JP6406753B2 - セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法に関する。
セラミックス部材と金属部材とを接合する技術には、多くの需要がある。しかしながら、セラミックス部材と金属部材の組み合わせ如何では、接合が難しい場合があることが知られている。
例えば、アルミナとアルミニウム部材を適正に接合させることが難しいことは、当業者には良く知られている。
これは、アルミニウム部材の表面には、セラミックス部材との接合を妨害する酸化膜(アルミナ層)が存在するためであると考えられる。すなわち、接合過程において、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜によって、セラミックス部材とアルミニウム部材の間に良好な親和性、さらには良好な密着性が得られず、これにより両者の間で良好な接合状態を形成することができないものと考えられる。
なお、このような問題に対処するため、例えば、銅、ニッケルまたはチタン系のろう材を利用することが検討されている(特許文献1、2)。すなわち、これらのろう材をセラミックス部材の接合面にろう付けした場合、ろう材とアルミニウム部材との間の親和性が高まるため、このろう材を介して、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合させることができることが報告されている。
特開平11−228245号公報 特許第4367675号明細書
前述のように、特許文献1、2には、銅、ニッケルまたはチタン系のろう材を利用することにより、接合の難しいセラミックス部材とアルミニウム部材を接合できることが記載されている。
しかしながら、この方法では、セラミックス部材の接合面に対するフラックスによる表面処理、およびセラミックス部材の接合面へのろう付けなど、多くの処理工程が必要となる。このため、この方法には、接合工程を簡略化することが難しいという問題がある。
また、この方法では、使用されるフラックスは、塩化物およびフッ化物を含む。このため、最終的に得られる製品中に塩化物やフッ化物が残留してしまう可能性が高い。このような残留化合物は、製品の品質、例えば接合強度を低下させる原因となり得る。
このため、より簡便で低コストな方法で、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させる技術が要望されている。発明者はこれまでに600℃以上で接合する方法を出願しているが(特願2014−044124号)、この温度域ではアルミニウムの変形が起こりうるため、出来るだけ低い温度での接合が望まれていた。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、より簡便にセラミックス部材とアルミニウム部材を、より低い温度で接合する方法を提供することを目的とする。
本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
(a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
(b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
(c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下において、430℃以上、600℃未満の温度で加熱するステップと、
を有し、
前記(d)のステップは、
前記組立体の前記接合材に実質的に圧力が印加されない場合、1時間以上実施され、
前記組立体の前記接合材に、0.13gf/cm(12.7Pa)以上の圧力が印加される場合、5分以上実施されることを特徴とする方法が提供される。
本発明では、より簡便にセラミックス部材とアルミニウム部材を接合する方法を提供することができる。
アルミニウム粉末とシロキサン系ポリマーを混合したサンプルについて、示差熱−熱重量(TG−DTA)同時分析を行った際の結果を示した図である。 本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法(第1の接合方法)のフローを概略的に示した図である。 シロキサン系ポリマーの一種であるPMPhSの化学構造式である。 シロキサン系ポリマーの一種であるPMSQの化学構造式である。 本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する別の方法(第2の接合方法)のフローを概略的に示した図である。 本発明の一実施例による接合体の概略的な構成を示した断面図である。 本発明の一実施例による別の接合体の概略的な構成を示した断面図である。 実施例6に係る接合体における接合層のX線回折(XRD)分析のX線パターンを示す図である。 本発明の一実施例による別の接合体の概略的な構成を示した断面図である。 本発明の一実施例による別の接合体の概略的な構成を示した断面図である。 実施例1における接合層の断面図(SEM)と、接合層の場所による元素存在比の違いを示したエネルギー分散形X線分光分析(EDS)の結果を示した図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
前述のように、アルミニウム部材の表面には、セラミックス部材との接合を妨害する酸化膜(アルミナ層)が存在するため、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させることは難しい。また、これまでに提案されているセラミックス部材とアルミニウム部材の接合方法は、簡便な方法であるとは言い難い。また、従来の方法では、仮にセラミックス部材とアルミニウム部材を接合することができたとしても、接合部分に塩化物やフッ化物のような不純物が残留してしまう可能性が高い。このため、製品の品質、例えば接合強度の面で、問題が生じ得る。また、このような残留化合物を洗浄除去しようとすると、洗浄によるコストの増大や環境上の問題が生じ得る。
本願発明者らは、このような背景から、より簡便な方法で、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させる技術について、鋭意研究開発を推進してきた。その結果、本願発明らは、セラミックス部材とアルミニウム部材との間に、特定の種類の接合材を設置することにより、セラミックス部材とアルミニウム部材を適正に接合させることができることを見出し、本願発明に至った。
