以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る画像形成装置の内部構成を示す模式図である。実施の形態1に係る画像形成装置は、例えば、スキャナ機能、コピー機能、プリンタ機能等を有するデジタル複合機であり、原稿の画像を光学的に読み取るスキャナ部1、電子写真方式にて用紙上に画像を形成するプリンタ部2、及びプリンタ部2に対して用紙(シート)を供給する給紙部3を備える。
スキャナ部1は、読取対象の原稿が複数載置され、載置された原稿を1枚ずつ所定の読取位置へ送り込む自動原稿送り装置(ADF)11、読取対象の1枚の原稿が載置される原稿台12、原稿に照射すべき光を出射する光源13、光源13から出射される光の光路を変更するミラーユニット14、ミラーユニット14からの光を原稿へ照射し、原稿からの反射光を受光するセンサユニット15等を備える。センサユニット15は、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサに結像させてアナログ電気信号に変換し、得られたアナログ電気信号をデジタル信号に変換して出力する。スキャナ部1は、センサユニット15から出力されるデジタル信号に対して、原稿読取時の光源13の配光特性及びイメージセンサの感度ムラに対する補正等を行うことにより、読み取った原稿画像に対応する画像データを生成する。
プリンタ部2は、トナー像を担持するための感光体ドラム21、感光体ドラム21の表面を帯電させる帯電器22、帯電した感光体ドラム21の表面に潜像を書き込む露光装置23、感光体ドラム21の表面に形成された潜像にトナーを供給してトナー像を生成する現像装置24、感光体ドラム21上のトナー像を用紙上に転写するための転写ユニット25、トナー像が転写された用紙に対して熱及び圧力を加えることによりトナー像(画像)を定着させる定着装置26等を備え、電子写真方式により用紙上に画像を形成する。
給紙部3は、サイズが異なる複数種の用紙(シート)をそれぞれ収容する複数の給紙カセット31〜34、多量の用紙を収容する給紙カセット35、及びユーザによって任意の種類の用紙が載置される手差しトレイ36を備える。各給紙カセット31〜35は、収容されている用紙を1枚ずつ分離して取り出すためのピックアップローラ31a〜35aを備える。また、手差しトレイ36は、載置された用紙を装置内部に取込むための呼込みローラ36aを備える。
以下、画像形成時の動作について説明する。
画像形成装置は、操作部103(図2を参照)を通じてコピージョブを受付けた場合、又は通信部105(図2を参照)を通じて通信可能に接続されたコンピュータ装置(不図示)からプリントジョブを受信した場合等において、画像形成に係る動作を開始する。以下の説明では、コピージョブ及びプリントジョブを区別して説明する必要がない場合、単にジョブと記載する。
画像形成装置は、画像形成の実行を要求するジョブを受付けた場合、給紙カセット31〜35及び手差しトレイ36の何れかから用紙の供給元を選択し、選択した給紙カセット31(または、給紙カセット32〜35若しくは手差しトレイ36)から用紙を1枚ずつ取り出す。なお、用紙の供給元は、ジョブにより指定されている場合には、指定された供給元が選択され、指定されていない場合、画像形成装置により適宜の供給元が選択される。
給紙カセット31からピックアップローラ31aにより取り出された用紙は、用紙の取出口付近に設けられた搬送路P1へ送り込まれる。搬送路P1に送り込まれた用紙は、搬送路P1に沿って配置された複数の搬送ローラにより給紙部3の上方へ搬送され、搬送路P1の上端に設けたレジストローラ20に到達する。画像形成装置の制御部101(図2を参照)は、レジストローラ20に到達した用紙を一旦停止させる。給紙カセット32からピックアップローラ32aにより取り出された用紙、給紙カセット33からピックアップローラ33aにより取り出された用紙についても同様である。
給紙カセット34からピックアップローラ34aにより取り出された用紙は、用紙の取出口付近に設けられ、用紙搬送方向の下流側にて上述の搬送路P1に連通する搬送路P2へ送り込まれる。搬送路P2に送り込まれた用紙は、搬送路P2及びP1に沿って配置された複数の搬送ローラにより搬送され、搬送路P1の上端に位置するレジストローラ20に到達する。画像形成装置の制御部101は、レジストローラ20に到達した用紙を一旦停止させる。給紙カセット35からピックアップローラ35aにより取り出された用紙、手差しトレイ36から呼込みローラ36aにより装置内部に取り込まれた用紙についても同様である。
レジストローラ20により停止させた用紙は、制御部101が指示するタイミング(例えば、感光体ドラム21上のトナー像の先端が用紙上の画像形成領域の先端に一致するようなタイミング)にて、感光体ドラム21と転写ユニット25とにより形成されるニップ部へ送られる。ニップ部へ送られた用紙の一面側には、感光体ドラム21表面のトナー像が転写ユニット25の作用により転写される。
