JP2008090219A - 画像形成装置、および画像形成装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度上昇を抑えながら、印刷状況に応じた望ましい印刷スループットで印刷することができる画像形成装置、および画像形成装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】プリンタは、機内温度が上昇して印刷画質が低下する可能性があれば印刷を停止する画質優先モードと、機内温度が上昇しても、印刷スループットを低下させて印刷を継続するパフォーマンス優先モードと、パフォーマンス優先モードよりさらに印刷スループットを低下させて、印刷の継続に関して最も安全側の制御を行うダウンタイム回避優先モードとの3つの制御モードが設定可能になっている。ユーザは、これらの制御モードから任意のモードを選択することにより、機内温度上昇時の印刷制御を設定することができる。
【選択図】図4
【解決手段】プリンタは、機内温度が上昇して印刷画質が低下する可能性があれば印刷を停止する画質優先モードと、機内温度が上昇しても、印刷スループットを低下させて印刷を継続するパフォーマンス優先モードと、パフォーマンス優先モードよりさらに印刷スループットを低下させて、印刷の継続に関して最も安全側の制御を行うダウンタイム回避優先モードとの3つの制御モードが設定可能になっている。ユーザは、これらの制御モードから任意のモードを選択することにより、機内温度上昇時の印刷制御を設定することができる。
【選択図】図4
Description
機内温度の上昇に応じて、機内温度の上昇を抑制する温度制御を行う画像形成装置、および画像形成装置の制御方法に関する。
従来、露光像にトナーを現像して、トナー像を用紙に転写・定着させることで印刷を行う、いわゆる電子写真方式のプリンタが広く知られている。
一般に、電子写真方式のプリンタは、その印刷プロセスにおいて発生する熱量が多くなる。例えば、印刷用紙に転写されたトナー像を定着する時には、ヒータで加熱された転写ローラを印刷用紙に圧接してトナー像を定着させるため、プリンタ内部での発熱量は多い。また、自動両面印刷が可能なプリンタでは、トナー像が定着された片面印刷後の用紙を表裏反転して機内に引き込むようにして他面側に印刷を行うが、片面印刷後の用紙自体が片面印刷時の熱をもち続けるため、機内温度が上昇する。
これらの要因などによりプリンタ内部の温度が上昇したとき、プリンタには好ましくない様々な影響が及ぶことがある。例えば、温度上昇によりプリンタ内部に蓄積されたトナーが凝固し、印刷画質が劣化してしまうことがある。
そこで、特許文献1には、予め規定された温度を超える可能性が生じると、ヒータの電源を切って、用紙を空打ち出力を行う技術が開示されている。特に、小さいサイズの用紙を繰り返し印刷しているときには、用紙自体の排紙による排熱量が小さくなって装置内部の温度が上昇しやすくなるので、規定温度を超えると、大きいサイズの用紙を空打ち出力して排紙による排熱量を大きくしている。この技術によれば、装置内部での新たな発熱を抑えながら装置外部への排熱量が増大するので、規定温度を超える温度上昇を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、空打ち出力する間は本来行うべき印刷が中断されるため、単位時間あたりの処理枚数である印刷スループットが低下してしまうという課題がある。ユーザにとっては、画質が低下する可能性があっても、印刷物を早く得ようとする場面、画質の低下を許さない場面など様々な使用状況があるため、温度上昇により強制的に印刷が中断されると不便なことがあった。
そこで、本発明は、温度上昇を抑えながら、印刷状況に応じた印刷スループットで印刷することができる画像形成装置、および画像形成装置の制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明は、画像形成装置であって、印刷に際して、画像形成装置内での発熱を伴う画像形成手段と、画像形成装置内の機内温度を検出する温度検出手段と、機内温度の上昇に応じて画像形成手段の印刷スループットを低下させる度合が互いに異なる複数の制御モードのうちから、設定を切替え可能であり、複数の制御モードのうちからいずれかの制御モードを設定し、設定された制御モードに従って画像形成手段が行う印刷を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、印刷時の発熱により機内温度が上昇すると、設定された制御モードに従って印刷スループットが低下するので、印刷に伴って発生する単位時間当りの熱量が小さくなり、機内温度の上昇を抑えることができる。また、複数の制御モードにより印刷スループットの低下度合を切り替えることができるので、印刷状況に応じた望ましい印刷スループットで印刷することができる。
