JP6561476B2 - アクリルゴム、アクリルゴム組成物および押出成形品 - Google Patents
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Description
(1) (メタ)アクリル酸エステル単量体及び二重結合を2個以上有する多官能性単量体を共重合してシードラテックスを得て、さらに前記シードラテックスの存在下で前記(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合することにより得られる、二重結合を2個以上有する多官能性単量体単位(A)を0.1〜2重量%含有してなるアクリルゴムであって、前記アクリルゴムに含まれる前記二重結合を2個以上有する多官能性単量体単位(A)のうちの50重量%以上が前記シードラテックスを得る際に重合してなるアクリルゴム、
(2) ポリマームーニー粘度が20〜30である(1)記載のアクリルゴム、
(3) (1)または(2)に記載のアクリルゴムに配合剤が含有されてなるアクリルゴム組成物、
(4) (3)に記載のアクリルゴム組成物を押出成形してなる押出成形品
が提供される。
本発明のアクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有し、(メタ)アクリル酸エステル単量体を主成分として含有するものが好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味する。
二重結合を2個以上有する多官能性単量体は、重合中に架橋構造を生じる、内部架橋性単量体として作用する。
本発明のアクリルゴムは、(メタ)アクリル酸エステル単量体、二重結合を2個以上有する多官能性単量体単位(A)および必要に応じて用いられるフェノール性水酸基含有単量体および他の単量体を共重合してシードラテックスを得て、前記シードラテックスの存在下、さらに(メタ)アクリル酸エステル単量体等を共重合して得られる。
本発明のアクリルゴム組成物は、上記アクリルゴムに配合剤を含んでなる。本発明のアクリルゴム組成物は、配合剤として液状ふっ素ゴムを含む架橋性アクリルゴム組成物であることが好ましい。また、配合剤として、液状ふっ素ゴムに加えて、さらに受酸剤及び架橋促進剤を含んでいてもよい。
本発明で用いる液状ふっ素ゴムは、常温(20℃)で液体状のふっ素ゴムであれば、特に限定されない。例えば、ビニリデンフルオライド/ヘキサンフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロペンテン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、パーフルオロプロペンオキサイド重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。これらの液状ふっ素ゴムとして、市販のバイトン(登録商標)LM(デュポン社製)、ダイエル(登録商標)G101(ダイキン工業(株)製)、ダイニオンFC2210(スリーエム社製)などを使用することができる。
アクリルゴム組成物に用いる受酸剤としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、珪酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらのなかでも、アクリルゴム組成物の貯蔵安定性が良好である観点から、受酸剤として珪酸カルシウムを用いることが好ましい。受酸剤の配合量は、特に限定されないが、アクリルゴム100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜14重量部、特に好ましくは6〜12重量部である。受酸剤の量が少なすぎると十分な架橋速度が得られない傾向となる。また、受酸剤の量が多すぎるとゴム架橋物の硬度が高くなりすぎる場合がある。
ゴム架橋物は、適切な架橋速度を呈する観点から、架橋促進剤を含有することが好ましい。架橋促進剤としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニム塩が挙げられる。
アクリルゴム組成物は、上述した配合剤の成分以外に通常のアクリルゴム組成物に添加される各種副資材を目的に応じて含有してもよい。このような副資材としては、特に限定されないが、補強材、充填剤、老化防止剤、滑剤、可塑剤、安定剤、顔料などが挙げられる。
[(D/Do)−1]×100(%)
により求めることができる。本発明において、押出スウェルは、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
ゴム架橋物は、上記のアクリルゴム組成物を架橋することにより得られる。ゴム架橋物の調製方法は、特に限定されず、アクリルゴム組成物を押出成形、ホットプレス、射出成形機、スチーム缶などの通常ゴム工業で使用される成形・架橋機械を使用して、成形及び架橋操作を行うことにより、ゴム架橋物を得ることができる。
実施例及び比較例で得られたアクリルゴムについて、JISK 6300に従って、100℃で測定した。
実施例及び比較例で得られたアクリルゴム組成物を、先端にガーベダイを付けた押出機(単軸バレル径20mm、回転数30rpm、バレル温度60℃、ヘッド温度80℃)を用いて、押出成形した。そして、ASTM D2230−77 A法(ガーベダイ押出試験、採点法A)に従い、得られた押出成形品について、押出スウェル(%)を求めた。なお、押出スウェル(%)は、押出成形品の直径をD(mm)、押出機のバレル径をDo(mm)として、下記式
[(D/Do)−1]×100(%)
により求めることができる。
実施例及び比較例で得られたアクリルゴム組成物を、先端にガーベダイを付けた押出機(単軸バレル径20mm、回転数30rpm、バレル温度60℃、ヘッド温度80℃)を用いて、押出成形した。そして、ASTM D2230−77 A法(ガーベダイ押出試験、採点法A)に従い、得られた押出成形品の表面肌の平滑性について、下記基準により評価した。
○:押出し肌が平滑
△:押出し肌に微細な凹凸
×:押出し肌に深い凹凸
(アクリルゴムの重合)
重合反応器にアクリル酸エチル2.5部、アクリル酸ブチル2.5部、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル0.05部を仕込み、さらにアニオン性乳化剤であるジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩0.03部を脱イオン水0.9部に溶解したものに二重結合を2個以上有する多官能性単量体としてエチレングリコールジメタクリレート(以下、「EDMA」ということがある。)0.5部を加え、撹拌して乳化させた。次に、窒素気流下で70℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウムの3.0%水溶液8部を添加して第1段目の重合を開始させた。
上記で得られたアクリルゴム100部、シリカ(ニプシルER、東ソー・シリカ(株)製、補強材)40部、珪酸カルシウム(AS850H200M、富田製薬(株)製、受酸剤)8部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1部、オルガノシリコーン化合物(ストラクトールWS280、エスアンドエスジャパン(株)製、滑剤)3部、老化防止剤1部、液状ふっ素ゴム(ダイエルG−101、ダイキン工業(株)製、架橋剤)1.5部、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(TBAHS、広栄化学(株)製、架橋促進剤)0.25部をオープンロールで混練して、アクリルゴム組成物を調製した。なお、老化防止剤としては下記式(2)で表される化合物を用いた。
