JP6548353B2 - 高力ボルト摩擦接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦係数が接触圧に依存する摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造に関する。
従来、建築や土木の分野において、鋼構造物(建物や橋梁等)の骨組みを構成する鋼材どうしの接合構造として、高力ボルト等の締付け具で鋼材を締付け、この締め付けた圧縮力により生じる摩擦抵抗で鋼材どうしを接合する摩擦接合が一般的に利用されている。
一般的な摩擦接合では、母材(柱や梁、筋交いなど)や添板(スプライスプレート)、ガセットプレートなどの鋼材の接合面に以下のような加工を施して摩擦係数を確保している。すなわち、サンダーやグラインダーなどにより黒皮を除去した後に放置して赤錆を発生させるか、またはショットブラスト加工などにより接合面を粗くする方法が用いられている。
しかし、このような方法によって得られる接合面の摩擦係数は、比較的小さい上に安定した摩擦抵抗が確保し難いため、設計する上で安全側に捉えた低い値(例えば、浮き錆を除去した赤錆面の場合でμ=0.45、ブラスト処理面の場合でμ=0.45など)を採用せざるを得ず、合理的な設計が実現し難く、その解決が望まれている。
このような問題を解決するための一例として、特許文献1に記載の高力ボルト摩擦接合構造が知られている。この高力ボルト摩擦接合構造は、高力ボルトによって鋼材どうしを接合するに際し、接合部を構成する鋼材の接合面のうち少なくとも一方の接合面に複数の気孔を含むようにアルミ溶射処理等の金属溶射処理を施し、当該金属溶射層の気孔率を5%以上、30%以下としたものである。
このような高力ボルト摩擦接合構造によれば、金属溶射層が形成された一方の接合面と、他方の接合面間の摩擦力が増大され、摩擦抵抗を確実に高めて合理的な設計を実現することができる。これにより、例えば、高力ボルト等の締付け具の数量を減らすことができ、また、接合面の面積を小さくすることができるので、摩擦接合構造のコンパクト化が図れる。
また、前記問題を解決するための他の例として、特許文献2に記載の高力ボルト摩擦接合用スプライスプレートが知られている。これは、摩擦接合面に金属溶射による溶射層を形成した高力ボルト摩擦接合用スプライスプレートにおいて、溶射層のうち表面側に位置する表面側溶射層の気孔率が、前記表面側溶射層よりもスプライスプレート母材との界面側に位置する界面側溶射層の気孔率が大きいものである。
このような高力ボルト摩擦接合用スプライスプレートによれば、高力ボルト摩擦接合において、高い摩擦抵抗、具体的にはすべり係数(摩擦係数)0.7以上を合理的に安定して得ることができ、高力ボルト摩擦接合の接合強度及び寿命を高いレベルで安定させることができる。
ところで、前記特許文献1等に記載されているように、アルミ溶射処理のような、摩擦係数が接触圧に依存する摩擦面処理を接合面に施した高力ボルト摩擦接合構造では、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるとともに、従来のブラスト処理によるものに比して摩擦係数が高いことが知られている。
図10は、接触圧を38〜350N/mm2の範囲で変化させた場合の、接触圧に対するアルミ溶射をした際の摩擦係数を溶射方法ごとに示すグラフである。
測定結果において、プロット記号としては、溶射方法ごとに、アーク溶射法を白抜き四角(□)、プラズマ溶射法を白抜き菱形(◇)、ガスフレーム溶射法を白抜き三角(△)、高速フレーム溶射法を黒塗り菱形(◆)で示している。比較としてのブラスト処理を黒塗り丸(●)で示している。
図10に示すように、アルミ溶射処理を施したものは、明瞭な主すべりが観察されず、接触圧に摩擦係数が大きく依存し、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなる。
また、接触圧が低い範囲(38〜150N/mm2)では、ブラスト処理の摩擦係数が0.6程度となるのに対して、アルミ溶射処理の摩擦係数がμ=0.7〜1.0程度となる。特に、接触圧が38N/mm2の場合、アルミ溶射処理の摩擦係数がμ=0.91〜1.08となる。このように、アルミ溶射処理の摩擦係数が、ブラスト処理の摩擦係数よりも高くなり、従来の建築仕様での設計値である摩擦係数μ=0.45(図10中の破線)を大きく上回る高い値を示している。
一方、接触圧が350N/mm2と高い場合の摩擦係数は、アーク溶射法のみ0.51となり、従来の設計値である摩擦係数μ=0.45を上回っている。
また、添板を母材に摩擦接合によって接合する場合、添板厚が厚いほど、母材表面への接触圧分布領域が大きくなることも知られている。
図11は、高力ボルト摩擦接合構造の一例について、設計モデルを用いた弾塑性FEM解析を実施した場合の結果を示す。ここで、高力ボルトの軸を中心に摩擦接合部が軸対象となるように設計モデルを設定している。
添板厚(ts)は、12mm、16mm、22mmの3種類を設定し、ボルト張力は(N)は、F14T標準ボルト張力レベル、F10T標準ボルト張力レベルの2種類を設定した。
なお、F14T標準ボルト張力レベルとは、329kNであり、F10T標準ボルト張力レベルとは226kNである。
また、rはボルト孔の中心から接合面の外周縁までの距離、dは高力ボルトの軸径である。
図11に示すように、添板を母材に高力ボルトによって摩擦接合した場合、接触圧分布領域は、添板厚に依存し添板厚が厚いほど大きくなるのがわかる。また、ボルト張力が大きいほど、接触圧の最大値が大きくなるが、接触圧分布領域は、ボルト張力の大きさに影響を受けないことがわかる。
