JP4490506B1 - 積層シート及びその製造方法、加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の形状に切断加工することができ、高い放熱効果をもつ積層シートを得る。
【解決手段】基体となるのは黒鉛シート11であり、少なくともその一方の主面(上面)にめっき層(金属層)12が形成されている。黒鉛シート11は、黒鉛粉末が圧縮成形されることによって形成される。ここで、その嵩密度は、0.7g/cm以上となるように圧縮されている。嵩密度が0.7g/cm以上となるように黒鉛シート11の嵩密度を調整した上でめっきを施した場合には、黒鉛粉末間に浸透しためっき液の膨張等の悪影響を除去でき、高温における剥離やボイドの発生が抑止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛粉末を圧縮してシート状にした黒鉛シートと金属層との積層構造をもつ積層シート及びその製造方法に関する。また、この積層シートを所望の形状に切断加工する加工方法に関する。
近年のパーソナルコンピュータ等の電気機器においては、搭載される半導体素子の高性能化、高集積化が進み、その発する熱量が大きくなったため、熱対策が特に重要となっている。このため、これらの機器における半導体素子等の熱発生部にはヒートシンクが接合される。この際、熱発生部とヒートシンクとの熱伝導を良好にするために、この間には放熱シートが挿入される。また、特にノート型のパーソナルコンピュータ等、携帯用の機器においては、小型化、軽量化が要求されるため、大型のヒートシンクは用いずに、この放熱シートのみにより放熱を行なう場合もある。放熱シートとこれが貼り付けられる面との熱抵抗は充分小さくする必要があるため、この面の凹凸や曲率に対して充分に追従する柔軟性がある放熱シートが用いられる。従って、放熱シートとしては、軽量であり、高い放熱性と柔軟性を有するものが用いられる。さらに、場合によっては放熱シートは100℃以上の温度になることもあるため、高い耐熱性も必要である。
こうした放熱シートを構成する材料としては、グラファイト構造をもつ黒鉛が軽量かつ高い熱伝導率をもつために好ましい。黒鉛には有機材料に熱処理を施して得られる人工黒鉛と、粉末状態にして用いられる天然黒鉛とがあるが、いずれも単体では500W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有する。これをシート状にした場合にはこれよりも熱伝導率は低下するものの、他の材料よりは高い熱伝導率となる。黒鉛をシート状にした構造を形成するために、例えば特許文献1には、有機高分子シートを1800℃以上の高温で処理することにより黒鉛化した後に圧延化して、柔軟性のある人工黒鉛のシートを得る技術が記載されている。このシートは充分高い熱伝導率を有しているものの、この黒鉛化工程が複雑であり、かつその製造には1ヶ月程度の時間がかかるため、製造コストが高くなった。また、厚いシートを得ることが困難であるという問題点もあるため、この方法では実用的な放熱シートは得られなかった。
一方、グラファイト構造をもつ天然黒鉛の粉末を利用する場合には、上記と同程度の放熱性のものを低コストで得ることができた。この場合の粉末は、例えば、天然黒鉛を粉砕し、これに硫酸を染み込ませることによりグラファイト層間に酸が挿入された構造を形成した後に800℃程度に急速加熱して酸の熱分解を急速に発生させ、その際に発生した圧力でグラファイト層間の結合を破壊することにより得られる。これにより、グラファイト構造が保たれることにより高い熱伝導率をもった天然黒鉛の粉末(膨張黒鉛)が得られた。この粉末をシート状に配置したものをロール圧延することにより黒鉛シートが形成された。ただし、結合材を用いずにこのシートを形成した場合にはその熱伝導率は高くなるものの、黒鉛の粉末がシートから脱落するという問題があった。このため、この黒鉛シートを金属箔で挟み込んだ構造(ラミネート構造)の積層シートとされ、この金属箔としては例えばアルミニウム箔が用いられた。