JP6545960B2 - 標的物質の検出用試薬、検出方法および標的物質を検出するために用いられる担体ならびにその製造方法 - Google Patents

標的物質の検出用試薬、検出方法および標的物質を検出するために用いられる担体ならびにその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、標的物質の検出用試薬に関する。より詳しくは、本発明は、特定の糖鎖を含む糖タンパク質などの検出に有用な標的物質の検出方法、標的物質の検出用試薬、担体および当該担体の製造方法に関する。
糖鎖は、一般的に、グリコシド結合によって共有結合した複数の単糖から構成される化合物である。かかる糖鎖は、例えば、タンパク質または脂質と結合して糖タンパク質または糖脂質を形成する。
糖鎖を含む標的物質などを分析する方法としては、例えば、糖鎖と結合するレクチンを用いて当該糖鎖または標的物質を分析する方法が提案されている(例えば、特許文献1および2を参照)。
特許文献1に記載の方法は、糖鎖に相互作用を示すタンパク質と糖鎖または複合糖質上の糖鎖との相互作用を利用して糖鎖構造を解析する方法である。特許文献1に記載の方法では、前記糖鎖に相互作用を示すタンパク質であるレクチンが、エポキシ基を活性基として有する化合物を介して基板に固定化されたアレイが用いられている。
また、特許文献2に記載の方法は、糖タンパク質であるMac−2結合タンパク質(Mac−2−binding protein;以下、「M2BP」ともいう)の糖鎖と結合するレクチンであるウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(Wisteria floribunda Agglutinin)(以下、「WFA」ともいう)などを用いてM2BPを測定する方法である。特許文献2に記載の方法では、前記レクチンとして、前記レクチンにビオチンが結合したビオチン化レクチンがストレプトアビジンを介して固定化された磁性粒子、前記レクチンが固定化されたアレイなどが用いられている。
これらの特許文献1および2に記載の方法では、レクチンの活性を十分に発現させて糖鎖を検出するために、天然のレクチンのサブユニット構造を保持した状態で当該レクチンが固相に固定化されている。
米国特許出願公開第2007/202535号明細書 米国特許出願公開第2012/172247号明細書
しかし、レクチンは、糖鎖との反応に際して、立体構造が維持されていることを必要とするが、溶液中で長期間にわたって立体構造を安定的に維持することが難しく、十分な反応性を確保しにくい。
本発明は、前記従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、標的物質に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れる標的物質の検出用試薬、標的物質を検出するために用いられる担体および当該担体の製造方法ならびに高い感度および高い再現性を確保することができる標的物質の検出方法を提供することを目的とする。
本発明の1つの側面は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出するための試薬であって、WFAが2量体化された2量体WFAが固相担体に固定化された2量体WFA固定化担体を含有していることを特徴とする標的物質の検出用試薬を含む。
本実施形態に係る標的物質の検出用試薬は、2量体WFA固定化担体を含有しているので、糖鎖、特に、末端にN−アセチル−D−ガラクトサミン〔IUPAC名:2−(アセチルアミノ)−2−デオキシ−D−ガラクトース〕残基(以下、「GalNAc残基」ともいう)を有する糖鎖への結合能を維持しながらも、天然に存在するWFA(4量体WFA)が固相担体に固定化された担体を含有する試薬と比べて当該糖鎖に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れている。したがって、本実施形態に係る標的物質の検出用試薬を、糖鎖を含む標的物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。
本実施形態に係る標的物質の検出用試薬においては、2量体WFAが、ビオチンとビオチン結合タンパク質とを介して固相担体に固定化されていることが好ましい。
また、本実施形態に係る標的物質の検出用試薬においては、2量体WFAがビオチン化2量体WFAであり、かつ固相担体にビオチン結合タンパク質が固定化されており、ビオチン化2量体WFAが前記ビオチン結合タンパク質を介して固相担体に固定化されていることが好ましい。
本発明の他の側面は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質の検出方法であって、
(A) WFAが2量体化された2量体WFAが固相担体に固定化された2量体WFA固定化担体と、標的物質を含む試料と、標的物質に特異的に結合する標識物質とを接触させることにより、固相担体上に2量体WFAと標的物質と標識物質とを含む複合体を形成させる工程、および
(B) 工程(A)で得られた複合体中の標識物質を測定することにより、標的物質を検出する工程
を含むことを特徴とする標的物質の検出方法を含む。
本実施形態に係る標的物質の検出方法は、2量体WFA固定化担体と、標的物質を含む試料とを接触させることにより、前記固相担体上に前記2量体WFAと前記標的物質とを含む複合体を形成させるという操作が採用されている。かかる操作が採用されているので、本実施形態に係る標的物質の検出方法によれば、高い反応性で効率よく前記2量体WFAと標的物質の糖鎖とを結合させることができる。したがって、本実施形態に係る標的物質の検出方法によれば、高い感度を確保することができる。また、前記2量体WFA固定化担体に用いられている2量体WFAは、保存安定性に優れている。したがって、本実施形態に係る標的物質の検出方法によれば、高い再現性を確保することができる。
本実施形態に係る標的物質の検出方法においては、前記標識物質が、前記標的物質に特異的に結合する標識抗体であることが好ましい。
本発明のさらに他の側面は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる担体であって、前記WFAが2量体化された2量体WFAと、固相担体とを有し、前記2量体WFAが前記固相担体上に固定化されていることを特徴とする担体を含む。
本実施形態に係る担体では、2量体WFAが固相担体上に固定化されている。そのため、本実施形態に係る担体は、天然に存在するWFA(4量体WFA)が固相担体に固定化された担体と比べて当該糖鎖に対する高い反応性を有し、保存安定性に優れている。したがって、本実施形態に係るWFA固定化試薬を、糖鎖を含む標的物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。
本発明の別の側面では、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる担体の製造方法であって、
(I) WFAを2量体化して2量体WFAを得る工程、および
(II) 工程(I)で得られた2量体WFAを固相担体に固定化して2量体WFA固定化担体を得る工程、
を含むことを特徴とする担体の製造方法を含む。
本実施形態に係る担体の製造方法は、WFAを2量体化し、得られた2量体WFAを固相担体に固定化するという操作が採用されている。かかる操作が採用されているので、本実施形態に係る担体の製造方法によれば、天然に存在するWFA(4量体WFA)が固定化された担体と比べて当該糖鎖に対する高い反応性を有し、かつ保存安定性に優れたWFA固定化担体を得ることができる。
本実施形態に係る担体の製造方法においては、工程(I)において、ビオチンを含む架橋剤を含有する溶液と、WFAとを混合して、ビオチン化2量体WFAを調製することが好ましい。
