JP2014001427A - 焼結部品の製造方法 - Google Patents

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尚樹 八代
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孝洋 奥野
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Abstract

【課題】焼結部品、特に複雑形状の焼結部品を精度良く、しかも安価に製造可能とする。
【解決手段】原料粉4を圧縮成形することで圧粉体11を製作した後、焼結用ダイ23の内周に圧粉体11を隙間嵌めで配置し、両者を非接触の状態に保持したまま一対の焼結用パンチ24,25を介して圧粉体11にパルス通電することにより、隣接する粒子同士が焼結してなる焼結体21を製作する。
【選択図】図4

Description

本発明は、焼結部品の製造方法に関する。
近年、種々の機械製品のコスト低減を主たる目的として、機械製品に組み込まれる機械部品を、いわゆる溶製品から、原料粉の圧粉体を加熱・焼結して得られる焼結品へと置換する試みが推進されている。しかしながら、焼結品は無数の内部空孔を有する多孔質体である関係上、各種強度面においては同種材料で製作した溶製品よりも劣る場合が多い。そのため、比較的高い機械的強度や疲労強度が必要とされる用途においても焼結品を使用可能とするには、焼結品を高密度化する、隣接する粉末(粒子)同士を強固に結合させる、などといった対策を施す必要がある。
そこで、放電プラズマ焼結法(パルス通電焼結法やSPS法などとも称される。以下「SPS法」という。)という焼結法が注目され、実用されるに至っている。SPS法は、熱的および機械的エネルギーに加えて、パルス通電による電気エネルギーや、粒子間に発生する放電プラズマエネルギーなどを複合的に焼結の駆動力とした焼結法である。そのため、一般的な外部加熱方式の焼結法に比べ、低温・短時間で高密度・高強度の焼結体を得ることができるという利点がある。
SPS法を採用して焼結部品を製造する際には、例えば下記の特許文献1,2に記載されているように、目的形状(略完成品形状)の圧粉体を成形するのと同時に放電プラズマ焼結(以下、「SPS」という)を施すのが一般的である。具体的に述べると、特許文献1には、成形ダイに投入した原料粉末をパンチで圧縮成形することで圧粉体を製作し、これと同時に、圧粉体にSPSを施すことで目的形状の焼結体を製作する方法が記載されている。また、特許文献2には、特許文献1と同様の方法の他、SPSが可能な焼結金型に原料粉を投入し、投入した原料粉を加圧しながら焼結金型に通電することで緻密な圧粉体を成形するという焼結前処理工程を実行し、その後、圧粉体を別の焼結炉で焼結する焼結工程を実行することで目的形状の焼結体を得る方法が記載されている。
特開平10−17904号公報 特許2001−140003号公報
特許文献1,2に記載された従来方法は、一工程(一の金型)で目的形状の焼結体を得ることができることから、焼結部品を低コストに製造する上で有用な方法であると思われる。しかしながら、例えば歯車(ギヤ)のような複雑形状の機械部品を製造する際に上記方法を適用すると、以下のような問題がある。
まず、特許文献1,2に記載の方法では、目的形状に仕上げられた成形面を有する焼結金型(ダイ及びパンチ)を準備する必要がある。しかし、SPSを実行し得る焼結金型は、黒鉛等の炭素材や超硬材などの難加工かつ高価な高導電性材料で製作する必要があることから、金型製作に多大な手間とコストを要する。しかも、歯車等の機械部品は、多種多様な品種を有する汎用部品である。そのため、多くの焼結金型を準備・保有しておく必要があるため、この点からも金型費用の高騰が避けられない。
また、金型は消耗品である関係上、繰り返しの使用に伴って成形面が劣化、損傷等するのは避けられない事態であるものの、SPSを実行し得る焼結金型は、SPS中における原料粉との反応や融着等により金型成形面の劣化が促進され易い。このような課題に関し、特許文献1には、ダイの成形面及びパンチの成形面(加圧面)の劣化を抑制すべく、ダイの成形面に炭素材からなるスリーブを嵌合すると共に、パンチの加圧面に炭素材からなるプレートを取り付けるという技術手段を採用し得ることが記載されている。しかしながら、複雑形状の焼結部品を上記方法で製造する場合には、ダイの成形面に嵌合するスリーブ及びパンチの加圧面に取り付けるプレートの形状も当然に複雑化する。さらに、目的形状の焼結体を得ようとすると、スリーブ及びプレートを高精度に製作すると共に、スリーブをダイの成形面に隙間なく密着させる必要があるが、これらを全て実現するのは容易ではなく、実現するにしても多大な手間とコストを要する。
本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであり、その課題とするところは、焼結部品、特に複雑形状の焼結部品を精度良く、しかも低コストに製造可能とすることにある。
上記の課題を解決するため、原料粉末を圧縮成形することで圧粉体を製作する成形工程と、焼結用ダイの内周に圧粉体を隙間嵌めで配置し、両者を非接触の状態に保持したまま一対の焼結用パンチを介して圧粉体にパルス通電することにより、焼結体を製作する焼結工程と、を有する焼結部品の製造方法を提供する。
