JP5893932B2 - 鉄骨部材の補剛構造及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造及び方法に関する。
建築物の耐震基準は設計方法の見直しによって変更され、建築当初は耐震基準を満たしていても、新しい耐震基準を満たさない建築物がある。このような建築物は現行の耐震基準を満たすように補強する必要がある。
歴史的な建築物などに補強が必要となった場合、耐震壁等の部材の追加、内部構造の変更なく、新しい耐震基準を満たすことが求められる。これらの状況を鑑み、既存の山形鋼に新たな溶接や穿孔を行わずにそのまま使用し、鉄骨建築物の耐震強度を向上させる補剛構造が従来から提案されている。
例えば、特許文献1には、山形鋼の直角部の綾を面取り加工してなる添え材(補強材)を既存材である山形鋼に重ね合わせて、座屈強度を補強する構造が開示されている。この構造では、山形鋼の重なる部分をエキシポ系接着剤で接着し、両端部をクランプすることによって、一体化している。
特許文献2には、既存材の山形鋼に山形鋼又は平鋼板からなる補強鋼材(補強材)を各端部同士が当接するように添設し、高強度繊維シートを巻き付けて一体にすることで、座屈強度を補強する構造が開示されている。この構造では、補強鋼材の両先端部が既存材のフランジにそれぞれ当接した閉断面が形成される。
特許文献3には、既存材の山形鋼に山形鋼からなる補強鋼材(補強材)を対向して配置して締め付け具で一体化する構造が開示されている。この構造では、補強鋼材の両フランジ先端のブレード部が既存材のフランジの内面に当接し、閉塞された正方形状の枠を有する断面が形成される。
特許第2553963号公報 特許第4399642号公報 特許第4771861号公報
しかしながら、上記特許文献1の構造では、エポキシ系接着剤で接着するため、既存材の接着面の防錆塗料を完全に除去する必要があり、手間が掛かる。
一方、上記特許文献2の構造では、既存材である山形鋼と同じ山形鋼、又は既存材の山形鋼の両フランジ端間距離を幅に有する平鋼板に、補強材が限定される。そして、上記特許文献3の構造では、既存材より小さな山形鋼に補強材が限定される。よって、上記特許文献2及び3の構造では、既存材の山形鋼を十分な座屈耐力を有するように補剛することができない場合がある。
本発明は、以上の点に鑑み、既存材である山形鋼に補強材を簡易に固定可能であり、且つ、補強材の大きさが限定されない鉄骨部材の補剛構造及び方法を提供することを目的とする。
本発明の鉄骨部材の補剛構造は、鉄骨建築物を構成する山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造であって、前記山形鋼の2つのフランジの谷側の面に稜線を挟む2面の外面が対向するように、該山形鋼の長手方向に沿って延在する角形鋼管と、前記山形鋼の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、前記山形鋼のフランジが該フランジに対向する前記角形鋼管の外面を外側から押圧した状態で前記山形鋼と前記角形鋼管とを固定するように、前記山形鋼の山側の1面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートと、前記山形鋼の山側の1面と対向する面以外の面と対向する前記角形鋼管の外面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートとが締結されてなる構成された固定部材とを備えることを特徴とする。
本発明の鉄骨部材の補剛構造によれば、山形鋼と角形鋼管とを固定部材によって固定する際に、ボルト、ナットやクランプなどの締結具によって固定でき、上記特許文献1のように接着剤で接着する必要がないので、既存材の防錆塗料を除去する必要がなく、手間が掛からない。また、上記特許文献1のように、火災や紫外線に弱い高強度繊維シートを使用する必要がないので、屋外での使用も好適である。
また、補強材である角形鋼管は、その稜線を挟む2面の外面が既存材である山形鋼の2つのフランジの谷側の面に対向するものであり、固定部材によって固定できるものであればよい。よって、補強材である角形鋼管は、既存材である山形鋼と同じ山形鋼、又は既存材の山形鋼の両フランジ端間距離を幅に有する平鋼板(上記特許文献2)や、既存材より小さな山形鋼(上記特許文献3)のように、その大きさが限定されない。従って、既存材を十分な座屈耐力を有するように補剛することができる。
