JP6540260B2 - ハニカム構造体及び自動車用触媒コンバータ - Google Patents

ハニカム構造体及び自動車用触媒コンバータ Download PDF

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Description

本発明は、セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分として構成されたハニカム構造体と、それを用いた自動車用触媒コンバータに関する。
自動車の排ガスを浄化するために、ハニカム構造体に触媒を担持してケースに収容した触媒コンバータが用いられている。ハニカム構造体は、一般に、コージェライト又はSiC等の材料を用いて構成され、排ガスが流通する多数のセルの内表面を覆って、助触媒成分と貴金属触媒を含む多孔質のコート層が形成される。また、ハニカム構造体は、通常、外周面の全体に、キャニング用の保持マットを巻き付けた状態で、ケース内に固定される。
従来のハニカム構造体には、コート層に担持する貴金属触媒の量を低減することが要求されている。このため、例えば、ガス流に対し上流側と下流側を、それぞれ触媒濃度の異なるコート材で塗り分け、あるいは、同じコート材を用いて領域ごとに塗布回数を変化させることで、触媒使用量を抑制する構成が提案されている(特許文献1等)。このとき、コート層の気孔率が大きいほど、浄化対象となる排ガスの、コート層に担持される貴金属部分へのガス拡散性が向上し、単位体積当たりでのガス浄化率が向上する。すなわち、所望の浄化率を達成するために必要な貴金属の量を低減することができる。
一方、ハニカム構造体を、従来のコート層材料で構成することが検討されている。例えば、助触媒成分であるセリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とし、助触媒粒子同士を無機バインダで結合させる技術が知られている。ただし、助触媒成分を主体とする材料は、従来の材料に比べて、熱膨張率が大きくなるため、熱衝撃に対する機械的強度が弱い問題がある。このため、キャニングによる面圧や熱衝撃等への対策が必要となる。
特開2009−255033号公報
しかしながら、ハニカム構造体を、助触媒成分で構成しようとする場合、次の問題がある。すなわち、貴金属触媒使用量を低減するために、気孔率を高めることは、ハニカム構造体の強度の低下につながる。その一方で、キャニング面圧等に対する信頼性を確保するには、機械的強度をより高める必要があり、これら相反する2つの要求を両立させることは難しい。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする材料で構成され、貴金属触媒の使用量を抑制しつつ十分な浄化性能を発揮し、機械的強度を維持して耐久性を向上させることができるハニカム構造体を実現し、信頼性に優れた自動車用触媒コンバータを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子と、該原料粒子同士を接合する無機バインダを含む材料で構成され、セル壁で区画された多数のセルを有するハニカム構造体であって、
上記セル壁のセル伸長方向において、粒界欠損により形成されるマクロ気孔に基づくマクロ気孔率が異なる少なくとも2つの領域からなり、
上記セル壁の一方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が大きい領域Aを備え、上記セル壁の他方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が小さい領域Bを備えると共に、上記領域Aのセル伸長方向の長さは、上記領域Bのセル伸長方向の長さよりも短く、かつ、上記領域Aと上記領域Bの間に、両領域の中間のマクロ気孔率を有する領域Cを備える、ハニカム構造体にある。
本発明の他の態様は、自動車の排ガス管路に設けられる自動車用触媒コンバータであって、
上記ハニカム構造体を、上記排ガス管路に接続される筒状ケース内に収容してなり、
上記筒状ケース内の排ガス流れに対して、上流側に上記領域Aが位置し、下流側に上記領域Bが位置するとともに、上記領域Bの外周面を覆って上記筒状ケースとの間に保持マットが介設されている、自動車用触媒コンバータにある。
本発明のさらに他の態様は、自動車の排ガス管路に設けられる自動車用触媒コンバータであって、
セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子と、該原料粒子同士を接合する無機バインダを含む材料で構成され、セル壁で区画された多数のセルを有するハニカム構造体を、上記排ガス管路に接続される筒状ケース内に収容してなり、
上記ハニカム構造体は、
上記セル壁のセル伸長方向において、粒界欠損により形成されるマクロ気孔に基づくマクロ気孔率が異なる少なくとも2つの領域からなり、
上記セル壁の一方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が大きい領域Aを備え、上記セル壁の他方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が小さい領域Bを備えると共に、上記領域Aのセル伸長方向の長さは、上記領域Bのセル伸長方向の長さよりも短く、
