JP2013169635A - ワイヤーソー用ローラの芯材、ワイヤーソー用ローラ、ワイヤーソー用ローラの製造方法及びワイヤーソー用ローラのリサイクル方法 - Google Patents

ワイヤーソー用ローラの芯材、ワイヤーソー用ローラ、ワイヤーソー用ローラの製造方法及びワイヤーソー用ローラのリサイクル方法 Download PDF

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純史 清山
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Abstract

【課題】交換が必要となるワイヤー溝を有する円筒状外層体を容易かつ確実に離脱することができ、容易かつ低コストにローラをリサイクルすることを可能とするワイヤーソー用ローラの芯材、ワイヤーソー用ローラ、ワイヤーソー用ローラの製造方法、及びワイヤーソー用ローラのリサイクル方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のワイヤーソー用ローラの芯材は、略円柱状の中芯と、上記中芯の外周面に外挿される円筒状の外筒とを備え、上記中芯と上記外筒とが異なる線膨張係数を有するワイヤーソー用ローラの芯材である。上記中芯の線膨張係数が、上記外筒の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。上記中芯の素材の主成分が鉄又は鋼、上記外筒の素材の主成分がアルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤーソー用ローラの芯材、ワイヤーソー用ローラ、ワイヤーソー用ローラの製造方法及びワイヤーソー用ローラのリサイクル方法に関する。
インゴット(SiC、サファイア、水晶、石英、磁性材料、セラミック等)等の各種のワーク(被加工物)を切断するために、ワイヤーソーが用いられている。ワイヤーソーにおいては、複数の円柱状のメインローラが所定間隔おきに平行に配設され、それらのメインローラの外周面には、ワイヤーを掛装可能なように複数のワイヤー溝が所定ピッチで形成されている。
ワイヤーソーによるインゴットの切断加工は、メインローラを回転させて掛装されたワイヤーを走行させながら、そのワイヤー上に砥粒を含むスラリーを供給し、この状態でワイヤーに対してワークを圧接することによって行われる。メインローラに掛装されるワイヤーとしてはピアノ線が広く使用されるが、ダイヤモンドを電着又はボンド等して得られた固定砥粒ワイヤーを使用する場合には、ワイヤー上に水性のクーラントを供給することにより、短時間でインゴットの切断加工をすることができる。
上述のようなワイヤーソーは、例えば結晶系太陽電池の製造に用いられる。この結晶系太陽電池の製造にあっては、単結晶又は多結晶シリコンインゴットを上記ワイヤーソーにより薄く切断してシリコンウエハを作製後、このシリコンウエハの外周面取り、研磨、不純物除去、鏡面研磨及び洗浄の各工程を経て、太陽電池セルが製造されている。この太陽電池において、光を電気に変換するための素子としての機能は、表面から数μm程度の部分が奏するが、上記ワイヤーソーによって切断されるシリコンウエハの厚みは通常180μm〜200μm程度である。上述の太陽電池の制作コストにあっては、約4割がセル(シリコンウエハ)のコストであり、太陽電池の制作コスト低減のためには、インゴットの加工コストや消耗部品のコストを低減する必要がある。
メインローラは、ワイヤー溝を有する円筒状外層体と芯材とから構成されている。この円筒状外層体としては、ポリウレタン系樹脂、セラミックス等の材料が用いられる。円筒状外層体のワイヤー溝部は繰り返しの使用により摩耗するため、加工するシリコンウエハの厚み精度が得られなくなったとき、摩耗した円筒状外層体を芯材から離脱し、新たに円筒状外層体を形成して芯材に装着し、その外周にワイヤー溝を加工することによって芯材をリサイクルすることが考えられる。
このリサイクルに際しては、まず、芯材から円筒状外層体を離脱する作業が必要であるが、従来のワイヤーソー用ローラにあっては、芯材と円筒状外層体とが強固に接着されているため、円筒状外層体の離脱作業が煩雑かつ困難である。つまり、円筒状外層体の芯材への装着は、加硫系接着剤を塗布した芯材を金型に挿入した後、そこに円筒状外層体の原料を注入し、加熱・硬化と同時に加硫接着すること等により行われる。そのため、円筒状外層体を離脱するには、旋盤を用いて円筒状外層体を芯材から削り取り、円筒状外層体を削り取った芯材の外周面をブラスト処理して、さらにはブラスト処理後に芯材の外周面を洗浄することが必要である。この作業はワイヤーソーを使用する製造現場で行うことは難しく、ローラ加工工場への輸送が必要となる。特に、上記のような太陽電池の製造に用いられるワイヤーソー用ローラにあっては、芯材と円筒状外層体とを足し合わせたものは、1本当たり100kg以上の重量物であるため、輸送をはじめ、上記削り取りやブラスト処理等の作業に必要な設備が巨額となり、多数の工程をも必要とするため、コスト増加が免れない。
また、ワイヤーソー用ローラの芯材への円筒状外層体の外嵌に関して、実開平5−41664号公報には、円筒状外層体が、圧入、接着、圧入・接着等の固定手段により芯材に取り付けられることが記載されている。この実開平5−41664号公報記載の円筒状外層体の取付方法を用いて円筒状外層体を芯材に接着する場合において、上述した加硫系接着剤のような接着剤を用いると、芯材から離脱するに際し、上述したものと同様に、円筒状外層体の削り取りの処理、芯材表面のブラスト処理及び洗浄処理が必要となる。この作業は工数が多く煩雑であり、また設備投資が必要でコスト削減を図ることができないという不都合がある。なお、実開平5−41664号公報に記載の円筒状外層体の取付方法のうち、接着を行わずに圧入又は挿入のみにより円筒状外層体を取り付ける場合には、外嵌した円筒状外層体にワイヤー溝を形成する際に、円筒状外層体が芯材の表面を滑ってしまい、的確にワイヤー溝を形成できないおそれがある。
実開平5−41664号公報
本発明の目的は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、交換が必要となるワイヤー溝を有する円筒状外層体を容易かつ確実に離脱することができ、容易かつ低コストにローラをリサイクルすることを可能とするワイヤーソー用ローラの芯材、ワイヤーソー用ローラ、ワイヤーソー用ローラの製造方法、及びワイヤーソー用ローラのリサイクル方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、
略円柱状の中芯と、
上記中芯の外周面に外挿される略円筒状の外筒と
を備え、
上記中芯と上記外筒とが異なる線膨張係数を有するワイヤーソー用ローラの芯材である。