また、本実施形態に係る担体の製造方法においては、工程(II)において、固相担体として、ビオチン結合タンパク質が固定化された担体を用い、担体中のビオチン結合タンパク質とビオチン化2量体WFAとを結合させることによって2量体WFAを固相担体に固定化することが好ましい。
また、本実施形態に係る担体の製造方法においては、工程(I)において、架橋剤を含有する溶液と、WFAとを、〔WFA/架橋剤〕のモル比が1/10以下(ただし0を含まない)となるように接触させることにより、2量体WFAを得ることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る担体の製造方法においては、架橋剤が、2量体WFA中のアミノ基と架橋を形成する架橋剤であることが好ましい。かかる架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を2量体WFA中のアミノ基に対する反応基として有していることが好ましい。
また、ビオチンと反応基とが、スペーサーを介して結合していることが好ましい。
本発明によれば、標的物質に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れる標的物質の検出用試薬、標的物質を検出するために用いられる担体および当該担体の製造方法ならびに高い感度および高い再現性を確保することができる標的物質の検出方法を提供することができる。
試験例1において、WFAと架橋剤との混合比と、反応産物の予想分子量との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、M2BPを標的物質として用いたときのWFA感作濃度と発光強度との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例3において、M2BPを標的物質として用いたときの2量体WFA感作濃度と発光強度との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、M2BPを標的物質として用いたときの残存活性の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例5において、Muc−1を標的物質として用いたときの残存活性の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 試験例6において、Muc−1を標的物質として用いたときの残存活性の経時的変化を調べた結果を示すグラフである。 (A)は試験例7において、胆管がん患者の検体1を用い、2量体WFA感作濃度とMuc−1に対する相対反応性との関係を調べた結果を示すグラフ、(B)は試験例7において、胆管がん患者の検体2を用い、2量体WFA感作濃度とMuc−1に対する相対反応性との関係を調べた結果を示すグラフ、(C)は試験例7において、胆管がん患者の検体3を用い、2量体WFA感作濃度とMuc−1に対する相対反応性との関係を調べた結果を示すグラフである。
(標的物質の検出用試薬)
本実施形態の標的物質の検出用試薬(以下、「本実施形態の試薬」ともいう)は、ウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(WFA)と結合する糖鎖を含む標的物質を検出するための試薬であって、前記WFAが2量体化された2量体WFAが固相担体に固定化された2量体WFA固定化担体を含有していることを特徴としている。
天然に存在するウィステリア・フロリブンダのレクチンは、4つのサブユニットから構成される4量体のタンパク質である。本明細書において、特に断りのない限り、4量体のウィステリア・フロリブンダのレクチンを単に「WFA」と表記するか、あるいは「4量体WFA」と表記する。また、本明細書において、4量体WFAを2量体化することによって得られた産物を、「2量体WFA」と表記する。
WFA(4量体WFA)は、末端にGalNAc残基を有する糖鎖と結合する〔ピラー(Piller)ら、Eur.J. Biochem.、191、461−466(1990)参照〕。また、WFA(4量体WFA)は、末端にガラクトース(Gal)残基を有する糖鎖とも結合する。本実施形態においては、好ましくはGalNAc残基を有する糖鎖を標的物質とする。本発明者らは、4量体WFAを2量体化して得られた2量体WFAも、上記のような糖鎖に結合する活性を有していることを見出した。また、本発明者らは、前記2量体WFAを固定化した固相担体を用いた試薬が、4量体WFAを固定化した固相担体を用いた試薬と比べて高い反応性を示すことを見出した。さらに、本発明者らは、当該試薬の保存安定性が4量体WFAを用いた試薬の保存安定性と比べて顕著に高いことを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
このように、本実施形態の試薬は、2量体WFAが固定化された2量体WFA固定化担体を含有しているので、前記糖鎖に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れている。したがって、本実施形態の標的物質の検出用試薬を、糖鎖を含む標的物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。
本明細書において、前記WFAと結合する糖鎖を含む標的物質は、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含む物質である。前記WFAと結合する糖鎖を含む標的物質としては、例えば、M2BP、α1酸性糖タンパク質(AGP)、Muc−1、神経細胞接着分子L1(L1CAM)、KL−6抗原などの糖タンパク質や糖脂質などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの標的物質は、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含み、WFAと結合する点で共通している。
M2BPおよびAGPは、肝臓の線維化や肝臓がんのマーカーとして用いられる。したがって、本実施形態の試薬によるM2BPおよびAGPの検出結果は、被験者の肝臓の線維化レベルを判定する指標となり得る。
Muc−1は、胆管がんのマーカーとして用いられる。したがって、本実施形態の試薬によるMuc−1の検出結果は、被験者の胆管が胆管がんを有しているか否かの指標となり得る。
L1CAMは、胆管がん、大腸癌、乳癌、神経系または中皮性の腫瘍などの腫瘍マーカーとして用いられる。したがって、本実施形態の試薬によるL1CAMの検出結果は、被検者の胆管、大腸、乳房、神経系、中皮などが腫瘍を有しているか否かの指標となり得る。
KL−6抗原は、間質性肺炎のマーカーとして用いられる。したがって、本実施形態の試薬によるKL−6抗原の検出結果は、被検者の肺臓の線維化レベルを判定する指標となり得る。
本実施形態の試薬に用いられる固相担体は、粒子、基板、メンブレンなどであってよい。粒子としては、例えば、磁性粒子、ポリスチレン粒子、ラテックス粒子などが用いられる。基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、ポリスチレン製のプレートなどが用いられる。メンブレンとしては、例えば、ニトロセルロースメンブレン、ポリフッ化ビニリデンメンブレンなどが用いられる。固相担体として粒子を用いる場合は、当該粒子は溶媒中に分散されていることが好ましい。溶媒としては、例えば、精製水、緩衝液などが例示される。上記の固相担体のうち、固相担体と反応液との分離および溶媒の置換が容易であることから、磁性粒子を用いることが好ましい。
固相担体として前記磁性粒子を用いる場合、当該磁性粒子の平均粒子径は、本実施形態の2量体WFA固定化担体の用途などによって異なることから、2量体WFA固定化担体の用途などに応じて適宜決定することが望ましい。前記磁性粒子の平均粒子径は、通常、1〜3μm、好ましくは1.5〜2.5μm、より好ましくは1.8〜2.2μmである。なお、前記平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置〔(株)島津製作所製、商品名:SALDシリーズ〕を用いて光散乱法によって測定することによって求められた値である。
