JP6545552B2 - 水性分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維の集束性および密着性に優れ、かつ工業的に有利に製造できる高分子量ポリオレフィン樹脂の水性分散体に関する。
炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化プラスチック(FRP)は、金属材料に比べて軽量であり、かつ強化繊維を含まないプラスチックに比べて機械的強度や弾性率が高い材料である。このような特性を有することから、繊維強化プラスチックは、航空機、自動車、鉄道車両、船舶などの多くの分野で利用されている。
従来、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂がマトリックス樹脂である繊維強化プラスチックの補強剤として使用されるガラス繊維としては、酸変性ポリプロピレン系樹脂の水性エマルジョンを含む集束剤が塗布されたガラス繊維が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、チョップドストランドの集束性を改善する目的で、高分子分散剤としてスチレン−無水マレイン酸共重合体を用いた高分子量のポリオレフィンの水性エマルジョンが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公平6−96463号公報 国際公開第2004/074353号パンフレット
しかし、特許文献1で用いられている酸変性ポリプロピレン系樹脂の分子量は低いものであるため、水性エマルジョンから形成される乾燥皮膜の強度が低く、ガラス繊維のチョップドストランドの集束性は満足できるものではなかった。
また、特許文献2に記載の技術では、高分子量ポリオレフィン樹脂のガラス基材への密着性が不十分であり、さらなる性能向上が求められていた。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、集束性および密着性に優れ、かつ工業的に有利に製造できる高分子量ポリオレフィン樹脂の水性分散体を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を積み重ねた。その結果、スチレン系単量体とイタコン酸とを含有する共重合体を分散剤に用いることで、高分子ポリオレフィン樹脂が効率よく水性媒体中に分散し、また工業的にも安全に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は重量平均分子量が2万以上であるポリオレフィン樹脂(A)と、スチレン系単量体(b−1)50〜90モル%と、イタコン酸(b−2)10〜50モル%を含む単量体成分を共重合して得られる高分子分散体(B)とを含む、水性分散体である。
また本発明は、前記単量体成分が、さらに(メタ)アクリル酸エステルを高分子分散剤(B)を構成する全単量体に対し、2〜30モル%含む水性分散体である。
さらに本発明は、前記ポリオレフィン樹脂(A)の含有量が前記水性分散体の全質量に対して10〜50質量%であり、前記高分子分散剤(B)の含有量がポリオレフィン樹脂(A)の量を100質量部として、1〜35質量部である水性分散体である。
また本発明は、前記の水性分散体を含む、繊維用集束剤である。
本発明によれば、集束性および密着性に優れ、かつ工業的に有利に製造できる高分子量ポリオレフィン樹脂の水性分散体が提供されうる。
以下、本発明の水性分散体を詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。(メタ)アクリル酸等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。このため、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリル双方を包含する。例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸双方を包含する。
[ポリオレフィン樹脂]
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(A)は、重量平均分子量が2万以上である。重量平均分子量が2万未満であると、得られる乾燥皮膜の強度が低くなる。該重量平均分子量は、好ましくは3万以上、より好ましくは5万以上である。また、重量平均分子量の上限は特に制限されないが、乳化性を考慮すれば、好ましくは40万以下であり、より好ましくは20万以下である。なお、ポリオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した値を採用するものとする。
ポリオレフィン樹脂(A)としては、オレフィン化合物の単独重合体または共重合体を用いることができる。該オレフィン化合物の単独重合体としては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、または線状低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリ(1−ヘキセン)等の炭素数2〜20のα−オレフィンの単独重合体を挙げることができ、共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体等を挙げることができる。
また、極性基が導入されたポリオレフィン樹脂も使用できる。極性基が導入されたポリオレフィン樹脂の具体例としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリオレフィン;エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニリデン共重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−メタクリロニトリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリルアミド共重合体、エチレン−メタクリルアミド共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリルレート共重合体、エチレン−イソプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−イソブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸金属塩共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体またはその鹸化物、エチレン−ビニルプロピオネート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン−ビニル単量体共重合体;塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
これらポリオレフィン樹脂(A)は、単独で用いてもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ポリオレフィン樹脂(A)が共重合体である場合、共重合体の形態は特に限定されず、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
上記ポリオレフィン樹脂(A)には、必要に応じて、他の樹脂またはゴムを本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
