以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る防水装置10の使用状態を示す図である。この図1では、内部側から水平方向で見た防水装置の使用状態が示されている。図2は、第1実施形態の防水装置10のシート20収納時を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、防水装置10は、シート20を張設して水の侵入を防止するものであり、地下駐車上の出入口等、建物1の外部2から内部3への通路となる開口部に設置される。外部2から内部3に侵入しようとする水の侵入方向(図2における白抜きの矢印)に対して収納枠11の長手方向が直交するように配置される。なお、以下の説明において、使用状態におけるシート20の長手方向を左右方向として説明することがある。また、水平方向における建物1の外部2側を建物外部側とし、建物1の内部3側を建物内部側として説明することがある。
シート20は、可撓性のある材料で構成される横長に形成される。シート20の高さは、想定される増水の水位WLよりも高く設定される。本実施形態のシート20の上端部には、曲げ可能な線状部材としてのワイヤ25が通されている。ワイヤ25は、水の水圧に対するシート20の撓み防止になる。
シート20を支持及び収納する構造について説明する。本実施形態の防水装置10は、地面FLに埋設される収納枠11と、収納枠11の左右両側にそれぞれ配置される縦枠12と、収納枠11と左右の縦枠12に囲まれる空間に横設されるシート20と、左右方向の中央でシート20を支持する中柱14と、中柱14の下端部を支持する支持枠15と、を備える。
収納枠11について説明する。図3は、第1実施形態の防水装置10のシート20収納時の収納枠11を示す縦断面図である。図4は、第1実施形態の防水装置10のシート20収納時を示す平面図である。
図3に示すように、収納枠11は、水平方向で見た断面形状が略C字状に形成されている。収納枠11には、その底部110と、建物内部側の内側面111と、建物外部側の内側面112と、により囲まれた空間が内側に形成される。
収納枠11は、その底部110が建物1の外部2側に進むにつれて下がる方向に傾斜している。収納枠11の底部110における建物外部側には排水管7が接続されている。収納枠11の底部110に達した水は、その傾斜によって排水管7を通じて外部に排出されることになる。
収納枠11の内側には、シート20の下側の端部を把持する下側把持部60が設けられる。下側把持部60は、収納枠11の底部110に設けられる下側把持金物65と、建物内部側の内側面111に設けられる下側突条部61及び止水ゴム62と、建物外部側の内側面112に設けられる下側金物押圧部66と、を備える。
下側把持金物65は、収納枠11の底部110にヒンジ67を介して取り付けられる。本実施形態の下側把持金物65のヒンジ67の位置は、底部110における建物内部側になっている。ヒンジ67の回転軸は、左右方向(水平方向)を向いている。
下側把持金物65は、シート20の下端部に建物外部側から接触する把持位置と、シート20から離間する待機位置と、の間を回動可能に構成される。
下側把持金物65は、左右方向に細長の板状に形成されており、把持位置においてシート20の下側端部に面接触可能に構成される。本実施形態では、複数の下側把持金物65が連続的に配置されている。なお、下側把持金物65を一つにしてもよい。
また、本実施形態の下側把持金物65には、後述する下側金物押圧部66を押圧位置までガイドするガイド部69が建物外部側に配置される。ガイド部69は、下側把持金物65が把持位置にある状態で、当該下側金物押圧部66の上端よりはみ出した部分を有し、このはみ出した部分が上方に進むに従って建物内部側に傾斜するように構成される。
本実施形態のシート20は、下側の端部に抜け止め部21を備える。抜け止め部21は、シート20を折り返して形成した空間に通されるロープによって構成される。把持位置の下側把持金物65が、シート20における抜け止め部21よりも上方位置でシート20の下側の端部に面接触することにより、シート20が下側把持部60から抜けようとしても、抜け止め部21が干渉してシート20抜けが防止される。
下側突条部61は、建物内部側の内側面111から建物外部側に突出している。下側突条部61は、左右方向に細長に形成されている。
止水ゴム62は、建物内部側の内側面111における下側突条部61の上方に配置される。止水ゴム62は、下側突条部61と同様に左右方向に細長に形成されており、その先端面が下側突条部61の先端面よりも突出している。
