JP2017061714A - 高熱伝導性複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属材料マトリックス中に炭素材料が分散した高熱伝導性複合材料であり、且つ厚み方向(z方向)に直角なxy面を主面とする板型でありながら、熱伝導率がxyzの3方向にバランスよく分散した高熱伝導性複合材料を提供する。【解決手段】金属材料と、炭素材料からなるフィラーとの混合物であるプリフォームが、前記xy面に平行なy方向に積層されて焼結された積層構造を有する。各層の熱伝導率が前記プリフォームの積層方向と直交するxz面内、及び前記積層方向に平行なxy面内で配向する。【選択図】 図3
Description
本発明は、金属材料からなるマトリックス中に、熱伝導性に優れた炭素材料からなるフィラーが分散し、且つ厚み方向に直角な面を主面とする板型の高熱伝導性複合材料に関する。
熱伝導性に優れた材料として、アルミニウム等の金属材料からなるマトリックス中に、グラファイト粉末(GR)又はカーボンファイバー(炭素繊維;CF)などの炭素材料からなるフィラーを分散して混合させた炭素分散型複合材料がある。この複合材料は、一般に金属材料粉末とフィラーとを混合して焼結することにより製造される。このような炭素分散型複合材料の代表例を図1に示す。
図1に示された複合材料20は、厚み方向であるz方向に直角なxy面を主面とする板型であり、金属材料中のフィラーが前記xy面に平行な方向に強く配向した特徴を有する。すなわち、この板型の複合材料20は、金属材料粉末とフィラーの混合物からなるプリフォームシート10をz方向に加圧しつつ焼結することにより製造されるために、その焼結過程で金属材料中のフィラーがxy面内で配向することに加え、プリフォームシート10の成形段階でもフィラーがxy面内で配向するのである。
そして、複合材料20中のフィラーがxy面内で強く配向することにより、その熱伝導率も同面内で強く配向する(すなわち熱伝導率がxy面に沿って方向性を示す)ことになる。熱伝導率の配向例を挙げると、z方向の熱伝導率が50W/mkとなり、xy面に平行なxy方向の熱伝導率がそれぞれ450W/mkとなる。すなわち、主面に平行なxy方向の熱伝導率は飛躍的に向上するが、これに直角な厚み方向(z方向)の熱電導率は極端に低下するのである。
しかしながら、このような板型の複合材料20は高熱伝導性ではあるが、非常に使いづらい。なぜなら、この種の複合材料20は、半導体冷却装置における熱拡散板として利用されることが多く、その際、一方の主面側に半導体素子が取付けられ、他方の主面側に放熱器が取付けられるのが通例であるが、厚み方向であるz方向の熱伝導率が低いと、半導体素子から放熱器への熱拡散が促進されないからである。
この問題を解決するのが、例えば特許文献1に記載された積層型の複合材料であり、これを図2により説明する。図2に示すように、この複合材料30は、前述した板型の複合材料20から切り出された複数枚の短冊状複合材料20Aを、向きを変えて一方向に積層することにより作製される。具体的には、板型の複合材料20の主面が複合材料30の各層の層間面(xz面)となるように、短冊状複合材料20Aが複合材料30のy方向に積層されて複合材料30とされる。こうすることにより、複合材料30の各層では、金属材料中のフィラーがxz面内で配向し、熱伝導率も同じくxz面内で配向する。
その結果、複合材料30の熱伝導率は前の例に照らせば次のようになる。厚み方向であるz方向の熱伝導率は50W/mkから450W/mkに激増する。また、x方向の熱伝導率は450W/mkのままとなる。一方、y方向の熱伝導率は450W/mkから50W/mkに激減する。
しかしながら、このような積層型の複合材料30も又、半導体冷却装置における熱拡散板としては問題がある。なぜなら、半導体冷却装置における熱拡散板では、一方の主面側に取付けられる半導体素子は局所的に配置されるが、他方の主面側に取付けられる放熱器は全面的に配置されるので、半導体素子での発熱を放熱器に効率よく伝えためには、熱拡散板の厚み方向であるz方向だけでなく、主面に平行なxy方向にもバランスよく熱を伝えることが必要となるところ、y方向の熱伝導率が極端に小さくなるからである。