前記の他の樹脂またはゴムとしては、例えば、プロピレン/ブテン−1共重合体などのα−オレフィン共重合体;エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン−α−オレフィン−ジエン単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン;スチレン−ブタジエン共重合体などのビニル単量体−ジエン共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのビニル単量体−ジエン−ビニル単量体ブロック共重合体;水素化(スチレン−ブタジエンランダム共重合体)などの水素化(ビニル単量体−ジエンランダム共重合体);水素化(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)などの水素化(ビニル単量体−ジエン−ビニル単量体ブロック共重合体);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレングラフト共重合体などのビニル単量体−ジエン−ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体などのビニル共重合体等が挙げられる。
これらポリオレフィン樹脂(A)の中でも、乳化性および乾燥皮膜の強度の観点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、アクリル酸変性ポリプロピレンが好ましい。
ポリオレフィン樹脂(A)は市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、EASTMAN G3216、EASTMAN G3003、 EASTMAN G3015(以上、EASTMAN CHEMICAL COMPANY製)、POLYBOND(登録商標)3200、POLYBOND(登録商標)1001(以上、Chemtura Corporation社製)、ハイワックス(登録商標) NP0555A(三井化学株式会社製)、Exxelor(登録商標)PO 1015、Exxelor(登録商標)PO 1020(以上、Exxonmobil Chemical社製)、TOYOTAC(登録商標)H1000P、TOYOTAC(登録商標)H3000P(以上、東洋紡績株式会社製)、ユーメックス(登録商標)1001(三洋化成工業株式会社製)等が挙げられる。また、合成するための重合方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば、高圧ラジカル重合法、中低圧重合法、溶液重合法、スラリー重合法、塊状重合法、気相重合法等を挙げることができる。また、重合に使用する触媒も特に制限はなく、例えば、過酸化物触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。
[高分子分散剤]
本発明で用いられる高分子分散剤(B)は、スチレン系単量体(b−1)およびイタコン酸(b−2)を含む単量体成分を共重合して得られるポリマーである。高分子分散剤(B)の形態は特に限定されず、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
<スチレン系単量体>
本発明の高分子分散剤の(b−1)成分であるスチレン系単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、ハロゲンで核置換されたスチレン、1−ビニルナフタレン、p−メチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−シクロヘキシルスチレン、p−ドデシルスチレン等の芳香族ビニル単量体が挙げられる。これらの中でも、スチレン、またはα−メチルスチレンが好ましい。
高分子分散剤中の(b−1)成分の量は、高分子体分散剤を構成する全単量体に対し、50〜90モル%含有する事が好ましく、さらに好ましくは60〜80モル%である。(b−1)成分の量が50モル%未満であると高分子分散剤の粘度が高くなりハンドリング性に劣り、一方、90モル%を超えると、ポリオレフィン樹脂(A)の分散性が不足となる。
イタコン酸(b−2)は、高分子分散剤を構成する全単量体に対し、10〜50モル%含有することが好ましく、さらに好ましくは10〜40モル%である。
また、スチレン系単量体(b−1)とイタコン酸(b−2)は、(b−1):(b−2)=1:1〜5:1のモル比で含有する事が好ましく、1:1〜3.5:1がさらに好ましい。
本発明で用いられる高分子分散剤は、さらに(メタ)アクリル酸エステルを含有することができる。本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステルは特に制限されないが、エステル部分に炭素数1〜22の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
エステル部分に炭素数1〜22の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、iso−アミル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、3−メチルペンタン−2−イル(メタ)アクリレート、3−メチルペンタン−3−イル(メタ)アクリレート、4−メチルペンチル(メタ)アクリレート、4−メチルペンタン−2−イル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、3,3−ジメチルブタン−2−イル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、1−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、5−メチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルペンチル(メタ)アクリレート、1−(n−プロピル)ブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルペンチル(メタ)アクリレート、1,4−ジメチルペンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジエチルプロピル(メタ)アクリレート、1,3,3−トリメチルブチル(メタ)アクリレート、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、1−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、5−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、1−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、2−プロピルペンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート、1,5−ジメチルヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチル−1−メチルペンチル(メタ)アクリレート、1−エチル−4−メチルペンチル(メタ)アクリレート、1,1,4−トリメチルペンチル(メタ)アクリレート、2,4,4−トリメチルペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、1,1,3,3−テトラメチルブチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、1−メチルオクチル(メタ)アクリレート、6−メチルオクチル(メタ)アクリレート、1−エチルヘプチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、1−メチルノニル(メタ)アクリレート、1−エチルオクチル(メタ)アクリレート、1−(n−ブチル)ヘキシル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、1−メチルデシル(メタ)アクリレート、1−エチルノニル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、1−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、n−ペンタデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−ヘプタデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−ノナデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニルメチル(メタ)アクリレート、シアノノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メンチル(メタ)アクリレート、フェンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−4−メチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。特に、乾燥後の皮膜強度調整および得られる分散剤の乳化性の観点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレートと、n−ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
単量体成分が上記の(メタ)アクリル酸エステル成分をさらに含む場合の含有量は、高分子分散剤(B)を構成する全単量体に対し、0.1〜30モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましい。かような範囲であれば、ハンドリング性と乳化性を両立した分散剤を得ることができる。
さらに本発明で用いられる高分子分散剤は、必要に応じてエチレン性不飽和単量体、不飽和カルボン酸等の他の共重合可能な単量体成分を含んでいてもよい。これら他の単量体成分は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
<エチレン性不飽和単量体>
エチレン性不飽和単量体の例としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド単量体、1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物;ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のエチレン性不飽和スルホン酸もしくはその塩;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;酢酸ビニル等が挙げられる。
<不飽和カルボン酸>
本発明の高分子分散体の必須成分であるイタコン酸(b−2)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で他の不飽和カルボン酸を用いることができる。例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。これらは単独でも、または2種以上組み合わせても用いることができる。
高分子分散剤(B)は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など従来公知の重合方法により合成することができる。溶液重合の場合は水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどの低級アルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン等の溶剤を、単独または2種以上組み合わせて使用して重合を行えばよい。乳化重合や懸濁重合の場合は、従来公知のアニオンおよび/またはノニオン界面活性剤を使用し、前記の溶剤中において重合を行えばよい。
重合開始剤も、従来公知のものが使用できる。具体的には、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、これら過硫酸塩と還元剤との組み合わせによるレドックス系重合触媒、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系もしくはジアゾ系触媒、または過酸化水素、t−ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジンなどの過酸化物を挙げることができる。これら重合開始剤の使用量は特に制限されないが、単量体の合計量100質量部に対して、概ね0.01〜0.50質量部であることが好ましい。
高分子分散剤(B)を合成する際には、高分子分散剤(B)の分子量の調節をより容易にするために、分子量調節剤を用いることが好ましい。
分子量調節剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、チオフェノール、チオ安息香酸、チオサリチル酸、ナフタレンチオール、トルエンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトグリコール、チオグリセリン、システアミン塩酸もしくはその塩、メルカプトプロピオン酸もしくはその塩、チオグリコール酸もしくはその塩、チオ酢酸もしくはその塩、チオリンゴ酸もしくはその塩、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基を有するチオグリコール酸エステルもしくはメルカプトプロピオン酸エステル、チオグリコール酸とエチレングリコール、トリメチロールプロパンなど多価アルコールとのエステル、ターピノーレン、α−メチルスチレン、またはα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。分子量調節剤の量は特に制限されないが、単量体の合計量100質量部に対して概ね0.1〜10質量部であることが好ましい。
重合時間や重合温度も特に制限されないが、一例をあげれば、重合時間は2〜7時間の範囲であり、重合温度は70〜90℃の範囲である。
得られた共重合体(高分子分散剤)は、必要に応じて共重合体中のカルボン酸部分を、無機アルカリおよび/または有機アルカリにより中和してもよい。中和に用いる無機アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、有機アルカリとしてはアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン等の有機アミン類が挙げられる。該アルカリによる共重合体の中和は、完全中和であってもよいし部分中和であってもよい。
得られる高分子分散剤(B)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜700,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜500,000、さらに好ましくは5,000〜100,000である。重量平均分子量がこのような範囲であれば、ポリオレフィン樹脂(A)を効率良く分散させることができる。なお、高分子分散剤(B)の重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定した値を採用するものとする。
