JP6544152B2 - ハードコートポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートポリエステルフィルムに関し、より詳細には、ディスプレイ等に主として用いられる、反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散シート、レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム等の機能性フィルムの基材として有用なハードコートポリエステルフィルムに関する。
一般に、光学用部材として用いられる機能性フィルムの基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリオレフィン等からなる透明な熱可塑性樹脂フィルムが用いられている。
熱可塑性樹脂フィルムを機能性フィルムの基材として用いる場合には、各種の用途に応じた機能層が積層される。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)では、表面の傷つきを防止する保護層、外光の映り込みを防止する反射防止層(AR層)、光の集光や拡散に用いられるレンズ層、輝度を向上する光拡散層等の機能層が挙げられる。このような基材の中でも、特に、ポリエステルフィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性に優れ、比較的安価であるため各種機能性フィルムの基材として広く使用されている。
しかし、ポリエステルフィルムの表面は一般的に脆弱であり、光学用部材の製造時におけるフィルム基材の搬送等の際、表面に容易に傷が付いてしまうという欠点があった。また、各種の光学用部材を組み合わせる工程においても、部材同士の擦れや搬送の際に、機能層の反対面に傷が発生することが問題となっていた。これらの傷はディスプレイ全体の品位に影響するため、ディスプレイ製造における歩留まり低下の要因となる。このためフィルム基材の表面を保護する目的で、機能層を積層するフィルム基材の反対面に、耐傷つき性を有する保護層(ハードコート層)を設ける方法が提案されてきた。
上記ハードコート層としては、UV硬化型の樹脂組成物が汎用されている(例えば、特許文献1)。しかし、UV硬化型の樹脂組成物から得られる塗膜は硬化収縮が大きいため、カールが発生しやすいという問題がある。
また、昨今では、上記機能性フィルムの薄膜化が要求されている。機能性フィルムの薄膜化のためには、基材フィルムを薄膜化するか、機能層を薄膜化する必要がある。特許文献2では、ハードコート層の薄膜化のために、基材フィルムとハードコート層の間に、表面硬度が0.35GPa以上、0.38GPa以下の層を設けている。しかしながら、この特許文献2に記載の技術においてもハードコート層の厚みの最小値は実施例で2μmであり、最近の要求レベル(1μm以下)にはもはや適合しない。
特開2009−231845号公報 特許第4232387号公報
本発明者らは、6官能以上のウレタンアクリレートであって、好ましくはポリアルキレングリコール鎖を有するウレタンアクリレートを用い、インラインコート法でハードコート層を形成したハードコートフィルムについて、既に特許出願している(特願2015−063655号)。しかしながら、この出願ではハードコート層の薄膜化については考慮されておらず、一層の薄膜化が必要であった。
また、インラインコート法の場合、通常、縦延伸後に、ハードコート層用塗布液を塗布した後、プレ乾燥を行ってからテンターで横延伸を行う。このとき、プレ乾燥は、80〜120℃で数十秒程度と低温短時間であるので、このときに乾燥不足であったり、塗布液中の樹脂成分のTgが低かったりすると、テンターまでハードコートフィルムを導入するためのロールにフィルムが付着してしまう。こういった問題から、プレ乾燥後の塗膜のタックフリー性が重要となる。
そこで、本発明では、プレ乾燥後の塗膜のタックフリー性が良好で、カールの発生が抑制され、薄膜であるにもかかわらず高硬度であり、基材であるポリエステルフィルムとの密着性にも優れたハードコート層を有するハードコートポリエステルフィルムの提供を課題として掲げた。
上記課題を解決した本発明は、少なくとも片面にハードコート層を有するハードコートポリエステルフィルムであって、ハードコート層が水溶性アクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂との反応生成物を含み、ハードコート層のマルテンス硬さが280〜600N/mm2であることを特徴とする。
上記水溶性アクリルポリオールは、全構成ユニット100モル%中、ヒドロキシ基を有する構成ユニットを40〜80モル%有することが好ましい。