これから分かるように、半導体冷却装置における熱拡散板として好適な板型の複合材料とは、xyzの3方向に熱伝導率が分散したものであるが、従来の複合材料20及び30では、xyzの3方向において熱伝導率を広範囲に制御することが困難なため、xyzの3方向にバランスよく熱伝導率を分散させることができない。
なお、前述した複合材料20は、金属マトリックス中にフィラーを含むことにより、金属マトリックス単体と比べて機械的強度が低下する問題があるため、通常は金属マトリックスと同じ金属材料中にプリフォームシート10を埋没させて一体的に焼結したシェル構造とされる。
本発明の目的は、厚み方向(z方向)に直角なxy面を主面とする板型でありながら、熱伝導率がxyzの3方向にバランスよく分散した高熱伝導性複合材料を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはアルミニウム等の金属材料からなるマトリックス中に、グラファイト粉末又は炭素繊維などの炭素材料からなるフィラーを分散させた炭素分散型複合材料において、熱伝導率をxyz方向に分散させることを企画し、鋭意研究した。その結果、次の事実が判明した。
図2に示すとおり、従来の板型の複合材料20は、金属材料とフィラーの混合物からなるプリフォームシート10を焼結することにより製造され、焼結過程では厚み方向であるz方向に加圧される。加えて、焼結前のプリフォームシート10は、その成形過程でz方向に加圧加工されることは多いが、他の方向、すなわちxy方向に加圧されることは殆どない。ここでもしプリフォームシート10がx方向やy方向にも加圧されるならば、z方向の加圧と加えて、フィラーの配向範囲が広がる。
この考えに立って、本発明者らは板型の複合材料20に代えて、その焼結前の材料である板状のプリフォームシート10を、その向きを変えて一方向に積層することを企画した。具体的には、図3に示すように、板状のプリフォームシート10から複数枚の短冊状プリフォーム10Aを切り出す。切り出された短冊状プリフォーム10Aでは、プリフォームシート成形段階の様々な操作によりフィラーが、厚み方向に直角な主面内で配向している。そこで、複数枚の短冊状プリフォーム10Aを、当初の主面が各層の層間面(xz面)となるように向きを変えてy方向に積層して、新たな板型のプリフォーム積層体10Bとする。新たな板型のプリフォーム積層体10Bではフィラーがxz面内で配向する。
このような板型のプリフォーム積層体10Bを焼結材料として焼結すると、xz面が各層の層間面となる積層構造の複合材料40が製造される。その際、焼結過程では、同様の積層構造である板型のプリフォーム積層体10Bが厚み方向であるz方向に加圧されることにより、複合材料40中のフィラーがxy面内で配向する。また、プリフォームシート10の成形段階での各種操作により、プリフォーム積層体10B中のフィラーがxz面内で配向し、複合材料40中のフィラーもxz面内で配向する。
すなわち、新たな板型の複合材料40では、金属材料中のフィラーがxz面内及びxy面内で配向し、熱伝導率もxz面内及びxy面内で配向することにより、xy面内だけで配向する場合と比べて、熱伝導率がxyzの3方向に分散するのである。ちなみに、複合材料40のxz面は、その積層構造における積層方向(y方向)と交差する面であり、より正確には積層方向(y方向)と直交する面である。
本発明の高熱伝導性複合材料は、かかる知見を基礎として開発されたものであり、金属材料からなるマトリックス中に炭素材料からなるフィラーが分散し、且つ厚み方向であるz方向に直角なxy面を主面とする板型の高熱伝導性複合材料において、前記金属材料と前記フィラーの混合物であるプリフォームが前記xy面に沿った方向に積層されて焼結された積層構造を有しており、且つ各層の熱伝導率が、前記プリフォームの積層方向と交差する面内で配向され、好ましくは更に、各層の熱伝導率がxy面に沿った方向に配向されてなることを技術的な特徴点としている。