上記筒状ケース内の排ガス流れに対して、上流側に上記領域Aが位置し、下流側に上記領域Bが位置するとともに、上記領域Bの外周面を覆って上記筒状ケースとの間に保持マットが介設されている、自動車用触媒コンバータにある
上記ハニカム構造体は、セル壁が助触媒作用を有する材料で構成され、マクロ気孔率の異なる2つ以上の領域に分かれているので、各領域を有効に利用することができる。すなわち、マクロ気孔率が大きい高気孔の領域Aにおいては、導入されるガスの拡散性を向上させ、効率よく浄化性能を高めることが可能となり、結果的に触媒使用量を低減できる。また、マクロ気孔率が小さい高強度の領域Bを設けて、機械的強度を高めているから、この部分にキャニング面圧がかかるようにすることで、耐久性を向上させることができる。
したがって、上記ハニカム構造体の高気孔の領域Aを、排ガスの流れが乱流になる上流側に配置することで、ガス拡散を促進して触媒性能を効果的に発揮し、層流になりガス拡散が比較的少ない下流側に高強度の領域Bを配置して、その外周に保持マットを配置することで、キャニング面圧に対する機械的強度を確保できる。また、保持マットで覆われない上流側の高気孔の領域Aにより、熱衝撃を緩和できる。よって、高い浄化性能と耐久性を有するハニカム構造体を用いて、信頼性に優れた自動車用触媒コンバータが得られる。
(a)は、実施形態1における、ハニカム構造体の全体斜視図、(b)は、(a)のハニカム構造体を備える自動車用触媒コンバータの全体概略断面図。 ハニカム構造体の他の構成例を示す全体斜視図。 ハニカム構造体の組織を示す模式的な図。 (a)は、実施例1における、ハニカム構造体の製造工程図、(b)は、(a)の無機バインダ含浸工程を説明するための模式的な図。 (a)は、実施例1における、ハニカム構造体の高気孔領域Aの気孔率分布を示す図、(b)は、実施例1における、ハニカム構造体1の高強度領域Bの気孔率分布を示す図。 実施例1における、無機バインダの添加量とハニカム構造体の強度の関係を示す図。 実施例1における、無機バインダの添加量とハニカム構造体の気孔率分布の関係を示す図。 実施例1における、ハニカム構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真。 (a)、(b)は、無機バインダの添加量が5体積%のときの、ハニカム構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真。 (a)、(b)は、無機バインダの添加量が10体積%のときの、ハニカム構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真。 (a)、(b)は、無機バインダの添加量が15体積%のときの、ハニカム構造体の断面の走査型電子顕微鏡写真。 (a)は、触媒性能と排ガス流速との関係を、本発明と従来のハニカム構造体とで比較して示す図、(b)は、従来のハニカム構造体を用いた触媒体の構造を示す模式的な図、(c)は、従来のハニカム構造体の組織を示す模式的な図。 ハニカム構造体に担持させた貴金属触媒の熱凝集の様子を示す模式的な図。
(実施形態1)
次に、ハニカム構造体及び自動車用触媒コンバータの好ましい実施形態について、図面に基づいて説明する。図1(a)において、ハニカム構造体1は、円筒状の外皮内にセル壁11で区画された多数のセル12を有する。多数のセル12は、ハニカム構造体1の軸方向に平行な方向を、図中にXで示すセル伸長方向として、互いに平行に形成される。多数のセル12の両端部は、ハニカム構造体1の両端面に開口する。ハニカム構造体1は、セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子と、該原料粒子同士を接合する無機バインダを含む材料で構成され、セル壁11は多孔質である。
ハニカム構造体1は、セル伸長方向Xにおいて、少なくとも2つの領域からなり、ここでは、一端面側(すなわち、図の左端側)に第1領域13を備え、他端面側(すなわち、図の右端側)に第2領域14を備える。第1領域13は、相対的にマクロ気孔率が大きい高気孔の領域A(以下、高気孔領域Aという)にて構成され、第2領域14は、相対的にマクロ気孔率が小さい高強度の領域B(以下、高強度領域Bという)にて構成される。多数のセル12を構成するセル壁11は、それぞれハニカム構造体1の両端面に至る連続壁である。このとき、一方の端部側(すなわち、図の左端部側)の高気孔領域Aと、他方の端部側(すなわち、図の右端部側)の高強度領域Bとは、同一の原料粒子を含む材料を用いて一体的に形成され、マクロ気孔率が異なる。マクロ気孔率は、粒界欠損により形成されるマクロサイズの気孔の割合であり、詳細は後述する。高気孔領域Aのマクロ気孔率は、高強度領域Bのマクロ気孔率より大きい。
図1(b)において、触媒コンバータ10は、円筒管状の排ガス管路に接続されてその一部となる筒状ケース51を有し、その内部にハニカム構造体1を収容している。筒状ケース51とハニカム構造体1の間には、保持マット52が介設されている。自動車の排ガス管路は、ここでは、図の左端側を排ガス流れの上流側、右端側を下流側としており、ハニカム構造体1は、筒状ケース51内の上流側に第1領域13が位置し、下流側に第2領域14が位置するように配置される。このとき、2つの領域のセル伸長方向Xの長さは、高気孔領域Aである第1領域13が、高強度領域Bである第2領域14よりも短くなるように形成される。
