JP5283404B2 - 鋼構造の補強構造 - Google Patents
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Description
そして、このような鋼構造を補強する構造として、従来、鋼構造を構成する鋼部材に、補強部材を溶着することが行なわれている。
また、補強部材として山形鋼を用い、山形鋼を金物により鋼部材に締め付ける方法も知られている(特許文献1)。
(A)既存建物内に飛散する火気の量が多くなる不具合がある。
(B)すべての補強を有資格者により行う必要があり、特に倉庫や展示場などの大規模な構造物である場合には、トラス梁の長さが大きく、また、本数も多くなることから、コストおよび人員配置の手間がかかる不具合がある。
(C)溶接量が多くなるため、必要以上に既存の部材を傷める恐れがある。
(D)既存部材と補強部材の溶接に断続溶接が行われるので、溶接欠陥が生じ易い不具合がある。
また、山形鋼を金物により鋼部材に締め付ける方法では、適用できる山形鋼のサイズが限定されてしまい、適用しづらい不具合がある。
そして、本発明によれば、締め付け具を用いるので、ボルト、ナットなどの締結作業により補強でき、溶接作業を大幅に削減して既存建物内に飛散する火気の量を抑制できる。
また、有資格者による作業を削減できるため、人員配置を迅速に行なえ、工期の短縮化、コストの低減化を図る上で有利となる。
また、溶接作業を削減できるためそれに伴う作業足場、養生等を軽微にすることができ、また、既存の部材を傷めるという恐れも解消でき、溶接欠陥についての問題も解消できる。
なお、以下の実施の形態では、トラス梁に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は、トラス構造、ブレース構造、ラーメン構造などの各種の柱や梁、ブレースなどの鋼構造の鋼部材に広く適用可能である。
まず、本発明が適用される鋼構造トラス部材であるトラス梁から説明する。
図1はトラス梁の正面図、図2は鋼部材の断面図を示す。
図1に示すように、鋼構造(鉄骨構造)は、柱2と、柱2から突設されたトラス梁4などを含んで構成されている。
トラス梁4は、上弦材6と、下弦材8と、それらを連結する複数の束材9、斜材10とを含んで構成されている。
上弦材6と下弦材8の長手方向に等間隔をおいた複数箇所で互いに対向する箇所に、高力ボルトやナットを介して、あるいはリベットを介してガセットプレー1102、1104が取着され、束材9および斜材10は上弦材6のガセットプレート1102と下弦材8のガセットプレート1104を連結するように設けられている。
また、柱2、上弦材6、斜材10とはガセットプレート1106を介して連結され、柱2、下弦材8とはガセットプレート1108を介して連結されている。
本実施の形態の補強構造は、このように山形鋼12を用いて構成された上弦材6や下弦材8、束材9、斜材10などの鋼部材を補強しており、必要に応じて上弦材6のみが補強され、あるいは、下弦材8のみが補強され、あるいは束材9のみが補強され、あるいは斜材10のみが補強され、あるいは、適宜それらの組み合わせが補強されるものであり、以下の実施の形態では、下弦材8と斜材10とを補強する場合を例にとって説明する。
図3は第1の実施の形態の鋼構造の補強構造の断面図、図4は第1の実施の形態の鋼構造の補強構造の平面図、図5は被挟持板および第1金物の説明図、図6は第2金物の説明図を示す。
補強構造20Aは、2つの補強鋼板22と、複数の被挟持板24と、複数の締め付け具26などを含んで構成されている。
2つの補強鋼板22は、断面が三角形枠状を呈するように、それらの幅方向の両端を各山形鋼12のフランジ1202、1204の先端寄り部分に当接してそれら山形鋼12に沿って延在するように配設されている。
第1金物30は、図5に示すように、平鋼で形成され、2つの山形鋼12の互いに反対方向に突出するフランジ1204に当接可能で互いに反対方向に突出するフランジ1204の各先端間を結ぶ長さよりも大きな寸法の長さを有する当接板部3002を有している。