トナー像が一面側に転写された用紙は定着装置26へ送られる。定着装置26は、ヒータ(不図示)を内蔵する加熱ローラ261と、加熱ローラ261に圧接される加圧ローラ262との間の圧接部において、加熱ローラ261が持つ熱により用紙上の未定着トナーを溶融させ、加圧ローラ262により圧力を加えることにより、用紙上にトナー像を定着させる。
トナー像が定着した用紙は、定着装置26の下流側に設けた搬送路P3に沿って搬送され、搬送路P3の終端に位置する排紙ローラ27に到達する。ジョブにより用紙片面への画像形成が要求されている場合、制御部101は、排紙ローラ27を正転させることにより、一面側に画像が形成された用紙を排紙トレイ28上に排出させる。このとき、用紙は、画像形成された面が下向きの状態(すなわちフェイスダウンの状態)にて排紙トレイ28上に排出される。
一方、ジョブにより用紙両面への画像形成が要求されている場合、制御部101は、排紙ローラ27を逆転させることにより、排紙ローラ27に到達した用紙を、搬送方向の下流側にて搬送路P3に連通し、上流側にて搬送路P1に連通する両面搬送路P4へ送り出す。このとき、制御部101は、両面搬送路P4を閉塞状態又は開放状態に切り替える分岐爪29を駆動することにより、両面搬送路P4を閉塞状態から開放状態に切り替える。
なお、制御部101は、両面搬送路P4へ用紙を送り出す際、用紙の後端が分岐爪29より下流側へ通過するまで排紙ローラ27を正転させ、その後に、分岐爪29を駆動して両面搬送路P4を開放状態に切り替え、排紙ローラ27を逆転させることにより、用紙を両面搬送路P4へ送り出すようにしてもよい。
両面搬送路P4に送り出された用紙は、両面搬送路P4に沿って設けられた複数の搬送ローラにより下方へ搬送され、搬送方向の上流側にて連通する搬送路P1へ案内されることにより、レジストローラ20を通じて再び感光体ドラム21と転写ユニット25との間のニップ部へ導かれる。ニップ部へ導かれた用紙の他面側には、感光体ドラム21表面のトナー像が転写ユニット25の作用により転写される。
トナー像が他面側に転写された用紙は定着装置26へ送られる。定着装置26は、内蔵する加熱ローラ261及び加圧ローラ262の間の圧接部において、用紙上の未定着トナーを加熱ローラ261が持つ熱により溶融させ、加圧ローラ262により圧力を加えることにより、用紙上にトナー像を定着させる。以上により、用紙の両面に画像が形成される。
用紙両面への画像形成が完了した場合、画像形成装置は、当該用紙を排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28へ排出する。このとき、制御部101は、分岐爪29を駆動することにより、両面搬送路P4を開放状態から閉塞状態に切り替える。定着装置26を通過した用紙は、搬送路P3に沿って搬送され、搬送路P3の終端に位置する排紙ローラ27により、排紙トレイ28上に排出される。
以上のように、用紙片面への画像形成を行う場合、通常、制御部101は、給紙部3から供給される用紙が画像形成装置のプロセス部(感光体ドラム21と転写ユニット25との間のニップ部、及び加熱ローラ261と加圧ローラ262との間の圧接部)を1回だけ通過するように搬送経路を制御する。また、用紙両面への画像形成を行う場合には、制御部101は、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を2回通過するように搬送経路を制御する。
ここで、給紙部3から用紙を順次供給し、定着装置26を休止させることなく用紙片面への画像形成を連続して行った場合、定着装置26を冷却することができないので、加熱ローラ261から発せられる熱により装置内(特に定着装置26内)の温度が上昇する。この結果、トナー像の定着動作を行う際に、用紙上の未定着トナーが想定以上に溶融することで画質の低下が生じたり、定着装置26の熱が感光体ドラム21、現像装置24等の他の部材に伝わることにより、画像形成工程に不具合が発生したりする可能性がある。
このような問題点を解消するために、本実施の形態に係る画像形成装置では、各用紙の片面に画像を形成する動作をプロセス部にて連続して行う場合、本来なら排紙トレイ28へ排出すべき用紙を両面搬送路P4へ導くことにより、当該用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路の制御を行う。このような搬送経路の制御を行うことにより、本実施の形態では、プロセス部を通過する用紙によって定着装置26の熱を両面搬送路P4を通じて外部へ拡散することができる。
図2は実施の形態1に係る画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。画像形成装置は、制御系の構成として、制御部101、記憶部102、操作部103、表示部104、通信部105、並びに、給紙モータ111及び搬送モータ112を駆動制御するモータ駆動部110を備える。
