JP4168189B2 - アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体、その製造方法および加硫性ゴム組成物 - Google Patents

アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体、その製造方法および加硫性ゴム組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体、その製造方法および該複合体に加硫剤を配合してなる加硫性ゴム組成物に関する。
本発明の複合体の加硫物は良好な耐熱性、耐油性、圧縮永久歪および機械的強度を有し、工業用品、自動車部品および航空機部品として有用である。
【0002】
【従来の技術】
フッ素ゴムは耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性および機械的強度などに優れるため工業用品、自動車部品および航空機部品としての需要は大きい。しかしながら、フッ素ゴムは価格が高く、比重が大きいため、経済的制約が大きく、その実用化領域はせまい。
一方、アクリルゴムは耐熱性、耐油性および耐酸化性に優れたゴムであり、工業用品および自動車部品などとして広く用いられている。しかしながら、自動車エンジンの高出力化、メンテナンスフリー化およびコンパクト化が進展した結果、環境温度がますます高くなり、いきおいゴム部品に要求される耐熱温度が高く、耐久期間が長くなっている。アクリルゴムはこのような要求に応えるに十分とは言い難い。
【0003】
フッ素ゴムとアクリルゴム両者の良好な特性を兼備したゴム材料を提供する目的でフッ素ゴムとアクリルゴムとをブレンドすることが試みられている。しかしながら、アクリルゴムとフッ素ゴムとは化学的親和性が乏しく、通常の機械的混練方法ではミクロ状態での均一な混合物を得るのは困難である。そのため、両ゴムを混合する改良方法が提案されている。その代表的な方法はフッ素ゴム相中に、内部架橋させたアクリルゴム粒子を分散させる方法である。
【0004】
例えば、特開平1一299859号公報には、アクリルゴムとフッ素ゴムの両者に共架橋し得る第3のエラストマーとアクリルゴム用架橋剤とを配合し、剪断変形を与えながら動的架橋して、フッ素ゴム相中にアクリルゴム粒子を分散させる方法が提案されている。しかしながら、この動的架橋は通常200℃以上の高温で行なわねばならず、量産性に乏しい。また、第3のエラストマーの配合によって、フッ素ゴムとアクリルゴムの良好な特性が希釈される短所もある。第3のエラストマーを配合せずに、この動的架橋を行うとフッ素ゴム相とアクリルゴム粒子との界面に剥離を生ずる。
【0005】
特開平3−139550号公報には、動的架橋により得られる平均粒径50ミクロン未満の微細なアクリルゴム粒子をフッ素ゴムなどのエラストマー相中に分散せしめたゴム組成物が記載されている。しかしながら、このゴム組成物を調製するには、フッ素ゴムとアクリルゴムとをロールなどで予め混合した後、アクリルゴムのみをさらに動的架橋する工程が必要であり、量産性に乏しい。また、得られる加硫物は粒子の均一分散性に乏しく加硫物の物性が安定でない。
【0006】
特開平5−287154号公報および特開平5−287156号公報にはジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの多官能性モノマーを共重合してゲル含量が50重量%以上になるように内部架橋させたアクリルゴム粒子をロールゴムなどを用いてフッ素ゴムと混合し、フッ素ゴム相に分散させてなるゴム組成物が記載されている。しかしながら、内部架橋したアクリルゴム粒子は、ロールなどによる高せん断力を受けても崩壊し難く、分散性は改良されるものの、フッ素ゴム相との親和性に乏しく、引張り強さが低いなど加硫物性の面で満足し難い。
【0007】
特開平7−286081号公報には、ヒドロキシスチレンなどを共重合してフェノール性水酸基を導入したアクリルゴムまたは2一クロロエチルビニルエーテルなどを共重合して活性塩素基を導入したアクリルゴムのラテックスと、フッ素ゴムのラテックスとの混合ラテックスを共凝固し、その後、他の配合剤とともにロール上で混練し、アクリルゴムとフッ素ゴムとを直接相互架橋させてなるゴム組成物が記載されている。このように混合ラテックスを共擬固させることによりアクリルゴム粒子の分散性が改善され、また、アクリルゴムとフッ素ゴムとが相互に架橋することにより加硫物性が改善されることが期待されるものの、耐油性をはじめいくつかの特性は改善されない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、フッ素ゴムとアクリルゴムとの混合物から得られる加硫物であって、両ゴムの良好な物性が最大限に発揮され しかも工業的有利に製造できる加硫物を提供すべく検討を重ねた結果、以下の知見(イ)〜(ニ)を得た。
(イ)ロールなどを用いる混練方法では、内部架橋したゲル化アクリルゴム粒子の粒径を十分小さくすることは困難であり、アクリルゴム粒子の分散性はあまり改善されない。
【0009】
(ロ)ゲル化アクリルゴム粒子は、ロールなどの混練により高せん断力を受けても、粒子は崩壊し難いものの、フッ素ゴムとの親和性はあまり改善されない。(ハ)アクリルゴムとフッ素ゴムとをラテックス状態で混合し、これを共凝固することにより、粒径10ミクロン程度のアクリルゴム粒子を分散させることが可能であるものの、さらに、ロールなどで混練することにより、アクリルゴム粒子が崩壊した後凝集して肥大化し、分散性は改良されない。
【0010】
(ニ)グリシジルメタクルレートを共重合してエポキシ基を導入するとともに、エチレンジメタクリレートを共重合してゲル含量90%以上になるように内部架橋させたアクリルゴムのラテックスを、フッ素ゴムのラテックスに混合し、これを共凝固することにより得られたアクリルゴム/フッ素ゴムブレンドは、その後、他の配合剤とともにロール混練を行っても、耐油性などの物性が良好であることを見出した。