上記のように、本発明では、圧粉体を製作するための成形工程を、焼結工程とは別に設けた。この場合、成形工程で用いる成形金型は、放電プラズマ焼結(SPS)用の焼結金型のように材料の制約はなく、安価かつ加工性に富む材料で製作することが可能である。しかも、成形金型の成形面の劣化速度は、焼結金型のそれよりも格段に緩やかである。そのため、特に複雑形状を呈する焼結部品を製造する際にも、目的形状を容易に、しかも低コストに得ることができる。
これに加え、本発明では、焼結工程において、焼結用ダイの内周に圧粉体を隙間嵌めで配置し、両者を非接触の状態に保持したまま一対の焼結用パンチを介して圧粉体にパルス通電することで焼結体を製作するようにした。これは、目的形状を得ることができる成形工程を焼結工程とは別に設けた本発明の構成上、内壁面が目的形状に形成された焼結用ダイを用いずとも、一対の焼結用パンチを介して圧粉体に適切にパルス通電することができれば、所望の密度及び強度を有する焼結体を得ることができるという本願発明者らの知見に基づく。つまりこの場合、焼結用ダイの内壁面や焼結用パンチの加圧面が目的形状に形成された焼結金型を準備・保有する必要はなく、焼結用ダイとしては、その内壁面(圧粉体を収容するための孔部)が様々な形状の圧粉体を収容することが可能な断面形状に形成されたものを、また焼結用パンチとしては、加圧面が様々な形状の圧粉体の端面全域を覆うことが可能な単純形状に形成されたものを用いることができる。従って、数多くの焼結金型を準備・保有しておく必要がなく、焼結金型費を大幅に抑制することができる。しかも上記方法によれば、焼結用ダイの内壁面に原料粉(圧粉体)を密着させた状態でSPSを施す従来方法に比べ、焼結用ダイの内壁面の劣化や損傷を抑制することができる。そのため、焼結用ダイの長寿命化を図り、この点からも焼結金型の費用を抑制することができる。
本発明では、目的形状の焼結体を少なくとも上記二工程を経て製作するようにしたことから、目的形状の焼結体を一工程で製作可能な従来方法と比較すると、製造コストが増大するとも考えられる。しかしながら、上述した焼結金型の費用低減効果が、成形工程(成形金型)と焼結工程(焼結金型)とを個別に設けることによる費用増大分を大幅に上回る。そのため、全体で見ると、焼結部品、特に複雑形状の焼結部品を精度良く、しかも低コストに製造することができる。
なお、SPSは、真空中で実行するのが一般的であるが、不活性ガス雰囲気下で実行することも可能である。不活性ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の群から選択される一種、又はこれらの混合ガスを使用可能である。
圧粉体にパルス通電する際、圧粉体を30MPa未満の加圧力で軸方向両側から加圧するのが望ましい。形状に崩れが生じるのを可及的に防止しつつ、隣接する粉末(粒子)同士を適当に焼結させ、高精度・高強度の焼結体、ひいては焼結部品を得るためである。なお、圧粉体の形状に崩れが生じるのを効果的に防止すると共に、焼結(加熱及び加熱後の冷却)に伴う収縮量を抑える観点から言えば、上記加圧力はできるだけ小さくするのが望ましく、具体的には1MPa未満とするのが一層望ましい。SPSを施す対象物が圧粉体とされる本発明の構成上、焼結用パンチは、圧粉体に適当にパルス通電できる程度に圧粉体に接触していれば足りるので、上記加圧力を1MPa未満としても必要とされる粒子間の結合力(焼結体の強度)は問題なく確保することができる。
焼結工程において、焼結用ダイと圧粉体との間(の径方向隙間)には、原料粉とは異なる種類の粉末(以下、「異種粉末」という)を層状に介在させることができる。例えば、異種粉末を、原料粉よりも難焼結性の粉末とすれば、焼結用ダイの劣化・損傷を一層効果的に防止することができる他、圧粉体を均一に加熱することが、また圧粉体を保温することが可能となって密度や強度のバラツキが少ない高精度の焼結体、ひいては焼結部品を得ることが可能となる。また、異種粉末を炭素系粉末とすれば、原料粉よりも難焼結性の粉末を使用する場合と同様の作用効果が得られることに加え、表層部(厳密には、表層部の外周領域)にいわゆる浸炭層が形成され、一層の高強度化が図られた焼結部品を得ることも可能となる。
異種粉末としては、平均粒径が100μm以下のものを選択使用するのが望ましく、平均粒径が10μm以下のものを選択使用するのが一層望ましい。径方向隙間に対する異種粉末の充填性を高め、上述した作用効果を有効に享受するためである。
また、圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に炭素系材料からなる層状物を介在させた状態で、圧粉体にパルス通電するようにしても良い。このようにすれば、焼結用パンチの加圧面の劣化・損傷を効果的に抑制することが、また、表層部(厳密には、表層部の端面領域)に浸炭層が形成された高強度の焼結体を得ることが可能となる。上記の層状物としては、例えば予めシート状に形成されたもの(カーボンシート)を使用することができる。なお、焼結用ダイと圧粉体との間に異種粉末を層状に介在させた場合には、上記層状物を無数の炭素系粉末で構成することができる。層状物を無数の炭素系粉末で構成する場合、炭素系粉末としては、焼結用ダイと圧粉体との間に層状に介在させる異種粉末と同様に、平均粒径が100μm以下のものを使用するのが望ましく、平均粒径が10μm以下のものを使用するのが一層望ましい。
