JP6544955B2 - 導電性繊維シ−ト、ガス拡散電極、膜−電極接合体、固体高分子形燃料電池、及び導電性繊維シートの製造方法 - Google Patents

導電性繊維シ−ト、ガス拡散電極、膜−電極接合体、固体高分子形燃料電池、及び導電性繊維シートの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、導電性繊維シ−ト、ガス拡散電極、膜−電極接合体、固体高分子形燃料電池、及び導電性繊維シートの製造方法に関する。
従来から導電性繊維シートはその導電性と多孔性を利用して、燃料電池用のガス拡散電極用基材として、また、電気二重層キャパシタの電極として、或いは、リチウムイオン二次電池の電極としての使用が検討されている。
例えば、固体高分子形燃料電池におけるガス拡散電極としては、導電性に加えて、低加湿条件下では固体高分子膜を湿潤に保つための保湿性と、高加湿条件下では水が溜まり、フラッディングが起こるのを防ぐための排水性が要求される。そのため、従来、カーボンペーパー等の導電性多孔質基材に、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂を含浸、又はカーボン粉末とフッ素系樹脂とを混合したペーストを塗布することによって、フッ素系樹脂が存在、又はカーボン粉末及びフッ素系樹脂が存在する領域を、触媒層へのガス供給作用、保湿作用、及び生成水の排水作用を奏する水分管理層として使用し、これらが存在しない領域を供給されたガスを拡散させるガス拡散層として使用していた。しかしながら、このようなガス拡散電極は導電性多孔質基材としてカーボンペーパー等を使用しており、このカーボンペーパーを構成するカーボン繊維は剛性が高いため、触媒層を突き抜けてしまい、固体高分子膜を損傷する場合があった。
本願出願人も、「ガラス繊維にアクリル樹脂及び/又は酢酸ビニル樹脂を含むバインダを付着せしめたガラス不織布からなるガス拡散電極用基材に、カーボンブラックと、ポリテトラフルオロエチレン樹脂又はポリフッ化ビニリデン樹脂とを含む導電性ペーストを被着焼成したガス拡散電極」(特許文献1)を提案したが、従来のカーボンペーパーを使用したガス拡散電極と同様に、ガラス繊維は剛性が高いため、触媒層を突き抜けてしまい、固体高分子膜を損傷する場合があった。
そのため、本願出願人は、「有機樹脂の少なくとも内部に導電性粒子を含有する導電性繊維を含有する不織布を備えているガス拡散電極用基材」(特許文献2)を提案した。このガス拡散電極用基材は有機樹脂を含む導電性繊維を含んでいるため柔軟で、導電性繊維が固体高分子膜を損傷し、短絡するということはなかった。しかしながら、このガス拡散電極用基材は電気抵抗が高く、充分な発電性能を発揮しにくいものであった。
このように電気抵抗が高いと、ガス拡散電極用基材に限らず、電気二重層キャパシタの電極、リチウムイオン二次電池の電極をはじめとして、導電性を必要とする用途においては、充分な性能を発揮しにくいものであった。
特開2008−204945号公報 WO2014/010715号パンフレット
本発明はこのような状況下でなされたものであり、電気抵抗の低い導電性繊維シ−ト及びその製造方法、並びにこの導電性繊維シートを用いたガス拡散電極、膜−電極接合体又は固体高分子形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「第1導電性粒子を含有する導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有することを特徴とする、導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有することを特徴とする、請求項1記載の導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「第2導電性粒子が樹脂を介して、導電性繊維に接着していることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項4にかかる発明は、「導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜を形成していないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項5にかかる発明は、「導電性繊維を含まない領域を有しないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項6にかかる発明は、「導電性繊維が連続繊維であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項7にかかる発明は、「請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性繊維シートを、ガス拡散電極用基材として用いることを特徴とする、導電性繊維シート。」である。
本発明の請求項8にかかる発明は、「請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性繊維シートに、触媒が担持されていることを特徴とする、ガス拡散電極。」である。
本発明の請求項9にかかる発明は、「請求項8に記載のガス拡散電極を備えていることを特徴とする、膜−電極接合体。」である。
本発明の請求項10にかかる発明は、「請求項8に記載のガス拡散電極を備えていることを特徴とする、固体高分子形燃料電池。」である。
本発明の請求項11にかかる発明は、「第1導電性粒子を含有する紡糸液から紡糸した導電性繊維を集積する前又は集積した後に、第2導電性粒子を供給することを特徴とする、請求項1記載の導電性繊維シートの製造方法。」である。
本発明の請求項12にかかる発明は、「第2導電性粒子を含む分散液を噴霧して、第2導電性粒子を供給することを特徴とする、請求項11に記載の導電性繊維シートの製造方法。」である。
本発明の請求項13にかかる発明は、「分散液を、電荷を有する液滴に断片化して噴霧することを特徴とする、請求項12に記載の導電性繊維シートの製造方法。」である。
本発明の請求項14にかかる発明は、「第1導電性粒子を含有する紡糸液を、静電紡糸法により導電性繊維を紡糸することを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の導電性繊維シートの製造方法。」である。
本発明の請求項15にかかる発明は、「第1導電性粒子を含有する紡糸液からの導電性繊維の紡糸と、第2導電性粒子の供給を、同時に行なうことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の導電性繊維シートの製造方法。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有しているため、導電性に優れる繊維シート、つまり電気抵抗の低い導電性繊維シ−トである。
本発明の請求項2にかかる発明は、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有するため、電気抵抗の低い導電性繊維シートである。特に、第2導電性粒子のみからなる領域が存在しない場合には、第2導電性粒子が脱落しにくいため好適である。
本発明の請求項3にかかる発明は、第2導電性粒子が樹脂を介して接着しているため、導電性繊維が柔軟で、結果として、導電性繊維シートが柔軟である。そのため、導電性繊維シートが隣接する材料を損傷する危険性が低い。例えば、導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として使用したとしても、固体高分子膜を損傷しにくい。