このように、アルミ溶射処理のような、摩擦係数が接触圧に依存する摩擦面処理を接合面に施した高力ボルト摩擦接合構造では、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなり、また、添板厚が厚いほど、母材表面への接触圧分布領域が大きくなる。
特開2009−121603号公報 特開2012−122229号公報
したがって、摩擦係数が接触圧に依存する摩擦面処理を接合面に施した高力ボルト摩擦接合構造では、添板厚や母材厚等の接合材の板厚が薄くなった場合には、接合材表面への接触圧分布領域が小さくなり、その結果、(平均)接触圧が大きくなる。
接触圧が大きくなると、(高力ボルトの軸力が一定の場合)摩擦係数が低くなるので、十分な摩擦力を得ることができないという問題があった。
例えば、アルミ溶射処理では、すべり係数(摩擦係数)が0.7程度であり、従来技術(赤錆またはブラスト処理)の0.45比べ、約1.6倍の耐力向上が期待できる。このような技術を、H形鋼の継手に適用した場合、フランジは十分厚い肉厚を有するが、ウェブは相対的に薄くなるため、摩擦係数が低減して、十分な摩擦力を得ることができず、十分な接合強度を確保できないおそれがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、接合すべき接合材の接合面に接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した場合において、接合材の厚さが薄くなっても十分な摩擦力を得ることができる高力ボルト摩擦接合構造を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の高力ボルト摩擦接合構造は、接触圧(平均接触圧)が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造において、
接合すべき両接合材の接合面のうちの少なくとも一方の接合面に前記摩擦面処理が施され、
前記両接合材にそれぞれ形成されたボルト孔に前記高力ボルトが挿通されるとともに当該高力ボルトにナットが螺合されて締め付けられ、
前記高力ボルトのボルト頭下面または前記ナットのナット下面から前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上となるように構成されていることを特徴とする。
ここで、前記ボルト頭下面とは、高力ボルトの軸方向中央側を向くボルト頭部の下面のことを意味し、前記ナット下面とは、ナットを高力ボルトの螺合した状態において、当該高力ボルトの軸方向中央側を向くナットの下面のことを意味する。
本発明においては、前記ボルト頭下面またはナット下面から前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上となるように構成されているので、接合面への接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
このように接触圧が小さくなるので、十分な摩擦力を得ることができる。したがって、接合材の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
本発明の前記構成において、前記両接合材のうちの一方の接合材の厚さがボルト径の半分未満の場合に、当該一方の接合材側に前記ナットを配置し、前記ナット下面から前記接合面までの距離がボルト径の半分以上となっていることが好ましい。
このような構成によれば、一方の接合材の厚さがボルト径の半分未満となっても、当該一方の接合材側にナットを配置することでナット下面から前記接合面までの距離がボルト径の半分以上を確保できるので、接合面への接触圧分布領域を十分に大きく確保できる。これによって、接触圧が小さくなるので、十分な摩擦力を得ることができる。
また、本発明の高力ボルト摩擦接合構造は、接触圧(平均接触圧)が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造において、
接合すべき両接合材の接合面のうちの少なくとも一方の接合面に前記摩擦面処理が施され、
前記両接合材のうちの少なくも一方の接合材の前記接合面と反対側の表面に、板状の接触圧低減部材が設けられ、
前記両接合材と前記接触圧低減部材にそれぞれ形成されたボルト孔に前記高力ボルトが挿通されるとともに当該高力ボルトにナットが螺合されて締め付けられ、
前記接触圧低減部材は、その表面から前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上となるような厚さを有するとともに、前記ボルト孔の中心から前記接触圧低減部材の外周端までの最短距離がボルト径以上、好ましくはボルト径の2倍程度となるような(平面的な)大きさを有していることを特徴とする。
ここで、前記接触圧低減部材は、その表面から前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上、ボルト径以下となるような厚さを有することが好ましい。
ボルト径の半分未満では、十分な接触圧低減効果が得られないためであり、ボルト径を超えると接合部の突起が大きくなり収まりが悪くなるからである。
また、前記接触圧低減部材は、前記ボルト孔の中心から前記接触圧低減部材の外周端までの最短距離がボルト径以上、好ましくはボルト径の1.2倍程度、さらにはボルト径の1.5倍程度以下となるような大きさを有していることが好ましい。最短距離がボルト径未満では、座金外径よりも小さくなってしまい効果が得られないためであり、ボルト径の1.5倍程度を超えるとボルトピッチが大きくなり、結果的に接合部が大きくなり不経済になってしまうからである。
