JP2018178185A - アルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造作業の作業性の向上を図り得るアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法及びアルミニウム−炭素粒子複合材を提供すること。【解決手段】アルミニウム−炭素粒子複合材1の製造方法は、アルミニウム箔10の塗工予定表面10aに炭素粒子層11が塗工された塗工箔13が波状に折曲された折曲箔15を備えたプリフォームを得る工程と、プリフォームを焼結する工程と、を含む。折曲箔15は塗工箔13の長さ方向に連続する複数の波部14を有している。プリフォームを焼結する工程では、プリフォームを複数の波部14が密着する方向に加圧した状態で焼結する。【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法及びアルミニウム−炭素粒子複合材に関する。
アルミニウム−炭素粒子複合材は一般に高い熱伝導性を有している。そのため、高い熱伝導性が要求される部材の材料としての利用が期待されている。
この種の複合材の製造方法の一例は次のとおりである。アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に炭素粒子層が塗工された塗工箔の条材を複数切断することにより、複数の塗工箔を得る。そして、塗工箔を複数積層することによりプリフォームとしての積層体を形成し、この積層体を焼結することにより、複合材を製造する(例えば、特許文献1−6参照)。
上述した複合材の製造方法によれば、例えば厚い複合材を製造する場合には厚い積層体を形成しなければならないので塗工箔の積層枚数が多くなり、複合材の製造作業に時間がかかるし、また例えば幅狭の複合材を製造する場合には幅狭の積層体を形成しなければならないので塗工箔の積層作業が難しくなるという難点があった。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、製造作業の作業性の向上を図り得るアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法及びアルミニウム−炭素粒子複合材を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] アルミニウム箔の塗工予定表面に炭素粒子層が塗工された塗工箔が波状に折曲された折曲箔を備えたプリフォームを得る工程と、
前記プリフォームを焼結する工程と、を含み、
前記折曲箔は長さ方向に連続する複数の波部を有しており、
前記プリフォームを焼結する工程では、前記プリフォームを前記複数の波部が密着する方向に加圧した状態で焼結するアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。
前記プリフォームを焼結する工程と、を含み、
前記折曲箔は長さ方向に連続する複数の波部を有しており、
前記プリフォームを焼結する工程では、前記プリフォームを前記複数の波部が密着する方向に加圧した状態で焼結するアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。
[2] 前記アルミニウム箔は、前記塗工予定表面として、前記アルミニウ箔の厚さ方向の一方の片側の表面からなる第1塗工予定表面と他方の片側の表面からなる第2塗工予定表面とを備えており、
前記塗工箔は、前記アルミニウム箔の前記第1塗工予定表面に第1炭素粒子層が前記第2塗工予定表面に第2炭素粒子層がそれぞれ前記炭素粒子層として塗工されたものであり、
前記第1炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方と、前記第2炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方とが相異している前項1記載のアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。
前記塗工箔は、前記アルミニウム箔の前記第1塗工予定表面に第1炭素粒子層が前記第2塗工予定表面に第2炭素粒子層がそれぞれ前記炭素粒子層として塗工されたものであり、