当接板3002に長さ方向の両端に、ボルト挿通孔3010が形成されている。
被挟持板24は、当接板部3002の長さ方向の中央に該当接板部3002の長さ方向と直交する方向に突出するように溶着され、被挟持板24を互いに対向するフランジ1202の間に挿入し、当接板部3002を互いに反対方向に突出するフランジ1204に当接した状態で、被挟持板24の先端は、互いに対向するフランジ1202の先端よりも突出する高さで形成されている。
第2金物32は、補強鋼板22に当接可能な対向板部3202と、対向板部3202の一方の端部に屈曲部を介して連結され被挟持板24がフランジ1202の先端から突出する先端に重ね合わされる第1の合わせ部3204と、対向板部3202のうちの他方の端部に屈曲部を介して連結され第1金物30の当接板部3002の端部に重ね合わされる第2の合わせ部3206とを有している。
本実施の形態では、補強鋼板22に臨む対向板部3202の面にスペーサ3208が溶接により取着されており、このスペーサ3208が補強鋼板22の幅方向の中央部に当接して配置されることになる。
第1の合わせ部3204と第2の合わせ部3206には、それぞれボルト挿通孔3210が形成されている。
より詳細には、被挟持板24が2つの山形鋼12の対向するフランジ1202の間に挿入され、第1金物30の当接板部3002が、2つの山形鋼12の互いに反対方向に突出するフランジ1204に当接されると共に、2つの第2金物32の対向板部3202がスペーサ3208を介して補強鋼板22の幅方向の中央部に当接して配置される。
そして、2つの第2金物の第1の合わせ部3204と被挟持板24の先端とがボルトB、ナットNにより締結されると共に、第1金物30の当接板部3002の長さ方向の両端と2つの第2金物32の第2の合わせ部3206とがボルト、ナットにより締結され、このようにボルトB、ナットNで締結した状態で、補強鋼板22の幅方向の中央部が山形鋼12の角部に押圧され、補強鋼板22の幅方向の両端が対応する山形鋼12の各フランジ1202、1204に押圧されると共に、被挟持板24が2つの山形鋼12の対向するフランジ1202で締め付けられる。
このように2つの補強鋼板22が下弦材8や斜材10に一体化されることにより、断面増加により下弦材8や斜材10の圧縮、せん断強度を増大させることができる。
また、開断面であった下弦材8や斜材10を、フランジ1202、1204、補強鋼板22により断面三角形枠状の閉断面にできるので、下弦材8や斜材10の座屈強度を増大させることができる。
また、有資格者による作業を大幅に削減できるため、特に倉庫や展示場などの大規模な構造物でトラス梁の長さが大きく、また、本数も多い場合であっても、人員配置を迅速に行なえ、工期の短縮化、コストの低減化を図る上で有利となる。
また、溶接作業を大幅に削減できるため、それに伴う作業足場、養生等を軽微にすることができ、また、既存の部材を傷めるという恐れも解消でき、溶接欠陥についての問題も解消できる。
なお、上述の効果は、上弦材6や束材9を補強した場合にも同様に奏される。
図8は第2の実施の形態の鋼構造の補強構造の断面図を示す。
第2の実施の形態の補強構造20Bは、帯板40を用いて締め付け具26が構成されている点において第1の実施の形態と異なっている。
すなわち締め付け具26は、1枚の帯板40と、2つのスペーサ42を含んで構成されている。
各スペーサ42は、それぞれ補強鋼板22に当接するように配置されている。
帯板40(ベルト)は、2つの山形鋼12の長手方向と直交する方向において2つの山形鋼12、2つの補強鋼板22、2つのスペーサ42、被挟持板24の周囲を囲みそれらを締め付けた状態で締結されている。
また、帯板40の締結は、帯板40が鋼板の場合には、例えば圧着器が用いられ、帯板40が合成樹脂製である場合には、溶着や接着などが採用される。
なお、帯板40が鋼板の場合、鋼製のスペーサ42を用い、スペーサ42を帯板40の内面に予め溶着などにより取り付けておいてもよく、また、帯板40が合成樹脂製の場合、合成樹脂製のスペーサ42を用い、スペーサ42を帯板40の内面に予め溶着や接着などにより取り付けておいてもよい。
