JP6559541B2 - アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法 - Google Patents

アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法に関する。
金属と炭素粒子との複合材として、例えば特許文献1(特許第5150905号公報)及び特許文献2(特開2015−25158号公報)に記載されているように金属層と炭素繊維層が交互に複数積層された状態で接合一体化されたものが知られている。また、特許文献3(特許第5659542号公報)は、炭素質部材中に金属が充填されてなる金属基複合材料を開示している。
このような複合材は、高い熱伝導特性が必要な部材用の材料としての利用が期待されている。
特許第5150905号公報 特開2015−25158号公報 特許第5659542号公報
而して、金属と炭素粒子との複合体を、金属と炭素粒子とを含んだプリフォーム等の焼結素材を焼結して製造する場合において、焼結素材をしっかりと焼結させるためには、焼結温度を高温、焼結圧力を高圧及び焼結時間を長時間に設定して焼結工程を行うことが望ましく、タクトタイムが長かった。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、タクトタイムを短くすることができるアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] アルミニウムと炭素粒子とを含む焼結素材を仮焼結して仮焼結体を得る工程と、
前記仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する工程と、を備えている、アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
[2] 前記本焼結する工程では、塑性加工率が30%以上になるように前記仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する前項1記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
[3] 前記仮焼結体を得る工程では、熱間押出加工、熱間圧延加工、ホットプレス及び放電プラズマ焼結からなる群より選択される少なくとも一つの方法により前記焼結素材を仮焼結し、
前記本焼結する工程では、前記仮焼結体を熱間塑性加工としての熱間鍛造加工により本焼結する前項1又は2記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
[4] 前記本焼結する工程では、前記仮焼結体を熱間塑性加工としての熱間密閉鍛造加工により本焼結する前項1〜3のいずれかに記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
[5] 前記仮焼結体は、前記仮焼結体中の前記炭素粒子が配向しているものであり、
前記本焼結する工程では、前記仮焼結体への鍛造方向を前記仮焼結体中の前記炭素粒子の配向方向に設定して前記仮焼結体を本焼結する前項3又は4記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項[1]によれば、複合体を製造するために、焼結素材を仮焼結して得られた仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結するので、タクトタイムを短くすることができる。これにより、複合体の製造コストを引き下げ得る。
前項[2]では、塑性加工率が30%以上になるように仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結することにより、仮焼結体を確実に十分に本焼結することができるし、得られる複合体の強度を確実に高めることができる。
前項[3]では、熱間押出加工、熱間圧延加工、ホットプレス及び放電プラズマ焼結からなる群より選択される少なくとも一つの方法(手段)で焼結素材を仮焼結することにより、焼結素材を確実に仮焼結することができる。
さらに、仮焼結体を熱間鍛造加工により本焼結することにより、複合体を任意の形状に容易に成形することができる。
前項[4]では、仮焼結体を熱間密閉鍛造加工により本焼結することにより、複合体の歩留まり率を高めることができる。