前記第1炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方と、前記第2炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方とが相異している前項1記載のアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。
[3] アルミニウムマトリックス中に炭素粒子が分散した炭素粒子分散層と前記アルミニウムマトリックスで形成されたアルミニウム層とが交互に複数積層した状態に接合一体化されており、
前記複数のアルミニウム層はその積層方向に蛇行状に連結されているアルミニウム−炭素粒子複合材。
前記複数のアルミニウム層はその積層方向に蛇行状に連結されているアルミニウム−炭素粒子複合材。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1に記載のアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法は、塗工箔が波状に折曲された折曲箔を備えたプリフォームを得る工程と、プリフォームを焼結する工程と、を含み、プリフォームを焼結する工程では、プリフォームを複数の波部が密着する方向に加圧した状態で焼結する。したがって、折曲箔の折曲数の増減によって得られる複合材の厚さを設定することができるし、折曲箔の折曲幅の大小によって得られる複合材の幅を設定することができる。これにより、複合材の製造作業の作業性の向上を図り得る。
前項2では、第1炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量のうち少なくとも一方と、第2炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量のうち少なくとも一方とを相異させることにより、得られる複合材の特性(熱伝導性、線膨張特性等)のバリエーションの増大を図り得る。
前項3では、複合材を製造する際に前項1及び2のうち少なくとも前項1の効果を奏しうる。
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜8は、本発明の第1実施形態を説明する図である。
図8に示すように、本第1実施形態に係るアルミニウム−炭素粒子複合材1は、アルミニウムマトリックス4とアルミニウムマトリックス4中に分散した炭素粒子5とを含むものである。なお同図では、アルミニウムマトリックス4にはドットハッチングが付されており、炭素粒子5には斜線が付されている。
詳述すると、複合材1は、アルミニウムマトリックス4中に炭素粒子5が分散した炭素粒子分散層3とアルミニウムマトリックス4で形成されたアルミニウム層2とが交互に複数積層した状態に接合一体化されて形成されたものである。各アルミニウム層2に炭素粒子5は実質的に存在していない。複数のアルミニウム層2はその積層方向(即ち複合材1の厚さ方向T)に蛇行状に連結されている。
炭素粒子5の種類は限定されるものではない。特に、炭素粒子5は、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン、天然黒鉛粒子及び人造黒鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種であることが望ましく、更に、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラフェン及び天然黒鉛粒子からなる群より選択される少なくとも一種であることがより望ましい。
炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが好適に用いられる。
カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維(VGCF(登録商標)を含む)などが好適に用いられる。
グラフェンとしては、単層グラフェン、多層グラフェンなどが好適に用いられる。
天然黒鉛粒子としては、鱗片状黒鉛粒子(特に、高熱伝導性鱗片状黒鉛粒子)などが好適に用いられる。
人造黒鉛粒子としては、異方性黒鉛粒子、熱分解黒鉛粒子などが好適に用いられる。