発明者らは、上記知見(イ)〜(ニ)、特に(ニ)に基づいて本発明を完成するに至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したエポキシ基含有アクリルゴム粒子の不連続相とからなり、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、該アクリルゴム粒子が平均粒径10〜300nmを有し、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムからなることを特徴とする、アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体が提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとをラテックス状態で混合し、次いで、得られた混合ラテックスを共凝固することを特徴とする上記のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体にエポキシ基含有アクリルゴムの架橋剤およびフッ素ゴムの架橋剤の中から選ばれた少なくとも一種の架橋剤を配合してなる加硫性ゴム組成物が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
(アクリルゴム)
本発明の複合体を構成するアクリルゴム粒子は、エポキシ基を含有し、かつゲル含量80重量%以上の内部架橋されたアクリルゴムである。
この内部架橋されたエポキシ基含有アクリルゴムは、アクリルゴムを重合により調製するに際し、(メタ)アクリレートモノマーと、エポキシ基含有モノマーおよび自己架橋を形成するための2つ以上のニ重結合を有する多官能性モノマーとを共重合することにより得られる。
【0014】
アクリルゴムの調製に用いる(メタ)アクリレートモノマーとしては、一般に、下記式:CH2=C(Rl)COOR2(ここでRlは水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)で表されるものが用いられる。その具体例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でもアルキルアクリレートが好ましく、特に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートがより好ましい。これらの(メタ)アクリレートモノマーは一種で、または二種以上を組合せて用いることができる。(メタ)アクリレートモノマーの使用量はモノマー総量100重量部に対し50〜99.6重量部が好ましい。
【0015】
エポキシ基含有モノマーとしてはグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどが例示される。これらのエポキシ基含有モノマーも一種で、または二種以上を組合せて用いることができる。使用量はモノマー総量100重量部に対し、0.1〜10重量部とするのが好ましい。エポキシ基含有モノマーの使用量が0.1重量部未満ではアクリルゴム/フッ素ゴム複合体中のアクリルゴム粒子表面とフッ素ゴムとの親和性が低下し、目的とする性能を有する加硫ゴムが得られなくなる。
【0016】
内部架橋を形成するための多官能性モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが例示される。これらの多官能性モノマーは一種で、または二種を組合せて用いることができる。その使用量はモノマー総量100重量部に対し、0.3〜15重量部とすればよいが、好ましくは0.5〜10重量部である。多官能性モノマー使用量が0.3重量部未満では内部架橋したアクリルゴムのゲル含量が80重量%未満となり、目的の性能を有する加硫ゴムが得られない。内部架橋アクリルゴム粒子のゲル含量は通常80重量%以上とすべきであり、より好ましくは90重量%以上である。ゲル含量が80重量%未満では、ロールなどで混練するとアクリルゴム粒子が崩壊する。
【0017】
所望により、(メタ)アクリレートモノマー、エポキシ基含有モノマーおよび多官能性モノマーに、少くとも一種の共重合可能な他のモノエチレン系モノマーを共重合することができる。そのようなモノエチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのビニルニトリル;アクリルアミド、エタアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのビニルアミド;エチレン、プロピレンなどのオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル;2−シアノエチルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート、4−シアノブチルアクリレートなどのシアノ置換アルキル(メタ)アクリレート;ジエチルアミノエチルアクリレートのようなアミノ置換アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチルアクリレートのような水酸基置換アルキル(メタ)アクリレート;メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン;ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテルなどのビニルまたはアリルエーテルが挙げられる。これらのモノエチレン系モノマーの使用量は0〜20重量%であることが好ましい。
【0018】