以上の構成において、圧粉体は、成形用ダイの内周(キャビティ)に充填した原料粉を一対の成形用パンチで軸方向両側から圧縮する、いわゆる一軸加圧法で製作するのが望ましい。圧粉体は、一軸加圧法以外の加圧法、例えばCIP(冷間等方圧加圧)やHIP(熱間等方圧加圧)などの等方圧加圧法で製作することも可能ではあるが、等方圧加圧法は、これを実行するための装置が大掛かりになること、原料粉(圧粉体)の表面を被覆する被膜の形成処理及び圧粉体製作後の被膜除去処理が必要なこと、などから圧粉体の製作コストが大幅に増大するからである。
成形工程と焼結工程との間には、圧粉体を加熱することにより、圧粉体よりも強度が高くかつ焼結体よりも強度が低い仮焼結体を製作する熱処理工程を設けることもできる。このようにすれば、高密度・高強度の焼結体、ひいては焼結部品を得る上で有利となる。熱処理工程における圧粉体の加熱温度は、原料粉の焼結温度未満としても良いし、焼結温度以上としても良い。因みに、このような熱処理工程を設けた場合には、焼結用パンチを介してパルス通電する対象物は仮焼結体となる。
圧粉体、仮焼結体又は焼結体の形状を整えるための仕上げ加工を実行する仕上げ工程をさらに設けることもできる。仕上げ加工の加工法に特段の限定はなく、機械加工、塑性加工、放電加工、レーザ加工等を、目的形状に応じて一種又は複数種実行することができる。
以上に述べた本発明に係る製造方法は、焼結可能な原料粉を用いて焼結部品を製造する際に適用することができる。焼結可能な原料粉としては、例えば、鉄系金属や銅系金属等の各種金属粉末、金属粉末と炭素粉末の混合粉末、セラミックス粉末、金属間化合物の粉末などを主体としたものを挙げることができる。
本発明に係る製造方法は以上の特徴を有することから、例えば歯車のように複雑形状を呈する焼結部品(焼結体からなる機械部品)を製造する際に特に有効である。もちろん、カムや軸受等、比較的単純形状の焼結部品を製造する際にも、本発明は好ましく適用することができる。
以上で述べたように、本発明によれば、焼結部品、特に複雑形状の焼結部品を精度良く、しかも安価に量産することができる。
焼結部品の一例を示す正面図である。 本発明の一実施形態を示す工程図である。 成形工程で使用する成形金型の全体構造を模式的に示す断面図である。 (a)図は焼結工程で使用する放電プラズマ焼結装置の全体構造を模式的に示す断面図であり、(b)図は(a)図中のX1−X1線矢視断面図である。 焼結工程の変形例を模式的に示す断面図である。 焼結工程の変形例を模式的に示す断面図である。 焼結工程の変形例を模式的に示す断面図である。 本発明の他の実施形態を示す工程図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係る製造方法を用いて製造された焼結部品Aの一例を示す。同図に示す焼結部品Aは、外周部に歯面(凸部2と凹部3が周方向で交互に設けられた面)を有する歯車(ギヤ)1であり、図示しない軸の外周に固定された状態で機械製品に組み込んで使用される。この焼結部品Aとしての歯車1は、例えば、図2に示すように、成形工程S1と、焼結工程S2と、仕上げ工程S3とを順に経て製造される。以下、各工程について詳述する。
成形工程S1では、図3(a)(b)に模式的に示す成形金型12で原料粉4を圧縮成形することにより、目的形状、すなわち歯車1に概ね対応した略完成品形状の圧粉体11を製作する。
図3(a)(b)に示す成形金型12は、同軸配置されたコア13、ダイ14及び一対のパンチ(上パンチ15及び下パンチ16)を備え、下パンチ16、コア13及びダイ14の間に、原料粉4が充填されるキャビティ17が画成される。詳細な図示は省略するが、ダイ14の内壁面(成形面)、上パンチ15の外径面及び下パンチ16の外径面は、成形すべき歯車1の外周形状に対応した凹凸面に形成されている。そして、原料粉4をキャビティ17に充填した後[図3(a)参照]、上パンチ15及び下パンチ16を相対的に接近移動させることにより、キャビティ17に充填された原料粉4を軸方向に圧縮し、目的形状の圧粉体11を製作する[図3(b)参照]。
原料粉4としては、後述する焼結工程S2で放電プラズマ焼結可能なものである限りにおいて特段の制約なく使用することができる。使用可能な原料粉4としては、例えば、鉄、鉄系合金、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金等の金属粉末、酸化物系セラミックス、炭化物系セラミックス、窒化物系セラミックス等のセラミックス粉末、金属間化合物粉末を挙げることができる。上記の各種粉末は一種のみを使用しても良いし、二種以上を混合したものを使用することもできる。また、原料粉4としては、固体潤滑剤等の各種充填材が混合された混合粉を使用することもできる。
成形工程S1で製作された圧粉体11は焼結工程S2に移送される。この焼結工程S2では、圧粉体11に放電プラズマ焼結(SPS)を施し、焼結体21を製作する。圧粉体11に対するSPSは、図4(a)に示す放電プラズマ焼結装置5を用いて実行される。
放電プラズマ焼結装置5は、焼結金型22と、焼結金型22を収容した真空槽6と、真空槽6内を脱気する真空ポンプPと、上下一対の加圧ラム7,7と、圧粉体11の径方向の位置決めを行う(圧粉体11の径方向移動を規制する)位置決めピン8と、電源9と、加圧ラム7,7を昇降移動させる図示しない駆動機構などを主要部として構成される。