本実施形態では、建物内部側の内側面111における止水ゴム62の上方にL字プレート63が設けられる。L字プレート63は、下側突条部61とともに上下方向で止水ゴム62を挟み込む位置関係となっている。L字プレート63は、保護シート90の一側の端部を収納枠11とともに挟持している。
保護シート90は、シート20の左右方向の長さに応じて形成されており、折り畳んだシート20を覆うことができるようになっている。本実施形態では、シート20と同じ材料によって形成されている。
下側金物押圧部66は、建物外部側の内側面112にヒンジ68を介して取り付けられる。本実施形態の下側金物押圧部66のヒンジ68の位置は、内側面111における下部になっている。ヒンジ68の回転軸は、左右方向(水平方向)を向いている。
下側金物押圧部66は、把持位置にある下側把持金物65を建物外部側から建物内部側に押圧する押圧位置と、下側把持金物65から離間する待機位置と、の間を回動可能に構成される。
下側金物押圧部66は、側面視においては、その先端が屈曲して鉤状に形成される。下側金物押圧部66は、把持位置において先端側の屈曲部分で下側把持金物65を建物外部側から建物内部側に押圧する。
図4に示すように、下側金物押圧部66は、左右方向で間隔をあけて複数配置されており、把持位置の下側把持金物65は複数のポイントで押圧される。
次に、下側把持部60にシート20の下側の端部を把持させる手順について説明する。図5は、第1実施形態の下側把持部60によってシート20が把持される様子を段階的に示す図である。
図5(a)は、下側把持部60によってシート20の下側の端部が把持される前の状態を示す。図5(a)に示すように、まず、シート20の下側の端部を下側把持部60によって把持される位置に移動させる。次に、下側把持金物65を待機位置から把持位置に移動させる。下側把持金物65は、建物内部側に位置する下側突条部61及び止水ゴム62とともにシート20を水平方向で挟み込んだ状態となる。
図5(b)は、下側金物押圧部66が待機位置から押圧位置に移動する状態を示す。5(b)に示すように、下側把持金物65が把持位置にある状態で下側金物押圧部66を押圧位置まで回動させる。把持位置の下側把持金物65が、下側金物押圧部66によって押圧されることにより、シート20の把持状態が維持される。
本実施形態では、下側金物押圧部66を待機位置で係止する係止部(図示省略)が設けられている。係止部の係合を解除して下側把持金物65を把持位置に移動させる。
図5(c)は、下側金物押圧部66によって下側把持金物65が把持位置で保持される状態を示す。図5(c)に示すように、下側金物押圧部66が押圧位置に移動し、下側把持金物65を建物外部側から押圧することによって下側把持金物65が把持位置で固定される。
把持位置の下側金物押圧部66は、収納枠11の内側に横設された状態となり、下側金物押圧部66と収納枠11の底部110との間に空隙を形成する横架部材として機能する。
次に、左右両側に配置される縦枠12について説明する。図6は、本実施形態の縦枠12の内側を示す横断面図である。図7は、本実施形態の縦枠12の内側を示す縦断面図である。なお、図6及び図7に示す縦枠12は、左右方向一側の縦枠12であり、他側の縦枠12も略同様の構成である。
本実施形態の縦枠12は、建物1の内側に埋め込まれる埋め込み型である。縦枠12は、建物1の内側で溶接アンカー(図示省略)等によって支持される。図2に示すように、シリンダ錠91を有する扉92を有しており、使用しないときは扉92が閉じられるようになっている。
図6に示すように、縦枠12は、上下方向で見た断面形状が略C字状に形成されている。縦枠12には、その左右方向の中央側を向く内側面120と、建物内部側の内側面121と、建物外部側の内側面122と、により囲まれた空間が内側に形成される。
縦枠12の内側には、シート20の側部の端部を把持する側部把持部40が設けられる。側部把持部40は、左右方向の中央側を向く内側面120に設けられる側部把持金物55と、建物内部側の内側面121に設けられる縦枠突条部51及び止水ゴム52と、建物外部側の内側面122に設けられる側部金物押圧部42と、を備える。
側部把持金物55は、縦枠12の左右方向の中央側を向く内側面120にヒンジ56を介して取り付けられる。本実施形態の側部把持金物55のヒンジ56の位置は、内側面120における建物内部側になっている。ヒンジ56の回転軸は、上下方向を向いている。
側部把持金物55は、シート20の側部に建物外部側から接触する把持位置と、シート20から離間する待機位置と、の間を回動可能に構成される。