前項[5]では、仮焼結体への鍛造方向を仮焼結体中の炭素粒子の配向方向に設定して仮焼結体を本焼結することにより、アルミニウムと炭素粒子との複合化を確実に促進することができるし、物性について低い配向性を有する複合体を確実に得ることができる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るアルミニウムと炭素粒子との複合体の焼結素材の一例を示す斜視図である。 図1Bは、図1A中のX1部分の拡大図である。 図2Aは、本発明のもう一つの実施形態に係るアルミニウムと炭素粒子との複合体の焼結素材のもう一つの例を示す斜視図である。 図2Bは、図2A中のX2部分の拡大図である。 図3は、焼結素材を熱間押出加工により仮焼結する途中の側面図である。 図4は、図3で得られた仮焼結体を切断する途中の斜視図である。 図5は、図4で得られた切断仮焼結体を熱間密閉鍛造加工により本焼結する途中の断面図である。 図6は、図5で得られた複合体の拡大断面図である。 図7は、焼結素材を熱間圧延加工により仮焼結する途中の斜視図である。 図8は、図7で得られた仮焼結体を切断する途中の斜視図である。 図9は、図8で得られた切断仮焼結体を熱間密閉鍛造加工により本焼結する途中の断面図である。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
本発明の一実施形態に係るアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法は、焼結素材を仮焼結して仮焼結体を得る工程と、仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する工程と、を備えている。
まず、仮焼結体を得る工程について以下に説明する。
焼結素材5はアルミニウムと炭素粒子を含んでいる。焼結素材5はアルミニウムと炭素粒子とを含んでいるものであればその種類に限定されるものではなく、特に、図1A及び1Bに示すように長尺なアルミニウム箔1上に炭素粒子層2が塗工されてなる長尺な塗工箔3がロール状に巻かれて形成されたプリフォーム5A(これを説明の便宜上「ロール型プリフォーム5A」という)、図2A及び2Bに示すようにアルミニウム箔1上に炭素粒子層2が塗工されてなる塗工箔3が複数積層されて形成されたプリフォーム5B(これを説明の便宜上「積層型プリフォーム5B」という)、又は、図示していないがアルミニウム粉末と炭素粉末とを混合状態に含む焼結素材(これを説明の便宜上「粉末混合型焼結素材」という)であることが望ましい。
アルミニウム粉末と炭素粉末とを混合状態に含む焼結素材は、アルミニウム粉末と炭素粉末とが混合された状態で所定形状に形成されたプリフォーム(これを説明の便宜上「粉末混合型プリフォーム」という)を含む。
さらに、焼結素材5はその他の形態のものであっても良い。
炭素粒子2aの種類は限定されるものではなく、特に、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、天然黒鉛粉末及び人造黒鉛粉末からなる群より選択される1種の炭素粒子又は2種以上の混合炭素粒子であることが望ましく、更に、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び天然黒鉛粉末からなる群より選択される1種の炭素粒子又は2種以上の混合炭素粒子であることが望ましい。その理由は、アルミニウムと炭素粒子との複合化を確実に行えるし、高い熱伝導率を有する複合体を確実に得られるからである。
炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが用いられる。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標))などが用いられる。
グラフェンとしては、単層グラフェン、多層グラフェンなどが用いられる。
天然黒鉛粉末としては、鱗片状黒鉛粉末(例:高熱伝導性鱗片状黒鉛粉末)などが用いられる。
人造黒鉛粉末としては、等方性黒鉛粉末、異方性黒鉛粉末、熱分解黒鉛粉末などが用いられる。
炭素粒子2aの大きさは限定されるものではない。炭素粒子2aが炭素繊維である場合、平均繊維長さが10μm〜2mmの短炭素繊維が特に好適に用いられる。炭素粒子2aがカーボンナノチューブである場合、平均長さが1μm〜10μmのカーボンナノチューブが特に好適に用いられる。炭素粒子2aが天然黒鉛粉末及び人造黒鉛粉末である場合、平均粒子径が10μm〜3mmの天然黒鉛粉末及び人造黒鉛粉末が特に好適に用いられる。