そして、帯板40が締結された状態で、補強鋼板22の幅方向の両端が対応する山形鋼12の両フランジ1202、1204に押圧されると共に、被挟持板24が2つの山形鋼12の対向するフランジ1202、1202で締め付けられ、2つの補強鋼板22が下弦材8や斜材10に一体化され、第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
Claims (4)
- 2つの山形鋼の角部から突出する一方のフランジを対向させ他方のフランジを互いに反対方向に突出するように配置されて構成された鋼部材を含む鋼構造の補強構造であって、
幅方向の両端を各山形鋼のフランジに当接してそれら山形鋼に沿って延在する2つの補強鋼板と、
前記各山形鋼の長手方向に間隔をおいた複数箇所においてそれぞれ2つの山形鋼の対向するフランジ間に挿入される複数の被挟持板と、
前記被挟持板が配置された各箇所において前記2つの山形鋼の長手方向と直交する方向においてそれら2つの山形鋼の周囲を囲み前記2つの補強鋼板の幅方向の中央部を前記角部に向けて押圧することで幅方向の両端を対応する山形鋼の各フランジに押圧すると共に2つの山形鋼の対向するフランジで前記被挟持板を締め付ける方向に2つの山形鋼を押圧する複数の締め付け具と、
を備えることを特徴とする鋼構造の補強構造。 - 前記締め付け具は、1つの第1金物と、2つの第2金物とを含んで構成され、
前記第1金物は、前記2つの山形鋼の互いに反対方向に突出するフランジに当接可能で互いに反対方向に突出するフランジの各先端間を結ぶ長さよりも大きな寸法の長さを有する当接板部を有し、
前記被挟持板は、前記当接板部の長さ方向の中央に該当接板部の長さ方向と直交する方向に突出するように溶着され、前記被挟持板を互いに対向するフランジの間に挿入し、前記当接板部を互いに反対方向に突出するフランジに当接した状態で、前記被挟持板の先端は、互いに対向するフランジの先端よりも突出する高さで形成され、
前記第2金物は、前記補強鋼板に対向する対向板部と、前記対向板部に設けられ前記補強鋼板の幅方向の中央部に当接するスペーサと、前記対向板部の一方の端部に屈曲部を介して連結され前記被挟持板が前記フランジの先端から突出する先端に重ね合わされる第1の合わせ部と、前記対向板部の他方の端部に屈曲部を介して連結され前記当接板の長手方向の端部に重ね合わされる第2の合わせ部とを有し、
前記被挟持板が前記2つの山形鋼の対向するフランジの間に挿入され、前記第1金物の前記当接板部が、前記2つの山形鋼の互いに反対方向に突出するフランジに当接されると共に、2つの第2金物の前記スペーサが前記補強鋼板の幅方向の中央部に当接して配置され、
前記2つの第2金物の第1の合わせ部と前記被挟持板の先端とがボルト、ナットにより締結されると共に前記第1金物の当接板部の長さ方向の両端と前記2つの第2金物の第2の合わせ部とがボルト、ナットにより締結され、
前記ボルト、ナットで締結した状態で、前記2つの補強鋼板の幅方向の両端が前記スペーサを介して対応する山形鋼の各フランジに押圧されると共に、前記被挟持板が2つの山形鋼の対向するフランジで締め付けられる、
ことを特徴とする請求項1記載の鋼構造の補強構造。 - 前記締め付け具は、帯板と、2つのスペーサを含んで構成され、
前記2つのスペーサは、1つずつ各補強鋼板の幅方向の中央部に当接するように配置され、
前記帯板は、前記2つの山形鋼の長手方向と直交する方向において前記2つの山形鋼、前記2つの補強鋼板、前記2つのスペーサの周囲を囲みそれらを締め付けた状態で締結され、
前記帯板が締結された状態で、前記2つの補強鋼板の幅方向の両端が前記スペーサを介して対応する山形鋼の両フランジに押圧されると共に前記被挟持板が2つの山形鋼の対向するフランジで締め付けられる、
ことを特徴とする請求項1記載の鋼構造の補強構造。 - 前記各補強鋼材の長手方向の両端は、対応する各山形鋼の長手方向の両端に取着されていることを特徴とする請求項1記載の鋼構造の補強構造。
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