ハニカム構造体1は、高強度領域Bである第2領域14の外周面に、保持マット52を巻き付けて、筒状ケース51内に圧入固定される。高気孔領域Aである第1領域13の外周には、保持マット52を配置せず、キャニングの際の面圧がかからないようにしている。保持マット52は、例えばアルミナ繊維などの無機繊維からなるシート状のマットであり、ハニカム構造体1と筒状ケース51との間隔に対して、保持マット52の厚みを調整することで、第2領域14にかかる面圧の大きさを調整することができる。
ハニカム構造体1を構成する原料粒子は、セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする。セリア−ジルコニア複合酸化物は、酸素吸蔵能を有する助触媒として、触媒性能を高める機能を有する。原料粒子は、セリア−ジルコニア固溶体粒子、または、La、Y等の希土類元素がさらに固溶した固溶体粒子を含み、ハニカム構造体1の固溶体粒子間の結合を補強するための粒子、例えば、アルミナ粒子を添加することができる。無機バインダは、原料粒子を固定してセル壁11の三次元構造を保持する。無機バインダとしては、焼結時に金属酸化物を形成する無機バインダ粒子を含むゾル、例えば、アルミナゾルが用いられる。
ハニカム構造体1には、例えばPt、Rh、Pdから選ばれる少なくとも1種の貴金属触媒が担持される。ハニカム構造体1は、セル壁11を構成する材料自体が、助触媒機能を有するため、貴金属の触媒性能を効果的に発揮させることができる。このとき、第1領域13と第2領域14に担持する貴金属の種類を変えたり、あるいは、貴金属の量を変更したりすることができる。例えば、排ガスが流入する入口側と、より高温となる出口側に、それぞれ適した触媒を担持することで、触媒性能を向上させ、または触媒の劣化を抑制して、触媒使用量を低減することができる。
具体的には、上流端部の第1領域13にPdを担持し、その下流側の第2領域14にRhを担持することが好ましい。Pdは、比較的低温で活性化しHCの浄化性能が高いので、暖機運転時に先に昇温する第1領域13に担持されることで、触媒コンバータ10を早期活性化することができる。また、Rhは、高温での浄化性能が高く、通常運転時に高温となりやすい出口側に担持されることで、排ガス浄化を効率よく行うことができる。ここで、Rhは、酸化雰囲気で劣化しやすい特性を有するが、前段に担持されるPdにより酸化雰囲気が緩和される効果がある。また、PdとRhが同じ領域に担持されないことで、熱凝集による劣化を抑制できる。なお、第1領域13において、Pdに代えてPtを担持してもよい。
第1領域13と第2領域14の比率は、所望の浄化性能と機械的強度が両立するように、適宜設定することができる。通常は、各領域を構成するセル壁11の面積比率が、高気孔領域A:高強度領域B=5〜30%:95〜70%とするとよい。高気孔領域Aを5%以上とすることで、ガス拡散による受熱の促進や触媒との接触確率の上昇によって、浄化性能が向上する効果が得られる。ただし、高気孔領域Aが30%より大きくなると、機械的強度が低下しやすくなるので、高強度領域Bが70%以上となるようにすることが望ましい。
第1領域13と第2領域14は、同一の原料粒子と無機バインダを含む材料を用いて、一体的に形成される。このとき、材料中の原料粒子に対する無機バインダの配合量に応じて、マクロ気孔率が変化する。すなわち、無機バインダの配合割合が小さいほど、マクロ気孔率が大きくなる一方、無機バインダの配合割合が大きいほど、マクロ気孔率が小さくなり、ハニカム構造体1が緻密化する。したがって、ハニカム構造体1の各領域が所望の気孔率となるように、無機バインダの添加量を調整して、マクロ気孔率の異なる2つの領域13、14とする。
高気孔領域Aである第1領域13と、高強度領域Bである第2領域14との境界部は、図1に点線の仮想線で示すように、必ずしも明確な境界線で区画されていなくてもよい。第1領域13と第2領域14とは、成形性を高めるため、同一の材料を用いて一体成形することが望ましい。その場合は、まず、全体(すなわち、第1領域13と第2領域14)が、マクロ気孔率が大きい高気孔領域Aとなるよう、無機バインダの配合割合を小さく設定した坏土を成形し、その後に、マクロ気孔率が小さい高強度領域B(すなわち、第2領域14)に、無機バインダを含浸させる等の手法により、無機バインダの配合割合を変化させることができる。このとき、境界部は、高気孔領域Aから高強度領域Bに移行する方向に、連続的に無機バインダ比率が徐々に増大するように、すなわちマクロ気孔率が連続的に小さくなるように、形成される。