(アクリルゴムの重合)
第1段目の重合の際に用いるエチレングリコールジメタクリレートの量を1部に変更した以外は、実施例1と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、26であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
二重結合を2個以上有する多官能性単量体としてエチレングリコールジメタクリレートに代えて、トリメチロールプロパントリメタアクリレートを用いたこと以外は、実施例2と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、24であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例2と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
二重結合を2個以上有する多官能性単量体としてエチレングリコールジメタクリレートに代えて、ジビニルベンゼンを用いたこと以外は、実施例2と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、21であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例2と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
第1段目の重合の際に用いるエチレングリコールジメタクリレートの量を2部に変更した以外は、実施例1と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、28であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
重合反応器に、アニオン性乳化剤であるジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5部を脱イオン水45部に溶解したものに、アクリル酸エチル49部、アクリル酸ブチル49部、エチレングリコールジメタクリレート1部、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル1部を加え、攪拌して乳化させた。次に、窒素気流下で70℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウムの10%水溶液10部を添加して重合を開始させた。重合開始後、重合温度を徐々に80℃まで上昇させ、さらに40〜45℃の範囲で2時間重合反応を継続した。重合転化率はほぼ100%であった。得られたラテックスと、塩析剤としての食塩(水溶液の状態)とを混合して、クラム状のアクリルゴムを得た。その後、クラム状のアクリルゴムを水洗、乾燥させて、アクリルゴムを得た。ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、36であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
重合反応器に、アニオン性乳化剤であるジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩5部を脱イオン水45部に溶解したものに、アクリル酸エチル49部、アクリル酸ブチル49部、エチレングリコールジメタクリレート1部、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル1部を加え、攪拌して乳化させた。次に、窒素気流下で70℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウムの10%水溶液10部を添加して重合を開始させた。重合開始後、重合温度を徐々に80℃まで上昇させ、さらに80〜82℃の範囲で2時間重合反応を継続した。重合転化率はほぼ100%であった。得られたラテックスと、塩析剤としての食塩(水溶液の状態)とを混合して、クラム状のアクリルゴムを得た。その後、クラム状のアクリルゴムを水洗、乾燥させて、アクリルゴムを得た。ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、23であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
重合の際に用いるエチレングリコールジメタクリレートの量を2部に変更した以外は、比較例1と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、33であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
重合の際に用いるエチレングリコールジメタクリレートの量を2部に変更した以外は、比較例2と同様にアクリルゴムの重合を行った。得られたアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、32であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
(アクリルゴムの重合)
重合反応器に、アニオン性乳化剤であるジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩1.5部を脱イオン水45部に溶解したものに、アクリル酸エチル49部、アクリル酸ブチル49部、p−ヒドロキシ安息香酸ビニル1部、を加え、攪拌して乳化させた。次に、窒素気流下で70℃まで昇温した後、過硫酸アンモニウムの10%水溶液10部を添加して重合を開始させた。重合開始後、重合温度を徐々に80℃まで上昇させ、さらに80〜82℃の範囲で2時間重合反応を継続した。重合転化率はほぼ100%であった。得られたラテックスと、塩析剤としての食塩(水溶液の状態)とを混合して、クラム状のアクリルゴムを得た。その後、クラム状のアクリルゴムを水洗、乾燥させて、アクリルゴムを得た。ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、34であった。
上記で得られたアクリルゴムを用いた以外は、実施例1と同様にアクリルゴム組成物の調製を行った。得られたアクリルゴム組成物について、スウェルの測定及び押出成形試験を行った。
Claims (4)
- (メタ)アクリル酸エステル単量体及び二重結合を2個以上有する多官能性単量体を共重合してシードラテックスを得て、さらに前記シードラテックスの存在下で前記(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合することにより得られる、二重結合を2個以上有する多官能性単量体単位(A)を0.1〜2重量%、およびフェノール性水酸基含有単量体単位を0.1〜10重量%含有してなるアクリルゴムであって、
前記アクリルゴムに含まれる前記二重結合を2個以上有する多官能性単量体単位(A)のうちの50重量%以上が前記シードラテックスを得る際に重合してなるアクリルゴム。 - ポリマームーニー粘度が20〜30である請求項1記載のアクリルゴム。
- 請求項1または2に記載のアクリルゴムに配合剤が含有されてなるアクリルゴム組成物。
- 請求項3に記載のアクリルゴム組成物を押出成形してなる押出成形品。
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