また、本発明の画像形成装置は、複数の制御モードからいずれかの制御モードを選択するための選択操作を受け付ける操作手段をさらに備え、制御手段は、選択操作により選択される制御モードに設定を変更することが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、操作手段を操作することにより機内温度上昇時の印刷スループットを低下させる制御を選択することができるので、ユーザが求める印刷スループットでの印刷が可能になる。
また、本発明の画像形成装置は、複数の制御モードを選択候補として含む選択画面を表示する表示手段、をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、表示手段に表示された選択画面に従って、制御モードを選択することができる。
また、本発明の画像形成装置において、複数の制御モードは、機内温度が第1の閾値より大きくなると、画像形成手段による印刷を停止させる第1の制御モードを含むことが好ましい。
この構成によれば、第1の制御モードを設定すると、第1の閾値より機内温度が高い状態での印刷を防ぐことができる。例えば、印刷画質を優先する場合には、第1の制御モードを設定することにより、機内温度の上昇による印刷画質の劣化を抑制することができる。
また、本発明の画像形成装置において、複数の制御モードは、印刷用紙への印刷に際して、画像形成装置内において用紙を搬送する搬送速度を、機内温度の上昇に応じて低下させる第2の制御モードを含むことが好ましい。
この構成によれば、第2の制御モードを設定すると、機内温度の上昇に応じて印刷用紙の搬送速度を低下させることにより、印刷スループットが低下するので、機内温度の上昇を抑えながら印刷を続行することができる。
また、本発明の画像形成装置において、複数の制御モードは、機内温度が第2の閾値より小さい場合に、印刷順が1つ前の印刷用紙が印刷後に排紙されるタイミングに先立ち、次の印刷用紙を給紙する非同期印刷を行い、機内温度が第2の閾値以上の場合に、次の印刷用紙の給紙を排紙タイミングに同期させる同期印刷を行う第3の制御モードを含むことが好ましい。
この構成によれば、第3の制御モードを設定すると、第2の閾値より機内温度が高い場合に、次の印刷用紙の給紙を、印刷順が1つ前の印刷用紙の排紙タイミングに同期させる同期印刷を行うので、排紙タイミングに先立ち次の印刷用紙を給紙する非同期印刷に比べて印刷スループットが低下する。したがって、機内温度の上昇を抑えながら印刷を続行することができる。
また、本発明の画像形成装置において、画像形成手段は、片面印刷後の印刷用紙に対して他面への印刷を行う両面印刷が可能であり、複数の制御モードは、機内温度が第3の閾値より小さい場合に、複数枚の印刷用紙の片面を順次印刷してから、片面印刷された複数枚の印刷用紙の他面に順次印刷する両面印刷を行い、機内温度が第3の閾値以上の場合に、1枚の印刷用紙の片面に印刷してから片面印刷後の印刷用紙の他面に印刷する処理を、印刷用紙1枚ごとに繰り返す両面印刷を行う第4の制御モードを含むことが好ましい。
この構成によれば、第4の制御モードを設定すると、第3の閾値より機内温度が高い場合、印刷用紙1枚ずつ両面印刷を行うので、複数枚の印刷用紙の片面に順次印刷してから、他面に順次印刷する両面印刷に比べて、両面印刷時の印刷スループットが低下する。したがって、機内温度の上昇を抑えながら印刷を続行することができる。
本発明は方法の発明とすることができる。すなわち、本発明は、印刷に際して、画像形成装置内での発熱を伴う画像形成手段を有する画像形成装置の制御方法であって、画像形成装置内の機内温度を検出する温度検出工程と、機内温度の上昇に応じて画像形成手段の印刷スループットを低下させる度合が互いに異なる複数の制御モードのうちから設定を切替え可能であり、複数の制御モードのうちからいずれかの制御モードを設定し、設定された制御モードに従って画像形成手段が行う印刷を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする。
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成を示した図である。図1に示すように、印刷システム1は、ホストコンピュータ2とプリンタ(画像形成装置)3とを備えており、ホストコンピュータ2とプリンタ3とは相互にデータ通信可能に接続されている。また、ホストコンピュータ2には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイ4が接続されている。
