JP6558391B2 - 機能性積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体に関する。
本発明の機能性積層体はまた、断熱性にもより優れている。
本発明の機能性積層体はまた、制振性にもより優れている。
本発明の機能性積層体は少なくとも吸音性を備えた積層体に関するものであり、機能性は、吸音性、断熱性および制振性等のうちの少なくとも1つの性能を包含する。
(部分1)前記第1主面15の一部(好ましくは外周端部);および
(部分2)前記側面17の一部または全部。
多孔質表面層1を構成する材料は、多孔性を有するものである限り特に限定されず、例えば、繊維不織布であってもよいし、またはポリマー発泡体であってもよい。
樹脂発泡層2はポリマーの発泡層であり、連続気泡構造を有するものである。樹脂発泡層を構成するポリマーは、プラスチックの分野で発泡体を構成し得るポリマーとして知られているあらゆるポリマーであってもよい。樹脂発泡層の具体例として、例えば、ポリウレタン発泡層;ポリエチレン発泡層、ポリプロピレン発泡層等のポリオレフィン発泡層;PET発泡層等のポリエステル発泡層;シリコーン発泡層;ポリ塩化ビニル発泡層からなる群から選択されるポリマー発泡層が挙げられる。
混層部11は、多孔質表面層1と樹脂発泡層2との界面4における前記した所定の位置(配置)に形成される、樹脂発泡層と多孔質表面層との複合層である。混層部11は、詳しくは、樹脂発泡層2を構成する発泡性樹脂が多孔質表面層1に滲入し、発泡および硬化して形成された層であり、換言すると、多孔質表面層1の構成材料と樹脂発泡層2の構成材料とが共存する層のことである。混層部11においては、発泡性樹脂の滲入前の多孔質表面層1の空隙内において、発泡性樹脂による気泡が形成されている。より詳しくは、多孔質表面層1における樹脂発泡層2側の一部が混層部11に変換されており、換言すると、多孔質表面層1内における樹脂発泡層2側の一部において混層部11が生成している。
中間フィルム3は非通液性を有する。中間フィルム3の非通液性とは、当該中間フィルム3が機能性積層体の製造時に自己の内部を発泡性樹脂(液体)に通過させ得ない特性のことである。
ホットメルトフィルムは、例えば、SHM103−PUR、SHM104−PUR等のエセランシリーズ(NTW(株)社製)、エルファンシリーズ(日本マタイ(株)社製)、クランベターシリーズ(倉敷紡績(株)社製)等として入手可能である。
水溶性フィルムは、例えば、C−200等のハイセロンシリーズ(日本合成化学工業(株)社製)、ソルブロンシリーズ((株)アイセロ社製)、ポバールシリーズ((株)クラレ社製)等として入手可能である。
本発明の機能性積層体は以下の積層用基材形成工程、発泡成形工程および後処理工程を含む製造方法により製造することができる。本発明の機能性積層体の製造方法を、図1B〜図9Bを用いて詳しく説明する。図1B〜図9Bは、図1B、図2B、図3B、図4B、図5B、図6B、図7B、図8Bおよび図9Bを包含する。図1B〜図9Bにおいて、上段はそれぞれ本発明の実施態様1〜9に係る機能性積層体を製造するときの金型内における積層用基材の模式的平面図を示し、下段は上段の金型内の積層用基材のP−P断面を矢印方向で見たときの金型と積層用基材の模式的断面図を示す。
本工程においては、多孔質表面層1および中間フィルム3を重ね合わせ、積層用基材40を得る。重ね合わせは、単に、一方の層の上に、他方の層を載置すればよいが、積層用基材の取り扱い性の観点から多孔質表面層1と中間フィルム3とは接着することが好ましい。
本工程においては、成形型50内において、発泡成形を行う。成形型50は通常、上型51および下型52からなっている。
本工程では、機能性積層体前駆体の中間フィルム3を消失させる。
例えば、中間フィルム3がホットメルトフィルムのとき、本工程は加熱処理工程であり、加熱により、ホットメルトフィルムを溶融し、消失させる。加熱温度および加熱時間は、中間フィルム3の融点および厚み等に応じて決定されてよい。中間フィルム3の融点および厚みが上記した範囲内のとき、加熱温度は通常、50〜250℃であり、好ましくは70〜150℃であり、加熱時間は通常、1秒〜10時間であり、好ましくは10秒〜1時間である。
本発明の機能性積層体10は、吸音性、断熱性および制振性(特に吸音性)に優れているため、吸音材、断熱材かつ/または制振材(特に吸音材)として有用である。
本発明の機能性積層体10が有用な分野として、例えば、車両(例えば、自動車、トラック、バスおよび電車等)および農業機械(例えば、草刈り機および耕耘機等)等のエンジンを備えた機械等の分野が挙げられる。
各層の各種物性は前記した方法により測定した。
吸音率(α):
日本音響エンジニアリング社製 垂直入射吸音率測定システム WinZacMTXを使用し、測定周波数範囲 200〜4800Hz(1/3オクターブバンド)にて、内径40mmの音響管を用いた垂直入射吸音率の測定(JIS A 1405−2、ISO 10534−2準拠)を行い、1000〜4000Hzの平均垂直入射吸音率を算出した。測定試料は、各実施例/比較例で得られた機能性積層体から直径40mmの円柱状にくり抜いたものを使用した。測定試料としての機能性積層体は、多孔質表面層1側から音が入射されるように配置した。中間フィルムを用いることなく、同じ多孔質表面層を用いた比較例における吸音率からの増加幅に基づいて評価した。