上記水溶性アクリルポリオールは、カルボキシ基を有していることも好ましい。
上記水溶性アクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂との反応生成物は、水溶性アクリルポリオール100質量部と水溶性アミノ樹脂10〜70質量部の反応生成物であることも好ましい。
上記水溶性アミノ樹脂がアルキル化メラミン樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、プレ乾燥後の塗膜のタックフリー性が良好で、カールの発生が抑制され、薄膜であるにもかかわらず高硬度であり、ポリエステルフィルムとの密着性にも優れたハードコート層を有するハードコートポリエステルフィルムを提供することができた。
本発明のハードコートポリエステルフィルムの形成に用いられるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートユニットを主たる構成成分とするものである。エチレンテレフタレートユニットは、ポリエステルの構成ユニット100モル%中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、ホモポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。
本発明のポリエステル樹脂を構成する他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコールの他、1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジ−n−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂の製造方法としては公知の方法が採用でき、上記のジカルボン酸とジオールとを直接エステル化反応させるか、あるいは、エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等により製造することができる。この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、例えば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムを形成するポリエステル樹脂の中には、フィルムの作業性(滑り性)を良好にする滑剤としての微粒子を添加してもよい。微粒子としては、任意のものを選択することができるが、例えば、無機系微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等、有機系微粒子としては、例えば、アクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜3.0μmの範囲内(コールターカウンタにて測定した場合)で、必要に応じて適宜選択することができる。
なお、本発明のハードコートポリエステルフィルムには、ポリエステル樹脂層を少なくとも1層有する積層型のポリエステルフィルムも含まれる。ポリエステル樹脂層が2層以上積層されるときは、そのポリエステル樹脂層は同じ組成のポリエステルであっても、異なる組成のポリエステルであってもよい。また、他の層として積層可能な層は、熱可塑性樹脂層であれば、特に限定されない。
次に、本発明のハードコートポリエステルフィルムのハードコート層について説明する。
本発明のハードコート層は、水溶性のアクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂との反応生成物を含む。ここで水溶性とは、水70質量%とイソプロピルアルコール30質量%の混合溶液に、固形分が12質量%となるようにアクリルポリオールまたはアミノ樹脂を溶解させたときに、無色透明な均一溶液を作り得る性質をいう。
本発明のアクリルポリオールは、分子中にヒドロキシ基を有するアクリル樹脂である。ヒドロキシ基を有する構成ユニットは、全構成ユニット100モル%中、40〜80モル%含まれていることが好ましい。ヒドロキシ基により水溶性アミノ樹脂と架橋反応が起こり、ハードコート層中に3次元架橋構造が形成される。アクリルポリオール中のヒドロキシ基を有する構成ユニットが40モル%より少ないと、ハードコート層中の架橋構造の量が不充分となり、鉛筆硬度がHBに達しないため、好ましくない。一方、80モル%を超えると、アクリルポリオール中の親水性部位を有する構成ユニットが少なくなり、アクリルポリオールの水溶性が維持できなくなるため、好ましくない。
