JP5059338B2 - 炭素繊維強化アルミニウム複合材およびその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化アルミニウム複合材およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、マトリックス中に炭素繊維を分散させた炭素繊維強化アルミニウム複合材およびその製造方法に関する。
近年、マトリックス金属に無機繊維を分散させた種々の繊維強化金属複合材が開発されている。例えばアルミニウム合金に炭素繊維を分散させた炭素繊維強化アルミニウム複合材は、軽量でありながら強度、摺動性、耐摩耗性に優れた材料として、自動車用のエンジン部品、足回り部品、ブレーキ部品として用いられている。また、高熱伝導性、低熱膨張性を有することから、各種電子部品や基板としても広く用いられている。
前記炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法としては、炭素繊維からなる織物や不織布にマトリックス金属の溶湯を含浸させて冷却固化する方法(特許文献1、2)、エラストマー中に炭素繊維を分散させた複合材料とを混合し、エラストマーを熱分解して除去した後に冷却固化する方法(特許文献3)、短い炭素繊維とマトリックス金属粉末を混合しホットプレス等により固形化する方法(特許文献1、4)等がある。
また、炭素繊維がマトリックス金属に濡れ難い場合は炭素繊維が均一に分散されないため、炭素繊維表面をマトリックス金属に対して親和性の良い金属やセラミックで被覆することも行われている。例えば、特許文献1では炭素繊維をクロムまたはチタンで被覆することが提案され、特許文献2では炭素繊維をアルミナで被覆することが提案され、特許文献4では炭素繊維表面にグラファイトを生成させることが提案されている。
また、炭素繊維が500℃以上の高温に加熱されると、アルミニウムとの界面に脆いAl43が生成し、十分な強度が得られないことがある。このような観点からも炭素繊維表面を被覆してアルミニウムとの界面に炭化物を生成させないことは重要である。
特開平10−330865号公報(請求項1、[0027][0028]) 特開2005−29813号公報(請求項1) 特開2005−8989号公報(請求項1) 特開2005−23419号公報(請求項1)
しかしながら、炭素繊維が高温に加熱されると著しく強度が低下するため、炭素繊維に溶湯を含浸させる製造方法では十分な強度が得られない。しかも炭素繊維からなる織物や不織布に溶湯を含浸させた複合材では、炭素繊維が存在する部分と存在しない部分とで強度に差が生じ、均一な強度が得られない。
また、炭素繊維とマトリックス金属粉末の混合物を固形化した複合材では、マトリックス中に炭素繊維が均一に分散しにくく、均一な組織を有する複合材の製造が困難である。また、固形化した段階である程度均一に分散している場合でも、所要形状に塑性加工すると炭素繊維が凝集したり絡み合うことがあり、最終製品において均一な組織が得られないことがある。
炭素繊維を分散させたエラストマーと溶湯を混合する方法は、炭素繊維の均一分散という点では優れているが、炭素繊維とアルミニウムとが直接接触するために脆い炭化物が生成されるおそれがある。また、溶湯を用いる以上炭素繊維が高温に加熱されることは免れない。
本発明は、上述した背景技術に鑑み、炭素繊維を脆化させることなく均一に分散された炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法の提供を目的とする。
即ち、本発明の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法は下記〔1〕〜〔10〕に記載の構成を有する。
〔1〕 炭素繊維を金属でめっきする第1工程と、
第1工程で得ためっき炭素繊維とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属粉末との混合物に機械的エネルギーを付与し、金属粒子とめっき炭素繊維の複合化により金属粒子の表面がめっき炭素繊維で被覆された粉末状のアルミニウム複合材料を形成する第2工程と、