炭素粒子5の大きさは限定されるものではなく、例えば、炭素粒子5の平均粒子径は1μm〜3mmである。具体的には、炭素粒子5が炭素繊維である場合、短炭素繊維が好適に用いられ、特に平均繊維長が10μm〜2mmの短炭素繊維が好適に用いられる。炭素粒子5がカーボンナノチューブである場合、平均長さが1〜10μmのカーボンナノチューブが特に好適に用いられる。炭素粒子5が天然黒鉛粒子又は人造黒鉛粒子である場合、平均粒子径が10μm〜3mmの天然黒鉛粒子又は人造黒鉛粒子が特に好適に用いられる。
マトリックス4として用いられるアルミニウムの種類は限定されるものではない。特にアルミニウムは純度99%以上の純アルミニウムであることが高い熱伝導性を有する複合材1を得ることができる点などで望ましい。
本第1実施形態の複合材1の製造方法は、図1〜7に示すようにプリフォーム(焼結素材)17を得る工程と、プリフォーム17を焼結する工程と、を備えている。
まず、プリフォーム17を得る工程について以下に説明する。
図1に示すように、アルミニウム箔10の条材10Aの塗工予定表面10aに炭素粒子層11が塗工された塗工箔13の条材13Aをその長さ方向に連続的にロールフィン加工装置20により波状に折曲する。
アルミニウム箔10の条材10Aのアルミニウムは複合材1のアルミニウムマトリックス4を形成するものである。アルミニウム箔10の条材10Aの厚さは限定されるものではなく、例えば5〜150μmである。アルミニウム箔10の条材10Aの幅は限定されるものでなく、例えば3〜300mmである。
アルミニウム箔10の条材10Aの塗工予定表面10aは、アルミニウム箔10の条材10Aの厚さ方向の両側の表面のうち少なくとも一方からなる。本第1実施形態では、塗工予定表面10aはアルミニウム箔10の条材10Aの厚さ方向の一方の片側の表面と他方の片側の表面である。
ここで、本第1実施形態では、アルミニウム箔10の条材10Aの厚さ方向の一方の片側の表面10aを「第1塗工予定表面10a」、他方の片側の表面10aを「第2塗工予定表面10a」という。したがって、アルミニウム箔10の条材10Aは、塗工予定表面として、第1塗工予定表面10aと第2塗工予定表面10aを備えている。
アルミニウム箔10の条材10Aの第1塗工予定表面10aにはその略全体に亘って炭素粒子層11(以下、これを「第1炭素粒子層11」という)が塗工されている。
アルミニウム箔10の条材10Aの第2塗工予定表面10aにはその略全体に亘って炭素粒子層11(以下、これを「第2炭素粒子層11」という)が塗工されている。
第1炭素粒子層11の炭素粒子5の種類(材質、平均粒子径など)及び塗工量と、第2炭素粒子層11の炭素粒子5の種類(材質、平均粒子径など)及び塗工量は、同じであっても良いし、少なくとも一方が相異していても良い。すなわち、第1炭素粒子層11の炭素粒子5の種類と第2炭素粒子層11の炭素粒子5の種類は同じであっても良いし相異していても良いし、第1炭素粒子層11の炭素粒子5の塗工量と第2炭素粒子層11の炭素粒子5の塗工量は同じであっても良いし相異していても良い。
炭素粒子層11の塗工方法は限定されるものではなく、その一例について説明すると次のとおりである。
炭素粒子5とバインダー(例:樹脂バインダー)12とバインダー12用溶剤(例:水、アルコール系溶剤)とを混合状態に含有する塗工液(図示せず)を、アルミニウム箔10の条材10Aの塗工予定表面10aに塗工装置(例:ロールコーター)により層状に塗工する。そして、必要に応じて、塗工予定表面10aに塗工された層状の塗工液を乾燥炉等により乾燥することにより当該塗工液から溶剤を除去する。これにより、アルミニウム箔10の条材10Aの塗工予定表面10aにその略全体に亘って炭素粒子層11が塗工(形成)された塗工箔13の条材13Aを得る。このときの炭素粒子層11には炭素粒子5の他、バインダー12が含まれている。
炭素粒子層11の炭素粒子5の塗工量は限定されるものではなく、例えば0.1〜50g/m2に設定される。
次いで、ロールフィン加工装置20の互いに対向状に配置された互いに噛合する一対の歯車状のロール21、21間に塗工箔13の条材13Aをその長さ方向に通すことにより、波状に折曲された折曲箔15の条材15Aを形成する。そして、この条材15Aを切断機(図示せず)等により所定長さに複数切断することにより、図2に示した、波状に折曲された折曲箔15を複数得る。