本発明においては、接合すべき接合材のうちの少なくも一方の接合材の接合面と反対側の表面に、板状の接触圧低減部材が設けられているので、当該接触圧低減部材の厚さの分、接合面までの距離が長くなって、接合面への接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
この接触圧低減部材の厚さは、当該接触圧低減部材の表面から前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上となるような厚さであるから、接合面に十分な大きさ(広さ)の接触圧分布領域を確保でき、その結果、接触圧(平均接触圧)が十分に小さくなる。
また、接触圧低減部材は、ボルト孔の中心から接触圧低減部材の外周端までの最短距離がボルト径以上の大きさを有しているので、これによっても接触圧分布領域が広くなって接触圧が小さくなる。
このように、両接合材のうちの少なくも一方の接合材の接合面と反対側の表面に、板状の接触圧低減部材を設け、この接触圧低減部材の厚さおよび平面的な大きさを最適に設定することによって、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、接合材の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
本発明の前記構成において、前記両接合材のうちの一方の接合材の厚さがボルト径の半分未満の場合に、当該一方の接合材と前記接触圧低減部材の板厚の合計がボルト径の半分以上となっていることが好ましい。
このような構成によれば、一方の接合材の厚さがボルト径の半分未満となっても、接触圧低減部材によって、当該接合材の高力ボルト回りの厚さを十分に確保できるので、接合面への接触圧分布領域を十分に大きく確保できる。これによって、接触圧が小さくなるので、十分な摩擦力を得ることができる。
本発明によれば、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造において、接合材の厚さが薄くなっても十分な摩擦力を得ることができる。
本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造の第1の実施の形態を示すもので、その正面図である。 同、要部の断面図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造の第2の実施の形態を示す正面図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造の第3の実施の形態を示す正面図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造の第4の実施の形態を示す断面図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造の第5の実施の形態を示す断面図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造をH形鋼どうしを接続する場合に適用した例を示す斜視図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造を鋼管柱と鋼製梁とを接続する場合に適用した例を示す斜視図である。 本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造を鋼管柱と鋼製梁とを接続する場合に適用した例を示す斜視図である。 摩擦基礎実験における接触圧と摩擦係数の関係を示すグラフである。 高力ボルト摩擦接合を弾塑性FEM解析した結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1および図2は第1の実施の形態を示すもので、高力ボルト二面摩擦接合構造を示す例である。図1は高力ボルト摩擦接合構造を示す正面図、図2は要部の断面図である。
図1および図2において、符号1,2は接合すべき接合材を示す。本実施の形態では、接合材1はH形鋼のフランジ、接合材2は添板である。なお、接合材1はH形鋼のウエブであってもよい。
本実施の形態では、H形鋼どうしをその長手方向に接続する際に、両H形鋼を所定の隙間をもって同軸に配置したうえで、フランジ1,1どうしを添板2によって接続している。
この場合、フランジ(接合材)1を挟んで上下一対の添板2,2を配置し、当該添板2,2を、隣り合うフランジ1,1に掛け渡すようにして、それぞれのフランジ1の上下面に当接したうえで、当該フランジ1,1に接合している。
フランジ1の添板2との接合面1aは、表面粗さ(最大高さRz)が50μm以上となるように、ブラスト処理されている。または、フランジ1の接合面1aは、酸化鉄(赤錆、黒皮など)により覆われていてもよい。
添板2のフランジ1との接合面2aには摩擦面処理が施されている。この摩擦面処理は、溶射金属が定着する程度に下地処理された上に、低強度金属であるアルミが溶融した状態で吹き付けられ、アルミ溶射層が形成されたものとなっている。下地処理は、例えば、表面粗さ(最大高さRz)が50μm以上となるようにブラスト処理されている。
アルミ溶射層は、高力ボルト5が挿通されるボルト孔2bを中心にとした接合面上の円周内に形成されている。この円周の直径は、高力ボルト5の軸径の3倍に設定されている。また、アルミ溶射層の厚さは、200μm以上、500μm以下の範囲内で設定され、例えば、300μmとなっている。
アルミ溶射層中には、図示しない複数の気孔が、全体に亘って均一に分散して形成されており、アルミ溶射層の体積に対する複数の気孔の全容積の割合を示す気孔率は、5%以上、30%以下の範囲内で設定され、例えば、21%となっている。なお、アルミ溶射層は、アルミ成分が99.5%のワイヤ形状の溶射材料を用いてアーク溶射法により形成される。