図2に示すように、高気孔領域Aである第1領域13と、高強度領域Bである第2領域14の間に、第3領域15を設けることもできる。第3領域15は、高気孔領域Aと高強度領域Bの中間のマクロ気孔率を有する中間領域Cにて構成される。中間領域Cのマクロ気孔率は、特に制限されず、高気孔領域Aに近くても高強度領域Bに近くてもよい。マクロ気孔率は、材料に対する無機バインダの配合割合によって調整することができ、例えば、第3領域15の全体を、マクロ気孔率を一定とした中間領域Cとしても、マクロ気孔率を段階的に変化させた中間領域Cを複数組み合わせてもよい。好適には、第3領域15を、第1領域13、第2領域14と同一の材料を用いて一体成形した後に、無機バインダを段階的に含浸させて、それぞれの領域のマクロ気孔率を調整することができる。
ここで、図3に示すように、ハニカム構造体1の組織は、セリア−ジルコニア固溶体粒子からなる原料粒子2と、アルミナ粒子4を含み、それら粒子間の空隙をナノサイズの無機バインダ3が埋めている。無機バインダ3は、多数の粒子が構成する三次元構造を固定化する役割を有する。原料粒子2やアルミナ粒子4は、焼成前原料の粒子形状をほぼ保持した状態となっており、これら粒子と無機バインダ3の間に、粒界欠損によるマクロ気孔P1が形成される。また、原料粒子2、アルミナ粒子4は、ナノサイズの一次粒子が凝集した二次粒子であり、一次粒子間に、粒内欠損によりミクロ気孔P2が形成される。これらマクロ気孔P1とミクロ気孔P2は、互いに連通して、排ガスの拡散に寄与する。
これら気孔のうち、気孔径の大きいマクロ気孔P1は、無機バインダ3の含有比率を変化させたときの、気孔率の変化がより大きい。このため、セル表面積すなわち触媒担持面積への影響も大きい。また、セル壁11の内部に排ガスを取り込む際に、ガス流速等の影響を受けやすく、気孔率が排ガス浄化性能に大きく影響する。一方、気孔径の小さいミクロ気孔P2は、ハニカム構造体1の比表面積を向上させ、担持された貴金属触媒の劣化抑制に寄与するが、高気孔領域Aと高強度領域Bとで気孔率に大きな差はなく、排ガス浄化性能への影響は小さい。
そこで、ハニカム構造体1を、セル壁11のセル伸長方向Xについて、2つ以上の領域に分けるための指標として、マクロ気孔率を用いる。つまり、高気孔領域Aは、相対的にマクロ気孔P1が多い領域であり、高強度領域Bは、相対的にマクロ気孔P1が少ない領域である。具体的には、高気孔領域Aである第1領域13のマクロ気孔率に対して、高強度領域Bである第2領域14のマクロ気孔率が、通常、90%以下になるようにし、例えば、80%程度の値とすることが望ましい。なお、マクロ気孔P1は、通常、気孔径が0.5μm以上の気孔であり、ミクロ気孔P2は、これより小さい0.5μm未満の気孔径を有する気孔とする。0.5μm以上のマクロ気孔P1は、排ガスがセル壁11内に流入する際に、拡散形態が分子拡散となり、良好なガス拡散性が得られる。これについては、詳細を後述する。
ハニカム構造体1の焼結は、無機バインダ3を用いた粒子接合反応として説明される。焼成前の坏土は、原料粒子2とアルミナ粒子4が、無機バインダ3中に分散した状態となっている。無機バインダ3は、例えばアルミナゾルであり、焼成過程で、アルミナゾルに含まれる水酸化アルミニウムが脱水縮合によりアルミナ化する。隣接する原料粒子2の粒界に存在する無機バインダ3は収縮過程において、粒界の空間を埋めるために不足する体積分が空間欠損として残存し、粒界にマクロ気孔P1が形成される。そのために、無機バインダ3の含有比率によって、マクロ気孔P1の割合を調整可能となる。一方で、原料粒子2はナノサイズの一次粒子が凝集した二次粒子であり、焼結組織への移行過程において、液相を形成しないので、粒子形状が保持され、二次粒子である原料粒子2とアルミナ粒子4内に、ミクロ気孔P2が残ったままとなり、全体の気孔率を比較的高くすることができる。
ハニカム構造体1の組織において、セリア−ジルコニアを含む原料粒子2と、アルミナを含む無機バインダ3の界面に、セリアとアルミナとの反応生成物が形成されていてもよい。低酸素雰囲気での焼成により形成される反応生成物は、原料粒子2と無機バインダ3の結合を強化するため、無機バインダ3の配合割合が比較的少なくても、機械的強度を高く維持することが可能になる。
上記構成のハニカム構造体1は、助触媒作用を有するセリア−ジルコニア複合酸化物を含む材料からなるので、従来のようなコート層を形成することなく、貴金属触媒を担持させることができる。しかも、排ガス流れの上流端部に、マクロ気孔率の大きい高気孔領域Aを配置し、その下流に、マクロ気孔率の小さい高強度領域Bを配置したから、2つの領域の気孔率や面積比率を適切に設定し、担持させる貴金属触媒を選択することで、触媒性能を最大限に発揮できる。また、キャニング面圧がかかる高強度領域Bと、キャニング面圧がかからない高気孔領域Aとに分けて、高気孔領域Aの軸方向長をより短くし、機械的強度を高めた高強度領域Bを保持マット52に当接させることで、耐久性を確保できる。このとき、保持マット52に当接しない高気孔領域Aでは、熱衝撃を緩和する効果が得られ、耐熱衝撃性が向上する。