上記(メタ)アクリレートモノマーの共重合はラジカル開始剤を用いた乳化重合法によって行われる。得られるアクリルゴムラテックス中のアクリルゴム粒子の平均粒径は10〜300nm、好ましくは50〜200nmである。
アクリルゴムのムーニー粘度は10〜70であることが好ましい。ムーニー粘度が低過ぎると良好な機械的強度を有する成形体を得ることができず、逆に、ムーニー粘度が高過ぎると射出成形型その他の成形が困難となる。より好ましいムーニー粘度は20〜50である。
【0019】
(フッ素ゴム)
本発明において用いられるフッ素ゴムの組成は格別限定されるものではなく、一般にフッ素ゴムとして知られているものが広く用いられる。フッ素ゴムの形成に用いるモノマーとしては、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルフルオライド、パーフルオロメチルビニルエーテルのようなフルオロアルキルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニリデンなどの含フッ素モノエチレン系不飽和モノマーが挙げられる。これらの含フッ素モノマーは、単独で、または二種以上を組合せて用いることができ、また、他のモノエチレン系不飽和モノマー、例えば、アクリル酸エステル、プロピレン、エチレン、ジエンおよび含ハロゲンビニルモノマーなどと共重合することもできる。
【0020】
フッ素ゴムの具体例としては、ビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン系、ビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系、ビニリデンフルオライド/クロロトリフルオロエチレン系などのビニリデンフルオライド系の共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン系、ヘキサフルオロプロピレン/エチレン系、フルオロアルキルビニルエーテル/オレフィン系の共重合体などが挙げられる。これらのうちビニリデンフルオライド/ヘキサフルオロプロピレン系およびビニリデンフルオライド/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系の共重合体が好ましい。
【0021】
また、好ましい他のフッ素ゴムの例として、特開昭6−122729号公報に記載される下記組成(I)を有するフルオロエラストマー:
(i)フッ化ビニリデン:4〜75モル%、好ましくは10〜70モル%
(ii)ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ヒドロペンタフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンの中から選ばれた少なくとも一種:12〜40モル%、好ましくは15〜30モル%
(iii)C2-4 オレフィン:2〜35モル%、好ましくは4〜30モル%
および
(iv)テトラフルオロエチレン:2〜60モル%、好ましくは4〜50モル%;ならびに、特開平6−248027公報に記載される下記組成(II)を有するフルオロエラストマーおよび下記組成(III)を有するフルオロエラストマー、が挙げられる。
【0022】
組成(II)
(i)フッ化ビニリデン:42〜80モル%
(ii)ヘキサフルオロピレンおよびパーフルオロアルキルビニルエーテルの中から選ばれた少なくとも一種:16〜30モル%および
(iii)C2-4 オレフィン:2〜30モル%;
組成(III)
(i)フッ化ビニリデン:70〜98モル%
(ii)ヘキサフルオロプロピレンおよびパーフルオロアルキルビニルエーテルの中から選ばれた少なくとも一種:0〜16モル%および
(iii)C2-4 オレフィン:1〜30モル%
【0023】
前述のモノマーを共重合してフッ素ゴムを調製するには、ラジカル開始剤として過硫酸塩開始剤を用いた乳化重合法または微細乳化重合法を採ることが必要である。その他のラジカル開始剤を使用した場合はアクリルゴム粒子とフッ素ゴムとの親和性を高めることができない。過硫酸塩開始剤の具体例としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0024】
フッ素ゴムのムーニー粘度は、得られる加硫ゴムの機械的強度と射出成型性などの成形性とのバランスから、20〜150の範囲が好ましく、50〜90の範囲がより好ましい。
フッ素ゴムラテックスの平均粒径は通常10〜500nmの範囲である。
【0025】
(アクリルゴム/フッ素ゴム複合体)
本発明の複合体において、アクリルゴムとフッ素ゴムの割合はアクリルゴム/フッ素ゴムが重量比で30〜70/70〜30である。アクリルゴムが少ない領域では経済性の改善効果が小さい、また多い領域では耐熱性および強度特性が低下する。
【0026】
本発明のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体は、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスを共凝固することにより調製される。混合ラテックスを共凝固する方法は特に限定されないが、通常は、混合ラテックスを多価金属塩水溶液を用いて塩析する方法、および該ラテックスに食塩水溶液を添加した後硫酸水溶液を加えて酸凝固する方法などが採られる。
混合ラテックスを塩析する方法において使用する多価金属塩としては、周期表II族金属またはIII族金属と無機酸との塩が挙げられ、具体的には、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、ミョウバンなどを使用することができる。
【0027】