前記2量体WFAは、ビオチンとビオチン結合タンパク質とを介して前記固相担体に固定化されていることが好ましい。ビオチン結合タンパク質は、ビオチンへの結合性を有するものであれば特に限定されないが、アビジン、ストレプトアビジン、タマビジン(登録商標)などが例示される。
ビオチンとビオチン結合タンパク質とを用いる場合、前記2量体WFAがビオチン化2量体WFAであり、かつ前記固相担体にビオチン結合タンパク質が固定化されており、前記ビオチン化2量体WFAが前記ビオチン結合タンパク質を介して前記固相担体に固定化されているものであることが好ましい。この場合、固相担体に固定化するビオチン結合タンパク質の量は、2量体WFA固定化担体の用途などによって異なることから、2量体WFA固定化担体の用途などに応じて適宜決定することができる。
本実施形態の試薬における2量体WFA固定化担体の含有量は、本実施形態の試薬の用途などによって異なることから、本実施形態の試薬の用途に応じて適宜決定することが望ましい。本実施形態の試薬における2量体WFA固定化担体の含有量は、結合可能量の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.48質量%以上であり、自動分析機における攪拌効率の観点から、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。
本実施形態の試薬は、標識物質を含んでいてもよい。標識物質は、シグナル発生物質と、標的物質結合部とを含む。シグナル発生物質は、標的物質結合部を介して標的物質に結合している。
シグナル発生物質は、シグナルを生じる物質であってもよいし、シグナルを生じさせる物質を有していてもよい。シグナルを生じる物質としては、具体的には、蛍光色素、放射性同位体などが挙げられる。シグナルを生じさせる物質は、化学反応を触媒することによって反応液に発光、蛍光、発色などのシグナルを生じさせる物質であればよい。シグナルを生じさせる物質としては、具体的には、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼなどの酵素が例示される。当該酵素を用いる場合は、酵素に基質を反応させ、反応産物から生じる発光、蛍光または発色が検出される。
標的物質結合部は、標的物質に特異的に結合するものであれ、特に限定されない。標的物質結合部としては、好適には標的物質に特異的に結合する抗体が用いられる。標的物質結合部は、標的物質に特異的に結合する一次物質(例えば、抗体など)と、一次物質に結合し、かつシグナル発生物質を含む物質(例えば、標識抗体など)とから構成されていてもよい。この場合、シグナル発生物質は、2種類の抗体を介して標的物質に結合することとなる。なお、3種類以上の抗体を介して標的物質に結合させることも可能であるが、反応工程が多くなり、検出感度の低下などを招く可能性を考慮に入れる必要がある。標的物質結合部として用いられる抗体は、例えば、カレント・プロトコルズ・イン・イムノロジー(Current Protocols in Immunology)に記載の方法〔ジョン・E・コリガン(John E.Coligan)編、ジョン・ワイリー&サンズ社(John Wiely & Sons,Inc)、1992年発行〕などに記載の慣用の方法により、糖鎖を含む標的物質の全部または一部、当該標的物質とWFAとの結合部位を用いて動物を免疫することによって容易に作製することができる。標識物質による前記抗体の標識は、標識物質の種類に応じた手法に容易に行なうことができる。なお、本実施形態においては、前記抗体の代わりに、当該抗体を精製後、ペプチダーゼなどにより処理することによって得られた抗体断片を用いてもよい。
前記標識物質は、好ましくは前記標的物質に特異的に結合する標識抗体である。
また、本実施形態の試薬は、安定化剤、pH調整剤、キレート剤、非特異反応抑制剤、防腐剤などを適宜含有していてもよい。
2量体WFA固定化担体および標識物質は、それぞれ別容器に収容された試薬キットとしても提供され得る。本明細書において、「試薬」は、試薬キットをも含む。また、試薬キットは別容器に収容された洗浄液を含んでいてもよい。標識物質が酵素を有する場合は、当該酵素に対する基質をさらに含んでいてもよい。
以上説明したように、本実施形態の試薬は、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れていることから、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含む物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。したがって、本実施形態の試薬は、糖鎖を含む標的物質、特に、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含む標的物質の検出(定性的検出または定量的検出)に有用である。
(2量体WFA固定化担体およびその製造方法)
本実施形態の2量体WFA固定化担体は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる担体であって、2量体WFAと、固相担体とを有し、前記2量体WFAが前記固相担体上に固定化されていることを特徴としている。
このように、本実施形態の2量体WFA固定化担体は、前記2量体WFAが前記固相担体上に固定化されているので、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖に対して高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れている。本実施形態の2量体WFA固定化試薬を、当該糖鎖を含む標的物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。
本実施形態の2量体WFA固相担体は、上述した本実施形態の試薬に含まれる2量体WFA固定化担体と同様である。
つぎに、本実施形態の担体(量体WFA固相担体)の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」ともいう)を説明する。本実施形態の製造方法は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる2量体WFA固定化担体の製造方法であって、
(I) 前記WFAを2量体化して2量体WFAを得る工程、および
(II) 前記工程(I)で得られた2量体WFAを固相担体に固定化して2量体WFA固定化担体を得る工程、
を含むことを特徴としている。
本実施形態の製造方法では、まず、WFAを2量体化して2量体WFAを得る〔工程(I)〕。前記工程(I)は、4量体WFAを2量体化させる方法によって行なわれる。一般的に、タンパク質のサブユニットの解離は、タンパク質中のスルフヒドリル基と反応するスルフヒドリル試薬(SH試薬)によって行なわれることが多い。しかし、本実施形態においては、ビオチンを含む架橋剤と、4量体WFAとを接触させることによって、効率よく4量体WFAを2量体化させることができる。
前記工程(I)において、ビオチンを含む架橋剤を用いる場合、前記架橋剤は、前記4量体WFA中のアミノ基と架橋を形成する架橋剤であることが好ましい。前記架橋剤としては、具体的には、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を前記4量体WFA中のアミノ基に対する反応基として有している架橋剤が例示される。前記架橋剤を用いると、効率よく4量体WFAを2量体化させることが可能である。
前記ビオチンを含む架橋剤は、WFAとの反応性、製造時における取り扱い性および標的物質の検出時における反応性を向上させる観点から、ビオチンと前記反応基とがスペーサーを介して結合しているものが好ましい。かかるスペーサーとしては、例えば、アミノヘキサノイル基(すなわち、アミノカプロイル基)などが挙げられるが、特に限定されない。
