JP6551494B2 - 炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法 - Google Patents

炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法に関し、より特定的には、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断した場合に基板の反りを抑えることが可能な炭化珪素インゴットおよび当該炭化珪素インゴットを用いて実施される炭化珪素基板の製造方法に関する。
従来、炭化珪素インゴットは遊離砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断されていた。たとえば特開2010−23208号公報には、GC砥粒を含むスラリーを用いたワークの切断方法が開示されている。一方で、近年では固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いた炭化珪素インゴットの切断も実施されている。これにより、遊離砥粒方式を採用する場合に比べて炭化珪素インゴットの切断工程におけるコストを大幅に削減することができる。
特開2010−23208号公報
上述のように固定砥粒方式を採用して炭化珪素インゴットを切断することにより基板を得た場合には、大口径の基板においても反りの発生をある程度抑えることができる。しかし、一つの炭化珪素インゴットから得られた複数枚の基板に反りが小さいものと反りが大きくて実用に適さないものとが含まれる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断した場合に基板の反りを抑えることが可能な炭化珪素インゴットおよび当該炭化珪素インゴットを用いて実施される炭化珪素基板の製造方法を提供することである。
本発明に従った炭化珪素インゴットは、第1の端面と第1の端面と反対側の端面である第2の端面とを有している。上記炭化珪素インゴットでは、第1の端面と第2の端面とが対向する方向である成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上1×1018cm−4以下になっている。
本発明によれば、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断した場合に基板の反りを抑えることが可能な炭化珪素インゴットおよび当該炭化珪素インゴットを用いて実施される炭化珪素基板の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る炭化珪素インゴットを示す概略正面図である。 本実施形態に係る炭化珪素基板を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る炭化珪素インゴットにおける窒素濃度の勾配の算出方法を説明するための概略図である。 本実施形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法を概略的に示すフローチャートである。 本実施形態に係る炭化珪素インゴットの製造方法を説明するための概略断面図である。 本実施形態に係る炭化珪素基板の製造方法において用いられるワイヤーソーの構造を示す概略斜視図である。
[本願発明の実施形態の説明]
まず、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本実施形態に係る炭化珪素インゴット(1)は、第1の端面(1a)と第1の端面(1a)と反対側の端面である第2の端面(1b)とを有している。炭化珪素インゴット(1)では、第1の端面(1a)と第2の端面(1b)とが対向する方向である成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上1×1018cm−4以下になっている。
上記炭化珪素インゴット(1)では、上記成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上にまで高くなっている。そのため、砥粒が固定されたワイヤを炭化珪素インゴット(1)の上記成長方向に沿って配置された複数の切断部に接触させつつ走行させることにより当該炭化珪素インゴット(1)を切断した場合に、上記複数の切断部のどの部分を切断した場合においても基板の反りを抑えることができる。また、上記炭化珪素インゴット(1)では、上記成長方向における窒素濃度の勾配が1×1018cm−4以下に抑えられている。そのため、窒素濃度の勾配が過大になることで結晶内にクラックが発生することを抑制することができる。したがって、上記炭化珪素インゴット(1)によれば、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断した場合に基板の反りを抑えることができる。