図1に示すように、ホストコンピュータ2は、アプリケーション部10とプリンタドライバ20とを備えている。
アプリケーション部10は、文書作成ソフトウェアなどのプリンタ3に対する印刷要求元であり、印刷要求及び印刷対象の画像データを生成して、プリンタドライバ20に受け渡す処理を行う。
プリンタドライバ20は、印刷対象の画像データから印刷データを生成して、プリンタ3に送信することにより、プリンタ3に印刷を行わせる処理を行う。印刷対象となる印刷ページ数が複数ページである場合、プリンタドライバ20は各ページの印刷データを順番に送信して、プリンタ3にページごとの印刷を次々に行わせる。
プリンタ3は、ホストコンピュータ2から送信される印刷データを受信して、印刷データに従う印刷を実行するものである。図1に示すように、プリンタ3は、コントローラ30と、印刷エンジン40と、操作パネル50とを備えている。また、コントローラ30は、CPU31、ROM32、RAM33、外部インターフェイス(以下、「外部I/F」という)34、及びエンジンインターフェイス(以下、「エンジンI/F」という)35を有しており、バスを介して相互にデータ通信可能に接続されている。
CPU31は、プリンタ3が行う各種処理を制御する部分であり、特に、受信した印刷データをRAM33に格納する処理、操作パネル50を制御する処理、印刷データに含まれる制御コマンドを解釈して印刷エンジン40に対して印刷を指示する処理などを司る。なお、これらの処理は、ROM32に記憶された制御プログラムをCPU31が実行することにより行う。
外部I/F34は、ホストコンピュータ2からのケーブルが接続され、ホストコンピュータ2から送信される印刷データを受信する処理などホストコンピュータ2とのデータ通信を行う部分である。
操作パネル50は、ユーザがプリンタ3を操作するための部分であり、図1に示すように、液晶表示部(表示手段)51、および操作スイッチ(操作手段)52を有している。液晶表示部51の表示を確認しながら操作スイッチ52を操作することにより、ユーザはプリンタ3に対して各種設定の切替えなどを指示することができる。
ホストコンピュータ2から受信した印刷データの印刷を実行する際には、コントローラ30はRAM33に格納されている印刷データを読み出し、色変換処理及びスクリーン処理を行って、印刷エンジン40が形成するドットに対応した画像データを生成する。そして、コントローラ30は、生成した画像データをエンジンI/F35を介して印刷エンジン40に出力する。
印刷エンジン40は、コントローラ30から出力された画像データに従って印刷を行う部分であり、図1に示すように、印刷用紙に画像を形成して印刷を実行するための画像形成機構41と、画像形成機構41の印刷動作を制御するエンジンコントローラ42とを有している。
画像形成機構41の構成について説明する。図2は、プリンタ3の内部構成を示した図である。図2に示すように、画像形成機構41は、給紙装置100と、給紙ローラ105と、レジストローラ対110a、110bと、転写ローラ115と、定着ローラ対120a、120bと、中継ローラ対125a、125bと、排紙ローラ対130a、130bとを備えている。また、排紙ローラ対130a、130b近傍の所定の位置には、用紙後端の通過を検出することにより、印刷用紙が排紙口135に排出される排紙タイミングを検出する排紙検出センサ(図示なし)が設けられている。
給紙装置100は、重ね合わせた状態で蓄積した多数の印刷用紙が装填されている。給紙ローラ105は給紙装置100から印刷用紙を1枚づつ取り出し、レジストローラ対110a、110bに搬送する。レジストローラ対110a、110bは、給紙ローラ105からの印刷用紙を挟持してさらに下流に搬送する。転写ローラ115は、印刷用紙を中間転写ベルト175との間で挟むように圧接して印刷用紙にトナー画像を転写すると共にその印刷用紙をさらに下流に搬送する。定着ローラ対120a、120bは、ヒータ(図示なし)により加熱されて温度制御されており、トナー画像が転写された印刷用紙に圧接することによりそのトナー画像を定着させると共に、印刷用紙をさらに下流側に搬送する。定着ローラ対120a、120bから搬送された印刷用紙は中継ローラ対125a、125bにより排紙ローラ対130a、130bに搬送する。排紙ローラ対130a、130bは中継ローラ対125a、125bから搬送された印刷用紙を排紙口135から排出する。こうして、給紙装置100から排紙口135に至る用紙搬送経路Aが構成されている。