側部把持金物55は、上下方向に細長の板状に形成されており、把持位置においてシート20の側部に面接触可能に構成される。
本実施形態のシート20は、側部にも抜け止め部22が形成される。側部の抜け止め部22の構成は、下側の端部に形成される抜け止め部21と同様に、折り返し部分にロープを通して構成される。左右方向の抜け止め部22と下側端部の抜け止め部21は、連続しており、連続するロープによって形成される。シート20の左右方向の一側の端部から下側の端部を通って他側の端部まで連続するロープが抜け止めとして機能する。
また、把持位置において建物外部側を向く側部把持金物55の裏面にはガイドストッパ57が設けられる。ガイドストッパ57は、後述の側部金物押圧部42を案内し易くするとともに把持位置で止めるための規制部材である。
本実施形態のガイドストッパ57は、その一側の端部がL字状に屈曲して側部金物押圧部42の受け面として機能する。ガイドストッパ57の他側の端部が側部把持金物55から左右方向の内側にはみ出すとともに建物内部側に若干傾斜している。
縦枠突条部51は、建物内部側の内側面121から縦外部側に突出している。縦枠突条部51は、上下方向に細長に形成されている。
止水ゴム52は、建物内部側の内側面121における縦枠突条部51の左右方向の中央側に隣接配置される。止水ゴム52は、縦枠突条部51と同様に上下方向に細長に形成されており、その先端面が縦枠突条部51の先端面よりも突出している。収納枠11の止水ゴム62と縦枠12の止水ゴム52は連続しており、同様の材料で構成される。
側部金物押圧部42は、建物外部側の内側面122にヒンジ43を介して取り付けられる。ヒンジ43の回転軸は、上下方向を向いている。
側部金物押圧部42は、把持位置にある側部把持金物55を建物外部側から押圧する押圧位置と、側部把持金物55から離間する待機位置と、の間を回動可能に構成される。
側部金物押圧部42は、上下方向に延びる板状部材である。図7に示すように、側部金物押圧部42は、その上下方向の全長が側部把持金物55より短い長さの範囲に設定されている。
図6に示すように、側部金物押圧部42は、平面視においては、その先端が屈曲して鉤状になっており、その屈曲部分の一部が側部把持金物55に接触する接触部45となっている。側部金物押圧部42は、押圧位置で側部把持金物55に対面する部分が接触部45から左右方向の外側に向かうにつれて側部把持金物55から離れるように傾斜している。側部金物押圧部42は、平面視において、その先端の一部のみが側部把持金物55に接触することになる。側部金物押圧部42は、上下方向に延びているので、接触部45の接触範囲は上下方向に途切れることなく連続する線状になっている。
次に、側部把持部40にシート20の側部を把持させる手順について説明する。図8は、側部把持部40によってシート20が把持される様子を段階的に示す図である。
図8(a)は、下側把持部60によってシート20の下側の端部が把持された状態であって、側部把持部40によってシート20の左右方向の端部が把持される前の状態を示す。図8(a)に示すように、まず、シート20の左右方向の端部を側部把持部40によって把持される位置に移動させる。次に、側部把持金物55を待機位置から把持位置に移動させる。これにより、シート20が建物外部側の側部把持金物55と、建物内部側の縦枠突条部51及び止水ゴム52と、の間に挟み込まれた状態となる。
図8(b)は、側部金物押圧部42が待機位置から押圧位置に移動する状態を示す。7(b)に示すように、側部把持金物55が把持位置にある状態で側部金物押圧部42を押圧位置まで回動させる。
本実施形態では、側部把持金物55におけるシート20と接触しない反対側の面には、ガイドストッパ57が設けられる。ガイドストッパ57は、受け面となる一側の端部で側部金物押圧部42を把持位置で受け止める。また、ガイドストッパ57の他側の端部は、側部把持金物55からはみ出しており、把持位置に向かう側部金物押圧部42のガイドとしても機能する。
図8(c)は、側部金物押圧部42によって側部把持金物55が把持位置で保持される状態を示す。図8(c)に示すように、側部金物押圧部42が押圧位置に移動し、側部把持金物55を建物外部側から押圧することによって側部把持金物55が把持位置に固定される。
次に、シート20の上端部を通されるワイヤ25を利用した縦枠12の係合について説明する。図9は、シート20の上端部がワイヤ25を介して縦枠12に係合されている様子を示す図である。この図9には、下側把持部60によりシート20の下側の端部を把持し(図5(a)〜(c)参照)、側部把持部40によりシート20の左右両側の端部をそれぞれ把持した(図8(a)〜(c)参照)状態が示される。
