始めに、実施例1のテーブル装置6(乗物用テーブル装置)の構成について、図1〜図9を用いて説明する。本実施例のテーブル装置6は、図1に示すように、自動車の右側座席として構成されたシート1に備え付けられている。ここで、上記シート1は、着座乗員の背凭れとなるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、を備えた構成となっている。上記シートクッション3は、その左右両側部に、上面部にアームレスト5を有する立板状の支持台4が立設された構成となっている。
そして、上記シート1の車幅方向の内側となる図示向かって右側の支持台4には、同支持台4に対して板状のテーブル10を出し入れすることのできる構成を備えたテーブル装置6が設けられている。上記テーブル装置6は、アルミニウム合金製のテーブル10と、テーブル10を支持台4に対して出し入れ移動させることのできる移動装置20と、を有する。上記移動装置20は、テーブル10を支持台4の内部に収めた収納状態(仮想線状態)と、着座乗員の前部に横長な水平姿勢の形に引き出した使用状態(実線状態)と、の間で出し入れするようになっている。なお、上記移動装置20の具体的な構成については、特開2015−20532号公報又は特開2013−43501号公報等の文献に開示された公知の構成と同じとなっているため、詳細な説明を省略することとする。
上述した移動装置20により、テーブル10は、図1に示すように、上記支持台4から着座乗員の前側の位置まで引き出されて横長な水平姿勢の状態(使用状態)に展開されるようになっている。また、上記テーブル10は、上記展開された使用状態から、更に、図2に示すように、その形状の一部を前側に開いて、テーブル面を拡張することができるようになっている。
具体的には、上記テーブル10は、図3〜図7に示すように、互いに2軸ヒンジ構造13によって2つ折り可能にヒンジ連結された固定側ピース11と可動側ピース12とから構成されている。上記固定側ピース11と可動側ピース12とは、それぞれ、互いの隣接する左右2箇所の縁部同士が2軸の回転ヒンジを備えた2軸ヒンジ構造13によって、互いに2つ折り状に閉じられたり(図3及び図5参照)面一状に開かれたり(図4及び図7参照)するように連結されている。
上述したテーブル10は、図1に示すように、上述した固定側ピース11に移動装置20が連結されていて、固定側ピース11上に可動側ピース12が折り畳まれた状態で、移動装置20によって支持台4に対して出し入れ操作されるようになっている。そして、上記テーブル10は、上述した支持台4から使用状態に引き出された状態では、図2に示すように、上側に折り畳まれた可動側ピース12を下側の固定側ピース11に対して前側に開くように操作することにより、可動側ピース12が固定側ピース11と面一状を成す形に展開されて、テーブル面が前側に拡張されるようになっている(図4及び図7参照)。
上述したテーブル10は、上述した前側に開いた可動側ピース12を後側に閉じるように操作することにより、閉じられた可動側ピース12が固定側ピース11の上側に折り畳まれる形で2つ折りされた状態に戻される(図3及び図5参照)。その際、可動側ピース12は、図4に示すように、固定側ピース11の天板面11A上の左右2箇所の角部に設けられた各クッションゴム11Dにより、固定側ピース11上に折り畳まれる際の当たりが弾性的に和らげられて緩やかに閉じられるようになっている。
また、上記テーブル10は、図6〜図7に示すように、上述した可動側ピース12の開閉操作時には、その所々の箇所で、上述した固定側ピース11と可動側ピース12とをヒンジ連結している各2軸ヒンジ構造13に装着されたゴム製のOリング13Cによって、各Oリング13Cとの干渉に伴う弾性的な節度感が付与されるようになっている。具体的には、上記の節度感が付与は、可動側ピース12が固定側ピース11上に折り畳まれた2つ折り状態から180度の展開状態まで開かれる際の45度と135度の各開き角度においてなされるようになっている。また、可動側ピース12が上記180度の展開状態から2つ折り状態まで閉じられる際にも、上記と同じ各開き角度位置において、同じような節度感が付与されるようになっている。このような開き角度で可動側ピース12の開閉操作に節度感が付与されることにより、可動側ピース12の開閉操作に重厚感が付与されて、質感のある良好な操作感が得られるようになっている。
