し、引き続き室温から125℃まで加熱した後に再び室温を経て−45℃まで冷却する過程を1サイクルとして繰り返し回路基板に付与する耐熱サイクル試験を行って、基板部にクラック等が発生するまでのサイクル数を測定したところ、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0115】
また、この高熱伝導性窒化珪素回路基板に複数の半導体素子を搭載して図3に示すような半導体装置を製造した。この半導体装置に通電して、過渡熱抵抗を測定したところ、従来の窒化アルミニウム基板を用いた半導体装置と同等の優れた放熱性を示した。また、窒化珪素基板内部や銅板との接合部などにもクラックなどの発生はなく優れた耐久性と信頼性を有することが確認された。
【0116】
(実施例17)
実施例16と同様の窒化珪素原料粉末を用い、焼結助剤として平均粒径1.1μmの酸化ディスプロシウム(Dy23 )粉末を5重量%、平均粒径0.6μmの窒化アルミニウム(AlN)粉末0.8重量%を添加し、更に平均粒径が1.5μmのWO3 粉末を0.3重量%添加した後、実施例16と同様の方法で成形、脱脂を行った。その後、7気圧の窒素ガス雰囲気中にて1900℃で6時間加熱焼結した後、1500℃までの冷却速度を毎時50℃に制御して冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素焼結体を得た。この窒化珪素焼結体を研削加工して厚さが0.65mmの窒化珪素セラミック板を得た。
【0117】
得られた窒化珪素セラミック板の気孔率は0.3体積%で、粒界相における結晶相の割合は55体積%で、熱伝導率は98W/mKでああった。
【0118】
次に、この窒化珪素セラミック板をスパッタ装置内にチタンターゲットと対向する形で設置し、Ar分圧0.1Pa、N2 分圧を0.2Paとしてチタンをスパッタした。窒化珪素セラミック板の両面にTiNの薄膜を形成した。続いて、実施例16で用いたアルミニウムブトキサイドの溶液と同じものを用いて、さらにスピンコーティング法により膜を積層した。
【0119】
このようにしてチタン含有層及び酸化アルミニウム成分含有層の2層を窒化珪素セラミック板上に形成した後、アルミナ含有量96%のレンガで挟み、酸素含有量5%の窒素雰囲気中において1600℃で30分間熱処理して、厚さが3.5μmでアルミナ、TiN、Ti5 Si3 、サイアロン等から構成される金属回路板接合用中間相を形成した。
【0120】
次いで、中間層を形成した窒化珪素セラミック板の両面に厚さが0.4mmのタフピッチ銅(酸素をわずかに含む銅板)からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1073℃にて1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合し図1に示すような窒化珪素回路基板を製造した。
【0121】
得られた回路基板を切断し、切断面においてEPMA分析により線分析を行った。その結果、中間層内部の銅板に近い側ではアルミナ成分濃度が85重量%となり、窒化珪素セラミック板に近くなるほど窒素及び珪素の濃度が増加し、中間層内部で窒化珪素セラミック近傍のアルミナ濃度は約28重量%であった。
【0122】
又、回路基板の強度特性及び靭性を評価するために、実施例16と同様の方法により三点曲げ強度及び最大たわみ量を測定した。その結果、三点曲げ強度は780MPa、最大たわみ量は1.2mmであった。
【0123】
更に、金属回路板の接合強度の評価のため実施例16と同様の方法によりピール強度試験を行ったところ、ピール強度は10.5 kgf/cmと高い値であった。耐熱サイクルも実施例9と同様の方法で測定したところ、1000回のサイクルでも基板にクラックは発生しなかった。
【0124】
(比較例7)
実施例16と同様の方法でアルミニウムブトキシドの溶液を調製し、半透明の浸漬用の溶液を作製した。続いて、得られた溶液に、実施例16と同様に得られた窒化珪素セラミック板を浸漬して引き上げた後、乾燥した。この窒化珪素セラミック板を、熱処理温度を1350℃にしたこと以外は実施例16と同様の熱処理を行った後、タフピッチ銅からなる金属回路板を接合することにより窒化珪素回路基板を製造した。
【0125】