また、本発明の鉄骨部材の補剛構造において、前記固定部材が配置された各箇所において、前記山形鋼の谷側のフランジ面と、該フランジ面と対向する前記角形鋼管の外面とに当接するように、平板状のスペーサが配置されていることが好ましい。
この場合、山形鋼及び角形鋼管の角部の丸みを帯びた部分以外の平面状の部分にスペーサを当接させることにより、山形鋼及び角形鋼管の丸みを帯びた角部同士の干渉を防止することができる。よって、補強材(添え材)である角形鋼管の角部を、上記特許文献1のように角部の綾を全長に亘って面取り加工する必要がなく、補強材の作製に手間が掛からない。
さらに、山形鋼と角形鋼管とはスペーサを介してのみ固定され、他の部分では山形鋼と角形鋼管とは接触しない。そのため、既存材である山形鋼に入力された軸力は、スペーサを介してのみ補強材である角形鋼管に伝達され、この角形鋼管はそれ以外の応力を負担しない。よって、既存材である山形鋼が圧縮力を受けた場合、既存材の曲げや歪みなどに影響を受けずに、補強材である角形鋼管は既存材である山形鋼の座屈変形を効果的に抑制することができる。
なお、本発明の鉄骨部材の補剛構造において、前記鉄骨部材が、2本の山形鋼がそれぞれの一方のフランジの山側の面の間に隙間を隔てて平行に配置されてなる場合、前記2本の山形鋼のフランジの山側の面の間に、平板状の挟込材が挟み込まれて配置されていることが好ましい。
この場合、既存材である2本の山形鋼のフランジの山側の面の間に平板状の挟込材が挟み込まれて配置されているので、山形鋼と角形鋼管とを固定部材によって固定する際に、既存材である2本の山形鋼が隙間を隔てて平行な状態が維持され、既存材に歪みや曲げなどが生じない。
本発明の鉄骨部材の補剛方法は、鉄骨建築物を構成する山形鋼からなる鉄骨部材の補剛方法であって、前記山形鋼の2つのフランジの谷側の面に稜線を挟む2面の外面が対向するように、該山形鋼の長手方向に沿って角形鋼管を添設する工程と、前記山形鋼の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、前記山形鋼の山側の1面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートと、前記山形鋼の山側の1面と対向する面以外の面と対向する前記角形鋼管の外面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートとが締結し、前記山形鋼のフランジが該フランジに対向する前記角形鋼管の外面を外側から押圧した状態で前記山形鋼と前記角形鋼管とを固定する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の鉄骨部材の補剛方法によれば、上述した本発明の鉄骨部材の補剛構造と同様に、山形鋼と角形鋼管とを固定部材によって固定する際に、ボルト、ナットやクランプなどの締結具によって固定でき、上記特許文献1のように接着剤で接着する必要がないので、既存材の防錆塗料を除去する必要がなく、手間が掛からない。
また、補強材である角形鋼管は、その稜線を挟む2面の外面が既存材である山形鋼の2つのフランジの谷側の面に対向するものであり、固定できるものであればよい。よって、補強材である角形鋼管はその大きさが限定されない。従って、既存材を十分な座屈耐力を有するように補剛することができる。
本発明の第1の実施形態に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造全体を示す説明図。 図1のII−II線断面図。 本発明の第1の実施形態の変形に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造を示す断面図。 本発明の第1の実施形態の別の変形に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造を示す断面図。 本発明の第2の実施形態に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造を示す断面図。 本発明の第2の実施形態の変形に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造を示す断面図。 本発明の第2の実施形態の別の変形に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造を示す断面図。