本発明の請求項4にかかる発明は、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜を形成していないため、導電性繊維シートの有する空隙を有効に利用することができる。つまり、第2導電性粒子を含む皮膜が形成されていると、その皮膜近傍における導電性繊維シートの空隙を有効に利用できない傾向があるが、そのような皮膜を形成していないため、導電性繊維シートの空隙を有効に利用することができる。
本発明の請求項5にかかる発明は、導電性繊維を含まない領域を有しない、つまり、導電性繊維と第2導電性粒子との混在領域のみからなるか、混在領域に加えて、導電性繊維のみからなる領域を有し、第2導電性粒子のみからなる領域が存在しないため、第2導電性粒子が脱落しにくい、という効果を奏する。
本発明の請求項6にかかる発明は、導電性繊維が連続繊維であるため、導電性繊維の長さ方向における導電性に優れている。つまり、導電性繊維シートの面方向における導電性に特に優れている。
本発明の請求項7にかかる発明は、前記導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として用いるため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できる。
本発明の請求項8にかかる発明は、前記導電性繊維シートに触媒が担持されているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できるガス拡散電極である。
本発明の請求項9にかかる発明は、前記ガス拡散電極を備えているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できる。
本発明の請求項10にかかる発明は、前記ガス拡散電極を備えているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池である。
本発明の請求項11にかかる発明は、紡糸した導電性繊維を集積する前又は集積した後に、第2導電性粒子を供給しているため、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有する導電性繊維シートを製造することができる。
本発明の請求項12にかかる発明は、第2導電性粒子を含む分散液を噴霧して第2導電性粒子を供給しているため、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜のない導電性繊維シートを製造しやすい。
本発明の請求項13にかかる発明は、分散液を、電荷を有する液滴に断片化して噴霧しており、液滴同士が電気的に反発して断片化するため、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜のない導電性繊維シートを製造しやすい。また、液滴が電荷を有するため、導電性繊維とは反対電荷とすることにより、液滴を確実に導電性繊維に接着できる。
本発明の請求項14にかかる発明は、静電紡糸法により導電性繊維を紡糸しているため、細く、繊維径の揃った、しかも連続した導電性繊維を紡糸できる。したがって、導電性に優れ、しかも表面積が広く、導電性繊維表面を有効に利用できる導電性繊維シートを製造できる。
本発明の請求項15にかかる発明は、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給とを同時に行なうため、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有する導電性繊維シートを製造することができる。なお、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給とを同時にのみ行ない、第2導電性粒子の供給のみを行なわなければ、第2導電性粒子のみからなる領域が形成されないため、第2導電性粒子が脱落しにくい導電性繊維シートを製造することができる。
実施例1における導電性繊維シート表面における電子顕微鏡写真 実施例2における導電性繊維シート表面における電子顕微鏡写真 実施例3における導電性繊維シート表面における電子顕微鏡写真 実施例5における導電性繊維シート表面における電子顕微鏡写真 比較例1における導電性繊維シート表面における電子顕微鏡写真
本発明の導電性繊維シートは第1導電性粒子を含有する導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有しているため、導電性に優れる導電性繊維シートである。つまり、電気抵抗の低い導電性繊維シ−トである。本発明においては、導電性繊維を構成している導電性粒子を「第1導電性粒子」と表現し、導電性繊維の外部に含有する導電性粒子を「第2導電性粒子」と表現して、導電性粒子を区別している。
本発明の導電性繊維を構成する第1導電性粒子は特に限定するものではないが、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどのカーボン系粒子、金属粒子、金属酸化物粒子などを挙げることができる。これらの中でもカーボン系粒子は耐薬品性、導電性及び分散性の点から好適であり、特に、カーボンブラックが好ましい。
本発明の第1導電性粒子の形状は特に限定するものではないが、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状(例えば、テトラポット状など)、平板状、多面体形状、羽毛状、不定形形状であることができる。なお、第1導電性粒子は中空であっても、中実であっても良い。
この第1導電性粒子の粒径は特に限定するものではないが、平均一次粒径が5nm〜200nmであるのが好ましく、10nm〜100nmであるのがより好ましい。なお、導電性繊維は素材及び/又は平均一次粒径の点で異なる2種類以上の第1導電性粒子を含有していても良い。なお、本発明において「平均一次粒径」とは、基本的に、動的光散乱法による粒度分布計から求めた粒子の数平均粒子径を表すが、例えば、カーボンブラックなどのアグリゲートもしくはストラクチャーと呼ばれる状態を形成した粒子などの、上述の動的光散乱法による測定が難しい場合には、粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、電子顕微鏡写真に写っている50個の粒子の直径の算術平均値を平均一次粒径とする。この場合、粒子の形状が写真上、非円形である場合には、写真上における、粒子の面積と同じ面積を有する円の直径を、粒子の直径とみなす。
本発明の導電性繊維は上述のような第1導電性粒子を含有するものであるが、第1導電性粒子同士は樹脂を介して接着しているのが好ましい。このように樹脂を介して接着していることによって、導電性繊維は柔軟性に優れ、また、第1導電性粒子が脱落しにくいためである。
このような導電性繊維を構成できる樹脂としては、第1導電性粒子同士を接着できるものであれば良く、疎水性有機樹脂であっても、親水性有機樹脂であっても、或いはこれら樹脂の混合樹脂又は複合樹脂であっても良く、特に限定するものではない。なお、本発明の導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として用いる場合、疎水性有機樹脂であると、フッ素系樹脂等の疎水性樹脂を含浸しなくても優れた水の透過性を示し、優れた排水性とガス拡散性を示すため好適である。また、親水性有機樹脂であると、水分を保持することができるため、低湿度下においても固体高分子膜を湿潤に保つことができ、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できるため好適である。特に、疎水性有機樹脂のみを含んでいると、優れた排水性とガス拡散性を示すため好適である。