折曲箔15は、塗工箔13の長さ方向に連続する複数の波部14を有している。これらの波部14の形状及び大きさは互いに同じである。
図2中の符号「P」は折曲箔15(塗工箔13)の波部14のピッチである。ピッチPは互いに隣り合う二つの波頂部14a、14a間の長さである。符号「W」は折曲箔15(塗工箔13)の折曲幅(折り幅)である。折曲幅Wは互いに隣り合う波頂部14aと波底部14bとの間の幅である。符号「14c」は互いに隣り合う波頂部14aと波底部14bとを連結した連結部14cである。連結部14cの幅が折曲幅Wである。
折曲幅Wは、所望する複合材1の幅に応じて設定されるものであり限定されるものではない。塗工箔13の条材13Aを本第1実施形態に示すようにロールフィン加工により波状に折曲する場合には、折曲幅Wは3mm以上30mm以下に設定されることが望ましい。折曲幅Wをこの範囲に設定することにより、塗工箔13の条材13Aをロールフィン加工によって確実に波状に折曲することができる。
折曲箔15の折曲数(即ち、波頂部14aの数と波底部14bの数との合計数)は、所望する複合材1の厚さに応じて設定されるものであり限定されるものではなく、例えば5〜5000である。
折曲箔15は、複合材1を製造するためのプリフォーム17として用いられるものである。プリフォーム17は少なくとも一つの折曲箔15を備えている。本第1実施形態では、プリフォーム17は一つの折曲箔15を備えたものであり、即ち一つの折曲箔15からなるものである。
なお本発明では、プリフォーム17は、一つの折曲箔15を備えたものであることに限定されるものではなく、その他に例えば、互いに重ね合わされた複数の折曲箔15からなるものであっても良い。
以下では、折曲箔15の複数の波部14が密着する方向をプリフォーム17の厚さ方向という。
次に、プリフォーム17を焼結する工程について以下に説明する。
まず、プリフォーム17の厚さを減少させるため、図3に示すように、プリフォーム17を圧縮プレス装置30の圧縮プレス型31内に配置する。
そして、図4に示すように、プリフォーム17を圧縮プレス型31内にてプリフォーム17の厚さ方向の両側から一対の押圧パンチ32、32で複数の波部14が密着する方向に押圧する。これにより、図5に示すように、プリフォーム17が圧縮状態に塑性変形される。このプリフォーム17では、波部14のピッチPは圧縮前のピッチPよりも小さくなっており、即ちプリフォーム17の厚さが減少している。
次いで、図6及び7に示すように、プリフォーム17を複数の波部14が密着する方向に加圧した状態で所定の焼結雰囲気中にて加熱焼結する。これにより、図8に示した複合材1が得られる。
プリフォーム17の焼結方法は限定されるものではない。その焼結方法としては例えば加圧加熱焼結法が用いられ、特に、真空ホットプレス焼結法又は放電プラズマ焼結法が用いられることが望ましい。例えば真空ホットプレス焼結法によるプリフォーム17の焼結条件は次のとおりである。
焼結温度は450〜640℃、焼結時間(即ち焼結温度の保持時間)は10〜300min、プリフォーム17への加圧力は1〜40MPaである。
プリフォーム17を加圧加熱焼結法により焼結する場合について図6及び7を参照して以下に説明する。
図6に示すように、プリフォーム17を焼結装置としての加圧加熱焼結装置40の焼結型41内に配置する。
そして、図7に示すように、プリフォーム17を焼結型41内にて加圧加熱焼結装置40の一対のパンチ42、42でプリフォーム17の厚さ方向の両側から複数の波部14が密着するように加圧する。すると、複数の波部14の連結部14c(図5参照)がプリフォーム17の厚さ方向に積層した状態になる。
このようにプリフォーム17を加圧しながらプリフォーム17を所定の焼結雰囲気(例:非酸化雰囲気)中にて加熱することにより、プリフォーム17を焼結する。これにより、図8に示した上述した複合材1を得る。得られた複合材1では、複数の波部14の連結部14cは積層した状態で接合一体化(詳述すると焼結一体化)されている。
この工程では、プリフォーム17の炭素粒子層11中のバインダー12(図1参照)は、プリフォーム17の温度が略室温からプリフォーム17の焼結温度まで上昇するようにプリフォーム17を加熱する途中で昇華、分散等により消失してプリフォーム17から除去される。
