JP4051164B2 - 窒化珪素質回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種配線基板や半導体素子収納用パッケージ等に適用される窒化珪素質回路基板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の高集積化に伴い、半導体装置から発生する熱も増加しており、該半導体装置の誤動作をなくす為には、このような熱を装置外に速やかに放出する基板が必要となっている。しかしながら、従来から絶縁基板材料として用いられてきたアルミナ質焼結体は、熱伝導率が約20W/m・Kと低いことからそれに代わるものとして高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム質焼結体が注目され始めた。しかし、窒化アルミニウム質焼結体は、強度や破壊靭性値が低く高応力のかかる部品や高信頼性の要求される分野には適用できないことが分かってきている。
【0003】
そこで、高熱伝導率と高強度、高信頼性の要求に応える材料として、最近、窒化珪素質焼結体が絶縁基板材料として注目されてきている。最近では、高温焼成によって、窒化珪素質焼結体の高純度化および粒界の結晶化などによって120W/m・K以上という窒化アルミニウム並みの高熱伝導性の窒化珪素質焼結体も、特開平8−319187号、特開平9−30866号などに提案されている。
【0004】
この窒化珪素質焼結体を絶縁基板とする回路基板としては、窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板の表面に銅箔などを活性金属法によって張りつけた後、エッチング処理することより表面に回路形成する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高熱伝導性窒化珪素質焼結体の場合、高熱伝導化を図る上で、1800℃以上の高温で焼成されるが、その場合、窒化珪素結晶粒子は粒成長し表面は窒化珪素の柱状の結晶がランダムに配列した表面組織から形成される。このような表面組織は、配線回路層を金属箔などを活性金属によって接合する上では接合強度を高めることができる点で有利である。
【0006】
しかしながら、金属箔または金属板からなる配線回路層の表面に、半田などのロウ材によって半導体素子を実装したりする場合、ロウ材との濡れ性が悪く、充分な接合強度が得られない。そこで、このようなロウ材と濡れ性を改善するために、配線回路層の表面にNiなどの無電解メッキ層を形成することが行なわれている。
【0007】
ところが、このような窒化珪素質回路基板における配線回路層の表面に無電解メッキ層を形成する場合、メッキ前に配線回路層に対して、活性パラジウムを塗布し洗浄するが、その際に、活性パラジウムが配線回路層の表面のみならず、窒化珪素質焼結体の表面の柱状の結晶がランダムに配列した表面組織内にパラジウムがトラップされてしまい、その結果、その後の無電解メッキ時に、配線回路層の表面のみならず、配線回路層間の基板表面にまでメッキされてしまい、メッキ付着による外観不良、さらには配線回路層間でショートするといった不具合が発生するという問題があった。
【0008】
従って、本発明は、金属箔または金属板からなる配線回路層の表面に無電界メッキ層を形成した場合においても、配線回路層間の窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板表面にメッキの付着やショート等が発生することがない高信頼性の窒化珪素質回路基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板の表面を研磨して、所定の表面粗さに制御することにより、上記の目的が達成できることを見いだし、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明の窒化珪素質回路基板は、窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板の表面に、金属箔または金属板からなる配線回路層を活性金属を含有する接着層によって被着形成するとともに、前記配線回路層のパラジウムが付着した表面に無電解メッキ層を被着形成してなるものであって、前記絶縁基板表面における少なくとも隣接する前記配線回路層間の絶縁基板表面の表面粗さRmaxが1〜3μmであり、且つ前記絶縁基板の厚みが0.3〜0.7mmであることを特徴とするものである。
【0011】
また、かかる回路基板においては、前記金属箔または金属板からなる配線回路層を前記絶縁基板表面に活性金属を用いて接合形成することによって配線回路層の絶縁基板への密着強度を高めることができる。
【0012】