焼結金型22は、同軸配置された焼結用ダイ23、焼結用上パンチ24及び焼結用上パンチ25を備え、これらダイ23、上パンチ24及び下パンチ25は、何れも、高導電性材料、例えば超硬金属、超硬合金、炭素系材料(例えば、黒鉛)などで形成される。ダイ23には、圧粉体11を収容するための孔部23aが設けられる。図4(b)に示すように、孔部23aの断面形状(軸直交断面形状)は、圧粉体11の断面形状とは異なっており、ここでは真円状に形成されている。断面真円状を呈する孔部23aの直径寸法は、孔部23aの内周に圧粉体11を隙間嵌めにて配置可能で、かつSPSの実行中(圧粉体11に軸方向両側から加圧力が付与されている状態)においても圧粉体11とダイ23の非接触状態が維持されるように、圧粉体11の最大外径よりも十分に大きく設定される。なお、ダイ23としては、孔部23aが断面楕円状、矩形状、多角形状などに形成されたものを用いることも可能である。
上パンチ24及び下パンチ25は、それぞれ、ダイ23の内周(孔部23a)に配置された圧粉体11を軸方向に加圧するための加圧面24a,25aを有する。詳細な図示は省略するが、加圧面24a,25aは、ダイ23の孔部23aに挿入可能な真円状に形成され、かつその直径寸法は、圧粉体11の最大外径よりも十分に大きく設定される。上パンチ24及び下パンチ25は、上側及び下側の加圧ラム7,7の先端部にそれぞれ固定されており、加圧ラム7,7に設けられた図示しない給電端子により電源9と電気的に接続される。
以上の構成において、真空槽6内に収容された焼結用ダイ23の孔部23a内周に、SPSの処理対象物である圧粉体11を隙間嵌めで配置し(ここでは、圧粉体11を位置決めピン8に外嵌すると、焼結用ダイ23の内周に圧粉体11が隙間嵌めされる)、その後、真空ポンプPにより真空槽6内を脱気して真空槽6内を真空状態とする。併せて、図示しない駆動機構を作動させることで、上下一対の加圧ラム7,8に固定された上下パンチ24,25を互いに接近移動させ、圧粉体11を軸方向両側から加圧する。このときの加圧力は30MPa未満に設定するのが望ましい。圧粉体11の形状に崩れが生じるのを可及的に防止しつつ、隣接する粉末(粒子)間に強固なネッキング構造を形成し、高精度・高強度の焼結体21、ひいては焼結部品A(歯車1)を得るためである。なお、圧粉体11を軸方向両側から加圧するのに伴って圧粉体11の形状に崩れが生じるのをより効果的に防止すると共に、焼結(加熱冷却)に伴う収縮量を抑えるため、上記加圧力は、上下パンチ24,25と焼結体11の接触状態が適切に維持される範囲でできるだけ小さくするのが望ましく、例えば1MPa未満とするのが一層好ましい。
上記のように、圧粉体11を軸方向両側から加圧した状態(圧粉体11の上端面及び下端面に上パンチ24及び下パンチ25をそれぞれ当接させた状態)で、上下パンチ24,25を介して圧粉体11にパルス通電し、圧粉体11を原料粉4の焼結温度以上に加熱する。これにより、隣接する粒子同士が焼結してなる焼結体21が得られる。
なお、真空槽6内に不活性ガス、例えばアルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の群から選択される一種、又はこれらの混合ガスを充填した状態で、圧粉体11にパルス通電するようにしても良い。すなわち、圧粉体11に施すべき放電プラズマ焼結は、真空下のみならず、不活性ガス雰囲気下で実行するようにしても構わない。
また、上記構成の放電プラズマ焼結装置5において、圧粉体11の径方向の位置決めを行うための位置決めピン8は省略しても構わない。すなわち、放電プラズマ焼結の実行中に、圧粉体11と、焼結金型22のダイ23とを非接触の状態に保持することができれば、位置決めピン8を具備しない放電プラズマ焼結装置5(位置決めピン8が挿通される孔部を有しない上下パンチ24,25を構成部材とした焼結金型22)を用いて圧粉体11に放電プラズマ焼結を施すようにしても良い。
焼結工程S2を経て製作された焼結体21は、仕上げ工程S3に移送される。仕上げ工程S3では、焼結体21に対し、切削や旋削等の機械加工、サイジングや転造等の塑性加工、放電加工、レーザ加工、各種ピーニング加工等が一種又は二種以上施され、完成品としての歯車1に仕上げられる。この仕上げ工程S3は必要に応じて設ければ足り、必ずしも設ける必要はない。また、この仕上げ工程S3は、成形工程S1と焼結工程S2との間に設けることもできる。
以上で説明したように、本発明では、圧粉体11を製作するための成形工程S1を、焼結工程S2とは別に設けた。この場合、原料粉4を圧縮成形するために用いる金型、すなわち成形工程S1で使用する成形金型12は、焼結工程S2で使用する焼結金型22のように材料の制約はなく、安価で、しかも加工性に富む材料で製作することが可能である。そのため、歯車1のように比較的複雑な形状を呈する焼結部品Aを製造・量産する際にも、目的形状を容易かつ低コストに得ることができる。