アルミニウム等の金属と黒鉛との直接接合は困難であるため、この積層シートの製造方法としては、例えば特許文献2に、黒鉛シートの両面にそれぞれ薄い接着剤シートを介してアルミニウム箔を加温・加圧状態で接合することが記載されている。この場合の接合温度は300℃以下の低温であるため、その製造工程も容易であり、前記の人工黒鉛シートの場合と比べてその製造コストは大幅に低くなった。この積層シートは、高い放熱性および柔軟性をもち、かつ低コストで得られた。この積層シートにおいては、面方向の熱伝導率は300W/(m・K)程度、厚さ方向の熱伝導率は8W/(m・K)程度のものが得られた。一方、厚さ方向の熱伝導率は、放熱シートと同様の用途で用いられるシリコーン樹脂が3W/(m・K)程度であることと比較するとやはり大幅に高く、実用的なものとなった。
ただし、こうした積層シートは使用目的(放熱する対象の機器の形状等)に応じ、例えば複数の開口部を設けられたり、所望の形状に切断加工されて使用される場合が多い。こうした場合には、積層構造において黒鉛シートがその切断面で露出し、黒鉛シートを構成する黒鉛粉末が脱落・飛散することがある。この点を考慮して、特許文献3には、端部で上下の金属箔を張り合わせ、黒鉛シートが露出しない構成をもつ積層シートが記載されている。
また、この天然黒鉛を用いた積層シートは高い圧縮性をもち、化学的にも安定であるという特徴ももつ。このため、放熱材料以外としても、有毒なアスベストの代替として、ガスケットやパッキン等にも用いられている。また、黒鉛の高い電気伝導性を利用して、電磁気遮蔽材料として使用することもできる。特許文献4には、こうした用途に用いるための、黒鉛シートを基体とし、その表面に金属層が形成された積層シートが記載されている。この積層シートは、黒鉛シートに対してめっきを行うことにより形成され、金属層によって黒鉛粉末の脱落は抑制され、更に、黒鉛粉末間もめっきで形成された金属で補強される。従って、この積層シートを、ガスケット、電磁気遮蔽材料等として有効に用いることができた。
特開平10−330177号公報 特開平10−247708号公報 特開2006−165482号公報 特開平3−197129号公報
放熱材料として用いられる特許文献2や特許文献3に記載の積層シートを製造するに際しては、黒鉛粉末からなる黒鉛シートと、金属箔との接合を行うことが必要となる。これらの技術においては、この接合は、接着剤(樹脂層)により行われた。しかしながら、接着剤は一般に黒鉛よりも大幅に低い熱伝導率をもつため、接着剤の存在によってこの積層シートの熱伝導率は低下する。
また、特許文献2に記載の技術においては、前記の通り、切断加工を行った場合に、その切断面において黒鉛粉末が脱落するという問題が発生する。特許文献3に記載の技術においては、黒鉛粉末の脱落は防止できるものの、金属箔同士が張り合わされたこの端部は、この積層シートの放熱フィンとして機能するだけであり、この積層シートを貼り付けた機器からの伝熱には直接寄与しない。また、この構成を実現するためには、積層シートの形状は限定され、これを任意の形状とすることはできないため、この積層シートを所望の形状として用いることは実際には困難である。従って、特許文献2や特許文献3に記載の積層シートを任意の形状に加工して高い放熱効果をもたせることは困難であった。
特許文献4に記載の積層シートは任意の形状に切断加工することができ、熱伝導率の低い接着剤は使用されておらず、かつ、常温におけるその切断面からの黒鉛粉末の脱落も抑制される。しかしながら、めっきを施す際には、黒鉛シート中の黒鉛粒子間にもめっき液が浸透し、かつめっき時の温度は100℃以上となることがあり、めっき液が蒸発・膨張することがある。このため、例えば、めっき後にこの積層シートを高温にすると、残留しためっき液が蒸発することにより、めっき層に剥離やボイドが発生することがあり、黒鉛粉末の脱落や熱伝導率の低下が発生した。こうした状況は、特許文献4に記載されているような、常に圧縮した状態で使用されるガスケット、パッキン等、あるいは常温で使用される電磁波遮蔽用として用いる場合には特に問題にはならない。しかしながら、これを放熱シートとして用いる場合には、使用時に圧縮した状態となるとは限らず、かつ高温となるため、こうした剥離やボイドによって放熱特性は大きく劣化する。従って、安定して高い放熱特性を得ることは困難である。