このようなマクロ気孔率の異なる領域は、材料中の無機バインダの含有比率を調整することで、所望の気孔率となるように形成することができる。また、ハニカム構造体1を構成する原料粒子2、アルミナ粒子4は、一次粒子の凝集した二次粒子で、多数のミクロ気孔P2を有するので、触媒の劣化を抑制する効果が高い。さらに、高気孔領域Aと高強度領域Bの間に、両領域の中間のマクロ気孔率を有する中間領域Cを配置することで、強度の異なる二領域間の境界に生じる応力集中を緩和する効果が得られる。中間領域Cは、高強度領域Bよりも高気孔であり高気孔領域Aよりも高強度であるので、例えば、高気孔領域Aまたは高強度領域Bと同じ貴金属触媒を担持することで、耐久性の低下を抑制しながら、それぞれの触媒性能を高めることができる。あるいは、要求性能に応じて、それぞれの領域に異なる貴金属触媒を担持することもでき、各領域を有効に利用して排ガス浄化性能を向上させることができる。このように、ハニカム構造体1がマクロ気孔率の異なる複数の領域を備えることにより、浄化性能及び耐久性が向上した自動車用触媒コンバータが得られる。
(実施例1)
次に、上記構成のハニカム構造体1の製造方法を、図4(a)、図4(b)により説明する。ここで、ハニカム構造体1は、図1に示す円柱体形状で、大きさはφ103mm×L105mmであり、内部に断面四角形状のセル12が多数形成されている。
図4(a)において、ハニカム構造体1は、母材原料に他の成分を加えて、混練・坏土形成し、押出成形、切断、乾燥、無機バインダ含浸、焼成の一連の工程を経て作製される。まず、原料粒子である平均粒子径12μmのセリア−ジルコニア固溶体粒子(以下、CZ粒子という)と、平均粒子径20μmのアルミナ粒子を母材原料とし、無機バインダとして、一次粒子の平均粒子径が20nmのアルミナゾルを添加した材料を準備した。次いで、この材料に、溶媒となる水と、有機バインダと、滑剤とを混合し、混練機(例えば、(株)モリヤマ製の「MS加圧ニーダ DS3−10」)により、混合物を90分間混練することにより坏土を作製した。
母材原料100体積部に対して、無機バインダであるアルミナゾル(例えば、日産化学工業(株)製の「AS−520」)の配合割合は、固形分量で5体積部とした。また、母材原料100質量部に対して、水の配合割合は33質量部であり、有機バインダの配合割合は15質量部であり、滑剤の配合割合は1質量部とした。有機バインダとしては、メチルセルロース(例えば、松本油脂製薬(株)製の「65MP4000」)を用い、滑剤としては、日油(株)製の「ユニルーブ 50MB26」を用いた。なお、本例における原料粒子は、セリアにジルコニウムが固溶されたCZ粒子であるが、ジルコニウムの他にさらに希土類元素であるLaやYが固溶している。
次に、公知の押出成形機により、坏土をハニカム形状に成形した。成形圧力は10MPaとした。その後、所定長に切断して、ハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を、マイクロ波乾燥機及び熱風乾燥機により、十分に乾燥させた。さらに、得られたハニカム乾燥成形体の所定領域に対し、図4(b)に示す溶液漕6を用いて、無機バインダであるアルミナゾルを含浸させた。
図4(b)の溶液漕6は、次のようにして用意した。まず、アルミナゾル(例えば、日産化学工業(株)製の「AS−520」)と水を混合し、所望の濃度としたアルミナゾル水溶液61を、所定深さまで満たした。上述した工程で得られたハニカム乾燥成形体62を、高強度領域Bを形成すべき領域(例えば、ハニカム乾燥成形体62の下面側より全体の90%)が浸漬するように、溶液漕6に投入した。図示するように、ハニカム乾燥成形体62を、高気孔領域Aを形成すべき領域(例えば、ハニカム乾燥成形体62の上面側より全体の10%)が露出する状態で、所定時間静置し、浸漬処理を行った。アルミナゾル水溶液の濃度や浸漬処理時間は、高強度領域Bにおいて、母材原料に対するアルミナゾルの固形分量での配合割合が、含浸後に所望の割合(例えば、15体積%)となるように、適宜調整することができる。
得られたハニカム浸漬体を、マイクロ波乾燥機及び熱風乾燥機により、再度十分に乾燥させた。次に、酸素濃度0.1体積%未満(すなわち、検出限界以下)の雰囲気中で、得られたハニカム乾燥成形体を、温度1000℃で30時間焼成した。これにより、アルミナゾル水溶液に浸漬させた領域を、高強度領域Bとし、未浸漬の領域を、高気孔領域Aとして、一体構造で二領域に分割されるハニカム構造体1を得た。
得られたハニカム構造体1の高気孔領域Aが浸漬するように、貴金属濃度を1質量%に調整した硝酸パラジウム水溶液に、所定時間静置し、浸漬処理を行った。同様に、高強度領域Bが浸漬するように、貴金属濃度を1質量%に調整した硝酸ロジウム水溶液に、所定時間静置して、浸漬処理を行った。貴金属水溶液の濃度や浸漬処理時間、繰り返し回数は、各領域において所望の担持量となるように、適宜調整することができる。得られた貴金属浸漬ハニカム構造体を、大気中500℃で熱処理することで、貴金属触媒を担持させたハニカム構造体1を得た。
図5(a)、5(b)に、得られたハニカム構造体1の高気孔領域A(アルミナゾル5vol%)と、高強度領域B(アルミナゾル15vol%)の気孔率分布を、それぞれ示す。気孔率分布は、上記のようにして作製したハニカム構造体1について、各領域の気孔分布を、水銀圧入法による水銀ポロシメータ(例えば、島津製作所製のオートポアIV9500)を用いて測定した。図示されるように、気孔径1μm前後にピークを有する気孔群と、0.05μm前後にピークを有する気孔群に分かれることが確認された。2つの気孔群のうち、前者が、マクロ気孔P1(すなわち、気孔径0.5μm以上)、後者が、ミクロ気孔P2(すなわち、気孔径0.5μm未満)に相当する。