すなわち、本発明では、
セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
(a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
(b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
(c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
(d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下において、430℃以上、600℃未満の温度で加熱するステップと、
を有し、
前記(d)のステップは、
前記組立体の前記接合材に実質的に圧力が印加されない場合、1時間以上実施され、
前記組立体の前記接合材に、0.13gf/cm(12.7Pa)以上の圧力が印加される場合、5分以上実施されることを特徴とする方法が提供される。
本発明では、セラミックス部材とアルミニウム部材との間に、シロキサン系ポリマーを含む接合材(以下、「接合材1」とも称する)、または炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材(以下、「接合材2」とも称する)が配置される。
これらの接合材1、2は、いずれも、炭素(カーボン)原子を含む。この炭素原子は、高温状態において、アルミニウム部材の表面に形成されている酸化膜を還元したり、酸化膜を不安定な状態する役割を果たす。従って、接合材1、2を使用した場合、炭素原子の働きにより、アルミニウム金属を覆う酸化膜のバリア性を低下させ、アルミニウム部材を活性化、すなわち反応しやすい状態にさせることができる。
また、接合材1は、Si−O−Si基を有し、この反応基は、高温環境において、酸化膜のバリア機能が低下した、いわゆる「活性な」アルミニウム部材と反応することができる。同様に、接合材2は、「活性な」アルミニウム部材と反応し得るシリカゾルを有する。
従って、セラミックス部材とアルミニウム部材の間に前述のような接合材1または接合材2を介在させて、低酸素雰囲気下で熱処理を実施した場合、接合材中に含まれる炭素原子によって、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜の一部が還元される。あるいは、アルミニウム部材の表面に存在する酸化膜が不完全な状態となる。これにより、アルミニウム部材が活性化される。
活性化されたアルミニウム部材は、接合材中に含まれる反応成分、すなわち、Si−O−Si基またはシリカ粒子と反応する。これにより、アルミニウム部材と接合材の界面で、接合材中のSi−O−Si基またはシリカ粒子がケイ素と酸素を含有する物質、例えばアルミノシリケートに変化して、接合層が形成される。
ここで、本発明では、セラミックス部材として、アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材が使用される。そのようなセラミックス部材は、ケイ素と酸素を含有する接合層に対して親和性を有する。また、アルミニウム部材も、ケイ素と酸素を含有する接合層に対して親和性を有する。
このため、接合層の存在により、セラミック部材が接合層と強固に密着されるとともに、アルミニウム部材も接合層と強固に密着される。その結果、セラミックス部材とアルミニウム部材は、ケイ素と酸素を含有する接合層を介して接合される。
本発明による接合方法では、以上のような現象により、セラミックス部材とアルミニウム部分との間で、良好な接合を得ることができる。
ところで、本発明による接合方法では、組立体の熱処理温度、すなわち、セラミック部材とアルミニウム部材の接合温度は、430℃以上、600℃未満の範囲である。これは以下の実験結果に基づくものである。
図1には、アルミニウム粒子とシロキサンを約1:1の重量比で混合したサンプルについて、示差熱−熱重量(TG−DTA)同時分析を行った際の結果を示す。分析は、不活性ガス雰囲気下で実施した。
図1において、横軸は温度を示し、左縦軸は、サンプルの初期の重量に対する変化量(%)を表し、右縦軸は、重量比熱フロー(mW)を表す。また、図1において、破線は、サンプルの重量変化(左縦軸)を示しており、実線は、サンプルの重量比熱フロー(右縦軸)を表している。
図1から、不活性雰囲気下においてサンプルを加熱していくと、約400℃から質量減少および熱フローの減少が始まることがわかる。これは、この温度域で、シロキサンの熱分解が始まっていることを示すものである。
なお、この温度域からシロキサンの熱分解が進むようになるため、シロキサンの分解により反応活性なラジカルが発生する為、温度上昇とともに、サンプルの質量および熱フローは、大きく減少して行く。430℃以降、温度上昇とともに、サンプルの質量は大きく減少して行くものの、熱フローの減少が若干緩和される部分が存在する。この温度域以上で加熱した場合、セラミックスと金属の接合が可能になる。
さらにサンプルを加熱していくと、温度が約500℃のところで質量は一定となるものの、熱フローはさらに減少し続ける。これは、500℃以上の温度域において、シロキサンの分解が完了し、シロキサンがアルミノシリケートへ変化する現象のみが起こることを示している。
以上より、500℃以上の温度域では、シロキサンの分解が伴うことなくアルミノシリケートに変化する反応が始まる。シロキサンの分解にはシラン系のガス発生を伴うことが多いため、出来るだけ500℃以上で加熱することが望ましい。従って、500℃以上の温度域で接合処理を行うことにより、接合層を介して、アルミニウムとセラミックスを安定的に接合することが可能となる。
その一方で、アルミニウム部材の変質防止等の観点から、接合処理は、アルミニウムの融点を十分に下回る温度(例えば600℃未満)で実施できることが望まれている。
このような観点から、本発明では、セラミック部材とアルミニウム部材の接合温度は、430℃以上、600℃未満の範囲に設定される。また、600℃未満という、アルミニウム部材が安定に存在し得る比較的低温での接合処理が可能となる。