図9に示すように、側部把持金物55は、上下方向に細長く延びている。この側部把持金物55を把持位置で保持する側部金物押圧部42も、上述の通り、上下方向に細長く形成されているので、側部把持金物55に接触する部分が線状になっている。即ち、側部金物押圧部42は、側部把持金物55に線接触で押圧力を付与している。側部金物押圧部42が線接触で側部把持金物55を建物内部側に押し付けることにより、側部金物押圧部42によって付与される押圧力が上下方向で均等になり、隙間なくシート20を止水ゴム52の先端面に密着させることが可能となっている。
また、下側把持部60の下側把持金物65は、左右方向に細長く延びている。上述の通り、下側把持金物65は左右方向に細長く延びており、シート20の下側端部に面接触している状態となっている。この面接触する下側把持金物65を把持位置で保持する下側金物押圧部66は、上述の通り、間欠的に配置されており、複数のポイントで下側把持金物65の把持状態が保持されることになるため、シート20の収納時に外部から侵入する雨水等を収納枠11と下側金物押圧部66との間の空隙に排水しやすい。
ワイヤ25の一側の端部はフック金具26を介して一側の縦枠12に係合されるとともに、他側の端部も係合金具(図示省略)を介して他側の縦枠12に係合される。縦枠12の内側には、フック金具26又は係合金具を係合するための係合部27が配置されており、係合部を介してワイヤ25が左右方向に張られる状態となる。これによってシート20の上端部が適切な位置で保持される。
本実施形態のフック金具26は、その全長を変更できるように構成されており、ワイヤ25の張り具合を調節可能になっている。
図10は、シート20の隅部の様子を示す図9の一部(鎖線で囲む領域100)拡大図である。図10に示すように、上下方向に延びる止水ゴム52と左右方向に延びる止水ゴム62は、縦枠12の内側で接続されている。左右両側の止水ゴム52とその間に配置され、左右方向に延びる止水ゴム62によって止水ラインが形成されている状態となっている。三方を囲うように止水ラインが形成されることにより、使用時におけるシート20の内側への水の侵入を効果的に防止することができる。また、シート20の左右両側の抜け止め部21及び下側の抜け止め部22も、シート20の隅部で連続しており、三方を囲うように形成される。これによっても、シート20が把持位置から簡単に抜けないようになっている。本実施形態では、左右両側の抜け止め部21及び下側の抜け止め部22が可撓性のあるロープによって構成されているので、シート20を折り畳む場合にも邪魔になることはない。
次に、中柱14及び支持枠15について説明する。図1に示すように、中柱14は左右方向の中央でシート20を保持する部材である。図4に示すように、中柱14を支持する支持枠15は、収納枠11の外側であって収納枠11に間隔をあけて内部3側に配置される。
図11は、中柱14にシート20のワイヤ25が係止される状態を示す拡大正面図である。図12は、中柱14にシート20のワイヤ25が係止される状態を示す拡大は平面図である。
図11及び図12に示すように、中柱14は、その頂部に上方に突出する係合突起16を備える。係合突起16は、中柱14の上面から突出する軸状部17と、軸状部17の先端に形成される大径部18と、を備える。
シート20上端部の左右方向の中央には、中柱14の位置に合わせてワイヤ25を外側に露出させる切欠き23が形成される。この切欠き23で露出するワイヤ25を係合突起16の軸状部17に引っ掛けることで、シート20上端部が左右方向の中央でも支持される状態となる。
本実施形態では、シート20は、使用状態及び収納状態のいずれにおいても、その下側の端部が下側把持部60に把持されている状態を維持する。なお、図5(a)〜(c)に示すシート20の下側の端部を固定する作業は、収納枠11に最初にシート20取り付けるときやシート20のメンテナンスを行うときやシート20の交換を行うとき等に行われる。本実施形態の構造であれば、工具を用いることなく容易にシート20の交換作業を行うことができる。例えば、通行を妨げることなくシート20を乾かしたい場合等は、下側把持部60の把持を解除するだけで収納枠11からシート20を簡単に取り外すことができる。
シート20の収納方法について説明する。図3に示すように、シート20の収納は、下側把持部60によってシート20の下側端部を把持した状態を維持したままの状態で、シート20の上側を折り畳んで横架部材として機能する下側金物押圧部66の上に置く。