この「疎水性有機樹脂」とは、水との接触角が90°以上の有機樹脂であり、例えば、フッ素系樹脂[例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(THV)、及び前記樹脂を構成する各種モノマーの共重合体]、ポリオレフィン系樹脂[例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン、及び前記樹脂を構成する各種モノマーの共重合体]、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)]などを挙げることができる。また、これらの疎水性有機樹脂は単独で用いることもできるし、2種類以上混合又は複合して使用することもできる。これらの中でも特に、フッ素系樹脂は耐熱性、耐薬品性、疎水性に優れているため好適である。
他方、「親水性有機樹脂」とは、水との接触角が90°未満の有機樹脂であり、例えば、セルロース[例えば、レーヨン]、ポリアミド系樹脂[例えば、ナイロン6、ナイロン66]、アクリル系樹脂[例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸]、親水性基(アミド基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基等)を有する樹脂[例えば、親水性ポリウレタン、ポリビニルピロリドン]、ポリアクリロニトリル、酸化アクリル、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレングルコール系樹脂などを挙げることができる。また、これらの親水性有機樹脂は単独で用いることもできるし、2種類以上混合又は複合して使用することもできる。これらの中でもポリアクリロニトリルは耐熱性に優れているため好適である。なお、ポリアクリロニトリルは固体高分子膜の膨潤によっても厚さが潰れにくく、導電性繊維シートの空隙を維持できるため、本発明の導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として用いる場合には好適である。
なお、本発明の導電性繊維シートを剛性の必要な用途に使用する場合には、前記疎水性有機樹脂及び/又は親水性有機樹脂が熱硬化性樹脂であっても良い。また、熱硬化性樹脂に加えて硬化促進剤を含んでいても良い。例えば、本発明の導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として使用する場合、導電性繊維シートがある程度の剛性を有することによって、固体高分子膜の膨潤及び収縮を抑制して、固体高分子膜の亀裂を防止でき、また、固体高分子膜の膨潤によってもガス拡散電極が潰れにくいため、空隙を維持でき、ガス拡散性を維持できる、という効果を奏する。
この「熱硬化性樹脂」は特に限定するものではないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂は耐熱性、耐酸性に優れ、熱処理によって導電性繊維の剛性を高めることができるため好適である。なお、導電性繊維が熱硬化性樹脂を含んでいる場合、1種類の熱硬化性樹脂から構成されていても良いし、2種類以上の熱硬化性樹脂が混合又は複合されていても良いし、1種類以上の熱硬化性樹脂と1種類以上の熱可塑性疎水性有機樹脂又は熱可塑性親水性有機樹脂とが混合又は複合されていても良い。
このように、本発明の導電性繊維は第1導電性粒子に加えて樹脂を含有している場合、第1導電性粒子と樹脂との質量比は特に限定するものではないが、導電性及び柔軟性に優れているように、10〜90:90〜10であるのが好ましく、20〜80:80〜20であるのがより好ましく、30〜70:70〜30であるのが更に好ましく、40〜70:60〜30であるのが更に好ましい。第1導電性粒子が10mass%よりも少ないと、導電性が不十分になる傾向があり、他方、第1導電性粒子が90mass%よりも多いと、充分な柔軟性が得られない傾向があるためである。
本発明の導電性繊維が第1導電性粒子に加えて樹脂を含有している場合、第1導電性粒子と樹脂との位置関係は、樹脂が第1導電性粒子を接着している限り、特に限定するものではない。しかしながら、導電性繊維の外側表面にのみ第1導電性粒子が存在する状態にあると、導電性繊維内部における樹脂成分が抵抗成分となり、導電性に劣る傾向があるため、導電性繊維の内部にも第1導電性粒子が存在しているのが好ましい。また、導電性繊維間の導電性に優れているように、第1導電性粒子は導電性繊維の外側表面に露出しているのが好ましい。このように、第1導電性粒子が導電性繊維の内部及び外側表面に存在し、外側表面において第1導電性粒子が露出した導電性繊維は、例えば、樹脂と第1導電性粒子とを含む紡糸液を紡糸することによって製造できる。
本発明の導電性繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、10nm〜10μmであるのが好ましい。平均繊維径が10μmよりも大きいと、導電性繊維間の接触点が少なく、導電性が不足しやすい傾向があり、他方、10nmよりも小さいと、導電性繊維シートの取り扱い性に劣る傾向があるためである。なお、導電性繊維の平均繊維径は第1導電性粒子が脱落しにくいように、第1導電性粒子の平均一次粒径の5倍以上であるのが好ましい。
本発明における「平均繊維径」とは、導電性繊維40点における繊維径の算術平均値を意味し、また、「繊維径」とは、顕微鏡写真をもとに計測した導電性繊維の長さ方向に対して直交する方向の長さをいう。なお、導電性繊維の外側表面の全体に第1導電性粒子が露出している場合には、第1導電性粒子を含めた太さを繊維径とし、導電性繊維が樹脂も含んでおり、導電性繊維の外側表面の一部においてのみ第1導電性粒子が露出している場合には、第1導電性粒子が露出していない部分における直径を繊維径とする。
本発明の導電性繊維は導電性に優れているように、連続繊維であるのが好ましい。なお、本発明の導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として用いる場合には、導電性繊維の繊維端部が実質的になく、固体高分子膜を損傷しないという効果も奏する。このような連続した導電性繊維は、例えば、静電紡糸法又はスパンボンド法により製造することができる。なお、「連続繊維」とは、導電性繊維シートの5,000倍の電子顕微鏡写真を撮影した場合に、導電性繊維の端部を確認できないことを意味する。
本発明の導電性繊維シートは、前述のような導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有しているため、導電性に優れる繊維シートである。つまり、第2導電性粒子が導電性繊維の外部に存在していることによって、第2導電性粒子と第1導電性粒子及び/又は別の第2導電性粒子との接触機会が増え、導電パスが多く形成されているため、電気抵抗の低い導電性繊維シ−トである。なお、この「外部に」とは、第2導電性粒子が導電性繊維を構成しておらず、導電性繊維とは別の材料として存在していることを意味する。
この第2導電性粒子としては、導電性繊維を構成する第1導電性粒子と同様の導電性粒子であることができる。つまり、第2導電性粒子は、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどのカーボン系粒子、金属粒子、金属酸化物粒子などであることができる。これらの中でもカーボン系粒子は耐薬品性、導電性及び分散性の点から好適であり、特に、カーボンブラックが好ましい。形状は、例えば、球状(略球状や真球状)、繊維状、針状(例えば、テトラポット状など)、平板状、多面体形状、羽毛状、不定形形状であることができ、中空であっても、中実であっても良い。なお、第2導電性粒子の平均一次粒径は5nm〜200nmであるのが好ましく、10nm〜100nmであるのがより好ましい。なお、素材及び/又は平均一次粒径の点で異なる2種類以上の第2導電性粒子を含有していても良い。また、第2導電性粒子は第1導電性粒子と同じであっても良いし、素材及び/又は平均一次粒径の点で異なっていても良い。