多価金属塩の水溶液の濃度は、塩析の条件により特に限定されることはないが、通常は、水100重量部に対して、多価金属塩0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部を添加して調整したものを使用する。
混合ラテックスと多価金属塩の水溶液との使用の比率は、特に限定されないが、通常は、混合ラテックスの固形分100重量部に対して、多価金属塩の水溶液中の多価金属塩0.5〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で使用する。
混合ラテックスを塩析するときの温度は、条件により特に限定されることはないが、通常は0〜100℃、好ましくは10〜80℃の範囲で行う。また、塩析に要する時間は、通常、0.1〜15分である。
【0028】
混合ラテックスを多価金属塩水溶液を用いて塩析する方法は特に限定されないが、通常は、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとを混合した後、これを多価金属塩水溶液中に添加して攪拌・混合する方法、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとを混合した後、これに多価金属塩水溶液を添加して攪拌・混合する方法、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスと多価金属塩水溶液とを同時に添加・混合する方法などが採られる。混合ラテックスまたは多価金属塩水溶液を添加するには、連続的に添加する方法、一括添加する方法、分割添加する方法のいずれも採用することができる。
【0029】
酸凝固の方法は、特に限定されないが、通常は、混合ラテックスを食塩水溶液を用いて該ラテックスをクリーミング化した後、硫酸水溶液を加えてポリマーを析出させる方法が採用できる。
食塩水溶液の濃度は、酸凝固の条件により特に限定されることはないが、通常は、水100重量部に対して、食塩1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部を添加して調整したものを使用する。
【0030】
硫酸水溶液の濃度は、酸凝固の条件により特に限定されることはないが、通常は、水100重量部に対して、硫酸0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部を添加して調整したものを使用する。
混合ラテックスと食塩水溶液との使用の比率は、特に限定されないが、通常は、混合ラテックスの固形分100重量部に対して、食塩水溶液中の食塩5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部の範囲で使用する。
【0031】
混合ラテックスと硫酸水溶液との使用の比率は、特に限定されないが、通常は、混合ラテックスの固形分100重量部に対して、硫酸水溶液中の硫酸0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の範囲で使用する。
混合ラテックスを酸凝固するときの温度は、条件により特に限定されることはないが、通常は0〜100℃、好ましくは10〜80℃の範囲で行う。また、食塩水溶液を添加して該ラテックスをクリーミング化するのに要する時間は、通常、0.1〜15分であり、また、酸凝固全体に要する時間は、通常、0.2〜15分である。
【0032】
混合ラテックスを食塩水溶液を用いて該ラテックスをクリーミング化する方法は特に限碇されないが、通常は、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとを混合した後、これを食塩水溶液中に添加して攪拌・混合する方法、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとを混合した後、これに食塩水溶液を添加して攪拌・混合する方法、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスと食塩水溶液とを同時に添加・混合する方法などが挙げられる。混合ラテックスまたは食塩水溶液を添加するには、連続的に添加する方法、一括添加する方法、分割添加する方法のいずれも採用することができる。
【0033】
さらに、クリーミングした該ラテックスを硫酸水溶液を用いてポリマーを析出させる方法も特に限定されない。通常は、クリーミング化した該ラテックスを硫酸水溶液中に添加して攪拌・混合する方法、クリーミング化した該ラテックスに硫酸水溶液を添加して攪拌・混合する方法、クリーミング化した該ラテックスと硫酸水溶液とを同時に添加・混合する方法などが挙げられる。該ラテックスまたは硫酸水溶液を添加するには、連続的に添加する方法、一括添加する方法、分割添加する方法のいずれも採用することができる。
アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスを塩析または酸凝固の方法を用いて共凝固したポリマーは、次いで、水洗・ろ過した後乾燥される。
【0034】
(アクリルゴム粒子とフッ素ゴムとの親和性の改良)
前述のように、ゲル含量が80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスを共凝固した後乾燥する工程を経て製造することにより、アクリルゴム粒子とフッ素ゴムとの親和性が高められた本発明のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体が得られる。かかる工程を経ることによりアクリルゴム粒子とフッ素ゴムとの親和性が高められる理由は明確ではないが、アクリルゴム粒子中のエポキシ基が粒子内部より表層部分に相対的多量に分布し、この表層部分に分布するエポキシ基が、過硫酸塩開始剤を用いたラジカル乳化重合により得られたフッ素ゴム中に残存する硫酸根と結合するものと推定される。このようにアクリルゴム中のエポキシ基とフッ素ゴム中の硫酸根を介してアクリルゴム粒子とフッ素ゴムとの親和性が著しく高められ、その結果、アクリルゴム粒子はフッ素ゴムの連続相に均一に分布し、高性能のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体が得られるものと考えられる。