ヒドロキシ基をアクリルポリオール中に導入するには、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのγ−ブチロラクトンやε−カプロラクトンの開環付加物等を共重合成分として用いるとよい。中でも、水溶性を阻害しない点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらは2種以上併用してもよい。
本発明で用いるアクリルポリオールは水溶性とする。環境負荷が少ないためである。水溶性を付与するモノマーとして、極性基を含有する(メタ)アクリル系モノマーや、極性基を含有する非アクリル系ビニルモノマーを共重合成分とすることが好ましい。極性基を含有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、前記したヒドロキシ基含有モノマーに加えて、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸等のカルボキシ基を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基を含有するモノマーが挙げられる。また、EO変性ノニルフェノールアクリレート、メトキシポリオキシエチレングリコールアクリレート等のエーテル結合を有するモノマー類も、アクリルポリオールの水溶性に寄与するため、用いることができる。極性基を含有する非アクリル系ビニルモノマーとしては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
上記の水溶性を付与するためのモノマーは、アクリルポリオール全構成ユニット100モル%中、8モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。8モル%より少ないと、アクリルポリオールに水溶性を付与できないおそれがある。水溶性を付与するためのモノマーは、35モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。35モル%を超えると、得られる塗膜のTgが後述する好適範囲の上限より高くなり、造膜性や、インラインコーティングにおける延伸追従性が低下するおそれがある。なお、水溶性であるかどうかは、後述する実施例に記載の溶解性の評価方法を採用して決めることができる。
良好な水溶性を発現させるためには、アクリル酸やメタクリル酸の共重合によってアクリルポリオール中に導入されたカルボキシ基を中和することが好ましい。塩基性の中和剤としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミン化合物や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機系塩基性物質等があり、このうち、水溶性の安定化と良好な水溶性を発現するためには、中和剤として無機系塩基性物質を使用することが好ましい。また中和率としては、30モル%〜90モル%であることが好ましく、より好ましくは40モル%〜80モル%である。中和率が30モル%未満の場合、アクリルポリオールの水溶性が低下し、塗布液調製の際にアクリルポリオールの溶解が困難になったり、乾燥後の塗膜面が白化したりするおそれがある。一方、中和率が90モル%を超える場合、水溶性が高すぎて、塗布液調製においてアルコール等の混合が困難になったり、硬化後の塗膜の耐水性が低下するというおそれがある。
アクリルポリオールは、Tgが50〜100℃であることが好ましく、より好ましくは55〜90℃である。アクリルポリオールのTgが低いほど、最低造膜温度(MFT、Minimum Film Forming Temperature)が低くなるため、乾燥温度が低温でも良好な造膜性を有する傾向にある。しかし、アクリルポリオールのTgが40℃未満では、塗布液乾燥後にタック性が残り、ロール転写や塗膜剥がれが発生して製造上問題になることがある。また、主剤としての剛性が低下することで、架橋剤を併用しても充分な塗膜硬度が得られないことがある。一方、Tgが100℃を超えると、MFTが高くなるため、乾燥温度を高くしなければ、造膜性が著しく低下するという問題がある。造膜性の低下は、塗布液乾燥後の外観不良や、インラインコーティングの延伸時における塗膜の追従性不良を引き起こし、製造プロセスで重大な問題となるおそれがある。
Tgを上記範囲にするために共重合されるTg調整用モノマーとしては、ヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリル系モノマーや、非アクリル系ビニルモノマーが利用できる。ヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、n−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等の窒素含有アクリル系モノマー;メタクリル酸ビニル等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