得られた回路基板の強度特性及び靭性値を評価するために三点曲げ強度及び最大たわみ量を測定した。その結果、三点曲げ強度は860MPa、最大たわみ量は1.2mmと高い値であった。しかし、金属回路板の接合強度をピール強度を用いて評価したところ、ピール強度は4.3 kgf/cmと低い値で、実用に供することはできなかった。又、金属回路板の剥離モードを調べたところ、中間層と窒化珪素セラミック板との間で起こっていた。中間層内部の組成分析をEPMAを用いて調べたところ、アルミナ成分の濃度は表面近傍でやや高く、窒化珪素セラミック板に近くなるに従って低下していたが、中間層内部には殆ど窒素が含有されておらず、ピール試験後の剥離モードを調べたところ、中間層と窒化珪素セラミック板尾間で剥離しており、中間層と窒化珪素セラミック板の間の密着強度が低いと予想された。
【0126】
(実施例18〜21)
実施例16と同様の方法で窒化珪素セラミック板を作製し、さらに窒化珪素セラミック板上に表3に示す種々のアルミネート化合物の中間層をアルコキサイド溶液を用いて実施例17と同様のスピンコート法により作製し、これをアルミナ含有量98wt%のレンガで挟んで、表3に示す所定の雰囲気、温度条件下で熱処理した。さらにその表面に、表3に示すように、Siを含むAl回路板(実施例18)、タフピッチ銅回路板(実施例19)、無酸素銅板の表面を僅かに酸化した銅板(実施例20)および酸素を含むNi回路板(実施例21)を各々共晶液相を利用して前記窒化珪素セラミック板に接合し、窒化珪素回路基板を作製した。なお、接合温度は、実施例18では最高温度585℃とし、実施例21では1445℃とした。
【0127】
得られた回路基板のピール強度を評価し、また熱サイクル試験を行って信頼性の試験を行った。結果を表3に記載する。
【0128】
【表3】
Figure 0003907818
前記表3から明らかなように、実施例18〜21の回路基盤はいずれも金属回路板が窒化珪素セラミック板に対して強固に接合され、熱サイクル試験を1000回行ってもクラックは発生しなかった。
【0129】
(実施例22)
1.0重量%の酸素及び0.2重量%の不純物陽イオンを含有し、α相窒化珪素を94%含有する平均粒径0.7μmの窒化珪素原料粉末に対して、焼結助剤として平均粒径1.0μmの酸化イッテルビウム(Yb23 )粉末を6重量%添加し、平均粒径0.5μmのAl23 粉末と平均粒径0.6μmの窒化アルミニウム(AlN)粉末を各々0.5重量%及び0.3重量%添加した後混合し、ボールミルを用いてn−ブタノール中において湿式混合した。この混合粉末を有機バインダと共に有機溶媒中に分散し、得られたスラリーをドクターブレード法によってシート化し、複数のシートを作製した。続いて、このシートを80×40mm2 に切断して複数枚を積層して厚さ0.8mmの成形体を得た後、脱脂を行って脱脂体を得た。この脱脂体を7.5気圧窒素ガス雰囲気中にて1900℃で6時間加熱した後、1500℃までの冷却速度を毎時100℃に制御して冷却し、その後は室温まで炉冷して緻密な窒化珪素セラミック板を得た。
【0130】
得られた窒化珪素セラミック板の気孔率は0.2体積%であり、粒界相における結晶相の割合は45体積%で、その熱伝導率は85W/mKであった。
【0131】
次に、この窒化珪素セラミック板をスパッタ装置内にアルミニウムターゲットと対向する形で設置し、Ar分圧0.1Pa、O2 分圧を0.2Paとしてアルミニウムをスパッタした。この結果、窒化珪素セラミック板表面に厚さ2.5μmのアモルファスのAl23 薄膜が得られた。この表面にAl23 薄膜を形成した窒化珪素セラミック板をアルミナ含有量98wt%の断熱レンガで挟んで炉内にセットし、1500℃で20分間、空気中で熱処理を行った。
【0132】
得られた窒化珪素セラミック板表面の中間層(4.5μm)内部のアルミナ含有量を解析したところ、表面付近では82重量%で、内部に行くに従ってアルミナ含有量が減少し、窒化珪素セラミック板付近では23重量%であった。又、Tiが窒化珪素セラミック板近傍に偏析している傾向が認められた。
【0133】
得られた窒化珪素セラミック板の両面に厚さが0.4mmのタフピッチ銅からなる銅回路板を接触配置し、これをベルト式加熱炉に挿入して窒素雰囲気中で最高温度1072℃で1分間加熱処理することにより、銅回路板を窒化珪素セラミック板に接合し窒化珪素回路基盤を製造した。
【0134】
得られた回路基板に対して、強度及び靭性の評価を行った。その結果、三点曲げ強度は770MPa、最大たわみ量は1.3mm、耐熱サイクル試験は1000回以上、ピール強度は9.8 kgf/cmといずれも優れた値で実用に十分供することができる回路基板であった。