この結果を用いて、高気孔領域Aと高強度領域Bのマクロ気孔率を算出したところ、以下の通りであった。
高気孔領域A;マクロ気孔率=37.22%
高強度領域B;マクロ気孔率=30.06%
ただし、マクロ気孔率は、マクロ気孔P1のみに基づいて算出した気孔率であり、ミクロ気孔率は考慮されていない。これは、高気孔領域Aと高強度領域Bとが、同一の材料で構成され、ミクロ気孔率が同等となるためである。このとき、ミクロ気孔P2を含む全体の気孔率が大きくなると、無機バインダ3の含有比率によるマクロ気孔率の差が、十分大きくならないため、ミクロ気孔率を考慮しない、マクロ気孔率を算出する。
また、ミクロ気孔率、全体の気孔率は、以下の通りであった。ただし、ミクロ気孔率は、ミクロ気孔P2のみに基づいて算出した気孔率であり、全体の気孔率は、マクロ気孔P1とミクロ気孔P2に基づいて算出した気孔率である。
高気孔領域A;ミクロ気孔率=56.97%、全体の気孔率=65.72%
高強度領域B;ミクロ気孔率=58.63%、全体の気孔率=64.87%
ここで、高気孔領域Aと高強度領域Bのマクロ気孔率は、次のように算出した。まず、0.5μm以上のマクロ気孔径のもつ気孔体積を、全気孔体積に占める割合より算出する。使用したハニカム構造体1の真密度から、ハニカム構造体1の占める体積を算出し、その値に前記のマクロ細孔体積を加算して、その見かけ体積を算出する。そして、見かけ体積の中でマクロ気孔体積の占める割合をマクロ気孔率として用いる。すなわち、マクロ気孔率と、マクロ気孔P1の単位質量当たりの体積と、マクロ気孔体積:V1[mL/g]、ハニカム構造体1の真密度と、ハニカム構造体真密度:D[g/cm]とは、下記の式(I)を満足する。
マクロ気孔率=V1/(V1+1/D)・・・(I)
ミクロ気孔率、全体の気孔率も同様とし、ミクロ気孔体積:V2[mL/g]、気孔全体の体積:V3=(V1+V2)[mL/g]とすると、それぞれ以下の式(II)、(III)で表される。
ミクロ気孔率=V2/(V2+1/D)・・・(II)
全体の気孔率=V3/(V3+1/D)・・・(III)
上記算出結果より、高気孔領域Aに対して、高強度領域Bでは、マクロ気孔率の明らかな低下が見られた。一方、ミクロ気孔率、全体の気孔率は、高気孔領域Aと高強度領域Bとで大きな差は見られない。これは、図4の無機バインダ含浸工程で、ミクロ気孔P2が減少していないことを示し、全体に占めるミクロ気孔P2の絶対量が大きいために、全体の気孔率としては僅差となる。この結果は、図5(a)、5(b)の気孔率分布において、マクロ気孔P1の気孔群が大きく変化している結果と一致し、高気孔領域Aに対し、高強度領域Bのピーク高さとピーク気孔径が大きく低下している。
図6は、ハニカム構造体1の強度(例えば、抗折強度)と、母材原料に対するアルミナゾルの添加量(単位:体積%)との関係を示している。強度は、ハニカム構造体1の高気孔領域Aと高強度領域Bから、それぞれ所定形状の試験片を切り出し、JIS−R1601に準拠する試験を行って、室温の抗折強度を測定した。また、アルミナゾルの添加量が、高気孔領域A(例えば、5体積%)と高強度領域B(例えば、15体積%)の間となるようにした材料(例えば、10体積%)を準備し、同様にして、ハニカム構造体1を作製した。得られたハニカム構造体1の強度を、同様にして測定し、図6に測定結果を併せて示した。
図6に明らかなように、アルミナゾルの添加量(単位:体積%)が大きいほど、機械的強度(例えば、抗折強度)が大きくなる。高気孔領域A(例えば、5体積%)に対して、添加量が2倍(例えば、10体積%)以上のハニカム構造体1で、機械的強度が増大しており、マクロ気孔P1にアルミナゾルが充填されて、気孔率が低下するとともにハニカム構造体1の密度が上昇し、緻密化されていることがわかる。したがって、より機械的強度の高い高強度領域B(例えば、15体積%)と、ガス拡散性の高い高気孔領域A(例えば、5体積%)とを組み合わせて、ハニカム構造体1の2つの領域とすることで.浄化性能と耐久性とを両立させることができる。
図7は、無機バインダとなるアルミナゾルの添加量が10体積%であるハニカム構造体1の気孔率分布であり、図5の高気孔領域A、高強度領域Bの気孔率分布と比較して示している。このハニカム構造体1も、マクロ気孔P1とミクロ気孔P2の、2つの気孔群を有しており、気孔率分布は、高気孔領域Aと高強度領域Bの中間的な分布となっている。このような気孔率分布を有する領域を、高気孔領域A、高強度領域Bと組み合わせて、図2に示したハニカム構造体1とすることもできる。
図8は、得られたハニカム構造体1の断面の走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)写真であり、原料粒子2であるセリア−ジルコニア固溶体粒子と、アルミナ粒子4が、無機バインダ3中に分散している。原料粒子2とアルミナ粒子4は、粒子形状を保持しており、これら粒子の粒界に、粒界欠損によるマクロ気孔P1が確認された。