当該ワイヤーソー用ローラの芯材は、外筒にウレタン系樹脂製の円筒状外層体を装着することでワイヤーソー用ローラを形成することができる。特に、中芯と外筒とが異なる線膨張係数を有するため、常温時に中芯の外径を外筒の内径よりもわずかに大きくなるように形成することで、中芯の線膨張係数が外筒の線膨張係数よりも小さい場合には、加熱することで中芯に外筒を外挿することができ、常温状態においては外筒の内径が中芯の外径よりも小さくなろうとする縮径力が発生し、中芯と外筒とを確実に固定することができる。逆に、中芯の線膨張係数が外筒の線膨張係数よりも大きい場合には、冷却することで中芯に外筒を外挿することができ、常温状態においては中芯の外径が外筒の内径よりも大きくなろうとする拡径力が発生し、中芯と外筒とを確実に固定することができる。また、当該芯材は、このように特別な固定手段を用いずに中芯と外筒とを固定できるため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着することで、容易かつ確実にワイヤーソー用ローラを形成することができる。また、当該ワイヤーソー用ローラの芯材は、加熱又は冷却によって中芯から外筒を離脱することができる。このため、ワイヤーソー用ローラをリサイクルするにあたって、中芯から外筒を離脱することで円筒状外層体を離脱することができる。そして、この外筒が離脱された中芯に、例えば新たな円筒状外層体が装着された外筒を外挿することによって、当該ワイヤーソー用ローラの芯材の中芯を有効にリサイクルすることができる。さらに、当該ワイヤーソー用ローラの芯材は、中芯から外筒を離脱できるので、リサイクルに際して、従来重量物である芯材全体で行っていた各種工程のうち一部の作業を、比較的に軽量な外筒のみで行うことができ、作業性の向上が図られ、さらにはリサイクルの各種工程間での輸送の手間やコスト等の低減が図られる。
上記中芯の線膨張係数が、上記外筒の線膨張係数よりも小さいとよい。このように中芯の線膨張係数を外筒の線膨張係数よりも小さくすることによって、中芯と外筒とを加熱した場合に中芯の外径の拡径率よりも外筒の内径の拡径率のほうが大きくなる。そのため、常温時に中芯の外径よりもわずかに小さい内径を有する外筒を、加熱により拡径して中芯に外挿して芯材を形成することができる。このようにして形成される芯材は、常温状態において外筒の内径が中芯の外径よりも小さくなろうとする縮径力が発生するため、中芯と外筒とが強く固定される。また、この芯材は加熱することによって、外筒の内径を中芯の外径よりも大きくすることができるため、容易かつ確実に中芯から外筒を離脱させることができる。
上記中芯の素材の主成分が鉄又は鋼、上記外筒の素材の主成分がアルミニウム又はアルミニウム合金であるとよい。中芯及び外筒の素材をこのようにすることによって、中芯の線膨張係数を外筒の線膨張係数よりも小さくすることができ、上述のような外挿方法によって中芯と外筒とを確実に固定することができる。また、上記材料は適度な強度を有するため、当該芯材の強度を向上させることができる。さらに、上記材料は入手性及び加工性が良好であるため、当該芯材の製造コストを低減することができる。
上記中芯及び上記外筒が、中心軸と垂直に形成されている端面をそれぞれ有するとよい。このような端面を中芯及び外筒が有することによって、中芯に外筒を上述のような方法で外挿する際に、これらの端面を面一に揃えることによって、容易かつ確実に中芯と外筒との中心軸方向の相対位置を決定することができる。そのため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着してワイヤーソー用ローラを形成した場合に、ワイヤーソーの溝位置を精度よく保つことができる。
上記中芯と上記外筒とを周方向に固定する位置決め手段を有するとよい。このような位置決め手段を有することによって、中芯と外筒との周方向の相対位置を確実に決定することが可能となり、また、外筒が中芯の外周上を滑ることを防止することができる。そのため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着してワイヤーソー用ローラを形成した場合に、ワイヤーソー加工の精度を向上させることができる。
本発明は、上記ワイヤーソー用ローラの芯材と、この芯材の外周面に装着されるウレタン系樹脂製の円筒状外層体とを備えるワイヤーソー用ローラを含む。上記芯材は、中芯と外筒とが異なる線膨張係数を有し、加熱又は冷却をしながら中芯に外筒を外挿することによって中芯に外筒を外挿し、その後常温に戻すことで確実に固定することができる。そのため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着することで、容易かつ確実に当該ワイヤーソー用ローラを形成することができる。また、当該ワイヤーソー用ローラの芯材は、加熱又は冷却によって中芯から外筒を離脱することができる。このため、当該ワイヤーソー用ローラをリサイクルするにあたって、中芯から外筒を離脱することで円筒状外層体を離脱することができる。そして、この外筒が離脱された中芯に、例えば新たな円筒状外層体が装着された外筒を外挿することによって、当該ワイヤーソー用ローラは、芯材の中芯を有効にリサイクルすることができる。さらに、当該ワイヤーソー用ローラは、芯材の中芯から外筒を離脱できるので、リサイクルに際して、従来重量物である芯材全体で行っていた各種工程のうち一部の作業を、比較的に軽量な外筒のみで行うことができ、作業性の向上が図られ、さらにはリサイクルの各種工程間での輸送の手間やコスト等の低減が図られる。また、円筒状外層体がウレタン系樹脂製であるため、この円筒状外層体にワイヤー溝を形成することで、セラミックス製の円筒状外層体を用いた場合に比べて、加工が容易であり、また、ワイヤーの寿命も長くすることができるため、当該ワイヤーソー用ローラは、ウエハ等の加工コストを低減することが可能である。
また、上記課題を解決するためになされた発明は、
略円筒状の外筒の外周面にウレタン系樹脂製の円筒状外層体を装着する工程、及び
加熱又は冷却によって上記外筒を略円柱状で外筒と異なる線膨張係数を有する中芯に外挿する工程
を備えるワイヤーソー用ローラの製造方法である。
当該ワイヤーソー用ローラの製造方法で製造されたワイヤーソー用ローラにあっては、芯材を構成する中芯と外筒とが異なる線膨張係数を有し、加熱又は冷却をしながら中芯に外筒を外挿することによって中芯に外筒を外挿し、その後常温に戻すことで確実に固定することができる。そのため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着することで、容易かつ確実にワイヤーソー用ローラを形成することができる。また、このワイヤーソー用ローラの芯材は、加熱又は冷却によって中芯から外筒を離脱することができる。このため、ワイヤーソー用ローラをリサイクルするにあたって、中芯から外筒を離脱することで円筒状外層体を離脱することができる。そして、この外筒が離脱された中芯に、例えば新たな円筒状外層体が装着された外筒を外挿することによって、芯材の中芯を有効にリサイクルすることができる。さらに、このワイヤーソー用ローラは、芯材の中芯から外筒を離脱できるので、リサイクルに際して、従来重量物である芯材全体で行っていた各種工程のうち一部の作業を、比較的に軽量な外筒のみで行うことができ、作業性の向上が図られ、さらにはリサイクルの各種工程間での輸送の手間やコスト等の低減が図られる。また、当該ワイヤーソー用ローラの製造方法は、円筒状外層体を外筒に装着した後で中芯に外筒を外挿することによって、重量物である中芯の搬送の低減、表面処理等の省略が可能となるため、ワイヤーソー用ローラの製造コストを低減することができる。
さらに、上記課題を解決するためになされた発明は、
略円柱状の芯材の外周面に、ウレタン系樹脂製の円筒状外層体を装着したワイヤーソー用ローラをリサイクルするワイヤーソー用ローラのリサイクル方法であって、
上記芯材が、略円柱状の中芯と、上記中芯の外周面に外挿される略円筒状の外筒とを備え、上記中芯と上記外筒とが異なる線膨張係数を有し、
リサイクル対象である上記芯材から、円筒状外層体が装着されている外筒を離脱する工程、及び
上記外筒が離脱された芯材に、新しい円筒状外層体が装着された外筒を外挿する工程
を備えるワイヤーソー用ローラのリサイクル方法である。