(2)上記炭化珪素インゴット(1)は、上記成長方向から見たときの幅が100mm以上である。上記炭化珪素インゴット(1)の幅が大きい場合には、切断して得られる炭化珪素基板(10)の幅も大きくなる。そして、炭化珪素基板(10)の幅が大きい場合には基板の反りがより発生し易くなる。そのため、上記炭化珪素インゴット(1)の成長方向から見たときの幅が100mm以上である場合には、基板の反りの抑制効果がより大きくなる。
(3)上記炭化珪素インゴット(1)においては、上記成長方向において窒素濃度が単調に変化している。これにより、上記炭化珪素インゴット(1)の製造時に窒素ガスの流量調節がより容易になる。なお「上記成長方向における窒素濃度が単調に変化する」とは、上記成長方向において窒素濃度が一定の傾きを有するように直線的に増加する場合または減少する場合などを意味する。
(4)上記炭化珪素インゴット(1)においては、第1の端面(1a)および第2の端面(1b)のうち一方の端面は、(000−1)面を含む面である。これにより、上記炭化珪素インゴット(1)の製造時に炭化珪素単結晶をc軸方向に沿って容易に成長させることができる。
(5)本実施形態に係る炭化珪素基板の製造方法は、上記炭化珪素インゴット(1)を準備する工程と、炭化珪素インゴット(1)を切断して炭化珪素基板(10)を得る工程とを備えている。
上記炭化珪素インゴット(1)では、上記成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上にまで高くなっている。そのため、砥粒が固定されたワイヤを炭化珪素インゴット(1)の上記成長方向に沿って配置される複数の切断部に接触させつつ走行させることにより当該炭化珪素インゴット(1)を切断した場合に、上記複数の切断部のどの部分を切断した場合でも基板の反りを抑えることができる。また、上記炭化珪素インゴット(1)では、上記成長方向における窒素濃度の勾配が1×1018cm−4以下にまで抑えられている。そのため、上記炭化珪素インゴット(1)を切断して得られる基板においてクラックの発生を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る炭化珪素基板の製造方法によれば、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて炭化珪素インゴットを切断した場合に基板の反りを抑えることができる。
(6)上記炭化珪素基板の製造方法において、炭化珪素基板(10)を得る工程では、表面に砥粒が固定されたワイヤ(34)を炭化珪素インゴット(1)の上記成長方向に沿って配置された複数の切断部に接触させつつ走行させることにより炭化珪素インゴット(1)が切断される。このように固定砥粒方式を採用して炭化珪素インゴット(1)を切断した場合には、上述のように基板の反りを抑えることができる。
(7)上記炭化珪素基板の製造方法では、炭化珪素インゴット(1)において第2の端面(1b)側の部分の窒素濃度は第1の端面(1a)側の部分の窒素濃度よりも高くなっている。そして、上記複数の切断部のうち第2の端面(1b)側に位置する第2の切断部には、上記複数の切断部のうち第1の端面(1a)側に位置する第1の切断部よりもワイヤ(34)の走行方向における下流側の部分が接触する。
ワイヤ(34)の下流側の部分は上流側の部分に比べて劣化の度合いが大きく、当該下流側のワイヤ部分により切断して得られた基板は反りがより発生し易い。これに対して、当該下流側のワイヤ部分を窒素濃度が高い第2の端面(1b)側に位置する切断部と接触させることにより、基板の反りをより抑えることができる。
(8)上記炭化珪素基板の製造方法において、砥粒はダイヤモンド砥粒を含んでいる。
このように硬質砥粒が固定されたワイヤを用いることにより、炭化珪素インゴット(1)をより効率的に切断することができる。
(9)上記炭化珪素基板の製造方法において、炭化珪素基板(10)を得る工程では、炭化珪素基板(10)の厚みが1mm以下になるように炭化珪素インゴット(1)が切断される。
炭化珪素基板(10)の厚みが小さい場合には、基板の反りがより発生し易くなる。そのため、炭化珪素基板(10)の厚みが1mm以下になるように炭化珪素インゴット(1)が切断される場合には、基板の反りの抑制効果がより大きくなる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施形態の具体例を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。また、本明細書中においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示す。また、負の指数については、結晶学上、"−"(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
