JP6551599B2 - 樹脂被覆鋼材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ウレタン樹脂が被覆された鋼材(樹脂被覆鋼材)及びその製造方法に関する。
本願は、2016年3月16日に、日本に出願された特願2016−052696号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2016年3月16日に、日本に出願された特願2016−052696号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
厳しい海洋腐食環境で使用される鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板には、耐食性の信頼性の観点から、2mm以上の厚いウレタン樹脂被覆を用いた重防食塗装が適用される。ウレタン樹脂被覆は、一般的に、種々のポリオールを含む主剤と、芳香族系イソシアネートを主成分とした硬化剤とを混合して調製した2液型ポリウレタン樹脂組成物を無溶剤でスプレー塗装することで形成される。このウレタンエラストマー組成物は、粘度が高く硬化速度も速いため、一度の塗装で2mm以上の厚い塗装が可能である。そのため、ウレタン樹脂組成物は、鋼管杭だけでなく、形状の複雑な鋼材、例えば鋼管矢板や鋼矢板にも適用が可能である。信頼性の高い防食層には、防食層に疵が生じた場合であっても、この疵が鋼材にまで到達しないことが必要である。信頼性が高い防食層には、厚く耐衝撃性に優れるウレタン樹脂被覆があり、このウレタン樹脂被覆を用いた重防食塗装法は、日本では標準的な防食方法である。ウレタン樹脂被覆鋼材は、下地処理や塗装設備、塗装技術を要するため、工場で主として生産されている。
ウレタン樹脂は、一般的に、耐候性の良い樹脂では無い。そのため、腐食環境下においてウレタン樹脂を黒以外に着色して用いることは難しい。ウレタン樹脂にカーボンブラックを添加すれば、黒色のウレタン樹脂が得られ、カーボンブラックによって紫外線によるウレタン樹脂の劣化が抑制される。そのため、紫外線によってウレタン樹脂が劣化して、ウレタン樹脂被覆が損耗したとしても、ウレタン樹脂皮膜の全厚に対する損耗の深さの比率は十分に小さい。そのため、従来では、黒色のウレタン樹脂被覆さえ鋼材の表面に塗布すれば、ウレタン樹脂被覆によって十分に鋼材を防食できると考えられてきた。しかしながら、海洋の実環境での構造物の干満帯や飛沫帯においては、従来のラボ試験による推定よりも損耗量が大きい場合があることもわかってきた。また、熱帯環境のように、樹脂の劣化が厳しいと推定される環境での海洋構造物のニーズが高まってきている。そのため、樹脂の劣化を防止するための対策が新たに必要となってきた。
一般的に、ウレタン樹脂の耐候性を高めるために、紫外線吸収剤や酸化防止剤がウレタン樹脂に添加される。しかしながら、ウレタン樹脂は熱硬化性樹脂であるため、添加剤が樹脂内部を移動しにくい。そのため、添加剤がウレタン樹脂の劣化を防止する効果は小さい。
一般塗装の分野では、鋼材に対する被覆は、鋼材を腐食から守るためだけでなく、鋼材に所定の意匠(外観)を付与するためにも用いられる。意匠を付与するためには、下層と異なる色に着色されたトップコートが使用されやすい。意匠を長期間にわたって維持するためには、トップコートが紫外線によって変色しないことが求められる。そのため、フッ素系あるいはシリコン系のトップコートは、紫外線によって分子間の結合が切断されにくいため、変色が少ない優れたトップコートとして認識されている。
その他のトップコートとしては、長期間にわたって意匠を維持するために、着色ウレタン樹脂の表面上にこの着色ウレタン樹脂と同じ色の着色アクリルウレタン樹脂を塗装する方法が特許文献1に開示されている。この特許文献1の方法では、両樹脂が黒色以外の色に着色され、耐候性(耐退色性)が重視されている。そのため、ポリウレタンエラストマー被覆層は、防食性は劣るが耐候性が高い脂肪族イソシアネートを含んでいる。
また、特許文献2には、樹脂の変色を防止するために、ウレタン樹脂を含む防食層の上にアクリルウレタン樹脂層を形成する方法が開示されている。この特許文献2では、アクリルウレタン樹脂塗装の耐候性がサンシャインウェザーメータを用いた促進耐候性試験で確認されている。また、ポリウレタン樹脂の必須成分として水酸基末端ポリブタジエンのような高分子ポリオールが使用されている。
特許文献3には、干満帯より高い位置において、黒色以外の着色塗膜を黒色のウレタンエラストマー層の上に塗布する方法を開示している。この特許文献3の方法では、着色塗膜によって長期にわたり優れた美観を維持することができる。
しかしながら、上記の特許文献1〜3に開示されたトップコートでは、樹脂被覆鋼材が海洋構造物の材料として使用された場合に、樹脂被覆が鋼材を長期間防食することができなかった。
本発明の目的は、海洋で長期間構造物の材料として使用された場合であっても、ウレタン樹脂被覆の劣化及び損耗を防止して、ウレタン樹脂が鋼材を防食し続けることができるウレタン樹脂被覆鋼材を提供することである。また、本発明の別の目的は、このような重防食のウレタン樹脂被覆鋼材を製造する方法を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係る樹脂被覆鋼材は、鋼材と、前記鋼材の表面上のプライマー層と、前記プライマー層の表面上のウレタン樹脂層と、前記ウレタン樹脂層の表面上のトップコート層とを備え、前記ウレタン樹脂層は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ポリオールの水酸基及びイソシアネートのイソシアネート基の構成原子からなるウレタン結合を有するウレタン樹脂とを含み、前記トップコート層は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含み、前記ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油誘導体と、1分子あたり2.0個の水酸基を有する有機組成物とを含み、前記イソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ウレタン樹脂層では、前記ウレタン樹脂層の質量から前記イソシアネートの質量を減じた質量を主剤の質量と定義すると、前記カーボンブラックの質量が前記主剤の質量の0.2〜5.0%であり、前記無機顔料の質量から前記カーボンブラックの質量を減じた質量が前記主剤の質量の10〜60%であり、前記ひまし油誘導体の質量が前記主剤の質量の10〜70%であり、前記トップコート層では、前記カーボンブラックの質量が前記トップコート層の質量の0.2〜5.0%である。
(2)本発明の一態様に係る樹脂被覆鋼材の製造方法は、鋼材の表面上にプライマーを塗布してプライマー層を形成し、前記プライマー層の表面上に主剤と硬化剤とからなる液体混合物を塗布し、前記液体混合物を硬化させてウレタン樹脂層を形成し、前記ウレタン樹脂層の表面上にカーボンブラックを含むアクリルウレタン樹脂塗料を塗布し、前記アクリルウレタン樹脂塗料を硬化させてトップコート層を形成する樹脂被覆鋼材の製造方法であって、前記主剤は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ポリオールとを含み、前記硬化剤は、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油誘導体と、1分子あたり2.0個の水酸基を有する有機組成物とを含み、前記主剤では、カーボンブラックの質量が前記主剤の質量の0.2〜5.0%であり、前記無機顔料の質量から前記カーボンブラックの質量を減じた質量が前記主剤の質量の10〜60%であり、前記ひまし油誘導体の質量が前記主剤の質量の10〜70%であり、前記アクリルウレタン樹脂塗料では、前記カーボンブラックの質量が前記アクリルウレタン樹脂塗料の質量の0.2〜5.0%である。
本発明の上記態様によれば、海洋などの紫外線及び水にさらされる環境下においても、トップコート層がウレタン樹脂層を紫外線及び水から守るため、ウレタン樹脂層によって長期にわたり鋼材を腐食から防ぐことができる。そのため、本発明の上記態様によれば、海洋などの水にさらされる条件下、特に、紫外線と水分との両方の影響を受ける干満帯から海中部までの領域に対しても高い耐久性を有する樹脂被覆材を提供することができる。したがって、本発明の上記態様によれば、海洋などの水にさらされる条件下において高い耐久性を有する低コストの構造物を構成することができる。
本発明者は、紫外線や水等によるウレタン樹脂の損耗を防止し、重防食被覆の耐久性を長期に亘って維持する方法を検討した。まず、本発明者は、その手段として、ウレタン樹脂層の表面に耐候性を高める薄膜保護層を形成した。この薄膜保護層として、本発明者は、ウレタン樹脂層との密着性が高いと思われるアクリルウレタン樹脂を用いた。ウレタン樹脂層の硬化速度が速いため、ウレタン樹脂層が硬化した後にトップコート(薄膜保護層)を塗装した。しかしながら、この方法によって得られたウレタン樹脂被覆鋼材は、樹脂が鋼材を長期間にわたって防食することはできなかった。本発明者がその理由を検討した結果、ウレタン被覆鋼材のトップコート層のウレタン樹脂層に対する十分な密着性を安定して得ることが難しいことを見出した。
また、従来のトップコートの目的は、上述のように、意匠を鋼材に付与するためであったため、トップコートのウレタン樹脂に対する密着性についての検討はほとんどなされていなかった。特に、実際の環境下における複数の要因(例えば、紫外線と水)と密着性との間の関係は認識されていなかった。例えば、フッ素系やシリコン系の変性樹脂は、一般的なアクリルウレタン樹脂と比べてウレタン樹脂に対する密着性が低い。しかしながら、これら変性樹脂の大気中での短期間における密着性は、通常の用途に対して十分であるため、殆ど密着性が議論されることはなかった。
本発明者は、トップコート層がアクリルウレタン樹脂を含んでいたとしても、トップコート層のウレタン樹脂層に対する密着性が十分でない理由を検討した。アクリルウレタン樹脂は、主に、分子極性による水素結合や、表面の凹凸による投錨効果によって下層と接着される。そのため、アクリルウレタン樹脂と下層との間では、化学結合の数が比較的少ない。この場合、アクリルウレタン樹脂と下層との間に水分が侵入しやすい。そのため、大気中ではアクリルウレタン樹脂が下層に対する十分な密着性を有していたとしても、水中では下層に対するアクリルウレタン樹脂の密着力が容易に低下する。そこで、本発明者は、ウレタン樹脂の化学成分について、ウレタン樹脂層が硬化した後でもウレタン樹脂層の表面がアクリルウレタン樹脂と化学結合を形成できる方法を検討した。