アルミニウムの種類は限定されるものではなく、特に、純アルミニウム系合金(A1000系合金)や純度3N以上の高純度アルミニウムであることが、熱間塑性加工を容易に行える点で望ましい。特に望ましいアルミニウムは高純度アルミニウムである。
図1Aに示したロール型プリフォーム5A、及び、図2Aに示した積層型プリフォーム5Bでは、それぞれ、炭素粒子2aとして例えば炭素繊維(詳述すると短炭素繊維)が用いられている。
焼結素材5を仮焼結する方法(手段)は焼結素材5を仮焼結可能な方法(手段)であれば限定されるものではなく、特に、熱間押出加工、熱間圧延加工、ホットプレス及び放電プラズマ焼結からなる群より選択される少なくとも一つの熱間塑性加工方法(熱間塑性加工手段)であることが望ましい。その理由は、焼結素材5を確実に仮焼結し得るからである。
焼結素材5を熱間押出加工により仮焼結する場合における、焼結素材5の望ましい仮焼結方法は次のとおりである。
焼結素材5としての図1Aに示したロール型プリフォーム5Aを押出ビレット(押出素材)として用い、これを図3に示すように熱間押出加工装置(詳述すると熱間前方押出加工装置)10により熱間押出加工することにより、同プリフォーム5Aを棒状に仮焼結し、これにより棒状の仮焼結体7Aを得る。この仮焼結体7Aの横断面形状は限定されるものではなく、例えば円形状である。
プリフォーム5Aに含まれる炭素粒子2aが炭素繊維である場合、当該プリフォーム5Aを熱間押出加工することで得られる仮焼結体7Aに含まれる炭素繊維の繊維方向は、押出方向Bに配向する。したがって、仮焼結体7A中の炭素粒子(炭素繊維)2aの配向方向Aは仮焼結体7Aの長さ方向(即ち押出方向B)となる。
プリフォーム5Aを熱間押出加工により仮焼結する場合の仮焼結条件(即ち熱間押出加工条件)は限定されるものではなく、特に、押出温度400℃以上550℃未満、押比2以上が好ましい。押比の好ましい上限値は限定されるものではなく通常100である。
焼結素材5として、ロール型プリフォーム5Aの代わりに図2Aに示した積層型プリフォーム5Bや粉末混合型プリフォーム(図示せず)などを用いても良い。
焼結素材5を熱間圧延加工により仮焼結する場合における、焼結素材5の望ましい仮焼結法は次のとおりである。
焼結素材5としての図2Aに示した積層型プリフォーム5Bを、図7に示すように一対の圧延ローラ12a、12aを備えた熱間圧延加工装置12により、例えば両圧延ローラ12a、12aからプリフォーム5Bにその積層方向の圧縮力を加えるように熱間圧延加工することにより、同プリフォーム5Bを板状に仮焼結し、これにより板状の仮焼結体7Bを得る。図7中の符号「C」は、プリフォーム5Bの圧延方向を示している。この圧延方向Cは仮焼結体7Bの長さ方向と一致している。
プリフォーム5Bを熱間圧延加工により仮焼結する場合の仮焼結条件(即ち熱間圧延加工条件)は限定されるものではなく、特に、熱間圧延温度400℃以上550℃未満、圧下率30%以上が好ましい。圧下率の好ましい上限値は限定されるものではなく通常90%である。
焼結素材5として、積層型プリフォーム5Bの代わりに図1Aに示したロール型プリフォーム5Aや粉末混合型プリフォーム(図示せず)などを用いても良い。
焼結素材5をホットプレス法により仮焼結する場合の仮焼結条件(即ちホットプレス条件)は限定されるものではなく、特に、焼結温度200℃以上550℃未満、加圧力2MPa以上30MPa以下が好ましい。この場合、焼結素材5として、図1Aに示したロール型プリフォーム5Aを用いても良いし、図2Aに示した積層型プリフォーム5Bを用いても良いし、粉末混合型焼結素材(粉末混合型プリフォームを含む)(図示せず)などを用いても良い。
焼結素材5を放電プラズマ焼結法により仮焼結する場合の仮焼結条件(即ち放電プラズマ焼結条件)は限定されるものではなく、特に、焼結温度200℃以上550℃未満、加圧力2MPa以上30MPa以下が好ましい。この場合、焼結素材5として、図1Aに示したロール型プリフォーム5Aを用いても良いし、図2Aに示した積層型プリフォーム5Bを用いても良いし、粉末混合型焼結素材(粉末混合型プリフォームを含む)(図示せず)などを用いても良い。
次に、本焼結する工程について以下に説明する。