まず、本実施形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板について説明する。図1を参照して、炭化珪素インゴット1はポリタイプが4H型である炭化珪素からなり、種基板11と炭化珪素層13とを主に有している。炭化珪素インゴット1は、種基板11側の端面1a(第1の端面)と、炭化珪素層13側の端面1b(第2の端面)とを有している。炭化珪素層13は窒素(N)原子を含んでおり、昇華再結晶法により種基板11の表面11a上に成長させることにより形成されている。炭化珪素層13の成長方向(端面1aと端面1bとが対向する方向)は<0001>方向になっており、成長面である端面1bは(000−1)面からなっている。また図2を参照して、本実施形態に係る炭化珪素基板10は、炭化珪素インゴット1(図1参照)を任意の方向に切断することにより得られる。なお、図1では種基板11と炭化珪素層13とを有する炭化珪素インゴット1を示したが、炭化珪素インゴット1において種基板11は除去されていてもよい。
図1を参照して、炭化珪素インゴット1の成長方向における厚みは、たとえば10mm以上である。炭化珪素インゴット1の成長方向から見たときの幅は100mm以上であり、好ましくは150mm以上である。図2を参照して、炭化珪素基板10の厚みは1mm以下である。炭化珪素基板10の幅は、炭化珪素インゴット1の幅と同様に100mm以上(4インチ以上)であり、好ましくは150mm以上(6インチ以上)である。
図1を参照して、炭化珪素層13における窒素濃度は、たとえば1×1014cm−3以上3×1019cm−3以下となっており、好ましくは1×1017cm−3以上2×1019cm−3以下となっている。炭化珪素層13においては成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上1×1018cm−4以下となっており、好ましくは1×1017cm−4以上1×1018cm−4以下となっており、より好ましくは5×1017cm−4以上1×1018cm−4以下となっている。
炭化珪素インゴット1の成長方向における窒素濃度の勾配は、以下のようにして算出することができる。図3を参照して、まず炭化珪素層13において端面1bから成長方向に2mm離れた点を第1測定点21とし、当該第1測定点21から成長方向に5mm離れた点を第2測定点22とする。第1測定点21および第2測定点22は、炭化珪素インゴット1の径方向における中心部を含んでいる。次に、第1測定点21および第2測定点22のそれぞれにおいて、窒素濃度(cm−3)を測定する。窒素濃度の測定は、たとえば二次イオン質量分析法(SIMS;Secondary Ion Mass Spectrometry)により実施される。そして、第1測定点21および第2測定点22のそれぞれにおいて測定された窒素濃度の差分(cm−3)の絶対値を、当該第1測定点21と第2測定点22との間の距離(0.5cm)で除する。このようにして、炭化珪素インゴット1の成長方向における窒素濃度の勾配(cm−4)を算出することができる。
炭化珪素インゴット1では、図3中のグラフにおいて模式的に示すように成長方向において窒素濃度が単調に変化している。より具体的には、端面1a側から端面1b側に向かって窒素濃度が直線的に増加している。このように炭化珪素インゴット1においては、端面1b側の部分の窒素濃度が端面1a側の部分の窒素濃度よりも大きくなっている。なお図3中のグラフにおいて、横軸は窒素濃度を示し、縦軸は成長方向を示している。
次に、本実施形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法について説明する。本実施形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法では、以下に説明するようにして上記炭化珪素インゴット1および炭化珪素基板10が得られる。
図4を参照して、まず、工程(S10)として種基板および原料準備工程が実施される。この工程(S10)では、図5を参照して、まず炭化珪素単結晶からなる種基板11と、多結晶の炭化珪素粉末や炭化珪素焼結体からなる原料12とがそれぞれ準備される。そして、種基板11および原料12は、図5に示すようにカーボン製の坩堝2の内部において互いに対向した状態で配置される。
次に、工程(S20)として昇温工程が実施される。この工程(S20)では、図5を参照して、まずキャリアガスであるアルゴン(Ar)ガスが、坩堝2の内部へ供給される。そして、加熱コイル(図示しない)などにより坩堝2の内部が2000℃以上2500℃以下の温度にまで加熱される。このとき、坩堝2の内部は原料12が配置される側から種基板11が配置される側に向かう方向において温度が低くなるように(温度勾配が形成されるように)加熱される。
次に、工程(S30)として結晶成長工程が実施される。この工程(S30)では、アルゴンガスを供給しつつ坩堝2の内部を所定の圧力にまで減圧する。これにより、原料12が昇華して炭化珪素の原料ガスが発生し、当該原料ガスが種基板11上において固化することにより炭化珪素層13が成長する。またドーパントガスである窒素ガスもアルゴンガスとともに坩堝2の内部に供給される。そして、窒素ガスが熱分解されて発生した窒素原子が、成長中の炭化珪素層13にドーパントとして取り込まれる。このように工程(S30)では、窒素ガスおよびアルゴンガスを供給しつつ原料12を昇華させることにより、種基板11上の表面11a上において窒素原子を含む炭化珪素層13が成長する。上記工程(S10)〜(S30)が実施されることにより、上記炭化珪素インゴット1が準備される。