また、前記窒化珪素質焼結体の鏡面における窒化珪素結晶粒子の平均アスペクト比を5以下とすることによって、絶縁基板表面の窒化珪素結晶の自形によって表面の荒れを抑制し、表面粗さを前記の範囲に容易に制御することができる。
【0013】
特に、アスペクト比を上記の範囲に制御する上で、前記窒化珪素質焼結体が、焼結助剤として希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を合計で3〜30モル%の割合で含有することが望ましい。
【0014】
また、本発明の窒化珪素質回路基板の製造方法によれば、(a)窒化珪素質焼結体からなる厚みが0.3〜0.7mmの絶縁基板を作製する工程と、(b)前記絶縁基板全面を表面粗さRmaxが1〜3μmとなるように処理を施す工程と、(c)前記絶縁基板の表面の所定箇所に活性金属ロウを塗布する工程と、(d)前記活性金属ロウ材を塗布した部分に金属箔または金属板を接合する工程と、(e)前記金属箔または金属板の所定箇所をエッチング除去して所定の配線回路層を形成する工程と、(f)前記配線回路層を含む絶縁基板全面にパラジウムを含む活性液を塗布した後、洗浄する工程と、(g)前記配線回路層の表面に無電解メッキを施す工程と、を具備することを特徴とするものである。特に、前記窒化珪素質焼結体は、焼結助剤として希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を合計で3〜30モル%の割合で添加してなる成形体を1800℃以下の低温で焼成することによって窒化珪素結晶の粒成長を抑制することができる。
【0015】
本発明によれば、少なくとも配線回路層間の絶縁基板の表面粗さRmaxを1.0〜3.0μm、厚みを0.3〜0.7mmに制御することにより、金属箔、金属板等の配線回路層の絶縁基板への密着強度を高めることができるとともに、表面に無電解メッキを施した場合においても基板表面への活性液の残留によるメッキ付着を防止でき配線間のショートによる不良をなくすことができ、且つ熱抵抗の低い回路基板を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の窒化珪素質回路基板について詳細に述べる。本発明における窒化珪素質回路基板1によれば、図1の概略断面図に示されるように、窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板2の表面に金属箔または金属板からなる配線回路層3が活性金属を含有する接着層4によって接合されている。また、この配線回路層3の表面には、無電解メッキ層5が被着形成されている。
【0017】
本発明によれば、かかる絶縁基板における少なくとも隣接する配線回路層3、3間の絶縁基板1表面の表面粗さRmaxが1〜3μmであることが重要である。即ち、表面粗さが3μmよりも大きいと、無電解メッキ処理を施した場合に、活性液が基板1表面の窒化珪素結晶粒子間にトラップされてメッキが付着してしまい、配線回路層3間の絶縁抵抗が低下したり、場合によっては、ショートするなどの問題が発生する。また、表面粗さが1μmよりも小さいと、活性金属を含有する接着層4による配線回路3の接着強度が低下してしまう。
【0018】
本発明における絶縁基板を構成する窒化珪素質焼結体は、β−窒化珪素相を主体とするものであり、この焼結体中における窒化珪素結晶粒子の平均アスペクト比が5以下であることが望ましい。これは、上記基板表面の表面粗さを1〜3μmとするにあたり、平均アスペクト比が5よりも大きいと、焼き上げ時の表面粗さが大きく、研磨などの処理に長時間を要したり、研磨量を大きくする必要があるためである。
【0019】
このように平均アスペクト比を上記の範囲に設定するには、1800℃以下の低温で焼成可能であることが必要である。かかる観点から焼結体中には、焼結助剤成分として希土類元素、及びアルカリ土類元素を含有することが望ましく、特に希土類元素の酸化物換算量およびアルカリ土類元素の酸化物換算量の合計量が3〜30モル%、特に5〜20モル%であることが望ましい。
【0020】
希土類元素としてはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの何れの元素でも好適に用いることができるが、これらの中でもY、Ce、Sm、Dy、Er、Yb、Lu、とりわけY、Erが特性およびコストの面で望ましい。
【0021】
またアルカリ土類元素としては、Mg,Sr,Caなどが挙げられがとりわけMgが最も望ましい。
【0022】
また、希土類元素の酸化物換算量(RE2O3)とアルカリ土類元素の酸化物換算量(RO)とはモル比(RE2O3/RO)が0.1〜15、特に0.5〜13の範囲となるように制御することが望ましい。
【0023】