ウレタン結合は、主剤中のポリオールの水酸基(−OH)と、硬化剤のイソシアネート基(−NCO)とによって形成される。そのため、本発明者は、アクリルウレタン樹脂をウレタン結合によってウレタン樹脂層に密着できると考えられるこれらの官能基をウレタン樹脂層の表面に残存させる方法を検討した。イソシアネート基は、空気中の水と反応し易いため、ウレタン樹脂層の表面に残存し難い。水酸基(−OH)は、ウレタン樹脂の硬化後では、通常ウレタン樹脂の表面に少ないが、空気中の水と反応しない。そこで、本発明者は、主剤中のポリオールの水酸基をウレタン樹脂層の表面に残存させる方法を特に化学成分の面から検討した。その結果、本発明者らは、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油系ポリオールを適量含むウレタン樹脂を使用すると、アクリルウレタン樹脂のウレタン樹脂層に対する密着性を十分に確保することができることを見出した。この方法により、アクリルウレタン樹脂を含むトップコート層のウレタン樹脂層に対する密着性が十分であったため、本発明者は、さらに、紫外線がトップコート層とウレタン樹脂層との界面に到達しにくい方法を検討した。
以下に、本発明の一実施形態に係る樹脂被覆鋼材を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る樹脂被覆鋼材の部分断面(片面)の概略図である。図1に示されるように、樹脂被覆鋼材5は、鋼材1と、鋼材1の表面上のプライマー層2と、プライマー層2の表面上のウレタン樹脂層3と、ウレタン樹脂層3の表面上のトップコート層4とを備える。このプライマー層2とウレタン樹脂層3とトップコート層4とからなる樹脂層6は、鋼材1の少なくとも片面に形成されている。すなわち、樹脂層6は、鋼材1の両面に形成されてもよい。また、樹脂層6は、鋼材1の表面全体に形成されてもよい。
(鋼材1)
鋼材1の鋼種(化学組成)や形状、寸法、製品カテゴリーは、特に限定されない。後述のように、樹脂層6は、海洋のような厳しい腐食環境下で特に優れた耐久性を有するため、鋼材1は、長期間にわたって防食される必要がある製品であると好適である。例えば、鋼材1は、鋼管、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板などの大型鋼製製品であると好適である。例えば、鋼材1の厚さが5mm〜50mmであってもよい。鋼材1の鋼種は、普通鋼であっても、高合金鋼であってもよい。樹脂層6は、どのような鋼種の鋼材1に対しても適用可能である。例えば、鋼材1の表層が、普通鋼であっても、高合金鋼であっても、めっき金属のような非鉄金属であってもよい。
鋼材1の鋼種(化学組成)や形状、寸法、製品カテゴリーは、特に限定されない。後述のように、樹脂層6は、海洋のような厳しい腐食環境下で特に優れた耐久性を有するため、鋼材1は、長期間にわたって防食される必要がある製品であると好適である。例えば、鋼材1は、鋼管、鋼管杭、鋼管矢板、鋼矢板などの大型鋼製製品であると好適である。例えば、鋼材1の厚さが5mm〜50mmであってもよい。鋼材1の鋼種は、普通鋼であっても、高合金鋼であってもよい。樹脂層6は、どのような鋼種の鋼材1に対しても適用可能である。例えば、鋼材1の表層が、普通鋼であっても、高合金鋼であっても、めっき金属のような非鉄金属であってもよい。
(プライマー層2)
樹脂層6を鋼材1にしっかりと接着するために、樹脂被覆鋼材5は、プライマー層2を備えている。そのため、プライマー層2が鋼材1とウレタン樹脂層3との両方に対して親和性を持つ限りにおいて、プライマー層2の化学組成や厚さは、特に限定されない。例えば、プライマー層2が、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。また、例えば、プライマー層2の厚さは、10〜200μmであってもよい。
樹脂層6を鋼材1にしっかりと接着するために、樹脂被覆鋼材5は、プライマー層2を備えている。そのため、プライマー層2が鋼材1とウレタン樹脂層3との両方に対して親和性を持つ限りにおいて、プライマー層2の化学組成や厚さは、特に限定されない。例えば、プライマー層2が、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。また、例えば、プライマー層2の厚さは、10〜200μmであってもよい。
(ウレタン樹脂層3)
鋼材1を腐食から防ぐために、樹脂被覆鋼材5は、ウレタン樹脂層3を備えている。このウレタン樹脂層3は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ウレタン樹脂とを含む。ウレタン樹脂は、ポリオール(例えば、HO−R1−OH)の水酸基(−OH)及びイソシアネート[ジイソシアネート](例えば、OCN−R2−NCO)のイソシアネート基(−NCO)の構成原子(すなわち、ウレタン結合1つあたり1個の窒素原子と1個の炭素原子と1個の水素原子と2個の酸素原子)からなるウレタン結合(−NHCOO−)を有している。このウレタン結合によって、ウレタン樹脂では、ポリオールの分子骨格(R1)とイソシアネートの分子骨格(R2)とが結合されている。本実施形態では、ウレタン樹脂層3における質量の基準を明確にするために、ウレタン樹脂層3の質量からイソシアネートの質量(イソシアネートから供給された原子の全質量)を減じた質量を主剤(main resin)の質量と定義する。
鋼材1を腐食から防ぐために、樹脂被覆鋼材5は、ウレタン樹脂層3を備えている。このウレタン樹脂層3は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ウレタン樹脂とを含む。ウレタン樹脂は、ポリオール(例えば、HO−R1−OH)の水酸基(−OH)及びイソシアネート[ジイソシアネート](例えば、OCN−R2−NCO)のイソシアネート基(−NCO)の構成原子(すなわち、ウレタン結合1つあたり1個の窒素原子と1個の炭素原子と1個の水素原子と2個の酸素原子)からなるウレタン結合(−NHCOO−)を有している。このウレタン結合によって、ウレタン樹脂では、ポリオールの分子骨格(R1)とイソシアネートの分子骨格(R2)とが結合されている。本実施形態では、ウレタン樹脂層3における質量の基準を明確にするために、ウレタン樹脂層3の質量からイソシアネートの質量(イソシアネートから供給された原子の全質量)を減じた質量を主剤(main resin)の質量と定義する。
(ウレタン樹脂3中のカーボンブラック)
ウレタン樹脂層3は、無機顔料の1つとして、カーボンブラック(CB)を含む。カーボンブラックは、紫外線をよく吸収するため、ウレタン樹脂層3を紫外線から保護し、ウレタン樹脂層3の耐候性を高める。カーボンブラックをウレタン樹脂層3中に均一に分散させつつウレタン樹脂層3を紫外線から十分に保護するためには、カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2〜5.0%であることが必要である。カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2%未満であると、ウレタン樹脂層3の耐候性が十分でない。また、カーボンブラックの質量が主剤の質量の5.0%超であると、カーボンブラックがウレタン樹脂層3中で凝集する。
ウレタン樹脂層3は、無機顔料の1つとして、カーボンブラック(CB)を含む。カーボンブラックは、紫外線をよく吸収するため、ウレタン樹脂層3を紫外線から保護し、ウレタン樹脂層3の耐候性を高める。カーボンブラックをウレタン樹脂層3中に均一に分散させつつウレタン樹脂層3を紫外線から十分に保護するためには、カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2〜5.0%であることが必要である。カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2%未満であると、ウレタン樹脂層3の耐候性が十分でない。また、カーボンブラックの質量が主剤の質量の5.0%超であると、カーボンブラックがウレタン樹脂層3中で凝集する。
(ウレタン樹脂層3中の無機顔料(カーボンブラックを除く))
カーボンブラックを除けば、無機顔料の材質は、特に限定されない。ウレタン樹脂層3に必要とされる特性に応じて無機顔料が選択される。例えば、無機顔料が体質顔料として選択されると、無機顔料は、クレー、パーライト、カオリン、カオリンクレー、モンモリロナイト、タルク、アルミナ鉱石のような酸化鉱物を含む。クレー及びパーライトは、酸化珪素(シリカ)を含み、カオリン、カオリンクレー及びモンモリロナイトは、珪酸アルミニウムを含み、タルクは、珪酸マグネシウムを含む。そのため、例えば、無機顔料は、酸化物を含み、この酸化物が酸化珪素(シリカ)や珪酸塩(シリケート)であってもよい。無機顔料が酸化鉱物を含むと、ウレタン樹脂層3の強度が大きくなり、ウレタン樹脂層3の防食性能が高まる一方で、トップコート層4に対するウレタン樹脂層3の密着性が低下する。そのため、カーボンブラックを除く無機顔料の質量(無機顔料の質量からカーボンブラックの質量を減じた質量)は、主剤の質量の10〜60%であることが必要である。この質量は、主剤の質量の15〜50%であると好ましい。カーボンブラックを除く無機顔料の質量が主剤の質量の10%未満であると、ウレタン樹脂層3の強度が十分でない。また、カーボンブラックを除く無機顔料の質量が主剤の質量の60%超であると、トップコート層4に対するウレタン樹脂層3の密着性が十分でない。例えば、無機顔料がシリカを主に含む場合、無機顔料の比重は、2.6〜2.7であることが多い。また、無機顔料の形状も、特に限定されない。例えば、無機鉱物が、粉砕された酸化鉱物であってもよい。
