以下、本発明の実施の形態における用紙後処理装置について説明する。
[概要]
用紙後処理装置は、画像形成装置本体とともに用いられる。画像形成装置本体は、例えば、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能は、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)などに蓄積する機能である。複写機能は、さらにそれを用紙(シート)などに印刷(プリント)する機能である。プリンタとしての機能は、PCなどの外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置などからファクシミリデータを受信してそれをHDDなどに蓄積する機能である。データ通信機能は、接続された外部機器との間でデータを送受信する機能である。サーバ機能は、複数のユーザでHDDなどに記憶したデータなどを共有可能にする機能である。ユーザは、画像形成装置本体と用紙後処理装置とを合わせて1つの画像形成装置として用いることができる。
用紙後処理装置は、画像形成装置本体より1枚ずつ送出される用紙を搬送し、搬送された用紙に対して後処理(用紙処理)を行う。本実施の形態においては、後処理としては、例えば、ステープル処理や、用紙に穿孔する穿孔処理(パンチ処理)などが行われる。ステープル処理は、順次処理トレイに傾斜して集積されている、複数枚の用紙に対して行われる。穿孔処理は、搬送される1枚ずつの用紙に対して行われる。これらの後処理は、後処理ユニットにより行われる。後処理ユニットは、パルスモータにより後処理を行うための後処理位置まで変位される。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態における用紙後処理装置を用いた画像形成装置を示す側面図である。
用紙後処理装置1は、画像形成装置本体110とともに用いられている。ユーザは、用紙後処理装置1を、画像形成装置本体110を含む画像形成装置100として使用することができる。換言すると、画像形成装置100は、用紙後処理装置1であって、画像形成装置本体110による画像形成機能を有するものであるといえる。
[画像形成装置本体110の構成]
画像形成装置本体110は、制御部120と、画像形成部130と、画像読取部140などとを備えている。
制御部120は、画像形成装置本体110の各部の動作を制御する。制御部120のより具体的な構成については後述する。
画像形成部130は、例えば用紙カセット131に装てんされている用紙を画像形成装置本体110の内部で搬送しながら、その用紙上に画像を形成する。画像形成部130は、例えば、電子写真方式又はインクジェット方式などにより画像の形成を行う。画像形成部130により画像が形成された用紙は、本体排出ローラ133により、画像形成装置本体110から画像形成装置本体110の上部に設けられた排紙トレイ135に向けて送出される。
画像読取部140は、画像読取部140の所定の位置に配置された原稿を撮像装置などにより読み取り、画像データとして出力する。画像読取部140は、例えば、ADF(Auto Document Feeder)などで原稿を搬送しながらその原稿を読み取り可能である。また、画像読取部140は、画像形成装置本体110の上面に設けられた原稿台上に載置された原稿を撮像装置で走査し、その原稿を読み取り可能である。
図2は、画像形成装置100を示すブロック図である。
図を参照して、画像形成装置本体110は、さらに、操作部111と、用紙後処理装置接続部117とを有している。
制御部120は、CPU121と、ROM123と、RAM125と、HDD127と、ネットワーク制御部129とを有している。制御部120は、操作部111、用紙後処理装置接続部117、画像形成部130、及び画像読取部140などとともにシステムバスに接続されている。これにより、制御部120と画像形成装置本体110の各部とが、信号を送受可能に接続されている。
HDD127は、ネットワーク制御部129を介して外部から送られたジョブのデータや、画像読取部140で読み取った画像データなどを記憶する。また、HDD127は、画像形成装置本体110の設定情報や、画像形成装置本体110の種々の動作を行うための制御プログラム(プログラム)127aなどを記憶する。HDD127は、1つのクライアントPC又は複数のクライアントPCなどから送信された複数のジョブを記憶可能である。