なお、導電性繊維と第2導電性粒子との質量比率は特に限定するものではないが、1〜99:99〜1であるのが好ましく、10〜90:90〜10であるのがより好ましく、30〜85:70〜15であるのが更に好ましく、50〜80:50〜20であるのが更に好ましい。第2導電性粒子の質量比率が99mass%を上回ると、第2導電性粒子のみの領域が形成され、第2導電性粒子が脱落しやすくなるなど、導電性繊維シートの取り扱い性が悪くなる傾向があり、第2導電性粒子の質量比率が1mass%を下回ると、電気抵抗が高くなり、導電性の向上が不十分になる傾向にあるためである。
この第2導電性粒子はどのように存在していても良いが、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有するように存在しているのが好ましい。このように導電性繊維と第2導電性粒子とが混在していると、導電性繊維間の導電性を高めることができ、電気抵抗の低い導電性繊維シートであることができるためである。また、第2導電性粒子が導電性繊維間に存在することによって、導電性繊維シートの空隙を確保し、導電性繊維シートの空隙を有効に利用できるという効果も奏する。特に、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域のみからなり、第2導電性粒子のみからなる領域が存在しない場合には、第2導電性粒子が脱落しにくいため好適である。
或いは、導電性繊維を含まない領域を有しないように、第2導電性粒子が存在しているのが好ましい。つまり、導電性繊維と第2導電性粒子との混在領域のみからなるか、混在領域に加えて、導電性繊維のみからなる領域を有すると、第2導電性粒子のみからなる領域が存在していないため、第2導電性粒子が脱落しにくいためである。
なお、この混在する領域はどのように存在していても良いが、一般的に導電性繊維は導電性繊維シートの面方向に配向しており、導電性繊維シートの厚さ方向における導電性が不足しやすいため、混在する領域は導電性繊維シートの厚さ方向において存在し、厚さ方向における導電性に優れているのが好ましい。しかしながら、面方向において存在していても良い。なお、面方向、厚さ方向のいずれの方向においても、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域のみからなると、面方向、厚さ方向のいずれの方向における導電性にも優れているため、特に好適である。
しかしながら、面方向及び/又は厚さ方向における、1%以上が混在する領域であれば、第2導電性粒子が存在していることによって、導電性に優れている。このように、一部のみが混在する領域である場合、どこの領域が混在する領域であっても良い。例えば、厚さ方向における一部のみが混在する領域である場合、導電性繊維シートの片表面を含む領域が混在する領域であっても良いし、両表面の間に混在する領域が存在していても良い。
このように、混在する領域が導電性繊維シートの一部にのみ存在している場合、その残余領域は導電性繊維のみからなる領域、第2導電性粒子のみからなる領域、導電性繊維と第2導電性粒子以外の繊維又は粒子からなる領域、或いは、第2導電性粒子と導電性繊維以外の繊維又は粒子からなる領域、であることができる。
なお、導電性繊維シートが部分的に混在する領域を有する場合、その数は1ヶ所である必要はなく、2ヶ所以上であっても良い。2ヶ所以上の混在する領域を有する場合、導電性繊維と第2導電性粒子との混在質量比率、混在状態等は同じであっても、異なっていても良い。
また、混在する領域が導電性繊維シートの面方向における一部にのみ存在している場合、混在する領域は千鳥状、格子の交点状に、規則正しく存在していても良いし、ランダムに存在していても良い。しかしながら、規則正しく混在する領域が存在している方が、導電性の均一性に優れているため好適である。
更に、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜が形成されていないのが好ましい。導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜が形成されていなければ、導電性繊維シートの有する空隙を有効に利用することができるためである。つまり、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜が形成されていると、その皮膜の近傍における導電性繊維シートの空隙を有効に利用できない傾向があるが、第2導電性粒子を含む皮膜が形成されていなければ、導電性繊維シートの有する空隙を有効に利用することができるためである。このように、「第2導電性粒子を含む皮膜を形成していない」状態としては、例えば、第2導電性粒子が個々の一次粒子の状態、一次粒子が凝集した二次粒子の状態で、点的、線的又は面的に、隣接する導電性繊維間を埋めることなく、導電性繊維と接着又は付着した状態にある。なお、第2導電性粒子は導電性繊維表面に接着又は付着した状態にあっても良いし、導電性繊維内部にめり込んで接着又は付着した状態にあっても良い。
なお、第2導電性粒子は脱落しにくく、また、導電性繊維が柔軟で、結果として、導電性繊維シートが柔軟であるように、樹脂を介して接着しているのが好ましい。このように導電性繊維シートが柔軟であることによって、導電性繊維シートの使用用途に制限が生じにくいという効果を奏する。例えば、導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として使用したとしても、固体高分子膜を損傷しにくいという効果を奏する。
この第2導電性粒子を導電性繊維に接着する樹脂としては、第1導電性粒子同士の接着に関与する樹脂(以下、「第1有機樹脂」と表記することがある)であっても良いし、第1導電性粒子同士の接着に関与する樹脂とは別の樹脂(以下、「第2有機樹脂」と表記することがある)であっても良いが、第1導電性粒子同士の接着に関与する樹脂であると、導電性を低下させにくいため好適である。なお、第2導電性粒子が樹脂を介して導電性繊維に接着している場合であっても、第2導電性粒子は導電性繊維間に皮膜を形成することなく、接着しているのが好ましい。
なお、第2導電性粒子が第2有機樹脂で接着している場合、第2有機樹脂は第1有機樹脂と同様の疎水性有機樹脂、親水性有機樹脂、熱硬化性の疎水性有機樹脂、及び/又は熱硬化性の親水性有機樹脂であることができる。
本発明の導電性繊維シートは導電性繊維に加えて、第2導電性粒子を含有するものであるが、導電性繊維シートにおける導電性繊維と第2導電性粒子の総量は、導電性に優れているように、導電性繊維シート全体の10mass%以上であるのが好ましく、50mass%以上であるのがより好ましく、70mass%以上であるのが更に好ましく、90mass%以上であるのが更に好ましく、導電性繊維と第2導電性粒子のみから構成されているのが最も好ましい。
なお、本発明の導電性繊維シートを構成する導電性繊維と第2導電性粒子以外の材料として、第1有機樹脂を1種類又は2種類以上含む有機樹脂繊維を含んでいることができる。また、導電性粒子以外にも、例えば、無機粒子(例えば、二酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化亜鉛、チタン含有酸化物、ゼオライト、触媒担持セラミックス、シリカなど)、イオン交換樹脂粉体、植物の種子などの非導電性材料を含んでいることができる。
本発明の導電性繊維シートを構成する導電性繊維同士はどのようにして結合していても良い。例えば、絡合、溶媒による第1有機樹脂の可塑化による結合、又は熱による第1有機樹脂の融着による結合、或いはこれらの併用によって結合していても良い。
本発明の導電性繊維シートは導電性繊維シートの空隙を有効に利用できるように、空隙率にして20%以上の多孔性を有するのが好ましく、30%以上の多孔性を有するのがより好ましく、50%以上の多孔性を有するのが更に好ましい。なお、空隙率の上限は特に限定するものではないが、形態安定性の点から99%以下であるのが好ましい。この空隙率P(単位:%)は次の式から得られる値をいう。
P=100−(Fr1+Fr2+・・+Frn)