また、本実施形態では、成形用ダイ14の内周に充填した原料粉4を一対の上下パンチ15,16で軸方向両側から圧縮する、いわゆる一軸加圧法で圧粉体11を圧縮成形したので、圧粉体11を低コストに製作することができる。すなわち、圧粉体11は、一軸加圧法以外の加圧法、例えばCIPやHIPなどの等方圧加圧法で製作することも可能ではあるが、等方圧加圧法は、これを実行するための装置が大掛かりになること、原料粉4(圧粉体11)の表面を被覆する被膜の形成処理及び圧粉体11製作後の被膜除去処理が必要なこと、などから圧粉体11の製作コストが大幅に増大する。
これに加え、本発明では、焼結工程S2において、焼結用ダイ23の孔部23aの内周に圧粉体11を隙間嵌めで配置し、両者を非接触の状態に保持したまま一対の焼結用上下パンチ24,25を介して圧粉体11にパルス通電することで焼結体21を製作するようにした。これは、目的形状を得ることができる成形工程S1を焼結工程S2の前に別途設けた本発明の構成上、内壁面が目的形状に形成された焼結用ダイ23を用いずとも、一対の焼結用上下パンチ24,25を介して圧粉体11に適切にパルス通電することができさえすれば、所望の密度及び強度を有する焼結体21を得ることができるという本願発明者らの知見に基づく。つまりこの場合、焼結用ダイ23の内壁面や焼結用パンチ24,25の加圧面24a,25aが目的形状に形成された焼結金型22を準備・保有する必要はない。実際に、本実施形態では、焼結用ダイ23として、内周に様々な形状の圧粉体11を収容することが可能な単純形状(断面真円状)の孔部23aを有するものを使用し、また焼結用パンチ24,25として、加圧面24a,25aが様々な形状の圧粉体11の端面全域を覆うことが可能な単純形状(真円状)のものを使用している。従って、数多くの焼結金型22を準備・保有しておく必要がなく、SPS用の焼結金型22に要する費用を大幅に抑制することができる。しかも上記方法によれば、焼結用ダイの内壁面に原料粉(圧粉体)を密着させた状態でSPSを施す従来方法に比べ、焼結用ダイ23の内壁面の劣化や損傷を抑制することができるので、焼結用ダイ23の長寿命化を図り、この点からも焼結金型22の費用を抑制することができる。
本発明では、目的形状の焼結体21を少なくとも成形工程S1と焼結工程S2の二工程を経て製作するようにしたことから、目的形状の焼結体を一工程で製作する従来方法と比較すると、製造コストが増大するとも考えられる。しかしながら、上述した焼結金型22の費用低減効果が、成形工程S1(成形金型12)と焼結工程S2(焼結金型22)とを個別に設けることによる費用増大分を大幅に上回る。そのため、全体で見ると、図1に示す歯車1のように複雑形状を呈する焼結部品Aを、精度良くしかも低コストに製造することができる。
以上、本発明に係る焼結部品の製造方法の一実施形態について説明を行ったが、本発明はこれに限定されることなく、種々の変更を施すことが可能である。
例えば、焼結工程S2では、図5に示すように、焼結用ダイ23と、その内周に隙間嵌めで配置される圧粉体11との間の径方向隙間26に、圧粉体11を構成する原料粉4とは異なる種類の異種粉末27を層状に介在させ、その状態で圧粉体11にパルス通電する(圧粉体11にSPSを施す)こともできる。
径方向隙間26に層状に介在させる異種粉末27は、種々のものを使用することができる。例えば、異種粉末27として、原料粉4よりも放電プラズマ焼結され難い難焼結性の粉末を使用することができる。この場合、焼結用ダイ23の劣化・損傷を一層効果的に防止することができる他、圧粉体11の均一加熱及び保温を実行することが可能となり、密度や強度のバラツキが少ない緻密な焼結体21を得ることが可能となる。
また、異種粉末27は、炭素系粉末とすることもできる。この場合、原料粉4よりも難焼結性の異種粉末27を使用する場合と同様の作用効果が得られることに加え、外周表層部に浸炭層が形成され、一層の高強度化が図られた焼結体21、ひいては焼結部品Aとしての歯車1を得ることが可能となる。異種粉末27としての炭素系粉末としては、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、熱分解黒鉛、膨張化黒鉛、球状黒鉛、土状黒鉛等の各種黒鉛粉末、カーボンブラック、ケッチェンブラック等の各種活性炭素粉末、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等の各種ナノカーボン粉末、ボロンカーバイド、シリコンカーバイド、カルシウムカーバイド、タングステンカーバイド、モリブデンカーバイド、タンタルカーバイド、チタンカーバイド、ジルコニウムカーバイド、ニオブカーバイド、バナジウムカーバイド、ハフニウムカーバイド、クロムカーバイド等の各種カーバイド粉末が使用可能である。異種粉末27としての炭素系粉末は、以上で例示したものの中から一種のみを選択使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
また、異種粉末27としては、上述したような難焼結性粉末や炭素系粉末以外のものを使用することもできる。例えば、異種粉末27として窒化ホウ素粉末を使用すれば、焼結体21(焼結部品Aとしての歯車1)の表層部にホウ素を浸入させ、焼結体21の表面を簡便に改質することができる。因みに、原料粉4として、例えば鉄(鉄系合金)粉末を用いて製作した焼結体21の表層部にホウ素が浸入すると、硬度、酸に対する耐食性および耐摩耗性の向上、さらには摩擦係数低減等が達成される。