【0035】
(加硫性ゴム組成物)
上記のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体に架橋剤を配合することによって加硫性ゴム組成物が調製される。架橋剤としては、フッ素ゴムを架橋し得る架橋剤およびエポキシ基含有アクリルゴムを架橋し得る架橋剤の中から選ばれた少なくとも一種が用いられる。フッ素ゴムを架橋し得る架橋剤およびエポキシ基含有アクリルゴムを架橋し得る架橋剤のいずれか一方のみであってもよいし、両者が用いられてもよい。
【0036】
フッ素ゴムを架橋し得る架橋剤としては、ポリオール架橋剤と四級アンモニウム塩や四級ホスホニウム塩などの架橋助剤とからなるポリオール架橋剤系、アミン系架橋剤系、および有機過酸化物架橋剤系が挙げられる。
【0037】
ポリオール架橋剤系を構成するポリオール架橋剤としては、ポリヒドロキシ芳香族化合物、例えば、ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビス−(4一ヒドロキシフェニル)ヒドロキノン、イソプロピリデン−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)などが挙げられる。ホスホニウム塩としては、トリフェニルべンジルホスホニウムクロライド、トリオクチルベンジルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラオクチルホスホニウムクロライドなどが挙げられる。四級アンモニウム塩としては、トリフェニルベンジルアンモニウムクロライド、テトラフェニルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ラトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボラートなどが挙げられる。
【0038】
アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキルアミン、アニリン、ピリジン、ジアミノベンゼンなどの芳香族アミンおよびこれらのアミンのカルバミン酸、シンナミリデン酸などの脂肪酸の塩などが挙げられる。
【0039】
有機過酸化物架橋剤系を構成する有機過酸化物架橋剤としては、例えば、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−t−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−t−ブチルパーオキシヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、p−クロロベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボナート、t−ブチルベンゾエートなどが挙げられる。
有機過酸化物加硫剤とともに、加硫助剤を併用することができ、その具体例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、メタフェニレンビスマレイミドなどの多官能性化合物やp−キノンジオキシムなどが挙げられる。
【0040】
エポキシ基含有アクリルゴムを架橋し得る架橋剤としては、トリエチレンテトラミンなどのポリアミン系架橋剤;安息香酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウムなどのカルボン酸アンモニウム塩系架橋剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸塩系架橋剤;テトラデカンニ酸/セチルトリメチルアンモニウムブロマイドなどの多価カルボン酸/四級オニウム塩系架橋剤などが挙げられる。
【0041】
架橋剤の配合量は、アクリルゴム/フッ素ゴム複合体の重量に基づき、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。架橋剤の使用量が過少であると、架橋密度が小さく、加硫ゴムの耐油性、耐熱性、機械的強度などが低下する。その使用量が過大であると加硫ゴムの伸びが低下する。
【0042】
本発明の加硫性ゴム組成物にはゴム成分と架橋剤のほか、通常ゴム工業で用いられているカーボンブラックなどの補強剤;シリカ、タルクなどの充填剤;フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、セバシン酸誘導体などの可塑剤;フェニレンジアミン類、ホスフェート類、ジチオカルバメート金属塩類、キノリン類、クレゾール類、フェノール類などの老化防止剤;安定剤;プロセスオイルなどの加工助剤などの配合剤を加えることができる。配合剤の種類および量は特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜選択される。
【0043】
ゴム成分、架橋剤およびその他の配合剤は、ロール、バンバリーミキサーなどの通常の混練機を用いて混練し、架橋可能なゴム組成物を調製し、さらに、通常の手法・条件に従って成形、架橋を行い、架橋ゴム製品とすることができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例および比較例について本発明を具体的に説明する。なお、%および部数は特に断わらない限り重量基準である。