当該ワイヤーソー用ローラのリサイクル方法によってリサイクルされたワイヤーソー用ローラにあっては、芯材を構成する中芯と外筒とが異なる線膨張係数を有し、加熱又は冷却をしながら中芯に外筒を外挿することによって中芯に外筒を外挿し、その後常温に戻すことで確実に固定することができる。そのため、外筒の外周面に円筒状外層体を装着することで、容易かつ確実にワイヤーソー用ローラを形成することができる。また、このワイヤーソー用ローラの芯材は、加熱又は冷却によって中芯から外筒を離脱することができる。そのため、外筒を中芯から離脱させることで円筒状外層体を容易かつ確実に離脱することができ、従来重量物である芯材全体で行っていた各種工程のうち一部の作業を、比較的に軽量な外筒のみで行うことができ、作業性の向上が図られ、さらにはリサイクルの各種工程間での輸送の手間やコスト等の低減が図られる。また、外筒から円筒状外層体を離脱して再利用する処理も芯材全体に対して行う場合に比べて低コストで実施することができる。さらに、ワイヤーソー用ローラの使用現場で交換用の円筒状外層体を装着した外筒を予めストックしておくことで、円筒状外層体を即時新しいものに交換することができ、ワイヤーソーの稼働率を向上させることができる。このストックは高価な中芯を含まないため、低コストで配備することができる。
以上説明したように、本発明のワイヤーソー用ローラの芯材は、ワイヤーソー用ローラに用いることによって、交換が必要なワイヤー溝を有する円筒状外層体を容易かつ確実に離脱可能とすることができ、容易かつ低コストにワイヤーソー用ローラをリサイクルすることを可能とする。
本発明のワイヤーソー用ローラの芯材を示す図である。 (a)は図1のワイヤーソー用ローラの芯材の模式的断面図であり、(b)は図1のワイヤーソー用ローラの芯材を中心軸方向から見た模式的平面図である。 本発明のワイヤーソー用ローラを示す図である。 本発明のワイヤーソー用ローラの製造方法のフローチャートである。 図4の製造方法において、外挿工程の前の中芯、外筒及び円筒状外層体(外挿体)の斜視図である。 本発明のワイヤーソー用ローラを備えたワイヤーソー切断装置(ワイヤーソーにおけるワーク切断機構の部分)を示す斜視図である。 本発明のワイヤーソー用ローラのリサイクル方法のフローチャートである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳説する。
<ワイヤーソー用ローラの芯材>
図1及び図2で示す本実施形態のワイヤーソー用ローラの芯材1は、略円柱状の中芯2と、この中芯2の外周面に外挿される円筒状の外筒3とを備える。
上記中芯2は、中空の円柱形状を有し、上記外筒3よりも小さい線膨張係数を有する。中芯2は、上記中芯2と上記外筒3とを周方向に固定する位置決め手段として、外周面上に突出し中心軸と平行に長手方向に形成されたキー部2aを有する。また、一方の端面(基準面2b)は中心軸と垂直で、外筒3の外挿時に外筒3の一方の端面と面一となるように形成されている。
上記中芯2の外径は、40mm以上495mm以下とすることが好ましい。また、上記中芯2の中心軸方向長さは200mm以上1200mm以下が好ましい。
上記中芯2のキー部2aは、中芯の中心軸方向長さと同一に形成されており、その幅(円周方向長さ)は、10mm以上100mm以下が好ましい。また、キー部2aの高さ(半径方向長さ)は、5mm以上31mm以下が好ましい。キー部2aの幅又は高さが上記範囲未満の場合、中芯2と外筒3との位置決めが十分にできないおそれがある。逆に、キー部2aの幅又は高さが上記範囲を超える場合、このキー部2aと嵌合されるキー溝3aの幅又は深さが大きくなり、外筒3のキー溝3a形成部の厚みが薄くなって強度が低下するおそれがある。
また、上記中芯2の両端には、中心軸方向外方に突出し、ウレタン系樹脂製の円筒状外層体のワイヤー溝加工用治具と接続される突出部4が設けられている。この突出部4をワイヤー溝加工用の回転装置の治具と接続固定することで、中芯2を回転させることができる。これにより、中芯2に外筒3及び円筒状外層体を外挿した状態で上記円筒状外層体に切削装置等を用いてワイヤー溝加工を行うことができる。
上記中芯2の線膨張係数としては、10×10−6−1以上15×10−6−1以下が好ましく、10×10−6−1以上12.5×10−6−1以下がさらに好ましい。線膨張係数が上記範囲未満の場合、金属で中芯2を形成することが困難となり、中芯2の製造コストが高くなるおそれがある。逆に、線膨張係数が上記範囲を超える場合、外筒3との線膨張係数の差異が小さくなって、後述するような外筒3の中芯2への加熱外挿ができなくなる可能性がある。
上記中芯2の材料としては、ワークの加工・切断時にかかる応力に耐えうると共に、回転による振れ精度を十分確保することができる程度の剛性を有するものである限り特に限定されものではないが、鉄又は鋼が好ましく、鋼としては、例えば、炭素鋼、クロム鋼、モリブデン鋼、ステンレス等を挙げることができる。これらの中でも、線膨張係数とコストの観点から、鉄が特に好ましい。なお、中芯2の形成方法としては、特に限定されず、鋳造、鍛造、半溶融鍛造等の公知の方法を採用することができる。
上記外筒3は、上記中芯2の外周面に外挿される略円筒状の部材であり、上記中芯2よりも大きい線膨張係数を有する。外筒3は、中芯2と外筒3とを周方向に固定する位置決め手段として、上記キー部2aが嵌合されるキー溝3aを内周部に有する。また、一方の端面(基準面3b)は中心軸と垂直で、中芯2への外挿時に中芯2の基準面2aと面一となるように形成されている。
上記外筒3の内径は、39.5mm以上494.5mm以下が好ましく、中芯2との締め代は、0.1mm以上0.5mm以下が好ましい。
上記外筒3の厚みは、特に限定されないが、5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。厚みが上記範囲未満の場合、ワーク切断時に外筒3が変形するおそれがある。また、上記キー溝3aは、上記中芯2のキー部2aが嵌合できるような形状に形成されている。具体的には、キー溝3aの幅(円周方向長さ)は、キー部2aの幅(円周方向長さ)に対して0.02mm以上0.1mm以下大きいことが好ましい。キー溝3aの深さ(半径方向長さ)は、キー部2aの高さ(半径方向長さ)に対して0.2mm以上0.3mm以下大きいことが好ましい。
上記外筒3の線膨張係数としては、15×10−6−1以上25×10−6−1以下が好ましく、20×10−6−1以上25×10−6−1以下がさらに好ましい。線膨張係数が上記範囲未満の場合、中芯2との線膨張係数の差異が小さくなって、後述するような外筒3の中芯2への加熱外挿ができなくなる可能性がある。逆に、線膨張係数が上記範囲を超える場合、加熱時の変形が大きくなって、嵌合作業が困難になり、また、位置決めの精度が低下するおそれがある。
上記外筒3の材料としては、上記中芯2と同様に、ワークの加工・切断時にかかる応力に耐えうると共に、回転による振れ精度を十分確保することができる程度の剛性を有するものである限り特に限定されものではないが、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることによって、外筒3の材料との線膨張係数差を確保することができ、また外筒3の加工コストを低減することができる。なお、外筒3の形成方法としては、特に限定されず、鋳造、鍛造、半溶融鍛造等の公知の方法を採用することができる。
以下、中芯2への外筒3の外挿方法について説明する。まず、中芯2の外径及び外筒3の内径とのクリアランスが0.2mm以上0.5mm以下となるまで、中芯2及び外筒3をオーブンを用いて加熱する。このクリアランスが上記範囲となったところで、外筒3を中芯2の外周面に、キー部2aがキー溝3aに嵌合するように外挿する。次に、外周3の基準面3aが、中芯2の基準面3aと面一となる位置に外筒3の位置を調節する。その後、中芯2と外筒3の温度を室温(20℃程度)とすることで、外筒3の内径が縮径して、半径方向に固定され、当該ワイヤーソー用ローラの芯材1を得ることができる。