カーボンブラックを除けば、無機顔料の材質は、特に限定されない。ウレタン樹脂層3に必要とされる特性に応じて無機顔料が選択される。例えば、無機顔料が体質顔料として選択されると、無機顔料は、クレー、パーライト、カオリン、カオリンクレー、モンモリロナイト、タルク、アルミナ鉱石のような酸化鉱物を含む。クレー及びパーライトは、酸化珪素(シリカ)を含み、カオリン、カオリンクレー及びモンモリロナイトは、珪酸アルミニウムを含み、タルクは、珪酸マグネシウムを含む。そのため、例えば、無機顔料は、酸化物を含み、この酸化物が酸化珪素(シリカ)や珪酸塩(シリケート)であってもよい。無機顔料が酸化鉱物を含むと、ウレタン樹脂層3の強度が大きくなり、ウレタン樹脂層3の防食性能が高まる一方で、トップコート層4に対するウレタン樹脂層3の密着性が低下する。そのため、カーボンブラックを除く無機顔料の質量(無機顔料の質量からカーボンブラックの質量を減じた質量)は、主剤の質量の10〜60%であることが必要である。この質量は、主剤の質量の15〜50%であると好ましい。カーボンブラックを除く無機顔料の質量が主剤の質量の10%未満であると、ウレタン樹脂層3の強度が十分でない。また、カーボンブラックを除く無機顔料の質量が主剤の質量の60%超であると、トップコート層4に対するウレタン樹脂層3の密着性が十分でない。例えば、無機顔料がシリカを主に含む場合、無機顔料の比重は、2.6〜2.7であることが多い。また、無機顔料の形状も、特に限定されない。例えば、無機鉱物が、粉砕された酸化鉱物であってもよい。
(ウレタン樹脂層3中のウレタン樹脂)
ウレタン樹脂は、ポリオールの分子骨格(R1)と、イソシアネートの分子骨格(R2)と、ウレタン結合(−NHCOO−)とを含む。また、ウレタン樹脂は、未反応の水酸基(−OH)、未反応のイソシアネート基(−NCO)、ウレタン結合以外の水酸基に由来する官能基、ウレタン結合以外のイソシアネート基に由来する官能基からなる群から選択する少なくとも1種を任意に含んでもよい。ポリオールの分子骨格は、ポリオールから水酸基を除いた部分構造(骨格部)である。イソシアネートの分子骨格は、イソシアネートからイソシアネート基を除いた部分構造(骨格部)である。これらの部分構造は、ポリオール及びイソシアネートの種類に応じて変化する。
ウレタン樹脂は、ポリオールの分子骨格(R1)と、イソシアネートの分子骨格(R2)と、ウレタン結合(−NHCOO−)とを含む。また、ウレタン樹脂は、未反応の水酸基(−OH)、未反応のイソシアネート基(−NCO)、ウレタン結合以外の水酸基に由来する官能基、ウレタン結合以外のイソシアネート基に由来する官能基からなる群から選択する少なくとも1種を任意に含んでもよい。ポリオールの分子骨格は、ポリオールから水酸基を除いた部分構造(骨格部)である。イソシアネートの分子骨格は、イソシアネートからイソシアネート基を除いた部分構造(骨格部)である。これらの部分構造は、ポリオール及びイソシアネートの種類に応じて変化する。
1つのポリオール分子に結合した3個以上の水酸基がウレタン結合に使用されると、このポリオール分子の分子骨格を中心に3次元のネットワーク構造が形成される。そのため、3個以上の水酸基を有するポリオール分子は、ウレタン樹脂層3の表面に水酸基を供給しやすい。結果として、3個以上の水酸基を有するポリオール分子の数が多いほど、ウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の界面(以下、上界面)における水酸基の数が増加する。一方で、上記の3次元のネットワーク構造は、ウレタン樹脂層3を脆くする。そのため、結合の数の増加によって引き起こされる脆化を分子構造(分子骨格)のしなやかさ(柔軟性)によって相殺する。1分子あたり2.7個以上の水酸基(官能基)を有するひまし油誘導体は、柔軟な分子構造を有するポリオール分子をウレタン樹脂層3の表面に十分な水酸基を供給できるほど十分な量含んでいる。そのため、本実施形態に係るポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基(官能基)を有するひまし油誘導体(以下、第1のポリオール)を含む必要がある。第1のポリオールの質量が主剤の質量の10%未満であると、上界面に十分な量の水酸基を供給できない。また、第1のポリオールの質量が主剤の質量の70%超であると、水酸基が多すぎるため、ウレタン樹脂層3が脆い。そのため、図2に示されるように、第1のポリオールの質量は、主剤の質量の10〜70%である。この第1のポリオールの質量は、主剤の質量の30〜60%であると特に好ましい。また、ポリオールは、第1のポリオールと後述の第2のポリオールのみからなると好ましい。
第1のポリオールは、ひまし油系ポリオールに分類され、このひまし油系ポリオールは、ひまし油、ひまし油とポリオールとのエステル交換反応生成物、ひまし油とポリオールとのエステル化合物、これらとアルキレンオキサイドとの付加化合物を含む。すなわち、ひまし油系ポリオールは、ひまし油(ひまし油系脂肪酸を含む)を主原料として生成可能なポリオールである。
第1のポリオールには、市販のひまし油系ポリオールが使用できる。例えば、伊藤製油株式会社製のURICのHシリーズが市販されている。第1のポリオールに相当するURICのHシリーズとして、URIC H−30(水酸基価155〜165mgKOH/g、官能基数2.7)、URIC H−52(水酸基価195〜205mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−57(水酸基価85〜115mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−73X(水酸基価260〜280mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−81(水酸基価330〜350mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−102(水酸基価300〜340mgKOH/g、官能基数5)、URIC H−420(水酸基価300〜340mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−854(水酸基価205〜225mgKOH/g、官能基数3)、URIC H−870(水酸基価264〜276mgKOH/g、官能基数3)、POLYCASTOR#10(水酸基価155〜165mgKOH/g、官能基数5〜6)、POLYCASTOR#30(水酸基価150〜160mgKOH/g、官能基数5〜6)がある。これらのひまし油系ポリオールは、2.7個以上の官能基(水酸基)と、柔軟な分子構造と、優れた機械的強度とを備えている。また、このURICのHシリーズの官能基数の上限は、約6である。このように、6.0以下の官能基を有するひまし油系ポリオールは、入手が容易であるため、官能基数の上限は、6.0であってもよい。なお、ポリオールの官能基数(水酸基の数)は、JIS K 1557やISO14900及び15063に規定された水酸基の数を意味する。
ひまし油系ポリオールは、ひまし油に由来する化学成分もしくは誘導体を個々の分子の分子骨格に含む。ひまし油の主成分は、脂肪酸のグリセリドである。このグリセリドでは、グリセリンの水酸基に脂肪酸がエステル結合によって結合されている。この脂肪酸のほとんどは、リシノール酸(リシノレイン酸)であり、残りの脂肪酸は、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ジヒドロキシ酸である。このようなひまし油に由来する化学成分をひまし油系ポリオールが有するため、ひまし油系ポリオールの分子骨格は、樹脂に柔軟性を付与する。
1つのポリオール分子に結合した2個の水酸基のみがウレタン結合に使用されると、このポリオール分子の分子骨格を中心に鎖状の構造が形成される。そのため、2個の水酸基を有するポリオール分子は、他の分子によってあまり動きを束縛されず、ウレタン樹脂層3の伸びを高める。そのため、本実施形態に係るポリオールは、1分子あたり2.0個の水酸基(官能基)を有する有機組成物(以下、第2のポリオール)を含む必要がある。第2のポリオールは、水酸基の数(官能基数)が2であると記載されたポリオール製品と、ジオール化合物とを含む。第2のポリオールの量は、特に限定されない。ウレタン樹脂層3の伸びを高めるために、第2のポリオールの質量は、主剤の質量の10〜80%であると好ましく、20〜60%であるとより好ましい。第2のポリオールは、ウレタン樹脂層3に追加で付与する特性に応じて適宜選択できる。例えば、このような特性として、柔軟性や耐熱性が挙げられる。具体的な第2のポリオールの質量は、この追加で付与する特性に応じて決めることができる。例えば、第2のポリオールとして、以下の(a)〜(d)の群から選択される少なくとも1つを使用することができる。
(a)第2のポリオールとして、ひまし油系ポリオールが使用できる。第2のポリオールに相当するひまし油系ポリオールとして、例えば、URIC H−62、URIC Y−202、URIC Y−403、URIC Y−406、URIC Y−332がある。これらの製品は、伊藤製油株式会社製であり、2個の官能基(水酸基)を有する。
(b)第2のポリオールとして、アミンポリオールが使用できる。第2のポリオールに相当するアミンポリオールとして、例えば、アミン類に2〜4の炭素数を有するアルキレンオキサイドを付加することによって得られたポリオールがある。また、アミン類は、芳香族アミンと脂肪族アミンとに分類される。芳香族アミンとして、例えば、アニリン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンがある。この芳香族アミンは、芳香族モノアミンであっても、芳香族ポリアミンであってもよい。脂肪族アミンとして、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンがある。この脂肪族アミンは、脂肪族ポリアミンであってもよい。2〜4の炭素数を有するアルキレンオキサイドとして、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドがある。アミン類と2〜4の炭素数を有するアルキレンオキサイドとの化合物として、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンがある。
(c)第2のポリオールとして、ポリブタジエンポリオールが使用できる。第2のポリオールに相当するポリブタジエンポリオールとして、例えば、Poly bdTM R−45HT、Poly bdTM R−15HTがある。これらの製品は、出光興産株式会社製であり、2個の官能基(水酸基)を有する。
(d)第2のポリオールとして、アルキレンジオールが使用できる。第2のポリオールに相当するアルキレンジオールは、例えば、分岐鎖状飽和炭化水素、もしくは、直鎖状飽和炭化水素を有してもよい。分岐鎖状飽和炭化水素を有する具体的なアルキレンジオールとして、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール(凝固点:−91℃)、2−メチル−1,4−ブタンジオール(凝固点:−30℃以下)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。また、直鎖状飽和炭化水素を有する具体的なアルキレンジオールとして、例えば、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
本実施形態に係る第2のポリオールは、(a)ひまし油系ポリオール、(b)アミンポリオール、(c)ポリブタジエンポリオール、(d)アルキレンジオールからなる群から選択される少なくとも1つでもあってもよい。すなわち、本実施形態に係る第2のポリオールには、単独の化合物、単独の製品、混合物を使用することができる。
本実施形態に係るイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体(MDI誘導体)、トルエンジイソシアネート誘導体(TDI誘導体)からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。MDI及びTDIは、芳香族ジイソシアネートであり、2つのイソシアネート基を有する。また、MDI誘導体やTDI誘導体は、MDIのオリゴマーやTDIのオリゴマーを含む。例えば、本実施形態に係るイソシアネートとして、モノメリックMDI、ポリメリックMDI、変性イソシアネート、純粋なTDI異性体、TDIの異性体混合物、ブレンドイソシアネートがある。また、東ソー株式会社製の製品として、ミリオネートMTシリーズ(モノメリックMDI製品)、ミリオネートMRシリーズ(ポリメリックMDI製品)、コロネートシリーズ(ポリオール変性イソシアネート製品)、ミリオネートMTLシリーズ(MDIのカルボジイミド変性製品)、コロネートT−80/T−65/T−100(TDI製品)、及び、それらのブレンドイソシアネート(MDIとTDIとの混合製品)がある。また、BASF INOAC ポリウレタン株式会社製の製品として、ルプラネートMS及びMI(モノメリックMDI製品)、ルプラネートM20S、M11S、M5S(ポリメリックMDI製品)、MM−103、MP−102、MB−301(変性MDI製品)、ルプラネートT−80(TDI製品)がある。本実施形態に係るイソシアネートには、上記製品の混合物を使用してもよい。
本実施形態に係るポリオールの量に対する本実施形態に係るイソシアネートの量の比は、ポリオールが有する水酸基の数(総数)に対するイソシアネートが有するイソシアネート基の数(総数)によって定義する。この水酸基(−OH)の数に対するイソシアネート基(−NCO)の数の比(−NCO/−OH)が0.9〜1.2の範囲であると好ましい。この比が0.9以上であると、ウレタン樹脂層3は、十分な硬度を有している。また、比(−NCO/−OH)が1.2以下であると、ウレタン樹脂層3が密度において良好な品質を有している。比(−NCO/−OH)の好ましい範囲は、1.0〜1.1である。
(ウレタン樹脂層3中のその他の化学成分)
ウレタン樹脂層3は、その他の化学成分として、反応促進剤、吸水剤(吸湿剤)、チキソ付与剤、難燃剤、可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つに由来する化学成分を含んでもよい。
ウレタン樹脂層3は、その他の化学成分として、反応促進剤、吸水剤(吸湿剤)、チキソ付与剤、難燃剤、可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つに由来する化学成分を含んでもよい。
反応促進剤には、例えば、アミン化合物や金属触媒が使用できる。アミン化合物として、トリエチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンがある。また、金属触媒として、ジオクチルスズジラウレート、スタナスオクトエートがある。
吸水剤には、ゼオライト化合物を用いると好ましい。例えば、粉末状のゼオライト化合物として、東ソー(株)製のゼオラムA−3、A−4、F−9がある。
チキソ付与剤として、例えば日本アエロジル社製の乾式シリカであるアエロジルを用いることができる。
難燃剤として、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、テトラブロムフェニルエーテルやトリス(クロロプロピル)ホスフェート(TCPP)などを用いることができる。
可塑剤として、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル等のカルボン酸エステルが使用できる。このようなカルボン酸エステルには、例えば、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、トリメット酸トリオクチル(TOTM)、リン酸トリクレジル(TCP)がある。特に、可塑剤がアジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジイソノニル(DINP)であると好ましい。
(ウレタン樹脂層3の厚さ)
ウレタン樹脂層3の厚さは、特に限定されない。ウレタン樹脂層3の厚さが2mm以上であると、ウレタン樹脂層3が十分な耐疵性及び防食性を有している。また、ウレタン樹脂層3の厚さが5mm以下であると、ウレタン樹脂層3中の内部応力を減らすことができ、ウレタン樹脂層3に低温における耐剥離性を付与することができる。そのため、ウレタン樹脂層3の厚さは、2〜5mmであると好ましい。
ウレタン樹脂層3の厚さは、特に限定されない。ウレタン樹脂層3の厚さが2mm以上であると、ウレタン樹脂層3が十分な耐疵性及び防食性を有している。また、ウレタン樹脂層3の厚さが5mm以下であると、ウレタン樹脂層3中の内部応力を減らすことができ、ウレタン樹脂層3に低温における耐剥離性を付与することができる。そのため、ウレタン樹脂層3の厚さは、2〜5mmであると好ましい。
(ウレタン樹脂層3の化学成分に係る必須構成)
したがって、本実施形態に係るウレタン樹脂層3は、カーボンブラック(CB)を含む無機顔料と、ポリオールの水酸基及びイソシアネートのイソシアネート基の構成原子からなるウレタン結合を有するウレタン樹脂とを含む。本実施形態では、ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基(官能基)を有するひまし油誘導体(第1のポリオール)と、1分子あたり2.0個の水酸基(官能基)を有する有機組成物(第2のポリオール)とを含む。また、本実施形態では、イソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む。さらに、本実施形態に係るウレタン樹脂層3では、ウレタン樹脂層3の質量からイソシアネートの質量を減じた質量を主剤の質量と定義すると、カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2〜5.0%であり、無機顔料の質量からカーボンブラックの質量を減じた質量が主剤の質量の10〜60%であり、ひまし油誘導体の質量が主剤の質量の10〜70%である。
したがって、本実施形態に係るウレタン樹脂層3は、カーボンブラック(CB)を含む無機顔料と、ポリオールの水酸基及びイソシアネートのイソシアネート基の構成原子からなるウレタン結合を有するウレタン樹脂とを含む。本実施形態では、ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基(官能基)を有するひまし油誘導体(第1のポリオール)と、1分子あたり2.0個の水酸基(官能基)を有する有機組成物(第2のポリオール)とを含む。また、本実施形態では、イソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む。さらに、本実施形態に係るウレタン樹脂層3では、ウレタン樹脂層3の質量からイソシアネートの質量を減じた質量を主剤の質量と定義すると、カーボンブラックの質量が主剤の質量の0.2〜5.0%であり、無機顔料の質量からカーボンブラックの質量を減じた質量が主剤の質量の10〜60%であり、ひまし油誘導体の質量が主剤の質量の10〜70%である。
(トップコート層4)
ウレタン樹脂層3を紫外線及び水から守るために、樹脂被覆鋼材5は、トップコート層4を備えている。このトップコート層4は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含む。アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオール(例えば、HO−R3−OH)の水酸基(−OH)及びイソシアネート(例えば、OCN−R4−NCO)のイソシアネート基(−NCO)の構成原子)からなるウレタン結合(−NHCOO−)を有している。このウレタン結合によって、ウレタン樹脂では、ポリオールの分子骨格(R3)とイソシアネートの分子骨格(R4)とが結合されている。
ウレタン樹脂層3を紫外線及び水から守るために、樹脂被覆鋼材5は、トップコート層4を備えている。このトップコート層4は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含む。アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオール(例えば、HO−R3−OH)の水酸基(−OH)及びイソシアネート(例えば、OCN−R4−NCO)のイソシアネート基(−NCO)の構成原子)からなるウレタン結合(−NHCOO−)を有している。このウレタン結合によって、ウレタン樹脂では、ポリオールの分子骨格(R3)とイソシアネートの分子骨格(R4)とが結合されている。
(トップコート層4中のカーボンブラック)