このようにして添板2の接合面2aに形成されたアルミ溶射層は、接触圧(平均接触圧)が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施したものとなっている。
添板2は通常の高力ボルト摩擦接合構造に使用される添板に比して厚さが十分薄く、例えば通常の添板の1/2程度の厚さとなっている。
このような薄い添板2の表面、つまり接合面2aと反対側の表面に、接触圧低減部材6が設けられている。この接触圧低減部材6は円板状に形成された鋼製の板材であり、その中央部には、高力ボルト5を挿通するためのボルト孔6bが形成されている。
また、前記フランジ1および添板2にも、ボルト孔1b,2bが形成されている。これらボルト孔1b,2b,6bは、同径同軸となっており、当該ボルト孔1b,2b,2b,6b,6bに、高力ボルト5が挿通されたうえで、座金7が外挿されるとともにナット8が螺合されて締め付けられている。この締め付けた圧縮力により生じる摩擦抵抗でフランジ1と添板2とが摩擦接合されている。
前記接触圧低減部材6は、その表面から前記接合面2aまでの距離Lが高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。つまり、接触圧低減部材6とフランジ1との間には添板2が介在しているので、この添板2の板厚と、前記接触圧低減部材6の板厚との合計板厚が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっている。
本実施の形態では、添板2の厚さがボルト径の半分未満となっているので、当該添板2の板厚と接触圧低減部材6の板厚の合計板厚がボルト径の半分以上となっている。
なお、本実施の形態では、一方の接触圧低減部材6には座金7が当接されているので、当該接触圧低減部材6と座金7とを一体とみなし、当該接触圧低減部材6の表面を座金7の表面としている。
また、接触圧低減部材6は、そのボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上となるような大きさを有している。本実施の形態では、接触圧低減部材6は円板状のものであるので、そのボルト孔6bの中心から外周端までの最短距離、つまり接触圧低減部材6の半径rがボルト径以上となっているが、ボルト径の1.2倍程度としたほうが好ましい。
接触圧低減部材が正方形の板状の場合、その中央部に形成されたボルト孔の中心から接触圧低減部材の外周端までの最短距離は、正方形に内接する円の半径となるので、この半径がボルト径以上となるように、接触圧低減部材の平面的な大きさを決定すればよい。
また、接触圧低減部材が長方形の板状の場合、その中央部に形成されたボルト孔の中心から接触圧低減部材の外周端までの最短距離は、ボルト孔の中心から長方形の短辺までの距離であるので、この距離がボルト径以上となるように、接触圧低減部材の平面的な大きさを決定すればよい。
さらに、接触圧低減部材に複数のボルト孔が形成されている場合、当該複数のボルト孔のいずれかの中心から接触圧低減部材の外周端までの最短距離がボルト径以上となるように、接触圧低減部材の平面的な大きさを決定すればよい。
そして、本実施の形態では、左右双方のフランジ1の上下面にそれぞれ当接する添板2,2に対して、接触圧低減部材6がフランジ1の長手方向に2枚ずつ設けられているが、当該接触圧低減部材6の枚数は、添板2の平面的な大きさ等に応じて適宜設定される。また、フランジ1の幅方向に設ける接触圧低減部材6の枚数も適宜設定される。
本実施の形態の高力ボルト摩擦接合構造は、例えば図7に示すように、H形鋼からなる鋼製梁16,16どうしを添板22,23によって接続する場合において、当該添板22と鋼製梁16のフランジ16bとを摩擦接合する場合および添板23とウエブ16aとを摩擦接合する場合に適用できる。
この場合、例えば、隣り合うフランジ16b,16bの上下面に添板22を掛け渡して当接したうえで、添板22の表面に接触圧低減部材6を設けたうえで、高力ボルト5によって締め付けることによって、添板22とフランジ16bを高力ボルト摩擦接合する。
また、隣り合うウエブ16a,16aの両表面に添板23を掛け渡して当接したうえで、添板23の表面に接触圧低減部材6を設けたうえで、高力ボルト5によって締め付けることによって、添板23とウエブ16aを高力ボルト摩擦接合する。
本実施の形態によれば、添板2の接合面2aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6が設けられているので、当該接触圧低減部材6の厚さの分、接合面2aまでの距離Lが長くなって、接合面2aへの接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
そして接触圧低減部材6の厚さは、当該接触圧低減部材6の表面から接合面2aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さであるから、接合面2aに十分な大きさ(広さ)の接触圧分布領域を確保でき、その結果、接触圧が十分に小さくなる。
また、接触圧低減部材6は、ボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上の大きさを有しているので、これによっても接触圧分布領域が広くなって接触圧が小さくなる。
このように、添板2の接合面2aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6を設け、この接触圧低減部材6の厚さおよび平面的な大きさを最適に設定することによって、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、添板2の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