このように、焼結用ダイ23と圧粉体11との間の径方向隙間26に異種粉末27を層状に介在させる場合、SPSの実行前に、径方向隙間26に異種粉末27を充填すると共に、SPSの実行後、異種粉末27を径方向隙間26から取り出すという作業を追加的に実行する必要が生じるが、粉末は流動性に富むことから上記作業は迅速かつ簡便に行い得る。従って、上記作業を追加的に実行しても、生産性に及ぼす悪影響は考慮せずとも足りる。なお、径方向隙間26に層状に介在させる異種粉末27は、平均粒径が100μm以下のものを選択使用するのが望ましく、平均粒径が10μm以下のものを選択使用するのが一層望ましい。径方向隙間26に対する異種粉末27の充填性を高め、上述した作用効果を有効に享受するためである。
焼結工程S2では、図6に示すように、上下パンチ24,25と圧粉体11との間に、炭素系材料からなる層状物28を介在させた状態で圧粉体11にパルス通電することもできる。このようにすれば、上下パンチ24,25の加圧面24a,25aの劣化・損傷を効果的に抑制することができる。加えて、両端表層部に浸炭層が形成された高強度の焼結体21を得ることができる。なお、図6は、炭素系材料からなる層状物28として、予めシート状に形成されたカーボンシートを使用し、かつこのカーボンシートを上下パンチ24,25の加圧面24a,25aに取り付け固定した例を示している。
図7に示すように、焼結用ダイ23と圧粉体11との間の径方向隙間26に異種粉末27を層状に介在させた場合には、上下パンチ24,25と圧粉体11との間に介在させる層状物28を無数の炭素系粉末で構成することができる。この場合、層状物28を構成する炭素系粉末としては、焼結用ダイ23と圧粉体11との間に層状に介在させる異種粉末27と同様に、平均粒径が100μm以下のものを使用するのが望ましく、平均粒径が10μm以下のものを使用するのが一層望ましい。また、異種粉末27として炭素系粉末を使用する場合、この炭素系粉末と層状物28を構成する炭素系粉末とは同種のものであっても構わないし、異なる種類のものであっても構わない。
成形工程S1と焼結工程S2との間には、図8に示すように、圧粉体11を加熱することにより、強度(粒子同士の結合強度)が圧粉体11よりも高く焼結体21よりも低い仮焼結体を製作する熱処理工程S2’を設けることもできる。このようにすれば、高密度・高強度の焼結体21、ひいては焼結部品Aとしての歯車1を得る上で有利となる。熱処理工程S2’における圧粉体11の加熱温度は、原料粉4の焼結温度未満としても良いし、焼結温度以上としても良い。因みに、このような熱処理工程S2’を設けた場合、焼結工程S2で放電プラズマ焼結を施す対象物は、圧粉体11ではなく仮焼結体となる。
以上では、図1に示す焼結部品Aとしての歯車1を製造するに際して本発明を適用したが、本発明は焼結体からなるその他の機械部品、例えばカムや軸受等を製造する際にも好ましく適用することができる。
本発明の有用性を実証するため、本発明に係る製造方法を適用して製造した焼結体からなる円盤状試験片(実施例1〜11)、及び従来方法で製造した焼結体からなる円盤状試験片(比較例1〜3)の中から適宜選択した試験片について、(1)表面粗さ及び(2)焼結に伴う収縮率を測定・評価すると共に、(3)表層部への炭素浸入有無及び(4)表層部へのホウ素浸入有無を確認した。以下、まず、実施例1〜11に係る円盤状試験片の製造手順と、比較例1〜3に係る円盤状試験片の製造手順とを順に説明する。
[実施例1]
原料粉として、JISZ2550:2000に規定されたSMF4040(機械構造部品用焼結材料)相当の銅−鉄混合粉末(日本科学冶金株式会社製NT−911:平均粒径D50=70μm)を準備し、この原料粉を一軸加圧プレス(図3参照)により、常温、成形圧588MPaで潤滑剤を用いることなく軸方向に加圧することで、直径10.2mm×板厚10mmの円盤状圧粉体を得た。次に、図4に示すような放電プラズマ焼結装置の焼結用ダイ(黒鉛製)の内周に円盤状圧粉体を隙間嵌めで配置すると共に、真空槽内を真空にし、その後、円盤状圧粉体に20MPaの加圧力を軸方向両側から付与しながら一対の焼結用パンチを介して円盤状圧粉体にパルス通電することで、円盤状圧粉体を1000℃×15分加熱した。これにより、実施例1に係る円盤状試験片を得た。なお、放電プラズマ焼結装置としては、住友石炭鉱業株式会社製のSPS−515Lを使用した。
[実施例2]
円盤状圧粉体に付与する軸方向両側からの加圧力を1MPa未満とする以外は実施例1と同様。
[実施例3]
実施例2に係る円盤状試験片の外周面及び両端面を旋削・研磨加工によって1mmずつ除去したものを実施例3に係る円盤状試験片とした。
[実施例4]
円盤状圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に厚さ0.2mmのカーボンシートを介在させ(図6参照)、その状態で円盤状圧粉体にパルス電圧を印加する以外は実施例2と同様。
[実施例5]
焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に人造黒鉛粉末(伊藤黒鉛株式会社製AGB−130:平均粒径D50=80μm)を充填すると共に、円盤状圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に上記人造黒鉛粉末を層状に介在させ(図7参照)、その状態で円盤状圧粉体にパルス通電する以外は実施例2と同様。