第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料を成形して固形化する第3工程とを行うことを特徴とする炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔2〕 第3工程で固形化した炭素繊維強化アルミニウム複合材を塑性加工により成形する第4工程を行う前項1に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔3〕 第1工程において、めっき用金属はニッケルである前項1または2に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔4〕 第1工程において、炭素繊維とめっき金属と質量比が1:3〜1:50となるようにめっきする前項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔5〕 前記炭素繊維の平均直径が50〜200nm、平均長さが30〜200μmである前項1〜4のいずれ1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔6〕 前記金属粒子の平均粒径が10〜150μmである前項1〜5のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔7〕 第2工程をメカノフージョンにより行う前項1〜6のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔8〕 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材中の炭素繊維含有量が5〜60vol%である前項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔9〕 第3工程において、粉末状のアルミニウム複合材料を等方圧プレスにより固形化する前項1〜8のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
〔10〕 第4工程において、ビレット実体温度380〜450℃、押出速度0.05〜1m/minで押出成形する前項2〜9のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
また、本発明の炭素繊維強化アルミニウム複合材は下記〔11〕〜〔16〕に記載の構成を有する。
〔11〕 前項1〜10のいずれか1項に記載された炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法により製造されたことを特徴とする炭素繊維強化アルミニウム複合材。
〔12〕 アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属粒子の表面が金属でめっきされた炭素繊維で被覆されてなる粉末状のアルミニウム複合材料が、固形化され、さらに塑性加工により成形されてなることを特徴とする炭素繊維強化アルミニウム複合材。
〔13〕 前記金属粒子の平均粒径が10〜150μmである前12に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
〔14〕 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材は、自動車用部品または電子部品である前項12または13に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
〔15〕 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材が自動車用部品であり、炭素繊維含有量が10〜40vol%である前項14に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
〔16〕 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材が電子部品であり、炭素繊維含有量が30〜60vol%である前項14に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
また、本発明のアルミニウム複合材料の製造方法は、下記〔17〕に記載の構成を有する。
〔17〕 炭素繊維を金属でめっきする第1工程と、
第1工程で得ためっき炭素繊維とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属粉末との混合物に機械的エネルギーを付与し、複合化により金属粒子の表面がめっき炭素繊維で被覆された粉末状のアルミニウム複合材料を形成する第2工程とを行うことを特徴とするアルミニウム複合材料の製造方法。
〔1〕にかかる発明によれば、金属粒子が炭素繊維で被覆された粉末状のアルミニウム複合材料を固形化することで炭素繊維を均一に分散させることができ、優れた強度および熱特性を有する炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できる。
〔2〕にかかる発明によれば、塑性加工によってさらに強固な組織が得られ、かつ所望形状の炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できる。
〔3〕にかかる発明によれば、ニッケルとアルミニウムとの高い親和性により炭素繊維の均一分散性が特に良好である。
〔4〕〔5〕にかかる各発明によれば、炭素繊維の均一分散性が特に良好である。