ここで、Frnは導電性繊維シートを構成する成分nの充填率(単位:%)を示し、次の式から得られる値をいう。
Frn=[M×Prn/(T×SGn)]×100
ここで、Mは導電性繊維シートの目付(単位:g/cm)、Tは導電性繊維シートの厚さ(cm)、Prnは導電性繊維シートにおける成分n(例えば、第1導電性粒子、第1有機樹脂、第2導電性粒子など)の存在質量比率、SGnは成分nの比重(単位:g/cm)をそれぞれ意味する。
本発明の導電性繊維シートの目付は特に限定するものではないが、ある程度の導電性繊維量があり、導電性に優れるように、また、取り扱い性及び生産性の点から、0.1〜200g/mであるのが好ましく、0.3〜100g/mであるのがより好ましく、0.5〜50g/mであるのが更に好ましい。また、厚さも特に限定するものではないが、1〜1000μmであるのが好ましく、5〜500μmであるのがより好ましく、10〜400μmであるのが更に好ましく、10〜300μmであるのが更に好ましい。
本発明における「目付」は、10cm角の導電性繊維シートの質量を測定し、1mの大きさの質量に換算した値をいい、「厚さ」はシックネスゲージ((株)ミツトヨ製:コードNo.547−401:測定力3.5N以下)を用いて測定した値をいう。
本発明の導電性繊維シートは電気抵抗の低いものであるため、導電性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、燃料電池用のガス拡散電極用基材として、また、電気二重層キャパシタの電極として、或いは、リチウムイオン二次電池の電極として好適に使用できる。
特に本発明の導電性繊維シートをガス拡散電極用基材として使用すると、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造することができる。なお、導電性繊維シートは多孔性であるため、ガス拡散電極用基材(導電性繊維シート)の空隙に何も充填されていない場合には、ガス拡散電極用基材(導電性繊維シート)の厚さ方向及び面方向への排水性に優れているとともに、供給したガスの拡散性に優れている。
なお、ガス拡散電極用基材(導電性繊維シート)の空隙に、フッ素系樹脂及び/又はカーボンを含んでいても良い。前者のフッ素系樹脂を含有していることによって、液水が押し出されやすいため、排水性に優れている。また、後者のカーボンを含有していることによって、更に導電性を高めることができる。
このフッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及び前記樹脂を構成する各種モノマーの共重合体、などを挙げることができる。
また、カーボンとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバーなどを挙げることができる。
本発明のガス拡散電極は、前記導電性繊維シートに触媒が担持されているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できるものである。また、本発明のガス拡散電極は、導電性繊維及び/又は第2導電性粒子の表面に触媒が担持され、触媒同士の接触による電子伝導だけではなく、導電性繊維及び/又は第2導電性粒子による電子伝導パスも形成されているため、電子伝導パスから孤立した触媒が少ない。そのため、効率的に触媒を利用でき、触媒量を少なくできるという効果も奏する。
本発明のガス拡散電極は上述のような導電性繊維シートをガス拡散電極用基材としていること以外は、従来のガス拡散電極と全く同様の構造を有する。例えば、触媒としては、白金、白金合金、パラジウム、パラジウム合金、チタン、マンガン、マグネシウム、ランタン、バナジウム、ジルコニウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、金、ニッケル−ランタン合金、チタン−鉄合金などであることができ、これらから選ばれる1種類以上の触媒を担持していることができる。
なお、触媒以外にも、電子伝導体及びプロトン伝導体を含んでいるのが好ましく、電子伝導体として、カーボンブラック等の第1導電性粒子と同様の導電性粒子が好適であり、触媒はこの電子伝導体(導電性粒子)に担持されていても良い。また、プロトン伝導体としては、イオン交換樹脂が好適である。
このようなガス拡散電極は、例えば、次の方法で作製できる。まず、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテルなどからなる単一あるいは混合溶媒中に、触媒(例えば、白金などの触媒を担持したカーボン粉末)を加えて混合し、これにイオン交換樹脂溶液を加え、超音波分散等で均一に混合して触媒分散懸濁液とする。そして、前述のような導電性繊維シートに、前記触媒分散懸濁液をコーティング、或いは散布し、これを乾燥して、ガス拡散電極を製造することができる。
本発明の膜−電極接合体は前述のようなガス拡散電極を備えているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池を製造できるものである。
本発明の膜−電極接合体は前述のようなガス拡散電極を備えていること以外は、従来の膜−電極接合体と全く同様であることができる。例えば、固体高分子膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂膜、スルホン化芳香族炭化水素系樹脂膜、アルキルスルホン化芳香族炭化水素系樹脂膜などを用いることができる。
このような膜−電極接合体は、例えば、一対のガス拡散電極のそれぞれの触媒担持面の間に固体高分子膜を挟み、熱プレスすることによって接合して製造できる。また、前述のような触媒分散懸濁液を支持体に塗布して触媒層を形成した後、この触媒層を固体高分子膜に転写し、その後、触媒層に前述のような導電性繊維シートが当接するように積層し、熱プレスする方法によっても製造できる。
本発明の固体高分子形燃料電池は、前記ガス拡散電極を備えているため、電気抵抗が低く、充分な発電性能を発揮できる固体高分子形燃料電池である。
本発明の燃料電池は前述のようなガス拡散電極を備えていること以外は、従来の燃料電池と全く同様であることができる。例えば、前述のような膜−電極接合体を1対のバイポーラプレートで挟んだセル単位を複数積層した構造からなり、例えば、セル単位を複数積層し、固定して製造できる。
なお、バイポーラプレートとしては、導電性が高く、ガスを透過せず、ガス拡散電極にガスを供給できる流路を有するものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、カーボン成形材料、カーボン−樹脂複合材料、金属材料などを用いることができる。
本発明の導電性繊維シートは、例えば、第1導電性粒子を含有する紡糸液から紡糸した導電性繊維を集積する前又は集積した後に、第2導電性粒子を供給することによって製造することができる。
より具体的には、まず、第1導電性粒子を含有する紡糸液を調製する。前述の通り、第1導電性粒子としては、カーボンブラックであるのが好ましい。なお、前述の通り、導電性繊維を構成する第1導電性粒子同士は第1有機樹脂を介して接着しているのが好ましいため、紡糸液中に、前述のような第1有機樹脂を含んでいるのが好ましい。また、第1導電性粒子同士が第1有機樹脂を介して接着している場合、第1導電性粒子量は紡糸液全体の固形分の10〜90mass%であるのが好ましく、20〜80mass%であるのがより好ましく、30〜70mass%であるのが更に好ましく、40〜70mass%であるのが更に好ましい。
なお、紡糸液が第1有機樹脂を含む場合、紡糸液は溶媒に第1有機樹脂を溶解させるとともに、第1導電性粒子を分散させたものであっても良いし、溶媒に第1有機樹脂及び第1導電性粒子を分散させたものであっても良いし、或いは、第1有機樹脂を溶融させるとともに、第1有機樹脂の融液中に第1導電性粒子を分散させたものであっても良い。なお、溶媒に第1有機樹脂を溶解させる場合、溶媒は第1有機樹脂を溶解させることのできるものであれば良く、特に限定するものではない。