また、前記工程(I)において、前記架橋剤を用いる場合、架橋剤を含有する溶液と、前記WFAとを接触させることにより、2量体WFAを得ることができる。具体的には、前記工程(I)において、前記ビオチンを含む架橋剤を用いる場合、当該ビオチンを含む架橋剤を含有する溶液と、WFAとを混合して、ビオチンを含む2量体WFA(例えば、ビオチン化2量体WFAなど)を調製することができる。〔WFA/架橋剤〕のモル比は、好ましくは1/10以下、より好ましくは1/20以下である。一方、前記〔WFA/架橋剤〕のモル比の下限値は、WFA固定化担体の用途などに応じて2量体WFAが得られる範囲で適宜決定することできる。前記〔WFA/架橋剤〕のモル比は、架橋剤の使用量と生成する2量体WFAの収率とのバランスを考慮すると、1/100以上とすることができる。
つぎに、前記工程(I)で得られた2量体WFAを固相担体に固定化して2量体WFA固定化担体を得る〔工程(II)〕。固相担体への2量体WFAの固定化は、特に限定されるものではなく、例えば、ビオチンとビオチン結合タンパク質との特異的結合、静電相互作用、疎水的な相互作用、水素結合、共有結合、変性作用による物理的吸着などを利用することができる。
工程(I)において、ビオチンを含む架橋剤を含有する溶液と、WFAとを混合して、ビオチンを含む2量体WFAを調製した場合には、工程(II)において、前記固相担体として、ビオチン結合タンパク質が固定化された担体を用い、当該担体中のビオチン結合タンパク質と前記ビオチン化2量体WFAとを結合させることによって前記2量体WFAを前記固相担体に固定化することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態の2量体WFA固定化担体は、天然に存在するWFAが固定化された担体と比べ、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖に対する高い反応性を有し、しかも保存安定性に優れている。よって、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含む物質の検出に用いることにより、高い感度および高い再現性を得ることができる。したがって、本実施形態の2量体WFA固定化担体は、糖鎖を含む標的物質、特に、末端にGalNAc残基またはGal残基を有する糖鎖を含む標的物質の検出(定性的検出または定量的検出)に有用である。
(標的物質の検出方法)
本実施形態の検出方法は、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質を検出する方法(以下、「本実施形態の検出方法」ともいう)である。
本実施形態の検出方法では、まず、2量体WFA固定化担体と、前記標的物質を含む試料と、標識物質とを接触させることにより、前記固相担体上に前記2量体WFAと前記標的物質と標識物質とを含む複合体を形成させる〔工程(A)〕。
工程(A)では、2量体WFA固定化担体として、前述した実施形態の2量体WFA固定化担体を用いることができる。
工程(A)では、標識物質として、前述した本実施形態の試薬に含まれる標識物質を用いることができる。
工程(A)では、2量体WFA固定化担体と、標的物質を含む試料と、標識物質との接触順序は特に限定されない。即ち、前記接触順序は、下記(a)〜(c)のいずれであってもよい:
(a)まず、2量体WFA固定化担体と試料とを接触させた後、得られた混合物に標識物質を接触させること、
(b)まず、2量体WFA固定化担体と標識物質とを接触させた後、得られた混合物に試料を接触させること、
(c)まず、試料と標識物質とを接触させた後、得られた混合物に2量体WFA固定化担体を接触させること。
前記工程(A)において、前記試料と接触させる前記2量体WFA固定化担体の量は、当該試料の種類、前記2量体WFA固定化担体中の2量体WFAの量、2量体WFA固定化担体の保存状態(液体保存または凍結乾燥保存)などによって異なることから、当該試料の種類、前記2量体WFA固定化担体中の2量体WFAの量、2量体WFA固定化担体の保存状態(液体保存または凍結乾燥保存)などに応じて適宜決定することが望ましい。
前記試料と前記2量体WFA固定化担体との接触時における温度は、2量体WFAの立体構造が維持され、かつ2量体WFAと糖鎖との結合反応を行なうのに適した温度であればよい。前記温度は、通常、4〜50℃、好ましくは15〜42℃である。
前記試料と前記2量体WFA固定化担体との接触後、得られた産物を洗浄して、複合体を形成していない遊離の標的物質および遊離の2量体WFA固定化担体を除去することが好ましい。前記産物の洗浄に用いられる洗浄剤としては、例えば、緩衝剤、界面活性剤、ウシ血清アルブミン(BSA)などを含む洗浄剤;精製水などが挙げられるが、特に限定されない。
つぎに、前記工程(A)で得られた複合体中の標的物質を検出する〔工程(B)〕。
前記工程(B)において、複合体中の標識物質から生じるシグナルを測定することによって複合体中の標的物質を検出することができる。標識物質が蛍光色素や放射性同位体を含む場合は、蛍光や放射能などのシグナルを測定することができる。また、標識物質が酵素である場合は、複合体に酵素の基質を反応させ、酵素反応の産物から生じる発光、蛍光、発色などのシグナルを測定することができる。測定結果は標的物質の量と相関するため、標的物質を定性的または定量的に検出することができる。
以下、実施例などにより、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置〔(株)島津製作所製、商品名:SALDシリーズ〕を用いて光散乱法によって測定することによって求められた値である。
(実験例1)
WFA〔VECTOR Laboratories(ベクター・ラボラトリーズ)社製、商品名:Wisteria floribunda Lectin〕を当該WFAの濃度が2.5mg/mLとなるように20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に添加し、WFA含有溶液を得た。
得られたWFA含有溶液に、ビオチンを含む架橋剤である5−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチルD−ビオチンアミド〔(株)同仁化学研究所製、商品名:Biotin−AC5−Osu〕をWFA/架橋剤(モル比)が1/100となるように添加した。得られた溶液を25℃で90分間インキュベーションすることにより、前記WFAと前記ビオチンを含む架橋剤とを反応させ、反応産物を得た。
(実験例2〜5)
実験例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を5/100(実験例2)、10/100(実験例3)、25/100(実験例4)または50/100(実験例5)としたことを除き、実験例1と同様の操作を行ない、反応産物を得た。
(試験例1)
実験例1〜5で得られた反応産物を、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の条件で分析し、反応産物の予想分子量を求めた。
・溶出溶媒:リン酸緩衝液(pH6.5)
・分離カラム:ゲル濾過カラム
〔東ソー(株)製、商品名:TSKgel G3000SWXL〕
・分子量マーカー:サイログロブリン(分子量669000)
γ−グロブリン(分子量158000)
オバルブミン(分子量44000)
ミオグロビン(分子量17000)
ビタミン12(分子量13000)
試験例1において、WFAと架橋剤との混合比と、反応産物の予想分子量との関係を調べた結果を図1に示す。なお、ビオチン化された4量体のWFA(以下、「ビオチン化4量体WFA」ともいう)の分子量の理論値は、116000である。また、ビオチン化された2量体のWFA(以下、「ビオチン化2量体WFA」ともいう)の分子量の理論値は、58000である。ビオチン化された単量体のWFA(以下、「ビオチン化単量体WFA」ともいう)の分子量の理論値は、29000である。