これは、前記合量が3モル%より少量では焼結性が不足し、30モル%を越えると、焼結体中での窒化珪素の占める割合が少なくなり熱伝導率が低下するためである。また、前記RE2O3/ROのモル比率が15を越えたり、0.1より小さいと1800℃以下の温度での緻密化は不十分となり熱伝導率は低下する。
【0024】
また、他の成分としてAl2O3等のAl化合物の配合は焼結性の向上に寄与するが、窒化珪素結晶中に固溶してフォノンの拡散を阻害する結果、焼結体の熱伝導率が著しく低下するため、高熱伝導率化の為には存在しないことが最も望ましく、酸化物換算で1.0モル%以下、望ましくは0.5モル%以下、より望ましくは0.1モル%以下、更には0.05モル%以下にすることが望ましい。
【0025】
なおこの焼結体中には着色成分としてTi,V,Nb,W,Moなど周期律表第4a、5a、6a属金属のうち少なくとも1種を酸化物換算で0.05〜1重量%の割合で含んでいてもよい。
【0026】
また、本発明における窒化珪素質焼結体は、相対密度が90%以上、特に95%以上、さらには97%以上であることが高熱伝導化及び高強度を図る上で重要であり、相対密度が90%よりも低いと50W/m・K以上の熱伝導化は困難となるとともに、強度も極端に劣化する。
【0027】
また、本発明によれば、焼結体の切断面における窒化珪素結晶粒子の平均長軸径が0.5〜3.0μm、望ましくは0.5〜2.0μmであることが望ましい。これは、この長軸径が3.0μmよりも大きいと、焼結体中の粗大粒子が破壊源となり焼結体の強度を低下させてしまうためである。また、平均長軸径が0.5μmよりも小さいと熱伝導率が極端に低下してしまう。
【0028】
本発明における窒化珪素質焼結体を製造するには、窒化珪素粉末に対して、焼結助剤として、希土類元素酸化物、アルカリ土類元素酸化物を用いて成形体組成が、前述したように希土類元素とアルカリ土類元素は酸化物換算による合量で3〜30モル%、特に5〜20モル%であり、希土類元素とアルカリ土類元素の酸化物換算のモル比(RE2O3/RO)が0.1〜15、特に0.5〜13の範囲となるように含有され、また、Al量が酸化物換算で1.0モル%以下、特に0.5モル%以下、より望ましくは0.1モル%以下、更には0.05モル%以下に調製する。
【0029】
用いる窒化珪素原料としては不純物酸素量が0.5〜3.0重量%のものが好ましい。これは不純物酸素量が3.0重量%よりも多いと焼結体表面が荒れ強度劣化を招く恐れがあり、0.5重量%より少ないと焼結性が悪くなるためである。また平均粒径は0.1〜1.5μmであり、α率が90%以上、特に95%以上であることが焼結性を高める上で望ましい。なお、焼結助剤となる希土類元素およびMgは、いずれも平均粒径が1μm以下、純度99%以上の酸化物粉末の他に、炭酸塩、酢酸塩など焼成によって酸化物を形成しうる化合物として添加される。
【0030】
上記のように配合された窒化珪素粉末および焼結助剤粉末からなる混合粉末に対して有機バインダーと溶媒とを添加して調製した成形用原料を用いて、例えばプレス成形法や、CIP成形法、ドクターブレード法などのテープ成形法、押し出し成形法、射出成形法等の公知の成形方法でシート状の成形体を得ることができる。このシート状の基板状成形体は、単層でもよいし、薄肉のシート状成形体を積層したものであってもよい。
【0031】
この時、成形体の相対密度が48〜56%であることが、最終焼結体における相対密度および窒化珪素結晶の長軸径を0.5〜3μmの範囲に制御する上で望ましい。この成形体の密度は、成形圧力などによって容易に制御することができる。
【0032】
次に、上記のようにして得られた成形体を弱酸化性雰囲気中で脱バインダー処理してから、窒素を含有する非酸化性雰囲気中、1500〜1800℃、特に1600〜1750℃の温度で焼成して相対密度90%以上の焼結体を作製することができる。
【0033】
このようにして作製される絶縁基板はその厚みが0.3〜0.7mm、特に0.4〜0.6mmであることが重要である。これは厚みが0.3mmより薄いと、基板の耐電圧が低下し、また、絶縁基板としての強度が不十分となり、回路基板製造時、または回路基板を過酷な環境下で使用した場合に、配線回路層との熱膨張差などに起因する熱応力によってクラック等が発生しやすくなるためである。また、厚みが0.7mmよりも厚いと絶縁基板の熱抵抗が大きくなり基板による放熱性が低下してしまう。
【0034】
上記の絶縁基板を用いて本発明の窒化珪素質回路基板を作製するには、上記のようにして得られた厚さ0.3〜0.7mmの絶縁基板に、バレル研磨、ラップ研磨、ケミカルエッチングなどによって、表面粗さRmaxを1.0〜3.0μmに制御する。この際、焼結体の窒化珪素結晶粒子の平均アスペクト比が5よりも大きいと、バレル研磨ではRmaxを1.0〜3.0μmに調整することは難しく、ラップ研磨などによらざるえないが、このラップ研磨は研削量が大きく加工時間も長くなる。これに対して、平均アスペクト比が5以下の場合には、バレル研磨によって少ない研削量で短時間で容易に形成することができる。