アクリルゴム粒子の大きさおよび状態、アクリルゴムのゲル含量、ならびにアクリルゴム/フッ素ゴム複合体の加硫物の物性は以下の方法により評価した。
(1)アクリルゴム/フッ素化ゴム複合体中のアクリルゴム粒子の大きさおよび状態
アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとの混合ラテックスを共凝固した後乾燥し、得られたアクリルゴム/フッ素化ゴム複合体中のアクリルゴム粒子の状態を透過型電子顕微鏡(倍率:60,000倍)にて観察するとともに、粒子の平均粒径(nm)を測定した。
【0045】
(2)アクリルゴムのゲル含量
アクリルゴムラテックスを凝固した後、乾燥することにより得られたアクリルゴム0.2gをメチルエチルケトン100mlに室温で24時間浸漬し、不溶分を80メッシュ金網で分別し、不透過分をゲル含量とした。
(3)引張特性
表1に示す配合処方に従って、6インチ・ロールを用い混練して架橋用ゴム組成物を調製し、170℃×20分間の条件下に一次加硫(プレス加硫)を行い、さらに、180℃×24時間の条件下にギヤーオーブン中で二次加硫を行って得た加硫物について日本工業規格JIS K6301に従い、引張強さ(kgf/cm2)、伸び(%)、100%引張応力(kgf/cm2)を測定した。また、硬さは、同様な加硫物についてJISスプリング式A形硬さ試験機を用いて測定した。
【0046】
(4)耐熱老化性
前項(3)と同様に一次および二次加硫を行って得た加硫物について空気加熱老化試験(175℃×168時間)を行い、引張強さ、伸びおよび硬さをそれぞれ測定し、それぞれ熱老化試験前後の測定値から、引張強さの変化率(%)、伸びの変化率(%)および硬さの変化(ポイント)を求めた。
【0047】
(5)耐油性
前項(3)と同様に一次および二次加硫を行って得た加硫物について、JISK6301に従い、潤滑油No3(動粘度31.9〜34.1、アニリン点69.5±1℃、引火点162.7℃)中にゴム試験片を150℃で70時間を浸漬し、体積変化率(%)を測定した。
(6)圧縮永久ひずみ
前項(3)と同様に一次および二次加硫を行って得た加硫物について、JISK6301に従い、175℃で70時間保持後に圧縮永久ひずみ(%)を測定した。
【0048】
実施例1〜8
(エポキシ基含有アクリルゴムラテックスの調製)
2リットルの反応器中に温度計、攪拌機、窒素導入管および減圧装置を設置し、下記に示す重合処方(I)および(II)により、表1に記載した組成のエチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート(BA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)およびグリシジルメタクリレート(GMA)の混合物を重合して、アクリルゴムラテックスを調製した。すなわち、まず、(I)の各成分を反応器に仕込んだ後反応器中の混合物のpHを7に調整し、攪拌しつつ系内の温度を5℃にし、脱気、窒素置換を繰り返し、系内の酸素を充分除去した。次いで(II)の各成分を添加して重合を開始した。重合温度は5℃で反応時間は約16時間である。重合転化率は94〜98%の範囲であった。
【0049】
Figure 0004168189
実施例1〜6で得たアクリルゴムのムーニー粘度は43、実施例7〜8で得たアクリルゴムのムーニー粘度は41であった。また、ゲル含量を表1に示す。
【0050】
(フッ素ゴムラテックスの調製)
攪拌機、減圧装置および温度計を設けた10リットルの反応器中を真空にした後、水6.5リットルを供給し、下記の重量比を有するモノマー混合物によって反応器中に圧を生成させた。
ビニリデンフルオライド(VDF) 60%
ヘキサフルオロプロペン(HFP) 40%
反応器の温度を85℃まで上昇させ、圧を19バールにした。66ml/リットルの水性溶液としての酢酸エチル260mlと、150g/リットルの水性溶液としての過硫酸アンモニウム13gを加えた。重合中にモノマーを下記の重量比で供給することによって圧を一定に保持した。
ビニリデンフルオライド(VDF) 80%
ヘキサフルオロプロペン(HFP) 20%
55分間の重合時間でポリマー2,800gが得られる転化率に達した後全体を室温まで冷却し、フッ素ゴムラテックスを得た。
【0051】
得られたラテックスを取出して、硫酸アルミニウム水溶液を加えることによって凝固させた。ポリマーを分離して、水で洗浄し、60℃の空気循環オーブンで乾燥した。得られたボリマレのムーニー粘度は58であった。
【0052】
(アクリルゴム/フッ素ゴム複合体の調製)
上記アクリルゴムラテックスおよびフッ素ゴムラテックスを混合し、混合ラテックスを調製した(アクリルゴム/フッ素ゴム固形分重量比=50/50〔実施例1〜4、7、8〕または60/40〔実施例5、6〕)。
【0053】
混合ラテックスに硫酸アルミニウム水溶液(濃度5%、混合ラテックスの固形分100部に対して硫酸アルミニウム4部)を加え、50℃で5分間攪拌・混合することにより共凝固せしめた。共凝固したポリマーは水洗、ろ過し、次いで乾燥した。得られたアクリルゴム/フッ素ゴム複合体中に分散しているアクリルゴム粒子を電子顕微鏡で観察した。アクリルゴム粒子は互いに凝集することなく均一に分散し、さらに、粒子の表層部分と中心部分とで密度差が生じていることが観察された。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004168189
【0055】
(加硫性ゴム組成物の調製、加硫物の調製および評価)
アクリルゴム/フッ素ゴム複合体と架橋剤その他の配合成分を表2に示す配合処方に従って6インチ・ロールにて混練し、架橋用ゴム組成物を調製した。表2中の配合成分の略号はそれぞれ下記成分を意味する。
SRF: SRFカーボンブラック
