JP6544033B2 - 不織布とその製造方法、および繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents
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Description
[1]酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と補強材とを含有し、前記補強材は、補強繊維(B)の表面にポリビニルピロリドンからなる集束剤が付着した繊維である、不織布。
[2]さらに、ポリビニルアルコールを含有する、[1]の不織布。
[3]前記補強繊維(B)は、炭素繊維である、[1]または[2]の不織布。
[4]前記補強材が単繊維状に分散している、[1]〜[3]の不織布。
[5][1]〜[4]の不織布が加熱加圧成形された、繊維強化プラスチック成形体。
<不織布>
本発明の不織布は、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と補強材とを含有し、補強材は、補強繊維(B)の表面にポリビニルピロリドン(以下、「PVP」ともいう。)からなる集束剤が付着した繊維である。
本発明の不織布は、FRP成形体の成形材料(繊維強化プラスチック成形体用基材)等として好適に使用されるものである。本発明の不織布は、詳しくは後述するように、1枚で、または2枚以上重ねられて、加熱加圧成形されることにより、FRP成形体に成形される。
酸変性ポリオレフィン繊維(A1)は、本発明の不織布を用いて成形されたFRP成形体において、マトリックス樹脂として作用するものである。酸変性ポリオレフィン繊維(A1)は、不織布中では繊維状の形態を維持しているが、不織布を加熱加圧成形して得られるFRP成形体中では、繊維状の形態を維持していない。
また、本発明の不織布は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)以外の、熱可塑性樹脂からなる後述のその他の繊維(A2)を含んでもよい。該繊維(A2)は、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)とともにFRP成形体のマトリックス樹脂として作用する。以下、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と、繊維(A2)とをまとめて熱可塑性樹脂繊維(A)とし、説明する。
上記単独重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン等が挙げられ、上記共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン系樹脂には、上述のとおり、未変性のポリオレフィン系樹脂(上記ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、プロピレン−エチレンランダム共重合体等。)等の樹脂が含まれていてもよい。
本明細書において、酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に準じて測定した値を意味する。
芯鞘型繊維は、通常、不織布において繊維同士を結合させるための成分として添加される。このような芯鞘型繊維は、融点またはガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂からなる芯の外周上に、融点またはガラス転移温度の低い熱可塑性樹脂からなる鞘が形成された繊維である。
そのため、芯の部分については、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維(A)として取り扱う。そして、芯の部分が、酸変性ポリオレフィン繊維である場合には、該芯の部分を酸変性ポリオレフィン繊維(A1)として取り扱い、酸変性ポリオレフィン繊維以外の熱可塑性樹脂からなる場合には、該芯の部分を後述する繊維(A2)として取り扱う。
一方、芯鞘型繊維の鞘に由来する部分については、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維(A)には含めず、後述するバインダー成分として取り扱う。
不織布を構成している酸変性ポリオレフィン繊維(A1)100質量%中の割合としては、芯鞘型繊維の芯の部分からなる酸変性ポリオレフィン繊維の割合は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
上述のとおり、芯鞘型繊維の芯の部分は、不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維(A)として取り扱い、該芯の部分が、酸変性ポリオレフィン系樹脂以外の熱可塑性樹脂からなる場合、該芯の部分は繊維(A2)として取り扱う。
また、上述のとおり、不織布中に含まれる、芯鞘型繊維の芯の部分からなる繊維の割合が高いと、バインダー成分として取り扱われる鞘由来の樹脂の割合もそれに同伴して高まり、FRP成形体の機械特性、FRP成形体製造時の成形性に悪影響を与える場合がある。そのため、芯の部分が繊維(A2)に相当する芯鞘型繊維の使用割合は、バインダー成分として取り扱われる鞘由来の樹脂の量が、熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材の合計100質量部に対して後述するバインダー成分量の好ましい範囲内に収まるように、調整することが好ましい。