なお、図1の結果において、約580℃の領域に、サンプルに大きな吸熱ピークが認められる。これは、この温度域では、前述のシロキサンがアルミノシリケートへ変化する反応が、顕著に生じるためであると思われる。従って、この温度領域で接合処理を実施した場合、アルミニウムとセラミックスの間に、特に良好な接合が得られる。
以上の説明は、現時点で考察される一メカニズムに基づいて、生じ得る現象を記載したものに過ぎない。すなわち、本発明による接合方法では、他のメカニズムにより、セラミックス部材とアルミニウム部分との間に良好な接合が形成されても良い。
(本発明の一実施例による接合方法)
次に、図面を参照して、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法(第1の接合方法)について、より詳しく説明する。
図2には、第1の接合方法のフローを概略的に示す。
図2に示すように、第1の接合方法は、
アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップ(ステップS110)と、
前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーを含むステップ(ステップS120)と、
前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップ(ステップS130)と、
前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、430℃以上、600℃未満の温度で加熱するステップ(ステップS140)と、
を有する。
以下、各ステップについて詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、セラミックス部材およびアルミニウム部材が準備される。
セラミックス部材は、アルミニウムおよび/またはケイ素を含む限り、特に限られない。セラミックス部材は、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライト、および/またはアルミノシリケートを含んでも良い。
例えば、アルミナとしては、重量比で90wt%以上のアルミナを含む高純度アルミナが挙げられる。窒化アルミニウムとしては、重量比で90wt%以上の窒化アルミニウムを含む高純度窒化アルミナが挙げられる。窒化ケイ素としては、重量比で90wt%以上の窒化ケイ素を含んでいる高純度窒化ケイ素が挙げられる。
なお、セラミックスの結晶形態に特に制限はないが、アルミナとしては、α−アルミナを好適に使用できる。
セラミックス部材の形状は特に限られず、セラミックス部材は、ブロック、板、棒、またはディスク等の形状を有しても良い。
同様に、アルミニウム部材の形状は特に限られず、アルミニウム部材は、ブロック、板、棒、箔、またはディスク等の形状を有しても良い。
なお、本願において、「アルミニウム部材」という用語は、実質的にアルミニウム金属で構成された部材の他、重量比で50wt%以上のアルミニウム金属を含む部材、実質的にアルミニウム合金で構成された部材、および重量比で50wt%以上のアルミニウム合金を含む部材等が含まれる。
アルミニウム合金は、例えばAl−Si合金等であっても良く、例えば、ケイ素を12wt%程度含むシルミンであっても良い。
(ステップS120)
次に、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の少なくとも接合面に、接合材が設置される。接合材としては、シロキサン系ポリマーを含む接合材(すなわち、接合材1)が使用される。
ここで、接合材1の仕様について、簡単に説明する。
(接合材1)
シロキサン系ポリマーを含む接合材1において、シロキサン系ポリマーの種類は、特に限られない。
シロキサン系ポリマーは、例えば、主鎖として直鎖状のSi−O−Si基を有するシロキサン系ポリマー、例えばポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)および/またはポリメチルフェニルシロキサン(PMPhS)であっても良い。あるいは、シロキサン系ポリマーは、例えば、Si−O−Si基を主骨格とする3次元構造を有するシルセスキオキサン系ポリマー、例えばポリメチルシルセスキオキサン(PMSQ)および/またはポリフェニルシロキサン(PPSQ)であっても良い。
図3および図4には、参考のため、PMPhS(図3)およびPMSQ(図4)の化学構造式を示した。
セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の接合面(以下、単に「接合面」と称する)への接合材1の設置方法は、特に限られない。
接合材1は、例えば、塗布法などにより、接合面に設置しても良い。塗布法としては、ディッピング法、スピンコーター法、スプレー法等の手法が挙げられる。接合材1は、なるべく均等に塗布することが望ましいため、引き上げ速度が1mm/秒以下のディッピング法、または回転速度が1500rpm以上のスピンコーター法による塗布が望ましい。
なお、接合材1の厚みによって、最終的に得られる接合層の厚さが変化する。従って、目的に応じて接合材1の種類と厚みを調整することが好ましい。
また、シロキサン系ポリマーは、粘性が高いため、ディッピング法等で接合面に塗布する際は、溶媒で希釈し、粘性を適宜調整することが好ましい。この際には、相溶性の観点から、ベンゼンやトルエン等の芳香族系有機溶媒を使用することが好ましい。溶媒濃度は、0.001mol/L〜1mol/Lの範囲であっても良い。
前述のように、シロキサン系ポリマーに含まれる炭素原子は、例えば、アルミニウム部材の表面を覆う酸化層を還元して、アルミニウム部材の反応活性を高める役割を有する。また、炭素原子は、接合層と接合面の界面近傍で、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材と接合層とを結合するアンカーとしても機能すると考えられる。このため、シロキサン系ポリマーは、重量比で1wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは10wt%〜30wt%の炭素を含有していることが望ましい。