Ml: イタリア、アウジモント社製、ビスフェノールAF50%含有加硫剤マスター
M2: イタリア、アウジモント社製、ホスホニウム塩系化合物30%含有仮進剤マスター
AB: 安息香酸アンモニウム
【0056】
ゴム組成物は170℃で20分間プレス加硫を行い、さらに、180℃のギヤーオーブン中で24時間の後加硫を行った。得られた加硫物の物性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
【表2】
Figure 0004168189
【0058】
比較例1、2
実施例1〜8と同様な方法および条件によりアクリルゴムラテックスおよびフッ素ゴムラテックスを調製した。ただし、アクリルゴムラテックスの調製に際し、比較例1ではエチレングリコールジメタクリレート(EDMA)を用いず、また、比較例2ではグリシジルメタクリレート(GMA)を用いなかった。さらに、実施例1〜4、7、8と同様に、アクリルゴムラテックスとフッ素ゴムラテックスとを共凝固して、アクリルゴム/フッ素ゴム複合体を調製した。得られた複合体中のアクリルゴム粒子を電子顕微鏡で観察したところ、比較例1では、アクリルゴム粒子が凝集し、大きな固まりとなっていた。比較例2では、粒子の凝集は観察されなかったが、粒子の表層部分と中心部分との間に密度差も観察されなかった。
【0059】
実施例2および7と同様な配合処方および方法に従って、上記アクリルゴム/フッ素ゴム複合体から架橋用ゴム組成物を調製し、さらに、加硫した。加硫物の物性を評価した結果を表2に示す。
【0060】
比較例3
実施例1〜8と同様な方法および条件によりアクリルゴムラテックスおよびフッ素ゴムラテックスを調製した。次いで、それぞれ、ゴムラテックスから固形ゴムを得た後、両ゴムを合わせ、ロールを用いて50℃で混練した。混練物は、ゲル化したアクリルゴムの粒子が凝集した状態でフッ素ゴム中に散在したものであった。
【0061】
実施例2および7と同様な配合処方および方法に従って、上記両ゴムの混合物から架橋用ゴム組成物を調製し、さらに、加硫した。加硫物の物性を評価した結果を表2に示す。
【0062】
表に示す結果から、本発明の加硫性ゴム組成物の加硫物は耐熱性、耐油性および機械的強度特性が、比較例と比べて著しく改善されていることがわかる。
【0063】
【発明の効果】
本発明のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体を含む加硫性ゴム組成物の加硫物は耐熱性、耐油性、機械的強度特性などがよくバランスされ、それぞれ良好なレベルにある。これは、内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムの粒子が、アクリルゴム中のエポキシ基とフッ素ゴム中の硫酸根とを介して結合し、その結果、フッ素ゴムに対し非常に高い親和カをもつためと考えられる。しかも、上記加硫物は工業的有利に製造することができる。
上記加硫物は、各種工業用品、自動車部品、航空機部品などの分野でシール類(オイルシール、0−リング、ガスケット、パッキング)、ホース類、ベルト類、ロールなどとして広く利用することができる。
【0064】
(好ましい実施態様)
本発明に係る(1)フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したエポキシ基含有アクリルゴム粒子の不連続相とからなり、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、該アクリルゴム粒子が平均粒径10〜300nmを有し、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムからなることを特徴とするアクリルゴム/フッ素ゴム複合体;(2)フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したアクリルゴム粒子の不連続相とからなるアクリルゴム/フッ素ゴム複合体を製造する方法において、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムのラテックスとフッ素ゴムラテックスとをラテックス状態で混合し、次いで、得られた混合ラテックスを共凝固することを特徴とする、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、平均粒径10〜300nmを有する内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムの粒子がフッ素ゴムの連続相に分散してなるアクリルゴム/フッ素ゴム複合体の製造方法;および(3)フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したエポキシ基含有アクリルゴム粒子の不連続相とからなり、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、該アクリルゴム粒子が平均粒径10〜300nmを有し、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムであるアクリルゴム/フッ素ゴム複合体に、エポキシ基含有アクリルゴムの架橋剤およびフッ素ゴムの架橋剤の中から選ばれた少なくとも一種の架橋剤を配合してなる加硫性ゴム組成物の好ましい実施態様をまとめると以下のとおりである。
【0065】
(1)内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムラテックスは、
(i)式 CH2=C(Rl)COOR2(式中、Rlは水素原子またはメチル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基である。)で表されるアルキル(メタ)アクリレート50〜99.6重量部、