〔6〕にかかる各発明によれば、第3工程の固形化時に特に充填率の高い炭素繊維強化アルミニウム複合材が得られる。
〔7〕にかかる発明によれば、金属粒子の粉砕、炭素繊維の切断やめっきの剥離がなく、材料の特性を損なわずに金属粒子と炭素繊維を複合化させることができる。
〔8〕にかかる発明によれば、特に優れた強度および熱特性を有する炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できる。
〔9〕にかかる発明によれば、内部欠陥の少ない炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できる。
〔10〕にかかる発明によれば、優れた強度および熱特性を有し、かつ所要形状の炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できる。
〔11〕にかかる発明は、マトリックス中に炭素繊維が均一に分散し、優れた強度および熱特性を有する炭素繊維強化アルミニウム複合材である。
〔12〕にかかる発明は、マトリックス中に炭素繊維が均一に分散し、優れた強度および熱特性を有する炭素繊維強化アルミニウム複合材である。
〔13〕にかかる発明によれば、特に優れた強度および熱特性を有する。
〔14〕にかかる発明は、優れた強度および熱特性を有する自動車用部品または電子部品である。
〔15〕にかかる発明は、特に優れた強度を有する自動車用部品である。
〔16〕にかかる発明は、特に優れた熱特性を有する電子部品である。
〔17〕にかかる発明によれば、マトリックス中に炭素繊維が均一に分散された粉末状のアルミニウム複合材料を製造でき、このアルミニウム複合材料は優れた特性を有する炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造材料となし得る。
本発明にかかる炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法の一例として、下記の4つの工程を順次実施する製造方法を示す。
第1工程:炭素繊維にめっきする
第2工程:金属粒子とめっき炭素繊維を複合化する
第3工程:粉末を固形化する
第4工程:塑性加工により所要形状に成形する
以下に、上記各工程について使用する材料とともに詳述する。
[第1工程]
炭素繊維とマトリックスとなるアルミニウムとの濡れ性を高めるために、炭素繊維をアルミニウムと親和性を有する金属でめっきする。めっきされていない炭素繊維はアルミニウムに濡れにくいために凝集し易く、第2工程の材料粉末の混合時に金属粉末中に均一に分散されないばかりか、第3工程の固形化時あるいは第4工程の塑性加工時にも凝集し易くなる。また、表面をめっきで被覆することにより、炭素繊維とマトリックスとなる金属(以下、マトリックス金属と称する)の接触による脆い炭化物の生成を防ぎ、炭素繊維強化アルミニウム複合材の強度を確保することができる。
炭素繊維は、強化材となるものであればその種類は限定されない。本発明で使用する炭素繊維としては、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、気相法成長炭素繊維、SiCファイバー等を例示できる。
前記炭素繊維は、マトリックス金属粒子を被覆してマトリクス中に均一分散させるために、平均直径50〜200nm、平均長さ10〜200μmの範囲のものを用いることが好ましい。特に好ましい平均直径は100〜150nm、特に好ましい平均長さは30〜50μmである。
また、めっき用金属として、アルミニウムに対して親和性の良いニッケル、銅、クロムを例示でき、特にニッケルを推奨できる。また、めっき方法は限定されないが、無電解めっきを例示できる。
めっき処理において、炭素繊維に対する好ましいめっき量は、質量比で炭素繊維:めっき金属=1:3〜1:50である。なお、前記炭素繊維は極めて細いものであり、めっき量をめっき厚さで正確に表すことは困難であるため、本発明においてはめっき量を炭素繊維とめっき金属の質量比で規定する。めっき量が1:3に満たない場合は十分に濡れ性を向上させることができず、1:50を超えると相対的に炭素繊維量が少なくなって十分な強化効果が得られない。特に好ましいめっき量は1:5〜1:10である。
なお、炭素繊維表面は必ずしも完全にめっきに覆われていなくても良い。換言すれば炭素繊維が部分的に露出していても良い。
[第2工程]
マトリックス金属粒子の表面を、第1工程で得ためっき炭素繊維で被覆し、粉末状のアルミニウム複合材料を形成する。
マトリックス金属は純アルミニウムまたはアルミニウム合金であり、アルミニウム純度や合金組成は限定されず、炭素繊維強化アルミニウム複合材の用途に応じて任意に用いることができる。例えば、純アルミニウム、Al−Cu系合金、Al−Mg系合金、Al−Si系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金を例示できる。また、合金の場合は、合金粉末を使用する他、金属単体の粉末を所要比率で混合し、第3工程および第4工程で合金化することもできる。