溶媒に第1有機樹脂を溶解させる場合、紡糸液における固形分濃度は特に限定するものではないが、1〜50mass%であるのが好ましく、5〜30mass%であるのがより好ましい。1mass%を下回ると、紡糸性が極端に低下し、50mass%を上回ると、紡糸が不安定になる傾向があるためである。
一方で、第2導電性粒子を用意する。前述の通り、第2導電性粒子としては、カーボンブラックであるのが好ましい。なお、第2導電性粒子を含む分散液を噴霧して第2導電性粒子を供給すると、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜のない導電性繊維シートを製造しやすいため、第2導電性粒子の分散液を調製するのが好ましい。
なお、後述のように、分散液を、電荷を有する液滴に断片化して噴霧するのが好ましいが、第2導電性粒子のみを分散させた分散液は、電荷を有する液滴に断片化しにくい傾向があるため、第2導電性粒子に加えて、第2有機樹脂を含む分散液を調製し、電荷を有する液滴に断片化しやすくするのが好ましい。このような第2有機樹脂を含む分散液を調製する場合、分散液を、電荷を有する液滴に断片化できる限り、第2導電性粒子量は特に限定するものではないが、第2導電性粒子の導電性を損なわないように、第2導電性粒子量が第2導電性粒子と第2有機樹脂の固形分総量の30〜99mass%となるように調製するのが好ましく、60〜99mass%となるように調製するのがより好ましく、90〜99mass%となるように調製するのが更に好ましい。このように、第2有機樹脂を含む分散液において、抵抗成分である第2有機樹脂量が少なくて済み(場合によっては、第2有機樹脂を含まなくても良い)、第2導電性粒子と第1導電性粒子及び/又は別の第2導電性粒子との導電性が阻害されにくいため、導電性に優れる繊維シート、つまり電気抵抗の低い導電性繊維シ−トを製造しやすい。
このように第2有機樹脂を含む分散液を調製する場合、分散液における溶媒は第2有機樹脂を溶解させることができるもの、又は第2有機樹脂を分散させることのできるものであれば良く、特に限定するものではない。なお、分散液が第2有機樹脂を含む場合、分散液は第2導電性粒子を第2有機樹脂の融液中に分散させたものであっても良い。
次いで、前記紡糸液を紡糸して導電性繊維を形成し、コンベア等の捕集体に集積する前の導電性繊維に対して、又は導電性繊維を捕集体で集積した後に、第2導電性粒子を供給し、好ましくは第2導電性粒子を含む分散液を噴霧して、導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に第2導電性粒子を含有する導電性繊維集積シートを形成する。この導電性繊維集積シートに強度があれば、そのまま導電性繊維集積シートを導電性繊維シートとすることができるし、強度を付与又は向上させるために、第1有機樹脂及び/又は第2有機樹脂を溶媒によって可塑化、第1有機樹脂及び/又は第2有機樹脂による融着、接着剤による接着等により導電性繊維同士を結合して、導電性繊維シートとすることができる。
なお、導電性繊維の紡糸方法は特に限定するものではないが、例えば、静電紡糸法、特開2009−287138号公報に開示されているような、液吐出部から吐出された紡糸液に対してガスを平行に吐出し、紡糸液に1本の直線状に剪断力を作用させて繊維化する方法、スパンボンド法、メルトブロー法などを挙げることができる。これら紡糸方法の中でも、静電紡糸法又はスパンボンド法によれば、連続繊維を紡糸できるため好適である。また、静電紡糸法、特開2009−287138号公報に開示の方法、又はメルトブロー法によれば、平均繊維径が3μm以下の細い導電性繊維を紡糸でき、表面積の広い導電性繊維シートを製造できる。特に、静電紡糸法によれば、細く、繊維径の揃った、しかも連続した導電性繊維を紡糸でき、導電性に優れ、しかも表面積が広く、導電性繊維表面を有効に利用できる導電性繊維シートを製造できるため好適である。
なお、紡糸液が、溶媒に第1有機樹脂を溶解又は分散させるとともに、第1導電性粒子を分散させたものである場合、溶媒として、紡糸時に揮散しにくいものを使用して導電性繊維集積シートを形成した後に、溶媒置換により紡糸液の溶媒を除去すると、導電性繊維同士が可塑化結合した状態になりやすく、結果として導電性が高く、電気抵抗が低い導電性繊維シートを製造しやすい。
また、第2導電性粒子の導電性繊維への供給方法は特に限定するものではないが、例えば、第2導電性粒子を圧縮気体の作用によって噴出する方法、第2導電性粒子を含む分散液を圧縮気体の作用によって噴霧する方法、第2導電性粒子を含む分散液を静電気の作用によって、電荷を有する液滴に断片化して噴霧する方法などの方法を挙げることができる。これらの供給方法の中でも、第2導電性粒子を含む分散液を噴霧して第2導電性粒子を供給する方法であると、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜のない導電性繊維シートを製造しやすいため好適である。特に、第2導電性粒子を含む分散液を静電気の作用によって、電荷を有する液滴に断片化して噴霧する方法は、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜を形成しにくく、第2導電性粒子が一次粒子状態又は二次粒子状態で、導電性繊維に点的に接着又は付着させやすいため好適である。つまり、液滴同士が電気的に反発して断片化するため、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜を形成しにくい。また、液滴が電荷を有するため、導電性繊維とは反対電荷とすることにより、液滴を確実に導電性繊維に接着できる。この点からも、導電性繊維を静電紡糸法により紡糸するのが好ましい。
この製造方法において、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給を同時に行なうと、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有する導電性繊維シートを製造することができる。なお、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給とを同時にのみ行ない、第2導電性粒子の供給のみを行なわなければ、第2導電性粒子のみからなる領域が形成されないため、第2導電性粒子が脱落しにくい導電性繊維シートを製造することができる。
また、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給を同時に行なう前に、第2導電性粒子のみを供給し、第2導電性粒子のみからなる領域を形成することができるし、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給を同時に行なった後に、第2導電性粒子のみを供給し、第2導電性粒子のみからなる領域を形成することができる。
しかしながら、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給を同時に行なう前に、導電性繊維のみを紡糸し、導電性繊維のみからなる領域を形成することができるし、導電性繊維の紡糸と第2導電性粒子の供給を同時に行なった後に、導電性繊維のみを紡糸し、導電性繊維のみからなる領域を形成すると、導電性繊維を含まない領域を有しない、つまり、第2導電性粒子のみからなる領域を有しない導電性繊維シートを製造できるため、第2導電性粒子が脱落しにくい導電性繊維シートを製造できる。