(ii)2つ以上の三重結合を有する多官能性モノマー0.3〜15重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、
(iii)エポキシ基含有モノマー0.1〜10重量部、
(iv)上記(i)、(ii)および(iii)のモノマーと共重合可能なモノエチレン系不飽和モノマー0〜20重量部を乳化重合して得られる。
【0066】
(2)前項(1)、(i)の式で表わされるアルキル(メタ)アクリレートがメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2一エチルヘキシルアクリレートから選ばれる少なくとも一種のアルキルアクリレートである。
(3)内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムのゲル含量が80%以上、より好ましくは90%以上である。
【0067】
(4)内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムのムーニー粘度が10〜70、より好ましくは20〜50である。
(5)アクリルゴム/フッ素ゴム複合体中のアクリルゴム粒子の平均粒径は10〜300nm、より好ましくは50〜200nmである。
(6)フッ素ゴムラテックスは、過硫酸塩開始剤を用いて少なくとも一種の含フッ素モノエチレン系不飽和モノマーを乳化重合または微細乳化重合することにより得られる。
【0068】
(7)フッ素ゴムのムーニー粘度が20〜150、より好ましくは30〜90である。
(8)アクリルゴムとフッ素ゴムの割合は、アクリルゴム/フッ素ゴム重量比として、20〜80/80〜20、より好ましくは30〜70/70〜30の範囲である。
【0069】
(9)エポキシ基含有アクリルゴムの架橋剤はポリアミン架橋剤、カルボン酸アンモニウム塩架橋剤、ジチオカルバミン酸塩架橋剤および多価カルボン酸/四級オニウム塩架橋剤の中から選ばれる。
(10)フッ素ゴムの架橋剤がポリオール/四級アンモニウム塩架橋剤系、ポリオール/四級ホスホニウム塩架橋剤系、アミン系架橋剤系および有機過酸化物架橋剤系の中から選ばれる。
(11)前記各項のいずれかの特徴を満足する加硫性ゴム組成物を加硫してなる加硫ゴム製品。

Claims (6)

  1. フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したエポキシ基含有アクリルゴム粒子の不連続相とからなり、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、該アクリルゴム粒子が平均粒径10〜300nmを有し、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムからなることを特徴とする、アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体。
  2. フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したアクリルゴム粒子の不連続相とからなるアクリルゴム/フッ素ゴム複合体を製造する方法において、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムのラテックスとフッ素ゴムラテックスとをラテックス状態で混合し、次いで、得られた混合ラテックスを共凝固することを特徴とする、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、平均粒径10〜300nmを有する内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムの粒子がフッ素ゴムの連続相に分散されているアクリルゴム/フッ素ゴム複合体の製造方法。
  3. フッ素ゴムの連続相と、該フッ素ゴム連続相に分散したエポキシ基含有アクリルゴム粒子の不連続相とからなり、該アクリルゴムと該フッ素ゴムとの割合が30〜70/70〜30(重量比)であり、該アクリルゴム粒子が平均粒径10〜300nmを有し、ゲル含量80重量%以上の内部架橋したエポキシ基含有アクリルゴムであるアクリルゴム/フッ素ゴム複合体に、エポキシ基含有アクリルゴムの架橋剤およびフッ素ゴムの架橋剤の中から選ばれた少なくとも一種の架橋剤が配合されてなる加硫性ゴム組成物。
  4. 請求項3に記載の加硫性組成物を架橋してなる架橋ゴム組成物。
  5. 内部架橋されたエポキシ基含有アクリルゴムは、アクリレートまたはメタクリレートモノマーと、エポキシ基含有モノマーおよび、自己架橋を形成するための2つ以上の二重結合を有する多官能性モノマーとを共重合することにより得られたものであり、
    アクリルゴム/フッ素ゴム複合体中のアクリルゴム粒子を電子顕微鏡で観察すると、アクリルゴム粒子はその表面を含む表層部分と中心部分とで密度差を有しており、
    上記多官能性モノマーは、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールアクリレート、1,4−ブタンジオールメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラメタクリレートからなる群から選ばれたものである、請求項1記載の、アクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体。
  6. 請求項3に記載の加硫性組成物を架橋してなる架橋ゴム組成物であって、該加硫性組成物中のアクリルゴム/フッ素ゴム複合体は、請求項5に記載のアクリルゴムとフッ素ゴムとの複合体であることを特徴とする架橋ゴム組成物。
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