また、添板2の厚さがボルト径の半分未満となっても、接触圧低減部材6によって、当該添板2の高力ボルト回りの厚さを十分に確保できるので、接合面2aへの接触圧分布領域を十分に大きく確保できる。これによって、接触圧が小さくなるので、十分な摩擦力を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図3は第2の実施の形態を示すもので、高力ボルト一面摩擦接合構造を示す例である。
図3において、符号11,11は接合すべき接合材を示す。本実施の形態では、接合材11,11はともに鋼板である。
そして、本実施の形態では、鋼板11,11どうしをその端部において重ね合わせ、これらを本発明に係る高力ボルト摩擦接合によって接合している。
すなわちまず、一方の鋼板(接合材)11と他方の鋼板(接合材)11との接合面11a,1aの少なくとも一方の接合面11aに、第1の実施の形態と同様の摩擦面処理が施されている。
この摩擦面処理によって形成されたアルミ溶射層は、高力ボルト5が挿通されるボルト孔11bを中心にとした接合面11a上の円周内に形成されている。この円周の直径は、高力ボルト5の軸径の3倍に設定されている。また、アルミ溶射層の厚さは、200μm以上、500μm以下の範囲内で設定され、例えば、300μmとなっている。
なお、鋼板11,11のうちの一方の鋼板11の接合面11aにのみアルミ溶射層を形成する場合、他方の鋼板11の接合面11aは、表面粗さ(最大高さRz)が50μm以上となるように、ブラスト処理されている。または、当該接合面11aは、酸化鉄(赤錆、黒皮など)により覆われていてもよい。
このようにして鋼板11の接合面11aに形成されたアルミ溶射層は、第1の実施の形態と同様に、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施したものとなっている。
このような鋼板11の表面、つまり接合面11aと反対側の表面に、第1の実施の形態と同様の接触圧低減部材6が設けられている。この接触圧低減部材6の中央部には、高力ボルト5を挿通するためのボルト孔6bが形成されている。
また、鋼板11,11にも、ボルト孔11b,11bが形成されている。これらボルト孔11b,11b,6bは、同径同軸となっており、当該ボルト孔11b,11b,6bに、高力ボルト5が挿通されたうえで、座金7が外挿されるとともにナット8が螺合されて締め付けられている。この締め付けた圧縮力による生じる摩擦抵抗で鋼板11,11がその端部で摩擦接合されている。
接触圧低減部材6は、その表面から前記接合面11aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。つまり、接触圧低減部材6の板厚と鋼板11の板厚との合計板厚が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっている。
また、接触圧低減部材6は、そのボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上となるような大きさを有している。本実施の形態でも、接触圧低減部材6は円板状のものであるので、そのボルト孔6bの中心から外周端までの最短距離、つまり接触圧低減部材6の半径がボルト径以上となっているが、ボルト径の1.2倍程度とするのが好ましい。
そして、本実施の形態では、接合すべき鋼板11,11の重なった部分において、接触圧低減部材6が鋼板11の長手方向(図3において左右方向)に2枚ずつ、厚さ方向に2枚ずつ合計4枚設けられているが、当該接触圧低減部材6の枚数は、鋼板11の重なった部分における長手方向の長さ等に応じて適宜設定される。また、鋼板11の長手方向に直交する幅方向に設ける接触圧低減部材6の枚数も適宜設定される。
本実施の形態によれば、接合すべき鋼板11,11のうちの少なくも一方の鋼板11の接合面11aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6が設けられているので、当該接触圧低減部材6の厚さの分、接触圧低減部材6の表面から接合面11aまでの距離が長くなって、接合面11aへの接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
この接触圧低減部材6の厚さは、当該接触圧低減部材6の表面から接合面11aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さであるから、接合面11aに十分な大きさ(広さ)の接触圧分布領域を確保でき、その結果、接触圧が十分に小さくなる。
また、接触圧低減部材6は、ボルト孔11bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上の大きさを有しているので、これによっても接触圧分布領域が広くなって接触圧が小さくなる。
このように、両鋼板11,11のうちの少なくも一方の鋼板11の接合面11aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6を設け、この接触圧低減部材6の厚さおよび平面的な大きさを最適に設定することによって、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、鋼板11,11の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
(第3の実施の形態)
図4は第3の実施の形態を示すもので、高力ボルト二面摩擦接合構造を示す例である。
図4において、符号1,2は、本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造によって接合すべき接合材を示す。本実施の形態では、接合材1はH形鋼のフランジ、接合材2は添板である。