【0035】
次に、この絶縁基板の所定箇所にCu−Ag−Ti、Cu−Au−Tiなどの活性金属(Ti,Zr,Hf)を含有するロウ材のペーストを厚さ10〜20μmの厚みで塗布する。
【0036】
そして、このロウ材の表面に厚さ0.1mm以上の金属箔あるいは金属板を積層し、800〜900℃で加圧しながら接合処理を行なう。金属板の接合強度を十分に持たすためには絶縁基板の接合表面の表面粗さRmaxは1.5〜2.5μmが望ましい。焼き付け後、金属箔や金属板にレジスト塗布、露光、現像、エッチング処理、レジスト剥離などの手法によって、所定の回路パターンからなる配線回路層を形成する。
【0037】
そして、配線回路層を含む基板全面に活性パラジウムなどの活性液を塗布した後、この基板を洗浄する。この洗浄によってパラジウムなどの金属成分は、配線回路層の表面に付着し、本発明によれば、基板表面の表面粗さが3μm以下に調製されているために、絶縁基板の表面に付着することがない。
【0038】
そして、この基板を無電解メッキ液中に所定時間浸漬し引き上げ後、洗浄することにより配線回路層の表面に所定の金属メッキ層を形成することができる。
【0039】
このように、金属メッキ層が形成された配線回路層の表面にパワー素子を搭載するには、配線回路層に半田ペーストを塗布した後、自動実装装置にて実装し、300〜400℃で加熱してロウ付けする。
【0040】
さらに、この回路基板の裏面に、金属箔や金属板などのヒートシンクなどの放熱板を取り付けることができる。この場合も配線回路層と同様に活性金属を含有するロウ材のペーストを塗布し、厚さ0.1mm以上の金属箔あるいは金属板を積層し、800〜900℃で加圧しながら焼き付けを行うことにより取り付けられる。
【0041】
さらに、放熱板を取り付けた配線基板をヒートシンクなどに実装する場合には、Pb−Sn共晶半田などの半田ペーストを塗布し、300〜400℃でロウ付けすればよい。
【0042】
また、本発明の回路基板においては、配線回路層3は、Cu、AlおよびAuの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属からなる金属箔、あるいは金属板から形成され、厚さが0.1mm以上、特に0.2mm以上であることが望ましい。
【0043】
【実施例】
実施例1
1μm以下の粒子が粒度分布にて累積で60〜80%であり平均粒子径が0.4〜0.7μm、且つ累積90%が2〜5μmであり、酸素量が1.0wt%、α率93%の直接窒化法により製造された窒化珪素原料粉末にEr2O3を5モル%,MgOを10モル%添加混合し、その混合粉末に対してアクリル樹脂バインダーとトルエンを溶媒として添加し、混練後、ドクターブレード法により0.03〜0.4mm厚みのグリーンシートを成形し、適宜積層、切断して、焼成後の大きさが15mm×50mmの基板成形体、および直径12mm、厚さ5mmとなるような円板状の成形体を作製した。
【0044】
かくして得られた成形体を弱酸化性雰囲気中、所定温度で脱バインダーした後、常圧窒素雰囲気中1720℃の温度で1〜24時間焼成して窒化珪素質基板及び焼結体を作製し、評価用の試料とした。
【0045】
前記円板状の評価試料を用いて、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定した。さらに支点幅30mmにて基板の室温における3点曲げ強度を測定した。表面粗さは接触式表面粗さ計にて測定した。
【0046】
また、焼結体の表面を鏡面加工し、フッ酸にてエッチングした後、走査型電子顕微鏡写真を撮影し、任意の直線を引き、その直線と接する結晶粒子を個々にアスペクト比を求めその平均を求めた結果、平均アスペクト比は2であった。
【0047】
また、基板表面に対して、所定時間湿式バレル処理を施した。バレル処理後の表面粗さRmaxと、バレル処理による研削量を測定した。また、絶縁基板の耐電圧を測定した。
【0048】
その後、Cu−Ag−Tiからなる活性金属含有のロウ材を塗布し、厚さ400μmの銅板を接合した後、レジスト形成、露光、現像、レジスト除去を行い、配線回路層を形成した。
【0049】
そして、この配線回路層の表面にパラジウムを含有する活性液を全面に塗布後、水洗によって洗浄し、この基板をNiメッキ液中に浸漬し、配線回路層の表面にNiメッキ層を1μmの厚みで形成した。
【0050】
この配線回路基板の配線回路層の表面に半導体チップを半田からなるロウ材によって実装し、半導体素子を発熱させ熱抵抗を測定した。その結果を表1に示した。
【0051】