従って、任意の形状に切断加工することができ、高い放熱効果をもつ積層シートを得ることは困難であった。
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記の問題点を解決する積層シート、その製造方法、加工方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明の積層シートの製造方法は、黒鉛粉末からなる黒鉛シートの表面に金属層が形成された構成の積層シートを製造する、積層シートの製造方法であって、嵩密度が0.5g/cm以下である黒鉛粉末からなる黒鉛シートを加圧し、前記黒鉛シートの嵩密度を0.7g/cm以上にする圧縮工程と、該圧縮工程後に、めっきによって前記金属層を形成するめっき工程と、を具備することを特徴とする。
発明の積層シートの加工方法は、黒鉛粉末からなり、嵩密度が0.7g/cm以上である黒鉛シートと、めっきによって前記黒鉛シート表面に形成された金属層とを具備する積層シートを切断して所望の形状にする、積層シートの加工方法であって、所望の形状となるように前記積層シートを切断加工した後に、めっきを行うことにより、切断面において露出した前記黒鉛シート上に金属層を形成することを特徴とする。









本発明は以上のように構成されているので、任意の形状に切断加工することができ、高い放熱効果をもつ積層シートを得ることことができる。
本発明の実施の形態に係る積層シートの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る積層シートの製造方法を示す工程断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態となる4種類の積層シートの構造を示す断面図である。どの積層シートにおいても、基体となるのは黒鉛シート11であり、少なくともその一方の主面(上面)にめっき層(金属層)12が形成されている。
黒鉛シート11は、黒鉛粉末が圧縮成形されることによって形成される。ここで、その嵩密度は、0.7g/cm以上となるように圧縮されている。
第1の形態(図1(a))となる積層シート10においては、黒鉛シート11の両主面(上面、下面)及び左右の両端面にめっき層(金属層)12が形成されており、黒鉛シート11は露出していない構成とされる。めっき層12は、熱伝導率が高くかつめっきで成膜できる金属として、例えば銅、金、ニッケル、銀のいずれかを主成分とし、その厚さは1μm以上であることが好ましい。また、このめっき層12は、めっき浴中での電解めっきによって形成される。
第2の形態(図1(b))となる積層シート20においては、黒鉛シート11の上面、下面にのみ上記のめっき層12が形成されている。この形態は、図1(a)中の2箇所において上下方向で前記の積層シート10を切断した場合に相当する。すなわち、この構造は上記の積層シート10を切断加工した場合の構造に対応する。
第3の形態(図1(c))となる積層シート30においては、黒鉛シート11の一方の主面(上面)と両端面にめっき層12が形成されている。黒鉛シート11の他方の主面(下面)には、樹脂層31が形成されている。樹脂層31は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等で構成される。この構造においては、その機械的強度等は充分であるが、樹脂層31の熱伝導率は、黒鉛シート11、めっき層12に比べて大幅に低い。従って、この積層シート30は、樹脂層31を介した熱伝導が必要とされない用途において有効に用いられる。