上述した各2軸ヒンジ構造13は、図9に示すように、それぞれ、固定側ピース11と可動側ピース12との繋ぎ具となるステンレス製のヒンジブラケット13Aと、ヒンジブラケット13Aを可動側ピース12と固定側ピース11とにそれぞれ回転可能にピン連結する2本のヒンジボルト13B1,13B2と、ヒンジブラケット13Aの外周部に装着されたゴム製のOリング13Cと、によって構成されている。ここで、上述した可動側ピース12が本発明の「テーブル」に相当し、各ヒンジブラケット13Aが本発明の「ベース」に相当し、各Oリング13Cが本発明の「抵抗部材」に相当する。
上述した各ヒンジブラケット13Aは、それぞれ、側面視略矩形状をなす板状部材により形成されている。上記各ヒンジブラケット13Aは、それらの片側半分の箇所ともう片側半分の箇所とが、それぞれ、固定側ピース11と可動側ピース12の各ヒンジ連結される縁部箇所に凹んで形成された各凹面11C,12C内にそれぞれ嵌め込まれてセットされている。そして、各ヒンジブラケット13Aは、それらの可動側ピース12の各凹面12Cに嵌め込まれた部分と、固定側ピース11の各凹面11Cに嵌め込まれた部分とに、それぞれ、軸方向の外側からヒンジボルト13B1,13B2が差し込まれて締結されることにより、各ヒンジボルト13B1,13B2を介して可動側ピース12と固定側ピース11とに対してそれぞれ互いに平行な軸回りに回転することができる形にピン連結された状態とされている。
上述した各ヒンジブラケット13Aは、図5〜図7に示すように、上述した各側のヒンジボルト13B1,13B2を中心とした可動側ピース12と固定側ピース11とに対するそれぞれの相対回転が、90度の回転範囲内に留められるよう、これらに対して90度の各回転位置で当接する構成となっている。具体的には、各ヒンジブラケット13Aは、それらの可動側ピース12及び固定側ピース11の開閉回転の内周側に位置する両内角部13A6,13A7が、それぞれ、各側のヒンジボルト13B1,13B2を中心とした円弧状の形に丸められた形状とされている。そして、各ヒンジブラケット13Aは、それらの可動側ピース12及び固定側ピース11の開閉回転の外周側に位置する両外角部13A8,13A9が、それぞれ、直角に角張った形に張り出した形状とされている。
このような形状とされていることにより、各ヒンジブラケット13Aは、図5に示すように、可動側ピース12が固定側ピース11に折り畳まれた2つ折り状態の時には、それらの天板面13A2が可動側ピース12の各凹面12Cと固定側ピース11の各凹面11Cとにそれぞれ対面した状態として保持されるようになっている。また、各ヒンジブラケット13Aは、上記可動側ピース12が上記2つ折り状態から開かれる方向に回されることにより、図6に示すように、それらの可動側ピース12との連結側に位置する内角部13A6の丸められた形状によって、可動側ピース12との干渉を避ける形で、可動側ピース12の開き方向の相対回転を逃がすようになっている。
そして、各ヒンジブラケット13Aは、上記可動側ピース12の開き回転の進行により、可動側ピース12の各凹面12Cが各ヒンジブラケット13Aの内角部13A6を越えて側板面13A4に対面する90度の開き角度まで相対回転することにより、それらの側板面13A4に可動側ピース12の各凹面12Cが面当接して、可動側ピース12のそれ以上の相対的な開き回転を規制した状態となる(図6参照)。したがって、上記状態から可動側ピース12が更に開かれる方向に回されると、各ヒンジブラケット13Aは、図7に示すように、そこから先は可動側ピース12と一体的となって固定側ピース11に対して開かれる方向に回される。この回転により、各ヒンジブラケット13Aは、それらの固定側ピース11との連結側に位置する内角部13A7の丸められた形状により、固定側ピース11との干渉を避ける形で、固定側ピース11に対する開き方向の相対回転が逃がされるようになっている。