比較として、130W/m・K、150W/m・KのAlN絶縁基板に前記と同様に活性金属法によってCu板を接合し、Niメッキ後、半導体素子を半田によって実装し、熱抵抗を測定した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示すとおり、表面粗さが1〜3μm、基板厚みが0.3〜0.7mmの本発明の回路基板は、銅板の接合強度が100MPa/cm以上,熱抵抗が15℃/W以下であり、配線回路層間にメッキ付着の無い良好なものであった。
【0054】
しかし、試料番号1では表面粗さRmaxが0.8μmのため銅板と基板間のアンカー効果が小さくなり銅板の接合強度が低く、また、試料番号5、6は表面が3μmを越えて粗れているため3点曲げ強度が低く、しかも配線回路層間にメッキの付着が認められた。また試料番号7では基板厚みが0.25mmと薄いため耐電圧が低く、回路に電流をかけた際に基板が割れて使用不可能であった。試料番号10では基板厚みが0.8mmと厚いため熱抵抗が高くなり、半導体チップの温度が上がり、使用不可能であった。
【0055】
実施例2
実施例1において、添加物の添加量を表2のように、種々変更し平均アスペクト比が異なる種々の焼結体を作製した。そして、この焼結体をバレル研磨またはラップ研磨で処理しそのときの研削量と処理後の表面粗さを表2に示した。
【0056】
そして、実施例1と同様にして、Cu箔を活性金属法で接合し、Niメッキを施し、同様の評価を行なった。
【0057】
【表2】
【0058】
表2の結果から明らかなように、Er2O3+MgOが3〜30モル%、Er2O3 /MgO比が0.1〜15の試料は平均アスペクト比が5以下であり、バレル研磨で1μm以下の研削量で表面粗さ3μm以下に調整することができた。
【0059】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によれば、窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板の表面粗さRmaxを1〜3μmに制御することにより、金属箔または金属板からなる配線回路層の表面に無電界メッキ層を形成した場合においても、配線回路層間の窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板表面にメッキの付着やショート等が発生することがない高信頼性の窒化珪素質回路基板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化珪素質回路基板の構造を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1 窒化珪素質回路基板
2 絶縁基板
3 配線回路層
4 接着層
5 無電解メッキ層
Claims (5)
- 窒化珪素質焼結体からなる絶縁基板の表面に、金属箔または金属板からなる配線回路層が活性金属を含有する接着層によって被着形成されてなるとともに、前記配線回路層のパラジウムが付着した表面に無電解メッキ層を被着形成してなる窒化珪素質回路基板であって、前記絶縁基板表面における少なくとも隣接する前記配線回路層間の絶縁基板表面の表面粗さRmaxが1〜3μmであり、且つ前記絶縁基板の厚みが0.3〜0.7mmであることを特徴とする窒化珪素質回路基板。
- 前記窒化珪素質焼結体の鏡面における窒化珪素結晶粒子の平均アスペクト比が5以下であることを特徴とする請求項1記載の窒化珪素質回路基板。
- 前記窒化珪素質焼結体が、焼結助剤として希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を合計で3〜30モル%の割合で含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の窒化珪素質回路基板。
- (a)窒化珪素質焼結体からなる厚みが0.3〜0.7mmの絶縁基板を作製する工程と、(b)前記絶縁基板全面を表面粗さRmaxが1〜3μmとなるように処理を施す工程と、(c)前記絶縁基板の表面の所定箇所に活性金属ロウを塗布する工程と、(d)前記活性金属ロウ材を塗布した部分に金属箔または金属板を接合する工程と、(e)前記金属箔または金属板の所定箇所をエッチング除去して所定の配線回路層を形成する工程と、(f)前記配線回路層を含む絶縁基板全面にパラジウムを含む活性液を塗布した後、洗浄する工程と、(g)前記配線回路層の表面に無電解メッキを施す工程と、を具備することを特徴とする窒化珪素質回路基板の製造方法。
- 前記窒化珪素質焼結体が、焼結助剤として希土類元素酸化物およびアルカリ土類元素酸化物を合計で3〜30モル%の割合で添加してなる成形体を1800℃以下の温度で焼成してなることを特徴とする請求項4記載の窒化珪素質回路基板の製造方法。
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