本実施の形態では、H形鋼どうしをその長手方向に接続する際に、両H形鋼を所定の隙間をもって同軸に配置したうえで、フランジ1,1どうしを添板2,22によって接続している。
また、添板22は前記添板2より板厚が厚くなっており、その表面からフランジ1の下面との接合面22aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。
そして、フランジ(接合材)1を挟んで上下一対の添板2,22を配置し、当該添板2,22を、隣り合うフランジ1,1に掛け渡すようにして、それぞれのフランジ1の上下面に当接して接合している。
添板2のフランジ1との接合面2aには、第1の実施の形態と同様の摩擦面処理が施されている。つまり、接合面2aに、アルミ溶射層が、高力ボルト5が挿通されるボルト孔2bを中心にとした接合面上の円周内に形成されている。この円周の直径は、高力ボルトの軸径の3倍に設定されている。また、アルミ溶射層の厚さは、200μm以上、500μm以下の範囲内で設定され、例えば、300μmとなっている。
また、添板2のフランジ1との接合面22aにも、同様にして第1の実施の形態と同様の摩擦面処理が施されることで、アルミ溶射層が形成されている。
このようにして添板2,22の接合面2a,22aに形成されたアルミ溶射層は、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施したものとなっている。
添板2は添板22に比して厚さが十分薄く、例えば1/2程度の厚さとなっている。
このような薄い添板2の表面、つまり接合面2aと反対側の表面に、第1の実施の形態と同様の接触圧低減部材6が設けられている。
そして、フランジ1、添板2,22、接触圧低減部材6にそれぞれ同径同軸に形成されているボルト孔1b,2b,22b,6bに、高力ボルト5が挿通されたうえで、座金7が外挿されるとともにナット8が螺合されて締め付けられている。この締め付けた圧縮力による生じる摩擦抵抗でフランジ1と添板2,22とが摩擦接合されている。なお、フランジ1と添板2との接合が本発明の高力ボルト摩擦接合構造に係るものであり、フランジ1と添板22との接合は、従来の接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造に係るものである。
前記接触圧低減部材6は、その表面から前記接合面2aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。つまり、接触圧低減部材6とフランジ1との間には添板2が介在しているので、この添板2の板厚と、前記接触圧低減部材6の板厚との合計板厚が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっている。
本実施の形態では、添板2の厚さがボルト径の半分未満となっているので、当該添板2に板厚と接触圧低減部材6の板厚の合計板厚がボルト径の半分以上となるように、接触圧低減部材6の板厚が設定されている。
また、接触圧低減部材6は、そのボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上となるような大きさを有している。本実施の形態では、接触圧低減部材6は円板状のものであるので、そのボルト孔6bの中心から外周端までの最短距離、つまり接触圧低減部材6の半径がボルト径以上となっているが、ボルト径の1.2倍程度とするのが好ましい。
そして、本実施の形態では、左右双方のフランジ1の上面に当接する添板2に対して、接触圧低減部材6がフランジ1の長手方向に2枚ずつ設けられているが、当該接触圧低減部材6の枚数は、添板2の平面的な大きさ等に応じて適宜設定される。また、フランジ1の幅方向に設ける接触圧低減部材6の枚数も適宜設定される。
本実施の形態によれば、添板2の接合面2aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6が設けられているので、当該接触圧低減部材6の厚さの分、接合面までの距離が長くなって、接合面2aへの接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
そして接触圧低減部材6の厚さは、当該接触圧低減部材6の表面から接合面2aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さであるから、接合面2aに十分な大きさ(広さ)の接触圧分布領域を確保でき、その結果、接触圧が十分に小さくなる。
また、接触圧低減部材6は、ボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上の大きさを有しているので、接触圧分布領域が広くなってこれによっても接触圧が小さくなる。
このように、添板2の接合面2aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6を設け、この接触圧低減部材6の厚さおよび平面的な大きさを最適に設定することによって、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、添板2の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保することができる。
なお、添板22の厚さ、つまり添板22の表面からフランジ1の下面との接合面22aまでの距離は高力ボルト5のボルト径の半分以上となっているので、添板22の表面には接触圧低減部材6を設けなくても十分な摩擦力を得ることができる。
(第4の実施の形態)
図5は第4の実施の形態を示すもので、高力ボルト一面摩擦接合構造を示す例である。