前記マトリックス金属粉末の平均粒径は、第3工程の固形化時に充填率の高い成形体を得やすい点で10〜150μmが好ましく、特に80〜120μmが好ましい。
本工程では、めっき炭素繊維とマトリックス金属粉末を所定割合で配合した混合物に機械的エネルギーを与えて複合化し、マトリックス金属粒子の表面をめっき炭素繊維で被覆する。なお、マトリックスとなる金属粒子の表面は必ずしも完全にめっき炭素繊維に覆われていなくても良い。換言すれば金属粒子が部分的に露出していても良い。具体的な複合化方法として、メカノフージョンと称される微粒子粉体処理方法を適用できる。メカノフージョンは微粒子粉末に機械的エネルギーを加え、粒子を界面で結合させて複合化された微粒子を作製する技術であり、ホスト粒子の表面にゲスト粒子を結合させてゲスト粒子の表面改質を行う場合や粒子形状の制御等に用いられている。かかるメカノフージョンは、機械的エネルギーの付与により行うものであるから、材料粒子を溶解させずかつバインダーを用いることもなく粒子の結合を行う。ボールミルやアトライターのように粒子の粉砕や合金化を目的とする処理とは異なり、マトリックス金属粒子の粉砕、炭素繊維の切断やめっきの剥離がなく、材料の特性を損なうことなく強固な結合が行われる。また、ボールミルで発生するようなボールおよびミルからのコンタミネーションもなく、マトリックス金属粒子とめっき炭素繊維を複合化することができる。しかも、炭素繊維はめっきによりマトリックス金属粒子との親和性が改善されているため、処理中に炭素繊維が凝集することなくマトリックス金属粒子表面を均一に被覆し、粉末全体から見るとマトリックス金属中に炭素繊維が均一分散したアルミニウム複合材料が得られる。しかも、アルミニウム粒子と炭素繊維との間にはめっき金属が介在しているため、これらが直接接触することなく分散している。また、マトリックス金属粒子とめっき炭素繊維は強固に結合されているから、第3工程または第4工程において炭素繊維が脱落することもない。
本発明の第2工程を実施する装置は特に限定されず、例えば粉末の混合に用いるヘンシェルミキサーを低回転数で長時間処理することによって実施することができる。
また、前記メカノフージョンの処理装置として図1に示す粉体処理装置(1)を例示できる。この粉体処理装置(1)は、円筒状回転体(2)と押圧ヘッド(3)を有するインナーピース(4)を同心状に配置して前記回転体(2)の内周面と押圧ヘッド(3)の外周面の間に押圧空間を形成したものである。そして、前記回転体(2)とインナーピース(4)を相対的に回転させ、押圧空間にある被処理物(S)に押圧力とせん断力を付与して粒子の複合化を行う。また、前記回転体(2)の内周面に押し付けられた被処理物はスクレーパ等で掻き落とされ、再度押圧空間に供給して押圧力およびせん断力の付与が繰り返される。このような羽根やスクリュー等の撹拌部材を有さず押圧力やせん断力で複合化する手法はノビルタ処理と称され、炭素繊維およびマトリックス金属粒子の粉砕を最小限に抑えることができ、撹拌部材からのコンタミネーションも最小限に抑えることができる。
[第3工程]
第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料をプレス等で成形して固形化し、ハンドリング可能な炭素繊維強化アルミニウム複合材を形成する。成形前の粉末状態において炭素繊維の均一分散が達成されているので、所定量の炭素繊維が均一に分散した成形体が得られる。また、炭素繊維はめっきされているから直接アルミニウムと接触することがなく、脆い炭化物の生成もない。
成形方法は限定されないが、内部欠陥を最小限に抑えることができる点で等方圧プレスを推奨できる。また、粉末が高密度に充填された成形体を形成できる限り、冷間、熱間も問わない。熱間で成形した方が充填率が高く強固な組織を形成することができるが、所要の充填率が達成できれば冷間のみで成形してしても良く、プレスによる固形化と加熱処理を別工程で行っても良い。充填密度を可及的に高める成形方法として、冷間等方圧プレスで成形した後、熱間等方圧プレスで焼結してさらに充填率を高める工程を推奨できる。固形化した成形体の充填率は限定されないが、最終製品の高強度を得るために60%以上が好ましい。また、プレス以外の成形方法としては衝撃による固形化を例示できる。また加熱方法も限定されず、上述した熱間等方圧プレス以外の加熱方法としてプラズマ焼結を例示できる。
[第4工程]
第3工程で固形化した炭素繊維強化アルミニウム複合材を、さらに塑性加工によって所望形状に成形する。また、塑性加工によって成形体の充填率が向上してさらに強固な組織が形成される。