<ワイヤーソー用ローラ>
図3に示すワイヤーソー用ローラ100は、上記構成からなる芯材101と、上記芯材101の外周面に装着されるウレタン系樹脂製の円筒状外層体104とを備えている。上記芯材101としては、上述した当該ワイヤーソー用ローラの芯材1を用いることができ、略円柱状の中芯102と、この中芯102の外周面に外挿される略円筒状の外筒103とを有し、この中芯102と上記外筒103とが、上述した外挿方法により外挿され固定されている。
上記円筒状外層体104は、図3に示すように、ワイヤー溝105及び仕切壁106を備えている。そして、この円筒状外層体104は、ウレタン系樹脂によって一体的に形成されている。なお、当該ワイヤーソー用ローラ100は、上記のように円筒状外層体104がウレタン系樹脂からなるので、ワイヤーソーの運転時のワイヤーによる円筒状外層体104(ワイヤー溝105)の摩耗を低減することができる。また、ワイヤーの摩耗も低減することができる。
円筒状外層体104の径方向の厚み(肉厚)は、強度保持及び製造コスト低減の観点から、室温状態において、例えば1mm以上15mm以下とすることが好ましく、1.5mm以上3mm以下とすることがより好ましい。
上記円筒状外層体104の材料であるウレタン系樹脂としては、公知のものを使用することができる。ウレタン系樹脂の製造方法としては、プレポリマー法、擬プレポリマー法、ワンショット法、擬ワンショット法等が挙げられるが、プレポリマー法が最も一般的である。プレポリマー法においては、典型的に、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを約50〜150℃で反応させることによってウレタンプレポリマーを合成し、このウレタンプレポリマー及び適当量の硬化剤(並びに他の任意成分)を約50〜150℃で加熱し反応・硬化させることによって、ウレタン系樹脂を製造することができる。ウレタン系樹脂は、所望の形状を有する金型に液状の原料(ウレタンプレポリマー及び硬化剤等)を注入し、加熱・硬化させることによって成形することができる。
ウレタン系樹脂を製造する際において、ポリオール化合物の水酸基に対するイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル比は、1.0以上とすることが好ましい。ポリオール化合物の水酸基に対するイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比率(NCO/OH)が1.0以上となるようにイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させることによって、ワイヤーソー用ローラの円筒状外層体としての使用に好適な弾性及び耐摩耗性を有するウレタン系樹脂を得ることができる。ウレタン系樹脂の表面硬度は、JIS−A硬度(JIS−K6253に準拠して20℃で測定)において、80以上であることが好ましい。表面硬度が高いウレタン系樹脂で円筒状外層体104を形成することによって、後述するワイヤー溝105の間の仕切壁106の剛性をさらに高めることができ、結果として、ワークの切断面が波打つことがなくなり、ワイヤーソーによる加工品の歩留まりを向上させることができる。
ウレタン系樹脂の合成に用いられるイソシアネート化合物の例としては、
フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−トリジンジイソシアネート(TODI)、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の芳香族ジイソシアネート;
シクロペンタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
これらのイソシアネート化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ウレタン系樹脂の合成に用いられるポリオール化合物の例としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。これらのポリオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの単独又は共重合体;テトラメチレンエーテルグリコールを含んでなる単独又は共重合体;ヒドロキシル基に対して炭素数2〜4のアルキレンオキサイド1〜5モルが付加した付加体等のビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体が挙げられる。
ポリエステル系ポリオールは、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はこれらのジアルキルエステル;アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はこれらのジアルキルエステル等から選択された少なくとも1種のジカルボン酸又はこれらのジアルキルエステルと、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の炭素数2〜10のアルカンジオール、ジエチレングリコール等の炭素数2〜10のジ又はトリアルカンジオール等から選択された少なくとも1種のアルカンジオール成分との反応により得ることができる。
アジピン酸をジカルボン酸成分のベースとしたポリエステル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリジエチレンアジぺート(PDA)、ポリプロピレンアジペート(PPA)、ポリテトラメチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)、これらの成分を組み合わせた共重合体等が挙げられる。なお、ポリエステル系ポリオールには、ラクトン類(ε−カプワイヤーソー用ローラクトン、δ−バレワイヤーソー用ローラクトン、β−メチル−δ−バレワイヤーソー用ローラクトン等の炭素数3〜14のラクトン)の単独重合体又は共重合体も含まれる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、アルカンポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール等のポリオール、ジメチルカーボネート等の短鎖ジアルキルカーボネートとの反応により得られるポリカーボネートジオール等が挙げられる。ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネート(PHC)等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系ポリオールとしては、例えば、ポリブタンジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ひまし油変性ポリオール、ブタジエンとスチレン若しくはアクリロニトリルとの共重合体の末端に水酸基を導入したもの等が挙げられる。
ポリオール化合物の分子量は、数平均分子量400以上10,000以下、好ましくは500以上8,000以下、さらに好ましくは550以上5,000以下である。また、ポリオール化合物は、結晶性であっても非結晶性であってもよい。