図1に示されるように、WFAと架橋剤との混合比(体積比)が25/100以上である場合(実験例4および5)、反応産物の予想分子量が122000であることから、実験例4および5で得られた反応産物は、ビオチン化4量体WFAであることが示唆される。
一方、WFAと架橋剤との混合比が25/100未満である場合(実験例1〜3)、当該混合比が減少するほど、反応産物の予想分子量が減少する傾向にあることがわかる。WFAと架橋剤との混合比が1/100である場合(実験例1)の反応産物の予想分子量が56000であることから、実験例1で得られた反応産物は、ビオチン化2量体WFAであることが示唆される。また、前記混合比が5/100である場合(実験例2)の反応産物の予想分子量が64000であることから、実験例2で得られた反応産物は、ほとんどが2量体化WFAであることが示唆される。さらに、前記混合比が10/100である場合(実験例3)の反応産物の予想分子量が96000であることから、実験例3で得られた反応産物は、ビオチン化2量体WFAとビオチン化4量体WFAとの混合物であることが示唆される。
したがって、これらの結果から、WFAと架橋剤との混合比(体積比)が10/100以下である場合、ビオチン化2量体WFAが得られることが示唆される。
(実施例1)
(1)WFA含有溶液の調製
WFA〔VECTOR Laboratories(ベクター・ラボラトリーズ)社製、商品名:Wisteria floribunda Lectin〕を2.5mg/mLとなるように20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に添加し、WFA含有溶液を得た。
(2)WFAと架橋剤との反応
実施例1(1)得られたWFA含有溶液に、ビオチンを含む架橋剤としてビオチンと反応基とがスペーサーを介して結合している架橋剤である5−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチルD−ビオチンアミド〔(株)同仁化学研究所製、商品名:Biotin−AC5−Osu〕をWFA/架橋剤(モル比)が1/100となるように添加した。得られた溶液を25℃で90分間インキュベーションすることにより、前記WFAと前記架橋剤とを反応させ、反応産物を得た。
(3)ビオチン化2量体WFAの精製
実施例1(2)で得られた反応産物を、高速液体クロマトグラフィーにより、以下の条件で精製し、ビオチン化2量体WFAを得た。
・溶出溶媒:リン酸緩衝液(pH6.5)
・分離カラム:ゲル濾過カラム
〔東ソー(株)製、商品名:TSKgel G3000SWXL〕
(4)STA結合粒子含有液の調製
ストレプトアビジンが磁性粒子(平均粒子径2μm)の表面に固定化された複合体(磁性粒子1gあたりのストレプトアビジンの量:2.9〜3.5mg;以下、「STA結合磁性粒子」ともいう)を0.01M HEPES緩衝液(pH7.5)で3回洗浄した。洗浄後のSTA結合磁性粒子をSTA濃度が18〜22μg/mL(STA結合磁性粒子の濃度が0.48〜0.52mg/mL)となるように0.01M HEPES緩衝液(pH7.5)に添加し、STA結合粒子含有液を得た。
(5)2量体WFA固定化担体の調製
実施例1(3)で得られたビオチン化2量体WFAを当該ビオチン化2量体WFAの濃度(2量体WFA感作濃度)が5μg/mL(実験番号1−1)、10μg/mL(実験番号1−2)、20μg/mL(実験番号1−3)または30μg/mL(実験番号1−4)となるように実施例1(4)で得られたSTA結合粒子含有液に添加し、STA結合磁性粒子のストレプトアビジンとビオチン化2量体WFAのビオチンとを結合させた。得られた産物を0.1M MES緩衝液(pH6.5)で3回洗浄し、2量体WFA固定化担体を得た。得られた2量体WFA固定化担体をMES緩衝液、HEPES緩衝液などのグッドバッファー;リン酸緩衝液などに懸濁し、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(比較例1)
(1)WFAの還元およびビオチン化
還元剤〔350mM 2−メルカプトエチルアミン、ナカライテスク(株)製、商品名:2‐メルカプトエチルアミン塩酸塩〕88μLとWFA〔VECTOR Laboratories(ベクター・ラボラトリーズ)社製、商品名:Wisteria floribunda Lectin〕2000μgとを混合し、25℃で90分間インキュベーションすることにより、WFAを還元した。つぎに、得られた還元WFAをN−ビオチニル-N’−[2−(N−マレイミド)エチル]ピペラジン塩酸塩〔(株)同仁化学研究所製、商品名:Biotin−PE−maleimide〕によってビオチン化し、反応産物を得た。
(2)予測分子量の算出
試験例1において、実験例1〜5で得られた反応産物を用いる代わりに、比較例1(1)で得られた反応産物を用いたことを除き、試験例1と同様の操作を行ない、反応産物の予想分子量を求めた。その結果、比較例1(1)で得られた反応産物の予想分子量が29000であったことから、比較例1(1)で得られた反応産物は、ビオチン化単量体WFAであることが示唆される。
(3)ビオチン化単量体WFAの精製
実施例1(3)において、実施例1(2)で得られた反応産物を用いる代わりに、比較例1(1)で得られた反応産物を用いたことを除き、実施例1(3)と同様の操作を行ない、ビオチン化単量体WFAを得た。
(4)単量体WFA固定化担体の調製
比較例1(3)で得られたビオチン化単量体WFAを当該ビオチン化単量体WFAの濃度(単量体WFA感作濃度)が5μg/mL(実験番号2−1)、10μg/mL(実験番号2−2)、20μg/mL(実験番号2−3)または30μg/mL(実験番号2−4)となるように実施例1(4)で得られたSTA結合粒子含有液に添加し、STA結合磁性粒子のストレプトアビジンとビオチン化単量体WFAのビオチンとを結合させた。得られた産物を0.1M MES緩衝液(pH6.5)で3回洗浄し、単量体WFA固定化担体を得た。この単量体WFA固定化担体を0.1M MES緩衝液(pH6.5)、0.1M HEPES緩衝液(pH7.5)などに懸濁し、単量体WFA固定化担体含有液を得た。
(比較例2)
WFA〔VECTOR Laboratories(ベクター・ラボラトリーズ)社製、商品名:Wisteria floribunda Lectin〕を5μg/mL(実験番号3−1)、10μg/mL(実験番号3−2)、20μg/mL(実験番号3−3)または30μg/mL(実験番号3−4)となるように実施例1(4)で得られたSTA結合粒子含有液に添加し、STA結合磁性粒子のストレプトアビジンとビオチン化4量体WFAのビオチンとを結合させた。得られた産物を0.1M MES緩衝液(pH6.5)で3回洗浄し、4量体WFA固定化担体を得た。この4量体WFA固定化担体を0.1M MES緩衝液(pH6.5)、0.1M HEPES緩衝液(pH7.5)などに懸濁し、4量体WFA固定化担体含有液を得た。
(試験例2)
0.01M HEPES緩衝液(pH7.5)50μLと被検試料〔0.1〜100μg/mL糖タンパク質M2BP含有水溶液〕10μLとを混合し、42℃で2分間インキュベーションした。
得られた混合物に、実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液(実験番号1−1〜1−4)、比較例1で得られた単量体WFA固定化担体含有液(実験番号2−1〜2−4)または比較例2で得られた4量体WFA固定化担体含有液(実験番号3−1〜3−4)30μLを添加した。これを42℃で1分間インキュベーションして被検試料中のM2BPと2量体WFA固定化担体、単量体WFA固定化担体または4量体WFA固定化担体とを反応させた。