セラミックス部材の接合面に設置される接合材の量が少なすぎると、接合材が接合面全体に均一に広がらず、アルミニウム部材の接合面において、酸化層を十分に還元できないおそれがある。そのため、接合材の厚みは、0.1μm(溶媒揮発後)以上とすることが好ましい。一方、接合材が厚過ぎても、接合は可能である。しかしながら、接合材の厚みが厚すぎると、接合材部分のセラミックス化に伴う収縮により、セラミックス部材と接合層の界面に、クラックが生じやすくなる。このため、接合材の厚さは、1mm(溶媒揮発後)以下とすることが好ましい。
また、接合材の設置量が過剰な場合、アルミニウム部材によるシロキサンの還元のため、接合層とアルミニウム部材の界面付近に金属シリコンが析出しやすくなる。ケイ素含有量が高いシロキサン系ポリマーを使用した場合も同様である。従って、シロキサン系ポリマー中のケイ素含有量は、10wt%〜45wt%の範囲で選択することが好ましい。
特に、籠状シロキサン(シルセスキオキサン)は、ケイ素および酸素の含有量が高く、金属シリコンが析出しやすい。従って、接合層において、金属シリコンの析出を押さえたい場合は、直鎖状シロキサン(シリコーンオイル)を用いることが好ましい。ただし、アルミニウム部材中に金属シリコンが形成された場合、接合部材の強度が向上するため、強度を重視する場合、ケイ素含有量の高いシロキサン系ポリマーを使用しても良い。
また、フェニル基を多く含有するシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材の接合層側に、炭素塊または炭化物塊が形成されやすくなる。従って、炭素塊または炭化物塊の生成を抑えたい場合は、側鎖にフェニル基を有するシロキサン系ポリマーを使用しないことが好ましい。ただし、アルミニウム部材中に炭素塊または炭化物塊が形成された場合、強度が向上することがある。
(ステップS130)
次に、セラミックス部材とアルミニウム部材とを、接合材1を介在させた状態で積層し、組立体を構成する。すなわち、セラミックス部材の接合面と、アルミニウム部材の接合面とが、接合材1を介して対向するようにして、セラミックス部材とアルミニウム部材が配置される。
なお、組立体において、セラミックス部材とアルミニウム部材は、実質的に無加圧状態で相互に積層されても良い。
ただし、両者の間に、ある程度の荷重を加えても良い。荷重を加える場合、接合面に加わる圧力は、例えば、0.13gf/cm(12.7Pa)以上である。なお、本願において、荷重(接合面に加わる圧力)の値は、特に記載がない限り、組立体を構成する部材自身によって生じ得る荷重(自重)を含むものとする。
荷重を加えることにより、以降のステップS140において、組立体に対する熱処理の時間を短くすることができる。
(ステップS140)
次に、接合処理のため、組立体が熱処理される。これにより、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して接合された接合体が製造される。
熱処理は、実質的に酸素が存在しない雰囲気、例えば不活性ガス雰囲気または真空雰囲気で実施される。熱処理を大気雰囲気のような酸素を含む環境下で実施した場合、アルミニウム部材の表面の酸化物が十分に還元せず、セラミックス部材とアルミニウム部材との間で、良好な接合を得ることが難しくなる。
不活性ガス雰囲気は、例えば、アルゴン、ヘリウム、および/または窒素などの雰囲気であっても良い。真空雰囲気における真空度は、0.02MPa以下である。
熱処理の温度は、430℃以上、600℃未満の範囲である。
熱処理の時間は、温度、および荷重の有無によっても変化するが、組立体に荷重を加えない場合、熱処理の時間は、例えば、1時間以上である。一方、組立体に0.13gf/cm(12.7Pa)以上の荷重を加える場合、熱処理の時間は、例えば、5分以上である。
組立体を熱処理することにより、接合材1が変化して、セラミックス部材とアルミニウム部材との界面に、接合層が形成される。
接合層は、「ケイ素リッチ」な層であっても良い。ここで、「ケイ素リッチ」と言う用語は、アルミニウム部材およびセラミック部材に比べて、ケイ素の量が有意に上昇していることを意味する。
特に、接合層は、アルミノシリケートを含んでも良い。アルミノシリケートは、結晶質または非晶質であっても良い。
アルミノシリケートは、一般式がAlSi(0<X<3、0<Y<51、0<Z<104)で表される。アルミノシリケートは、アルミナとシリカの混合体であっても良い。
なお、接合層中にはアルミノシリケートの他に、他の物質、例えばアルミニウム、アルミナ、および/またはシリカが存在しても良い。条件によっては、接合層には、ムライトのようなケイ素とアルミニウムが混在した酸化物が含まれる場合もある。
ここで、接合材1として、炭素含有量の多いシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材内に、塊状炭素が形成される場合がある。この炭素塊の外側は、アルミニウムカーバイドとなっている。この炭素塊は、接合部材の強度向上に寄与することが期待される。その他、炭化ケイ素と、アルミニウムと、ケイ素とを同時に含む炭化物等が生成されることもあり得る。
一方、接合材1として、炭素含有量の低いシロキサンを用いた場合、アルミニウム部材中に炭素塊または炭化物塊は、ほとんど生じない。従って、この場合は、高純度のアルミニウム部材を得ることができる。
また、ケイ素含有量の多い接合材1を用いた場合、アルミニウム部材中には、金属シリコン塊が形成される場合がある。この金属シリコン塊は、アルミニウム部材と接合材との反応により、接合層が生成する際に、未反応のSi−O−Si基が還元され、これがアルミニウム部材内に拡散進入したものであると考えられる。このような金属シリコン塊は、炭素塊または炭化物塊と同様、接合部材の強度向上に寄与することが期待される。
以上の工程により、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して良好に接合された接合体が製造される。
(本発明の一実施例による別の接合方法)
次に、図5を参照して、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する別の方法(第2の接合方法)について説明する。
図5には、第2の接合方法のフローを概略的に示す。
図5に示すように、第2の接合方法は、
アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップ(ステップS210)と、