鉄骨建築物の耐震性能を向上させるためには、所定の層で負担可能な水平力を増加させればよい。そして、耐震壁やブレースなどの部材を新たに追加しなくとも、所定の層の既存のブレース材を補剛すれば、このブレース材で負担可能な荷重が増加し、耐震性能が向上する。
鉄骨建築物において、ブレース材は、1構面中にX型に交差するように設置され、山形鋼からなることが多い。このような山形鋼は細長比が大きいため、地震時に引張側になるブレース材のみが地震による応力を負担するように構造計算がなされる。そこで、このような山形鋼を補剛すれば、圧縮側になるブレース材も地震による応力を負担できるので、1構面内のX型ブレースで負担可能な応力が大きくなり、耐震性能が向上する。
ブレース材の他に、柱、梁、弦材、斜材などのトラス部材に使用される山形鋼も圧縮力を受ける。このような山形鋼も補剛が必要となる場合がある。本発明において、山形鋼からなる鉄骨部材は、ブレース材や、柱、梁、弦材、斜材などのトラス部材として使用され、その使用態様は限定されない。
本発明は、既存の鉄骨建築物の耐震補強などを目的とするものであり、山形鋼からなる既存の鉄骨部材を補剛対象とする。構造計算をして補剛が必要な範囲を特定しておき、その中で建築物の外観や内部構造に影響を与えない部分の鉄骨部材に対して本発明の補剛構造及び方法を適用すればよい。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態は、既存の鉄骨部材が1本の山形鋼Aからなる場合の補剛構造である。
この補剛構造は、補強材10と、補強材10の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、補強材10を既存材である山形鋼Aに固定するための複数個の固定部材20とを備えている。補強材10の両端部は、固定部材20で山形鋼Aに固定されていることが好ましい。
補強材10は、山形鋼Aの補剛区間全長に亘って延在する1本の角形鋼管である。山形鋼Aの端部にガゼットプレートB等が存在する場合には、ガゼットプレートB等の手前まで山形鋼Aと添設されるように、適宜な長さに切断した角形鋼管を補強材10として使用する。原則として、補強材10として用いられる角形鋼管は、長さ切断以外は何ら加工されていない。
図2に示すように、補強材である角形鋼管10は、山形鋼Aの2つのフランジA1,A1の谷側の面A11,A11に稜線を挟む2面の外面11,11が対向するように、山形鋼Aに添設される。
固定部材20は、山形鋼AのフランジA1,A1が該フランジA1,A1に対向する角形鋼管10の外面11,11を外側から押圧した状態で山形鋼Aと角形鋼管10とを固定するように構成されている。固定部材20は、山形鋼Aの長手方向と直交する方向に、山形鋼Aとこれに添設された角形鋼管10とからなるもの全体の外面を取り囲む。
固定部材20は、ここでは、2枚の締付プレート21,21と、これらを互いに固定する締結具22とからなる。各締付プレート21は、平鋼板を曲げ加工したものであり、山形鋼Aの一方のフランジA1の山側の面に内側面が当接する第1の当接片21aと、角形鋼管10のフランジA1と対向しない辺の外面12に内側面が当接し、第1の当接片21aから連続する第2の当接片21bと、第1及び第2の当接片21a,21bの端部からそれぞれ連続する2つの締結片21c,21dとから構成されている。第1の当接片21aと第2の当接片21bとの間のなす角度は90度であり、各締結片21c,21dには貫通孔が形成されている。
2枚の締付プレート21,21は、互いの締結片21c,21d同士の内側面を当接した状態で、内部に山形鋼Aと角形鋼管10とを収容した状態で締結具22によって締付固定される。締結具22は、ここでは、ボルト22aとナット22bとからなる。
さらに、本実施形態に係る鉄骨部材の補剛構造は、固定部材20が配置された各箇所において、山形鋼Aの谷側のフランジ面A11,A11と、該フランジ面A11,A11と対向する角形鋼管10の外面11,11とに当接するように、2枚の平板状のスペーサ25,25が配置されている。