そして、各ヒンジブラケット13Aは、上記可動側ピース12との一体的な固定側ピース11に対する開き回転の進行により、固定側ピース11の各凹面11Cが各ヒンジブラケット13Aの内角部13A7を越えて側板面13A5に対面する90度の開き角度まで相対回転することにより、各側板面13A5に固定側ピース11の各凹面11Cが面当接して、固定側ピース11に対するそれ以上の開き回転が規制された状態となる(図7参照)。これにより、上記固定側ピース11に対する各ヒンジブラケット13Aの開き回転と、各ヒンジブラケット13Aに対する可動側ピース12の開き回転と、の双方がそれぞれ規制された状態となり、可動側ピース12が固定側ピース11に対して計180度の開き角度まで展開されたところで展開方向の移動が重力作用により規制されて保持された状態となる。
上述した可動側ピース12と各ヒンジブラケット13Aと固定側ピース11との間の各相対回転は、可動側ピース12が上記展開状態から閉じられる際にも、上記とは逆の流れで同様に行われるようになっている。そして、上述した各ヒンジブラケット13Aは、図5に示すように、可動側ピース12が固定側ピース11上に2つ折りされた状態時には、それらの上側に面を向ける側板面13A4がそれぞれ可動側ピース12の上側に面を向ける底板面12Bと略面一状の面を形成し、下側に面を向ける側板面13A5がそれぞれ固定側ピース11の下側に面を向ける底板面11Bと略面一状の面を形成し、前側に面を向ける底板面13A3がそれぞれ可動側ピース12と固定側ピース11の前側に面を向ける各側面と略面一状の面を形成した状態をとるようになっている。
また、各ヒンジブラケット13Aは、図7に示すように、可動側ピース12が固定側ピース11から180度の開き角度まで展開された状態では、それらの上側に面を向ける天板面13A2がそれぞれ可動側ピース12と固定側ピース11の上側に面を向ける各天板面12A,11Aと略面一状の面を形成し、下側に面を向ける底板面13A3がそれぞれ可動側ピース12と固定側ピース11の下側に面を向ける各底板面12B,11Bと略面一状の面を形成した状態をとるようになっている。
ところで、図5〜図9に示すように、上述した各ヒンジブラケット13Aの外周部には、それぞれ、前述したゴム製のOリング13Cが外周側から嵌め込まれて装着されている。これらOリング13Cは、横断面が一様な形で延びる無端状のリング部材として構成されている。これらOリング13Cは、図8〜図9に示すように、上述した各ヒンジブラケット13Aの外周部の中央箇所に沿って環状に凹んで形成された各嵌合溝13A1内に外周側から弾性的に嵌め込まれて装着されている。これら嵌合溝13A1は、それぞれ、図8に示すように、それらの凹みの側面が寸胴な形で落ち込み、凹みの底面がU字状に丸まった形で湾曲して落ち込む横断面形状に形成されている。ここで、各嵌合溝13A1が本発明の「凹部」に相当する。
詳しくは、上述した各嵌合溝13A1は、図5〜図7に示すように、上述した各ヒンジブラケット13Aの丸まった形に形成された各内角部13A6,13A7を通る領域では、それぞれ、各内角部13A6,13A7の円弧形状に沿う形に湾曲した溝形状とはなっておらず、溝の凹みが部分的に浅くされて、各Oリング13Cの嵌め込み深さが他の領域よりも浅くなるように形成されている。一方、各Oリング13Cは、上述した各嵌合溝13A1の周長よりも僅かに短い周長を有した横断面が一様な形で延びる無端状の形に形成されている。各Oリング13Cは、それらの周長を引き伸ばしながら各嵌合溝13A1内に外周側から嵌め込まれてセットされることにより、それらの弾発力によって各嵌合溝13A1内に嵌め込まれて、各嵌合溝13A1から外れない状態に保持されるようになっている。