第4の形態(図1(d))となる積層シート40においては、黒鉛シート11の上面にめっき層12が形成され、下面には樹脂層31が形成されている。この形態は、図1(c)中の2箇所において上下方向で前記の積層シート30を切断した場合に相当する。すなわち、この構造は積層シート30を切断加工した場合の構造に対応する。樹脂層31を介した熱伝導が必要とされない用途において有効に用いられる点については、積層シート30と同様である。
上記の構造を製造する際には、基体となる黒鉛シート11の嵩密度が0.7g/cm以上となるように圧縮を行い(圧縮工程)、その後でめっきによってめっき層12が形成される(めっき工程)。黒鉛粉末からなる黒鉛シート11上にめっきを施すという点では特許文献4に記載の技術と同様であるが、発明者は、嵩密度が0.7g/cm以上となるように黒鉛シート11の嵩密度を調整した上でめっきを施した場合には、黒鉛粉末間に浸透しためっき液の膨張等の悪影響を除去でき、高温における剥離やボイドの発生が抑止できることを知見した。
図2は、図1(c)の構造の積層シート30を製造する方法の一例を示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示されるように、樹脂層31を準備し、その上で黒鉛粉末をシート状に形成し、黒鉛シート11とする。樹脂層31は、前記の通り、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等で構成されたシートであり、その厚さは例えば50μmであり、一般的な樹脂シートとして製造、市販されたものを用いることができる。
ここで用いられる黒鉛粉末としては、グラファイト構造が保たれ、高い熱伝導率をもち、安価であることから、天然黒鉛が粉末化された膨張黒鉛が特に好ましく用いられる。膨張黒鉛は、例えば、天然黒鉛を粉砕し、これに硫酸を染み込ませることによりグラファイト層間に酸が挿入された構造を形成した後に800℃程度に急速加熱して酸の熱分解を急速に発生させ、その際に発生した圧力でグラファイト層間の結合を破壊することにより得られる粉末である。その平均粒径は0.5〜500μm程度が好ましい。膨張黒鉛の熱伝導率は500W・(m・K)以上と極めて高いため、これにより構成された黒鉛シート11の熱伝導率を高くすることができる。なお、黒鉛粉末を構成する黒鉛結晶の理想的な密度は2g/cm以上であるが、この黒鉛粉末をシート状にした状態での嵩密度は、一般には0.5g/cm以下と低い。
次に、図2(b)に示されるように、黒鉛シート11を一軸加圧することにより、圧縮し、黒鉛シート11の嵩密度が0.7g/cm以上となるように調整する(圧縮工程)。この嵩密度の調整は、例えば、黒鉛シートの厚さと嵩密度との関係を予め測定しておき、加圧後の厚さを測定することによって行うことができる。同様に、プレス圧力、時間等と嵩密度の関係を予め測定しておき、プレス圧力、時間等を調整することによって嵩密度を調整してもよい。すなわち、圧縮工程において嵩密度を調整する方法は任意である。なお、嵩密度を高めることによって、黒鉛シート11の熱伝導率も上昇し、グラファイト構造の黒鉛結晶の熱伝導率に近づく。
これにより、図2(c)に示されるように、樹脂層31上に、嵩密度が0.7g/cm以上とされた黒鉛シート11が形成される。この積層シート30においては黒鉛シート11が基体となるため、この状態での黒鉛シート11の厚さは、積層シート30の機械的強度や反りに対する耐性を確保するという観点から、0.05mm以上とすることが好ましい。
次に、図2(d)に示されるように、この状態でめっきを行い、めっき層12を形成する(めっき工程)。めっき層12を構成する金属は、例えば銅、金、ニッケル、銀のいずれかであり、これらのイオンが含有されためっき液(めっき浴)中での電解めっきによってめっき層12は形成される。その厚さは電解めっきにおいては電流密度、時間等を制御することによって調整が可能であり、1μm以上の厚さとすることが好ましい。黒鉛シート11は導電体であるため、黒鉛シート11が露出している上面と左右の端面にめっき層12を形成することが可能であり、図1(c)の形状が実現できる。