さらに、画像形成機構41は、両面印刷用の機構として、中継ローラ125bと対となる中継ローラ125c、および各中継ローラ対140a,140b、145a,145bを有している。これらの中継ローラにより、中継ローラ対125b、125cから、レジストローラ対110a,110bの上流側に至り、用紙搬送経路Aに合流する両面印刷用の用紙搬送経路Bが構成されている。
両面印刷が指定されたときは、排紙ローラ対130a、130bは、片面印刷後の印刷用紙を挟持する位置で一時停止する。その後、排紙口135から排紙する回転駆動とは逆回転に駆動することで、中継ローラ対125b、125cに印刷用紙を搬送する。中継ローラ対125a、125bは印刷用紙を用紙搬送経路Bに搬送し、各中継ローラ対140a,140b、145a,145bにより用紙搬送経路Bを通じて用紙搬送経路Aに送られる。これにより、給紙装置100から給紙される印刷用紙とは用紙の表裏が反転した状態の片面印刷後の用紙が、用紙搬送経路Aに搬送される。
さらに、画像形成機構41は、印刷用紙に画像を形成するための機構として、現像ユニット150と、露光ユニット155と、潜像を担持する像担持体である感光体ドラム160と、帯電ユニット165と、一時転写ユニット170と、中間転写ベルト175とを備える。
現像ユニット150は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色ごとに色材であるトナーを内部に蓄積したC,M,Y,Kのカートリッジをそれぞれ収容している。露光ユニット155は、コントローラ30により画像処理されたホストコンピュータ2からの印刷データに基づいてレーザ光を感光体ドラム160に走査する。帯電ユニット165は、感光体ドラム160の回転方向に沿って感光体ドラム160を所定電位に帯電する。露光ユニット155は、帯電した感光体ドラム160表面にレーザ光を照射し、印刷データに対応した潜像を形成する。感光体ドラム160に形成された潜像は、現像ユニット150のトナーが対面位置で付着されることで現像される。一時転写ユニット170は、感光体ドラム160に現像されたトナー画像を中間転写ベルト175に転写する。転写ローラ115は、1次転写されたトナー画像を印刷用紙に2次転写し、定着ローラ対120a、120bが印刷用紙に定着させることで、印刷データに基づく印刷を行う。
また、プリンタ3内部の所定の位置には、プリンタ3内部の温度を検出するため、サーミスタや熱電対などの機内温度検出センサ185が設けられている。なお、図2の例では現像ユニット150近傍の位置に機内温度検出センサを設けているが、センサの位置はこれに限られることなく、重点的に温度管理すべき他の位置に設けるようにしてもよい。
エンジンコントローラ42は、上述した画像形成機構41の各構成の動作により行われる印刷を制御するものであり、特に、各ローラの回転速度を制御することによる搬送速度制御や、両面印刷時の各種制御などを行う。また、エンジンコントローラ42は、定着ローラ対120a、120bが定着に適した所定の温度となるように、ヒータによる加熱の制御も行っている。エンジンコントローラ42が行う制御内容は、コントローラ30が、機内温度検出センサ185が検出した機内温度に応じて、エンジンコントローラ42に制御内容の指示を出すようにして決定される。なお、このエンジンコントローラ42およびコントローラ30は、実際には、制御ユニット180に実装されている。
ここで、本実施形態のプリンタ3は、ユーザが、印刷時の温度制御に関する複数の制御モードのうちから、所望の制御モードを選択可能になっている。制御モードを設定する際には、CPU31は液晶表示部51に、図3(a)に例として示す制御モード選択画面を表示する。ユーザは、制御モード選択画面に従って操作スイッチ52を操作して、所望の制御モードを選択することができ、このとき、選択した制御モードを示す情報がRAM33に記憶される。選択候補の制御モードとしては、図3(a)に示すように、画質優先モード(第1の制御モード)、パフォーマンス優先モード(第2の制御モード)、およびダウンタイム回避優先モード(第3,4の制御モード)の3つの制御モードがある。
また、制御モードの設定は、ホストコンピュータ2側で行うこともできる。制御モードを設定する際には、プリンタドライバ20はディスプレイ4に、図3(b)に例として示す制御モード選択画面を表示する。ユーザは制御モード選択画面に従ってホストコンピュータ2のキーボードやマウス(図示なし)を操作して、所望の制御モードを選択することができる。制御モードが選択されると、プリンタドライバ20は、選択された制御モードを示す情報を含む印刷データを送信する。プリンタ3は、印刷データを受信すると、受信した印刷データ(選択された制御モードを示す情報を含む)をRAM33に記憶する。