本発明の高熱伝導性複合材料において、各層の熱伝導率がプリフォームの積層方向と交差する面内で配向する構造は、各層中のフィラーがプリフォームの積層方向と交差する面内で配向する構造と同義である。この構造は、xz面を主面とする焼結前プリフォームを、xz面に交差する面が切断面となるように切断すると共に、当該切断により切り出された焼結前プリフォームをxz面が各層の層間面となるようにy方向に沿った方向に積層することにより可能である。
ここで焼結前プリフォームは、積層される前の段階において、xz面を加圧面としてy方向に沿った方向に加圧成形することができる。これにより、xz面に沿った面内での配向を促進することができる。焼結前プリフォームは又、積層された後、焼結されるまでの間に、xy面を加圧面としてz方向に加圧成形することができる。これにより、xy面に沿った面内での配向を促進することができる。
本発明の高熱伝導性複合材料において、熱伝導率がプリフォームの積層方向と交差する面内で配向するとは、具体的には、y方向の熱伝導率に比して、xz方向の少なくとも1方向の熱伝導率が大となることである。同様に、熱伝導率がxy面に沿った面内で配向するとは、z方向の熱伝導率に比して、xy方向の少なくとも1方向の熱伝導率が大となることである。
本発明の高熱伝導性複合材料は、単体で使用することも可能であるが、通常は機械的強度を確保するために、金属マトリックスと同質の金属材料中に、積層されたプリフォームを埋没させた状態で一体的に焼結されてなるシェル構造にて使用される。
本発明の高熱伝導性複合材料における物性値としては、焼結前プリフォームの充填率が重要である。この充填率は、焼結前プリフォームの緻密度であり、当該焼結前プリフォームの焼結による圧縮率(焼結前の厚さに対する焼結後の厚さの比率)に対応する。焼結前プリフォームの充填率が低いと、焼結前プリフォームが焼結でz方向に大きく縮み、xy面内での配向の支配的となる。反対に、焼結前プリフォームの充填率が高いと,焼結前プリフォームの成形工程での圧縮が進んでいるため、焼結での圧縮が進まず、その結果として、xz面内での配向が支配的となる。焼結前プリフォームの充填率は通常30〜70%であり、この範囲内で配向制御が可能である。
焼結前プリフォームの成形段階では、当該プリフォームを複数枚重ねることができる。その際、プリフォームのx方向及びy方向の向きをxy面内で変えることによっても、熱伝導率のxy面に沿った面内での配向制御が可能となる。
複数種類の配向制御を組み合わせることにより、xyzの3方向において熱伝導性が広範囲に制御可能となる。
本発明の高熱伝導性複合材料は、厚み方向であるz方向に直角なxy面を主面とする板型であって、金属材料と炭素材料の混合物であるプリフォームがxy面に沿った方向に積層されて焼結された積層構造を有し、且つ各層の熱伝導率が、プリフォームの積層方向と交差する面内で配向しているので、これに本来のxy面に沿った面内での配向を加えた2面内での配向により、xyzの3方向にバランスよく熱伝導率を配分することができる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の高熱伝導性複合材料は、金属材料であるアルミニウムをマトリックスとして、そのマトリックス中に炭素材料からなるフィラーが分散した炭素分散型複合材料である。炭素材料はグラファイト粉末(GR)、炭素繊維(CF)、カーボンナノチューブ(CNT)などである。グラファイト粉末は粉末粒子が鱗片状であるため、炭素繊維と同様に配向しやすい。カーボンナノチューブは細く短いために配向しにくい。複合材料の全体的な熱伝導率を高めるのに有効である。
この高熱伝導性複合材料は、次のようにして製造される。第1工程として、金属材料粉末とフィラーとの混合物であるプリフォームを作製する。プリフォームは、厚み方向に直角な平面を主面とするシート材である。
第2工程として、そのプリフォームシートから複数のプリフォーム片を切り出す。通常はプリフォームシートを主面に沿った方向(通常は主面に平行な方向)に所定間隔で切断して複数のプリフォーム片とする。切断面は、プリフォームシートの主面に交差する面(通常は主面に直角な面)である。