本実施形態に係る鉄骨部材の補剛構造によれば、ボルト22aとナット22bとからなる締結具22,22で2枚の締付プレート21,21を締結することによって、山形鋼A、角形鋼管10及び2枚のスペーサ25,25は、直交する2方向から締め付けられ、互いに強固に固定される。よって、山形鋼Aが圧縮力を受けた場合に、山形鋼Aに固定された角形鋼管10が山形鋼Aの座屈変形を抑制することができる。
そして、既存材である山形鋼Aに追加工を行うことなく、且つ、耐震壁等の新たな部材を追加することなく、補剛することができる。従って、引張力のみを負担していた山形鋼Aでも圧縮力を負担することができ、鉄骨建築物の耐震性能が向上する。
さらに、山形鋼Aと角形鋼管10とを固定部材20によって固定する際に、ボルト22aとナット22bとからなる締結具22,22によって固定でき、上記特許文献1のように接着剤で接着する必要がない。よって、既存材の防錆塗料を除去する必要がなく、手間が掛からない。また、耐震基準が改正された場合、補強材である角形鋼管10や固定部材20を簡単に取り外すことができる。また、上記特許文献1のように、火災や紫外線に弱い高強度繊維シートを使用しないので、屋外での使用にも好適である。
さらに、角形鋼管10は、固定部材20によって山形鋼Aに固定可能なものであればよい。よって、角形鋼管10は、上記特許文献2及び3のように、その大きさが限定されない。従って、既存材である山形鋼Aを十分な座屈耐力を有するように補剛することができる。
具体的には、上記特許文献2及び3の構造と相違して、既存材である山形鋼Aより大きな断面を有する角形鋼管10を補強材として使用することができる。例えば、特許文献3の構造では、補強材は既存材よりもフランジの長さが短い山形鋼に限定され、補剛効果が十分でない場合がある。
補剛後の座屈耐力は補強材の断面二次モーメントが大きいほど大きくなるため、必要とされる座屈耐力に応じて補強材である角形鋼管10を選択すればよい。角形鋼管10の大きさは既存材である山形鋼Aの大きさに依存せず、角形鋼管10の1辺の長さを山形鋼Aのフランジ長さよりも長くすることも可能であり、最大で山形鋼Aの圧縮降伏耐力まで座屈耐力を補剛することができる。
さらに、特許文献3の構造では、補強区間全長に亘って補強材である山形鋼のブレード先端が既存材の山形鋼のフランジに密着している必要がある。そのため、例えば既存材に歪みや捩れ等がある場合、施行が困難となる。また、地震等によって応力が作用した場合、既存材と補強材とが離れ易いので、離れ難いように締め付け具(固定部材)を密に配置する必要がある。
一方、本実施形態では、山形鋼Aと角形鋼管10との間にスペーサ25が介在するので、スペーサ25の厚さや枚数を調整することによって山形鋼Aと角形鋼管10とを良好に固定することができる。そして、山形鋼Aとスペーサ25、及びスペーサ25と角形鋼管10とは平面で密接するので、安定性が良く、さらに、固定部材20で山形鋼Aが角形鋼管10側に押圧するように締付固定されているので、離れが生じ難い。
さらに、山形鋼A及び角形鋼管10の角部の丸みを帯びた部分以外の平面状の部分にスペーサ25が当接するので、山形鋼Aと角形鋼管10との角部同士の干渉を防止することができる。よって、角形鋼管10の角部を、上記特許文献1のように角部の綾を全長に亘って面取り加工する必要がなく、補強材の作製に手間が掛からない。ただし、スペーサ25を用いず、角形鋼管10の角部外面を面取り加工して、山形鋼Aのフランジ面A11と角形鋼管10の外面11を直接当接させてもよい。
さらに、山形鋼Aと角形鋼管10とはスペーサ25を介してのみ固定され、他の部分では山形鋼Aと角形鋼管10とは接触しない。そのため、既存材である山形鋼Aに入力された軸力は、スペーサ25を介してのみ補強材である角形鋼管10に伝達され、この角形鋼管10はそれ以外の応力を負担しない。よって、既存材である山形鋼Aが圧縮力を受けた場合、山形鋼Aの曲げや歪みなどに影響を受けずに、角形鋼管10は山形鋼Aの座屈変形を効果的に抑制する。