得られた反応産物を洗浄液〔20mMトリス(pH7.4)と0.1質量% Tween20と0.1質量%アジ化ナトリウムと0.8質量%塩化ナトリウムとを含む水溶液〕100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後、0.1U/mLアルカリホスファターゼ標識抗M2BP抗体溶液(抗体濃度0.01〜100μg/mL)100μLを添加した。得られた混合物を42℃で2.5分間インキュベーションした。その後、前記洗浄液100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後、反応溶液〔0.1M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pH9.6)と1mM塩化マグネシウムと0.1質量%アジ化ナトリウムとを含む水溶液〕50μLおよび基質含有溶液〔アプライドバイオシステムズ社製、商品名:CDP−Star with Sapphirine−II〕100μLを添加した。これを42℃で5分間インキュベーションしアルカリホスファターゼ反応を行なった。
その後、全自動免疫測定装置〔シスメックス(株)製、商品名:HISCL−2000i〕を用い、波長300〜650nmにおける発光強度を測定した。
試験例2において、M2BPを標的物質として用いたときのWFA感作濃度と発光強度との関係を調べた結果を図2に示す。図中、白三角は実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液(実験番号1−1〜1−4)を用いたときの発光強度、白四角は比較例1で得られた単量体WFA固定化担体含有液(実験番号2−1〜2−4)を用いたときの発光強度、白丸は比較例2で得られた4量体WFA固定化担体含有液(実験番号3−1〜3−4)を用いたときの発光強度を示す。
図2に示されるように、2量体WFA固定化担体を用いた場合(白三角)、感作濃度10μg/mL以上であれば、感作濃度にかかわらず高い発光強度が得られることがわかる。これに対し、単量体WFA固定化担体または4量体WFA固定化担体を用いた場合は、感作濃度10μg/mL以上では高い発光強度を示すが、感作濃度20μg/mL以上では発光強度が大きく低下することがわかる。
前記発光強度の低下は、高い感作濃度によってM2BPとレクチンとの結合に何らかの立体構造上の障害が生じたことが原因と予想される。すなわち、感度を向上させるために多量の単量体WFAまたは4量体WFAを使用しても、逆に感度が低下することとなる。一方、2量体WFAは、高い感作濃度であってもM2BPとの結合を阻害するような障害は生じていないと考えられ、高感度化のために多量のレクチンを固相担体上に感作することができることがわかる。
(実施例2)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/10〔実験番号4−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号4−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号4−3(20μg/mL)もしくは実験番号4−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例3)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/20〔実験番号5−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号5−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号5−3(20μg/mL)もしくは実験番号5−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例4)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/40〔実験番号6−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号6−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号6−3(20μg/mL)もしくは実験番号6−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例5)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/60〔実験番号7−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号7−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号7−3(20μg/mL)もしくは実験番号7−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例6)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/80〔実験番号8−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号8−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号8−3(20μg/mL)もしくは実験番号8−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例7)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/120〔実験番号9−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号9−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号9−3(20μg/mL)もしくは実験番号9−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例8)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/160〔実験番号10−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号10−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号10−3(20μg/mL)もしくは実験番号10−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(実施例9)
実施例1において、WFA/架橋剤(モル比)を1/100とする代わりに、WFA/架橋剤(モル比)を1/200〔実験番号11−1(WFA感作濃度5μg/mL)、実験番号11−2(WFA感作濃度10μg/mL)、実験番号11−3(20μg/mL)もしくは実験番号11−4(30μg/mL)〕としたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体含有液を得た。
(試験例3)
試験例2において、実施例1〜9で得られた2量体WFA固定化担体含有液を用いたことを除き、試験例2と同様の操作を行ない、発光強度を測定した。