仮焼結体7(7A、7B)を本焼結するための熱間塑性加工は仮焼結体7を本焼結可能な方法(手段)であれば限定されるものではなく、特に、熱間押出加工、熱間圧延加工及び熱間鍛造加工からなる群より選択される少なくとも一つの熱間塑性加工方法(熱間塑性加工手段)であることが望ましい。その理由は、仮焼結体7への塑性加工率を容易に高めることができるからである。
特に、熱間塑性加工は熱間鍛造加工であることが望ましい。その理由は、複合体9を任意の形状に容易に成形することができ、したがって複合体9を目的の製品形状に容易に成形することができるからである。さらに、熱間鍛造加工は熱間密閉鍛造加工であることが望ましい。その理由は、複合体9の歩留まり率を確実に高めることができるからである。
仮焼結体7を熱間密閉鍛造加工により本焼結する場合における、仮焼結体7の望ましい本焼結方法は次のとおりである。
仮焼結体7が図3に示すように焼結素材5(詳述するとロール型プリフォーム5A)を熱間押出加工することにより得られた棒状の仮焼結体7Aである場合には、例えば、図4に示すように棒状の仮焼結体7Aを必要に応じて所定厚さにスライス状に切断(詳述すると剪断)し、これにより仮焼結体7Aから鍛造素材としての円板状乃至円柱状の切断仮焼結体7Aaを切り出す。仮焼結体7Aの切断方向は、一般に、仮焼結体7Aの長さ方向に対して交差する方向に設定される。
そして、図5に示すように、切断仮焼結体7Aaを熱間密閉鍛造加工装置15により切断仮焼結体7Aaが目的の製品形状に塑性加工されるように且つ切断仮焼結体7Aaが本焼結されるように熱間塑性加工(詳述すると熱間密閉鍛造加工)することにより、切断仮焼結体7Aaを本焼結する。その結果、図6に示すように目的の製品形状の複合体9が得られる。
同図に示すように、得られた複合体9は、基地(マトリックス)としてのアルミニウム1a中に強化材としての炭素粒子2aが分散した状態になっており、したがって、複合体9は詳述すると炭素粒子強化アルミニウム基複合体又は炭素粒子強化アルミニウム基複合材料であり、特に炭素粒子2aが炭素繊維である場合は、複合体9は詳述すると炭素繊維強化アルミニウム基複合体又は炭素繊維強化アルミニウム基複合材料である。
複合体9中の炭素粒子2aの方向(例:炭素繊維の繊維方向)は、本焼結する工程で切断仮焼結体7Aaが熱間塑性加工されることによって乱雑に乱れている。したがって、複合体9中の炭素粒子2aの配向度は低くなっている。
仮焼結体7が図7に示すように焼結素材5(詳述すると積層型プリフォーム5B)を熱間圧延加工することにより得られた板状の仮焼結体7Bである場合には、例えば、図8に示すように板状の仮焼結体7Bを必要に応じて所定厚さにスライス状に切断(詳述すると剪断)し、これにより仮焼結体7Bから鍛造素材としての切断仮焼結体7Baを切り出す。仮焼結体7Bの切断方向は、一般に、仮焼結体7Bの長さ方向(即ちプリフォーム5Bの圧延方向C)に対して交差する方向に設定される。
そして、図9に示すように、切断仮焼結体7Baを熱間密閉鍛造加工装置15により切断仮焼結体7Baが目的の製品形状に塑性加工されるように且つ切断仮焼結体7Baが本焼結されるように熱間塑性加工(詳述すると熱間密閉鍛造加工)することにより、切断仮焼結体7Baを本焼結する。その結果、図6に示すように目的の製品形状の複合体9が得られる。
前述の熱間密閉鍛造加工装置15は、図5及び9に示すように、成形キャビティ16aを有する雌型16と、成形キャビティ16aに対応する雄型(例:押圧パンチ)17とを備えている。切断仮焼結体7a(7Aa、7Ba)が鍛造加工される際には、切断仮焼結体7aは雌型16の成形キャビティ16a内に配置される。そして、切断仮焼結体7aが所定の鍛造加工温度に加熱された状態で雄型17により所定の鍛造方向Fに加圧されることにより、切断仮焼結体7aが雄型17で密閉された成形キャビティ16a内にて熱間密閉鍛造加工され、これにより、密閉された成形キャビティ16aの形状に対応した形状の複合体9が成形される。
切断仮焼結体7aを熱間塑性加工により本焼結する場合の塑性加工率は限定されるものではなく、特に30%以上であることが望ましい。その理由は、切断仮焼結体7aを確実に十分に本焼結することができるし、得られる複合体9の強度を確実に高めることができるからである。更に望ましい塑性加工率は50%以上である。望ましい塑性加工率の上限値は限定されるものではなく、通常90%である。