本明細書において、質量平均繊維長は、100本の繊維について測定した繊維長の質量平均値である。
本明細書において繊維の断面の長径とは、図1に示すように、繊維10の断面に外接する長方形Rを想定した時に、その長方形Rの長辺の長さL1であり、繊維10の断面の短径とは、短辺の長さL2である。なお、長辺の長さL1は、繊維の断面の外周上の任意の2点間の距離のうちの最大値に等しい。
また、本明細書において、熱可塑性樹脂繊維(A)の断面の長径の平均値、短径の平均値、後述の補強材の断面の長径の平均値、短径の平均値は、それぞれ繊維100本についての平均値であり、各長径および短径は、顕微鏡観察により測定できる。
本発明で使用される補強材は、補強繊維(B)とその表面に付着したPVP(集束剤)より構成される。集束剤とは、補強繊維の取扱性を高める等の目的により、補強繊維の表面に付与されるものである。
マトリックス樹脂を構成する繊維として、上述の酸変性ポリオレフィン繊維(A1)を使用した場合に、補強材として、繊維表面にPVPからなる集束剤が付着した補強繊維(B)を組み合わせて得た不織布を用いると、集束剤として水が使用された補強繊維を組み合わせて得た不織布を用いたとき等に比べて、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械特性が大きく向上したFRP成形体が得られる。このような傾向は、熱可塑性樹脂繊維としてポリアミド繊維、ポリカーボネート繊維等の他の樹脂繊維を使用した場合にはほとんど認められない。この理由については必ずしも明らかではないが、補強繊維(B)の表面に付着しているPVPと、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)との親和性が向上する等、何らかの相互作用が働き、これによりFRP成形体の機械特性が優れるものと考えられる。
本明細書において、引張強さおよび引張弾性率は、JIS R7606に準じて求めた値である。
なお、下記一般式中のnは、繰り返し単位の数を示す。
なお、湿式抄紙で不織布を製造する場合には、補強繊維(B)に付着していたPVPが水に溶解して補強繊維から脱離することも考えられるが、上記範囲で残留していれば本発明の効果を損なわない。湿式抄紙で不織布を製造する場合には、補強材として、補強繊維(B)に対するPVPの付着量が、補強材(補強繊維(B)+PVP)の全質量(100質量%)に対して、好ましくは0.002〜15質量%、より好ましくは0.02〜12質量%、さらに好ましくは0.2〜7質量%の範囲であるものを用いて抄紙を行うと、PVPを上記範囲で残留させることができる。
PVPの付着量(質量%)=W2×100/W1
補強材を構成している補強繊維(B)が炭素繊維の場合には、入手性およびコスト面から、補強材は丸断面繊維が好適である。
一方、補強材を構成している補強繊維(B)がガラス繊維の場合には、補強材として丸断面繊維も好適に使用できるが、断面が扁平形状であり、該断面の長径と短径との比(長径/短径)が1を超え、たとえば該比(長径/短径)が1.5〜8の範囲内にある扁平繊維を使用すると、丸断面繊維を使用した場合に比べて、曲げ弾性率により優れるFRP成形体が得られる傾向にある。不織布中において、比(長径/短径)が上記範囲である扁平繊維は、その長径方向が不織布の面方向に沿うように配向しやすい。そして、このような不織布を用いて成形されたFRP成形体中においても、扁平繊維は、その長径方向がFRP成形体の面方向に沿うように配向しやすい。そのため、得られたFRP成形体は、曲げ弾性率に優れるものと考えられる。
また、後述するように、不織布が抄紙工程を経て製造された湿式不織布であると、該湿式不織布中において、扁平繊維は、その長径方向が不織布の面方向に沿うように、より配向しやすい。そのため、湿式不織布が加熱加圧成形されたFRP成形体は、曲げ弾性率により優れるものと考えられる。
上記比(長径/短径)は、2〜7が好ましく、2.5〜6がより好ましい。比(長径/短径)が上記範囲の下限値以上であると、得られたFRP成形体の曲げ弾性率がより優れる傾向にある。比(長径/短径)が上記範囲の上限値以下であると、繊維が薄くなりすぎず成形時等に破壊されにくく、所望の効果が得られすい。
熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材の合計100質量%に対して、熱可塑性樹脂繊維(A)の含有量が10〜90質量%、補強材の含有量が90〜10質量%であることが好ましく、熱可塑性樹脂繊維(A)の含有量が20〜80質量%、補強材の含有量が80〜20質量%であることがより好ましく、熱可塑性樹脂繊維(A)の含有量が25〜75質量%、補強材の含有量が75〜25質量%であることがさらに好ましく、熱可塑性樹脂繊維(A)の含有量が40〜60質量%、補強材の含有量が40〜60質量%であることが特に好ましい。各繊維の含有量が上記範囲内であると、熱可塑性樹脂繊維(A)の含有量と補強材の含有量のバランスが優れるため、不織布中で熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材とが良好に分散し、成形性にも優れる。そのため、不織布を加熱加圧成形して得られるFRP成形体は、マトリックス樹脂に基づく特性と、補強材に基づく特性とをそれぞれ充分に発揮する。