試験例3において、M2BPを標的物質として用いたときのWFA感作濃度と発光強度との関係を調べた結果を図3に示す。図中、白ひし形はWFA/架橋剤(モル比)が1/10である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号4−1〜4−4)を用いたときの発光強度、白四角はWFA/架橋剤(モル比)が1/20である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号5−1〜5−4)を用いたときの発光強度、白三角はWFA/架橋剤(モル比)が1/40である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号6−1〜6−4)を用いたときの発光強度、クロスはWFA/架橋剤(モル比)が1/60である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号7−1〜7−4)を用いたときの発光強度、白丸はWFA/架橋剤(モル比)が1/80である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号8−1〜8−4)を用いたときの発光強度、黒ひし形はWFA/架橋剤(モル比)が1/100である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号1−1〜1−4)を用いたときの発光強度、黒四角はWFA/架橋剤(モル比)が1/120である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号9−1〜9−4)を用いたときの発光強度、黒三角はWFA/架橋剤(モル比)が1/160である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号10−1〜10−4)を用いたときの発光強度、および黒丸はWFA/架橋剤(モル比)が1/200である2量体WFA固定化担体含有液(実験番号11−1〜11−4)を用いたときの発光強度を示す。
図3に示されるように、2量体WFA固定化担体含有液を用いたときの発光強度は、WFA/架橋剤(モル比)による変動が比較的小さいことがわかる。
(試験例4)
実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液〔WFA感作濃度:20μg/mL(実験番号1−3)〕を37℃で14日間インキュベーションし、継時的に採取した。採取された2量体WFA固定化担体含有液を用い、試験例2と同様の操作を行ない、発光強度を測定した。
つぎに、インキュベーション前の2量体WFA固定化担体含有液を用いたときの発光強度(対照の発光強度)に対する所定時間経過後の2量体WFA固定化担体含有液を用いたときの発光強度の相対値(2量体WFA固定化担体の残存活性)を求め、残存活性の経時的変化を調べることにより、2量体WFA固定化担体の保存安定性を評価した。
また、前記において、実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液を用いる代わりに、比較例2で得られた4量体WFA固定化担体含有液〔WFA感作濃度:10μg/mL(実験番号1−2)〕を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、4量体WFA固定化担体の保存安定性を評価した。
経過時間0日時点でのM2BPとの結合活性を100としたときの残存活性を図4に示す。図中、黒四角は2量体WFA固定化担体含有液の残存活性、黒ひし形は4量体WFA固定化担体含有液の残存活性を示す。
また、図4に示されるように、2量体WFA固定化担体は、M2BPとの結合活性について、インキュベーション開始から14日間経過後において、高い残存活性を有していることがわかる。図4に示された結果から、2量体WFA固定化担体の残存活性は、4量体WFA固定化担体の結合活性に関する残存活性と比べて高いことがわかる。したがって、2量体WFA固定化担体は、4量体WFA固定化担体と比べて保存安定性に優れていることがわかる。
(試験例5)
(1)2量体WFA固定化担体の保管
実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液を2〜8℃に保たれた冷蔵庫内で保管した。保管開始から0か月経過時、1か月経過時、3か月経過時、6か月経過時および7か月経過時に2量体WFA固定化担体含有液の一部を採取した。
(2)Muc−1との反応性に基づく2量体WFA固定化担体の保存安定性の評価
0.01M HEPES緩衝液(pH7.5)50μLと被検試料として胆管がん患者血清検体〔プロムデックス(PROMMDDX)社製、商品名:Bileduct cancer〕10μLとを混合した。この混合物を42℃で2分間インキュベーションした。
その後、試験例5(1)で採取された2量体WFA固定化担体含有液30μLを添加した。これを42℃で1分間インキュベーションすることにより、被検試料中のMuc−1と2量体WFA固定化担体とを反応させた。
この反応産物を洗浄液〔20mMトリス(pH7.4)と0.1質量% Tween20と0.1質量%アジ化ナトリウムと0.8質量%塩化ナトリウムとを含む水溶液〕100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後、0.1U/mLアルカリホスファターゼ標識抗Muc−1抗体溶液100μLを添加した。これを42℃で2.5分間インキュベーションした。その後、前記洗浄液100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後の反応産物に、反応溶液〔0.1M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pH9.6)と1mM塩化マグネシウムと0.1質量%アジ化ナトリウムとを含む水溶液〕50μLおよび基質含有溶液〔アプライドバイオシステムズ社製、商品名:CDP−Star with Sapphirine−II〕100μLを添加した。これを42℃で5分間インキュベーションしアルカリホスファターゼ反応を行なった。
その後、得られた反応産物について、全自動免疫測定装置〔シスメックス(株)製、商品名:HISCL−2000i〕を用い、波長300〜650nmにおける発光強度を測定した。
つぎに、インキュベーション前の2量体WFA固定化担体含有液を用いたときの発光強度(対照の発光強度)に対する所定時間経過後の2量体WFA固定化担体含有液を用いたときの発光強度の相対値(2量体WFA固定化担体の残存活性)を求め、残存活性の経時的変化を調べることにより、2量体WFA固定化担体の保存安定性を評価した。
経過時間0か月時点のMuc−1との結合活性を100としたときの残存活性を図5に示す。
図5に示されるように、2量体WFA固定化担体は、保管開始から7か月経過後において、高い残存活性を有していた。したがって、2量体WFA固定化担体は、保存安定性に優れていることがわかる。
(試験例6)
実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液を2〜8℃に保たれた冷蔵庫内で保管する代わりに37℃でインキュベーションすること、保管開始から0か月経過時、1か月経過時、3か月経過時、6か月経過時および7か月経過時に2量体WFA固定化担体含有液の一部を採取する代わりにインキュベーション開始から0日経過後、1日経過時、3日経過時、7日経過時および14日経過時に2量体WFA固定化担体含有液の一部を採取することを除き、試験例5と同様の操作を行ない、2量体WFA固定化担体の保存安定性を評価した。
経過時間0日時点でのMuc−1との結合活性を100としたときの残存活性を図6に示す。
図6に示されるように、2量体WFA固定化担体は、インキュベーション開始から14日間経過しても高い残存活性を維持していることがわかった。したがって、2量体WFA固定化担体は、保存安定性に優れていることがわかる。
(試験例7)
0.01M HEPES緩衝液(pH7.5)50μLと被検試料10μLとを混合し、得られた混合物を42℃で2分間インキュベーションした。被検試料として、胆管がん患者検体1〜3〔プロムデックス(PROMMDDX)供給、商品名:Bileduct cancer〕を用いた。
その後、実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液(実験番号1−1〜1−4)、比較例1で得られた単量体WFA固定化担体含有液(実験番号2−1〜2−4)または比較例2で得られた4量体WFA固定化担体含有液(実験番号3−1〜3−4)30μLを添加した。これらを42℃で1分間インキュベーションして被検試料中のMuc−1と2量体WFA固定化担体とを反応させた。