また、非アクリル系ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン(m−メチルスチレンとp−メチルスチレンの混合物)、クロロスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、オクチル酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルモノマー;が挙げられ、1種または2種以上を用いることができる。
Tg調整用のモノマーは、ヒドロキシ基含有モノマーと水溶性を付与するためのモノマーの適正量を決めてから、その残部とすることが好ましい。共重合体のTgは、下記のFoxの式で求められる。
n:各モノマーの質量分率(質量%)
Tgn:各モノマーのホモポリマーのTg(K)
本発明のアクリルポリオールは、公知のラジカル重合によって得ることができる。乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等、いずれも採用可能である。取り扱い性の点からは、溶液重合が好ましい。溶液重合に用いることのできる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコールn−ブチルエーテル、イソプロパノール、エタノール、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−オキソラン、メチルソロソルブ、エチルソロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは水と混合して用いてもよい。
重合開始剤としてはラジカルを発生する公知の化合物であればよいが、例えば、2,2−アゾビス−2−メチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオンアミド等の水溶性アゾ系重合開始剤が好ましい。重合の温度や時間等は適宜選択される。
アクリルポリオールの質量平均分子量(Mw)は、10,000〜80,000程度が好ましい。より好ましい範囲は、20,000〜60,000である。Mwが10,000未満の場合、テンター内での熱分解のおそれがあり、Mwが80,000を超えると、塗布液の粘度が著しく上昇するため、塗工性が低下するおそれがあり、好ましくない。
また、アクリルポリオールの水酸基価は、100〜380mgKOH/gが好ましい。100mgKOH/g未満では、架橋密度が低下するおそれがあり、380mgKOH/gを超えると、架橋密度が高くなりすぎて塗膜が脆くなるため好ましくない。また、水酸基価を高くするために、ヒドロキシ基含有モノマーを多用することで、水溶性を付与するモノマー量が少なくなり、アクリルポリオールの水溶性を維持できなくなることがある。
アクリルポリオールの酸価は、100mgKOH/g以下が好ましい。酸価が100mgKOH/gを超えると、加水分解を受けやすくなり、湿熱環境下での耐水性が低下するおそれがある。酸価は、70mgKOH/g以下がより好ましく、60mgKOH/g以下がさらに好ましい。酸価の下限としては、30mgKOH/g程度が好ましい。水溶性を維持するためである。
本発明のアクリルポリオールは、水溶性アミノ樹脂と反応させる。従って、本発明のハードコートフィルムのハードコート層には、アクリルポリオールとアミノ樹脂との反応生成物が含まれることになる。本発明の水溶性アミノ樹脂とは、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミンに、メタノールまたはエタノール等の低級アルコールを反応させて部分的にアルキルエーテル化した化合物である。水溶性アルキル化メラミン樹脂ということもできる。このような水溶性アミノ樹脂は、例えば、三和ケミカル社製の「ニカラック(日本カーバイド工業社の登録商標)MX−035」として入手可能である。
次に、本発明で用いるハードコート層形成用塗布液(以下、単に「塗布液」という)について説明する。この塗布液には、アクリルポリオールと、水溶性アミノ樹脂と、水と、前記した水溶性有機溶媒が含まれる。アクリルポリオール100質量部に対し、水溶性アミノ樹脂を固形分で10〜80質量部の範囲で用いることが好ましく、30〜70質量部がより好ましく、40〜70質量部がさらに好ましい。塗布液中の水溶性アミノ樹脂が10質量部未満の場合、ハードコート層とポリエステル系基材フィルムとの密着性が向上しないおそれがあり、また、高い硬度が得られない。一方、80質量部を超えて添加するとタックフリー性が劣る傾向にある。塗布液の固形分濃度は特に限定されないが、10〜30質量%程度が好ましい。なお、塗布液中には、滑剤としてコロイダルシリカを添加配合してもよい。コロイダルシリカは、アクリルポリオール100質量部に対し、10〜30質量部程度が好ましい。また、コロイダルシリカは、一次粒子径が10〜20nm、二次粒子径が30〜50nm程度の微細なものが好ましく、例えば、扶桑化学工業社製のPL−1等が挙げられる。