炭素繊維はめっきされているので塑性加工時に強いせん断力を受けても凝集することはなく、炭素繊維が均一に分散した塑性加工品が得られる。
塑性加工方法は限定されず、製品形状に応じて押出、引抜、圧延、鍛造等任意の加工方法を適宜選択することができ、2種以上の加工方法を組み合わせることも任意である。
押出で成形する場合は、押出時に炭素繊維を切断しないように、炭素繊維を含まないアルミニウム材の押出よりも低速で加工することが好ましい。具体的には、押出条件をビレット実体温度380〜450℃、コンテナ温度380〜450℃、押出速度0.05〜1m/minとすることが好ましい。前記条件で押出加工することにより、炭素繊維を切断することなく均一分散状態を保ち、かつ表面品質の良い製品が成形品が得られる。特に好ましい押出条件は、ビレット実体温度400〜200℃、コンテナ温度400〜420℃、押出速度0.1〜0.3m/minである。圧延等他の加工方法においても同様に低速で加工することが好ましい。
上述した炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法において、複合材中の炭素繊維含有量は、用途に応じて任意に設定することができる。下限値は限定されないが、5vol%以上で強度向上効果が認められ、60vol%以下である。好ましい炭素繊維含有量は用途によっても差があり、熱膨張係数の低減または熱伝導率の向上を目的とする場合は30〜60vol%が好ましく、機械的性質の向上を目的とする場合は10〜40vol%が好ましい。前記炭素繊維の含有量は、第2工程においてマトリックス金属粉末とめっき炭素繊維の配合割合で調整する。
以上の説明は、第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料を第3工程で固形化しさらに第4工程で塑性加工することにより、所要形状の炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造する方法である。本発明は上述した工程以外でも炭素繊維強化アルミニウム複合材を得ることができる。例えば、第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料を、第3工程を行うことなく押出、圧延、鍛造等により所要形状に成形することもできる。また、第3工程で得た成形体、あるいは第3工程で得た成形体を加熱処理したものを最終製品として利用することもできる。
本発明の方法で製造した炭素繊維強化アルミニウム複合材は、炭素繊維の均一分散により、強度、耐摩耗性、摺動性が優れている。また熱伝導性が高く、熱膨張性が低く、優れた熱特性を有する。また、マトリックス金属を溶融させず粉末材料を固形化するものであるから、炭素繊維が高温によって脆化することもない。これらの優れた特性により、自動車用部品および各種電子部品として好適に用いられる。
以下の実施例および比較例において共通の材料を用い、異なる工程で炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造した。使用したマトリックス金属粉末は、ガスアトマイズ法によって作製した平均粒径100μmのアルミニウム粉末(Al純度:99.99質量%)であり、炭素繊維は、気相成長法により製造した平均直径150nm、平均長さ30μmの炭素繊維である。
〔実施例〕
第1工程:前記炭素繊維に無電解ニッケルめっきを施した。めっき量は質量比で炭素繊維:ニッケル=1:5とした。
第2工程:第1工程で得ためっき炭素繊維とアルミニウム粉末とを、炭素繊維の含有量が表1のNo.1〜7となるように配合し、メカノフージョンにより複合化しアルミニウム粒子の表面がめっき炭素繊維で被覆された粉末状のアルミニウム複合材料を得た。前記メカノフュージョン処理は、所定量のめっき炭素繊維とアルミニウム粉末を配合したものを、ノビルタ(処理装置:ホソカワミクロン株式会社製)にてローター回転速度1300〜1900min-1、処理品温度27〜35℃、処理時間10〜15分とした。
第3工程:第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料を熱間等方圧プレスで600℃で1時間処理して固形化し、押出用ビレットを作製した。
第4工程:第3工程で得たビレットを、ビレット実体温度420℃、コンテナ温度:400℃、押出速度0.1m/minにて、厚さ2mm×幅40mmのフラットバーを押し出した。
前記フラットバーの断面写真を図2に示す。断面写真より、炭素繊維は押出方向の流れが見られるものの、凝集することなく、また絡まることもなくマトリックス中の均一に分散していることを確認した。
〔比較例〕