高分子分散剤(B)は単離して用いてもよいし、溶液や水性分散液の形態で用いてもよい。ただし、本発明の水性分散体をより簡便に製造するという観点から、水性分散液の形態であることが好ましい。
[水性分散体]
本発明の水性分散体は、上記の重量平均分子量が2万以上であるポリオレフィン樹脂(A)と、上記の高分子分散剤(B)とを含む。
本発明の水性分散体中のポリオレフィン樹脂(A)の含有量(濃度)は、水性分散体の全質量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。また、高分子分散剤(B)の含有量は、ポリオレフィン樹脂(A)の量を100質量部として、1〜35質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。
本発明の水性分散体の製造方法は特に制限されないが、例えば、オートクレーブなどの加圧可能で通常の剪断力を有する装置に、ポリオレフィン樹脂(A)、高分子分散剤(B)、水性媒体、および必要に応じて乳化剤や中和剤等を仕込み、ポリオレフィン樹脂(A)の軟化温度付近または軟化温度以上の温度まで加熱し撹拌することによって得られる。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、水溶性の有機溶剤を含有していてもよい。
使用できる有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、t−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒を用いる場合の添加量は特に制限されないが、水性媒体全体に対して0〜10質量部であることが好ましい。
乳化剤は特に制限されないが、乳化性、安全性および各種添加剤を加えた時のゲル化抑制の観点から、ノニオン界面活性剤を用いることが好ましい。
ノニオン界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(合成系)、ナロー型ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンβ−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリエチレングリコールモノアルキル脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
さらに安定な水性分散体を得るために、乳化剤として上記ノニオン界面活性剤の他に、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、反応性界面活性剤、または上記(B)成分以外の高分子分散剤等を併用してもよい。
カチオン界面活性剤としては、例えば、ドデシルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩等の高級アルキルモノアミン塩、N−ドデシル−1,3−ジアミノプロパンアジピン酸塩、N−ドデシルプロピレンジアミンジオレイン酸塩等のアルキルジアミン塩、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、半硬化牛脂脂肪酸石鹸ナトリウム塩、ステアリン酸石鹸ナトリウム塩、オレイン酸石鹸カリウム塩、ガムロジン系不均化ロジンナトリウム塩、アルケニルコハク酸ジカリウム塩、ドデシル硫酸エステルナトリウム塩、無水重亜硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキル(C12,C13)エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレンドデシル硫酸エステルアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、高級アルコール(C6〜28)のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン系、スルホベタイン系、ホスホベタイン系、アミドアミノ酸系、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
反応性界面活性剤としては、例えば、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の反応性2重結合を有する化合物等が挙げられる。
(B)成分以外の高分子分散剤としては、例えば、分子内に複数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸系高分子分散剤、分子内に複数のアミノ基を有するポリアミン系高分子分散剤、分子内に複数のアミド基を有する高分子分散剤、分子内に複数の多環式芳香族化合物を含有する高分子分散剤などが挙げられる。
また、上記中和剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、モノラウリルアミン、トリメチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニア、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。これらは用途に応じて適量配合することが可能であるが、水性分散体全量に対し、0.1〜10質量%程度配合することが好ましい。
水性分散体の平均粒径は用途に応じて任意に調整可能で、特に限定されないが、繊維用集束剤として用いられる場合、好ましくは50〜1,000nm、特に好しくは100〜300nmである。
本発明の水性分散体は、通常用いられる配合剤、例えば、酸化防止剤、表面処理剤、潤滑剤、滑剤(あるいは風合改良剤)、帯電防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤熱安定剤、消泡剤、老化防止剤、レベリング剤等をさらに含んでいてもよい。
上記酸化防止剤の例としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、カテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤;チオ尿素、テトラメチルチウラムジサルファイド、ジメチルジチオカルバミン酸およびその塩、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびその塩、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート(DSTDP)等の含硫黄化合物;トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、トリフェニルホスファイト(TPP)、トリイソデシルホスファイト(TDP)等の含リン化合物;オクチル化ジフェニルアミン、N−n−ブチル−p−アミノフェノール、N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、尿素、グアニジンなどの含窒素化合物;等が挙げられる。
上記表面処理剤の例としては、例えば、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、ビニルシラン系カップリング剤、メタクリロシラン系カップリング剤、ウレイドシラン系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤などのカップリング剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなどのコロイダルゲル等が挙げられる。
上記潤滑剤としては、例えば、動植物油水添硬化物、パラフィンワックス、エステル系合成油などが挙げられる。