トップコート層4は、カーボンブラックを含む。カーボンブラックは、紫外線をよく吸収するため、ウレタン樹脂層3及びトップコート層4を紫外線から保護し、ウレタン樹脂層3及びトップコート層4の耐候性を高める。ウレタン樹脂層3を紫外線から十分に保護するためには、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2〜5.0%であることが必要である。カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2%未満であると、紫外線がトップコート層4を透過して上界面に到達する。そのため、上界面近傍のウレタン樹脂層3の劣化を抑制できない。また、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の5.0%超であると、カーボンブラックがトップコート層4中で凝集する。この場合、さらにカーボンブラックの質量を増やしても、トップコート層4を透過する紫外線の強さは殆ど変わらない。また、トップコート層4がカーボンブラックを含むため、樹脂被覆鋼材5の表面は、黒色である。
トップコート層4は、カーボンブラックを含む。カーボンブラックは、紫外線をよく吸収するため、ウレタン樹脂層3及びトップコート層4を紫外線から保護し、ウレタン樹脂層3及びトップコート層4の耐候性を高める。ウレタン樹脂層3を紫外線から十分に保護するためには、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2〜5.0%であることが必要である。カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2%未満であると、紫外線がトップコート層4を透過して上界面に到達する。そのため、上界面近傍のウレタン樹脂層3の劣化を抑制できない。また、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の5.0%超であると、カーボンブラックがトップコート層4中で凝集する。この場合、さらにカーボンブラックの質量を増やしても、トップコート層4を透過する紫外線の強さは殆ど変わらない。また、トップコート層4がカーボンブラックを含むため、樹脂被覆鋼材5の表面は、黒色である。
(トップコート層4中のアクリルウレタン樹脂)
アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオールの分子骨格(R3)と、イソシアネートの分子骨格(R4)と、ウレタン結合(−NHCOO−)とを含む。また、アクリルウレタン樹脂は、未反応の水酸基(−OH)、未反応のイソシアネート基(−NCO)、ウレタン結合以外の水酸基に由来する官能基、ウレタン結合以外のイソシアネート基に由来する官能基からなる群から選択する少なくとも1種を任意に含んでもよい。アクリルポリオールの分子骨格は、アクリルポリオールから水酸基を除いた部分構造(骨格部)である。イソシアネートの分子骨格は、イソシアネートからイソシアネート基を除いた部分構造(骨格部)である。これらの部分構造は、アクリルポリオール及びイソシアネートの種類に応じて変化する。
アクリルウレタン樹脂は、アクリルポリオールの分子骨格(R3)と、イソシアネートの分子骨格(R4)と、ウレタン結合(−NHCOO−)とを含む。また、アクリルウレタン樹脂は、未反応の水酸基(−OH)、未反応のイソシアネート基(−NCO)、ウレタン結合以外の水酸基に由来する官能基、ウレタン結合以外のイソシアネート基に由来する官能基からなる群から選択する少なくとも1種を任意に含んでもよい。アクリルポリオールの分子骨格は、アクリルポリオールから水酸基を除いた部分構造(骨格部)である。イソシアネートの分子骨格は、イソシアネートからイソシアネート基を除いた部分構造(骨格部)である。これらの部分構造は、アクリルポリオール及びイソシアネートの種類に応じて変化する。
アクリルポリオールの分子骨格は、トップコート層4に耐候性を付与する。本実施形態のアクリルポリオールには、メタクリレートモノマーまたはアクリル酸エステルと、水酸基及び二重結合を有する不飽和モノマー(エチレン性不飽和モノマー)との共重合体を用いることができる。メタクリレートモノマーとして、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等がある。アクリル酸エステルとして、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等がある。水酸基及び二重結合を有する不飽和モノマーとして、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等がある。共重合の方法は、公知の方法であってもよい。
上記のアクリルポリオールには、市販のアクリルポリオールが使用できる。例えば、武田薬品工業社製のアクリルポリオールとして、タケラックUA−702、タケラックUA−902、タケラックUA−905などがある。
イソシアネートのイソシアネート基は、上界面においてウレタン樹脂層3の水酸基と化学的に結合している。この化学結合(ウレタン結合)によって、ウレタン樹脂層3とトップコート層4との密着性が高まる。本実施形態に係るイソシアネートは、脂肪族イソシアネートから製造されたプレポリマーであってもよい。例えば、脂肪族イソシアネートとして、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。また、例えば、プレポリマーは、ポリエーテルポリオールに脂肪族イソシアネートを付加することによって得られた化合物があってもよい。さらに、例えば、ポリエーテルポリオールが、ポリオールにアルキレンオキサイドをアルカリ触媒などの存在下で重合することによって得られる、1分子中に2〜3個の活性水素基(水酸基)を持つポリアルキレンポリオールであってもよい。この重合に使用されるポリオールとして、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。また、重合に使用されるアルキレンオキサイドとして、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられる。ポリアルキレンポリオールに脂肪族イソシアネートを付加することにより脂肪族イソシアネートを末端に有するウレタンプレポリマーを製造できる。本実施形態では、このようなウレタンプレポリマーが利用できる。また、本実施形態では、HDIから製造可能な1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー等が利用できる。トップコート層4がこのような脂肪族イソシアネート由来の化合物(脂肪族イソシアネート誘導体)の分子骨格を含むと、トップコート層4の色が紫外線によって黄色に変色しにくい。そのため、トップコート層4では、芳香族イソシアネートの分子骨格よりも脂肪族イソシアネートの分子骨格が多いと好ましい。芳香族イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)などが挙げられる。
更に耐候性を高めるために、トップコート層4が紫外線吸収剤や光安定剤を含んでもよい。例えば、光安定剤として、ヒンダードアミン系光安定剤を用いることができる。このヒンダードアミン系光安定剤として、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、8−ベンジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル1、3、8−トリアザスピロ[4、5]ウンデカン−2、4−ジオンなどが挙げられる。
ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートを含む製品として、三共社製のサノールLS−292、サノールLS−765が利用できる。また、ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートを含む製品として、三共社製のサノールLS−770が利用できる。さらに、8−ベンジル−7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル1、3、8−トリアザスピロ[4、5]ウンデカン−2、4−ジオンを含む製品として、三共社製のサノールLS−1114が利用できる。
(トップコート層4の厚さ)
トップコート層4の厚さは、特に限定されない。トップコート層4の厚さが30μm以上であると、トップコート層4の強度が十分であり、より確実に樹脂被覆鋼材5の耐候性を高めることができる。また、コストを低減するために、トップコート層4の厚さが100μm以下であってもよい。そのため、トップコート層4の厚さは、30〜100μmであると好ましい。
トップコート層4の厚さは、特に限定されない。トップコート層4の厚さが30μm以上であると、トップコート層4の強度が十分であり、より確実に樹脂被覆鋼材5の耐候性を高めることができる。また、コストを低減するために、トップコート層4の厚さが100μm以下であってもよい。そのため、トップコート層4の厚さは、30〜100μmであると好ましい。
(トップコート層4の化学成分に係る必須構成)
したがって、本実施形態に係るトップコート層4は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含む。また、本実施形態に係るトップコート層では、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2〜5.0%である。
したがって、本実施形態に係るトップコート層4は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含む。また、本実施形態に係るトップコート層では、カーボンブラックの質量がトップコート層4の質量の0.2〜5.0%である。
(本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5の効果)