上述した実施例の第1工程のめっきを行わず、第2工程においてめっきしない炭素繊維とアルミニウム粉末とを複合化することなく振動による混合を行った。そして、前記第2工程で得た材料を実施例の第3工程と同じ条件で固形化してビレットを作製し、第4工程でフラットバーを押し出した。なお、No.15〜17は炭素繊維の凝集により固形化することができなかった。
作製した11種類のフラットバーについて、線膨張係数および熱伝導率を測定するとともに引張試験により引張強度、0.2%耐力、伸びを測定した。表1にこれらの結果を併せて示す。
表1より、No.1〜7において、マトリックス金属粒子と炭素繊維を複合化させてから固形化することにより、優れた特性の炭素繊維強化アルミニウム複合材を製造できることを確認した。一方、複合化することなく固形化したNo.11〜14は、炭素繊維とマトリックス金属粒子との濡れ性が悪いために含有量が増えるにしたがって引張強度が低下した。その原因として、本来強化材であるはずの炭素繊維が割れの起点およびマトリックス中の空隙として作用していることが考えられる。
本発明の炭素繊維強化アルミニウム複合材は、炭素繊維の均一分散により、強度、摺動性、耐摩耗性が優れている。また熱伝導性が高く、熱膨張性が低く、優れた熱特性を有する。これらの優れた特性により、自動車用部品および各種電子部品として好適に用いられる。
本発明の製造方法の第3工程で用いる複合化処理装置の一例である。 本発明の方法で製造した炭素繊維強化アルミニウム複合材の断面写真である。

Claims (12)

  1. 平均直径が50〜200nm、平均長さが10〜200μmの炭素繊維を金属でめっきする第1工程と、
    第1工程で得ためっき炭素繊維とアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属粉末との混合物に機械的エネルギーを付与し、金属粒子とめっき炭素繊維の複合化により金属粒子の表面がめっき炭素繊維で被覆された粉末状のアルミニウム複合材料を形成する第2工程と、
    第2工程で得た粉末状のアルミニウム複合材料を成形して固形化する第3工程と
    第3工程で固形化した炭素繊維強化アルミニウム複合材を、押出速度0.05〜1m/minで押出成形する第4工程とを行うことを特徴とする炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  2. 第1工程において、めっき用金属はニッケルである請求項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  3. 第1工程において、炭素繊維とめっき金属と質量比が1:3〜1:50となるようにめっきする請求項1または2に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  4. 前記金属粒子の平均粒径が10〜150μmである請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  5. 第2工程をメカノフージョンにより行う請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  6. 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材中の炭素繊維含有量が5〜60vol%である請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  7. 第3工程において、粉末状のアルミニウム複合材料を等方圧プレスにより固形化する請求項1〜のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  8. 第4工程において、ビレット実体温度380〜450℃で押出成形する請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載された炭素繊維強化アルミニウム複合材の製造方法により製造されたことを特徴とする炭素繊維強化アルミニウム複合材。
  10. 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材は、自動車用部品または電子部品である請求項に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
  11. 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材が自動車用部品であり、炭素繊維含有量が10〜40vol%である請求項10に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
  12. 前記炭素繊維強化アルミニウム複合材が電子部品であり、炭素繊維含有量が30〜60vol%である請求項10に記載の炭素繊維強化アルミニウム複合材。
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