上述した各Oリング13Cは、図8に示すように、上述した各嵌合溝13A1のU字状に丸まった凹みの底面形状に合致する嵌合部13C1と、各嵌合溝13A1から外部にブロック状に張り出す張出部13C2と、を有する、横断面略D字状の形に形成されている。上述した各Oリング13Cは、それらの嵌合部13C1を各嵌合溝13A1内に嵌め込んでセットすることにより、各嵌合部13C1が各嵌合溝13A1内に隙間なく合致した形に嵌め込まれた状態となり、各張出部13C2が各嵌合部13C1から僅かに外部に張り出した形に組み付けられるようになっている。しかし、各Oリング13Cは、図5〜図7に示すように、それらの上述した各ヒンジブラケット13Aの丸まった各内角部13A6,13A7の領域に嵌め込まれる領域では、各嵌合溝13A1の凹みの深さが部分的に浅くなっているために、各張出部13C2が他の領域よりも大きく外部に張り出した形にセットされるようになっている。
上記のように各ヒンジブラケット13Aの外周部に装着された各Oリング13Cは、前述したようにテーブル10の可動側ピース12を固定側ピース11に対して開閉回転させる時に、次のように可動側ピース12と固定側ピース11とに干渉して、可動側ピース12の開閉操作に弾力的な節度感を付与するようになっている。すなわち、各Oリング13Cは、図5〜図6に示すように、可動側ピース12が2つ折りされた状態から各ヒンジブラケット13Aに対して90度の開き角度まで開かれる間において、各ヒンジブラケット13Aの内角部13A6の最も膨らんだ45度の開き角度を通るところで、この領域に大きく張り出している各Oリング13Cの張出部13C2が可動側ピース12の各凹面12Cに干渉して、各凹面12Cに各Oリング13Cが弾性的に押し潰されたことに伴う弾発力を作用させる。これにより、可動側ピース12の各ヒンジブラケット13Aに対する開き回転に対して、弾力的な摺動摩擦抵抗力が付与される形で節度感が付与される。上記の節度感は、可動側ピース12の各凹面12Cが各ヒンジブラケット13Aの内角部13A6を越えるのに伴って、各Oリング13Cの弾発力の減衰により漸次弱められていくようになっている。
また、図6に示すように、上記可動側ピース12が90度の開き角度まで開かれた後、更に可動側ピース12が各ヒンジブラケット13Aと一体的となって図7に示す180度の開き角度まで開かれる間において、固定側ピース11の各凹面11Cが各ヒンジブラケット13Aの内角部13A7の最も膨らんだ135度の開き角度を通るところでも、この領域に大きく張り出している各Oリング13Cの張出部13C2が固定側ピース11の各凹面11Cに干渉して、各凹面11Cに各Oリング13Cが弾性的に押し潰されたことに伴う弾発力を作用させる。これにより、可動側ピース12の固定側ピース11に対する開き回転に対して、弾力的な摺動摩擦抵抗力が付与される形で節度感が付与される。上記の節度感は、固定側ピース11の各凹面11Cが各ヒンジブラケット13Aの内角部13A7を越えるのに伴って、各Oリング13Cの弾発力の減衰により漸次弱められていくようになっている。
上述した各Oリング13Cによる弾力的な節度感は、可動側ピース12が図7に示した180度の展開状態から図5に示す2つ折り状態まで閉じられる際にも、上記と同じ各開き角度位置において、同じように掛けられるようになっている。しかし、上記の節度感の付与は、可動側ピース12が上述したような段階的な回転によって開閉回転されるのではなく、可動側ピース12が各2軸ヒンジ構造13の各ヒンジボルト13B1,13B2を中心とした2軸まわりに前側に押し回されて開かれたり後ろ側に引き込まれて閉じられたりする時には、可動側ピース12の各ヒンジブラケット13Aに対する相対回転と、各ヒンジブラケット13Aの固定側ピース11に対する相対回転とが同時に行われることがある。したがって、このような場合には、各Oリング13Cによる弾力的な節度感は、上述した可動側ピース12と各ヒンジブラケット13と固定側ピース11との間の個々の相対的な開き角度に従って掛けられることとなるため、上記とは異なる開き角度で掛けられることとなる。