次に本発明のハードコートポリエステルフィルムの製造方法を説明する。ハードコートポリエステルフィルムは、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、(1)未延伸フィルムの片面または両面に塗布液を塗布し、プレ乾燥を行い、次いで少なくとも一方向に延伸する方法(インライン法)、(2)未延伸フィルムを縦延伸し、縦延伸後のフィルムの片面または両面に塗布液を塗布してプレ乾燥し、次いで、横延伸する方法(インライン法、縦と横は逆でもよい)、(3)二軸延伸フィルムを製造しておいて、オフラインでフィルムの片面または両面に塗布液を塗布して、加熱硬化させる方法が挙げられる。
本発明のハードコートポリエステルフィルムは、水性の塗布液で塗工でき、塗布層の乾燥や熱硬化が容易であるので、上記(1)や(2)のインライン法を容易かつ好適に採用することができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエステル原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
そして、押し出し後のシート状の溶融樹脂を急冷することによって未延伸フィルムを得ることができる。なお、溶融樹脂を急冷する方法としては、溶融樹脂を口金から回転ドラム上にキャストして急冷固化することにより実質的に未配向の樹脂シートを得る方法を好適に採用することができる。
得られた未延伸フィルムは、必要により50〜120℃、好ましくは60〜110℃で予熱した後、ロール方式の縦延伸機に導き、80〜125℃に加熱した後、ロールの周速差により縦方向に2.5〜5.0倍程度延伸して、一軸延伸フィルムを得る。その後、塗布液を、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレーコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式等で、塗布する。塗布量は、硬化後のハードコート層の厚みが1μm以下となるように調整することが好ましい。厚みが1μmを超える場合、ハードコート層の薄膜化の目的を達成することができない。厚みの下限は0.05μm程度が好ましい。あまり薄すぎると、ハードコート層としての機能(耐傷付き防止等)を果たせないおそれがある。より好ましい厚みの範囲は、0.1〜0.3μmである。
塗布後、80〜120℃で数十秒程度乾燥(プレ乾燥)させ、テンター等で2.5〜5.0倍に横延伸する。延伸温度は、80℃以上150℃以下である。横延伸後は、180℃〜250℃で、フィルムの幅の長さを固定した状態で0.3〜数秒程度、熱処理し、続いて、180℃〜250℃で、フィルムの幅方向に1〜5%程度の緩和熱処理をすることが好ましい。緩和熱処理は、5〜15秒とすることが好ましい。この横延伸後の熱処理で、アクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂が反応し、これらの反応生成物を含んだ硬化塗膜(ハードコート層)が得られる。これにより、本発明のハードコートポリエステルフィルムが得られる。なお、ポリエステルフィルム(塗膜を除く)の厚みは、30〜200μmが好ましい。
本発明のハードコートポリエステルフィルムのハードコート層は、マルテンス硬さが280〜600N/mm2であるところに特徴がある。マルテンス硬さが280N/mm2より小さいと、鉛筆硬度がHB以上とならないおそれがある。マルテンス硬さは、ダイヤモンド製正三角錐圧子と、電子制御された負荷装置、および高精度な変位測定器を用いるため、μmオーダーでの深さ制御が可能であり、基材フィルムの影響を考慮することなく、ハードコート層自体の硬度を評価することができる。また、鉛筆硬度評価の場合、時として鉛筆の先端形状が変化することがあるが、マルテンス硬さ評価ではダイヤモンド製正三角錐圧子を用いるため、先端形状がほとんど変化せず、硬度評価のばらつきを小さくできる。
本発明のハードコート層は鉛筆硬度がHB以上であることが好ましい。また、後述する方法で測定されるカールの高さは3mm未満であることが好ましい。さらに、後述する方法で測定される碁盤目密着性試験での剥がれたマス目は、0個であることが好ましい。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。なお、評価方法を以下に示す。