なお、図3に示すように、山形鋼Aのフランジ長さよりも1辺の長さが短い角形鋼管15を補強材とする場合には、山形鋼Aと角形鋼管15との間に介在されたスペーサ26とは別に、角形鋼管15と第2の当接片21bとの間にも平板状のスペーサ27を介在させればよい。なお、スペーサ25,26,27は、角形鋼管10,15又は締付プレート21に予め溶接等で固定しておいてもよい。
なお、固定部材の構成は、特に限定されない。山形鋼Aの周囲の既存材との干渉などを考慮して、固定部材の構成を定めればよい。
例えば、図4に示すように、4枚の締付プレート31,31,32,32と、これらを締結する締結具33,33,33とからなる固定部材30としてもよい。4枚の締付プレートは、2枚の第1の締付プレート31,31と、2枚の第2の締付プレート32,32とからなり、それぞれ平鋼板を曲げ加工したものである。
第1の締付プレート31は、それぞれ、山形鋼Aの一方のフランジA1の山側の面に内側面が当接する第1の当接片31aと、この第1の当接片31aの両端部からそれぞれ連続する2つの締結片31bとから構成されている。第2の締付プレート32は、それぞれ、角形鋼管10の山形鋼AのフランジA1と対向しない片の外面12に内側面が当接する第2の当接片32aと、この第2の当接片32aの一方の端部から連続する1つの締結片32bとから構成されている。各締結片31b,32bには貫通孔が形成されている。
このように、固定部材は、山形鋼Aとこれに添設された角形鋼管10とからなるもの全体の外面全体を取り囲む必要はない。
なお、補剛後の座屈耐力は、固定部材の設置間隔が密であればあるほど大きくなる。しかし、施行作業の手間を考慮すると、断面二次モーメントの大きな角形鋼管を使用して、固定部材の設置間隔を疎とするほうが効率的である。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造について図面を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態は、既存の鉄骨部材が2本の山形鋼A,Aからなる場合の補剛構造である。2本の山形鋼A,Aは、それぞれの一方のフランジA1,A1の山側の面の間に隙間を隔てて平行に、且つ、他方のフランジA1,A1が互いに反対方向に突出するように配置されており、全体として断面が略T字状になっている。
この補剛構造は、補強材である2本の角形鋼管10,10と、角形鋼管10,10の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、角形鋼管10,10を既存材である山形鋼A,Aに固定するための複数個の固定部材40とを備えている。
補強材である角形鋼管10は、山形鋼Aの2つのフランジA1,A1の谷側の面A11,A11に稜線を挟む2面の外面11,11が対向するように、山形鋼Aに添設される。
固定部材40は、山形鋼A,AのフランジA1,A1が該フランジA1,A1に対向する角形鋼管10の外面11,11を外側から押圧した状態で山形鋼A,Aと角形鋼管10,10とを固定するように構成されている。固定部材40は、山形鋼A,Aの長手方向と直交する方向に、2本の山形鋼A,Aとこれらにそれぞれ添設された2本の角形鋼管10,10とからなるもの全体の外面を取り囲んでいる。
固定部材40は、ここでは、3枚の締付プレート41,42,42と、これらを互いに固定する締結具43,43,43とからなる。3枚の締付プレートは、1枚の第1の締付プレート41と、2枚の第2の締付プレート42,42とからなり、それぞれ平鋼板を加工したものである。
第1の締付プレート41は、山形鋼Aの一方のフランジA1の山側の面に内側面がそれぞれ当接する2つの当接片41a,41aと、これら2つの当接片41a,41aの端部間に溶接等で固定され、2本の山形鋼A,Aの他方のフランジA1,A1の山側の面A11の間に挟み込まれて配置されている平板状の挟込片(挟込材)41bとから構成されている。各当接片41a,41aの端部にはそれぞれ貫通孔が形成されている。
第2の締付プレート42は、それぞれ、角形鋼管10の山形鋼AのフランジA1,A1と対向しない辺の外面12,12に内側面がそれぞれ当接する2つの当接片42aと、各当接片42aの一方の端部からそれぞれ連続する1つの締結片42bとから構成されている。各締結片42bには貫通孔が形成されている。2つの当接片42aとの間のなす角度は90度である。
