JP7132583B2 - 水性分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、固形分濃度が高濃度でありながら低粘度の水性分散体に関する。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、環境保護、省資源、作業性の観点から水性分散体として様々な用途に用いられている。これら水性分散体は目的に応じて固形分濃度が高い水性分散体が求められる場合がある。
例えば、特許文献1には、酸変性ポリオレフィン樹脂に高分子乳化剤を用いて水性分散化する技術が開示されている。
特開2013-234243号公報
しかしながら、固形分濃度を高濃度にすると粘度が上昇し、低速で塗工しなければ均一な塗膜を得ることができず、生産性に劣る場合があった。
本発明の目的は、高固形分濃度でありながら、低粘度であり、高速で塗工することができ、ゲル化せず保存安定性に優れた酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の酸変性ポリオレフィン樹脂および水性媒体を含有する水性分散体を用いることで上記課題が解決できることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂および水性媒体を含有する水性分散体であって、水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径が130nm以上であり、固形分濃度が30質量%以上であって、かつ25℃における粘度が500mPa・s以下であることを特徴とする水性分散体。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂がアクリル酸エステル成分を含有することを特徴とする(1)記載の水性分散体。
本発明の水性分散体は、固形分濃度が30質量%以上という高濃度でありながら、25℃における粘度が500mPa・s以下という低粘度であり、ゲル化せず保存安定性に優れている。本発明の水性分散体は、高速塗工しても均一な塗膜を得ることができることから生産性に優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂および水性媒体を含有する水性分散体であって、ポリオレフィン樹脂は無水マレイン酸成分を含有する。
酸変性ポリオレフィン樹脂のオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等のアルケンや、ノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン等の炭素数2~6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン等の炭素数2~4のアルケンがより好ましく、特にエチレン、プロピレンが好ましい。
オレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性等の酸変性ポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、無水マレイン酸成分により酸変性されていることが好ましい。無水マレイン酸成分の量は、塗膜と基材との密着性の点から、酸変性ポリオレフィン樹脂の0.1~25質量%であることが好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましく、1~5質量%が特に好ましい。
無水マレイン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、基材を構成する熱可塑性樹脂基材、特に基材との密着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂の40質量%以下であることが好ましく、様々な熱可塑性樹脂基材との良好な接着性を持たせるために、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えるとオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、基材との密着性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1~30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1~20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材との接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸~」とは、「アクリル酸~またはメタクリル酸~」を意味する。)
また、上記成分以外に他の成分を酸変性ポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2-ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、通常0.01~5000g/10分、好ましくは0.1~1000g/10分、より好ましくは1~500g/10分、さらに好ましくは2~300g/10分、特に好ましくは2~200g/10分のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、基材との密着性が低下する。一方、酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが5000g/10分を超えると、塗膜は硬くてもろくなり、接着性や基材との密着性が低下してしまう。
これら酸変性ポリオレフィン樹脂は、市販品を好適に使用することができ、市販品の例としてはアルケマ社製「ボンダイン」、「ロタダー」、三洋化成社製「ユーメックス」、三井化学社製「ケミパール」、「タフマー」、日本製紙ケミカル社製「アウローレン」などが挙げられる。
本発明の水性分散体は、酸変性ポリオレフィン樹脂および水性媒体を含有する水性分散体であり、水性媒体は、後述する酸変性ポリオレフィン樹脂を分散化する際にアミン化合物を含有し、有機溶剤を含有してもよい。
本発明は、水性化助剤を用いずとも、酸変性ポリオレフィン樹脂を水性媒体中に安定的に分散することができるが、必要に応じて不揮発性の水性分散化助剤を用いても良い。
ここで、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性分散化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
本発明において、水性分散体の使用目的において、水性分散化助剤を必要とした場合は、本発明の効果を損ねない範囲で、酸変性ポリオレフィン樹脂成分に対して5質量%以下、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%未満を添加することで含有していても構わない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン-プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸-無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等が挙げられる。