[NMR測定]
アクリルポリオール中に導入された共重合成分の比率は、核磁気共鳴分光法(1H−NMR、13C−NMR:Varian Unity 400、Agilent社製)を用いて確認した。測定は、合成したアクリルポリオール中の溶媒を真空乾燥機にて除去した後、乾固物を重クロロフォルムに溶解させて行った。得られたNMRスペクトルから、メチルメタクリレート中のメチル基部位、ヒドロキシエチルアクリレート中のヒドロキシ基部位、およびメタクリル酸のカルボキシ基部位に帰属される化学シフトδ(ppm)のピークを同定した。得られた各ピークの積分強度を求め、各基の部位の水素数と積分強度から、アクリルポリオールに導入された共重合成分の組成比率(mol%)を確認した。
[Tgの確認]
上記NMR測定で求めた共重合成分の組成比率と、前記したFoxの式から各アクリルポリオールのTgを求めた。
[溶解性]
合成したアクリルポリオール(1)〜(10)を、固形分濃度が12質量%となるように、イソプロパノール30質量%と水70質量%の混合溶媒(25℃)中に投入した。次いで、系内の撹拌操作を10分間行い、アクリルポリオール(1)〜(10)が溶解しているかを、下記の基準にてアクリルポリオールの溶解性を目視で判断した。表1に評価結果を示した。
○:無色透明で溶液に変化は見られない。
△:溶液がやや微濁を呈する。
×:溶液が白濁しているかアクリルポリオールのゲル化・沈降等が見られる。
また、ハードコート層の塗布液(固形分濃度:12質量%)についても、上記基準で溶解性を判断し、表3,表4に評価結果を示した。
[造膜性]
アクリルポリオールの造膜性を評価するため、合成したアクリルポリオール(1)〜(10)を固形分濃度が12質量%となるように、イソプロパノール30質量%と水70質量%の混合溶媒(25℃)中に投入して、アクリルポリオール単独の溶解液を調製した。その後、ポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)の非易接着面にメイヤーバー#5で塗布した。次いで、塗布層(厚み6.5μm)を形成したフィルムサンプルを、温度60℃に設定した熱風循環オーブン中に30秒間静置して、プレ乾燥を行った。その後、フィルムサンプルをオーブンから取り出し、取り出したフィルム表面を目視にて観察し、下記の基準でランク分けしてアクリルポリオールの造膜性の評価を行った。結果を表1に示した。
○:塗膜に白化が見られない。
△:塗膜に僅かな白化が見られる。
×:塗膜が全体的に白化している。
[タックフリー性]
アクリルポリオール自体のタックフリー性を評価するため、合成したアクリルポリオール(1)〜(10)を固形分濃度が12質量%となるように、イソプロパノール30質量%と水70質量%の混合溶媒(25℃)中に投入して、アクリルポリオール単独の溶解液を調製した。ポリエステルフィルム(A4100、東洋紡社製)の非易接着面に溶解液をメイヤーバー#5で塗布した。次いで、塗布層(厚み6.5μm)を形成したフィルムサンプルを、60℃に設定した熱風循環オーブン中に30秒間静置した後、フィルムサンプルをオーブンから取り出し、塗布層の表面を指で触診した。指触により得られた塗膜のベトツキ感を、下記の基準でランク分けしてアクリルポリオール自体のタックフリー性の評価を行った。結果を表1に示した。
○:ベトツキ感が全くない。
△:僅かにベトツキ感がある(触診時に指先に塗膜成分が付着しない)。
×:ベトツキ感が多分にある(触診時に指先に塗膜成分が付着する)。
[ポットライフ]
ハードコート層用の塗布液(固形分濃度:12質量%)を調製後、溶媒蒸発を防げるサンプル瓶に保存した。その後、レオメーター(MCR−302、Anton Paar製)とコーンプレート(プレート径:50mm、角度:1°、Anton Paar製)を用いて、せん断速度1000s-1の条件下で塗布液のせん断粘度を測定した。測定は調液直後から48時間後まで一定時間毎に行い、下記式に基づいてせん断粘度の上昇率を算出した。なお、ηdは経時における剪断粘度で、η0は調液直後の剪断粘度である。せん断粘度の上昇率が20%以上となった時点を塗布液のポットライフとみなし、調液から48時間を経ても上昇率が20%未満の場合は、ポットライフは48時間とした。
剪断粘度の上昇率(%)=100×ηd/η0
[延伸適性]