図4において、符号31,32は、本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造によって接合すべき接合材を示す。本実施の形態では、接合材31はH形鋼のウエブ、接合材32はガセットである。
本実施の形態では、ウエブ31とガセット32とをその端部において重ね合わせ、これらを本発明に係る高力ボルト摩擦接合によって接合している。
ガセット32はウエブ31より板厚が厚くなっており、その表面からウエブ31との接合面32aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。
ガセット32のウエブ31との接合面32aには、第1の実施の形態と同様の摩擦面処理が施されている。つまり、接合面32aに、アルミ溶射層が、高力ボルト5が挿通されるボルト孔32bを中心にとした接合面上の円周内に形成されている。この円周の直径は、高力ボルトの軸径の3倍に設定されている。また、アルミ溶射層の厚さは、200μm以上、500μm以下の範囲内で設定され、例えば、300μmとなっている。
このようにしてガセット32の接合面32aに形成されたアルミ溶射層は、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施したものとなっている。
ウエブ31はガセット32に比して厚さが十分薄く、例えば1/2程度の厚さとなっている。
このような薄いウエブ31の表面、つまりガセット32との接合面31aと反対側の表面に、第1〜第3の実施の形態と同様の接触圧低減部材6が設けられている。
そして、ガセット32、ウエブ31、接触圧低減部材6にそれぞれ同径同軸に形成されているボルト孔32b,31b,6bに、高力ボルト5が挿通されたうえで、座金7が外挿されるとともにナット8が螺合されて締め付けられている。この締め付けた圧縮力による生じる摩擦抵抗でガセット32とウエブ31とが摩擦接合されている。
前記接触圧低減部材6は、その表面から前記接合面31aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。つまり、接触圧低減部材6とガセット32との間にはウエブ31が介在しているので、このウエブ31の板厚と、接触圧低減部材6の板厚との合計板厚が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっている。
本実施の形態では、ウエブ31の厚さが例えば9mm程度であり、ボルト径の半分未満となっているので、当該ウエブ31の板厚と接触圧低減部材6の板厚の合計板厚がボルト径の半分以上となるように、接触圧低減部材6の板厚が設定されている。
また、接触圧低減部材6は、そのボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上となるような大きさを有している。本実施の形態では、接触圧低減部材6は円板状のものであるので、そのボルト孔6bの中心から外周端までの最短距離、つまり接触圧低減部材6の半径がボルト径以上となっているが、ボルト径の1.2倍程度とするのが好ましい。
そして、本実施の形態では、接合すべきウエブ31とガセット32の重なった部分において、接触圧低減部材6がウエブ31の長手方向(図5において左右方向)に2枚設けられているが、当該接触圧低減部材6の枚数は、ウエブ31とガセット32の重なり部分の長手方向の長さに応じて適宜設定される。また、同重なり部分の長手方向に直交する幅方向に設ける接触圧低減部材6の枚数も適宜設定される。
本実施の形態によれば、ウエブ31の接合面31aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6が設けられているので、当該接触圧低減部材6の厚さの分、接合面31aまでの距離が長くなって、接合面31aへの接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
そして接触圧低減部材6の厚さは、当該接触圧低減部材6の表面から接合面31aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さであるから、接合面31aに十分な大きさ(広さ)の接触圧分布領域を確保でき、その結果、接触圧が十分に小さくなる。
また、接触圧低減部材6は、ボルト孔6bの中心から接触圧低減部材6の外周端までの最短距離がボルト径以上の大きさを有しているので、接触圧分布領域が広くなってこれによっても接触圧が小さくなる。
このように、ウエブ31の接合面31aと反対側の表面に、板状の接触圧低減部材6を設け、この接触圧低減部材6の厚さおよび平面的な大きさを最適に設定することによって、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、ウエブ31の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
なお、ガセット32の厚さ、つまりガセット32の表面からウエブ31の下面との接合面32aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっているので、ガセット32の表面には接触圧低減部材6を設けなくても十分な摩擦力を得ることができる。
本実施の形態の高力ボルト摩擦接合構造は、例えば図8に示すように、鋼管柱15にH形鋼からなる鋼製梁16を接続する場合において、鋼管柱15の側面に設けられたガセット17に、鋼製梁16のウエブ16aを接合する際に利用できる。特にウエブ16aの厚さが薄い場合に有効である。なお、鋼製梁16のフランジ16b,16bは鋼管柱15に設けられた水平ダイヤフラム15a,15aに溶接によって接合される。