本発明の水性分散体は、25℃における粘度が500mPa・s以下であることが必要であり、50~500mPa・sであることが好ましく、150~500mPa・sであることがより好ましい。水性分散体の粘度が25℃において500mPa・sを超えると、保存安定性が低下したり、高速塗工性が悪くなる場合がある。
本発明の水性分散体は、固形分濃度が30質量%以上であり、25℃における粘度が500mPa・s以下にするためには、後述する水性分散体の製造時に添加する塩基性化合物が、アンモニアまたはアルキル基を有しないアミン化合物である必要がある。前記塩基性化合物を用いることで、酸変性ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径を150nm以上とすることができ、得られた水性分散体は固形分濃度が30質量%以上という高固形分濃度でありながら、25℃における粘度が500mPa・s以下という低粘度にすることができる。
本発明の水性分散体における酸変性ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径は、水性分散体の粘性を適度に保つ点で、150nm以上であることが好ましく、160nm以上240nm以下であることがより好ましい、酸変性ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径を150nm以上にすることで、粘度上昇を抑制でき、低粘度で保存安定性に優れた水性分散体を得ることができる。
次に、本発明の水性分散体の製造方法を説明する。
本発明の水性分散体の製造方法としては、酸変性ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に均一に混合・分散される方法であれば、限定されるものではないが、たとえば、酸変性ポリオレフィン樹脂の原料樹脂を、水や溶媒と共に攪拌・加熱を行って水性分散体を得る方法が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の分散化を容易にするために、水性媒体は、20℃における水の溶解性が5質量%以上である有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール-n-ブチルエーテル等のエチレングリコール誘導体類が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂の分散化のために添加する有機溶剤の量は、酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、20質量部以下が好ましく、16質量部以下がより好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の分散化において20質量部を超えて有機溶剤を添加すると、得られる水性分散体は、脱溶剤に長時間を要して生産性が低下したり、ゲル化するおそれがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂の分散化において、酸変性ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基は、塩基性化合物によってその一部を中和することが好ましい。塩基性化合物によってカルボキシル基または酸無水物基をアニオン化し、アニオンの静電気的反発力によって水性媒体中における樹脂微粒子間の凝集が防がれ、良好な分散化が達成される。
本発明の水性分散体は、固形分濃度が30質量%以上という高固形分濃度でありながら、25℃における粘度は500mPa・s以下という低粘度であり、このような特性を有する水性分散体は、製造時に前記塩基性化合物としてアンモニアまたはアルキル基を有しないアミン化合物を用いることで達成できる。アルキル基を有しない化合物としては、例えばトリアルカノールアミンが挙げられ、トリアルカノールアミンとしては、例えばトリメタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。本発明の水性分散体の製造時に用いる塩基性化合物としては特にアンモニアが好ましい。
水性分散体の製造時に上記の有機溶剤を用いた場合には、樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤の含有量を低減させることができる。本発明の水性分散体は、ストリッピングしたとしても固形分濃度が30質量%以上であり、かつ25℃における粘度が500mPa・s以下である。
ストリッピングの方法としては、常圧または減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法が挙げられる。
本発明の水性分散体は、固形分濃度が30質量%以上である必要があり、塗工性の観点から上限は50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。また、固形分濃度が高い方が好ましい用途においては、下限は35質量%以上であることがより好ましい。
本発明の水性分散体には、耐薬品性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤を水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.1~50質量部、好ましくは0.5~30質量部含有させることができる。架橋剤の添加量が0.1質量部未満の場合は、塗膜性能の向上の程度が小さく、50質量部を超える場合は、水性分散体の液安定性や加工性等の塗膜性能が低下する傾向がある。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。
本発明の水性分散体は、基材に塗膜を形成して積層体を作製することができ、この積層体を二層以上積層してもよい。
基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンまたは紙などが挙げられる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられ、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられ、フィルム形状や不織布形状などが挙げられ、紙としては、濾紙や化繊紙などが挙げられる。
本発明の水性分散体を、基材に塗布する方法としては、公知の方法、例えばグラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などが挙げられる。水性分散体を基材の必要な箇所に塗布したのち、60~150℃で60秒程度乾燥することにより、基材上に塗膜が形成された積層体が得られる。