第3工程として、複数のプリフォーム片を、各主面が各層の層間面となるように向きを変えて各主面に直角な厚み方向に積層する並べ替えにより、プリフォーム積層体とする。プリフォーム積層体は、通常は積層方向に沿った面を主面とし、これに直角な方向を厚み方向とする板材である。
第4工程として、プリフォーム積層体を積層方向と交差する方向に加圧しつつ焼結する。プリフォーム積層体が板材の場合は、その厚み方向に加圧しつつ焼結する。各工程におけるシート材及び板材は、厚みの大きいブロック様のものを含む。
高熱伝導性複合材料の製造方法を、図面を参照して更に具体的に説明する。図3に示すように、まず前記第1工程として、フォームシート10を作製する。より具体的には、金属材料粉末とフィラーとを溶液中に混合して複合材スラリーとする。その複合材スラリーを塗工して複合材シートとする。その複合材シートを重ね合わせてプリフォームシート10とする。プリフォームシート10は所定の厚みを有し、厚み方向に直角な平面を主面とする板型であり、より詳しくは縦方向よりも横方向に長い長方形状の平板である。
プリフォームシート10が作製されると、そのプリフォームシート10を必要に応じて厚み方向に加圧(圧縮加工)した後、前記第2工程として、横方向に所定間隔で切断して、プリフォームシート10から複数枚の短冊状プリフォーム10Aを前記プリフォーム片として切り出す。
所定枚数の短冊状プリフォーム10Aが切り出されると、前記第3工程として、複数枚の短冊状プリフォーム10Aを、向きを変えて一方向に積層する並べ替えにより、厚板状のプリフォーム積層体10Bとする。並べ替えは具体的には次のように行われる。厚板状のプリフォーム積層体10Bの縦方向をx方向、横方向をy方向、厚み方向をz方向とすると、プリフォームシート10の主面が、プリフォーム積層体10Bではxz面となり、各層の層間面となるように、y方向に積層される。ちなみに、プリフォーム積層体10Bの主面はxy面であり、短冊状プリフォーム10Aの切断面が積層方向(y方向)に連続することにより形成される。
厚板状のプリフォーム積層体10Bが作製されると、前記第4工程として、そのプリフォーム積層体10Bを焼結して、板型の複合材料40とする。プリフォーム積層体10Bの焼結過程では、当該プリフォーム積層体10Bがz方向に加圧(圧縮加工)される。板型の複合材料40の主面はxy面であり、厚み方向はz方向である。
このような複合材料40の構造上の特徴点、及び特性上の特徴点は以下のとおりである。
第1に、複合材料40は、z方向を厚み方向とし、これに直角なxy面を主面とする板型(平板)である。
第2に、複合材料40は積層構造となる。具体的には、短冊状プリフォーム10Aがその厚み方向に積層されて形成されたプリフォーム積層体10Bが、積層方向であるy方向に直角なz方向に加圧を受けつつ焼結されて、xy面を主面とする板型の複合材料40とされる。この板型の複合材料40では、各層の層間面はxz面であり、y方向に層状をなす。
第3に、複合材料40中のフィラーがxz面内及びxy面内で配向する。すなわち、複合材料40の製造素材であるプリフォームシート10は、成形工程でその主面に平行な方向にフィラーが配向する。具体的には複合材シートの成形工程、特に塗工工程でシート表面に平行な方向にフィラーが配向する。また成形後に厚み方向に加圧(圧縮加工)を行う場合は、フィラーのxz面内での配向が更に顕著となる。その一方で、複合材料40では、プリフォーム積層体10Bの焼結過程でz方向に加圧(圧縮加工)される。このため、z方向に直角なxy面内でもフィラーが配向する。
このように、複合材料40では、フィラーがxz面とxy面内の2つの平面内で配向するのである。その結果、複合材料40では、熱伝導率がxz面及びxy面内の2つの平面内で配向し(方向性を示し)、xyzの3方向に分散する。
ここにおけるフィラーのxz面内での配向度と、xy面内での配向度は、プリフォームシート10に対する厚み方向への加圧(圧縮加工)の有無及び加圧力を変更することにより、広範囲に制御される。