ウレタン系樹脂の合成に用いられる硬化剤としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール,ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量400までのポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、分子量400までのポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、分子量400までのポリブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ヒマシ油、4,4’−ジオキシジフェニルプロパン、ジオキシメチルヒロドキノン等の低分子量グリコール(上記のポリエステル系ポリオールと重複しない化合物);
エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、ポリオキシポロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;
4,4’−メチレン−ビス−2−メチルシクロヘキシルアミン等の脂環族ポリアミン;
1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジアミノトルエン、1,5−ナフタレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1−メチル−3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5’−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(オルト−クロロアニリン)、4,4’−メチレン−ビス―(2,3−ジクロロアニリン)、トリメチレングリコールジ−パラ−アミノベンゾエート、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス−(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、クロロアニリン変性ジクロロジアミノジフェニルメタン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、メチレンジアニリン/塩化ナトリウム錯体、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゼン等の芳香族ポリアミン等が挙げられる。
上記円筒状外層体104の材料であるウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ポリオール化合物及び1,5−ナフタレンジイソシアネート化合物から得られたプレポリマーと、硬化剤とを反応させることによって得られたウレタン系樹脂が最も好ましい。このような組成のウレタン系樹脂は、格段に高い耐摩耗性及び耐荷重性を有し、耐熱性、耐油性等のその他の諸特性も優れている。従って、このようなウレタン系樹脂から形成された円筒状外層体104を用いることにより、ワイヤー溝105の間の仕切壁106の耐久性、ひいては円筒状外層体104の寿命をさらに高め、長期間にわたって加工品の歩留まりを高いレベルに維持することができる。
上記円筒状外層体104は、上記材料を遠心成形によって円柱状に形成し、その後芯材101の外筒103に外嵌装着してもよいし、外筒103の外側に金型を同心で配置してこの間に材料を注入し、外筒103の外周面に直接成形することによって装着させてもよい。これらの装着方法については、後のワイヤーソー用ローラの製造方法において詳述する。
上記円筒状外層体104はポリウレタン系樹脂で形成されているため、その線膨張係数が上記外筒103の線膨張係数よりも大きい。そして円筒状外層体104は室温よりも高温で形成されるため、室温状態において、上記円筒状外層体104の内径が上記外筒103の外径よりも小さくなろうとする縮径力が作用する。具体的には、上記円筒状外層体104の線膨張係数は、1.1×10−4−1である。室温状態における円筒状外層体104の内径と外筒103の外径との差は、−0.3mm以上−0.75mm以下(スリーブ厚み1.5〜3.0mmを想定)とすることが好ましく、−0.45mm以上−0.65mm以下(スリーブ厚み2.0〜2.5mmを想定)とすることがより好ましい。
上記ワイヤー溝105は、上記外筒103の外周面に上記円筒状外層体104が装着された後にその外周面に刻設され、上記円筒状外層体104の外周面において周方向に沿って形成された環状溝から構成されている。ワイヤー溝105の断面形状は、ワイヤーソーの運転中においてもワイヤーが安定して配置されうる限り特に限定されるものではない。ワイヤー溝105の断面形状の一般的な例としては、底部から上方の開口部に向かう方向で拡張しており、底部が半円状又は所定角度を有する多段状に形成されている断面形状を挙げることができる。またワイヤー溝105の底面周辺及び上部において、開口角度に変化を設けてもよい。
上記円筒状外層体104の外周面には、中心軸方向に複数の上記ワイヤー溝105が形成され、この複数のワイヤー溝105は本実施形態においては同一ピッチで配設されている。このワイヤー溝105のピッチPは、ワークの切断・加工により製造する加工品の厚みの要求次第で変化させることができる。このように外周面に複数のワイヤー溝105を有する円筒状外層体104は、後述する遠心金型ドラムを用いて成形した場合には、内部に包含される微細気泡の密度が半径方向外方に向かう方向で漸進的に疎になるように形成されているため、ウレタン系樹脂が本来的に有する高度な耐摩耗性が確実に発揮され、結果として、後述する仕切壁106の剛性低下が抑制され、加工品の歩留まりも向上する。このような仕切壁の剛性低下の抑制は、ウレタン系樹脂の高度な耐摩耗性の発現によって、ワイヤー溝が溝底方向に向かう方向で均等に摩耗することに起因するものと考えられる。従って、このような構造を有する円筒状外層体104の外周面に形成されたワイヤー溝105のピッチPは、100μm以上1000μm以下の程度にまで小さくすることが可能である。このように、加工品の良好な歩留まりを保ちつつワイヤー溝105のピッチPを極めて小さい値にまで短小化することで、近年における太陽電池用のシリコンウエハに代表されるように加工品の薄膜化傾向に十分対応することができる。なお、ワイヤー溝105の底部から開口部までの垂直長さ(溝の深さ)は、特に限定されないが、例えば50μm以上400μm以下とすることができる。
仕切壁106は、ワイヤーソー用ローラの円筒状外層体104の外周面において周方向に形成された複数のワイヤー溝105を隔てる壁部である。仕切壁106は、ワイヤー溝105の各々にワイヤーが配置される際に、各ワイヤーの両側においてワイヤーに接触し保持する。仕切壁106の側面形状は、ワイヤー溝105が形成されることで規定される。また、仕切壁106の厚みは、形成されるワイヤー溝105のピッチP及び同溝の形成角度によって規定される。円筒状外層体104は、上述のように、遠心金型ドラムを用いて成形した場合には内部に包含される微細気泡の密度が半径方向外方に向かう方向で漸進的に疎になるように形成されているため、仕切壁106の剛性の低下が防止され、加工品の厚みのバラツキを抑制することができる。
このように、上記円筒状外層体104は、ウレタン系樹脂によって形成され、周方向に形成された複数のワイヤー溝105を外周面に有している。この円筒状外層体104を備えたワイヤーソー用ローラにあっては、ワイヤーソー運転時の耐摩耗性及びクーラントに対する耐膨潤性を付与することで、仕切壁106の剛性を長期間にわたって高いレベルに保つことができ、得られるシリコンウエハの厚みのバラツキを抑制することができる。
<ワイヤーソー用ローラの製造方法>