以下、各制御モードについて説明する。3つの制御モードは、プリンタ内部の機内温度が上昇したときの制御内容が異なる。画質優先モードは、印刷画質を重視した印刷を行う場面に推奨される制御モードであり、機内温度が上昇して印刷画質が低下する可能性が生じると印刷を中断する制御内容である。パフォーマンス優先モードは、単位時間当りの印刷枚数、すなわち印刷スループットを重視する場面に推奨される制御モードであり、機内温度が上昇しても、印刷スループットを低下させて印刷を継続する制御内容である。ダウンタイム回避優先モードは、機内温度が上昇したときでも印刷の継続を最重視する場面に推奨される制御モードであり、パフォーマンス優先モードよりさらに印刷スループットを低下させ、印刷の継続に関して最も安全側の制御内容になっている。
図4は、制御モードごとに温度レベルに対応して切替える制御内容の決定表を示している。ここで、温度レベルとは、機内温度の程度を予め決められた水準に分けて示すものである。図5に、機内温度と温度レベルとの対応関係を示す。図5に示すように、温度レベルは、機内温度の高低に対応して、「通常レベル」、「注意レベル」、「停止レベル」のうちいずれかに決定される。通常レベルと注意レベルとの閾値は、画質への影響が少ないとされる機内温度の上限値(第1の閾値)αである。注意レベルと停止レベルとの閾値は、トナーの凝固などプリンタに与える影響が大きくなり、機内温度を抑える必要が生じる下限値(第2、第3の閾値)β(>α)である。すなわち、機内温度が閾値α未満のときの温度レベルが通常レベル、閾値α以上且つ閾値β未満のときの温度レベルが注意レベル、閾値β以上のときの温度レベルが停止レベルに対応する。
画質優先モードにおいては、図4の決定表KMに従って、温度レベルが通常レベルのときに、搬送速度は「高速」、同期印刷は「オフ」、両面印刷は「高速パターン」に設定する。注意レベルのときには「印刷停止」に設定する。なお、画質優先モードでは、機内温度が注意レベルに達した時点で印刷を停止するため機内温度が停止レベルに達することがないと想定して、停止レベルに対応する設定を規定していない。もっとも、画質優先モードの停止レベルに「印刷停止」を設定しても差し支えない。
パフォーマンス優先モードにおいては、決定表KMに従って、通常レベルのときに搬送速度は「高速」、同期印刷は「オフ」、両面印刷は「高速パターン」に設定する。注意レベルのときに搬送速度は「低速」、同期印刷は「オフ」、両面印刷は「高速パターン」に設定する。停止レベルのときには「印刷停止」に設定する。
ダウンタイム回避優先モードにおいては、決定表KMに従って、通常レベルのときに搬送速度は「高速」、同期印刷は「オフ」、両面印刷は「高速パターン」に設定する。注意レベルのときに搬送速度は「低速」、同期印刷は「オン」、両面印刷は「低速パターン」に設定される。停止レベルのときに「印刷停止」に設定する。
このように、制御モードと温度レベルに応じて、搬送速度、同期印刷、両面印刷の各制御内容が決定する。以下、各制御内容について順次説明する。
まず、搬送速度について説明する。画像形成機構41内の搬送速度は、エンジンコントローラ42がレジストローラ対110a,110b、定着ローラ対120a,120b、中継ローラ対125a,125b,125c、排紙ローラ対130a,130bなどの各構成の回転速度を制御することにより切替える。また、転写ローラ115、感光体ドラム160についても、用紙搬送速度に応じた周速度となるように回転速度を制御する。これにより、印刷エンジン40は、用紙搬送速度を高速と低速に切替え可能である。
次に、同期印刷について説明する。まず、同期印刷オフの非同期印刷では、印刷された印刷用紙の排紙タイミングに先立ち、次の用紙を給紙可能となったタイミングで次の印刷用紙を給紙装置100から給紙して印刷する。
一方、同期印刷とは、複数枚の印刷用紙に対して印刷する際に、印刷用紙の給紙を、1つ前に印刷された印刷用紙の排紙タイミングに同期させる印刷方法である。すなわち、排紙検出センサが排紙口135への印刷用紙の排紙を検出したタイミングで、給紙装置100から次の印刷用紙を給紙する。この同期印刷によれば、非同期印刷に比べて次の用紙に対する印刷開始タイミングが遅まるので、印刷スループットが低下することになる。
次に、両面印刷について説明する。高速パターンの両面印刷とは、複数枚の用紙に対して片面への印刷を行ってから、片面印刷された複数の用紙の他面に印刷を行う両面印刷方法である。例えば、4ページ分の印刷ページを両面印刷する際に、2枚の印刷用紙の片面に対して、2ページ目、4ページ目を順次印刷する。そして、片面印刷済みの印刷用紙は、用紙搬送経路Bを通じて用紙搬送経路Aに戻すようにして表裏を反転させ、2枚の印刷用紙の未印刷側である他面に対して、1ページ目、3ページ目を順次印刷する。