次に、工程(S40)として切断工程が実施される。この工程(S40)では、図6を参照して、ワイヤーソー3を用いて炭化珪素インゴット1が所定の厚みに切断される。これにより、炭化珪素インゴット1から所定の厚みを有する複数枚の炭化珪素基板10(図2)が得られる。まず、図6を参照してワイヤーソー3の構造について説明する。
ワイヤーソー3は、治具30(本体部31および保持部32)と、一組のローラ33と、ワイヤ34と、切削液供給部35とを主に有している。ローラ33は円柱形状を有しており、他方のローラ33との間に所定の間隔をおいて並んで配置されている。ローラ33は、図6中矢印に示すように円柱形状の中心軸周りに回転可能になっている。
ワイヤ34は、たとえばピアノ線などの表面に電着によってダイヤモンド砥粒が固定された電着ダイヤモンドワイヤである。ワイヤ34の直径はたとえば250μmである。ワイヤ34は、図6に示すように一組のローラ33の各々の外周面に複数回巻き掛けられている。ワイヤ34の張力はたとえば45Nである。これにより、ワイヤ34は一方のローラ33と他方のローラ33との間を往復しつつ上流側U(図6中左側)から下流側D(図6中右側)へ走行することが可能になっている。
切削液供給部35は、ワイヤ34の上方において配置されている。切削液供給部35は、ワイヤ34の上方から切削油(クーラント)を供給する。
治具30は本体部31と保持部32とを含み、当該保持部32において被切断物である炭化珪素インゴット1を保持する。治具30は保持部32において炭化珪素インゴット1を保持しつつ、ワイヤ34に接近する方向またはワイヤ34から退避する方向に移動可能になっている。
次に、上記ワイヤーソー3を用いた炭化珪素インゴット1の切断手順について説明する。図6を参照して、まず上記工程(S10)〜(S30)において準備された炭化珪素インゴット1が、その外周面の一部が保持部32に接触するように治具30に設置される。このとき、炭化珪素インゴット1は窒素濃度が相対的に高い端面1b側の部分がワイヤ34の下流側D(図6中右側)に位置し、窒素濃度が相対的に低い端面1a側の部分がワイヤ34の上流側U(図6中左側)に位置するように設置される。
次に、ローラ33を回転させることにより、ワイヤ34をローラ33の間を往復させつつ上流側U(図6中左側)から下流側D(図6中右側)に向かって走行させる。これにより、ワイヤ34が炭化珪素インゴット1の成長方向(端面1aと端面1bとが対向する方向)に沿って走行する。ワイヤ34の線速(走行速度)の平均値はたとえば1000m/minである。
次に、治具30をワイヤ34側へ下降させることにより、炭化珪素インゴット1をワイヤ34に接触させる。このとき、ワイヤ34はローラ33の間を往復するように設けられているため、炭化珪素インゴット1は上記成長方向の沿って配置された複数の切断部においてワイヤ34と接触する。ここで、炭化珪素インゴット1における切断部同士の間隔は、ローラ33を跨ぐワイヤ34同士の間隔に相当する。また、炭化珪素インゴット1は、上述のように窒素濃度が相対的に高い端面1b側がワイヤ34の下流側Dに位置し、窒素濃度が相対的に低い端面1a側がワイヤ34の上流側Uに位置するように設置される。そのため、炭化珪素インゴット1では、上記複数の切断部のうち端面1b側に位置する部分(第2の切断部)には、上記複数の切断部のうち端面1a側に位置する部分(第1の切断部)よりもワイヤ34の走行方向における下流側が接触する。
次に、ワイヤ34を炭化珪素インゴット1の上記成長方向に沿って配置された複数の切断部に接触させつつ上流側Uから下流側Dに向かって走行させ、かつ炭化珪素インゴット1をさらに下降させて切断を進行させる。切断速度の平均値はたとえば250μm/minである。このようにして炭化珪素インゴット1が複数の切断部において切断されることにより、複数枚の炭化珪素基板10(図2)が得られる。炭化珪素基板10の厚みはたとえば1mm以下である。以上の工程(S10)〜(S40)が実施されることにより上記本実施形態に係る炭化珪素インゴット1(図1)および炭化珪素基板10(図2)が得られ、本実施形態に係る炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法が完了する。