制御部101は、例えばCPU及びROMを備えており、ROMに予め格納された制御プログラムをCPUが実行することにより、ハードウェア各部の制御を行い、全体として本発明に係る画像形成装置として機能させる。
記憶部102は、EEPROM、HDD等の記憶手段であり、上述したスキャナ部1により原稿画像を読み取って得られる画像データ、通信部105を通じて受信したプリントジョブ、プリントジョブから展開される画像データ、操作部103から入力される各種設定内容等を記憶する。
操作部103は、各種スイッチ、ボタン、タッチパネル等を備え、画像形成装置が備える各種機能に対する選択操作、各種動作に対する実行指示等のユーザの操作を受付ける。
表示部104は、例えば液晶表示パネル装置を備え、装置の動作状況、操作部103を通じて受付けた各種設定内容等のユーザに報知すべき情報を表示する。
通信部105は、ローカルエリアネットワーク、インターネット網等の通信網に接続するためのインタフェースを備えており、通信網に接続された外部コンピュータと各種データの送受信を行う。
モータ駆動部110は、制御部101からの指示に基づき、給紙モータ111及び搬送モータ112を駆動又は駆動停止させるための制御回路を備える。給紙モータ111は、図に示していないギア機構を介して、ピックアップローラ31a〜35a及び呼び込みローラ36aを駆動する。搬送モータ112は、図に示していないギア機構を介して、レジストローラ20、排紙ローラ27、各搬送路P1〜P4に沿って設けられた搬送ローラを駆動する。
なお、本実施の形態では、1つの駆動源によりピックアップローラ31a〜35a及び呼び込みローラ36aを駆動し、別の駆動源により搬送経路上の各ローラを駆動する構成としたが、共通の駆動源によりピックアップローラ31a〜35a及び呼び込みローラ36a、並びに搬送経路上の各ローラを駆動する構成としてもよく、一部のローラ(例えばレジストローラ20、排紙ローラ27等)を独立した駆動源により駆動する構成としてもよい。
図3は実施の形態1における搬送経路の制御手順を示すフローチャートである。制御部101は、画像形成を要求するジョブを受付けたか否かを判断する(ステップS101)。制御部101は、操作部103を通じてコピージョブを受付けた場合、又は通信部105を通じてプリントジョブを受信した場合において、画像形成を要求するジョブを受付けたと判断する。画像形成を要求するジョブを受付けていない場合(S101:NO)、制御部101は、ジョブを受付けるまで待機する。
画像形成を要求するジョブを受付けた場合(S101:YES)、制御部101は、ジョブによる設定内容を確認し(ステップS102)、用紙片面への画像形成がジョブにより指示されているか否かを判断する(ステップS103)。
用紙両面への画像形成が指示されている場合(S103:NO)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定する(ステップS104)。
用紙片面への画像形成が指示されている場合(S103:YES)、制御部101は、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されているか否かを判断する(ステップS105)。例えば、複数ページ又は複数部数の画像形成が指示されている場合、制御部101は、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されていると判断することができる。また、1つのジョブによる画像形成の枚数が予め定めた閾値(例えば100枚)以上となる場合、制御部101は、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されていると判断してもよい。なお、用紙枚数に対する閾値は、機種、設置場所、使用頻度等に応じて適宜設定される値であり、例えば100枚に限定されるものではない。
連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されている場合(S105:YES)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定する(S104)。
一方、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されていない場合(S105:NO)、制御部101は、両面搬送路P4を経由しない通常の搬送経路を設定する(ステップS106)。
次いで、制御部101は、設定した搬送経路に応じて、モータ駆動部110等のハードウェア各部の動作を制御することにより、画像形成を開始させる(ステップS107)。
例えば、受付けたジョブに基づき、1枚の用紙の片面に画像形成を行う場合であって、両面搬送路P4を経由しない搬送経路を設定したとき、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の駆動制御を行うことにより、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を1回だけ通過するように搬送経路を制御する。また、制御部101は、プロセス部を用紙が通過するタイミングでトナー像の転写及び定着を実行させ、画像形成後の用紙を排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出させる。