ネットワーク制御部129は、例えば、NIC(Network Interface Card)などのハードウェア部と、所定の通信プロトコルで通信を行うソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。ネットワーク制御部129は、画像形成装置本体110をLANなどの外部ネットワークに接続する。これにより、画像形成装置本体110は、外部ネットワークに接続されているクライアントPCなどの外部装置と通信可能になる。画像形成装置本体110は、外部ネットワークを介して、印刷ジョブを受信したり、画像読取部140で読み取った画像データを送信したりできる。なお、ネットワーク制御部129は、無線通信により外部ネットワークに接続可能に構成されていてもよい。
CPU121は、ROM123、RAM125、又はHDD127などに記憶された制御プログラム127aなどを実行することにより、画像形成装置本体110の種々の動作を制御する。CPU121は、操作部111から操作信号が送られたり、外部のPCなどから操作コマンドが送信されたりすると、それらに応じて所定の制御プログラム127aを実行する。これにより、ユーザによる操作部111の操作などに応じて、画像形成装置本体110の所定の機能が実行される。
ROM123は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM123には、画像形成装置本体110の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。なお、ROM123は、書換え不可能なものであってもよい。
RAM125は、CPU121のメインメモリである。RAM125は、CPU121が制御プログラム127aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
操作部111は、画像形成装置本体110の筐体に、ユーザにより操作可能に配置されている。操作部111には、ユーザにより押下操作可能な複数の操作ボタンなどや表示パネル113が配置されている。表示パネル113は、例えば、タッチパネルを備えたLCD(Liquid Crystal Display)である。表示パネル113は、ユーザに案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作を受け付けたりする。表示パネル113は、CPU121により制御されて表示を行う。操作部111は、操作ボタンや表示パネル113がユーザにより操作されると、その操作に応じた操作信号又は所定のコマンドをCPU121に送信する。すなわち、ユーザは、操作部111に操作を行うことにより、画像形成装置100に種々の動作を実行させることができる。制御部120は、操作部111を介して、ユーザの操作入力を受け付け可能である。
用紙後処理装置接続部117は、例えば、ケーブルやコネクタなどを介して、用紙後処理装置1に設けられている接続部17に接続可能に設けられている。用紙後処理装置接続部117は、ハードウェア部と、用紙後処理装置1と所定の通信プロトコルで通信を行うためのソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。用紙後処理装置接続部117が接続部17に接続されることにより、画像形成装置本体110は、用紙後処理装置1と連動して、1つの画像形成装置100として動作可能になる。
[用紙後処理装置1の構成]
図1に戻って、用紙後処理装置1は、おおまかに、水平搬送部2と、処理部本体3と、用紙トレイ4と、冊子トレイ5と、制御部(駆動制御手段の一例、取得手段の一例、移動制御手段の一例、調整手段の一例、検出手段の一例、停止手段の一例)10とを有している。処理部本体3には、例えば、穿孔処理(後処理の一例)を行う穿孔処理部6と、平綴じのステープル処理(後処理の一例)を行うステープル処理部7と、中綴じ処理(後処理の一例)を行う中綴じ処理部8とが設けられている。用紙は、水平搬送部2及び処理部本体3により搬送され(搬送部の一例)、これらの処理部6,7,8に搬送される。