切断仮焼結体7aを熱間塑性加工により本焼結する場合の塑性加工温度は限定されるものではなく、特に550℃以上であることが望ましい。その理由は、切断仮焼結体7aを確実に容易に塑性加工することができるし、切断仮焼結体7aを確実に十分に本焼結することができるからである。更に望ましい塑性加工温度は600℃以上である。望ましい塑性加工温度の上限値は限定されるものではなく、通常640℃である。
切断仮焼結体7aが切断仮焼結体7aに含まれる炭素粒子2aが配向しているものである場合、すなわち切断仮焼結体7aは炭素粒子2aが配向した状態に炭素粒子2aを含んでいるものである場合、切断仮焼結体7aへの鍛造方向Fを切断仮焼結体7a中の炭素粒子2aの配向方向Aに設定して切断仮焼結体7aを熱間鍛造加工又は熱間密閉鍛造加工により本焼結することが望ましい。その理由は、アルミニウム1aと炭素粒子2aとの複合化を確実に促進することができるし、切断仮焼結体7a中の炭素粒子2aの配向方向Aが乱されることで物性(例:熱伝導率、線膨張係数、機械的強度)について低い配向性を有する複合体9を確実に得ることができるからである。
切断仮焼結体7a中の炭素粒子2aの配向方向Aに対する鍛造方向Fのなす角度は小さい方が望ましく、特に45°以下に設定されることが望ましく、更に30°以下に設定されることが非常に望ましい。
本実施形態のアルミニウム1aと炭素粒子2aとの複合体9の製造方法によれば、複合体9を製造するために、焼結素材5を仮焼結して得られた仮焼結体7(切断仮焼結体7a)を熱間塑性加工により本焼結するので、タクトタイムを短くすることができる。これにより、低コストで複合体9を製造することができる。
製造された複合体9は炭素粒子2aを含んでいるので高い熱伝導特性(即ち高い熱伝導率)と高い強度を有している。したがって、複合体9は、電子素子等の発熱性素子が搭載される絶縁基板(例:パワーモジュール用基板)を構成する複数の構成層のうち少なくとも一つの構成層(例:配線層、応力緩衝層)又はその材料として特に好適に用いられる。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
また本発明は、上記実施形態に開示された技術事項が二つ以上組み合わされて構成されていても良い。
以下に本発明の具体的実施例及び比較例を示す。ただし本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
長尺なアルミニウム箔1の片面上に炭素粒子層としての炭素繊維層2を塗工することにより長尺な塗工箔3を得た。アルミニウム箔1の厚さは20μmであり、アルミニウム箔1の材質は純度3Nの高純度アルミニウムであった。炭素繊維層2に含まれる炭素粒子としての炭素繊維2aはピッチ系炭素繊維(詳述するとピッチ系短炭素繊維)であり、炭素繊維層2に含まれる炭素繊維2aの塗工量は20g/mであった。
次いで、長尺な塗工箔3をロール状に巻くことにより押出ビレット状のロール型プリフォーム5Aを形成した。そして、プリフォーム5Aを押出ビレットとして熱間押出加工装置10によりプリフォーム5Aの軸方向に熱間押出加工することにより横断面円形の棒状の仮焼結体7Aを得た。この熱間押出加工に適用した押出加工温度は500℃、押比は10であった。
次いで、仮焼結体7Aをその長さ方向に対して直交する方向にシャー刃により所定厚さにスライス状に剪断することにより、塑性素材としての円板状の切断仮焼結体7Aaを仮焼結体7Aから切り出した。切断仮焼結体7Aaの厚さは2mmであり、切断仮焼結体7Aa中の炭素繊維2aの配向方向Aは切断仮焼結体7Aaの厚さ方向と一致していた。
次いで、切断仮焼結体7Aaへの鍛造方向Fを切断仮焼結体7Aa中の炭素繊維2aの配向方向A(即ち切断仮焼結体7Aaの厚さ方向)と平行に設定して切断仮焼結体7Aaをその厚さが2mmから1mmに減少するように熱間密閉鍛造加工により本焼結し、これにより、アルミニウム1aと炭素繊維2aとの複合体9を得た。この熱間密閉鍛造加工に適用した鍛造加工温度は600℃であった。また、切断仮焼結体7Aaの厚さが2mm(初期厚さ)から1mm(加工後厚さ)に減少するように切断仮焼結体7Aaが熱間密閉鍛造加工されたことから、切断仮焼結体7Aaの塑性加工率は{(「初期厚さ」−「加工後厚さ」)/「初期厚さ」}×100%={(2mm−1mm)/2mm}×100%=50%であった。
得られた複合体9は良好な熱伝導特性と高い強度を有していた。
<実施例2>
アルミニウム粉末と鱗片状黒鉛粉末とが混合された混合粉末からなる粉末混合型焼結素材を準備した。この焼結素材に対する鱗片状黒鉛粉末の配合率は15体積%であった。そして、この焼結素材を放電プラズマ焼結法により仮焼結することにより仮焼結体を得た。この放電プラズマ焼結法に適用した仮焼結温度は400℃、焼結素材への加圧力は20MPaであった。