◎◎:8.0%≦増加幅;(最良)
◎:6.0%≦増加幅<8.0%;(優良)
○:4.0%≦増加幅<6.0%;(良)
△:2.0%≦増加幅<4.0%;(実用上問題なし)
×:増加幅<2.0%。
NETZSCH社製 定常法熱伝導率測定装置 HFM436/3/1Lambdaを使用し、測定温度30℃にて、機能性積層体の厚み方向の熱伝導率をJIS A1412−2第2部熱流計法に基づいて測定した。
・積層用基材形成工程
平均繊維径約7.5μmのグラスウールAを、表1に記載の平均空隙率および厚みになるよう熱プレス成形し、多孔質表面層1を得た。この多孔質表面層1に、表1の中間フィルム(ホットメルトフィルム)3を接着して、図1Bの下段に示すように積層用基材40を得た。接着は多孔質表面層と中間フィルムとの接触面の一部で接着剤により達成した。
発泡性樹脂として表1のポリウレタンフォームの原料をミキサーで混合し、図1Bの下型52の成形面上に注入した。次いで、図1Bの上型51に積層用基材40を、中間フィルム3が発泡性樹脂と接触するように、配置させた。その後、25℃および常圧の環境下で、図1Bの上型51を閉じ、発泡が開始されると、発泡性樹脂が膨張し、上型51と下型52との間のキャビティ(寸法100mm×100mm×25mm)内を充たし、樹脂発泡層2が形成された。冷却後、成形体を脱型することにより、多孔質表面層1、樹脂発泡層2および中間フィルム3が一体化された機能性積層体前駆体を得た。
機能性積層体前駆体を、150℃で5時間加熱し、中間フィルムを消失させ、機能性積層体を得た。
中間フィルムとして表1に記載の水溶性フィルムを用いたこと、および以下の後処理工程を行ったこと以外、実施例1と同様の方法により、機能性積層体を得た。
機能性積層体前駆体を、40℃の温水中、30分間撹拌し、中間フィルムを消失させ、機能性積層体を得た。
多孔質表面層1として平均繊維径約3.5μmのグラスウールBを、表1に記載の平均空隙率および厚みになるよう、熱プレス成形したものを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、機能性積層体を得た。
多孔質表面層1として平均繊維径約3.5μmのグラスウールBを、表1に記載の平均空隙率および厚みになるよう、熱プレス成形したものを用いたこと以外、実施例3と同様の方法により、機能性積層体を得た。
多孔質表面層1として繊度2.2デニール(平均繊維径約16μm)のPET繊維を、表1に記載の平均空隙率および厚みになるよう、ニードルパンチおよび接着剤にてシート状に成形したものを用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、機能性積層体を得た。
中間フィルムを用いることなく、積層用基材の代わりに多孔質表面層を単独で用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、機能性積層体を得た。
中間フィルムを用いることなく、積層用基材の代わりに多孔質表面層を単独で用いたこと以外、実施例4と同様の方法により、機能性積層体を得た。
中間フィルムを用いることなく、積層用基材の代わりに多孔質表面層を単独で用いたこと以外、実施例8と同様の方法により、機能性積層体を得た。
実施例5の発泡成形工程で得られた機能性積層体前駆体を機能性積層体として評価した。
グラスウールB:平均繊維径約3.5μmおよび平均繊維長約50mmの硝子繊維(グラスウールBによる多孔質表面層1の目付 実施例4:1920g/m2、実施例5:960g/m2、実施例6:480g/m2、実施例7:960g/m2、比較例2:960g/m2、比較例4:960g/m2)
PETウール:平均繊維長51mmおよび繊度2.2デニール(平均繊維径約16μm)のPET繊維(PETウールによる多孔質表面層1の目付 実施例8:540g/m2、比較例3:540g/m2)
ホットメルトフィルムA:SHM103−PUR(NTW(株)社製)
ホットメルトフィルムB:SHM104−PUR(NTW(株)社製)
水溶性フィルムA:C−200(日本合成化学工業(株)社製)
ポリウレタンフォームAの原料:DKシステム(第一工業製薬(株)製)
2:樹脂発泡層
3:中間フィルム
11:混層部
15:多孔質表面層の第1主面
16:多孔質表面層の第2主面
4:多孔質表面層と樹脂発泡層との界面
40:積層用基材
50:成形型
51:上型
52:下型
100:機能性積層体
Claims (23)
- 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記混層部は、前記樹脂発泡層を構成する発泡性樹脂が前記多孔質表面層に滲入し、
発泡および硬化して形成された、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との結合部であり、
前記多孔質表面層は前記境界の一部のみに前記混層部を有する、機能性積層体。 - 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記多孔質表面層は前記樹脂発泡層に主として対向する第1主面、前記第1主面と反対側の第2主面および前記第1主面または前記第2主面の少なくとも一方から立設されている側面を有し、