一方、受付けたジョブに基づき、複数枚の用紙の片面に画像形成を行う場合であって、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定したとき、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の駆動制御を行うことにより、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路を制御する。また、制御部101は、プロセス部を用紙が通過する何れか1回のタイミングでトナー像の転写及び定着を実行させることで用紙片面への画像形成を行い、予め定めた回数だけプロセス部を通過させた後に、排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に用紙を排出させる。
なお、用紙上にトナー像を転写及び定着させるタイミングは適宜設定することができる。例えば、用紙がプロセス部を通過する最初のタイミングにて、トナー像を転写及び定着させる構成としてもよい。また、用紙がプロセス部を通過する最後のタイミング(すなわち、排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出する直前のタイミング)にて、トナー像を転写及び定着させるようにしてもよい。後者の場合、用紙は、画像形成された面が下向きの状態にて排紙トレイ28上に排出される。
以上のように、実施の形態1では、用紙の片面に画像形成を行う場合であって、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されているとき、制御部101は、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路を制御する。この結果、定着装置26において発生する熱は、プロセス部を通過する用紙により、両面搬送路P4を通じて外部へ拡散される。このため、実施の形態1では、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されている場合であっても、画像形成動作を一時的に停止させる必要はないので、ユーザが画像形成装置を使用できない期間をなくすことができ、利便性を向上させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、画像形成装置にて受付けたジョブの設定内容に基づき、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成が実行されるか否かを判断する構成としたが、用紙片面への画像形成を行っている間に装置内の温度を計測し、計測した温度が予め設定した閾値温度以上となった場合に、両面搬送路P4を利用した搬送経路に自動的に切り替える構成としてもよい。
実施の形態2では、装置内の温度に応じて搬送経路を制御する構成について説明を行う。なお、実施の形態2に係る画像形成装置の内部構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
図4は実施の形態2に係る画像形成装置の制御系の要部構成を示すブロック図である。画像形成装置は、実施の形態1で説明した制御部101、記憶部102、操作部103、表示部104、通信部105、モータ駆動部110に加え、温度計測部106を備える。
温度計測部106は、画像形成装置内部の適宜箇所(例えば定着装置26の近傍)の温度を定期的に計測する温度検知センサを備える。温度計測部106は、温度検知センサから出力に基づき、計測した温度を制御部101に通知する。
なお、温度検知センサは、サーミスタ等の接触方式のセンサであってもよく、赤外線センサ等の非接触方式のセンサであってもよい。
図5は実施の形態2における搬送経路の制御手順を示すフローチャートである。制御部101は、画像形成を要求するジョブを受付けたか否かを判断する(ステップS201)。制御部101は、操作部103を通じてコピージョブを受付けた場合、又は通信部105を通じてプリントジョブを受信した場合において、画像形成を要求するジョブを受付けたと判断する。画像形成を要求するジョブを受付けていない場合(S201:NO)、制御部101は、ジョブを受付けるまで待機する。
画像形成を要求するジョブを受付けた場合(S201:YES)、制御部101は、ジョブによる設定内容を確認し(ステップS202)、用紙片面への画像形成がジョブにより指示されているか否かを判断する(ステップS203)。