なお、導電性繊維に対する第2導電性粒子の供給は導電性繊維を集積する前、又は集積した後に行なうことによって、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有する導電性繊維シートを製造することができるが、その供給位置は特に限定するものではない。しかしながら、第2導電性粒子を含む分散液を噴霧する場合には、静電気的に導電性繊維と接着又は付着しやすいように、導電性繊維の集積位置に対して、分散液を噴霧するのが好ましい。
また、第2導電性粒子を含む分散液が第2有機樹脂を含んでいる場合、第2有機樹脂は導電性の点では抵抗成分として作用するため、導電性繊維集積シートを形成した後に、熱処理を実施することによって、第2有機樹脂を熱分解して、導電性を高めるのが好ましい。なお、導電性繊維が第1有機樹脂を含んでいる場合には、第1有機樹脂による第1導電性粒子同士の接着を損なうことがないように、第2有機樹脂のみを熱分解するのが好ましい。このような熱処理条件は第2有機樹脂(第1有機樹脂を含む場合には第1有機樹脂も)によって異なるため、適宜、実験により確認してその条件を設定する。
更に、第1有機樹脂及び/又は第2有機樹脂がポリアクリルニトリル(PAN)及び/又はポリアクリルニトリル(PAN)共重合体である場合、導電性繊維集積シートを形成した後に、空気中で温度200〜300℃で加熱することによって、ポリアクリルニトリル(PAN)及び/又はポリアクリルニトリル(PAN)共重合体を酸化アクリルとして、導電性繊維シートの導電性を更に高めることができる。
以上は、本発明の導電性繊維シートの基本的な製造方法であるが、導電性繊維同士の密着性を高め、導電性を更に向上させることができるように、導電性繊維を集積した後で、第2導電性粒子を供給する前の段階、導電性繊維を集積した後で、第2導電性粒子を供給した後の段階、場合によっては、第2有機樹脂を熱分解した後の段階で、加圧することもできる。なお、この加圧力は導電性繊維及び導電性繊維集積シートの空隙を破壊しない加圧力であれば良く、特に限定するものではない。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(紡糸溶液の調製)
フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物(=第1有機樹脂)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に加え、ロッキングミルを用いて溶解させ、濃度10mass%の溶液を得た。
次いで、第1導電性粒子として、アセチレンブラック(デンカブラック粒状品、電気化学工業(株)製、平均一次粒子径:35nm)を前記溶液に混合し、撹拌した後、DMFを加えて希釈してアセチレンブラックを分散させ、アセチレンブラックとフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物との固形分質量比が40:60の紡糸溶液(固形分濃度:11%mass%)を調製した。
(噴霧用分散液の調製)
ケッチェンブラック(=第2導電性粒子、一次粒径40nm)の水ディスパージョン[ライオン(株)製、ライオンペーストW−311N、固形分:16.5mass%]と、ポリエチレングリコール(=第2有機樹脂、和光純薬工業(株)製、分子量:50万)及び純水を混合し、ケッチェンブラック濃度が12mass%、ポリエチレングリコール濃度が0.7mass%の噴霧用分散液を調製した。
(実施例1)
前記紡糸溶液を、下記に示す条件で静電紡糸法により、内部を含む全体にアセチレンブラックを含む導電性連続繊維(アセチレンブラック同士がフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物を介して接着、外側表面にもアセチレンブラックが露出)を紡糸し、対向電極であるステンレスドラム上に直接集積すると同時に、下記に示す条件で静電気の作用により、前記噴霧用分散液を、電荷を有する液滴に断片化して、ステンレスドラム上部から導電性連続繊維の集積位置に向かって噴霧し、面方向、厚さ方向のいずれの方向においても、導電性連続繊維同士が絡合しているとともに、導電性連続繊維の外部に、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物又はポリエチレングリコールを介してケッチェンブラックのみが接着した混在領域のみからなる導電性繊維シートを製造した。導電性繊維シートにおける、導電性連続繊維とケッチェンブラックの質量比は70:30であった。この導電性繊維シート表面は図1に電子顕微鏡写真を示すように、ケッチェンブラックは導電性繊維表面に点的に接触した状態で、皮膜を形成することなく接着した状態にあった。なお、導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。
<静電紡糸条件>
電極:金属製ノズル(内径0.41mm)とステンレスドラム
吐出量:2.8g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:10cm
印加電圧:12kV
温度/湿度:25℃/35%RH
<静電噴霧条件>
電極:金属性ノズル(内径:0.41mm)とステンレスドラム
吐出量:1.2g/時間
ノズル先端とステンレスドラムとの距離:10cm
印加電圧:15kV
温度/湿度:25℃/35%RH
(実施例2)
静電噴霧条件における吐出量を1.2g/時間から2.4/時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、面方向、厚さ方向のいずれの方向においても、導電性連続繊維同士が絡合しているとともに、導電性連続繊維の外部に、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物又はポリエチレングリコールを介してケッチェンブラックのみが接着した混在領域のみからなる導電性繊維シートを製造した。導電性繊維シートにおける、導電性連続繊維とケッチェンブラックの質量比は55:45であった。この導電性繊維シート表面は図2に電子顕微鏡写真を示すように、ケッチェンブラックは導電性繊維表面に点的に接触した状態で、皮膜を形成することなく接着した状態にあった。なお、導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。
(実施例3)
前記紡糸溶液を、実施例1と同じ条件で、静電紡糸法により、内部を含む全体にアセチレンブラックを含む導電性連続繊維(アセチレンブラック同士がフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物を介して接着、外側表面にもアセチレンブラックが露出)を紡糸し、対向電極であるステンレスドラム上に直接集積し、連続繊維集積シートとした。
その後、導電性連続繊維の紡糸を止め、実施例1と同じ条件で、静電気の作用により、前記噴霧用分散液を、電荷を有する液滴に断片化して、ステンレスドラム上部から導電性連続繊維集積シートに向かって噴霧し、厚さ方向において、実質的に、導電性連続繊維同士が絡合した導電性連続繊維のみからなる領域と、この導電性連続繊維のみからなる領域の片表面に、ポリエチレングリコールを介して接着したケッチェンブラックのみからなる領域を有する導電性繊維シートを製造した。導電性繊維シートにおける、導電性連続繊維とケッチェンブラックの質量比は70:30であった。この導電性繊維シートのケッチェンブラックのみからなる領域側表面は、図3に電子顕微鏡写真(左側が導電性連続繊維のみからなる領域側表面の写真で、右側がケッチェンブラックのみからなる領域側表面の写真)を示すように、ケッチェンブラックが凝集した状態にあった。なお、導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。なお、ケッチェンブラックのみからなる領域側表面のケッチェンブラックは脱落しやすい状態にあった。
(実施例4)