【0135】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る窒化珪素回路基板によれば、高熱伝導性の窒化珪素セラミック板表面に、アルミナ成分を含む化合物を含む中間層を形成し、この中間層内部でアルミナ含有量の濃度勾配を意図的に形成して金属回路板を一体に接合して形成されているため、アセンブリ工程で回路基板の締め付け割れが発生しない信頼性の高い回路基板が得られ、これを用いて半導体装置を高い歩留まりで量産することが可能となる。また、窒化珪素セラミック板の靱性値が高いため、熱サイクルによってセラミック板にクラックが発生することが少なく、耐熱サイクル特性が著しく向上し、耐久性および信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。さらに、熱伝導率の高さに卓越した窒化珪素セラミック板を使用することにより、高出力の半導体素子を搭載しても熱抵抗特性の劣化が少なく、優れた放熱特性を発揮する。又、窒化珪素セラミック板自体の機械的強度が優れているため、要求される機械的強度特性を満足させるためのセラミック板の厚さが他の材料と比べて低減することが可能となる。このセラミック板厚さを従来の材料よりも低減できることが熱抵抗を小さくでき、放熱特性をさらに改善することも可能となる。また、セラミック板厚さを薄くできることにより高密度実装も可能となり、半導体装置を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る窒化珪素回路基板の一実施例の平面図である。
【図2】図1の窒化珪素回路基板のX−X線断面図である。
【図3】本発明に係る窒化珪素回路基板を用いた半導体装置の一実施例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る窒化珪素回路基板を用いた半導体装置の他の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 窒化珪素回路基板
2 窒化珪素セラミック板
3 中間層
4、5 金属回路板(Cu)
6、8 半導体装置
7 半導体素子
9 ボンディングワイヤ
10 取り出しリード端子
11 ハンダ
12 銅ベース板

Claims (7)

  1. 酸化アルミニウム成分を含む化合物と酸化珪素とを含有する中間層を介して窒化珪素セラミック板と金属回路板とが接合されている窒化珪素回路基板であって、該中間層の酸化アルミニウム成分濃度は該窒化珪素セラミック板側よりも該金属回路板側において高く、酸化珪素濃度は該金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高いことを特徴とする窒化珪素回路基板。
  2. 上記中間層の厚さは0.5〜15μmであり、上記中間層の酸化アルミニウム成分濃度は該金属回路板側において40重量%以上に達することを特徴とする請求項1記載の窒化珪素回路基板。
  3. 上記中間層はチタンを含有し、該チタンの濃度は前記金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高いことを特徴とする請求項1又は2記載の窒化珪素回路基板。
  4. 上記中間層は窒素を含有し、該窒素の濃度は前記金属回路板側よりも該窒化珪素セラミック板側において高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化珪素回路基板。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の窒化珪素回路基板と、該窒化珪素回路基板に搭載される半導体素子とを有することを特徴とする半導体装置。
  6. 酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層を介して窒化珪素セラミック板と金属回路板とが接合されている窒化珪素回路基板の製造方法であって、酸化アルミニウム成分を含む化合物を含有する中間層を窒化珪素セラミック板上に形成し、形成された中間層を酸化アルミニウムを含有する固体面に接触させながら加熱した後に、金属回路板を該中間層に接触させながら加熱して該金属回路板と該中間層とを接合することを特徴とする窒化珪素回路基板の製造方法。
  7. 前記中間層を酸化アルミニウムを含有する固体面に接触させながら加熱する際に、加熱雰囲気として酸素量が20%以下の窒素雰囲気を用いて1400℃以上且つ窒化珪素セラミック板の焼結温度より低い温度に加熱することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
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