一方、低速パターンの両面印刷とは、1枚の用紙の片面への印刷を行ってから、片面印刷後の用紙の他面に印刷する両面印刷を、印刷対象とする用紙ごとに繰り返す両面印刷方法である。例えば、4ページ分の印刷ページを両面印刷する際には、1枚目の印刷用紙の片面に2ページ目を印刷してから、片面印刷済みの印刷用紙を用紙搬送経路Bから用紙搬送経路Aに戻し、他面に1ページ目を印刷する。次に、給紙装置100から、2枚目の印刷用紙を給紙して4ページ目を印刷してから、片面印刷済みの印刷用紙を用紙搬送経路Bから用紙搬送経路Aに戻し、他面に3ページ目を印刷する。結果、低速パターンの両面印刷によれば、用紙1枚に片面印刷するごとに用紙搬送経路Bを通して用紙搬送経路Aに戻す時間を待つことになる。したがって、低速パターンの両面印刷では、高速パターンの両面印刷に比べると印刷スループットが低下する。
なお、両面印刷設定の内容に応じて印刷データのページ順を並び替える処理は、コントローラ30が行うようにしてもよいが、本実施形態では、ホストコンピュータ2のプリンタドライバ20が、プリンタ3に印刷データを送信する前のタイミングでページ順を並び替える処理を行うこととする。プリンタ3は受け取った印刷データの順番に従って印刷することで、並び替えられたページ順での印刷が行われる。
次に、プリンタ3が印刷する際に行う処理について、図6のフローチャートに従って説明する。
ホストコンピュータ2が複数ページの印刷データを1ページずつ順番に送信するとき、プリンタ3が先頭ページの印刷データを受け取ると、図6の印刷処理を開始する。なお、印刷エンジン40は、コントローラ30からの指示がなければ、搬送速度は高速、同期印刷オン、高速パターンの両面印刷に予めデフォルト設定されているものとする。ユーザが、図3(a)、(b)の制御モード選択画面に従って行う制御モードの選択は処理に当って予め行われ、選択した制御モードを示す情報がRAM33に記憶された状態で処理を開始する。
印刷処理を開始すると、まず、CPU31は、機内温度検出センサ185に機内温度を検出させ、機内温度検出センサ185の出力信号より機内温度を取得する(ステップS100)。
次に、CPU31は、取得した機内温度が停止レベルになっているか否かを判断する(ステップS110)。機内温度が停止レベルになっていれば(ステップS110:Yes)、印刷を実行することなくステップS100に戻って、再度機内温度の検出を行う。こうして、ステップS100およびS110の処理を繰り返すことにより、停止レベルの機内温度における「印刷停止」の制御が行われる。機内温度が停止レベルになっていなければ(ステップS110:No)、ステップS120に進んで、ユーザが選択した制御モードを示す情報をRAM33から読み出して取得する。この情報から図4の決定表KMに従って、搬送速度、同期印刷、両面印刷についての制御内容を決定する。
次に、CPU31は、ステップS120にて決定した制御内容について、搬送速度が低速であるか否かを判断する(ステップS130)。低速であれば(ステップS130:Yes)、ステップS140に進んで、CPU31がエンジンコントローラ42に搬送速度を低速に切替える指示を出してから、ステップS150に進む。搬送速度が低速でなければ(ステップS130:No)、エンジンコントローラ42に指示を出すことなく、デフォルトの高速に設定された状態でステップS150に進む。
ステップS150に処理が進むと、CPU31は、ステップS120にて決定した制御内容が両面印刷の低速パターンであるか否かを判断する。低速パターンであれば(ステップS150:Yes)、ステップS160に進む。低速パターンでなければ(ステップS150:No)、エンジンコントローラ42に指示を出すことなく、デフォルトの高速パターンに設定された状態でステップS170に進む。
ステップS160に処理が進むと、CPU31は、低速パターンに設定を変更する。具体的には、ホストコンピュータ2のプリンタドライバ20に、低速パターンのページ順に画像データを並び替えて送信させる旨の指示を出し、次ページ以降のページ順について並び替えられた印刷データを受け取ることで低速パターンに変更する。始めに印刷するページは、高速パターン、低速パターンの両面印刷ともに2ページ目であるので、次ページ以降についてページの並び替えを行うことになる。プリンタドライバ20に指示を出すとステップS170に進む。