黒鉛シート11は黒鉛粉末で構成されるため、このめっきの際に、めっき液は黒鉛シート11中の黒鉛粒子間にも浸透する。しかしながら、黒鉛シート11の嵩密度を0.7g/cm以上とすることにより、黒鉛粒子間に残留しためっき液の影響、あるいは、浸透して残留しためっき液によって発生する剥離やボイドの影響を除去できる。一方、めっき層12が形成される際に、黒鉛粒子間もめっきによって補強されるため、黒鉛粉末の脱落は生じにくくなる。すなわち、図1(b)(c)の形態のように、端面で黒鉛シート11が露出した場合においても、黒鉛粉末の脱落は抑制される。
ただし、めっき層12の厚さが1μm未満と薄い場合には、黒鉛シート11上において一様なめっき層12を形成することが困難であり、黒鉛シート11全面を被覆することができない場合がある。特に、上面と端面とが交わる角の部分においてはめっきの成長が遅くなるため、この部分では充分にめっき層12が形成されず、黒鉛シート11が露出し、黒鉛粒子間の補強も不充分となるため、黒鉛粉末の脱落が発生しやすい。従って、めっき層12の厚さは1μm以上とすることが好ましい。
従って、製造後の積層シート30においては、黒鉛粉末の脱落が抑制され、高い熱伝導率が一様に得られる。また、この積層シート30を切断して任意の形状とすることができ、これを高温にしても、高い放熱効果は保持される。
なお、図2の製造方法は図1(c)の構造の積層シート30を製造する方法であるが、図1における他の構造の積層シートも、めっきを行なう際の形態が異なるだけであり、黒鉛シート11における嵩密度を同様に設定(圧縮工程)した後で、めっきを行う(めっき工程)ことにより、同様に製造することができる。この際、黒鉛シート11上のめっき層12を全て同時に形成する必要はなく、例えば、図1(b)に示された積層シート20の上面におけるめっき層12と下面におけるめっき層12とを、それぞれ別々に形成してもよい。
また、例えば、図1のいずれかの構成の積層シートを切断、あるいは開口部を形成することは、任意の切断具を用いて行うことができる。前記の通り、この切断面からの黒鉛粉末が脱落することは抑制されるが、更にこの抑制効果を高めるためには、この加工後に再度前記のめっき工程を行うことが好ましい。この場合には、この切断面においても、図1(a)(c)における端面と同様に、めっき層を形成することができ、黒鉛粉末の脱落を更に抑制することができる。黒鉛シート11の嵩密度が0.7g/cm以上に設定されていることによって、この際にめっき液が黒鉛粒子間に浸透することによる悪影響は、前記と同様に除去される。また、特許文献3に記載の技術とは異なり、この積層シートを任意の形状に切断加工した後でも、このめっき工程を容易に行うことができる。すなわち、この積層シートを任意の形状とし、かつ黒鉛粒子の脱落を抑制することができる。
特に、積層シートに対して微細な開口を設けることが必要な場合もある。こうした場合には、例えば特許文献3に記載の構造では、開口の内側の切断面をシールすることは困難である。これに対して、上記のように、めっきを行う場合には、開口の形状や大きさによらず、開口の内側の切断面をシールし、黒鉛粒子の脱落を抑制することが容易である。この際、黒鉛シート11の嵩密度が0.7g/cm以上とされていることによって、良好なめっき層を形成することができる。
実際に、上記の構造の積層シートを製造し、その特性として熱伝導率を測定した。また、この積層シートを加熱し、めっき層等の剥離やボイドが発生するか否かを調べた。ここで黒鉛シートの原料として用いられた黒鉛粉末は、天然黒鉛粉末を急激に膨張させて粉砕された粉末である。
(実施例1)