図9(a)〜図11(a)は、無機バインダとなるアルミナゾルの添加量が異なるハニカム構造体1のSEM写真であり、それぞれ母材原料に対するアルミナゾルの添加量は、5体積%、10体積%、15体積%である。無機バインダの配合割合の少ない図9(a)のハニカム構造体1に対して、図10(a)、図11(a)のハニカム構造体1は、無機バインダの占める領域がやや広くなっている。また、これらSEM写真の一部を拡大した、図9(b)〜図11(b)において、粒界に形成されるマクロ気孔P1が確認される。マクロ気孔P1は、図9(b)のハニカム構造体1に対して、無機バインダの配合割合の多い図10(b)、図11(b)において減少している。
ここで、ハニカム構造体1の排ガス浄化特性と、マクロ気孔P1及びミクロ気孔P2との関係について検討する。一般に、排ガス成分の多孔質層内の拡散係数は、多孔質層の気孔径と気孔率によって変化する。排ガスの拡散形態は、気孔径が小さいときはクヌーセン拡散、気孔径が大きいときは分子拡散となり、クヌーセン拡散速度<分子拡散速度である。このことから、排ガスと、貴金属触媒との接触を促進するためには、分子拡散の形態が望ましい。また、気孔径が、排ガス成分の平均自由行程と比べて大きいと、分子拡散が支配的となる。排ガスの成分の代表として一酸化炭素を想定すると、500℃における平均自由行程は、およそ0.16μmとなる。分子拡散が支配的になるには、平均自由行程より大きく、望ましくは、複数倍以上の気孔径が必要であるから、0.5μmを閾値として、マクロ気孔P1とミクロ気孔P2を規定することで、前者は分子拡散を、後者がクヌーセン拡散を中心とする拡散形態となる。
一方、ハニカム構造体1に触媒を担持した触媒体の排ガス浄化特性は、排ガスの流速に依存する。図12(b)は、従来の触媒体の構成例であり、コージェライト基材101上に、Pdを含む内コート層102、Rhを含む外コート層103が形成される。このとき、ガス流は、外コート層103の表面に沿って流れ、コート層102、103内へのガス拡散の進行は、気孔径と気孔率が大きいほど有利となる。ただし、従来のコート層材料を用いてハニカム構造体1を構成する場合には、強度を保持しようとすると、従来のコート層102、103のように気孔率を十分大きくすることができない。このような構成としたハニカム構造体1は、図12(a)に示すように、流速の大きい条件で、ハニカム構造体1の触媒性能(以下、T50−NOxという)が、従来の触媒体より低くなる。なお、T50−NOxは、ストイキ条件における低温活性を調べたもので、980℃×20時間の耐久運転後、貴金属触媒によるNOx浄化率が50%となる温度である。
そこで、本発明では、拡散速度の大きい分子拡散を支配するマクロ気孔P1に着目して、ハニカム構造体1のセル壁11をセル伸長方向Xについて、少なくとも2つの領域に分け、一方を高気孔領域Aとして、マクロ気孔率をより大きくする。これにより、上流側の高気孔領域Aにおける流速の影響を小さくして、排ガス浄化特性を従来の触媒体に近づけることができ、流速が大きい条件においても、効果的に触媒性能を発揮できる。また、他方をマクロ気孔率がより小さい高強度領域Bとして、ハニカム構造体1の強度を確保することができる。
さらに、2つの領域A、Bは、クヌーセン拡散が支配的なミクロ気孔P2については、気孔率が同等である。つまり、微粒子の凝集体である原料粒子の比表面積が十分大きく、貴金属触媒を担持するために有利である。これは、上述したように、ハニカム構造体1の焼結過程で、ミクロ気孔P2が閉塞されないからである。これに対し、図12(c)に示すように、従来のコージェライト基材101の焼成は、通常、液相焼結となる。このとき、焼成前の坏土は、原料粒子104、105と液相形成成分106を含む。高温状態で液相が発生すると、原料粒子104、105の表面に液相形成成分106が広がり、粒子の流動と再配列を伴いながら焼結が進行する。このため、原料粒子104、105間に形成されるマクロ気孔が小さくなり、また、液相形成成分106の濡れにより、原料粒子104、105内のミクロ気孔も減少する。
その結果、ハニカム構造体1は、高気孔領域Aのみならず、高強度領域Bにおいても、マクロ気孔P1とミクロ気孔P2を含む全体の気孔率が、比較的高く保たれる。図13に示すように、貴金属触媒の劣化は、原料粒子2の表面に担持された貴金属(例えば、Rh)が、高温により互いに近づくように移動して凝集することで起こる。この熱凝集を抑制するには、貴金属間の距離が大きいことが有利であり、高温になりやすい下流側の高強度領域Bにおいて、ミクロ気孔率が低下しないことで、安定した触媒性能を維持できる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を超えない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態1、実施例1においては、ハニカム構造体1の外皮形状を、円筒体状としたが、例えば四角筒等の多角筒状にすることができる。また、ハニカム構造体1のセル形状は、四角形以外に、三角形、六角形、八角形等の多角形とし、または円形にすることもできる。