上記滑剤(あるいは風合改良剤)としては、例えば、ブチルステアレート、テトラエチレンペンタミンジステアレート、水添ひまし油、イミダゾリン系脂肪酸アミド、カチオン性脂肪酸アミド、カチオン性ポリエチレンイミンポリアミド、ビスフェノールAポリ(オキシエチレン)エーテルグリコール等が挙げられる。
上記帯電防止剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等の各種界面活性剤が挙げられる。
上記pH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸などの無機酸やクエン酸、コハク酸、りんご酸、乳酸などの有機酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリなどが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、フェニルサリシレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
本発明の水性分散体は、例えば、ガラス繊維等の無機繊維用集束剤、炭素繊維用集束剤、金属塗装、潤滑剤、トナーバインダー、ガラス繊維とオレフィン樹脂とのヒートシール剤、フロアーポリッシュなどに好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。また、重量平均分子量の測定は下記の条件により測定を行った。
測定器:東ソー株式会社製 GPC−8020 modeIII
カラム:東ソー株式会社製 GPWXL
測定温度:40℃
検出器:示差屈折計
<分散剤の製造>
(製造例1)
温度計、冷却器、攪拌機、および窒素導入管を備えた五つ口フラスコに、スチレン161.7質量部、イタコン酸67.3質量部、アクリル酸ブチル29.4質量部、およびイソプロピルアルコール246.6質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6.6質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が31,500である高分子分散剤1を得た。
(製造例2)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン176.1質量部、イタコン酸73.3質量部、シクロヘキシルアクリレート7.1質量部、およびイソプロピルアルコール247.0質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.8質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が25,200である高分子分散剤2を得た。
(製造例3)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン161.7質量部、イタコン酸67.3質量部、アクリル酸ブチル29.4質量部、イソプロピルアルコール246.6質量部、およびn−オクチルメルカプタン5.0質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)6.6質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が12,800である高分子分散剤3を得た。
(製造例4)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン176.1質量部、イタコン酸73.3質量部、2−エチルヘシキルアクリレート8.5質量部、イソプロピルアルコール245.6質量部、およびn−オクチルメルカプタン5.0質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.8質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が12,000である高分子分散剤4を得た。
(製造例5)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン156.5質量部、イタコン酸97.8質量部、アクリル酸ブチル5.9質量部、およびイソプロピルアルコール246.1質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.8質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が26,800である高分子分散剤5を得た。
(製造例6)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン156.5質量部、イタコン酸97.8質量部、アクリル酸ブチル5.9質量部、イソプロピルアルコール246.1質量部、およびn−オクチルメルカプタン5.0質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.8質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が10,300である高分子分散剤6を得た。
(製造例7)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン114.6質量部、イタコン酸85.8質量部、アクリル酸ブチル56.3質量部、イソプロピルアルコール247.7質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.5質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が33,400である高分子分散剤7を得た。
(製造例8)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン212.5質量部、イタコン酸40.6質量部、アクリル酸ブチル6.1質量部、イソプロピルアルコール244.3質量部、およびn−オクチルメルカプタン5.3質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)9.2質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が12,500である高分子分散剤8を得た。
(製造例9)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン212.5質量部、イタコン酸46.9質量部、およびイソプロピルアルコール249.6質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)9.2質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が25,900である高分子分散剤9を得た。
(製造例10)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン167.7質量部、イタコン酸89.7質量部、およびイソプロピルアルコール247.9質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.9質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が27,200である高分子分散剤10を得た。