さらに、本実施形態に係る鉄骨部材の補剛構造は、固定部材40が配置された各箇所において、山形鋼A、Aのそれぞれの谷側のフランジ面A11,A11と、該フランジ面A11,A11と対向する角形鋼管10の外面11,11とに当接するように、4枚の平板状のスペーサ45,45が配置されている。
3枚の締付プレート41,42,42は、4つの締結片42bのそれぞれ内側面を当接片41a,41a及び挟込片41bに当接した状態で、内部に山形鋼Aと角形鋼管10とを収容した状態で締結具43,43,43によって固定される。締結具43は、ここでは、ボルトとナットとからなる。
本実施形態に係る鉄骨部材の補剛構造によれば、ボルトとナットとからなる締結具43で3枚の締付プレート41,42,42を締結することによって、2本の山形鋼A,A、2本の角形鋼管10,10及び2枚のスペーサ45,45は、直交する2方向から締め付けられ、強固に固定される。よって、上述した第1の実施形態に係る鉄骨部材の補剛構造と同様に、山形鋼A,Aが圧縮力を受けた場合に、山形鋼A,Aに固定された角形鋼管10,10が山形鋼A,Aの座屈変形を抑制することができる。
このように、既存材である山形鋼A,Aに追加工を行うことなく、且つ、耐震壁等の新たな部材を追加することなく、補剛することができる。従って、引張力のみを負担していた山形鋼A,Aでも圧縮力を負担することができ、鉄骨建築物の耐震性能が向上する。
さらに、既存材である2本の山形鋼A,AのフランジA1の山側の面の間に平板状の挟込片41bが挟み込まれて配置されているので、山形鋼A,Aと角形鋼管10,10とを固定部材40によって固定する際に、2本の山形鋼A,Aが隙間を隔てて平行な状態が維持され、山形鋼A,Aに歪みや曲げなどが生じない。
なお、平行に配置された2本の山形鋼A,Aは、その隙間を維持するように、間隔を隔ててスペーサがボルト、ナットなどによって固定されている。このような箇所では、ボルトやナットとの干渉を防止するために、角形鋼管10,10に切欠を形成しておくことが好ましい。さらに、スペーサを挟込材の代わりに利用して、固定部材を構成してもよい。
また、図6に示すように、山形鋼A,Aのフランジ長さよりも1辺の長さが短い角形鋼管15,15を補強材とする場合には、角形鋼管15,15と2つの当接片42aとの間に平板状のスペーサ46を介在させればよい。なお、スペーサ45,46は、角形鋼管10,15又は締付プレート41,42,42に予め溶接等で固定しておいてもよい。
なお、固定部材の構成は、特に限定されない。山形鋼Aの周囲の既存材との干渉などを考慮して、固定部材の構成を定めればよい。
例えば、第1の締付プレート41では、2つの当接片41a,41aと挟込片41bとを溶接等で固定したが、これらを別個の部材として、互いに締結具で固定してもよい。
さらに、山形鋼と角形鋼管とを取り囲む締付プレート同士を締結具で締付固定することによって、山形鋼を角形鋼管側に押圧した状態で固定する場合について説明したが、これに限定されない。
例えば、図7に示すように、押付具56で押し付けることによって、山形鋼A,Aを角形鋼管10,10側に押圧した状態で固定する固定部材50であってもよい。
固定部材50は、ここでは、4枚の締付プレート51,51,52,52と、1枚の挟込プレート(挟込材)53からなる。これら各プレート51,52,53は、それぞれ平鋼板を加工したものである。
第1の締付プレート51は、それぞれ、山形鋼Aの一方のフランジA1の山側の面に内側面が対向する対向片51aと、角形鋼管10の山形鋼AのフランジA1と対向しない辺の外面12に内側面が当接する当接片51bと、対向片51aの端部から連続する1つの締結片51cとから構成されている。対向片51aと締結片51cには貫通孔が形成されている。対向片51aと当接片51b及び対向片51aと締結片51cの間のなす角度はそれぞれ90度である。
第2の締付プレート52は、それぞれ、角形鋼管10の山形鋼AのフランジA1と対向しない辺の外面12に内側面が当接する当接片52aと、当接片52aの一方の端部から連続する締結片52bとから構成されている。締結片52bには貫通孔が形成されている。
挟込プレート53は、平板状であり、2つの山形鋼A,Aの他方のフランジA1,A1の山側の面の間に挟み込まれて配置されている。挟込プレート53は、両端部に貫通孔が形成されている。