用紙両面への画像形成が指示されている場合(S203:NO)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送路を設定し(ステップS204)、設定した搬送経路に応じて、モータ駆動部110等のハードウェア各部の動作を制御することにより、画像形成を開始させる(ステップS205)。この場合、給紙部3から供給される用紙の両面に画像が形成された後、画像形成された用紙は排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出される。
用紙片面への画像形成が指示されている場合(S203:YES)、制御部101は、両面搬送路P4を経由しない搬送経路を設定し(ステップS206)、設定した搬送経路に応じて、モータ駆動部110等のハードウェア各部の動作を制御することにより、画像形成を開始させる(ステップS207)。
次いで、制御部101は、受付けたジョブに基づく画像形成が完了したか否かを判断する(ステップS208)。
受付けたジョブに基づく画像形成が完了していないと判断した場合(S208:NO)、制御部101は、温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1以上であるか否かを判断する(ステップS209)。なお、第1閾値温度T1は記憶部102に予め記憶されているものとする。
温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1以上であると判断した場合(S209:YES)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定する(ステップS210)。すなわち、受付けたジョブに基づき、用紙片面への画像形成を実行している際に、装置内の温度が第1閾値温度T1以上に上昇した場合、制御部101は、両面搬送路P4を経由しない通常の搬送経路から、両面搬送路P4を経由する搬送経路に切り替える。
ステップS210で搬送経路を設定した後、プロセス部を通過した用紙は、両面搬送路P4に導かれ、実施の形態1と同様に、プロセス部を複数回(例えば2回)通過した後に排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出される。
温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1未満であると判断した場合(S209:NO)、制御部101は、前記温度が第2閾値温度T2(T2≦T1)未満であるか否かを判断する(ステップS211)。なお、第2閾値温度T2は記憶部102に予め記憶されているものとする。
温度計測部106から通知される温度が第2閾値温度T2未満であると判断した場合(S211:YES)、制御部101は、両面搬送路P4を経由しない搬送路を設定する(ステップS212)。すなわち、両面搬送路P4を経由させることによって定着装置26の冷却効果が得られ、装置内の温度が第2閾値温度T2未満まで低下した場合、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路から、両面搬送路P4を経由しない通常の搬送経路に切り替える。
ステップS211で搬送経路を設定した後、プロセス部を通過した用紙は、排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出される。
制御部101は、ステップS211で温度計測部106から通知される温度が第2閾値温度T2以上であると判断した場合(S211:NO)、または、ステップS210若しくはS212で搬送経路を設定した場合、処理をステップS208へ戻す。ステップS208において、受付けたジョブに基づく画像形成が完了したと判断した場合(S208:YES)、制御部101は、本フローチャートによる処理を終了する。
以上のように、実施の形態2では、用紙の片面に画像形成を行う場合であって、連続的にプロセス部を作動させることで装置内の温度が上昇したと判断できる場合、制御部101は、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路を切り替える。この結果、定着装置26において発生する熱は、プロセス部を通過する用紙により、両面搬送路P4を通じて外部へ拡散される。このため、実施の形態2では、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されている場合であっても、画像形成動作を一時的に停止させる必要はないので、ユーザが画像形成装置を使用できない期間をなくすことができ、利便性を向上させることができる。
また、実施の形態2では、装置内の温度がある程度低い場合、両面搬送路P4を経由しない搬送経路を選択することができるので、画像形成の速度を高めることが可能となる。
なお、実施の形態2では、第1及び第2閾値温度T1,T2を記憶部102に予め記憶させておく構成としたが、第1及び第2閾値温度T1,T2の設定を操作部103にて受付け、受付けた第1及び第2閾値温度T1,T2を記憶部102に記憶させる構成としてもよい。