前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、炭素粉末含有シリカゾルを含むステップ(ステップS220)と、
前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップ(ステップS230)と、
前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下、430℃以上、600℃未満の温度で加熱するステップ(ステップS240)と、
を有する。
ここで、ステップS210、およびステップS230〜ステップS240は、それぞれ、前述の第1の接合方法におけるステップS110、およびステップS130〜ステップS140と実質的に同様である。そこで、ここでは、ステップS220について説明する。
(ステップS220)
第2の接合方法では、接合材として、炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材(すなわち、接合材2)が使用される。
ここで、接合材2の仕様について、簡単に説明する。
(接合材2)
炭素粉末含有シリカゾルを含む接合材2において、使用されるシリカゾルの形態は、特に限られない。ただし、炭素粒子の偏在を避けるため、炭素粉末はなるべく細かいもの、例えば#2000よりも細かい粉末を使うことが好ましい。例えば、シリカ粒子の粒子径が小さい(20nm以下の)コロイド系のシリカゾルを使用しても良い。そのようなシリカゾルとしては、例えば、スノーテックスNおよびスノーテックスN−40(日産化学社製)等がある。
接合材2を調製するためには、シリカゾル中に、炭素粉末を添加する必要がある。添加される炭素粉末としては、例えば、カーボンブラック(三菱化学社製)またはケッチェンブラック(ライオン社製)などが挙げられる。
炭素含有量は、シリカ粒子に対する質量比で1wt%以上、好ましくは5wt%以上、より好ましくは10wt%〜30wt%である。これは、前述の接合材1において、シロキサン系ポリマーに含まれる炭素量と同等の値である。
接合材2は、シリカゾル中に炭素粉末を添加して調製されるため、接合材1に比べて、炭素粉末とシリカゾルの配合比率を自由に調整することができるという利点がある。
シリカゾルと炭素粉末を混合させる際の溶媒としては、例えば、エタノールおよびイソプロピルアルコール等が使用される。これらの溶媒は、シリカゾルおよび炭素粉末に対して悪影響を及ぼさず、速乾性であるため好ましい。
このような接合材2は、セラミックス部材および/またはアルミニウム部材の少なくとも接合面に設置される。
接合面への接合材2の設置方法は、特に限られず、例えば、前述のステップS120で説明したような、接合面への接合材1の設置方法が同様に適用できる。
その後、ステップS230〜ステップS240を経て、セラミックス部材とアルミニウム部材とが接合層を介して良好に接合された接合体が製造される。
以上、第1の接合方法および第2の接合方法を例に、本発明の一実施例によるセラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法について説明した。しかしながら、以上の説明は、単なる一例に過ぎず、前述の方法の一部を変更したり、他の工程を組み合わせたりしても良いことは当業者には明らかである。
例えば、前述の2つの例では、接合体は、セラミックス部材と、接合層と、アルミニウム部材とがこの順に積層された構造を有する。しかしながら、接合体は、例えば、第1のセラミックス部材、第1の接合層、アルミニウム部材、第2の接合層、および第2のセラミック部材がこの順に積層された構造を有しても良い。
そのような接合体は、例えば、前述の組立体を製造する工程(ステップS130、ステップS230)において、2つのセラミックス部材のそれぞれの接合面に接合材を配置し、さらに両セラミックス部材の間にアルミニウム部材が介在された組立体を構成し、この組立体を、ステップS140、ステップS240のように熱処理することにより製造することができる。
(本発明の一実施例による接合体)
次に、図6および図7を参照して、本発明の一実施例による接合体について説明する。
図6には、本発明の一実施例による接合体の概略的な断面図を示す。
図6に示すように、この接合体100は、セラミックス部材110と、アルミニウム部材130と、両者の間に配置された接合層150とを有する。
セラミックス部材110は、アルミニウム成分および/またはケイ素成分を含有するセラミックスで構成される。例えば、セラミックス部材110は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートの少なくとも1種を含む。
アルミニウム部材130は、前述のように、実質的にアルミニウム金属で構成された部材、重量比で50wt%以上のアルミニウム金属を含む部材、実質的にアルミニウム合金で構成された部材、または重量比で50wt%以上のアルミニウム合金を含む部材であっても良い。また、アルミニウム部材130の内部には、炭素塊、炭化物塊、または金属シリコンが存在しても良い。
接合層150は、アルミノシリケートを含む層であっても良い。
あるいは、より一般的には、接合層150は、「ケイ素リッチ」な層で構成される。ここで、「ケイ素リッチ」と言う用語は、アルミニウム部材130およびセラミック部材110に比べて、ケイ素の量が有意に上昇していることを意味する。図8に下記実施例6と同条件において作製した接合層のXRD分析結果を示す。この結果より、接合層にアルミノシリケートが存在していることがわかる。
また、接合層150の厚さは一様でなくても良い(図9)。接合時において、圧力が加わりながら接合が完了した場合は、接合層150の厚さが不均一になることもある。
前述のようなメカニズムにより、アルミノシリケート、あるいは「ケイ素リッチ」な層を含む接合層150の存在によって、セラミックス部材110とアルミニウム部材130の間に、良好な接合状態が得られる。従って、このような構成の接合体100は、良好な接合強度を有する。
図7には、本発明の一実施例による別の接合体の概略的な断面図を示す。
図7に示すように、この接合体200は、図6に示した接合体100を構成する各部材に加えて、さらに、第2のセラミックス部材260および第2の接合層290を有する。すなわち、この接合体200は、第1のセラミックス部材210、第1の接合層250、アルミニウム部材230、第2の接合層290、および第2のセラミックス部材260をこの順に配置することにより構成される。