固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて炭化珪素インゴットを切断した場合における基板の反りの抑制について、本発明の効果を確認する実験を行った。まず、上記本実施形態に係る炭化珪素インゴットを準備した。炭化珪素インゴットにおいて第1測定点21および第2測定点22(図3)における窒素濃度は、それぞれ8.72×1017cm−3および8.20×1017cm−3であった(実施例)。また比較例として、第1測定点21および第2測定点22における窒素濃度がそれぞれ8.05×1017cm−3および8.03×1017cm−3である炭化珪素インゴットも準備した。実施例および比較例の炭化珪素インゴットの厚みはそれぞれ10mmであった。そして、これらの炭化珪素インゴットを上記本実施形態に係る炭化珪素基板の製造方法と同様にして切断した。これにより厚み1mmの複数枚の炭化珪素基板が得られ、それぞれの炭化珪素基板の反りを測定した。表1は実施例(No.1〜9)および比較例(No.10〜18)における反りの測定結果を示している。なお表1において、炭化珪素基板の番号(No.)は炭化珪素インゴットの成長方向において順に付されており、No.1および10の炭化珪素基板が種基板側を切断して得られた基板であり、No.9および18の炭化珪素基板が成長面側を切断して得られた基板である。つまり、No.1および10の番号に近い炭化珪素基板が上流側のワイヤで切断して得られた基板であり、No.9および18の番号に近い炭化珪素基板が下流側のワイヤで切断して得られた基板である。
Figure 0006551494
表1から明らかなように、比較例(No.10〜18)においては下流側のワイヤで切断して得られた基板(No.18の番号に近い基板)の反りが上流側のワイヤで切断して得られた基板(No.10の番号に近い基板)の反りに比べて大きく増加するのに対して、実施例(No.1〜9)においては反りの増加が比較例に比べてより小さくなった。したがって、炭化珪素インゴットの成長方向における窒素濃度の勾配を制御することにより、固定砥粒方式による切断時において基板の反りを抑えることが可能であることが分かった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の炭化珪素インゴットおよび炭化珪素基板の製造方法は、固定砥粒方式によるワイヤーソーを用いて切断した場合に基板の反りを抑えることが要求される炭化珪素インゴットおよび当該炭化珪素インゴットを用いて実施される炭化珪素基板の製造方法において、特に有利に適用され得る。
1 炭化珪素インゴット
1a,1b 端面
2 坩堝
3 ワイヤーソー
10 炭化珪素基板
11 種基板
11a 表面
12 原料
13 炭化珪素層
21 第1測定点
22 第2測定点
30 治具
31 本体部
32 保持部
33 ローラ
34 ワイヤ
35 切削液供給部

Claims (9)

  1. (0001)面である第1の端面と前記第1の端面と反対側の端面であり、(000−1)面である第2の端面とを有し、
    前記第2の端面側の部分の窒素濃度は前記第1の端面側の部分の窒素濃度よりも高くなっており、
    前記第1の端面と前記第2の端面とが対向する方向であり、<0001>方向である成長方向における窒素濃度の勾配が1×1016cm−4以上1×1018cm−4以下であり、
    炭化珪素のポリタイプが4H型であり、
    前記第2の端面が成長面である炭化珪素インゴット。
  2. 前記成長方向から見たときの幅が100mm以上である、請求項1に記載の炭化珪素インゴット。
  3. 前記成長方向において窒素濃度が単調に変化している、請求項1または請求項2に記載の炭化珪素インゴット。
  4. 前記成長方向において、前記第1の端面側から前記第2の端面側に向かって窒素濃度が直線的に増加している請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴット。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の炭化珪素インゴットを準備する工程と、
    前記炭化珪素インゴットを切断して炭化珪素基板を得る工程とを備える、炭化珪素基板の製造方法。
  6. 前記炭化珪素基板を得る工程では、表面に砥粒が固定されたワイヤを前記炭化珪素インゴットの前記成長方向に沿って配置された複数の切断部に接触させつつ走行させることにより前記炭化珪素インゴットが切断される、請求項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  7. 前記複数の切断部のうち前記第2の端面側に位置する第2の切断部には、前記複数の切断部のうち前記第1の端面側に位置する第1の切断部よりも前記ワイヤの走行方向における下流側の部分が接触する、請求項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  8. 前記砥粒はダイヤモンド砥粒を含む、請求項または請求項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
  9. 前記炭化珪素基板を得る工程では、前記炭化珪素基板の厚みが1mm以下になるように前記炭化珪素インゴットが切断される、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
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