(実施の形態3)
実施の形態3では、両面搬送路P4を利用した搬送経路により用紙片面への画像形成を行う場合であっても、定着装置26の冷却効果が十分に得られないとき、両面搬送路P4における搬送速度を低速化することにより、定着装置26の冷却効果を高める構成について説明を行う。
なお、実施の形態3に係る画像形成装置の内部構成及び制御系の構成については実施の形態2と同様であるため、その説明を省略することとする。
図6は実施の形態3における搬送経路の制御手順を示すフローチャートである。制御部101は、実施の形態1と同様の手順にて、搬送経路を設定し、設定した搬送経路に応じて、モータ駆動部110等のハードウェア各部の動作を制御することにより、画像形成を開始させる(ステップS101〜S107)。
次いで、制御部101は、受付けたジョブに基づく画像形成が完了したか否かを判断し(ステップS301)、完了していないと判断した場合(S301:NO)、温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1以上であるか否かを判断する(ステップS302)。なお、第1閾値温度T1は記憶部102に予め記憶されているものとする。
温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1以上である場合(S302:YES)、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の回転速度を制御することにより、両面搬送路P4における用紙の搬送速度を低速化させる(ステップS303)。なお、低速化の度合いは適宜設定され得る。例えば、用紙両面に画像形成を行う際の通常の搬送速度の70%程度とすることができる。プロセス部を通過した用紙は低速で搬送されるので、定着装置26から奪った熱を両面搬送路P4にて十分に拡散させることができる。
温度計測部106から通知される温度が第1閾値温度T1未満であると判断した場合(S302:NO)、制御部101は、前記温度が第2閾値温度T2(T2≦T1)未満であるか否かを判断する(ステップS304)。なお、第2閾値温度T2は記憶部102に予め記憶されているものとする。
温度計測部106から通知される温度が第2閾値温度T2未満であると判断した場合(S304:YES)、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の回転速度を制御することにより、両面搬送路P4における用紙の搬送速度を高速化させる(ステップS305)。
制御部101は、ステップS304で温度計測部106から通知される温度が第2閾値温度T2以上であると判断した場合(S304:NO)、または、ステップS303若しくはS305で搬送速度を変化させた場合、処理をステップS301へ戻す。ステップS301において、受付けたジョブに基づく画像形成が完了したと判断した場合(S301:YES)、制御部101は、本フローチャートによる処理を終了する。
以上のように、実施の形態3では、用紙の片面に画像形成を行う場合であって、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されているとき、制御部101は、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路を制御する。この結果、定着装置26において発生する熱は、プロセス部を通過する用紙により、両面搬送路P4を通じて外部へ拡散される。
また、実施の形態3では、プロセス部を複数回通過するように搬送経路を制御した場合であっても、定着装置26の冷却効果が十分に得られない場合、両面搬送路P4における用紙の搬送速度を低下させるので、両面搬送路P4を通じて熱を拡散させる効果が高くなる。この結果、用紙がプロセス部を通過する際に定着装置26から奪う1回あたりの熱量が大きくなり、定着装置26を冷却する効果を高めることができる。
なお、実施の形態3では、第1及び第2閾値温度T1,T2を記憶部102に予め記憶させておく構成としたが、第1及び第2閾値温度T1,T2の設定を操作部103にて受付け、受付けた第1及び第2閾値温度T1,T2を記憶部102に記憶させる構成としてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4では、用紙片面への画像形成を連続的に行う場合に両面搬送路Pを経由した搬送経路を利用するか否かの許否設定を操作部103にて受付ける構成について説明を行う。
なお、実施の形態4に係る画像形成装置の内部構成及び制御系の構成については実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
図7は許否設定を受付ける設定画面の一例を示す模式図である。実施の形態4に係る画像形成装置は、例えば操作部103を通じて所定の操作を受付けた場合、図7に一例として示す設定画面を表示部104に表示させる。なお、表示部104の画面上にはタッチパネル装置(不図示)が配置されており、設定画面を通じて許否設定に係る選択を受付けるものとする。