次いで、仮焼結体を所定厚さに切断することにより、塑性素材としての円板状の切断仮焼結体を仮焼結体から切り出した。切断仮焼結体の厚さは2mmであり、切断仮焼結体中の鱗片状黒鉛粒子の配向方向は切断仮焼結体の厚さ方向と一致していた。
次いで、切断仮焼結体への鍛造方向を切断仮焼結体中の鱗片状黒鉛粒子の配向方向(即ち切断仮焼結体の厚さ方向)と平行に設定して切断仮焼結体をその厚さが2mmから1mmに減少するように熱間密閉鍛造加工により本焼結し、これにより、アルミニウムと鱗片状黒鉛粒子との複合体を得た。この熱間密閉鍛造加工に適用した鍛造加工温度は600℃であった。また、切断仮焼結体の厚さが2mm(初期厚さ)から1mm(加工後厚さ)に減少するように切断仮焼結体が熱間密閉鍛造加工されたことから、切断仮焼結体の塑性加工率は{(2mm−1mm)/2mm}×100%=50%であった。
得られた複合体は良好な熱伝導特性と高い強度を有していた。
<比較例>
上記実施例1の切断仮焼結体と同じ切断仮焼結体を準備した。そして、切断仮焼結体をホットプレス法により切断仮焼結体が塑性加工されないように加熱し、これにより、アルミニウムと炭素繊維との複合体を得た。この際に適用した切断仮焼結体への加熱温度は600℃、加熱時間は1minであった。
得られた複合体は十分に焼結されておらず、僅かな応力で破壊した。
本発明は、アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法に利用可能である。
1:アルミニウム箔
1a:アルミニウム
2:炭素粒子層
2a:炭素粒子
3:塗工箔
5:焼結素材
5A、5B:プリフォーム
7:仮焼結体
7a:切断仮焼結体
9:アルミニウムと炭素粒子との複合体
10:熱間押出加工装置
12:熱間圧延加工装置
15:熱間密閉鍛造加工装置
A:切断仮焼結体中の炭素粒子の配向方向
F:仮焼結体への鍛造方向

Claims (5)

  1. アルミニウムと炭素粒子とを含む焼結素材を仮焼結して仮焼結体を得る工程と、
    前記仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する工程と、を備え
    前記仮焼結体を得る工程では、熱間押出加工、熱間圧延加工、ホットプレス及び放電プラズマ焼結からなる群より選択される少なくとも一つの方法により前記焼結素材を仮焼結し、
    前記本焼結する工程では、前記仮焼結体を熱間塑性加工としての熱間鍛造加工により本焼結するアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
  2. 前記本焼結する工程では、前記仮焼結体を熱間塑性加工としての熱間密閉鍛造加工により本焼結する請求項1記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
  3. アルミニウムと炭素粒子とを含む焼結素材を仮焼結して仮焼結体を得る工程と、
    前記仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する工程と、を備え
    前記本焼結する工程では、前記仮焼結体を熱間塑性加工としての熱間密閉鍛造加工により本焼結するアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
  4. 前記本焼結する工程では、塑性加工率が30%以上になるように前記仮焼結体を熱間塑性加工により本焼結する請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
  5. 前記仮焼結体は、前記仮焼結体中の前記炭素粒子が配向しているものであり、
    前記本焼結する工程では、前記仮焼結体への鍛造方向を前記仮焼結体中の前記炭素粒子の配向方向に設定して前記仮焼結体を本焼結する請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法。
JP2015216501A 2015-11-04 2015-11-04 アルミニウムと炭素粒子との複合体の製造方法 Active JP6559541B2 (ja)

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