ここで、第2のセラミックス部材260は、アルミニウム成分および/またはケイ素成分を含有するセラミックスで構成される。例えば、第2のセラミックス部材260は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートの少なくとも1種を含む。また、第2の接合層290は、アルミノシリケートを含む層であっても良く、あるいは、より一般的には、第2の接合層290は、「ケイ素リッチ」な層であっても良い。
また、接合層250または/および290の厚さは一様でなくても良い(図10)。接合時において、圧力が加わりながら接合が完了した場合は、接合層250または/および290の厚さが不均一になることもある。
このような構成の第2の接合体200においても、第1および第2の接合層250、290の存在により、良好な接合強度が得られることは、容易に予想されるであろう。
以下、本発明の実施例について、詳しく説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、縦20mm×横20mm×厚さ10mmの寸法を有する窒化ケイ素ブロック(純度90%)を2つ用意した。これらを、それぞれ、第1の窒化ケイ素ブロックおよび第2の窒化ケイ素ブロックと称する。スピンコーティング法により、それぞれの窒化ケイ素ブロックの一面(20mm×20mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、市販のポリメチルフェニルシロキサン(KF−54、信越化学工業(株)社製)(以下PMPhSと称する)を塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、第1の窒化ケイ素ブロックを、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、第1の窒化ケイ素ブロックの接合面の中央に、縦15mm×横15mm×厚さ24μmの寸法を有する市販のアルミ箔(マイホイル(登録商標)、(株)UACJ製)を配置した。
さらに、このアルミ箔の上に、第2の窒化ケイ素ブロックを、接合面がアルミ箔側となるように配置した。その後、第2の窒化ケイ素ブロックの上に、おもりとして、縦40mm×横40mm×厚さ11mmの多孔質アルミナ板(重量約35g)を配置し、組立体を構成した。組立体の接合面に加わる圧力Pは、第2の窒化ケイ素ブロックの自重(3.3gf/cm)を考慮すると、P=8.75gf/cm+3.3gf/cm=12.1gf/cm(1.19kPa)であった。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、580℃で1時間焼成した。これにより、2つの窒化ケイ素ブロックがアルミ箔を介して接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例1に係る接合体」と称する。
実施例1に係る接合体の目視観察の結果、各窒化ケイ素ブロックは、アルミ箔と適正に接合されていることがわかった。また、走査型電子顕微鏡を用いて、実施例1に係る接合体の接合面(第1の窒化ケイ素ブロックとアルミ箔の界面、および第2の窒化ケイ素ブロックとアルミ箔の界面)を観察したところ、特にクラックやボイド等の欠陥は認められなかった。
このように、実施例1に係る接合体では、各窒化ケイ素ブロックとアルミ箔の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
さらに、実施例1に係る接合体の接合面付近をEDSにて点分析した。図11に示すように、接合体の界面より約100nmアルミニウム寄りの地点をEDSで点分析した結果、同じアルミニウムよりの地点であるにもかかわらず、Siが1wt%未満と2.5wt%以上の部分が交互に存在していた。Siの検出限界は1wt%であるため、1wt%Si未満を記録した部分にケイ素は存在してないと見なすことが可能である。また、シロキサンはアルミナ表面に残存する際にアルミノシリケートに変化するため、本試料は、部分的にアルミニウムとアルミナ間に100nm未満の極めて薄いアルミニウムシリケートにより接合している部分が存在していると言える。
(実施例2)
まず、縦30mm×横30mm×厚さ2.5mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦20mm×横20mm×厚さ300μmの寸法を有する市販のアルミ板(ニラコ社製)を配置した。
さらに、このアルミ板の上に、おもりとして、縦40mm×横40mm×厚さ11mmの多孔質アルミナ板(重量約35g)を配置し、組立体を構成した。組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ板の自重(0.08gf/cm)を考慮すると、P=8.75gf/cm+0.08gf/cm=8.83gf/cm(866Pa)であった。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で2時間焼成した。これにより、アルミ板とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例2に係る接合体」と称する。
実施例2に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例2に係る接合体では、アルミ板とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
(実施例3)
まず、縦30mm×横30mm×厚さ2.5mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦15mm×横15mm×厚さ300μmの寸法を有する市販のアルミ板(ニラコ社製)を配置した。