すなわち、複合材シートを重ねてプリフォームシート10としたときの充填率は30%程度である。プリフォームシート10の充填率が30%ということは、当該プリフォームシート10を焼結することにより厚みが30%程度になるということである。ここでプリフォームシート10を厚み方向に積極的に加圧(圧縮加工)すると、充填率が最大で70%程度まで上がる。プリフォームシート10の充填率が70%に増大するということは、プリフォームシート10を厚み方向に事前加圧(圧縮加工)しておくと、焼結では厚みが70%程度までしか減少しないということである。したがって、この範囲内でフィラーのxz面内の配向度を制御でき、これによって焼結での圧縮率が影響されるから、結果的にxy面での配向度も制御できることになる。
すなわち、焼結後の厚み(複合材料40の厚み)は、プリフォームシート10の圧縮加工及びその加工度に関係なく一定であるので、プリフォームシート10を厚み方向に事前加圧(圧縮加工)すると、その加圧(圧縮加工)の分、焼結での厚み方向の圧縮量が減少するのである。
次に、前記特徴点、特に第3の特徴点を実際に検証した結果を本発明の実施例として説明する。
(検証1)
アルミニウム粉末とフィラーとを溶剤中に混合して複合材スラリーとした。アルミニウム粉末は、Al粉末とAl−12Si粉末との混合粉末である。フィラーはグラファイト粉末(GR)、カーボンファイバー(CF)及びカーボンナノチューブ(CNT)の混合物である。得られた複合材スラリーを、剥離性のある基板の上に均一な厚み(5mm)に塗工し、これを乾燥させることにより、厚みが3.3mmの複合材シートとした。
アルミニウム粉末とフィラーとを溶剤中に混合して複合材スラリーとした。アルミニウム粉末は、Al粉末とAl−12Si粉末との混合粉末である。フィラーはグラファイト粉末(GR)、カーボンファイバー(CF)及びカーボンナノチューブ(CNT)の混合物である。得られた複合材スラリーを、剥離性のある基板の上に均一な厚み(5mm)に塗工し、これを乾燥させることにより、厚みが3.3mmの複合材シートとした。
得られた複合材シートを4枚重ねて、主面が長方形でその縦(短辺)が66mm、横(長辺)が200mm、厚みが13.2mmであるプリフォームシート(シート状の焼結用成形体)とした。
得られたプリフォームシートを横方向(長辺方向)に等間隔で切断することにより、当該プリフォームから縦が66mm、横が40mm、厚さが13.2mmの短冊状プリフォームを切り出した。切り出した短冊状プリフォームを厚み方向が横方向となるように向きを変えてその横方向に積層する並べ替えにより、縦が66mm、横が66mm(13.2mm×5枚)、厚さが40mmである厚板形状のプリフォーム積層体を作製した。
作製した厚板形状のプリフォーム積層体を焼結して板型の高熱伝導性複合材料1とした。焼結条件は30MPa加圧、570℃、60分である。その焼結においてプリフォーム積層体が厚み方向に加圧(圧縮加工)された結果、作製された複合材料の厚みは12mmとなった。この厚みはプリフォーム積層体の厚みの30%であるので、プリフォーム及びその積層体の充填率は30%ということである。
複合材料1の組成はアルミニウム40体積%−グラファイト粉末50体積%−カーボンファイバー10体積%−カーボンナノチューブ0.01重量%である。複合材料1の熱伝導率をxyz方向について測定した結果を図4に示す。
(検証2)
検証1において、複合材シートを重ねて作製したプリフォームシートを、積層体とする前に厚み方向に20MPaの圧力で加圧(圧縮加工)した。プリフォームシートの厚みが13.2mmから6.6mmに減少した。圧縮加工後のプリフォームシートから縦が66mm、横が17mm、厚さが6.6mmの短冊状プリフォームを切り出した。切り出した短冊状プリフォームを厚み方向が横方向となるように向きを変えて横方向に積層する並べ替えにより、縦が66mm、横が66mm(6.6mm×10枚)、厚さが17mmである厚板形状のプリフォーム積層体とした。