本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5では、ウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の界面における化学的な結合点の数(強い結合の数)が多いので、この界面への水の浸入を防ぐことができ、海洋などの水にさらされる条件下においてもウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の密着性を維持することができる。また、トップコート層4がウレタン樹脂層3を紫外線及び水から守るため、ウレタン樹脂層3によって長期にわたり鋼材1を腐食から防ぐことができる。そのため、ウレタン樹脂層3を極端に厚く形成する必要がない。結果として、本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5によって、海洋などの水にさらされる条件下において高い耐久性を有する低コストの構造物を提供できる。
本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5では、ウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の界面における化学的な結合点の数(強い結合の数)が多いので、この界面への水の浸入を防ぐことができ、海洋などの水にさらされる条件下においてもウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の密着性を維持することができる。また、トップコート層4がウレタン樹脂層3を紫外線及び水から守るため、ウレタン樹脂層3によって長期にわたり鋼材1を腐食から防ぐことができる。そのため、ウレタン樹脂層3を極端に厚く形成する必要がない。結果として、本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5によって、海洋などの水にさらされる条件下において高い耐久性を有する低コストの構造物を提供できる。
また、鋼管杭を実際に施工する場合には、通常施工毎に杭を打ち込む深さを変えている。飛沫帯よりも高い位置では、樹脂間の密着性が長期間維持されやすいが、干満帯よりも低い位置では、樹脂間の密着性が短期間で低下する。本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5では、干満帯よりも低い位置においても、ウレタン樹脂層3とトップコート層4との間の密着性を維持することができる。そのため、本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5では、樹脂層6ないしはトップコート層4を塗布する面積を考慮する必要がないため、本実施形態に係る樹脂被覆鋼材5は、鋼管杭に好適に使用することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る樹脂被覆鋼材の製造方法を詳細に説明する。
(プライマーの塗布)
まず、鋼材の表面上にプライマーを塗布してプライマー層を形成する(下地処理)。例えば、プライマーには、2液混合タイプのウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を用いることができる。プライマーの粘度が低いほど、鋼材表面の凹凸に対してプライマーがなじみやすい。そのため、プライマーが粘度の低い溶剤型のプライマーであると好ましい。塗布の方法は、スプレー塗装であってもよい。また、プライマー層の厚さが10〜200μmとなるようにプライマーを鋼材の表面上に塗布すると好ましい。プライマー層とウレタン樹脂層との密着性をできる限り高めるために、鋼材の表面にプライマーを塗布する前に、サンド、アルミナ、グリッド、あるいはショットを用いたブラスト処理を行ってもよい。このブラスト処理により、鋼材表面のスケールや汚染物等を除去することができる。また、本実施形態に係る鋼材として、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した鋼材を使用することができる。
まず、鋼材の表面上にプライマーを塗布してプライマー層を形成する(下地処理)。例えば、プライマーには、2液混合タイプのウレタン樹脂またはエポキシ樹脂を用いることができる。プライマーの粘度が低いほど、鋼材表面の凹凸に対してプライマーがなじみやすい。そのため、プライマーが粘度の低い溶剤型のプライマーであると好ましい。塗布の方法は、スプレー塗装であってもよい。また、プライマー層の厚さが10〜200μmとなるようにプライマーを鋼材の表面上に塗布すると好ましい。プライマー層とウレタン樹脂層との密着性をできる限り高めるために、鋼材の表面にプライマーを塗布する前に、サンド、アルミナ、グリッド、あるいはショットを用いたブラスト処理を行ってもよい。このブラスト処理により、鋼材表面のスケールや汚染物等を除去することができる。また、本実施形態に係る鋼材として、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した鋼材を使用することができる。
(主剤及び硬化剤の塗布)
次に、プライマー層の表面上に主剤と硬化剤とからなる液体混合物を塗布し、この液体混合物を硬化させてウレタン樹脂層を形成する。例えば、主剤と硬化剤とを事前に混合して液体混合物を調製し、スプレーによってこの液体混合物をプライマー層の表面上に塗布してもよい。また、ウレタン樹脂層の厚さが2〜5mmとなるように液体混合物をプライマー層の表面上に塗布すると好ましい。この場合、液体混合物の厚さが数mmである。液体混合物は、2液の無溶剤型塗料である。
次に、プライマー層の表面上に主剤と硬化剤とからなる液体混合物を塗布し、この液体混合物を硬化させてウレタン樹脂層を形成する。例えば、主剤と硬化剤とを事前に混合して液体混合物を調製し、スプレーによってこの液体混合物をプライマー層の表面上に塗布してもよい。また、ウレタン樹脂層の厚さが2〜5mmとなるように液体混合物をプライマー層の表面上に塗布すると好ましい。この場合、液体混合物の厚さが数mmである。液体混合物は、2液の無溶剤型塗料である。
本実施形態に係る液体混合物は、主剤と硬化剤とからなる2液型ポリウレタン樹脂組成物であり、2液を混合することによりウレタン重合が開始する。主剤は、カーボンブラック(CB)を含む無機顔料と、ポリオールとを含む。ポリオールは、1分子あたり2.7以上の水酸基(官能基)を有するひまし油誘導体(以下、第1のポリオール)と、1分子あたり2.0個の水酸基を有する有機組成物(以下、第2のポリオール)とを含む。第1のポリオールは、ひまし油を原料として誘導可能なポリオールである。また、第1のポリオールの質量は、主剤の質量(総質量)の10〜70%である。カーボンブラックを除く無機顔料の質量は、主剤の質量の10〜60%である。カーボンブラックの質量は、主剤の0.2〜5.0%である。ポリオールは、第1のポリオールと第2のポリオールのみからなると好ましい。硬化剤は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体(MDI誘導体)、トルエンジイソシアネート誘導体(TDI誘導体)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
本実施形態では、無機顔料として、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した無機顔料を使用できる。本実施形態においても、カーボンブラックを除く無機顔料の質量は、主剤の質量の10〜60%である。無機顔料の質量を減らすと、主剤の粘度を低下させることができるため、塗布効率を高めることができる。また、無機顔料の質量を増やすと、ウレタン樹脂層の強度を高めることができる。そのため、カーボンブラックを除く無機顔料の質量が主剤の質量の15〜50%であってもよい。
本実施形態では、第1のポリオールとして、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した第1のポリオールを使用できる。本実施形態においても、第1のポリオールの質量は、主剤の質量の10〜70%である。この第1のポリオールの質量は、主剤の質量の30〜60%であると特に好ましい。また、第1のポリオールの水酸基の数の上限は、6.0であってもよい。なお、ポリオールの官能基数(水酸基の数)は、JIS K 1557やISO14900及び15063に規定された水酸基の数を意味する。
本実施形態では、第2のポリオールとして、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した第2のポリオールを使用できる。本実施形態においても、第2のポリオールの質量は、主剤の質量の10〜80%であると好ましく、主剤の質量の20〜60%であるとより好ましい。
本実施形態では、イソシアネートとして、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載したウレタン樹脂層3におけるイソシアネートを使用できる。本実施形態においても、ポリオールに由来する水酸基(−OH)の数に対するイソシアネートに由来するイソシアネート基(−NCO)の数の比(−NCO/−OH)が0.9〜1.2の範囲となるように主剤と硬化剤(すなわち、イソシアネート)とを混合すると好ましい。硬化剤の量が多くなると、液体混合物中の発泡量が増加する。一方、硬化剤の量が少なくなると、イソシアネートが空気中の水分と反応した場合に硬化量が不足する可能性が生じる。そのため、生産性もしくは歩留まりをより高めるために、比(−NCO/−OH)が1.0〜1.1であってもよい。
本実施形態では、主剤中のその他の化学成分として、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載したその他の化学成分を使用できる。すなわち、主剤は、反応促進剤、吸水剤、チキソ付与剤、難燃剤、可塑剤からなる群から選択される少なくとも1つに由来する化学成分を含んでもよい。
(アクリルウレタン樹脂塗料の塗布)
最後に、ウレタン樹脂層の表面上にカーボンブラック(CB)を含むアクリルウレタン樹脂塗料を塗布し、このアクリルウレタン樹脂を硬化させてトップコート層を形成する。例えば、カーボンブラックを含む溶剤型のアクリルポリオール(アクリルウレタン樹脂塗料の主剤)とイソシアネート(アクリルウレタン樹脂塗料の硬化剤)とを事前に混合してアクリルウレタン樹脂塗料を調整し、このアクリルウレタン樹脂塗料をスプレーによってウレタン樹脂層の表面上に塗布してもよい。また、また、トップコート層の厚さが30〜100μmとなるようにアクリルウレタン樹脂塗料をウレタン樹脂層の表面上に塗布すると好ましい。このアクリルウレタン樹脂塗料では、カーボンブラックの質量がアクリルウレタン樹脂塗料の質量の0.2〜5.0%である。なお、カーボンブラックの量が少ないほど、カーボンブラックのアクリルウレタン樹脂塗料中における分散性は高い。