アクリルポリオール自体の延伸適性を評価するため、合成したアクリルポリオール(1)〜(10)を、固形分濃度が12質量%となるように、イソプロパノール30質量%と水70質量%の混合溶媒(25℃)中に投入して、アクリルポリオール単体の溶解液を調製した。縦延伸のみを行ったポリエステルフィルムの表面に、メイヤーバー#5で溶解液を塗布した。次いで、塗布層(厚み6.5μm)を形成したフィルムサンプルを、温度60℃に設定した熱風循環オーブン中に30秒間静置してプレ乾燥を行った。その後、フィルムサンプルをオーブンから取り出し、サンプルを手廻し延伸装置(東洋紡エンジニアリング社製)にセットして、100℃の熱風循環オーブン中に入れ、ゆっくりと延伸操作を行った。延伸前の長さの4倍の長さになるまで延伸操作を行い、延伸装置を熱風循環オーブンから取り出した。その後、延伸後の塗膜を光学顕微鏡(倍率:200倍)にて観察し、下記の基準に従って、延伸によるクラッキングの有無を判断した。結果を表1に示した。また、ハードコート層用塗布液(固形分濃度:12質量%)についても、同様にして延伸適性を評価し、結果を表3、表4に示した。
○:クラックが全く見られない。
△:クラックがやや見られる(1本〜4本)。
×:5本以上のクラック、もしくは全面にクラックが見られる。
[マルテンス硬さ]
ハードコートポリエステルフィルムを10mm×20mmに切断した後、サンプル片をスライドガラス上に瞬間接着剤で貼り付け、このサンプル片の表面について、ダイナミック超微小硬度計(DUH−211S、島津製作所社製)を用いて、押し込み深さ設定負荷−除荷試験を行った。この測定から、下記式を用いてマルテンス硬さ(HM115)を求めた(n=3の平均値)。
HM115=1000×F/(26.43×h2
(F:負荷、h2:押し込み深さ)
測定条件
(1)使用圧子:ダイヤモンド製正三角錐圧子(稜間角度:115゜)
(2)測定モード:押し込み深さ設定 負荷−除荷試験
(3)押し込み深さ:0.05μm
(4)測定雰囲気:25±1℃、65±5%RH
(5)測定n数:3
[密着性]
ハードコートポリエステルフィルムの表面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、ハードコート層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロハンテープ(登録商標;ニチバン社製;405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、垂直にセロハンテープをハードコート層から引き剥がし、基材フィルムから剥がれたハードコート層のマス目の数を目視で数え、下記の式から密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
○:剥がれたマス目が0個
△:剥がれたマス目が1〜5個
×:剥がれたマス目が6個以上
[鉛筆硬度]
JIS K 5600−5−4に準拠し、鉛筆引っかき試験機を用いて鉛筆硬度を測定した。試料とするハードコートポリエステルフィルム上に、鉛筆を45°の角度で750gfの荷重を掛けた状態で10mm程度引っかき、傷の付き具合を確認した。測定は5回行い、5回とも傷がなかったときの鉛筆の硬さを、鉛筆硬度とした。
[平面性(カールの高さ測定)]
ハードコートポリエステルフィルムを10cm角に切り取って平滑な面に置き、4隅の浮き上がり高さの平均値をカールの高さとして、下記の基準でランク分けをした。
○:4隅のカール平均高さ3mm未満
△:4隅のカール平均高さ3〜5mm
×:4隅のカール平均高さ5mm超
合成例1
[アクリルポリオール(1)の合成]
撹拌機、還流式冷却器、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)38質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)100質量部、メタクリル酸(MAA)11質量部およびイソプロピルアルコール(IPA)349質量部を仕込み、撹拌を行いながら80℃までフラスコ内を昇温した。フラスコ内を80℃に維持したまま3時間の撹拌を行い、その後、2,2−アゾビス−2―メチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオンアミド0.5質量部をフラスコに添加した。フラスコ内を120℃に昇温しながら窒素置換を行った後、120℃で混合物を2時間撹拌した。
次いで、120℃で1.5kPaの減圧操作を行い、未反応の原材料と溶媒を除去し、アクリルポリオールを得た。フラスコ内を大気圧に戻して室温まで冷却し、IPA水溶液(水含量50質量%)598質量部を添加混合した。その後、撹拌しながら滴下ロートを用いて、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、溶液のpHが5.5〜7.5の範囲になるまでアクリルポリオールの中和処理を行い、固形分濃度が20質量%のアクリルポリオール(1)を得た。アクリルポリオール(1)のNMR測定による組成比率、溶解性、造膜性、タックフリー性、延伸適性を表1に併記した。
合成例2〜10