また、補強材が扁平繊維である場合においても、不織布中に、扁平繊維と熱可塑性樹脂繊維(A)が均一に存在しやすくなる。
(バインダー成分)
本発明の不織布は、熱可塑性樹脂繊維(A)および補強材を互いに結合し、不織布の保形性を維持するためのバインダー成分を含んでもよい。
上述のように、不織布の材料に芯鞘型繊維を用いることにより、鞘の部分が溶融してバインダー成分となって不織布に含まれてもよいし、詳しくは後述するが、不織布の製造工程において、粉状、繊維状、液状(溶液、エマルション等。)等の形態でバインダー成分を付与することもできる。
また、必要に応じて、不織布の材料に芯鞘型構造の熱可塑性樹脂繊維を用い、かつ、不織布の製造工程において、粉状、繊維状、液状等の形態でバインダー成分を付与することもできる。
このような芯鞘型繊維における具体的な芯および鞘の組合せとしては、「PET/変性PET」、「PET/EVA」、「PP/PE」等が挙げられる。ここで「/」の前に記載している材質が芯で、後ろに記載している材質が鞘を意味する。芯は、上述のとおり熱可塑性樹脂繊維(A)として取り扱う。
また、芯鞘型繊維の芯の部分と鞘の部分の断面積比には特に制限はないが、通常、芯:鞘=1:0.8〜1.2程度である。また、芯の部分と鞘の部分の質量比にも特に制限はないが、通常、芯:鞘=1:0.8〜1.2程度である。
本発明の不織布は、その効果を妨げない範囲で、各種フィラー、熱硬化性樹脂、顔料等のうちの1種以上を含んでもよい。
本発明の不織布の坪量は、5〜2000g/m2であることが好ましく、10〜1000g/m2であることがより好ましく、15〜800g/m2であることがさらに好ましい。坪量が上記範囲内であれば、製造効率よく不織布を製造することができる。
本発明の不織布の密度は、たとえば後述の抄紙工程および乾燥工程を経た状態において、通常0.01〜0.80g/cm3程度である。本発明の不織布はこのままの状態で使用することもできるが、輸送コストやハンドリング性などの観点から、その体積を小さくする目的において、該不織布に影響を与えない条件の加熱加圧プレス等によってこれを圧縮し、密度を高めてもよい。
本発明の不織布の厚みは、特に限定されず、坪量および密度により決まる。
本発明の不織布を製造する方法には特に制限はなく、公知の方法で熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材とを含むウェブを形成し、公知の方法でウェブ中の繊維同士を結合させればよい。
分散液は、界面活性剤等の分散剤(熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材の分散性を向上させる。)、必要に応じて使用されるフィラー等を含んでもよい。
なお、固形分とは、熱可塑性樹脂繊維(A)、補強材およびバインダー成分である。
ジェットワイヤー比とは、抄紙機におけるワイヤーの走行速度(W)に対する分散液の流速(J)の比であり、J/Wで表される。J/Wを上記範囲に調整することにより、ワイヤー付近における分散液の流れを層流域にコントロールできる。
傾斜型抄紙機におけるジェットワイヤー比の調整は、分散液のワイヤーへの供給速度と、供給された分散液中の分散媒をワイヤーを介して脱水ボックスで吸引する速度とをコントロールする常法により行える。
まず、アジテータ付のタンク内で、分散液を調製する。具体的には、熱可塑性樹脂繊維(A)、補強材、水(分散媒)と、必要に応じて分散剤、粘剤を混合し、アジテータで撹拌する。補強材がストランド状であっても、ここで分散剤を使用することで、補強材は単繊維状に良好に分散する。分散剤は、水で溶解または希釈して添加してもよい。また、分散液には、バインダー成分を添加してもよく、バインダー成分としてPVAを使用する場合には、ここで分散液に添加する。これにより熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材とがモノフィラメント(単繊維)化した原料液を調製する。
なお、鞘の部分がバインダーとして作用する芯鞘型繊維を用いる場合にも、分散液に加える。
原料液の固形分濃度は、0.01〜5質量%程度に調整することが好ましい。
分散剤の添加量(正味量)は、補強材100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましい。
その後、繊維層を脱水し、ウェットウェブを得る。脱水は、繊維層をたとえばサクションボックスを通過させることで行う。
バインダー供給工程および水流交絡工程は、抄紙工程で得られたウェットウェブがバインダー成分を含んでいる場合に行ってもよいが、通常は、ウェットウェブがバインダー成分を含んでいない場合に行う。たとえば、抄紙工程で抄紙する分散液に、バインダー成分としてPVA成分を添加したり、芯鞘型繊維を添加したりして、ウェットウェブがバインダー成分を含んでいる場合には、ここでバインダー供給工程または水流交絡工程を行わなくてよい。
乾燥工程に供給されるウェットウェブがバインダー成分を含まず、水流交絡工程を経たものである場合には、この乾燥工程では水分を蒸発、乾燥させる。
以上のようにして、熱可塑性樹脂繊維(A)と補強材を含む湿式不織布が得られる。