ステップS170に処理が進むと、CPU31は、ステップS120にて決定した制御内容が同期印刷オンであるか否かを判断する。同期印刷オンであれば(ステップS170:Yes)、ステップS180に進んで、排紙検出センサにより1つ前に印刷した印刷用紙の排紙を待ちつづけ排紙を確認してから、ステップS190に進む。同期印刷オフであれば(ステップS150:No)、ステップS190に進む。
ステップS190に処理が進むと、CPU31は、エンジンコントローラ42に印刷を実行する指示を出す。エンジンコントローラ42は、S140で指示されたときは低速の搬送速度、指示がないときはデフォルトである高速の搬送速度に従って画像形成機構41の各ローラの回転速度を制御して、印刷を実行する。
ホストコンピュータ2から受け取った印刷データに対してステップS190の処理が実行されると、図6のフローチャートに示した処理を終了する。
なお、ステップS100が請求項に記載の温度検出工程、ステップS120〜S200が請求項に記載の制御工程に相当する。
以下、本実施形態の効果を記載する。
(1)ユーザは、液晶表示部51に表示された制御モード選択画面から、操作スイッチ52を操作して、機内温度上昇時に印刷スループットを低下させる度合が異なる、画質優先モード、パフォーマンス優先モード、ダウンタイム回避モードのうちから所望の制御モードを選択することができる。ここで、印刷スループットが低下すると、定着時に定着ローラから印刷用紙に伝達する熱量が単位時間当りで小さくなるので、定着ローラの温度を一定に保つためのヒータ発熱量も単位時間当りで小さくなる。したがって、機内温度の上昇を抑制しながら、ユーザの要求に応じた印刷スループットで印刷することが可能となる。
(2)画質優先モードに設定すれば、閾値αより機内温度が高い状態での印刷を防ぐので、高い温度でトナーの一部が凝固することによる印刷画質の劣化を抑制することができる。これにより、画質に優れた印刷物を得ることが可能な状態を維持することができる。
(3)パフォーマンス優先モードに設定すれば、機内温度な閾値αより高い場合、印刷用紙の搬送速度を低下させることにより、印刷スループットが低下する。これにより、機内温度の上昇を抑えながら、印刷を継続することができる。
(4)ダウンタイム回避モードに設定すれば、搬送速度を低下させることに加えて、同期印刷を行うことにより、閾値αより機内温度が高い状態での印刷スループットがさらに低下する。これにより、機内温度の上昇をさらに抑えながら、印刷をより確実に継続することができる。
(5)ダウンタイム回避モードに設定すれば、低速パターンの両面印刷に切替えることにより、閾値αより機内温度が高い状態での両面印刷時の印刷スループットが低下する。これにより、両面印刷時に、定着時の熱をもち続ける片面印刷後の用紙が用紙経路経路B/Aを順番に搬送されることによって機内温度が上昇することを抑制できる。したがって、機内温度の上昇を抑えながら、印刷をより確実に継続することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限られることなく、様々な形態とすることもできる。以下、本発明の変形例について説明する。
(変形例1)上記実施形態では、画質優先モード、パフォーマンス優先モード、ダウンタイム回避優先モードの3つの制御モードのうちから選択することにより、搬送速度・同期印刷・両面印刷の設定を切替えたが、搬送速度・同期印刷・両面印刷の各設定を個別に設定するようにしてもよい。また、第2,第3の閾値を異なる値に設定して、非同期印刷から同期印刷に切り替わる機内温度と、高速パターンから低速パターンの両面印刷に切り替わる機内温度とが異なるようにしてもよい。
(変形例2)上記実施形態では、搬送速度を高速と低速の2段階に切替えるようにしたが、機内温度に応じて2以上の多段階に切替えるようにしてもよい。
(変形例3)上記実施形態ではユーザが制御モードを選択するようにしたが、印刷対象のデータの種類に応じてコントローラが判断して制御モードを設定するようにしてもよい。例えば、プリンタドライバ20がアプリケーション部10からのデータを判断して、デジタルカメラなどで撮影された画像データを印刷する場合には画質優先モードに設定し、テキストなどの文書データを印刷する場合にはパフォーマンス優先モードまたはダウンタイム回避優先モードに設定するとよい。
(変形例4)本発明は、レーザプリンタに限られることなく、印刷時に機内で発熱するため温度制御を行う必要があれば、インクジェットプリンタや、熱転写方式のプリンタに適用することができる。また、複写機、ファックスに適用することもできる。