検証1において、複合材シートを重ねて作製したプリフォームシートを、積層体とする前に厚み方向に20MPaの圧力で加圧(圧縮加工)した。プリフォームシートの厚みが13.2mmから6.6mmに減少した。圧縮加工後のプリフォームシートから縦が66mm、横が17mm、厚さが6.6mmの短冊状プリフォームを切り出した。切り出した短冊状プリフォームを厚み方向が横方向となるように向きを変えて横方向に積層する並べ替えにより、縦が66mm、横が66mm(6.6mm×10枚)、厚さが17mmである厚板形状のプリフォーム積層体とした。
得られた厚板形状のプリフォーム積層体を焼結して板型の高熱伝導性複合材料2とした。焼結条件は検証1と同じである。その焼結において複合材料2の厚みが、プリフォーム積層体の厚み(17mm)の70%である12mmとなった。プリフォーム及びその積層体の充填率は70%である。
複合材料2の熱伝導率をxyz方向について測定した結果を図5に示す。
(検証3)
厚さが3.5mmのプリフォームを焼結する前に厚み方向に加圧(圧縮加工)を行ったときの加圧力が加圧後の厚さ及び充填率に及ぼす影響度を調査した。また、同プリフォームをその厚み方向に加圧しつつ焼結したとのきの焼結体の厚みを調査した。調査結果を図5A及び図5Bに示す。焼結体の厚みは1.07mmである。また、焼結体の熱伝導率をxyz方向について測定した結果を図4に示す。
厚さが3.5mmのプリフォームを焼結する前に厚み方向に加圧(圧縮加工)を行ったときの加圧力が加圧後の厚さ及び充填率に及ぼす影響度を調査した。また、同プリフォームをその厚み方向に加圧しつつ焼結したとのきの焼結体の厚みを調査した。調査結果を図5A及び図5Bに示す。焼結体の厚みは1.07mmである。また、焼結体の熱伝導率をxyz方向について測定した結果を図4に示す。
図4から分かるように、プリフォームシートを厚み方向に加圧しつつ焼結して得た焼結体の熱伝導率は、前にも説明したとおり、x方向及びy方向で450W/mk、z方向で50W/mkである。これは、プリフォームの作製段階でフィラーが配向する方向と、焼結段階でフィラーが配向する方向とが一致し、共にxy面内となるからである。
これに対し、複合材料1では、プリフォームシートが向きを変えて積層されることにより、積層体でのフィラーの配向方向と、その焼結過程でのフィラーの配向方向とが不一致となる。具体的には、前者の配向方向がxz面内、後者の配向方向がxy面となる。このため、複合材料1の熱伝導率はxyzの3方向に分散することになる。より詳しくは、プリフォーム積層体を構成するプリフォームは加圧(圧縮加工)を受けてないため、前者の配向に比して後者の配向が重きを占める。その結果、複合材料1の熱伝導率は、x方向で370W/mk、y方向で230W/mk、z方向で170W/mkとなる。
ここで、xz方向の熱伝導率の一方(ここではx方向の熱伝導率)がy方向の熱伝導率より大きいが、これは、その熱伝導率がxz面内で配向していることの証左である。また、x方向及びy方向の熱伝導率が共にz方向の熱伝導率より大きいが、これは、その熱伝導率がxy面内で配向していることの証左である。
複合材料2は、プリフォーム積層体を構成するプリフォームシートが20MPaの加圧力で事前加圧(圧縮加工)を受けているため、xz面内での配向が、xy面での配向よりも重きを占める。その結果、x方向及びz方向の熱伝導率が共に330W/mkで、y方向の熱伝導率(110W/mk)より大きい。また、xy方向の熱伝導率の一方(ここではx方向の熱伝導率)がz方向の熱伝導率と同等である。
プリフォームシートの圧縮加工における加圧力を大きくしていくと、図5A及び図5Bに示すように、加圧力の増大に伴ってプリフォームの厚みが小さくなり、充填率が大きくなる。このため、複合材料におけるxyz方向の熱伝導率は、図4に破線で示す傾向に沿って変化する。この範囲内でxz方向の熱伝導率の少なくとも一方の熱伝導率がy方向の熱伝導率より大きくなり、xy方向の熱伝導率の少なくとも一方の熱伝導率がz方向の熱伝導率より大きくなり、その結果として,熱伝導率がxyz方向に分散すること及びその分散が広範囲に制御されることになる。
10 プリフォームシート
10A 短冊状プリフォーム(プリフォーム片)
10B プリフォーム積層体