得られた反応産物を洗浄液〔20mMトリス(pH7.4)と0.1質量% Tween20と0.1質量%アジ化ナトリウムと0.8質量%塩化ナトリウムとを含む水溶液〕100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後、0.1U/mLアルカリホスファターゼ標識抗Muc−1抗体溶液100μLを添加した。これを42℃で2.5分間インキュベーションした。その後、前記洗浄液100〜700μLで4回洗浄した。
洗浄後の反応産物に、反応溶液〔0.1M 2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(pH9.6)と1mM塩化マグネシウムと0.1質量%アジ化ナトリウムとを含む水溶液〕50μLおよび基質含有溶液〔アプライドバイオシステムズ社製、商品名:CDP−Star with Sapphirine−II〕100μLを添加した。これを42℃で5分間インキュベーションしアルカリホスファターゼ反応を行なった。
その後、全自動免疫測定装置〔シスメックス(株)製、商品名:HISCL−2000i〕を用い、波長300〜650nmにおける発光強度を測定した。つぎに、WFA感作濃度が5μg/mLである2量体WFA固定化担体含有液実験番号1−1)を用いたときの発光強度を100としたときの相対反応性を求めた。
試験例7において、Muc−1を標的物質として用いたときのWFA感作濃度と発光強度との関係を調べた結果を図7に示す。図中、白丸は実施例1で得られた2量体WFA固定化担体含有液(実験番号1−1〜1−4)を用いたときの発光強度、白四角は比較例1で得られた単量体WFA固定化担体含有液(実験番号2−1〜2−4)を用いたときの発光強度、白三角は比較例2で得られた4量体WFA固定化担体含有液(実験番号3−1〜3−4)を用いたときの発光強度を示す。また、図中、(A)は胆管がん患者の検体1を用いたときの2量体WFA感作濃度と相対反応性との関係、(B)は胆管がん患者の検体2を用いたときの2量体WFA感作濃度と相対反応性、(C)は胆管がん患者の検体3を用いたときの2量体WFA感作濃度と相対反応性との関係を示す。
図7に示されるように、2量体WFA固定化担体を用いたときの相対反応性(白丸)は、検体1〜3のいずれの検体を用いた場合であっても、WFA感作濃度にかかわらず、単量体WFA固定化担体(白四角)または4量体WFA固定化担体(白三角)を用いたときの相対反応性と比べ、高かった。したがって、2量体WFA固定化担体によれば、WFA感作濃度にかかわらず、検体中に含まれるMuc−1などのように、WFAと結合する糖鎖を含む標的物質に対し、高い反応性を示すことがわかる。
以上の結果から、2量体WFA固定化担体は、4量体WFA固定化担体および単量体WFA固定化担体と比べて当該糖鎖に対する高い反応性を有していることがわかる。しかも、2量体WFA固定化担体は、保存安定性に優れていることがわかる。

Claims (7)

  1. ウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(WFA)と結合する糖鎖を含む標的物質を検出するための試薬であって、
    前記WFAが2量体化された2量体WFAが固相担体に固定化された2量体WFA固定化担体を含有しており、
    前記2量体WFAは、ビオチンを含む架橋剤によって2量体化されたビオチン化2量体WFAであり、
    前記ビオチンを含む架橋剤は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有しており、
    前記固相担体は、ビオチン結合タンパク質が固定化された固相担体であり、
    前記ビオチン化2量体WFAは、前記ビオチン結合タンパク質を介して前記固相担体に固定化されていることを特徴とする標的物質の検出用試薬。
  2. ウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(WFA)と結合する糖鎖を含む標的物質の検出方法であって、
    (A) 前記WFAが2量体化された2量体WFAが固相担体に固定化された2量体WFA固定化担体と、前記標的物質を含む試料と、前記標的物質に特異的に結合する標識物質とを接触させることにより、前記固相担体上に前記2量体WFAと前記標的物質と前記標識物質とを含む複合体を形成させる工程、および
    (B) 前記工程(A)で得られた複合体中の標識物質を測定することにより、前記標的物質を検出する工程
    を含み、
    前記2量体WFA固定化担体は、
    前記2量体WFAが、ビオチンを含む架橋剤によって2量体化されたビオチン化2量体WFAであり、
    前記ビオチンを含む架橋剤が、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有しており、
    前記固相担体が、ビオチン結合タンパク質が固定化された固相担体であり、
    前記ビオチン化2量体WFAが、前記ビオチン結合タンパク質を介して前記固相担体に固定化されている、標的物質の検出方法。
  3. 前記標識物質が、前記標的物質に特異的に結合する標識抗体である、請求項に記載の方法。
  4. ウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(WFA)と結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる担体であって、
    前記WFAが2量体化された2量体WFAと、固相担体とを有し、
    前記2量体WFAが前記固相担体上に固定化されており、
    前記2量体WFAは、ビオチンを含む架橋剤によって2量体化されたビオチン化2量体WFAであり、
    前記ビオチンを含む架橋剤が、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有しており、
    前記固相担体は、ビオチン結合タンパク質が固定化された固相担体であり、
    前記ビオチン化2量体WFAが、前記ビオチン結合タンパク質を介して前記固相担体に固定化されていることを特徴とする担体。
  5. ウィステリア・フロリブンダ(Wisteria floribunda)のレクチン(WFA)と結合する糖鎖を含む標的物質を検出するために用いられる担体の製造方法であって、
    (I) 前記WFAを2量体化して2量体WFAを得る工程、および
    (II) 前記工程(I)で得られた2量体WFAを固相担体に固定化して2量体WFA固定化担体を得る工程、
    を含み、
    前記工程(I)において、ビオチンを含む架橋剤を含有する溶液と、WFAとを混合して、ビオチン化2量体WFAを調製し、
    前記工程(II)において、前記固相担体として、ビオチン結合タンパク質が固定化された担体を用い、前記担体中のビオチン結合タンパク質と前記ビオチン化2量体WFAとを結合させることによって前記2量体WFAを前記固相担体に固定化し、
    前記架橋剤が、前記2量体WFA中のアミノ基と架橋を形成する架橋剤であって、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基、イソチオシアノ基、クロロスルホン基、クロロカルボニル基、オキシエチレン基、炭素数1〜4のクロロアルキル基、アルデヒド基およびカルボキシル基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を前記2量体WFA中のアミノ基に対する反応基として有している、方法。
  6. 前記工程(I)において、前記架橋剤を含有する溶液と、前記WFAとを、〔WFA/架橋剤〕のモル比が1/10以下(ただし0を含まない)となるように接触させることにより、前記2量体WFAを得る、請求項5に記載の方法。
  7. 前記ビオチンと前記反応基とが、スペーサーを介して結合している、請求項5又は6に記載の方法。
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