1…印刷システム、2…ホストコンピュータ、3…画像形成装置としてのプリンタ、4…ディスプレイ、10…アプリケーション部、20…プリンタドライバ、30…制御手段としてのコントローラ、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…外部インターフェイス、35…エンジンインターフェイス、40…画像形成手段としての印刷エンジン、41…画像形成機構、42…エンジンコントローラ、50…操作パネル、51…液晶表示部、52…操作手段としての操作スイッチ、100…給紙装置、105…給紙ローラ、110a,110b…レジストローラ対、115…転写ローラ、120a,120b…定着ローラ対、125a,125b,125c…中継ローラ対、130a,130b…排紙ローラ対、135…排紙口、140a,140b,145a,145b…中継ローラ対、150…現像ユニット、155…露光ユニット、160…感光体ドラム、165…帯電ユニット、170…一時転写ユニット、175…中間転写ベルト、180…制御ユニット、185…温度検出手段としての機内温度検出センサ、A…用紙搬送経路、B…両面印刷用の用紙搬送経路、KM…決定表。
Claims (8)
- 画像形成装置であって、
印刷に際して、前記画像形成装置内での発熱を伴う画像形成手段と、
前記画像形成装置内の機内温度を検出する温度検出手段と、
前記機内温度の上昇に応じて前記画像形成手段の印刷スループットを低下させる度合が互いに異なる複数の制御モードのうちから、設定を切替え可能であり、
前記複数の制御モードのうちからいずれかの制御モードを設定し、前記設定された制御モードに従って前記画像形成手段が行う印刷を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1に記載の画像形成装置において、
前記複数の制御モードからいずれかの制御モードを選択するための選択操作を受け付ける操作手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記選択操作により選択される制御モードに設定を変更することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項2に記載の画像形成装置において、
前記複数の制御モードを選択候補として含む選択画面を表示する表示手段、をさらに備えることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数の制御モードは、
前記機内温度が第1の閾値より大きくなると、前記画像形成手段による印刷を停止させる第1の制御モードを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数の制御モードは、
印刷用紙への印刷に際して、前記画像形成装置内において用紙を搬送する搬送速度を、前記機内温度の上昇に応じて低下させる第2の制御モードを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記複数の制御モードは、
前記機内温度が第2の閾値より小さい場合に、印刷順が1つ前の印刷用紙が印刷後に排紙されるタイミングに先立ち、次の印刷用紙を給紙する非同期印刷を行い、
前記機内温度が前記第2の閾値以上の場合に、次の印刷用紙の給紙を前記排紙タイミングに同期させる同期印刷を行う第3の制御モードを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成手段は、片面印刷後の印刷用紙に対して他面への印刷を行う両面印刷が可能であり、
前記複数の制御モードは、
前記機内温度が第3の閾値より小さい場合に、複数枚の印刷用紙の片面を順次印刷してから、前記片面印刷された複数枚の印刷用紙の他面に順次印刷する両面印刷を行い、
前記機内温度が前記第3の閾値以上の場合に、1枚の印刷用紙の片面に印刷してから前記片面印刷後の印刷用紙の他面に印刷する処理を、前記印刷用紙1枚ごとに繰り返す両面印刷を行う第4の制御モードを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 印刷に際して、前記画像形成装置内での発熱を伴う画像形成手段を有する画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置内の機内温度を検出する温度検出工程と、
前記機内温度の上昇に応じて前記画像形成手段の印刷スループットを低下させる度合が互いに異なる複数の制御モードのうちから設定を切替え可能であり、前記複数の制御モードのうちからいずれかの制御モードを設定し、前記設定された制御モードに従って前記画像形成手段が行う印刷を制御する制御工程と、を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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