前記多孔質表面層が有する前記混層部は、以下の部分からなる群から選択される前記境界の一部に位置付けられている、機能性積層体:
(部分1)前記第1主面の外周端部;および
(部分2)前記側面の一部または全部。 - 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記多孔質表面層が繊維不織布である、機能性積層体。 - 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記多孔質表面層が無機繊維の不織布である、機能性積層体。 - 前記多孔質表面層の繊維不織布を構成する繊維が0.005〜50μmの平均繊維径を有する、請求項3または4に記載の機能性積層体。
- 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記機能性積層体は吸音材、断熱材かつ/または制振材として使用される、機能性積層体。 - 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記機能性積層体は、前記樹脂発泡層側が熱源および/または音源に接触するように配置され使用される、あるいは、前記多孔質表面層側が熱源および/または音源に非接触で対向するように配置され使用される、機能性積層体。 - 多孔質表面層および樹脂発泡層が積層されており、
前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、それらの境界の一部で、前記多孔質表面層と前記樹脂発泡層との混層部により互いに接着されている、機能性積層体であって、
前記機能性積層体は、自動車のエンジンおよびトランスミッションを含むパワートレイン部材のためのカバー部材として、使用される、機能性積層体。 - 前記混層部が0.05〜5mmの厚みを有する、請求項1〜8のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記混層部が20〜250μmの平均空隙径を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記混層部が50〜90%の平均空隙率を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が前記境界における前記一部以外の他の部分において、以下のいずれかの形態を有する、請求項1〜11のいずれかに記載の機能性積層体:
(形態1)前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、前記他の部分において、互いに離接可能に隣接している;
(形態2)前記多孔質表面層および前記樹脂発泡層が、前記他の部分において、互いに一体化されて隣接している。 - 前記多孔質表面層および/または前記樹脂発泡層がホットメルト成分または水溶性成分を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記多孔質表面層が80〜99.5%の平均空隙率を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記多孔質表面層が1〜50mmの厚みを有する、請求項1〜14のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記樹脂発泡層が0.04〜800μmの平均空隙径を有する、請求項1〜15のいずれかに記載の機能性積層体。
- 前記樹脂発泡層がポリウレタン発泡層、ポリオレフィン発泡層、ポリエステル発泡層、シリコーン発泡層およびポリ塩化ビニル発泡層からなる群から選択されるポリマー発泡層である、請求項1〜16のいずれかに記載の機能性積層体。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の機能性積層体の製造方法であって、
多孔質表面層および中間フィルムを重ね合わせ、積層用基材を得る工程;
樹脂発泡層を構成する発泡性樹脂の発泡成形を、前記積層用基材の中間フィルム側で行い、機能性積層体前駆体を得る発泡成形工程;および
前記機能性積層体前駆体の中間フィルムを消失させる後処理工程を含む、機能性積層体の製造方法。 - 前記中間フィルムは、発泡成形工程では消失しないが、後処理工程では消失するフィルムである、請求項18に記載の機能性積層体の製造方法。
- 前記中間フィルムがホットメルトフィルムまたは水溶性フィルムである、請求項18または19に記載の機能性積層体の製造方法。
- 前記中間フィルムがホットメルトフィルムであり、
前記後処理工程が加熱処理工程である、請求項20に記載の機能性積層体の製造方法。 - 前記中間フィルムが水溶性フィルムであり、
前記後処理工程が水中撹拌工程である、請求項20に記載の機能性積層体の製造方法。 - 前記中間フィルムが0.02〜0.5mmの厚みを有する、請求項18〜22のいずれかに記載の機能性積層体の製造方法。
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