最後に、ウレタン樹脂層の表面上にカーボンブラック(CB)を含むアクリルウレタン樹脂塗料を塗布し、このアクリルウレタン樹脂を硬化させてトップコート層を形成する。例えば、カーボンブラックを含む溶剤型のアクリルポリオール(アクリルウレタン樹脂塗料の主剤)とイソシアネート(アクリルウレタン樹脂塗料の硬化剤)とを事前に混合してアクリルウレタン樹脂塗料を調整し、このアクリルウレタン樹脂塗料をスプレーによってウレタン樹脂層の表面上に塗布してもよい。また、また、トップコート層の厚さが30〜100μmとなるようにアクリルウレタン樹脂塗料をウレタン樹脂層の表面上に塗布すると好ましい。このアクリルウレタン樹脂塗料では、カーボンブラックの質量がアクリルウレタン樹脂塗料の質量の0.2〜5.0%である。なお、カーボンブラックの量が少ないほど、カーボンブラックのアクリルウレタン樹脂塗料中における分散性は高い。
アクリル樹脂塗料は、カーボンブラックに加えて、アクリルポリオールとイソシアネートとを含む。本実施形態では、アクリルポリオ−ルとして、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載したアクリルポリオ−ルを使用できる。また、イソシアネートとして、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載したトップコート層4におけるイソシアネートを使用できる。また、アクリル樹脂塗料は、任意の化学成分として、紫外線吸収剤や光安定剤を含んでもよい。本実施形態では、光安定剤として、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態に記載した光安定剤を使用できる。
なお、ウレタン重合では、副生成物が生じないため、本実施形態における主剤の質量は、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態の主剤の質量と同等である。また、本実施形態におけるアクリルウレタン樹脂塗料の質量は、上記の樹脂被覆鋼材に係る実施形態のトップコート層4の質量と同等である。このように両実施形態では、ウレタン重合によって各化学成分の重量は変化しないとみなせる。
本実施形態に係る樹脂被覆鋼材の製造方法では、海洋などの水にさらされる条件下においてもウレタン樹脂層によって長期にわたり鋼材を腐食から防ぐことができる樹脂被覆鋼材を提供することができる。
1)試験板の作製手順及び評価方法
No.1〜22の試験板を以下の手順にて作製して評価した。
6×100×150mmの鋼板の表面にグリットブラストを行い、除錆度がSa2・1/2以上になるまで錆を除去した。下地処理には、ウレタン樹脂組成の市販プライマーとして、第一工業製薬製のPG331ウレタンプライマーを用いた。このウレタンプライマーをスプレーを用いて鋼板の表面に塗装し、厚み30μmのプライマー層を鋼板の表面上に形成した。その3時間後に、高圧スプレー塗装機を用いてウレタン樹脂塗料をプライマー層の表面上に塗装し、厚み2〜5mmのウレタン樹脂層を形成した。高圧スプレー塗装機には、−OHの数に対する−NCOの数の比(−NCO/−OH)が1.1になるように主剤及び硬化剤(硬化剤/主剤)をミキサーで混合して調製されたウレタン樹脂塗料を供給した。その翌日に、トップコート塗料をカップガン(スプレー)にて塗装し、厚み30〜100μmのトップコート層を形成した。このトップコート塗料は、事前に主剤と硬化剤とを攪拌機で混合して調製された。
No.1〜22の試験板を以下の手順にて作製して評価した。
6×100×150mmの鋼板の表面にグリットブラストを行い、除錆度がSa2・1/2以上になるまで錆を除去した。下地処理には、ウレタン樹脂組成の市販プライマーとして、第一工業製薬製のPG331ウレタンプライマーを用いた。このウレタンプライマーをスプレーを用いて鋼板の表面に塗装し、厚み30μmのプライマー層を鋼板の表面上に形成した。その3時間後に、高圧スプレー塗装機を用いてウレタン樹脂塗料をプライマー層の表面上に塗装し、厚み2〜5mmのウレタン樹脂層を形成した。高圧スプレー塗装機には、−OHの数に対する−NCOの数の比(−NCO/−OH)が1.1になるように主剤及び硬化剤(硬化剤/主剤)をミキサーで混合して調製されたウレタン樹脂塗料を供給した。その翌日に、トップコート塗料をカップガン(スプレー)にて塗装し、厚み30〜100μmのトップコート層を形成した。このトップコート塗料は、事前に主剤と硬化剤とを攪拌機で混合して調製された。
得られた試験板を、1週間養生した後、75×150mmのサイズに切断した。切断後の試験板の裏面と側面とをエポキシ樹脂でシールした。シール後の試験片に対して、ISO20340に規定される40℃での海水浸漬試験と、175日間の複合サイクル試験とを実施した。複合サイクル試験では、QUVによる3日間の湿潤耐候性試験と、1日間の−20℃までの冷却と、3日間の塩水噴霧との組み合わせ(サイクル)が繰り返される。試験前(初期密着性)、海水浸漬試験後、複合サイクル試験後の各試験片について、トップコート層のウレタン樹脂層に対する密着力を、直径20mmのドーリー(試験円筒)を用い、elcometer社製のプルオフ試験機にて評価した。この評価結果について、5MPa以上の密着力を有する試験片を良好であると判断し、密着力が5MPa未満である試験片を不良であると判断した。
2)ウレタン樹脂塗料の主剤
No.1〜17では、ウレタン樹脂層(ウレタン樹脂塗料)の主剤成分の一つとして、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油系ポリオール(以下、第1のポリオール)を用いた。No.1〜14では、この第1のポリオールとして、伊藤製油製のURIC H−30(水酸基価155〜165mgKOH/g、官能基数2.7)を用いた。No.15〜17では、第1のポリオールとして、伊藤製油製のURIC H−57(水酸基価85〜115mgKOH/g、官能基数3)を用いた。No.1〜17では、第1のポリオールの質量は、主剤の質量の5〜80%であった。
No.1〜17では、ウレタン樹脂層(ウレタン樹脂塗料)の主剤成分の一つとして、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油系ポリオール(以下、第1のポリオール)を用いた。No.1〜14では、この第1のポリオールとして、伊藤製油製のURIC H−30(水酸基価155〜165mgKOH/g、官能基数2.7)を用いた。No.15〜17では、第1のポリオールとして、伊藤製油製のURIC H−57(水酸基価85〜115mgKOH/g、官能基数3)を用いた。No.1〜17では、第1のポリオールの質量は、主剤の質量の5〜80%であった。
また、No.1〜18では、ウレタン樹脂層の主剤成分の一つとして、1分子あたり2.0個の水酸基を有するポリオール(以下、第2のポリオール)を用いた。No.1〜5及び18では、この第2のポリオールとして、ひまし油系ポリオールの代表例である、伊藤製油製のURIC Y−403(水酸基価150〜170mgKOH/g、官能基数2)を用いた。No.7〜11では、第2のポリオールとして、ジオール系ポリオールの代表例である、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用いた。No.12〜14では、第2のポリオールとして、芳香族アミン系ポリオールの代表例である、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンを用いた。No.15〜18では、第2のポリオールとして、ポリブタジエン系ポリオールの代表例である、出光興産株式会社製のPoly bdTM R−15HTを用いた。No.1〜5及び7〜18では、第2のポリオールの質量は、主剤の質量の11〜81%であった。No.18では、2種類の第2のポリオールを用いている。
さらに、No.1〜18では、ウレタン樹脂層の主剤成分の一つとして、無機顔料を用いた。No.1〜11及び13〜18では、無機顔料(耐紫外線の着色顔料)の一つとして、カーボンブラック(CB)を用いた。このカーボンブラックの質量は、主剤の質量の0.5〜5.0%であった。No.1〜6及び8〜18では、無機顔料(無機体質顔料)の一つとして、クレーを用いた。このクレーの質量は、主剤の質量の10〜60%であった。No.1〜18では、吸湿剤として東ソー(株)製のゼオラムA−4(ゼオライト)を、難燃剤としてヘキサブロモベンゼンを、可塑剤としてフタル酸ジイソノニルを用いた。また、その他の化学成分として硬化触媒(ジオクチルスズジラウレート)とチキソ付与剤(日本アエロジル社製アエロジル#200)とを用いた。
主剤は、上記の主剤成分を混合して調製した。
主剤は、上記の主剤成分を混合して調製した。
3)ウレタン樹脂塗料の硬化剤
No.1〜14及び18では、ポリメリックMDI(Cr−MDI)(硬化剤)として、東ソー株式会社製のミリオネートMR−200を用いた。また、No.15〜17では、TDI(硬化剤)として東ソー株式会社製のCORONATE T−100を用いた。
No.1〜14及び18では、ポリメリックMDI(Cr−MDI)(硬化剤)として、東ソー株式会社製のミリオネートMR−200を用いた。また、No.15〜17では、TDI(硬化剤)として東ソー株式会社製のCORONATE T−100を用いた。
6)トップコート塗料
No.1〜6では、トップコート層(トップコート塗料)として、日本ペイント社製のnaxマイティラックG−2(アクリルウレタン(1))を用いた。No.7〜15及び18では、トップコート層として、Jotun社製Hardtop XP(アクリルウレタン(2))を用いた。これら2種類の塗料は、一般的なアクリルウレタン樹脂塗料であり、アクリルポリオール(主剤)と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー(HDI系イソシアネート硬化剤)と着色塗料と光安定剤とが混合されている。No.1〜15及び18では、着色塗料としてカーボンブラックが用いられ、カーボンブラックの質量がトップコート塗料の0.5%であった。また、No.16では、トップコート層として、Jotun社製Hardtop XP(アクリルウレタン(3))を用いた。このNo.16では、着色塗料として青色塗料が用いられた。No.17では、日本ペイント社製のデュフロン100(フッ素系塗料)を用いた。