ガセット17とウエブ16aは一部が重ねられ、この重ねた部分において、ガセット17の表面に接触圧低減部材6を設け、これらガセット17とウエブ16aとを高力ボルト5で締め付けることによって高力ボルト摩擦接合する。
(第5の実施の形態)
図6は第5の実施の形態を示すもので、高力ボルト一面摩擦接合構造を示す例である。
図6において、符号31,32は、本発明に係る高力ボルト摩擦接合構造によって接合すべき接合材を示す。本実施の形態では、接合材31はH形鋼のウエブ、接合材32はガセットである。
本実施の形態では、ウエブ31とガセット32とをその端部において重ね合わせ、これらを本発明に係る高力ボルト摩擦接合によって接合している。
ガセット32はウエブ31より板厚が厚くなっており、ボルト頭下面5aからウエブ31との接合面32aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している(例えば、ボルト径22mmに対し、ガセットの厚さは16mmである。)。
ガセット32のウエブ31との接合面32aには、第1の実施の形態と同様の摩擦面処理が施されている。つまり、接合面32aに、アルミ溶射層が、高力ボルト5が挿通されるボルト孔32bを中心にとした接合面上の円周内に形成されている。この円周の直径は、高力ボルトの軸径の3倍に設定されている。また、アルミ溶射層の厚さは、200μm以上、500μm以下の範囲内で設定され、例えば、300μmとなっている。
このようにしてガセット32の接合面32aに形成されたアルミ溶射層は、接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施したものとなっている。
ウエブ31はガセット32に比して厚さが十分薄く、例えば1/2程度(9mm)の厚さとなっている。
このような薄いウエブ31側にナット8を配置している。
そして、ガセット32、ウエブ31にそれぞれ同径同軸に形成されているボルト孔32b,31bに、高力ボルト5が挿通されたうえで、座金7が外挿されるとともにナット8が螺合されて締め付けられている。この締め付けた圧縮力による生じる摩擦抵抗でガセット32とウエブ31とが摩擦接合されている。
ウェブ31側は、ナット8を配置することで座金7(板厚6mm)が挿入されるため、座金7は、ナット下面8aから前記接合面31aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となるような厚さを有している。つまり、ウエブ31の板厚と、座金7の板厚との合計板厚が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっている。
本実施の形態によれば、ウエブ31側にナット8が配置されているので、座金7の厚さの分、接合面31aまでの距離が長くなって、接合面31aへの接触圧分布領域が大きくなり、その結果、接触圧が小さくなる。
このように、ウエブ31側にナット8を配置することで、接触圧が十分に小さくなって、十分な摩擦力を得ることができる。
したがって、ウエブ31の厚さが薄くなっても十分な接合強度を確保できる。
なお、ガセット32の厚さ、つまりガセット32の表面からウエブ31の下面との接合面32aまでの距離が高力ボルト5のボルト径の半分以上となっているので、ガセット32も十分な摩擦力を得ることができる。
本実施の形態の高力ボルト摩擦接合構造は、例えば図9に示すように、鋼管柱15にH形鋼からなる鋼製梁16を接続する場合において、鋼管柱15の側面に設けられたガセット17に、鋼製梁16のウエブ16aを接合する際に利用できる。特にウエブ16aの厚さが薄い場合に有効である。なお、鋼製梁16のフランジ16b,16bは鋼管柱15に設けられた水平ダイヤフラム15a,15aに溶接によって接合される。
ガセット17とウエブ16aは一部が重ねられ、この重ねた部分において、ガセット17側にナット8と座金7を配置し、これらガセット17とウエブ16aとを高力ボルト5で締め付けることによって高力ボルト摩擦接合する。
1 フランジ(接合材)
2 添板(接合材)
2a 接合面
5 高力ボルト
5a ボルト頭下面
6 接触圧低減部材
6a ボルト孔
8 ナット
8a ナット下面
11 鋼板(接合材)
11a 接合面
16a ウエブ(接合材)
16b フランジ(接合材)
17 ガセット(接合材)
22,23 添板(接合材)
31 ウエブ(接合材)
32 ガセット(接合材)

Claims (2)

  1. 接触圧が低いほど摩擦係数が高くなるような摩擦面処理を施した高力ボルト摩擦接合構造において、
    接合すべき両接合材の接合面のうちの少なくとも一方の接合面に前記摩擦面処理が施され、
    前記両接合材のうちの少なくとも一方の接合材の前記接合面と反対側の表面に、板状の接触圧低減部材が設けられ、
    前記両接合材と前記接触圧低減部材にそれぞれ形成されたボルト孔に前記高力ボルトがそのボルト頭の座面に座金を設けない状態でかつ前記接触圧低減部材の側から挿通されるとともに当該高力ボルトにナットが螺合されて締め付けられ、
    前記高力ボルトの前記ボルト頭の座面と接触している前記接触圧低減部材は、当該接触圧低減部材の前記ボルト頭の座面と接触している表面から前記接合材の厚さを含んで前記接合面までの距離が前記高力ボルトのボルト径の半分以上となるような厚さを有するとともに、前記ボルト孔の中心から前記接触圧低減部材の外周端までの最短距離がボルト径以上となるような大きさを有していることを特徴とする高力ボルト摩擦接合構造。
  2. 前記両接合材のうちの一方の接合材の厚さがボルト径の半分未満の場合に、当該一方の接合材と前記接触圧低減部材の板厚の合計がボルト径の半分以上となっていることを特徴とする請求項に記載の高力ボルト摩擦接合構造。
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