本発明のFRP成形体は、上述の不織布を加熱加圧成形することにより得られる。不織布は1枚のみを加熱加圧成形しても、2枚以上を重ねて加熱加圧成形してもよく、FRP成形体の用途等に応じて決定できる。
加熱加圧成形の温度は、150〜600℃が好ましい。
加熱加圧成形の圧力は、3〜50MPa程度であり、加熱加圧時間は、5〜1200秒程度である。
本発明のFRP成形体の用途としては、たとえば、OA機器、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、パソコン(タブレットパソコンを含む。)、デジタルビデオカメラなどの携帯電子機器、エアコンその他家電製品などの筐体、及び筐体に貼り付けるリブ等の補強材;支柱、パネル、補強材などの土木、建材用部品;が挙げられる。
また、各種フレーム、各種車輪用軸受、各種ビーム、ドア、トランクリッド、サイドパネル、アッパーバックパネル、フロントボディー、アンダーボディー、各種ピラー、各種フレーム、各種ビーム、各種サポート、などの外板またはボディー部品及びその補強材;インストルメントパネル、シートフレームなどの内装部品;ガソリンタンク、各種配管、各種バルブなどの燃料系、排気系、または吸気系部品;エンジン冷却水ジョイント、エアコン用サーモスタットベース、ヘッドランプサポート、ペダルハウジング;などの自動車、二輪車用部品;が挙げられる。
また、ウィングレット、スポイラーなどの航空機用部品;鉄道車両用の座席用部材、外板パネル、外板パネルに貼り付ける補強材、天井パネル、エアコン等の噴出し口などの鉄道車両用部品;樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)からなる成形体の補強材、樹脂と強化繊維からなる成形体の補強材、植物由来のシート(クラフト紙、段ボール、耐油紙、絶縁紙、導電紙、剥離紙、含浸紙、グラシン紙、セルロースナノファイバーシートなど)の補強材などの部材、等に好適に使用される。
(実施例1)
以下のようにして、表1に示す割合で各繊維を含む不織布(湿式不織布)を抄紙工程(湿式法)を経て製造した。
なお、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)としては、質量平均繊維長が15mm、長径および短径が18μmの丸断面繊維である、ダイワボウポリテック社製のマレイン酸変性ポリプロピレン繊維「PZ−AD」(酸価:1.4mgKOH/g、融点:165℃)を用いた。
また、補強材としては、炭素繊維(補強繊維(B))の表面に、集束剤としてPVPが付着した、質量平均繊維長が12mm、長径および短径がいずれも7μmの丸断面繊維である、台湾プラスチック社製のチョップドストランド「TAIRYFIL(登録商標) CS−815」(PVPの付着量(補強材の質量全体を100質量%とする。):2質量%)を用いた。該補強材の単繊維の引張強さは、3450MPa、引張弾性率は、230GPaである。
また、芯鞘型繊維としては、芯がPET(融点:260℃)で、鞘が変性PET(融点:110℃)である熱可塑性樹脂繊維(質量平均繊維長が5mm、長径および短径がいずれも12.5μm、芯の長径および短径がいずれも8.8μm、芯および鞘の質量比率は芯:鞘=1:1。)を用いた。この繊維は、芯は、得られた不織布中で繊維(A2)として存在し、鞘はバインダー成分として存在する。
ついで、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と、芯鞘型繊維とを、表1の配合比(質量比)となるように投入し、回転数200rpmで攪拌を続けた。なお、表中では、芯鞘型繊維について、芯の部分と鞘の部分とに分けて記載した。
その後、これに水を加え、固形分濃度(酸変性ポリオレフィン繊維(A1)、補強材、芯鞘型繊維の合計濃度。)が0.2質量%となるように調整した。
その後、50℃に冷却し、厚み1mmのFRP成形体を得た。
測定された値を表1に示す。
JIS K7074「炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法」の3点曲げ試験により測定した。
表1に示すように、集束剤として水が使用された質量平均繊維長が13mm、長径および短径がいずれも7μmの丸断面繊維である炭素繊維を補強材として用いた以外は、実施例1と同様にして、不織布、FRP成形体を得た。
得られたFRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表1に示す。
実施例1と同様にして、表1に示す割合で各繊維を含む不織布を製造し、FRP成形体を得た。そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表1に示す。
ただし、実施例2では、補強材、水、分散剤が投入されているプロペラ型アジテーター付のタンクに、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)および芯鞘型繊維に加えて、バインダー成分としてPVA繊維(「VPB105−2」(クラレ社製))を表1の配合比(質量比)となるように投入した。そして、回転数200rpmで攪拌を続けた。PVA繊維は、乾燥工程でウェットウェブが含む水分に溶解するため、得られた不織布中では繊維の形態を維持していない。