また、ハニカム構造体1の製造方法は、図4に示す一連の工程に限らず、その一部を変更することもできる。ハニカム構造体1の材料は、少なくともセリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子2と無機バインダ3を含んでいればよく、必ずしもアルミナ粒子等の他のセラミック粒子を添加しなくてもよい。ハニカム成形体の焼成工程は、酸素濃度が0.1体積%を超えてもよく、例えば、0.5体積%の低酸素濃度であればよい。また、成形体の焼成温度、焼成時間は、例えば、温度700〜1200℃、2〜50時間という条件で、適宜設定できる。
1 ハニカム構造体
P1 マクロ気孔
P2 ミクロ気孔
2 セリア−ジルコニア固溶体粒子(すなわち、原料粒子)
3 無機バインダ
4 アルミナ粒子
51 筒状ケース
52 保持マット
10 自動車用触媒コンバータ
11 セル壁
12 セル
13 第1領域(すなわち、領域A)
14 第2領域(すなわち、領域B)
15 第3領域(すなわち、領域C)

Claims (6)

  1. セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子(2)と、該原料粒子(2)同士を接合する無機バインダ(3)を含む材料で構成され、セル壁(11)で区画された多数のセル(12)を有するハニカム構造体(1)であって、
    上記セル壁(11)のセル伸長方向(X)において、粒界欠損により形成されるマクロ気孔(P1)に基づくマクロ気孔率が異なる少なくとも2つの領域(13、14)からなり、
    上記セル壁(11)の一方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が大きい領域A(13)を備え、上記セル壁(11)の他方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が小さい領域B(14)を備えると共に、上記領域A(13)のセル伸長方向(X)の長さは、上記領域B(14)のセル伸長方向(X)の長さよりも短く、かつ、上記領域A(13)と上記領域B(14)の間に、両領域の中間のマクロ気孔率を有する領域C(15)を備える、ハニカム構造体(1)。
  2. 上記セル壁(11)は、上記ハニカム構造体(1)の両端面に至る連続壁が、同一の上記原料粒子(2)を含んで一体的に形成されており、上記領域A(13)と上記領域B(14)は、各領域を構成する上記材料中の上記無機バインダ(3)の含有比率が異なる、請求項1に記載のハニカム構造体(1)。
  3. 上記原料粒子(2)は、ナノサイズの一次粒子が凝集した二次粒子であって、一次粒子間に、粒内欠損により形成されるミクロ気孔(P2)を有しており、上記マクロ気孔(P1)は、気孔径が0.5μm以上の気孔である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体(1)。
  4. 上記マクロ気孔率と、上記マクロ気孔(P1)の単位質量当たりの体積V1と、上記ハニカム構造体(1)の真密度Dとは、下記の式(I)の関係を満足する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム構造体(1)。
    マクロ気孔率=V1/(V1+1/D)・・・(I)
  5. 自動車の排ガス管路に設けられる自動車用触媒コンバータ(10)であって、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカム構造体(1)を、上記排ガス管路に接続される筒状ケース(51)内に収容してなり、
    上記筒状ケース(51)内の排ガス流れに対して、上流側に上記領域A(13)が位置し、下流側に上記領域B(14)が位置するとともに、上記領域B(14)の外周面を覆って上記筒状ケース(51)との間に保持マット(52)が介設されている、自動車用触媒コンバータ(10)。
  6. 自動車の排ガス管路に設けられる自動車用触媒コンバータ(10)であって、
    セリア−ジルコニア複合酸化物を主成分とする原料粒子(2)と、該原料粒子(2)同士を接合する無機バインダ(3)を含む材料で構成され、セル壁(11)で区画された多数のセル(12)を有するハニカム構造体(1)を、上記排ガス管路に接続される筒状ケース(51)内に収容してなり、
    上記ハニカム構造体(1)は、
    上記セル壁(11)のセル伸長方向(X)において、粒界欠損により形成されるマクロ気孔(P1)に基づくマクロ気孔率が異なる少なくとも2つの領域(13、14)からなり、
    上記セル壁(11)の一方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が大きい領域A(13)を備え、上記セル壁(11)の他方の端部側に、相対的にマクロ気孔率が小さい領域B(14)を備えると共に、上記領域A(13)のセル伸長方向(X)の長さは、上記領域B(14)のセル伸長方向(X)の長さよりも短く、
    上記筒状ケース(51)内の排ガス流れに対して、上流側に上記領域A(13)が位置し、下流側に上記領域B(14)が位置するとともに、上記領域B(14)の外周面を覆って上記筒状ケース(51)との間に保持マット(52)が介設されている、自動車用触媒コンバータ(10)。
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