さらに、固定部材40が配置された各箇所において、山形鋼A、Aのそれぞれの谷側のフランジ面A1,A1と、該フランジ面A1,A1と対向する角形鋼管10の外面11,11とに当接するように、4枚の平板状のスペーサ55,55が配置されている。
2枚の第1の締付プレート51及び2枚の第2の締付プレート52は、それぞれ、その間に挟込プレート53を挟み込んだ状態で、締結具54によって固定される。締結具54は、ここでは、ボルトとナットとからなる。
さらに、第1の締付プレート51の対向片51aに形成された貫通孔を介して、押付具56によって、山形鋼Aの一方のフランジA1がスペーサ55を介して角形鋼管10に向って押し付けられる。押付具56は、ここでは、押付ボルト56aとナット56bとからなっており、押付ボルト56aの押付量を調整することができる。これにより、山形鋼Aのフランジ面A1と第1の締付プレート51の対向片51aとの間隔を適宜調整することが可能であり、山形鋼Aに歪みなどがあっても確実に補剛することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フランジ長さが等しい等辺山形鋼Aを断面外形が正方形の角形鋼管10,15で補剛する場合を図面に示したが、フランジ長さが異なる不等辺山形鋼を断面外形が長方形の角形鋼管で補剛してもよい。
締結具22,33,43,54がボルトとナットとからなる場合について説明した。しかし、締結具はこれに限定されず、クランプやクリップからなるものであってもよい。
10,15…角形鋼管、 11,12…角形鋼管の外面、 20,30,40,50…固定部材、 15,25,26,35,45,46,55…スペーサ、 41b…挟込片(挟込材)、 53…挟込プレート(挟込材)、 A…山形鋼、 A1…フランジ、 A11…フランジの谷側の面。

Claims (4)

  1. 鉄骨建築物を構成する山形鋼からなる鉄骨部材の補剛構造であって、
    前記山形鋼の2つのフランジの谷側の面に稜線を挟む2面の外面が対向するように、該山形鋼の長手方向に沿って延在する角形鋼管と、
    前記山形鋼の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、前記山形鋼のフランジが該フランジに対向する前記角形鋼管の外面を外側から押圧した状態で前記山形鋼と前記角形鋼管とを固定するように、前記山形鋼の山側の1面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートと、前記山形鋼の山側の1面と対向する面以外の面と対向する前記角形鋼管の外面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートとが締結されてなる固定部材とを備えることを特徴とする鉄骨部材の補剛構造。
  2. 前記固定部材が配置された各箇所において、前記山形鋼の谷側のフランジ面と、該フランジ面と対向する前記角形鋼管の外面とに当接するように、平板状のスペーサが配置されていることを特徴とした請求項1に記載の鉄骨部材の補剛構造。
  3. 前記鉄骨部材が、2本の山形鋼がそれぞれの一方のフランジの山側の面の間に隙間を隔てて平行に配置されてなる場合、
    前記2本の山形鋼のフランジの山側の面の間に、平板状の挟込材が挟み込まれて配置されていることを特徴とした請求項1又は2に記載の鉄骨部材の補剛構造。
  4. 鉄骨建築物を構成する山形鋼からなる鉄骨部材の補剛方法であって、
    前記山形鋼の2つのフランジの谷側の面に稜線を挟む2面の外面が対向するように、該山形鋼の長手方向に沿って角形鋼管を添設する工程と、
    前記山形鋼の長手方向に間隔をおいて複数箇所で、前記山形鋼の山側の1面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートと、前記山形鋼の山側の1面と対向する面以外の面と対向する前記角形鋼管の外面と当接する片を有し鋼板からなる締付プレートとが締結し、前記山形鋼のフランジが該フランジに対向する前記角形鋼管の外面を外側から押圧した状態で前記山形鋼と前記角形鋼管とを固定する工程とを備えることを特徴とする鉄骨部材の補剛方法。
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