さらに、この工程では、プリフォーム17が上述のように加圧加熱されることにより、アルミニウム箔10のアルミニウムの一部が炭素粒子層11内に浸透して炭素粒子層11内に存在する微細な空隙(例:炭素粒子層11中の炭素粒子5間の隙間)に充填されて、当該空隙が略消滅する。これにより、複合材1の密度が上昇するとともに複合材1の強度が向上する。
また、アルミニウム箔10のアルミニウムの一部が炭素粒子層11内に浸透することによって、炭素粒子層11中の炭素粒子5は複合材1のアルミニウムマトリックス4中に分散した状態になり、その結果、炭素粒子層11が炭素粒子分散層3になる。
ここで、この工程では、上述したようにプリフォーム17の折曲箔15の複数の波部14の連結部14cが積層した状態で接合一体化(焼結一体化)されることから、複合材1の各アルミニウム層2は連結部14cのアルミニウム箔10部分で形成されている。複合材1の各炭素粒子分散層3は互いに重なり合う二つの連結部14cの第1炭素粒子層11部分又は第2炭素粒子層11部分で形成されている。そして、複合材1中に存在する複数のアルミニウム層2はその積層方向(即ち複合材1の厚さ方向T)に蛇行状に繋がっている。
本第1実施形態の複合材1の製造方法によれば、折曲箔15の折曲数を増やすことにより、得られる複合材1の厚さを厚くすることができるし、折曲箔15の折曲数を減らすことにより、得られる複合材1の厚さを薄くすることができる。また、折曲箔15の折曲幅Wを大きくすることにより、得られる複合材1の幅を大きくすることができるし、折曲箔15の折曲幅Wを小さくすることにより、得られる複合材1の幅を小さくすることができる。したがって、複合材1の厚さが厚い場合でも薄く場合でも複合材1の製造作業を容易に行うことができるし、複合材1の幅が大きい場合でも小さい場合でも複合材1の製造作業を容易に行うことができる。
さらに、塗工箔13(塗工箔13の条材13A)において、上述したように、第1炭素粒子層11の炭素粒子5の種類及び塗工量と、第2炭素粒子層11の炭素粒子5の種類及び塗工量は、同じであっても良いし、少なくとも一方が相異していても良い。第1炭素粒子層11の炭素粒子5の種類及び塗工量の少なくとも一方と、第2炭素粒子層11の炭素粒子5の種類及び塗工量の少なくとも一方とが相異している場合には、得られる複合材1の特性(熱伝導性、線膨張特性等)のバリエーションの増大を図ることができる。
さらに、複合材1において、複数のアルミニウム層2はその積層方向に蛇行状に連結されているから、次のような利点がある。
すなわち、プリフォーム17を焼結する工程ではプリフォーム17は複数の波部14が密着する方向に加圧されるので、折曲箔15の炭素粒子層11中の炭素粒子5はこの加圧方向に対して略垂直な方向に配向するとともに、この状態でプリフォーム17が焼結される。そのため、複合材1中の炭素粒子5は複合材1の厚さ方向Tに対して略垂直な方向に配向する。この場合、複合材1の厚さ方向Tに略垂直な方向の熱伝導率は高いが、複合材1の厚さ方向Tの熱伝導率は、複合材1中の炭素粒子5が複合材1の厚さ方向に配向している場合に比べて低い。
しかし、複合材1では、複数のアルミニウム層2がその積層方向(即ち複合材1の厚さ方向)に蛇行状に連結されているので、炭素粒子5が複合材1の厚さ方向Tに対して略垂直な方向に配向することよる複合材1の厚さ方向Tの熱伝導率の低下分を、複数のアルミニウム層2がその積層方向に蛇行状に連結されることで補うことができる。これにより、複合材1はその厚さ方向Tの熱伝導率が高められている。
複合材1は、高い熱伝導性が要求される部材の材料として利用可能である。さらに、複合材1中に炭素粒子5が含有されているので、複合材1は低い線熱膨張性が要求される部材の材料としても利用可能である。例えば、複合材1は、電子部品(例:半導体素子)が搭載される冷却基板を構成する層の材料として好適に利用可能である。
図9及び10は、本発明の第2実施形態に係るアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法を説明する図である。
本第2実施形態の複合材の製造方法では、プリフォーム17を焼結する工程は、プリフォーム17の厚さを減少させるための工程である、プリフォーム17を圧縮プレス型31(図3及び4参照)内で圧縮する工程を備えていない。