一方、実施例3および4では、芯鞘型繊維を用いず、補強材、水、分散剤が投入されているプロペラ型アジテーター付のタンクに、酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と上記PVA繊維とを表1の配合比(質量比)となるように投入した。そして、回転数200rpmで攪拌を続けた。
酸変性ポリオレフィン繊維(A1)に代えて、ポリアミド繊維(ポリアミド6、質量平均繊維長:15mm、長径および短径:19μmの丸断面繊維。)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布を製造し、FRP成形体を得た。なお、FRP成形体の製造においては、100g/m2の不織布を15枚積層し、150℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:245℃、圧力:10MPa、時間:300秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。
その後、50℃に冷却し、厚み1mmのFRP成形体を得た。
そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表2に示す。
酸変性ポリオレフィン繊維(A1)に代えて、参考例1で用いたものと同じポリアミド繊維を用いた以外は、比較例1と同様にして不織布を製造し、FRP成形体を得た。なお、FRP成形体の製造においては、100g/m2の不織布を15枚積層し、150℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:245℃、圧力:10MPa、時間:300秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。
その後、50℃に冷却し、厚み1mmのFRP成形体を得た。
そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表2に示す。
酸変性ポリオレフィン繊維(A1)に代えて、ポリカーボネート繊維(質量平均繊維長:15mm、長径および短径:30μmの丸断面繊維。)を用いた以外は、実施例1と同様にして不織布を製造し、FRP成形体を得た。なお、FRP成形体の製造においては、100g/m2の不織布を15枚積層し、150℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:225℃、圧力:10MPa、時間:300秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。
その後、70℃に冷却し、厚み1mmのFRP成形体を得た。そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表2に示す。
酸変性ポリオレフィン繊維(A1)に代えて、参考例3で用いたものと同じポリカーボネート繊維を用いた以外は、比較例1と同様にして不織布を製造し、FRP成形体を得た。なお、FRP成形体の製造においては、100g/m2の不織布を15枚積層し、150℃に予熱したホットプレス内に入れ、温度:225℃、圧力:10MPa、時間:300秒間の条件で、加熱加圧成形を行った。
その後、70℃に冷却し、厚み1mmのFRP成形体を得た。そして、FRP成形体について、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
測定された値を表2に示す。
(曲げ強度の向上度)
比較例1のFRP成形体の曲げ強度に対する、実施例1のFRP成形の曲げ強度の比率を百分率で求めた。同様に、参考例2のFRP成形体の曲げ強度に対する、参考例1のFRP成形の曲げ強度の比率と、参考例4のFRP成形体の曲げ強度に対する、参考例3のFRP成形の曲げ強度の比率を、それぞれ百分率で求めた。これらの結果を表3に示す。
比較例1のFRP成形体の曲げ弾性率に対する、実施例1のFRP成形の曲げ弾性率の比率を百分率で求めた。同様に、参考例2のFRP成形体の曲げ弾性率に対する、参考例1のFRP成形の曲げ弾性率の比率と、参考例4のFRP成形体の曲げ弾性率に対する、参考例3のFRP成形の曲げ弾性率の比率を、それぞれ百分率で求めた。これらの結果を表3に示す。
また、実施例1〜4の結果から、不織布のバインダー成分としてPVAを用いることによって、得られるFRP成形体の曲げ強度および曲げ弾性率がより向上することがわかった。
Claims (5)
- 酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と補強材とを含有し、前記補強材は、補強繊維(B)の表面にポリビニルピロリドンからなる集束剤が付着した繊維であり、前記補強材が単繊維状に分散している、不織布。
- さらに、ポリビニルアルコールを含有する、請求項1に記載の不織布。
- 前記補強繊維(B)は、炭素繊維である、請求項1または2に記載の不織布。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布が加熱加圧成形された、繊維強化プラスチック成形体。
- 酸変性ポリオレフィン繊維(A1)と、補強繊維(B)の表面にポリビニルピロリドンからなる集束剤が付着した繊維が単繊維状に分散している分散液を抄紙する、不織布の製造方法。
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