図7に示す画面例には、片面の連続印刷時に装置内の温度が上昇することがある旨、及び装置内の温度上昇を抑えるために、両面搬送路を経由した搬送経路に自動的に切り替える旨のメッセージが表示されている。また、設定画面の下部には、装置内の温度上昇を抑えるために両面搬送路を経由した搬送経路への切り替えを許可するソフトウェアボタン103a、及び当該切り替えを禁止する(許可しない)ソフトウェアボタン104bが配置されている。
ソフトウェアボタン103aがユーザの指により押下操作された場合、装置内の温度上昇を抑えるために、両面搬送路を経由した搬送経路に自動的に切り替えることが許可される。また、ソフトウェアボタン103bがユーザの指により押下操作された場合、両面搬送路を経由した搬送経路に自動的に切り替えることが禁止される。制御部101は、ソフトウェアボタン103a又は103bを通じて受付けた許否設定を記憶部102の所定の記憶領域に記憶させる。
図8は実施の形態4における搬送経路の制御手順を示すフローチャートである。制御部101は、画像形成を要求するジョブを受付けたか否かを判断する(ステップS401)。制御部101は、操作部103を通じてコピージョブを受付けた場合、又は通信部105を通じてプリントジョブを受信した場合において、画像形成を要求するジョブを受付けたと判断する。画像形成を要求するジョブを受付けていない場合(S401:NO)、制御部101は、ジョブを受付けるまで待機する。
画像形成を要求するジョブを受付けた場合(S401:YES)、制御部101は、ジョブによる設定内容を確認し(ステップS402)、用紙片面への画像形成がジョブにより指示されているか否かを判断する(ステップS403)。
用紙両面への画像形成が指示されている場合(S403:NO)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定する(ステップS404)。
用紙片面への画像形成が指示されている場合(S403:YES)、制御部101は、連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されているか否かを判断する(ステップS405)。
連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されている場合(S405:YES)、制御部101は、記憶部102内の所定の記憶領域に記憶されている許否設定を参照し、片面への画像形成を連続的に行う場合、両面搬送路P4を経由させることが許可されているか否かを判断する(ステップS406)。
許可されている場合(S406:YES)、制御部101は、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定する(S404)。
両面搬送路P4を経由させることが許可されていない場合(S406:NO)、又はステップS405で連続的にプロセス部を作動させるような画像形成がジョブにより指示されていないと判断した場合(S405:NO)、制御部101は、両面搬送路P4を経由しない通常の搬送経路を設定する(ステップS407)。
次いで、制御部101は、設定した搬送経路に応じて、モータ駆動部110等のハードウェア各部の動作を制御することにより、画像形成を開始させる(ステップS408)。
受付けたジョブに基づき、複数枚の用紙の片面に画像形成を行う場合であって、両面搬送路P4を経由する搬送経路を設定したとき(すなわち、ユーザにより搬送経路の自動切り替えが許可されている場合)、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の駆動制御を行うことにより、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を複数回(例えば2回)通過するように搬送経路を制御する。また、制御部101は、プロセス部を用紙が通過する何れか1回のタイミングでトナー像の転写及び定着を実行させることで用紙片面への画像形成を行い、予め定めた回数だけプロセス部を通過させた後に、排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に用紙を排出させる。
一方、受付けたジョブに基づき、複数枚の用紙の片面に画像形成を行う場合であって、両面搬送路P4を経由しない搬送経路を設定したとき(すなわち、ユーザにより搬送経路の自動切り替えが許可されていない場合)、制御部101は、モータ駆動部110を通じて搬送モータ112の駆動制御を行うことにより、給紙部3から供給される用紙がプロセス部を1回だけ通過するように搬送経路を制御する。また、制御部101は、プロセス部を用紙が通過するタイミングでトナー像の転写及び定着を実行させ、画像形成後の用紙を排紙ローラ27を通じて排紙トレイ28上に排出させる。