20,30,40 高熱伝導性複合材料
20A 短冊状複合材料
10A 短冊状プリフォーム(プリフォーム片)
10B プリフォーム積層体
20,30,40 高熱伝導性複合材料
20A 短冊状複合材料
Claims (10)
- 金属材料からなるマトリックス中に炭素材料からなるフィラーが分散し、且つ厚み方向であるz方向に直角なxy面を主面とする板型の高熱伝導性複合材料において、
前記金属材料と前記フィラーの混合物であるプリフォームが前記xy面に沿った方向に積層されて焼結された積層構造を有しており、
且つ各層の熱伝導率が、前記プリフォームの積層方向と交差する面内で配向されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項1に記載の高熱伝導性複合材料において、
xz方向の少なくとも1方向の熱伝導率が、y方向の熱伝導率より大である高熱伝導性複合材料。 - 請求項1に記載の高熱伝導性複合材料において、
各層の熱伝導率がxy面に沿った面内で配向されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項3に記載の高熱伝導性複合材料において、
xy方向の少なくとも1方向の熱伝導率が、z方向の熱伝導率より大である高熱伝導性複合材料。 - 請求項1に記載の高熱伝導性複合材料において、
前記マトリックスと同質の金属材料中に当該複合材料を埋没させた状態で一体的に焼結されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項1に記載の高熱伝導性複合材料において、
前記プリフォームは、積層される前の段階において、xz面を加圧面としてy方向に圧縮加工されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項1に記載の高熱伝導性複合材料において、
前記プリフォームは、積層される前の段階において、y方向を厚み方向としxz面を主面とする焼結前プリフォームから、xz面に交差する面が切断面となるように切り出されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項7に記載の高熱伝導性複合材料において、
切り出された焼結前プリフォームは、切断面が各層の層間面となるようにy方向に沿った方向に積層されてなる高熱伝導性複合材料。 - 請求項7に記載の高熱伝導性複合材料において、
前記プリフォームは、積層される前の段階において、y方向を厚み方向としxz面を主面とする焼結前のプリフォームシートから、xz面に直交するxy面が切断面となるように切り出されてなる短冊状プリフォームである高熱伝導性複合材料。 - 請求項9に記載の高熱伝導性複合材料において、
短冊状プリフォームは、切断面であるxy面が各層の層間面となるようにy方向に積層されてなる高熱伝導性複合材料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015186687A JP2017061714A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 高熱伝導性複合材料 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005200676A (ja) * | 2004-01-13 | 2005-07-28 | Shimane Pref Gov | 複合材およびその製造方法 |
JP2011258755A (ja) * | 2010-06-09 | 2011-12-22 | Denso Corp | 熱拡散体および発熱体の冷却装置 |
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2015
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Patent Citations (2)
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