(製造例11)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン143.7質量部、イタコン酸119.7質量部、およびイソプロピルアルコール248.9質量部、およびn−オクチルメルカプタン5.0質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.9質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が11,000である高分子分散剤11を得た。
(製造例13)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン200.0質量部、イタコン酸15.6質量部、アクリル酸ブチル46.2質量部、およびイソプロピルアルコール252.2質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)9.2質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が34,200である比較の分散剤12を得た。
(製造例14)
製造例1と同様の反応装置に、スチレン91.7質量部、イタコン酸157.4質量部、アクリル酸ブチル14.1質量部、およびイソプロピルアルコール249.7質量部、およびn−オクチルメルカプタン4.8質量部をそれぞれ仕込んだ。窒素雰囲気下、80℃まで加熱、攪拌を行った。その後、重合開始剤として2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)8.5質量部を加え、80℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、イソプロピルアルコールを除き、さらに加熱乾燥することで、重量平均分子量が10,400である比較の分散剤13を得た。
Figure 0006545552
<水性分散体の製造>
(実施例1)
攪拌機、温度計、温度コントローラーを備えた内容量1.0Lの乳化設備を有するオートクレーブに、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(EASTMAN CHEMICAL COMPANY製「EASTMAN G3003」、重量平均分子量:120,000、酸価:8)154.2g、無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学株式会社製「ハイワックス NP0555A」重量平均分子量:30,000、酸価:45)66.1g、(製造例1で製造した高分子分散剤1(高分子分散剤1の濃度:100質量%)10.6g、オレイン酸(日油株式会社製「NAA−34」)13.4g、オレイン酸ジエタノールアマイド(青木油脂工業株式会社製、「ブライトンOL−2」)11.5g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製、ペグノールC−18)11.0g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(青木油脂工業株式会社製、ブラウノンSR−715)6.6g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製、ペグノールO−16A)4.8g、ジメチルエタノールアミン(日本乳化剤株式会社製、アミノアルコール 2Mabs)3.8g、N-メチルモルホリン(花王株式会社製、カオーライザーNo.21)14.4g、48%苛性カリ水溶液3.7g、イオン交換水 259.9gを加え、170℃まで加熱し800rpmで1時間熟成した。その後、120℃まで冷却し内圧を下げた後、別途用意した170℃のイオン交換水140gを加え再度170℃まで加熱し、800rpmで1時間熟成した。熟成後40℃まで冷却し、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含む固形分濃度が40質量%である水性分散体1を得た。
(実施例2〜12)
表2に示す処方に基づいて、実施例1と同様の操作を行い、水性分散体2〜12を得た。
(比較例1〜5)
表2に示す処方に基づいて、実施例1と同様の操作を行った。しかし比較例3、4では無水マレイン酸変性ポリプロピレンの未乳化物が多量に発生した。
<評価>
1.乳化安定性
水性分散体製造後、常温(25℃)で1ヶ月保存した後の状態を、目視にて観察した。
実施例1〜9で得られた水性分散体の性状および各種評価結果を表2に示す。
2.pH
JIS K−6833に準じて測定した。
3.粘度
JIS Z−8802に準じて測定した。
4.平均粒径
Particle sizing systems社製、NICOMP 380にて、散乱光の光強度分布より、樹脂粒子の平均粒径を測定した。
5.界面剪断応力(マイクロドロップレット試験)
複合材料界面特性評価装置H M410(東栄産業株式会社製)を使用し、マイクロドロップレット法により接着性を評価した。フェザーフィールド社から購入したガラス繊維ロービング(平均フィラメント径:12μm、材質:E−ガラス)を電気炉に入れ600℃×3時間の熱処理を施しフィラメント(単繊維)表面に付着している集束剤を除去した後、そのロービングからフィラメントを取り出した。得られたフィラメントを複合材料界面特性評価装置専用台紙の所定の位置に取り付けて、固形分換算5〜10wt%に希釈した実施例に示すエマルションをフィラメントに霧吹きにて吹き付けたのち、窒素雰囲気にした自然対流式乾燥機に入れ、180℃×5分の加熱を行った後100℃まで冷却し再度180℃×5分の熱処理を加え、室温までの冷却を行いガラス繊維フィラメント上にドロップを作製した。これを測定用の試料として複合材料界面特性評価装置にセッティングし、ドロップを装置ブレードで挟み、ガラス繊維フィラメントを装置上で0.12mm/分の速度で走行させ、室温下におけるガラス繊維フィラメントからドロップを引き抜く際の最大引き抜き荷重Fを測定した。
次式により界面剪断強度τを算出し、ガラス繊維フィラメントとエマルション成分(不揮発分)との接着性を評価した。
界面剪断強度τ ( 単位: M P a ) = F / π d l
F : 最大引き抜き荷重
d : ガラス繊維フィラメント直径
l : ドロップの引き抜き方向の粒子径)
実施例1〜12及び比較例1〜5で得られた水性分散体の性状および各種評価結果を表2に示す。
Figure 0006545552
表2から明らかなように、本発明の水性分散体においては、ポリオレフィン樹脂が良好に分散しており、ガラス繊維フィラメントとの接着性も良好であった。一方、上記のように、比較例1、3、4の水性分散体では乳化不良で、かつ比較例1〜5の水性分散体では、ガラス繊維フィラメントとの接着性も低く、本発明の分散剤と比較し劣る結果であった。

Claims (4)

  1. 重量平均分子量が2万以上であるポリオレフィン樹脂(A)と、
    スチレン系単量体(b−1)50〜90モル%と、イタコン酸(b−2)10〜50モル%を含む単量体成分を共重合して得られる高分子分散剤(B)と、
    を含む、水性分散体。
  2. 前記単量体成分が、さらに(メタ)アクリル酸エステルを高分子分散剤(B)を構成する全単量体に対し、2〜30モル%含む、請求項1に記載の水性分散体。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂(A)の含有量が前記水性分散体の全質量に対して10〜50質量%であり、
    前記高分子分散剤(B)の含有量がポリオレフィン樹脂(A)の量を100質量部として、1〜35質量部である、請求項1または2に記載の水性分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性分散体を含む、繊維用集束剤。
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