さらに、このアルミ板の上に、おもりとして、縦40mm×横27mm×厚さ2.5mmの多孔質アルミナ板(重量約8.4g)を配置し、組立体を構成した。組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ板の自重(0.08gf/cm)を考慮すると、P=3.73gf/cm+0.08gf/cm=3.81gf/cm(374Pa)であった。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で4時間焼成した。これにより、アルミ板とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例3に係る接合体」と称する。
実施例3に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例3に係る接合体では、アルミ板とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
(実施例4)
まず、縦30mm×横30mm×厚さ2.5mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦15mm×横15mm×厚さ300μmの寸法を有する市販のアルミ板(ニラコ社製)を配置した。このようにして組立体を構成した。
なお、この実施例では、重しは使用しなかった。ただし、組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ板の自重(0.08gf/cm)が存在するため、P=0.08gf/cm(7.84Pa)である。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で16時間焼成した。これにより、アルミ板とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例4に係る接合体」と称する。
実施例4に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例4に係る接合体では、アルミ板とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
(実施例5)
まず、縦20mm×横20mm×厚さ10mmの寸法を有する窒化ケイ素ブロック(純度90%)を1枚用意した。スピンコーティング法により、この窒化ケイ素ブロックの一方の面(20mm×20mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、窒化ケイ素ブロックを、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、窒化ケイ素ブロックの接合面の中央に、縦15mm×横15mm×厚さ300μmの寸法を有する市販のアルミ板(ニラコ社製)を配置した。このようにして組立体を構成した。
なお、この実施例では、重しは使用しなかった。ただし、組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ板の自重(0.08gf/cm)が存在するため、P=0.08gf/cm(7.84Pa)である。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で16時間焼成した。これにより、アルミ板と窒化ケイ素ブロックが接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例5に係る接合体」と称する。
実施例5に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例5に係る接合体では、アルミ板と窒化ケイ素ブロックの間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
(実施例6)
まず、縦15mm×横20mm×厚さ2mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦10mm×横10mm×厚さ24μmの寸法を有する市販のアルミ箔(ニラコ社製)を配置した。このようにして組立体を構成した。
なお、この実施例では、重しは使用しなかった。組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ箔の自重が無視できるため、P=0である。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で2時間焼成した。これにより、アルミ箔とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例6に係る接合体」と称する。
実施例6に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例6に係る接合体では、アルミ箔とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
さらに、実施例6に係る接合体に対して、以下のような接合性評価を実施した。
アルミ箔の一つのコーナー部を、アルミナ板から強制的に剥離させた。次に、アルミ箔の剥離させたコーナー部をピンセットで持ち上げ、接合体の自重により、アルミ箔の剥離が進展するかどうかを評価した。
接合性評価の結果、アルミ箔の剥離は、進展しないことがわかった。なお、同様の評価を、同じ条件で製造した数個の実施例6に係る接合体で実施したところ、何れも同じ結果が得られた。
このように、実施例6に係る接合体は、良好な接合力を有する接合面を有することが確認された。
(実施例7)
実施例6と同様の方法で、アルミ箔とアルミナ板が相互に接合された接合体を製造した。ただし、ここでは、組立体を焼成する温度と時間を変化させて、接合体を製造した。温度は、400℃、425℃、450℃、480℃、500℃、550℃および580℃の中から選択した。また、時間は、1時間、2時間、4時間、8時間、および16時間の範囲で変化させた。なお、組立体の接合面に加わる圧力Pは、いずれもP=0である。
以下の表1には、焼成の条件をまとめて示す。
得られた各接合体を用いて、前述の実施例6において示したような接合性評価を実施した。
表1には、各接合体における接合性評価の結果をまとめて示した。このうち、加熱温度500℃、加熱時間2時間の条件のものは、前述の実施例6に係る接合体で得られた結果である。
表1において、○は同一の2回の実験において、いずれも良好な接合が得られたことを示す。また、△は同一の2回の実験において、1回のみ良好な接合が得られたことを示す。さらに、×は同一の2回の実験において、いずれも良好な接合が得られなかったことを示している。