上述した各Oリング13Cは、上述したように略D字状の横断面形状に形成されていることで、それらの嵌合部13C1が各嵌合溝13A1内に隙間なく合致した形に嵌め込まれると共に、各張出部13C2が上記可動側ピース12の開閉操作時に可動側ピース12の各凹面12C又は固定側ピース11の各凹面11Cとそれぞれ面当接した形に干渉するようになっている。このような構成となっていることにより、各Oリング13Cは、それらの張出部13C2が可動側ピース12の各凹面12C又は固定側ピース11の各凹面11Cと広く面当たりして横断面を真っ直ぐ押し潰される形で圧縮力を受けるようになっている。
また、各Oリング13Cは、上記張出部13C2が圧縮力を受けた際に、各嵌合部13C1が各嵌合溝13A1内に隙間なく合致した形に嵌め込まれていることから、各嵌合溝13A1内で逃げを生じることなく、各張出部13C2において受けた圧縮力を各嵌合部13C1において安定して受け止められるようになっている。したがって、上記各Oリング13Cによって、可動側ピース12の各凹面12C又は固定側ピース11の各凹面11Cに対して適切な弾発力を付与することができる。
また、上述した各Oリング13Cは、横断面が一様な形で延びる無端状のリング部材となっていることから、可動側ピース12の開閉操作時に可動側ピース12の各凹面12C又は固定側ピース11の各凹面11Cと擦れて回転方向に押し動かされることがあっても、常に同じ形態で弾発力を付与することができる状態に保たれるようになっている。上述した各Oリング13Cは、図5〜図7において上述したように各ヒンジブラケット13Aの丸まった形に形成された各内角部13A6,13A7を通る領域では、各張出部13C2が各嵌合溝13A1から部分的に外部に大きく張り出した構成となっているが、それ以外の領域においても、僅かながら各張出部13C2が各嵌合溝13A1から張り出した構成とされている。
このような構成となっていることにより、可動側ピース12の開閉操作の全域において、常に各Oリング13Cの張出部13C2が可動側ピース12の各凹面12C及び固定側ピース11の各凹面11Cと干渉して、これらに僅かな弾発力を付与して摺動抵抗力を付与するようになっている。また、可動側ピース12の各凹面12Cと固定側ピース11の各凹面11Cとが各ヒンジブラケット13Aの天板面13A2又は側板面13A4,13A5と対面する際の当たりが各Oリング13Cの張出部13C2との当たりにより弾性的に柔らかく受け止められて、叩き音等の異音が発生しにくくなっている。
以上をまとめると、本実施例のテーブル装置6は次のような構成となっている。すなわち、テーブル(可動側ピース12)と、テーブル(可動側ピース12)を回転可能に支持するベース(ヒンジブラケット13A)と、を有するテーブル装置6であって、テーブル(可動側ピース12)とベース(ヒンジブラケット13A)との間に、テーブル(可動側ピース12)の回転移動に抵抗力を付与する抵抗部材(Oリング13C)がテーブル(可動側ピース12)の回転域の一部において局所的に抵抗力を増大させて作用するように設けられているものである。
このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)が、テーブル(可動側ピース12)の回転域の一部でしか抵抗力を作用させないことから、その抵抗力が劣化により衰えても、他の領域との間で生じる相対的な抵抗力の差異による段差的な節度感が安定して付与されやすくなる。したがって、テーブル(可動側ピース12)のヒンジ回転させる操作感を、上記安定した節度感の付与により、向上させることができる。
また、抵抗部材(Oリング13C)が、テーブル(可動側ピース12)に摩擦による摺動抵抗力を付与する部材として、ベース(ヒンジブラケット13A)に別部材として取り付けられて設けられている。このような構成となっていることにより、抵抗部材として、テーブル(可動側ピース12)の回転移動に抵抗力を付与するのに適した自由度の高いものを選択できるようになる。
また、ベース(ヒンジブラケット13A)に、抵抗部材(Oリング13C)を外れ止めした形に組み付けることのできる嵌合構造が(嵌合溝13A1)設けられている。このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)のベース(ヒンジブラケット13A)に対する取り付け状態をより安定させることができる。