水平搬送部2は、画像形成装置本体110の本体排出ローラ133から送出される用紙を用紙後処理装置1内に導入し、後段の処理部本体3に搬送する。
処理部本体3は、水平搬送部2から送出される用紙に対して、穿孔処理、仕分け処理、ステープル処理、折り処理などの後処理を行い、用紙トレイ4又は冊子トレイ5に排出する。穿孔処理とは、例えば、各用紙の所定の箇所に穴をあける処理である。仕分け処理とは、例えば、複数枚の用紙を、部毎に異なる位置又は異なるトレイにまとめて、各部の区別が付きやすいようにして排出する処理である。ステープル処理とは、複数枚の用紙について、まとめてステープルで綴じる処理などである。折り処理とは、用紙を2つ折り又は3つ折りに折り曲げる処理などである。ステープル処理部7で後処理が行われた用紙は、用紙トレイ4上に排出される。中綴じ処理部8で後処理が行われた用紙は、冊子トレイ5上に排出される。
制御部10は、後述のように、用紙後処理装置1の各部の動作を制御する。
図2を参照して、用紙後処理装置1は、さらに、接続部17と、駆動部19とを有する。
制御部10は、CPU11と、ROM13と、RAM15とを有している。制御部10と、接続部17と、駆動部19とは、共にシステムバスに接続され、互いに通信可能である。なお、後述の各種センサなどもシステムバスに接続されており、制御部10などと通信可能である。
ROM13は、例えばフラッシュROM(Flash Memory)である。ROM13には、用紙後処理装置1の設定情報や用紙後処理装置1の動作を行うために用いられるデータが記憶されている。また、ROM13には、用紙後処理装置1の種々の動作を行うための制御プログラム(プログラム)13aが記憶されている。
RAM15は、CPU11のメインメモリである。RAM15は、CPU11が制御プログラム13aを実行するときに必要なデータを記憶するのに用いられる。
CPU11は、ROM13などに記憶された制御プログラム13aなどを実行することにより、用紙後処理装置1の種々の動作を制御する。CPU11は、所定の処理を行うことにより、ROM13からのデータの読み込みや、ROM13へのデータの書き込みを行う。なお、ROM13は、書換え不可能なものであってもよい。
駆動部19は、用紙後処理装置1の各部を動作させるモータや、その動作のための情報を取得するセンサなどを含む。具体的には、例えば、駆動部19は、穿孔ユニット(後処理ユニットの一例)37や、ステープルユニット(後処理ユニットの一例)72や、その他の駆動モータなどを含んでいる。駆動部19は、制御部10の制御に基づいて動作し、水平搬送部2や処理部本体3などを駆動させ、用紙の搬送や後処理を行う。
穿孔ユニット37は、パルスモータ39により駆動される。穿孔ユニット37は、穿孔処理部6の用紙の搬送方向に直交する方向に、変位可能である。穿孔ユニット37には、紙端検知センサ38が設けられている。紙端検知センサ38は、後述するように、穿孔処理部6に搬送された用紙の端部を検知する。すなわち、穿孔ユニット37が用紙の搬送方向に直交する方向に移動している場合において、紙端検知センサ38に用紙の端部が近接すると、紙端検知センサ38により用紙が検出される。そうすると、制御部10は、そのときの穿孔ユニット37の位置に基づいて、用紙の端部の位置に対応する端部情報を取得できる。
ステープルユニット72は、パルスモータ77により駆動される。ステープルユニット72は、後述のようにしてステープル処理部7に搬送された用紙の搬送方向に直交する方向に、変位可能である。ステープルユニット72には、紙端検知センサ73が設けられている。紙端検知センサ73は、処理トレイ70に位置する用紙の端部を検知する。すなわち、ステープルユニット72が用紙の搬送方向に直交する方向に移動している場合において、紙端検知センサ73に用紙の端部が近接すると、紙端検知センサ73により用紙が検出される。そうすると、制御部10は、そのときのステープルユニット72の位置に基づいて、用紙の端部の位置に対応する端部情報を取得できる。
本実施の形態において、パルスモータ39,77は、例えば、1−2相励磁方式により駆動可能なステッピングモータである。パルスモータ39,77は、1−2相励磁方式により駆動可能な他種のモータであってもよい。