本発明のワイヤーソー用ローラは上記構成からなるが、次に、このワイヤーソー用ローラの製造方法について説明する。
当該ワイヤーソー用ローラの製造方法は、図4に示すように、まず略円筒状の外筒103とこの外筒103の外周面に装着されたウレタン系樹脂製の円筒状外層体104とを有する外挿体110を形成する外挿体形成工程S10を有する。また当該ワイヤーソー用ローラの製造方法は、上記円筒状外層体104の外周面にワイヤー溝105を形成するワイヤー溝形成工程S20及び加熱によって上記外筒103を略円柱状で線膨張係数が外筒よりも小さい中芯102に外挿する外挿工程S30をさらに有する。
上記外挿体形成工程S10は、外筒103にウレタン系樹脂製の円筒状外層体104を装着した外挿体110を形成する工程である。この外挿体形成工程S10としては、円筒状外層体104を形成してから外筒103に外嵌する方法(外嵌方法)、又は外筒103の外周面に円筒状外層体104を積層する方法(積層方法)を用いることができる。
(外嵌方法)
上記外挿体形成工程S10における外嵌方法は、円筒状外層体104を成形する成形工程と外筒103の外周面に成形した円筒状外層体104を外嵌する外嵌工程とを有する。
外嵌方法における上記成形工程は、遠心金型ドラムを用いて円筒状外層体104を遠心成形する工程である。上記遠心金型ドラムは、高速で回転可能な円筒体である。遠心金型ドラムの原理は、ドラム内部に成形原料を入れ、次いでドラムを高速で回転させることによって、成形原料に重力効果Gを与えてドラムの内壁方向に押し付けると共に、成形原料の内部に包含される気体(微細気泡)をドラムの中心軸方向(空気面)に追いやり、微細気泡を含まない成形体を製造するというものである。遠心金型ドラムの寸法は、特に限定されず、所望の成形体の大きさに合わせて設計される。
上記成形工程としては、具体的には、例えば以下の工程を用いることができる。まず、イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させることによって得られたウレタンプレポリマーに適当な硬化剤を加え、空気が巻き込まれないように攪拌器(「アジター」と称される。)によって約30〜120秒間、混合・攪拌する。次いで、遠心金型ドラムの内面に適宜離型剤を塗布し、金型温度を約50〜150℃、ドラムの回転数を100〜1,000rpmに設定して、ウレタンプレポリマー及び硬化剤を混合した注型液を遠心金型ドラムに入れる。遠心金型ドラムにこの注型液を全て入れた時点で、ドラムの回転数を約500〜5,000rpm(典型的には約900〜3,500rpm)に上昇させて約2〜10分間回転させる。この時のドラムの回転は、気泡の追いやり効果を最大化する観点から、好ましくは約10以上3,000以下の重力効果Gを生じるように行われる。次いで、ドラムの回転数を約200〜500rpmに下降させて約60〜120分間回転させる。さらに遠心金型ドラムから脱型し、約50〜150℃で約2〜60時間のアフターキュアを行うことによって、ウレタン系樹脂の円筒状成形体を得ることができる。上記の重力効果Gは、数式G=F/W=r(2πN/60)/g(F=遠心力(kg);W=重量(kg);r=半径(cm);N=回転数(rpm);g=重力加速度(980cm/sec))によって算出される無単位の値である。
外嵌方法における上記外嵌工程は、上記成形工程により円筒状外層体104を形成した後、外筒103の外周面に接着剤、粘着テープ等を塗布又は貼着し、円筒状外層体104を外嵌する工程である。この時に円筒状外層体104を温めるとよい。円筒状外層体104を温めることにより、円筒状外層体104の内径が外筒103の外径よりも大きくなりやすく、この状態で円筒状外層体104を外筒103に外嵌装着することで、作業をスムーズ且つ容易に行うことができ、また、歪の小さい状態で円筒状外層体104を外嵌することができる。この円筒状外層体104の加熱時には外筒103を加熱してもよく、この加熱源としては、例えばシリコンラバーヒーターやオーブンを用いることができる。また、円筒状外層体104の線膨張係数は外筒103の線膨張係数よりも大きいため、室温状態において、円筒状外層体104の内径が外筒103の外径よりも小さくなろうとする縮径力が発生する。これにより、円筒状外層体104を外筒103に隙間なく強固に接着することができる。
(積層方法)
上記外挿体形成工程S10における積層方法は、例えば以下の工程を用いることができる。まず、ウレタンプレポリマーに架橋剤を加え、アジターによって約30〜120秒間、混合・攪拌する。次いで、外筒103の外周面に接着剤等を塗布して接着処理を施し、外筒103の外側に離型処理を施した円筒状金型を設置し、この金型を約1〜3時間予熱する。そして、上記ウレタンプレポリマー及び架橋剤を混合した注型液を外筒103と金型との間に注入し、温度を約100〜150℃として、約1〜3時間の型内架橋を行う。さらに金型から脱型し、ギアオーブンを用いて約100〜150℃で10〜30時間のポストキュアーを行った後、室温で1〜3週間の熟成を行うことによって、外筒103の外周面に積層形成されたウレタン系樹脂の円筒状成形体を得ることができる。この積層方法にて円筒状外層体104を形成した場合には、外筒103への外嵌作業が不要であるため、外嵌方法と比べて工程が簡略化できると共に、歪みの少ない円筒状外層体104を形成することができる。
上記ワイヤー溝形成工程S20は、上記のように外筒103の外周面に外嵌装着又は積層形成された円筒状外層体104の外周面にワイヤー溝105を、NC旋盤や研削機等の加工機によって形成する工程である。上記外挿体形成工程S10における外嵌方法又は積層方法によって形成される円筒状外層体104はいずれも歪が小さいため、狙いの寸法交差範囲内でワイヤー溝を的確且つ容易に形成することができる。さらに、上記外嵌方法においては円筒状外層体104の内径が外筒103の外径よりも小さくなろうとする縮径力が発生しており、一方、上記積層方法においては円筒状外層体104が接着剤等によって外筒103に強固に結合しているため、このワイヤー溝105の形成に際して円筒状外層体104が外筒103の外周面を滑ることを的確に防止でき、正確にワイヤー溝105を形成することができる。
上記外挿工程S30は、ワイヤー溝105を形成した円筒状外層体104及び外筒103からなる外挿体110を中芯102に外挿し固定する工程であり、この外挿方法は、上記本発明のワイヤーソー用ローラの芯材の実施形態において上述した手順を用いて、中芯102に外筒103を外挿し、固定することができる。
<ワイヤーソー用ローラの使用方法>
次に、上記ワイヤーソー用ローラの使用方法について説明する。
複数(図中3つを例示)のワイヤーソー用ローラ100を水平配置し、図6に示すように、ワイヤーソー用ローラ100の円筒状外層体104の外周面に設けられた複数のワイヤー溝105にワイヤー108を架け渡すことによって、ワイヤーソー切断装置107(ワイヤーソーにおけるワーク切断機構の部分)が構成される。このワイヤーソー切断装置107の運転においては、上記ワイヤー108を一方向又は双方向に走行させて、これにワーク(図中ではシリコンインゴット109を例示)を圧接すると共に、ワイヤー108上にスラリー(砥粒を含むクーラント溶液)を供給することによって、ワークを切断することができる。なお、当該ワイヤーソー用ローラ100は、中芯102がキー部を有し、外筒103がこのキー部が嵌合するキー溝を有しているため、外筒103が中芯102の表面を滑ることがない。また、上記外挿体形成工程において外嵌方法を用いてローラを製造した場合には円筒状外層体104の内径が外筒103の外径よりも小さくなろうとする縮径力が発生しており、一方、上記外挿体形成工程において積層方法を用いて製造した場合には円筒状外層体104が接着剤等によって外筒103に強固に結合しているため、上記ワーク切断作業等において円筒状外層体104は外筒103の表面を滑ることがない。