(実施例8)
まず、縦15mm×横20mm×厚さ2mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦10mm×横10mm×厚さ24μmの寸法を有する市販のアルミ箔(ニラコ社製)を配置した。
さらに、このアルミ箔の上に、おもりを配置し、組立体を構成した。組立体の接合面に加わる圧力Pは、7gf/cm(686Pa)とした。なお、アルミ箔の自重は無視できるため、この圧力は、おもりの荷重のみから算出した。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で1時間焼成した。これにより、アルミ板とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例8に係る接合体」と称する。
実施例8に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例8に係る接合体では、アルミ箔とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
さらに、実施例8に係る接合体に対して、前述の実施例6において示したような接合性評価を実施した。その結果、実施例8に係る接合体において、アルミ箔の剥離は進展しなかった。なお、同様の評価を、同じ条件で製造した数個の実施例8に係る接合体で実施したところ、何れも同じ結果が得られた。
このように、実施例8に係る接合体は、良好な接合力を有する接合面を有することが確認された。
(実施例9)
実施例8と同様の方法で、アルミ箔とアルミナ板が相互に接合された接合体を製造した。ただし、ここでは、組立体を焼成する温度と時間を変化させて、接合体を製造した。温度は、400℃、425℃、450℃、480℃、5500℃、550℃および580℃の中から選択した。また、時間は、5分、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、および16時間の範囲で変化させた。なお、組立体の接合面に加わる圧力Pは、いずれもP=7gf/cm(686Pa)である。
以下の表2には、焼成の条件をまとめて示す。
得られた各接合体を用いて、前述の実施例8において示したような接合性評価を実施した。
表2には、各接合体における接合性評価の結果をまとめて示した。このうち、加熱温度500℃、加熱時間1時間の条件のものは、前述の実施例8に係る接合体で得られた結果である。
表2において、○は同一の2回の実験において、いずれも良好な接合が得られたことを示す。また、△は同一の2回の実験において、1回のみ良好な接合が得られたことを示す。さらに、×は同一の2回の実験において、いずれも良好な接合が得られなかったことを示している。
(実施例10)
まず、縦30mm×横30mm×厚さ2.5mmの寸法を有するアルミナ板(純度99.5%。α−アルミナ)を1枚用意した。スピンコーティング法により、このアルミナ板の一方の面(30mm×30mmの一つの面。以下「接合面」と称する)に、PMPhSを塗布した。スピンコーティングの条件は、回転数3000rps、塗布時間30秒とした。
次に、アルミナ板を、接合面が上向きとなるようにして、水平台上に配置した。また、アルミナ板の接合面の中央に、縦15mm×横15mm×厚さ500μmの寸法を有する市販のアルミ板(ニラコ社製)を配置した。このようにして組立体を構成した。
なお、この実施例では、重しは使用しなかった。ただし、組立体の接合面に加わる圧力Pは、アルミ板の自重(0.13gf/cm(12.7Pa))が存在するため、P=0.13gf/cm(12.7Pa)である。
このようにして得られた組立体を、アルゴン雰囲気下、500℃で5分焼成した。これにより、アルミ板とアルミナ板が接合された接合体が得られた。以下、この接合体を、「実施例10に係る接合体」と称する。
実施例10に係る接合体に対して、実施例1と同様の評価を行った。その結果、実施例10に係る接合体では、アルミ板とアルミナ板の間に、良好な接合が形成されていることが確認された。
このことから、組立体を500℃で焼成する場合、接合面にP=0.13gf/cm(12.7Pa)以上の圧力を加えることにより、加熱時間が5分まで低減できることがわかった。
本発明は、例えば、セラミックス接合技術、ヘテロ材料(金属−セラミックス)製造技術、およびセラミックス基板に対する配線技術等に利用することができる。
100 接合体
110 セラミックス部材
130 アルミニウム部材
150 接合層
200 接合体
210 第1のセラミックス部材
230 アルミニウム部材
250 第1の接合層
260 第2のセラミックス部材
290 第2の接合層

Claims (2)

  1. セラミックス部材とアルミニウム部材とを接合する方法であって、
    (a)アルミニウムおよび/またはケイ素を含有するセラミックス部材、およびアルミニウム部材を準備するステップと、
    (b)前記セラミックス部材および前記アルミニウム部材の少なくとも一方に、接合材を設置するステップであって、前記接合材は、シロキサン系ポリマーまたは炭素粉末含有シリカゾルを含むステップと、
    (c)前記セラミックス部材と前記アルミニウム部材を、前記接合材を介在させた状態で積層し、組立体を構成するステップと、
    (d)前記組立体を、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下において、430℃以上、600℃未満の温度で加熱するステップと、
    を有し、
    前記(d)のステップは、
    前記組立体の前記接合材に実質的に圧力が印加されない場合、1時間以上実施され、
    前記組立体の前記接合材に、0.13gf/cm(12.7Pa)以上の圧力が印加される場合、5分以上実施されることを特徴とする方法。
  2. 前記セラミックス部材は、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライトおよびアルミノシリケートからなる群から選定された、少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
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