詳しくは、上記嵌合構造は、抵抗部材(Oリング13C)を嵌め込み可能にベース(ヒンジブラケット13A)に形成された凹部(嵌合溝13A1)により構成されている。このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)のベース(ヒンジブラケット13A)に対する取り付け状態をより安定させることができる。
また、上記凹部(嵌合溝13A1)が、ベース(ヒンジブラケット13A)のテーブル(可動側ピース12)の回転方向に沿う全周域に亘って無端状に凹んだ溝として形成されている。抵抗部材(Oリング13C)が、上記無端状の凹部(嵌合溝13A1)に嵌め込まれて装着される無端状のリング部材として構成されている。このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)にベース(ヒンジブラケット13A)に嵌合させるための突起を設けることなく、抵抗部材(Oリング13C)をベース(ヒンジブラケット13A)に強く嵌合させた形に組み付けることができる。
また、抵抗部材(Oリング13C)が、上記凹部(嵌合溝13A1)の内周面の全域とテーブル(可動側ピース12)とにそれぞれ面当接する横断面形状に形成されている。このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)をベース(ヒンジブラケット13A)の凹部(嵌合溝13A1)内で広く面当接させて逃がしにくい形で支えることができ、テーブル(可動側ピース12)に対して安定した摺動抵抗力を付与することができる。
また、抵抗部材(Oリング13C)が、テーブル(可動側ピース12)との干渉に伴う弾発力によりテーブル(可動側ピース12)の回転移動に抵抗力を付与する弾性部材として構成されている。このような構成となっていることにより、抵抗部材(Oリング13C)によってテーブル(可動側ピース12)に弾力的な節度感を付与することができ、テーブル(可動側ピース12)のヒンジ回転させる操作感をより向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を1つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施することができるものである。例えば、本発明の乗物用テーブル装置の構成は、鉄道等の自動車以外の車両の他、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるテーブル装置に適用することができるものである。また、テーブルの回転は、テーブルを前後にひっくり返す回転の他、水平方向に旋回させる回転や、幅方向に起倒させる回転などであってもく、特定の形態に限定されるものではない。
また、テーブルの回転移動に抵抗力を付与する抵抗部材は、テーブルの回転域の一部において局所的に抵抗力を増大させて作用するようになっているものであればよく、テーブルの回転域の一部でのみ抵抗力を付与するものの他、テーブルの回転域の全域において抵抗力を付与する中で一部の回転域でのみ局所的に抵抗力を増大させて付与するものであってもよい。
また、抵抗部材は、ベースに設けられるものの他、テーブルに設けられてベースとの干渉によりテーブルに抵抗力を付与するものであってもよい。また、抵抗部材は、テーブル及び/又はベースの一部分としてこれらとは別体の部材ではなく形状の一部分により構成されたものであってもよい。また、抵抗部材がテーブル及び/又はベースに別部材として取り付けられる場合において、抵抗部材がテーブル及び/又はベースに対して接着剤又は締結ビス等の何らかの結合手段を用いて取り付けられるようになっていてもよい。また、抵抗部材は、テーブルの回転移動に摺動摩擦による抵抗力を付与するものの他、粘性の抵抗力を付与するものであってもよい。