ワイヤー108としては、ワークの切断が可能である限り特に限定されるものではないが、一般的に、ピアノ線と称される鋼線が用いられる。また、ワイヤー108として、ダイヤモンドの砥粒がピアノ線の外周面に電着もしくはボンディングされているものを用いてもよい。ワイヤー108の直径としては、使用する円筒状外層体104のワイヤー溝105に安定して配置可能で、かつ断線のおそれがない限り特に限定されるものではないが、例えば50μm以上300μm以下とすることができる。砥粒の例としては、SiC、WC、ダイヤモンド、Al3、等が挙げられる。クーラントとしては、油性又は水性のものを用いることができる。油性クーラントの例としては、鉱物油が挙げられる。また水性クーラントの例としては、水及びジエチレングリコール若しくはプロピレングリコールの混合物が挙げられる。ワイヤー108としてピアノ線を用いる場合には、スラリー(砥粒を含むクーラント溶液)を用いることができる。また、ワイヤー108としてダイヤモンドの砥粒が固定されたピアノ線を用いる場合には、水系クーラントのみを用いることができる。
ワイヤーソー切断装置107によって切断・加工するためのワークとしては、半導体用インゴット、代表的にはシリコンインゴットが挙げられる。また、シリコンインゴットから得られる加工品の例としては、半導体用シリコンウエハ、太陽電池用シリコンウエハ等が挙げられる。太陽電池用シリコンウエハとしては、一般的に約0.15〜0.30mmの厚みを有するものが要求されるため、この厚みにワイヤー108の直径及び砥粒の大きさを加えた程度のピッチを有する円筒状外層体104を備えたワイヤーソー切断装置107が必要とされる。上記外挿体形成工程において外嵌方法を用いてローラを製造した場合には、当該円筒状外層体104は、内部に包含される微細気泡の密度が半径方向外方に向かう方向で漸進的に疎になるように構成されるため、ワイヤー溝のピッチを極めて小さくした場合でも、仕切壁の剛性低下及びワイヤーの脱線を効果的に抑制することが可能であり、太陽電池用シリコンウエハに代表される加工物の薄膜化傾向に十分対応することができる。
<ワイヤーソー用ローラのリサイクル方法>
次に、上記ワイヤーソー用ローラをリサイクルする方法について説明するが、上述のワイヤーソー用ローラの製造方法と共通する工程については、その説明を省略することがある。なお、リサイクル対象であるワイヤーソー用ローラ(以下、要交換ローラということがある)は、ワイヤー溝のピッチが交差範囲外になったワイヤーソー用ローラの他、ワイヤー溝のピッチは交差範囲であるものの長期間にわたって使用されたワイヤーソー用ローラも含めることも可能である。
本実施形態のワイヤーソー用ローラのリサイクル方法は、図7に示すように、芯材101が略円柱状の中芯102と、上記中芯102の外周面に外挿される略円筒状の外筒103とを備え、上記中芯102と上記外筒103とが異なる線膨張係数を有し、リサイクル対象である要交換ワイヤーソー用ローラの中芯102から、円筒状外層体104が装着されている外筒103を離脱する離脱工程S10、及び上記外筒103が離脱された芯材102に、新しい円筒状外層体104が装着された外筒103を外挿して固定する外挿工程S20を備える。
上記離脱工程S10は、交換が必要な円筒状外層体104が装着された外筒103(外挿体110)を、外筒103及び中芯102を加熱することによって、外筒103の内径を中芯102の外径よりも大きくして、外筒103を中芯102より離脱する工程である。上記中芯102と上記外筒103とは、外筒103の縮径による圧力によって固定されているため、離脱後に比較的容易に再利用することが可能である。また、外挿工程S20は、上述した中芯102を外筒103に加熱して外挿する方法によって、新しい円筒状外層体102を有する外筒103(外挿体110)を中芯102に外挿する工程である。
当該ワイヤーソー用ローラの芯材は、上述のような構造を有することから、外筒に円筒状外層体を装着することでワイヤーソー用ローラを形成することができる。特に、外筒は中芯よりも大きい線膨張係数を有するので、加熱によって外筒の内径を中芯の外径よりも大きくして外筒を内径に外挿し、その後常温に冷ますことで中芯と外筒とを固定することができる。そのため、この外筒の外周面に円筒状外層体を装着することで、容易かつ確実にワイヤーソー用ローラを形成することができ、さらに、円筒状外層体の円周面全体にワイヤー掛装面を形成することができる。また、当該ワイヤーソー用ローラは、加熱によって外筒と中芯とが着脱可能であるため、上述のように中芯から外筒を離脱することができる。このため、当該ワイヤーソー用ローラをリサイクルするにあたって、中芯から外筒を離脱することで円筒状外層体を離脱することができる。そして、この外筒が離脱された中芯に、新たな円筒状外層体が装着された外筒(外挿体)を外挿し固定することによって、当該ワイヤーソー用ローラの中芯を有効にリサイクルすることができる。さらに、当該ワイヤーソー用ローラは、中芯から外筒を離脱できるので、リサイクルに際して、従来重量物である芯材全体で行っていた各種工程のうち一部の作業を、比較的に軽量な外筒のみで行うことができ、円筒状外層体の離脱作業等における作業性の向上が図られる。さらには、交換が必要な円筒状外層体と外筒とをリサイクル工場等に輸送すれば足りるため、リサイクルの各種工程間での輸送の手間やコスト等の低減が図られる。そして、当該ワイヤーソー用ローラは、中芯及び外筒のそれぞれの端面を基準として位置を合わせることによって、中芯と外筒との中心軸方向の位置を精度よく決めることができる。また、中芯のキー部と外筒のキー溝とを嵌合させることによって、中芯と外筒との周方向の位置も精度よく保たれ、さらに、周方向にも高い強度で固定される。そのため、高精度なワイヤーソー加工を行うことができる。
また、当該ワイヤーソー用ローラの製造方法は、外挿体形成工程で円筒状外層体を外筒に装着した後で上記ワイヤー溝形成工程を行い、その後上記外挿工程で中芯に外筒を外挿し固定することによって、ワイヤー溝加工時に重量物である中芯を搬送等する必要がなくなるため、ワイヤーソー用ローラの製造コストを低減することができる。
なお、当該ワイヤーソー用ローラの製造方法においては、外挿工程の後にワイヤー溝形成工程を実施することも可能である。このように、外挿体を中芯に外挿して固定した後にワイヤー溝の形成加工を行う場合は、ワイヤー溝加工前のローラが芯材と芯材に装着された円筒状外層体とから成るため、従来のワイヤーソー用ローラに用いるワイヤー溝加工設備をそのまま利用することができる。
また、当該ワイヤーソー用ローラのリサイクル方法によれば、新しい外挿体をストックとして用意しておくことで、要交換ローラの外挿体が回収された際にすぐに新しい外挿体をこのローラに装着することができるため、ワイヤーソー用ローラのリサイクルをより迅速化し、ワイヤーソーの稼働率を向上させることができる。
<その他の実施形態>
本発明のワイヤーソー用ローラの芯材は、上述の実施形態に限定されるものではなく、以下のような実施形態とすることもできる。
上記実施形態において、中芯の線膨張係数が外筒の線膨張係数よりも大きくなるような材料の組み合わせも可能である。この場合、常温における中芯の外径が外筒の内径より大きくなるように形成する。この中芯及び外筒を冷却することで、中芯の外径が外筒の内径よりも縮径するため、中芯に外筒を外挿することができる。そして外挿した後に室温に戻すと、中芯の内径が拡径し、中芯の外周面が外筒に圧着されるため、中芯と外筒とを固定することができる。