すなわち本第2実施形態では、プリフォーム17は、圧縮プレス型31内で圧縮されずに図9に示すように加圧加熱焼結装置40の焼結型41内に配置される。そして、図10に示すようにプリフォーム17を焼結型41内にて加圧加熱焼結装置40の一対のパンチ42、42でプリフォーム17の厚さ方向の両側から複数の波部14が密着するように加圧しながらプリフォーム17を加熱することにより、プリフォーム17を焼結する。これにより複合材1を得る。
本発明では、折曲箔15は、図1に示したロールフィン加工装置20により塗工箔13の条材13Aを波状に折曲して得られたものであることに限定されるものではなく、その他に例えば、次のようにして得られたものであっても良い。
図11〜13は、塗工箔13をプレスフィン加工装置50により波状に折曲して折曲箔15を得る場合を説明する図である。
この場合では、図11に示すように、塗工箔13(又は塗工箔13の条材13A)はプレスフィン加工装置50の互いに対向状に配置された一対のプレス型51、51間に配置される。一方のプレス型51のプレス面51aと他方のプレス型51のプレス面51aは、互いに噛合する波状に形成されている。
そして、図12に示すように、塗工箔13を両プレス型51、51間で挟圧する。これにより、図13に示すように塗工箔13が波状に折曲された折曲箔15が得られる。この折曲箔15が上記第1及び第2実施形態に示したプリフォーム17として用いられる。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
例えば、上記第1実施形態では、炭素粒子層はアルミニウム箔の厚さ方向の一方の片側の表面と他方の片側の表面とにそれぞれ塗工されているが、本発明では、その他に炭素粒子層がアルミニウム箔の厚さ方向の一方の片側の表面だけに塗工されている場合を排除するものではない。
本発明は、アルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法、及びアルミニウム−炭素粒子複合材に利用可能である。
1:アルミニウム−炭素粒子複合材
2:アルミニウム層
3:炭素粒子分散層
4:アルミニウムマトリックス
5:炭素粒子
10:アルミニウム箔
10a:塗工予定面
11:炭素粒子層
13:塗工箔
14:波部
15:折曲箔
17:プリフォーム
20:ロールフィン加工装置
40:加圧加熱焼結装置
50:プレスフィン加工装置
2:アルミニウム層
3:炭素粒子分散層
4:アルミニウムマトリックス
5:炭素粒子
10:アルミニウム箔
10a:塗工予定面
11:炭素粒子層
13:塗工箔
14:波部
15:折曲箔
17:プリフォーム
20:ロールフィン加工装置
40:加圧加熱焼結装置
50:プレスフィン加工装置
Claims (3)
- アルミニウム箔の塗工予定表面に炭素粒子層が塗工された塗工箔が波状に折曲された折曲箔を備えたプリフォームを得る工程と、
前記プリフォームを焼結する工程と、を含み、
前記折曲箔は長さ方向に連続する複数の波部を有しており、
前記プリフォームを焼結する工程では、前記プリフォームを前記複数の波部が密着する方向に加圧した状態で焼結するアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。 - 前記アルミニウム箔は、前記塗工予定表面として、前記アルミニウ箔の厚さ方向の一方の片側の表面からなる第1塗工予定表面と他方の片側の表面からなる第2塗工予定表面とを備えており、
前記塗工箔は、前記アルミニウム箔の前記第1塗工予定表面に第1炭素粒子層が前記第2塗工予定表面に第2炭素粒子層がそれぞれ前記炭素粒子層として塗工されたものであり、
前記第1炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方と、前記第2炭素粒子層の炭素粒子の種類及び塗工量の少なくとも一方とが相異している請求項1記載のアルミニウム−炭素粒子複合材の製造方法。 - アルミニウムマトリックス中に炭素粒子が分散した炭素粒子分散層と前記アルミニウムマトリックスで形成されたアルミニウム層とが交互に複数積層した状態に接合一体化されており、
前記複数のアルミニウム層はその積層方向に蛇行状に連結されているアルミニウム−炭素粒子複合材。
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