シート20の上に横に倒した状態の中柱14を置き、その上から保護シート90で中柱14及びシート20が覆われる状態にする。次に、収納枠11の上部に、チェッカープレート5を蓋部材としてセットする。チェッカープレート5は、収納枠11に取り付けられた状態では、地面FLと略面一の状態となる。また、中柱14を引き抜いた支持枠15についても支持枠15用のチェッカープレート6を置く。
防水装置10の使用時は、収納時と逆の手順で行う。図1に示すように、使用時のシート20は、その下端側が下側把持部60によって把持されるとともに、その左右両側が縦枠12の側部把持部40によって把持された状態となる。下側金物押圧部66及び側部金物押圧部42の押圧方向は、想定される水の侵入方向と同じ方向である。そして、シート20は、その長手方向が平面視における水の侵入方向に対して直交する方向を向いた状態で支持される。本実施形態では、ワイヤ25及び中柱14によってシート20の把持状態がより安定的なものとなっている。
以上説明した実施形態の防水装置10によれば、以下のような効果を奏する。
防水装置10は、地面FLに埋設され、張設状態のシート20の下側が固定される収納枠11と、収納枠11の両側にそれぞれ配置される縦枠12と、縦枠12のそれぞれに配置され、シート20の端部を面接触で縦枠の内側面121側に押し付ける側部把持金物55と、側部把持金物55を押圧する接触部45が、上下方向に延びる線状に形成される側部金物押圧部42と、を備える。
これにより、上下方向に細長く延びる接触部45の線接触によって側部把持金物55が上下方向で均等な力で押圧されることにより隙間なくシート20を止水ゴム52の先端面に密着させることができ、サイドに回ろうとする水の動きを防いで高い防水性能を実現することができる。
また、本実施形態の側部金物押圧部42の側部把持金物55に対する押圧方向は、設定される水の侵入方向と同じ方向になるように構成される。
これにより、水圧に負けることなく、側部金物押圧部42の把持状態を良好に維持することができる。
側部金物押圧部42は、側部把持金物55を押圧する押圧位置と前記側部シート固定部から離間する待機位置の間を水平方向で回動可能に構成される。
これにより、簡単な操作で側部把持金物55の把持状態を維持することができる。
防水装置10は、収納枠11に配置され、シート20の下端部を面接触で収納枠11の内側面111側に押圧する下側把持金物65と、面接触により下側把持金物65を押圧する下側金物押圧部66と、を備える。
これにより、シート20の側部だけでなく下端部についても把持されるので、左右両側及び下端の三方でより安定的にシート20の張設状態を維持できる。また、シート20の取り外し作業も容易に行うことができ、メンテナンス性も向上させることができる。
シート20の端部には、抜け止め部21及び抜け止め部22が設けられる。
これにより、意図せずシート20の把持状態が解除される事態を防止し、より安定的に防水装置10の防水性能を発揮させることができる。本実施形態では、抜け止め部21及び抜け止め部22は、左右両側及び下端の三方にわたって形成されており、左右方向だけの力や上下方向だけの力を受けても容易に抜けないようになっている。
また、本実施形態の防水装置10の設置は、以下の工程を含む。即ち、防水装置10の設置方法は、収納枠11にシート20の下側を固定する工程と、収納枠11の両側にそれぞれ配置される縦枠12のそれぞれに配置される側部把持金物55により、シート20の端部を面接触で縦枠12の内側面121側に押し付ける工程と、側部把持金物55を押圧する接触部45が、上下方向に延びる線状に形成される側部金物押圧部42によって側部把持金物55を押圧する工程と、を含む。
この工程を経ることにより、シート20の両端部に押圧力を適切に付与し、水がシート20の両端部から回り込む事態を効果的に防止できるシート20の状態を簡単な作業で実現することができる。
<第2実施形態>
次に、下側金物押圧部266の構成が第1実施形態と異なる第2実施形態について説明する。図13は、第2実施形態の下側把持部260によってシートが把持される様子を段階的に示す図である。なお、以下の説明において、既に説明したものと同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
下側金物押圧部266は、回転軸が上下方向を向くヒンジ267を介して収納枠11の建物外部側の内側面112に取り付けられている。下側金物押圧部266は、下側把持金物65を建物外部側から押圧する押圧位置と、下側把持金物65から離間する待機位置(図13における2点鎖線に示す位置)と、の間を水平方向で回動可能になっている。