[実施例6]
実施例5の製作時に使用した人造黒鉛粉末を伊藤黒鉛株式会社製AG−6T(平均粒径D50=6μm)に変更した以外は実施例5と同様。
[実施例7]
焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に窒化ホウ素粉末(電気化学工業株式会社製デンカボロンナイトライド粉末GP:平均粒径D50=8μm)を充填すると共に、円盤状圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に上記窒化ホウ素粉末を層状に介在させ(図7参照)、その状態で円盤状圧粉体にパルス通電する以外は実施例2と同様。
[実施例8]
原料粉として窒化ケイ素粉末(電気化学工業株式会社製SN−7:平均粒径D50=4.3μm)を使用すること、及びこの原料粉を98MPaの加圧力でもって軸方向両側から加圧することで円盤状圧粉体を得ること以外は実施例1と同様。
[実施例9]
実施例1に係る円盤状試験片を製作する過程で製作した円盤状圧粉体を800℃×60分加熱することにより上記圧粉体を仮焼結体とし、この仮焼結体に、実施例2に係る試験片を製作するのと同様の条件でSPSを施し、実施例9に係る円盤状試験片を得た。
[実施例10]
実施例1に係る円盤状試験片を製作する過程で製作した円盤状圧粉体を1250℃×150分加熱することで上記圧粉体を仮焼結体とし、この仮焼結体に、実施例2に係る試験片を製作するのと同様の条件でSPSを施し、実施例10に係る円盤状試験片を得た。
[実施例11]
真空槽内をアルゴンガスで満たした状態で円盤状圧粉体にSPSを施す以外は実施例2と同様。
[比較例1]
実施例1と同様の原料粉を放電プラズマ焼結装置の焼結用ダイ(黒鉛製)の内周に充填すると共に、真空槽内を真空にし、その後、原料粉を40MPaの加圧力でもって軸方向両側から加圧しながら原料粉にパルス通電(1000℃×15分加熱)することで、比較例1に係る円盤状試験片を得た。すなわち、比較例1に係る円盤状試験片は、特許文献1等に記載された方法と同様の方法で製造した。
[比較例2]
円盤状圧粉体に40MPaの加圧力を軸方向両側から付与した状態で円盤状圧粉体にパルス通電する(SPSを施す)以外は実施例1と同様。
[比較例3]
円盤状圧粉体に40MPaの加圧力を軸方向両側から付与した状態で円盤状圧粉体にパルス通電する(SPSを施す)以外は実施例8と同様。
そして、上述した(1)表面粗さは、円盤状試験片の表面粗さ(算術平均粗さRa)を株式会社ミツトヨ製の表面性状測定機(FORMTRACER CS−H5000CNC)により測定し、測定値に応じて以下の4段階(◎/○/△/×)で評価した。なお、表面粗さは、実施例1〜3及び8〜11、並びに比較例1〜3を測定・評価対象とした。
◎:算術平均粗さRa0.3μm未満
○:算術平均粗さRa0.3μm以上1μm未満
△:算術平均粗さRa1μm以上3μm未満
×:算術平均粗さRa3μm以上
評価結果を表1に示す。
Figure 2014001427
表1からも明らかなように、本発明に係る製造方法を適用すれば、従来方法よりも表面粗さ(面粗度)が小さく、表面性状に優れた焼結部品を得られることが理解される。特に、実施例3の評価からは、SPSの実行後に焼結体の表面に仕上げ加工を施せば(実施例3では機械加工で表層部を除去)、極めて滑らかな表面性状を得られることが理解される。このような評価となったのは以下の理由によるものと考えられる。焼結体は、原料粉を金型で圧縮して得られる圧粉体を基材とするものであるため、焼結体の表面には、表面開孔や、金型の成形面の表面粗さ(キズ等)に起因する粗さがどうしても残る。そして、圧粉体を焼結金型とは別の成形金型で成形する本発明に係る方法では、金型成形面の表面粗さを当初状態(新品状態)で維持し易い分、相対的に表面性状に優れた焼結体を得ることができる一方で、圧粉体を焼結金型で成形する従来方法では、SPSに伴う成形面の劣化・損傷が促進され易いため、焼結体の表面性状が相対的に劣る結果になるものと考えられる。
なお、焼結体の表面粗さを評価することにしたのは、図1に示す歯車のような機械部品においては、その形状だけでなく、表面粗さ、特に歯面の表面粗さも製品品質を左右する重要管理項目であるからである。
次に、(2)焼結に伴う収縮率とは、円盤状試験片の厚さ方向の収縮率[単位:%]であり、下記の数式により算出した。
収縮率=[試験片の厚さ/焼結前の圧粉体厚さ(又は原料粉の充填厚さ)]×100
そして、算出値に応じて下記の3段階(○/△/×)で評価した。なお、収縮率は、実施例1,2及び9〜11、並びに比較例1,2を評価対象とした。
○:収縮率10%未満
△:収縮率10%以上30%未満
×:収縮率30%以上
評価結果を表2に示す。
Figure 2014001427
表2から明らかなように、本発明に係る製造方法を適用すれば、従来方法よりも焼結に伴う収縮率を小さくできることが理解される。そのため、一層のニアネットシェイプが可能となり、高精度の焼結部品を低コストに得る上で有利であると言える。なお、円盤状圧粉体にSPSを施す際の雰囲気条件のみが異なる実施例2と実施例11の評価からは、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下でSPSを実行するよりも、真空下でSPSを実行する方が高精度の焼結部品を得る上で有利であることが理解される。