また、抵抗部材は、金属材又は樹脂材等のゴム材以外の材料からなるものであってもよい。また、抵抗部材は、複数設けられるものであってもよい。また、抵抗部材は、必ずしも、テーブル及び/又はベースに形成された嵌合溝に対して、隙間なく合致した形に嵌合される横断面とされたものでなくてもよく、隙間を有した形に嵌合されて、嵌合溝内で逃げを生じながら撓まされるものであってもよい。このような逃げの設定によって、抵抗部材により発揮される弾発力の強弱の調整を行うことができる。また、同じように、抵抗部材は、その相手側部材と干渉する張出部の形状が、相手側部材に対して面接触するものの他、線接触又は点接触して抵抗力を付与するものであってもよい。また、抵抗部材の相手側部材と干渉する張出部を中空状にしたり括れさせたりすることにより、相手側部材に付与する弾発力の強弱の調整を行うことができる。
具体的には、上述した抵抗部材は、次のような横断面形状を有するOリングから成るものであってもよい。すなわち、図10に示すように、抵抗部材としてのOリング13Dは、横断面円形状の形に形成され、U字状に丸まった各嵌合溝13A1の内周面形状に合致する切頭円形状の嵌合部13D1と、各嵌合溝13A1から外部に円弧状の形に張り出す張出部13D2と、を有する構成とされたものであってもよい。
上記のようにOリング13Dの張出部13D2が円弧状に張り出す形状とされたものでは、実施例1で示したOリング13Cのように張出部13C2がブロック状に張り出す形状とされたものと比べると、張出部13D2の弾発力により発揮される摺動摩擦抵抗力は低下することとなる。したがって、上記のように同じ横断面形状を有する各嵌合溝13A1に合致する形状を有したもの同士であっても、各嵌合溝13A1から張り出す部分の横断面形状の違いによって、発揮される抵抗力の強弱の調整を簡便に行うことができる。
また、図11に示すように、抵抗部材としてのOリング13Eは、横断面矩形状の形に形成され、矩形状に凹んだ各嵌合溝13A1の内周面形状に合致するブロック状の嵌合部13E1と、各嵌合溝13A1から外部にブロック状の形に張り出す張出部13E2と、を有する構成とされたものであってもよい。また、図12に示すように、抵抗部材としてのOリング13Fは、横断面略X字状の形に形成され、矩形状に凹んだ各嵌合溝13A1の側面と底面とに対してそれぞれ各辺の真ん中では凹みを浮かせて両端を当てた状態に合致する横断面略X字形状の嵌合部13F1と、各嵌合溝13A1から外部に向かって2つの山形状を横並び状に膨らませる形で張り出す張出部13F2と、を有する構成とされたものであってもよい。また、図13に示すように、抵抗部材としてのOリング13Gは、横断面略矩形状の形に形成され、各嵌合溝13A1の矩形状に凹んだ底面形状に合致するブロック状の嵌合部13G1と、各嵌合溝13A1から外部に円弧状の形に張り出す張出部13G2と、を有する構成とされたものであってもよい。
上記のようにOリング13Gの張出部13G2が円弧状に張り出す形状とされたものでは、図12で示したOリング13Fのように張出部13F2が2つの山形状を横並び状に膨らませる形で張り出す形状とされたものと比べると、接触面積が少なくなる分、張出部13G2の弾発力により発揮される摺動摩擦抵抗力は低下することとなる。また、図12に示したOリング13Fのように張出部13F2が2つの山形状を横並び状に膨らませる形で張り出す形状とされたものでは、図11で示したOリング13Eのように張出部13E2がブロック状の形で寸胴に張り出す形状とされたものと比べると、接触面積が少なくなる分、張出部13F2の弾発力により発揮される摺動摩擦抵抗力は低下することとなる。更に、上記図12のOリング13Fは、横断面略X字状の形を成して、矩形状に凹んだ各嵌合溝13A1の側面と底面とに対してそれぞれ逃げの凹みを有した形で合致していることから、このような逃げの設定によっても張出部13F2の弾発力により発揮される摺動摩擦抵抗力が下げられるように調整される。このように、同じ横断面形状を有する各嵌合溝13A1に合致する形状を有したもの同士であっても、各嵌合溝13A1から張り出す部分の横断面形状の違いや各嵌合溝13A1内での逃げの空間の有無によっても、発揮される抵抗力の強弱の調整を簡便に行うことができる。