前記紡糸溶液を、実施例1と同じ条件で静電紡糸法により、内部を含む全体にアセチレンブラックを含む導電性連続繊維(アセチレンブラック同士がフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物を介して接着、外側表面にもアセチレンブラックが露出)を紡糸し、対向電極であるステンレスドラム上に直接集積すると同時に、下記に示す条件で静電気の作用により、前記噴霧用分散液を、電荷を有する液滴に断片化して、ステンレスドラム上部から導電性連続繊維の集積位置に向かって噴霧し、導電性連続繊維とケッチェンブラックとが混在する導電性繊維集積シートを形成した。
その後、導電性連続繊維の紡糸を止め、噴霧用分散液の噴霧のみを継続し、厚さ方向において、実質的に、導電性連続繊維同士が絡合しているとともに、導電性連続繊維の外部に、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物又はポリエチレングリコールを介してケッチェンブラックのみが接着した混在領域と、この混在領域の片表面に、ポリエチレングリコールを介して接着したケッチェンブラックのみからなる領域を有する導電性繊維シートを製造した。混在領域における、導電性連続繊維とケッチェンブラックの質量比は70:30であり、混在領域とケッチェンブラックのみからなる領域との質量比は70:30であった。この導電性繊維シートのケッチェンブラックのみからなる領域の表面は図3と同様のケッチェンブラックが凝集した状態にあった。この導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。なお、ケッチェンブラックのみからなる領域側表面のケッチェンブラックは脱落しやすい状態にあった。
(実施例5)
前記紡糸溶液を、実施例1と同じ条件で静電紡糸法により、内部を含む全体にアセチレンブラックを含む導電性連続繊維(アセチレンブラック同士がフッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物を介して接着、外側表面にもアセチレンブラックが露出)を紡糸し、対向電極であるステンレスドラム上に直接集積すると同時に、下記に示す条件で圧縮空気の作用により、前記噴霧用分散液を液滴に断片化して、ステンレスドラム上部から導電性連続繊維の集積位置に向かって噴霧し、面方向、厚さ方向のいずれの方向においても、導電性連続繊維同士が絡合しているとともに、導電性連続繊維の外部に、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合物又はポリエチレングリコールを介してケッチェンブラックのみが接着した混在領域のみからなる導電性繊維シートを製造した。導電性繊維シートにおける、導電性連続繊維とケッチェンブラックの質量比は84:16であった。この導電性繊維シート表面は図4に電子顕微鏡写真を示すように、ケッチェンブラックは導電性繊維間に皮膜を部分的に形成した状態で接着した状態にあった。なお、導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。
(圧縮空気による噴霧条件)
ノズル:金属製ノズル(内径:0.2mm)
吐出量:1.4g/時間
圧縮空気圧:147kPa
(比較例1)
噴霧用分散液を噴霧しなかったこと以外は実施例1と同様にして、面方向、厚さ方向のいずれの方向においても、導電性連続繊維同士が絡合した領域のみからなる導電性繊維シートを製造した。この導電性繊維シート表面は図5の電子顕微鏡写真に示すような状態にあった。なお、導電性繊維シートの物性は表1に示す通りであった。
(電気抵抗の測定)
5cm角に切断した導電性繊維シート(25cm)を両面側からカーボンプレートで挟み、カーボンプレートの積層方向に、2MPaで加圧下、1Aの電流(I)を印加した状態で、電圧(V)を計測した。続いて、抵抗(R=V/I)を算出し、更に、導電性繊維シートの面積(25cm)を乗じることによって、電気抵抗を算出した。
Figure 0006544955
表1及び図1〜5から、次のことが分かった。
(1)実施例1と比較例1との比較から、第2導電性粒子を含んでいることによって、より導電性に優れ、電気抵抗が低くなること。
(2)実施例1と実施例2との比較から、第2導電性粒子が多くなると、より導電性に優れ、電気抵抗が低くなること。
(3)実施例1と実施例3との比較から、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有する方が、より導電性に優れ、電気抵抗が低くなること。
(4)実施例1と実施例5との比較から、分散液を、電荷を有する液滴に断片化して噴霧した方が、第2導電性粒子が導電性繊維表面に点的に接触した状態又は第2導電性粒子を含む皮膜を形成していない状態にできるため、空隙を有効に利用できる導電性繊維シートを製造できること。
(5)実施例4から、第2導電性粒子のみの領域と導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域とを有する導電性繊維シートも、導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域のみからなる導電性繊維シート(実施例1)と同様に、導電性に優れていること。
本発明の導電性繊維シートは電気抵抗の低いものであるため、導電性を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、燃料電池用のガス拡散電極用基材として、また、電気二重層キャパシタの電極として、或いは、リチウムイオン二次電池の電極として好適に使用できる。

Claims (12)

  1. 紡糸液中に含有されていた第1導電性粒子を含有する導電性繊維に加えて、導電性繊維の外部に、導電性繊維に対して供給された第2導電性粒子を含有する導電性繊維シートであり、導電性繊維間に第2導電性粒子を含む皮膜を形成していないことを特徴とする、導電性繊維シート。
  2. 導電性繊維と第2導電性粒子とが混在する領域を有することを特徴とする、請求項1記載の導電性繊維シート。
  3. 第2導電性粒子が樹脂を介して、導電性繊維に接着していることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の導電性繊維シート。
  4. 導電性繊維を含まない領域を有しないことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性繊維シート。
  5. 導電性繊維が連続繊維であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性繊維シート。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性繊維シートを、ガス拡散電極用基材として用いることを特徴とする、導電性繊維シート。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性繊維シートに、触媒が担持されていることを特徴とする、ガス拡散電極。
  8. 請求項に記載のガス拡散電極を備えていることを特徴とする、膜−電極接合体。
  9. 請求項に記載のガス拡散電極を備えていることを特徴とする、固体高分子形燃料電池。
  10. 第1導電性粒子を含有する紡糸液から紡糸した導電性繊維を集積する前又は集積した後に、第2導電性粒子を含む分散液を、電荷を有する液滴に断片化して噴霧して、第2導電性粒子を供給することを特徴とする、請求項1記載の導電性繊維シートの製造方法。
  11. 第1導電性粒子を含有する紡糸液を、静電紡糸法により導電性繊維を紡糸することを特徴とする、請求項10に記載の導電性繊維シートの製造方法。
  12. 第1導電性粒子を含有する紡糸液からの導電性繊維の紡糸と、第2導電性粒子の供給を、同時に行なうことを特徴とする、請求項10又は11に記載の導電性繊維シートの製造方法。
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