次に、(3)表層部への炭素浸入有無は、株式会社島津製作所製電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて確認した。確認対象は、実施例2及び4〜6に係る試験片とした。
焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に黒鉛粉末を充填せず、かつ円盤状圧粉体と焼結用パンチの間にカーボンシートを介在させずに円盤状圧粉体にSPSを施した実施例2に係る試験片においては、表層部への炭素浸入が認められなかった。一方、円盤状圧粉体と一対の焼結用パンチの間にカーボンシートを介在させた状態で円盤状圧粉体にSPSを施した実施例4に係る試験片においては、試験片の表層部のうち、カーボンシートと接触した両端面領域に炭素が浸入していた(試験片の両端表層部に浸炭層が形成されていた)。また、焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に黒鉛粉末を充填した状態で円盤状圧粉体にSPSを施した実施例5,6に係る試験片においては、試験片の表層部のうち、黒鉛粉末と接触した外周領域に炭素が浸入していた(試験片の外周表層部に浸炭層が形成されていた)。但し、実施例5に係る試験片ではランダムに炭素が浸入していたに過ぎないのに対し、実施例6に係る試験片では均一に炭素が浸入していた。これは、上記径方向隙間に充填した黒鉛粉末の粒径差によるものと考えられる。すなわち、平均粒径が小さい黒鉛粉末を使用する方が(厳密には、平均粒径が10μm以下の黒鉛粉末を使用するのが)、均質の浸炭層を形成する上で有利であることが理解される。
最後に、(4)表層部へのホウ素浸入有無は、株式会社島津製作所製電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて確認した。確認対象は、実施例2及び実施例7に係る試験片とした。
焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に窒化ホウ素粉末を充填せずに円盤状圧粉体にSPSを施した実施例2に係る試験片においては、表層部へのホウ素浸入が認められなかった。一方、焼結用ダイと円盤状圧粉体との間の径方向隙間に窒化ホウ素粉末を充填すると共に、円盤状圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に窒化ホウ素粉末を層状に介在させた状態で円盤状圧粉体にSPSを施した実施例7に係る試験片においては、表層部にホウ素が浸入していた。特に、窒化ホウ素粉末として、平均粒径10μm以下(実際は8μm)のものを使用したので、実施例7に係る試験片の表層部には均一にホウ素が浸入していた。
以上から、本発明の有用性が実証された。
1 歯車(焼結部品)
2 凸部
3 凹部
4 原料粉
5 放電プラズマ焼結装置
7 加圧ラム
8 位置決めピン
11 圧粉体
12 成形金型
13 コア
14 ダイ
15 上パンチ
16 下パンチ
17 キャビティ
21 焼結体
22 焼結金型
23 焼結用ダイ
23a 孔部
24 焼結用上パンチ
24a 加圧面
25 焼結用下パンチ
25a 加圧面
26 径方向隙間
27 異種粉末
28 層状物
A 焼結部品
S1 成形工程
S2 焼結工程
S3 仕上げ工程
S2’ 熱処理工程

Claims (10)

  1. 原料粉を圧縮成形することで圧粉体を製作する成形工程と、
    焼結用ダイの内周に圧粉体を隙間嵌めで配置し、両者を非接触の状態に保持したまま一対の焼結用パンチを介して圧粉体にパルス通電することにより、焼結体を製作する焼結工程と、を有する焼結部品の製造方法。
  2. 圧粉体にパルス通電する際、圧粉体を30MPa未満の加圧力で軸方向両側から加圧する請求項1に記載の焼結部品の製造方法。
  3. 焼結用ダイと圧粉体との間に、原料粉とは異なる種類の粉末を層状に介在させた状態で、圧粉体にパルス通電する請求項1又は2に記載の焼結部品の製造方法。
  4. 前記異なる種類の粉末を原料粉よりも難焼結性の粉末とした請求項3に記載の焼結部品の製造方法。
  5. 前記異なる種類の粉末を炭素系粉末とした請求項3又は4に記載の焼結部品の製造方法。
  6. 前記異なる種類の粉末として、平均粒径が100μm以下のものを使用する請求項3〜5の何れか一項に記載の焼結部品の製造方法。
  7. 圧粉体と一対の焼結用パンチとの間に炭素系材料からなる層状物を介在させた状態で、圧粉体にパルス通電する請求項1〜6の何れか一項に記載の焼結部品の製造方法。
  8. 前記層状物を、無数の炭素系粉末で構成した請求項7に記載の焼結部品の製造方法。
  9. 成形工程では、成形用ダイの内周に充填した原料粉を一対の成形用パンチで軸方向両側から圧縮することで圧粉体を製作する請求項1〜8の何れか一項に記載の焼結部品の製造方法。
  10. 成形工程と焼結工程との間に、圧粉体を加熱することにより、圧粉体よりも強度が高くかつ焼結体よりも強度が低い仮焼結体を製作する熱処理工程を設けた請求項1〜9の何れか一項に記載の焼結部品の製造方法。
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