本発明の水性分散体は、高固形分かつ低粘度が求められる基材や用途に用いることができる。たとえば、スクリーン印刷やグラビア印刷、あるいは転写接着のように塗布量を多くしつつ塗剤の切れ性も要求される用途に好適である。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらによって限定されるものではない。
水性分散体の特性は下記の方法で測定した。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
H-NMR分析装置(日本電子社製 ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d)を溶媒とし、120℃で測定した
(2)固形分濃度
水性分散体を適宜秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(3)塩基性化合物の含有量
JIS K 0127に準拠して、イオンクロマトグラフ法にて測定を行った。
(4)体積平均粒子径
粒子径分布測定装置(日機装社製Nanotac wave)を使用して求めた。
(5)粘度
B型粘度計(東機産業社製)を用いてJIS Z 8803に準拠して温度25℃で測定し粘度を求めた。
(6)保存安定性
水性分散体を25℃の恒温器内に保管し、3カ月後のゲル発生の有無、粘度変化により、保存安定性を評価した。
○:水性分散体のゲル化が生じず、試験前の粘度から200mPa・s以上または2倍以上の変化がない。
△:水性分散体のゲル化は生じないが、試験前の粘度から200mPa・s以上、または2倍以上の変化(上昇)がある。
×:水性分散体にゲル化が生じる。
(7)高速塗工性
平面基材ポリエステル(ユニチカ社製エンブレット)を使用してそれぞれに水性分散体を高速グラビアプルーファー(松尾産業株式会社製)にて70m/minの速度で乾燥厚みが7μm厚みとなるように塗布し、塗膜の状態を目視で判断した。
○:塗膜の状態が均一である(凹凸や泡立ちが目視では確認できない)
×:塗膜外観が均一でない(凹凸や泡立ちが目視で確認できる)
(8)密着性
ポリエステルフィルム(ユニチカ社製エンブレット)、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製LDPE)、紙(安積濾紙社製No.250)の平面基材に、試験展色機(クラボウ社製)を用いて水性分散体を乾燥厚みが3μm厚みとなるようにそれぞれ塗布し、乾燥した。その後、クロスカット試験(JIS5600)で塗膜の密着性を評価した。
塗膜残存率は セロテープ(登録商標)剥離後(%)/セロテープ(登録商標)剥離前(%)
◎:塗膜残存率 100/100
○:塗膜残存率 80/100以上100/100未満
×:塗膜残存率 0/100以上80/100未満
実施例1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた攪拌機を用いて105gの酸変性ポリオレフィン樹脂〔アルケマ社製、ボンダインHX-8290(以下、HX-8290と示す)〕、60.0gのイソプロパノール、3.0gの28質量%アンモニア水、および132.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈殿は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140~145℃に保ちさらに30分間撹拌した。
所定の時間経過後、回転速度300rpmのまま撹拌しつつ25℃まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧ろ過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な水性分散体E-1を得た。
実施例2
酸変性ポリオレフィン樹脂の仕込み量を117.0gに変更し、最終固形分が39質量%となるように水の仕込み量を調製した以外は実施例1と同様の操作で乳白色の均一な水性分散体E-2を得た。
実施例3
使用する塩基性化合物をアンモニアからトリエタノールアミンに変更した以外は実施例1と同様の操作で乳白色の均一な水性分散体E-3を得た。
実施例4
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類をHX-8290からプリマコール5980I(以下、5980Iと示す)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体E-4を得た。
比較例1
使用する塩基性化合物をアンモニアの代わりにN,N-ジメチルエタノールアミン(以下、DMEAと示す)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体E-5を得た。
比較例2
使用する塩基性化合物をアンモニアの代わりにトリエチルアミン(以下、TEAと示す)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体E-6を得た。
比較例3
使用する塩基性化合物を水酸化ナトリウム(以下、NaOHと示す)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体E-7を得た。
比較例4
使用する塩基性化合物を水酸化カリウム(以下、KOHと示す)に変更した以外は実施例1と同様の操作で水性分散体E-8を得た。
用いた酸変性ポリオレフィン樹脂の組成を表1に示す。
Figure 0007132583000001
実施例1~4および比較例1~4で得られた水性分散体E-1~E-8の特性ならびに評価結果を表2に示す。
Figure 0007132583000002
実施例1~4の水性分散体は、固形分濃度が30質量%以上でありながら、25℃における粘度が500mPa・s以下の低粘度であったため、高速塗工性に優れていた。また、該水性分散体はゲル化せず保存安定性にも優れていた。これらの水性分散体は、水性分散体を塗工する際に必要な厚みを確保しつつ、グラビア印刷のような水性分散体の適度な流動性が求められる用途に好適に使用できる。
一方、比較例1~4の水性分散体は、本発明で規定した固形分濃度が30質量%以上であると25℃における粘度が500mPa・sを超えており、高速塗工すると均一な塗膜が得られず高速塗工性に劣っていた。
また、比較例3~4の水性分散体は密着性についても劣っていた。

Claims (1)

  1. アクリル酸エステル成分と無水マレイン酸とを含有し、オレフィン成分がエチレン成分のみからなる酸変性ポリオレフィン樹脂、および水性媒体を含有する水性分散体であって、
    水性分散体は、不揮発性水性分散化助剤を含有せず、
    水性分散体中の酸変性ポリオレフィン樹脂の体積平均粒子径が130nm以上であり、
    固形分濃度が30質量%以上であって、かつ25℃における粘度が500mPa・s以下であることを特徴とする水性分散体。

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