[アクリルポリオール(2)〜(10)の合成]
表1に示したように、MMA、HEMA、MAA、仕込み時IPA、希釈時IPA水溶液の量を変更した以外は合成例1と同様にして、固形分濃度が20質量%のアクリルポリオール(2)〜(10)を得た。なお、アクリルポリオール(10)は、MMAに代えて、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)を用いた。アクリルポリオール(2)〜(10)のNMR測定による組成比率、溶解性、造膜性、タックフリー性、延伸適性を表1に併記した。なお、組成比率は、MMAまたはEHMAをl(単位)、HEMAをm(単位)、MAAをn(単位)として表した。
[塗布液の調製]
IPA水溶液(水含量70質量%)に、固形分濃度が12質量%となるように表2に示した材料を添加し、撹拌して、塗布液(1)〜(26)を調製した。なお、「エポクロス」、「ケミタイト」は日本触媒社の登録商標であり、「バーノック」はDIC社の登録商標である。
実験No.1
[フィルムの製膜と塗布液の塗工]
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度が0.62dl/gで、かつ粒子を実質上含有していないポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群および赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、塗布液(1)をメタリングバーコート法で、乾燥後の塗布量が表3に示したようになるように、一軸延伸PETフィルムの片面に塗布した後、80℃で20秒間乾燥させた(プレ乾燥)。引続いてテンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱し、さらに230℃で10秒間、3%の幅方向の弛緩処理を行い、塗膜厚みが0.05μmで基材フィルムの厚さが50μmのハードコートポリエステルフィルムを得た。得られたハードコートポリエステルフィルムの物性は、表3に示すとおり良好であった。なお、塗布液の特性も表3に併せて示した。
実験No.2〜19
表3に示したように、乾燥後の塗布量や、塗膜厚み、塗布液の種類を変えた以外は、実験No.1と同様にしてハードコートポリエステルフィルムを得た。各塗布液の特性およびフィルムの特性を表3に示した。
実験No.20〜40
表4に示したように、乾燥後の塗布量や、塗膜厚み、塗布液の種類を変えた以外は、実験No.1と同様にしてハードコートポリエステルフィルムを得た。各塗布液の特性およびフィルムの特性を表4に示した。
表3から、本発明の実施例である実験No.1〜19は良好な塗膜物性および塗布液特性を示すことが明らかとなった。一方、表4には、本発明の範囲や、好適な範囲を外れる実験No.20〜40の結果を示したが、マルテンス硬さが280N/mm2以上のものはなく、密着性や、塗布液の延伸適性に劣るものも多くあった。
本発明のハードコートポリエステルフィルムは、ハードコート層を薄くしても、カールの発生や密着性不足といった問題がなく、タックフリー性や硬度にも優れ、インライン法で製造するのに適している。したがって、本発明のハードコートポリエステルフィルムは、ディスプレイ等に主として用いられる、反射防止フィルム、防眩フィルム、光拡散シート、レンズシート、近赤外線遮断フィルム、透明導電性フィルム等の機能性フィルムの基材として有用である。

Claims (3)

  1. 少なくとも片面にハードコート層を有するハードコートポリエステルフィルムであって、
    ハードコート層が水溶性アクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂との反応生成物を含み、
    前記水溶性アクリルポリオールが、全構成ユニット100モル%中、ヒドロキシ基を有する構成ユニットを40〜80モル%有しており、
    前記水溶性アクリルポリオールが、カルボキシ基を有していると共に、アクリルポリオール全構成ユニット100モル%中、前記カルボキシ基を含有するモノマーを8モル%以上有しており、
    ハードコート層のマルテンス硬さが280〜600N/mm2であることを特徴とするハードコートポリエステルフィルム。
  2. 上記水溶性アクリルポリオールと水溶性アミノ樹脂との反応生成物は、水溶性アクリルポリオール100質量部と水溶性アミノ樹脂10〜70質量部の反応生成物である請求項1記載のハードコートポリエステルフィルム。
  3. 上記水溶性アミノ樹脂がアルキル化メラミン樹脂である請求項1または2に記載のハードコートポリエステルフィルム。
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