以上のように、実施の形態4では、用紙片面への画像形成を連続的に行う場合に、両面搬送路P4を経由した搬送経路に自動的に切り替えるか否かの許否設定を操作部103にて受付ける構成であるため、搬送経路の自動切り替えを禁止することにより、必要に応じて画像形成速度を優先させることができる。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
本願の画像形成装置は、シートを供給するシート供給部(3)と、該シート供給部(3)から供給されるシートを搬送する第1搬送路(P1)と、該第1搬送路(P1)により搬送されるシートの一面側に画像を形成する画像形成部(21,26)と、該画像形成部(21,26)を通過したシートを装置外部へ排出するシート排出部(27)と、前記画像形成部(21,26)を通過したシートの表裏を反転させて前記第1搬送路(P1)へ案内することにより、前記シートを前記画像形成部(21,26)へ再度導く第2搬送路(P4)とを備え、前記画像形成部(21,26)にて前記シートの片面又は両面に画像を形成し、画像を形成したシートを前記シート排出部(27)から装置外部へ排出する画像形成装置において、前記シート供給部から複数のシートを順次供給し、各シートの片面に画像を形成する動作を前記画像形成部(21,26)にて連続的に行う場合、前記複数のシートの一部又は全部が前記画像形成部(21,26)を複数回通過するように各シートの搬送経路を制御する経路制御部(101)を備えることを特徴とする。
本願では、シートの片面に連続的に画像形成を行う場合、シート供給部から供給されるシートが画像形成部を複数回通過するように搬送経路を制御する。このとき、画像形成部を通過するシートは第2搬送路に導かれるので、画像形成部にて発生する熱はシートを通じて第2搬送路より外部へ拡散する。本願では、連続的に画像形成を行うことが指示されている場合であっても、画像形成動作を一時的に停止させる必要はないので、ユーザが画像形成装置を使用できない期間をなくすことができ、利便性を向上させることができる。
本願の画像形成装置は、装置内部の温度を計測する計測部(106)と、前記温度に対する閾値を記憶する記憶部(102)とを備え、前記経路制御部(101)は、前記計測部(106)にて計測した温度が前記閾値以上となるまで、前記各シートが前記画像形成部(21,26)を1回だけ通過するように搬送経路を制御し、前記計測部(106)にて計測した温度が前記閾値以上となった場合、前記各シートが前記画像形成部(21,26)を複数回通過するように搬送経路を制御するようにしてあることを特徴とする。
本願では、装置内の温度が閾値以上となる場合にのみ、各シートが画像形成部を複数回通過するように搬送経路を制御するので、画像形成に要する時間を短縮することができる。
本願の画像形成装置は、装置内の温度を計測する計測部(106)と、前記温度に対する閾値を記憶する記憶部(102)と、前記計測部(106)にて計測した温度が前記閾値以上であるか否かに応じて、前記第2搬送路(P4)における前記各シートの搬送速度を異ならせる速度制御部(101)とを備えることを特徴とする。
本願では、装置内の温度が閾値以上である場合、例えば第2搬送路における各シートの搬送速度を低速化することにより、冷却効果を高めることができる。
本願の画像形成装置は、前記閾値の設定を受付ける閾値設定部(103)を備え、該閾値設定部(103)にて前記閾値の設定を受付けた場合、前記記憶部(102)は、記憶してある閾値を更新するようにしてあることを特徴とする。
本願では、装置の設置環境、使用状況等に応じて閾値を変更することができるので、相対的に小さな値を閾値として設定することにより、画像形成速度は低下するものの、装置内の温度上昇を抑制することができ、また、相対的に大きな値を閾値として設定することにより、装置内の温度上昇をある程度許容しつつ、画像形成速度を高めることも可能となる。
本願の画像形成装置は、前記画像形成部(21,26)を複数回通過するように前記各シートの搬送経路を制御する場合、前記画像形成部(21,26)は、前記各シートが前記画像形成部(21,26)を通過する最終の回にて画像を形成するようにしてあることを特徴とする。
本願では、画像形成部を通過する最終の回に画像を形成するので、通過させる回数に応じて、画像が形成された面が表向きになって排出されたり、裏向きになって排出されたりすることなく、常に一定の向きに排出される。
本願の画像形成装置は、前記シート供給部(3)から複数のシートを順次供給し、各シートの片面に画像を形成する動作を前記画像形成部(21,26)にて連続的に行う場合に、前記各シートが前記画像形成部(21,26)を複数回通過することを許可するか否かの許否設定を受付ける受付部(103a,103b)を備えることを特徴とする。
本願では、シートの片面に画像形成を連続的に行う場合に第2搬送路を経由した搬送経路に自動的に切り替えるか否かの許否設定を受付ける構成であるため、例えば、搬送経路の自動切り替えを禁止することにより、必要に応じて画像形成速度を優先させることができる。