No.1〜6では、トップコート層(トップコート塗料)として、日本ペイント社製のnaxマイティラックG−2(アクリルウレタン(1))を用いた。No.7〜15及び18では、トップコート層として、Jotun社製Hardtop XP(アクリルウレタン(2))を用いた。これら2種類の塗料は、一般的なアクリルウレタン樹脂塗料であり、アクリルポリオール(主剤)と1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートホモポリマー(HDI系イソシアネート硬化剤)と着色塗料と光安定剤とが混合されている。No.1〜15及び18では、着色塗料としてカーボンブラックが用いられ、カーボンブラックの質量がトップコート塗料の0.5%であった。また、No.16では、トップコート層として、Jotun社製Hardtop XP(アクリルウレタン(3))を用いた。このNo.16では、着色塗料として青色塗料が用いられた。No.17では、日本ペイント社製のデュフロン100(フッ素系塗料)を用いた。
7)No.19〜22
No.19は、特許文献1に開示された発明例(第1表の2行目)に相当する再現試験である。No.20は、特許文献2に開示された実施例1に相当する再現試験である。No.21は、特許文献2に開示された実施例1のアクリルウレタン塗料にカーボンブラックを加えた試験である。No.22は、特許文献3に開示された実施例に相当する再現試験である。
No.19は、特許文献1に開示された発明例(第1表の2行目)に相当する再現試験である。No.20は、特許文献2に開示された実施例1に相当する再現試験である。No.21は、特許文献2に開示された実施例1のアクリルウレタン塗料にカーボンブラックを加えた試験である。No.22は、特許文献3に開示された実施例に相当する再現試験である。
No.19〜22では、主剤成分として、以下のポリオールを用いた。No.19では、ポリエステルポリオールとして、東ソー(株)製のNIPPOLLAN 141(水酸基価102〜108KOHmg/g)を用いた。No.20〜22では、ポリブタジエンポリオールとして、出光興産製のPoly bdTM R−45HTを用いた。No.20及び21では、芳香族アミン系ポリオールとして、N,Nビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリンを用いた。
また、No.19〜22では、硬化剤として、以下のMDIを使用した。No.19及び22では、MDIとして、東ソー(株)製のミリオネートMTを使用した。No.20及び21では、粗MDI(Cr−MDI)として、東ソー(株)製のミリオネートMR−100を使用した。
さらに、No.19〜22では、ゼオライトとして、東ソー(株)製のゼオラムA−4を使用し、可塑剤としてジオクチルフタレートを使用した。
トップコート塗料について、No.19〜21では、アクリルウレタン塗料(アクリルウレタン)として、日本ペイント製のハイポン50上塗を使用した。No.22では、フッ素系塗料(フッ素)として、デュフロン100を使用した。なお、上述のように、No.21では、ハイポン50上塗にカーボンブラックが添加されている。
また、No.19〜22では、硬化剤として、以下のMDIを使用した。No.19及び22では、MDIとして、東ソー(株)製のミリオネートMTを使用した。No.20及び21では、粗MDI(Cr−MDI)として、東ソー(株)製のミリオネートMR−100を使用した。
さらに、No.19〜22では、ゼオライトとして、東ソー(株)製のゼオラムA−4を使用し、可塑剤としてジオクチルフタレートを使用した。
トップコート塗料について、No.19〜21では、アクリルウレタン塗料(アクリルウレタン)として、日本ペイント製のハイポン50上塗を使用した。No.22では、フッ素系塗料(フッ素)として、デュフロン100を使用した。なお、上述のように、No.21では、ハイポン50上塗にカーボンブラックが添加されている。
No.1〜18の実験条件及び評価結果を表1〜3に示す。表1及び表3の欄内の下線が付された数字もしくは文字は、本発明に係る条件を満たさないことを示す。
No.2〜5、8〜10及び13〜15では、本発明に係る条件を満たすため、試験板が水環境下においてもトップコート層のウレタン樹脂層に対する密着性に優れていた。そのため、これらの試験板は、初期密着性に優れており、水環境及び紫外線と水との複合環境における両試験後でも十分な密着力を維持していた。一方、No.7では、試験板が十分な初期密着性を有していなかった。No.1、11、17及び18では、浸漬試験及び複合サイクル試験後に試験板が十分な密着力を維持できなかった。No.6,12及び16では、複合サイクル試験後に試験板が十分な密着力を維持できなかった。No.7では、養生中にウレタン樹脂の物性が低下したものと考えられる。No.1、11、17及び18では、トップコート層とウレタン樹脂層との界面に水が侵入してウレタン樹脂層とトップコート層との界面の結合が切断されたと考えられる。また、No.6,12及び16では、トップコート層を紫外線が透過してトップコート層とウレタン樹脂層との界面が顕著に劣化したと考えられる。
No.2〜5、8〜10及び13〜15では、本発明に係る条件を満たすため、試験板が水環境下においてもトップコート層のウレタン樹脂層に対する密着性に優れていた。そのため、これらの試験板は、初期密着性に優れており、水環境及び紫外線と水との複合環境における両試験後でも十分な密着力を維持していた。一方、No.7では、試験板が十分な初期密着性を有していなかった。No.1、11、17及び18では、浸漬試験及び複合サイクル試験後に試験板が十分な密着力を維持できなかった。No.6,12及び16では、複合サイクル試験後に試験板が十分な密着力を維持できなかった。No.7では、養生中にウレタン樹脂の物性が低下したものと考えられる。No.1、11、17及び18では、トップコート層とウレタン樹脂層との界面に水が侵入してウレタン樹脂層とトップコート層との界面の結合が切断されたと考えられる。また、No.6,12及び16では、トップコート層を紫外線が透過してトップコート層とウレタン樹脂層との界面が顕著に劣化したと考えられる。
No.19〜22の実験条件及び評価結果を表4及び5に示す。また、No.19〜22では、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油系ポリオールに起因する化学成分がウレタン樹脂層に含まれていなかったため、浸漬試験及び複合サイクル試験後に試験板が十分な密着力を維持できなかった。特に、No.20では、トップコート層に着色顔料もカーボンブラックも添加されなかったため、ウレタン樹脂層の表面が大きく劣化し、トップコート層がウレタン樹脂層から容易に剥離した。
海洋のような厳しい腐食環境下においても、長期にわたって樹脂被覆が鋼材を防食することができる樹脂被覆鋼材及びその製造方法を提供する。
1 鋼材
2 プライマー層
3 ウレタン樹脂層
4 トップコート層
5 樹脂被覆鋼材
6 樹脂層
2 プライマー層
3 ウレタン樹脂層
4 トップコート層
5 樹脂被覆鋼材
6 樹脂層
Claims (2)
- 鋼材と、
前記鋼材の表面上のプライマー層と、
前記プライマー層の表面上のウレタン樹脂層と、
前記ウレタン樹脂層の表面上のトップコート層と、
を備え、
前記ウレタン樹脂層は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ポリオールの水酸基及びイソシアネートのイソシアネート基の構成原子からなるウレタン結合を有するウレタン樹脂とを含み、
前記トップコート層は、カーボンブラックと、アクリルウレタン樹脂とを含み、
前記ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油誘導体と、1分子あたり2.0個の水酸基を有する有機組成物とを含み、
前記イソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記ウレタン樹脂層では、前記ウレタン樹脂層の質量から前記イソシアネートの質量を減じた質量を主剤の質量と定義すると、前記カーボンブラックの質量が前記主剤の質量の0.2〜5.0%であり、前記無機顔料の質量から前記カーボンブラックの質量を減じた質量が前記主剤の質量の10〜60%であり、前記ひまし油誘導体の質量が前記主剤の質量の10〜70%であり、
前記トップコート層では、前記カーボンブラックの質量が前記トップコート層の質量の0.2〜5.0%である
ことを特徴とする樹脂被覆鋼材。 - 鋼材の表面上にプライマーを塗布してプライマー層を形成し、
前記プライマー層の表面上に主剤と硬化剤とからなる液体混合物を塗布し、前記液体混合物を硬化させてウレタン樹脂層を形成し、
前記ウレタン樹脂層の表面上にカーボンブラックを含むアクリルウレタン樹脂塗料を塗布し、前記アクリルウレタン樹脂塗料を硬化させてトップコート層を形成する
樹脂被覆鋼材の製造方法であって、
前記主剤は、カーボンブラックを含む無機顔料と、ポリオールとを含み、
前記硬化剤は、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート誘導体、トルエンジイソシアネート誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記ポリオールは、1分子あたり2.7個以上の水酸基を有するひまし油誘導体と、1分子あたり2.0個の水酸基を有する有機組成物とを含み、
前記主剤では、カーボンブラックの質量が前記主剤の質量の0.2〜5.0%であり、前記無機顔料の質量から前記カーボンブラックの質量を減じた質量が前記主剤の質量の10〜60%であり、前記ひまし油誘導体の質量が前記主剤の質量の10〜70%であり、
前記アクリルウレタン樹脂塗料では、前記カーボンブラックの質量が前記アクリルウレタン樹脂塗料の質量の0.2〜5.0%である
ことを特徴とする樹脂被覆鋼材の製造方法。
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