また、上記実施形態において、中芯と外筒との位置決め手段として、中芯に設けたキー部及び外筒に設けたキー溝を用いたが、これ以外の位置決め手段を用いることも可能である。例えば、中芯の外周面に設けたキー溝と、外筒の内周面に設けられ、このキー溝に嵌合するキー部とからなる位置決め手段を用いることも可能である。
また、中芯と外筒との中心軸方向の相対位置を決定する方法も、中芯と外筒の端面を面一に揃えることに限られず、中心軸方向の相対位置を決定する位置決め手段を当該ワイヤーソー用ローラの芯材に適宜設けることができる。このような位置決め手段としては、例えば、外筒の一方の端部に設けられ、中芯が外筒の内側からこの端部を超えて中心軸方向外方に突出しないように制御するストッパー等を用いることができる。
以下、実施例によって当該発明をさらに具体的に説明するが、当該発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
以下の手順(1)〜(4)によってワイヤーソー用ローラを製作した。
(手順(1)円筒状外層体の形成)
ポリエステル系ポリオールであるポリエチレンアジペート(商品名:Vulkollan2000MM、住化バイエルウレタン株式会社製)1000gを100℃で4時間減圧乾燥したものと、1,5−ナフタレンジイソシアネート300gとを混合し、窒素雰囲気下で125℃に加熱してプレポリマーを合成した。このプレポリマーに、1,4−ブタンジオール70gを用いて60秒間混合攪拌し、注型液を調製した。次に、遠心金型ドラムを用意し、内面に離型剤を塗布し、金型温度が135℃となるように予熱した。次に、遠心金型ドラムを300rpmで回転させ、上記注型液の一部を遠心金型ドラムに投入し、遠心金型ドラムに蓋をした後、回転数を2,000rpmに設定した。このときの遠心効果Gを遠心金型ドラムの半径と回転数とから算出すると271.64であった。遠心金型ドラムの回転数を2,000rpmに設定してから5分後、回転数を300rpmに設定して90分間回転させた。その後、得られたウレタン系樹脂を金型から離型し、120℃で24時間ポストキュアーすることで、外径211.4mm、内径207.8mm、厚み1.8mmのウレタン系樹脂製の円筒状外層体を得た。
(手順(2)円筒状外層体の芯材外筒への外嵌)
20℃で外径209.9mm、厚み5.0mmであり、線膨張係数製が23.1×10−6−1のアルミニウム製の円筒状鋼材からなる外筒の外周面に、厚み0.15mmの両面テープ(商品名:1110、住友スリーエム株式会社製)を貼り付けた。次に、シリコンラバーヒーターを用いて、上記円筒状外層体を80℃に加温し、上記外筒に装着し、外挿体を得た。なお、円筒状外層体の温度は温度記録計(商品名:TDS−102、東京測定器株式会社製)で計測した。
(手順(3)ワイヤー溝の加工)
ワイヤーソー用ローラの中芯と同じサイズであり、20℃で外径210mm、線膨張係数12.1×10−6−1である鉄製の加工用中芯に、120℃に加熱し外径を210.38mmとした上記外筒を外挿した。このときの締め代は0.1mmである。この中芯に溝加工用治具を取り付け、研削砥石と円筒研削盤とを用いて、円筒状外層体のサラエ加工及びV溝加工(溝角度:40±5°、溝深さ:0.3±0.03mm、溝ピッチ:0.33±0.004mm、先端R:0.05±0.01mm)を施した。また、加工用中芯の基準端面から位置基準となるV溝までの距離を10±0.004mmとした。
(手順(4)外挿体の外挿)
上記ワイヤー溝加工を施した円筒状外層体を有する外筒からなる外挿体を、上記加工用中芯から加熱して離脱し、上記(3)と同様の焼嵌め方法を用いて、ワイヤーソー用ローラの中芯(20℃で外径210mm、線膨張係数12.1×10−6−1、鉄製)に外挿した。
<評価>
上記実施例で加工したV溝形状について、輪郭形状測定装置を用いて各パラメータを計測した。また、位置基準となるV溝の位置精度を専用の測定器で測定した。これらの計測は、ワイヤーソー用ローラの中芯に外挿し固定する前(加工用中芯に装着した状態)の外挿体と、外挿体をワイヤーソー用ローラの中芯に外挿し固定した芯材とを用いて行った。計測結果を表1に示す。
Figure 2013169635
表1に示す通り、ワイヤーソー用ローラの中芯に外挿する前後で各パラメータの公差には変化が無く、当該製造方法において高いワイヤー溝の形成精度を得ることができることがわかる。
本発明のワイヤーソー用ローラの芯材は、ワイヤーソー用ローラに用いることによって、交換が必要となるワイヤー溝を有する円筒状外層体を容易かつ確実に離脱することができ、容易かつ低コストにローラをリサイクルすることを可能とすると共に、芯材を構成する中芯及び外筒を十分な強度で固定することができる。従って、本発明は、例えば半導体用シリコンウエハ、太陽電池用シリコンウエハやLED基盤用サファイアウエハの製造のために好適に用いることができ、さらには電子写真用ワイヤーソー用ローラ、刃物カット用ワイヤーソー用ローラ等の広範な分野に適用することができる。
1 芯材
2 中芯
2a キー部
3 外筒
3a キー溝
4 突出部
100 ワイヤーソー用ローラ
101 芯材
102 中芯
103 外筒
104 円筒状外層体
105 ワイヤー溝
106 仕切壁
107 ワイヤーソー切断装置
108 ワイヤー
109 インゴット
110 外挿体
C 中心軸

Claims (8)

  1. 略円柱状の中芯と、
    上記中芯の外周面に外挿される略円筒状の外筒と
    を備え、
    上記中芯と上記外筒とが異なる線膨張係数を有するワイヤーソー用ローラの芯材。
  2. 上記中芯の線膨張係数が、上記外筒の線膨張係数よりも小さい請求項1に記載のワイヤーソー用ローラの芯材。
  3. 上記中芯の素材の主成分が鉄又は鋼、上記外筒の素材の主成分がアルミニウム又はアルミニウム合金である請求項2に記載のワイヤーソー用ローラの芯材。
  4. 上記中芯及び上記外筒が、中心軸と垂直に形成されている端面をそれぞれ有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤーソー用ローラの芯材。
  5. 上記中芯と上記外筒とを周方向に固定する位置決め手段を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤーソー用ローラの芯材。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたワイヤーソー用ローラの芯材と、
    上記芯材の外周面に装着されるウレタン系樹脂製の円筒状外層体と
    を備えるワイヤーソー用ローラ。
  7. 略円筒状の外筒の外周面にウレタン系樹脂製の円筒状外層体を装着する工程、及び
    加熱又は冷却によって上記外筒を略円柱状で外筒と異なる線膨張係数を有する中芯に外挿する工程
    を備えるワイヤーソー用ローラの製造方法。
  8. 略円柱状の芯材の外周面に、ウレタン系樹脂製の円筒状外層体を装着したワイヤーソー用ローラをリサイクルするワイヤーソー用ローラのリサイクル方法であって、
    上記芯材が、略円柱状の中芯と、上記中芯の外周面に外挿される略円筒状の外筒とを備え、上記中芯と上記外筒とが異なる線膨張係数を有し、
    リサイクル対象である上記芯材から、円筒状外層体が装着されている外筒を離脱する工程、及び
    上記外筒が離脱された芯材に、新しい円筒状外層体が装着された外筒を外挿する工程
    を備えるワイヤーソー用ローラのリサイクル方法。
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