第2実施形態の下側把持部260及び側部把持部40によるシート20の把持について説明する。図13(a)に示すように、下側把持金物65を把持位置にしてシート20を挟んだ状態で、側部把持金物55を待機位置から把持位置に回動させ、下側金物押圧部266についても待機位置から押圧位置に回動させる。
次に、図13(b)に示すように、押圧位置の下側金物押圧部266によって下側把持金物65が把持位置で固定されている状態で、側部金物押圧部42を押圧位置に回動させる。
図13(c)に示すように、以上の手順を経ることにより、下側把持部260及び側部把持部40によってシート20が固定される。第2実施形態の下側金物押圧部266においても、収納枠11の内側で左右方向に間隔をあけて複数配置されており、下側把持金物65は複数個所で建物内部側に押圧される。
<第3実施形態>
中柱14へのシート20の固定方法が上記実施形態と異なる第3実施形態について説明する。図14は、第3実施形態で用いられるワイヤフック301の斜視図である。図14に示すように、ワイヤフック301は、断面形状が略L字状に形成される板状部材である。ワイヤフック301の一側の端部には、筒状のワイヤ挿通部310が形成される。また、ワイヤフックの上面には、中柱14の係合突起16に係合するための係合孔311が形成される。
図15は、中柱14にワイヤフック301を介してシート20を取り付けた様子を示す拡大側面図である。図16は、中柱14にワイヤフック301を介してシート20を取り付けた様子を示す正面図である。図17は、中柱14にワイヤフック301を介してシート20を取り付けた様子を示す平面図である。
図15から図17に示すように、ワイヤフック301は、係合孔311に係合突起16を挿通した状態で中柱14の上部に固定される。図16に示すように、ワイヤフック301は、その位置が、ワイヤ25におけるシート20上端部の切欠き23から露出する部分になっている。ワイヤフック301を用いることにより、ワイヤ25を屈曲させなくても中柱14に係合することができ、係合作業を容易化できる。以上説明したように、中柱14への係合作業は、事情に応じて適宜変更できる。例えば、中柱14の側面にフックを取り付け、該フックを利用してワイヤ25を引っ掛ける構成としてもよい。
<第4実施形態>
収納枠411の底部の形状が異なる第4実施形態について説明する。図18は、第4実施形態の防水装置410のシート収納時の収納枠411を示す縦断面図である。図18に示すように、収納枠411の底部412の形状は、建物内部側から建物外部側に向かうにつれて下がるように傾斜する傾斜部413と、傾斜部413から建物外部側に水平方向に延びる平坦部414を有するように形成される。この構成においても、収納枠411の底部412に傾斜部413が形成されるので、収納枠11の内側に侵入した水を効率的に排水管7に導くことができる。
また、第4実施形態では、下側把持金物465は、第1実施形態の下側把持金物65の構成と異なり、ガイド部69が省略されている。また、下側金物押圧部466は、その先端の形状が第1実施形態と異なっており、先端側が屈曲する略L字状に形成されている。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、縦枠12が建物1に埋め込まれる埋め込み型のものを例として説明したが、縦枠12の設置方法は、事情に応じて適宜変更できる。例えば、建物1に固定される支持プレートを介して固定される露出型の縦枠を用いることもできる。
上記実施形態では、収納枠11の内側に保護シート90が設けられる構成であるが、この構成に限定されるわけではない。保護シート90を省略することもできる。例えば、図3に示すような収納状態において、シート20の上端部の中柱14を覆うように折り返して保護シートと同様に機能させる構成とすることもできる。
上記実施形態では、下側把持金物や側部把持金物55等が金属で構成される例を示したが、樹脂等、他の材料で構成することもできる。
上記実施形態では、シート20の上端部にワイヤ25が通されているが、ワイヤ25を省略することもできる。また、ワイヤ25の代わりにパイプを用いることができる。また、ハトメ付の紐を用いて位置固定ピンで縦枠12の内側に固定することもできる。このように、シート20の構成及び取付方法も事情に応じて適宜変更することができる。
上記実施形態では、底部110が傾斜していたり、底部412に傾斜部413が形成されたりする例を示したが、この構成に限定されない。例えば、収納枠の底部から勾配をなくして平らに形成することもできる。