黒鉛シートとして、嵩密度1.0g/cm、厚さ0.1mmのものを一軸加圧を用いて作成した。この黒鉛シートの熱伝導率は、面方向で300W/m・K、厚さ方向では8W/m・Kであった。この黒鉛シートの両面に厚さ5μmの銅を電解めっきで形成し、図1(a)の構造の積層シートを製造した。その後、大気中でこの積層シートを120℃に加熱したところ、めっき層(銅)の剥離やボイドは全く見られなかった。なお、銅の代わりに、銀、ニッケル、金を用いた場合でも同様の結果が得られた。
(比較例1)
上記と同様の黒鉛シートの両面に、めっき層を形成する代わりに、厚さ20μmのアルミニウム箔を厚さ10μmの粘着シートで貼り付けた構造の積層シートを製造した。
実施例1、比較例1の積層シートを25×100mmの大きさに切り出し、発電量30Wの半導体素子に貼り付け、その放熱性を調べた。その結果、実施例1の積層シートを用いた場合には、比較例1の積層シートを用いた場合と比べて10℃の温度の低減が認められた。厚さ方向の熱伝導率を測定したところ、比較例1の積層シートでは2.4W/m・Kであったのに対し、実施例1の積層シートでは8.5W/m・Kであった。この差は、比較例1においては熱伝導率の低い接着剤が熱伝導を阻害しているのに対し、実施例1では、こうした熱伝導率の低い層が用いられていないことに起因する。なお、実施例1を上記の大きさに切り出した際に、黒鉛シートからの黒鉛粉末の脱落は発生しなかった。
(実施例2)
黒鉛シートとして、嵩密度を0.7g/cmとした以外は実施例1と同様のものを作成した。この黒鉛シートの面方向の熱伝導率は240W/m・Kであった。この黒鉛シートに実施例1と同様のめっき層を形成した後で、同様に120℃での加熱試験を行った。その結果、実施例1と同様に、剥離やボイドは全く発生しなかった。
(比較例2)
黒鉛シートとして、嵩密度を0.6g/cmとした以外は実施例1、2と同様のものを作成した。この黒鉛シートの熱伝導率は、面方向で210W/m・K、厚さ方向で6W/m・Kであった。この黒鉛シートに実施例1、2と同様のめっき層を形成した後で、同様に120℃での加熱試験を行った。その結果、めっき層にボイドが発生し、120℃においては最大で10mmφ程度の大きさのボイドが見られた。
(実施例3)
実施例1と同様の黒鉛シートに対し、めっき層として1μmの厚さの銅を形成した。その120℃における耐熱性、熱伝導率は、実施例1と同等であった。
(比較例3)
実施例1と同様の黒鉛シートに対し、めっき層として0.5μmの厚さの銅を形成した。その結果、黒鉛シートの全面にわたってめっき層を形成することができず、部分的に黒鉛シートが露出した。
(実施例4)
厚さを0.05mm以下とした以外は実施例1と同様の黒鉛シートを用い、実施例1と同様のめっき層を形成した。この場合には、基体となる黒鉛シートが薄すぎ、機械的強度が保たれないために、反りが発生した。また、この反りを矯正した場合には、めっき層に割れが発生した。
10、20、30、40 積層シート
11 黒鉛シート
12 めっき層(金属層)
31 樹脂層

Claims (2)

  1. 黒鉛粉末からなる黒鉛シートの表面に金属層が形成された構成の積層シートを製造する、積層シートの製造方法であって、
    嵩密度が0.5g/cm以下である黒鉛粉末からなる黒鉛シートを加圧し、前記黒鉛シートの嵩密度を0.7g/cm以上にする圧縮工程と、
    該圧縮工程後に、めっきによって前記金属層を形成するめっき工程と、
    を具備することを特徴とする積層シートの製造方法。
  2. 黒鉛粉末からなり、嵩密度が0.7g/cm以上である黒鉛シートと、めっきによって前記黒鉛シート表面に形成された金属層とを具備する積層シートを切断して所望の形状にする、積層シートの加工方法であって、
    所望の形状となるように前記積層シートを切断加工した後に、めっきを行うことにより、切断面において露出した前記黒鉛シート上に金属層を形成することを特徴とする、積層シートの加工方法。
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