接続部17は、画像形成装置本体110の用紙後処理装置接続部117に接続可能である。接続部17は、用紙後処理装置接続部117に接続するために用いられるケーブルやコネクタなどを接続可能なハードウェア部と、画像形成装置本体110と所定の通信プロトコルで通信を行うためのソフトウェア部とが組み合わされて構成されている。
接続部17が用紙後処理装置接続部117に接続された状態で、制御部10は、画像形成装置本体110の制御部120と通信可能である。制御部10には、制御部120から、画像形成装置本体110の動作状況などについての情報が送信される。送信される情報としては、例えば、後処理情報や用紙情報などがある。後処理情報は、実行される後処理についての情報である。用紙情報は、画像形成装置本体110から排出され用紙後処理装置1に搬入される用紙に関する情報である。用紙情報は、例えば、その用紙の厚さ、その用紙の種類、及び1回の後処理毎に処理対象となる用紙の枚数などの情報を含む。
制御部10は、制御部120から送信される情報を受信して、それに応じて駆動部19を駆動させ、用紙後処理装置1の各部の動作を制御する。また、制御部10は、用紙後処理装置1の動作状況などについての情報を制御部120に送信する。これにより、画像形成装置本体110本体と用紙後処理装置1とが連動する。例えば、制御部120は、用紙後処理装置1で適切に後処理が行われるように、複数枚の用紙の画像形成タイミングを変更するなどし、適切な間隔で用紙が用紙後処理装置1に搬送されるように制御できる。
なお、制御部10は、画像形成装置本体110の操作部111などで入力された指示や画像形成装置本体110に接続された外部機器から送られた指示などに基づいて動作可能である。また、用紙後処理装置1は、ユーザにより操作可能な操作パネルを有し、その操作パネルに入力された指示に基づいて動作可能であってもよい。
図3は、用紙後処理装置1を示す側面図である。
図を参照して、水平搬送部2は、用紙の搬送路である水平搬送路21と、3つの搬送ローラ22,23,24と、用紙を検出するセンサ25,26とを有している。
水平搬送路21は、用紙の搬入口2aから処理部本体3への用紙の排出口2bまでを略水平に結ぶように配置されている。3つの搬送ローラ22,23,24は、水平搬送路21の上流側(搬入口2a側)から順に水平搬送路21に沿って設けられている。画像形成装置本体110の本体排出ローラ133から排出された用紙は、搬入口2aから水平搬送部2の内部に導入される。導入された用紙は、搬送ローラ22〜24が駆動されることで処理部本体3へ送られる。
処理部本体3は、おおまかに、用紙の搬送路として、第1搬送路31と、第2搬送路32と、第3搬送路33とを有している。第1搬送路31は、処理部本体3の上部に設けられた用紙の搬入口3aから第2搬送路32の始点までを略水平に結ぶように配置されている。第2搬送路32は、第1搬送路31の終点から用紙トレイ4上の排出口までを略水平に結ぶように配置されている。第2搬送路32のうち第1搬送路31に接続されている部位(上流側)の近傍は、スイッチバックポイント34となる。第3搬送路33は、第1搬送路31の終点すなわち第2搬送路32の始点から、処理部本体3の下部に配置された中綴じ処理部8まで、用紙を搬送するように配置されている。すなわち、第3搬送路33は、スイッチバックポイント34から処理部本体3への下部までの用紙の搬送路となる。
第1搬送路31には、その上流側から、レジストセンサ35aと、レジストローラ35と、中間ローラ36と、穿孔ユニット37とが設けられている。レジストセンサ35aは、第1搬送路31に搬送された用紙を検知する。レジストローラ35は、搬送された用紙の搬送タイミングを整え、所定のタイミングで搬送を再度開始する。穿孔ユニット37は、搬送される用紙の所定の箇所に穴をあける(穿孔処理を行う)。中間ローラ36は、用紙を第2搬送路32に搬送する。
第2搬送路32の上流側のスイッチバックポイント34には、スイッチバックセンサ40が設けられている。第2搬送路32には、スイッチバックセンサ40のほか、その上流側から、収容センサ41と、収容ローラ42とが設けられている。第2搬送路32の下流端部すなわち用紙トレイ4側には、排出ローラ43が設けられている。スイッチバックセンサ40及び収容センサ41は、それぞれ、搬送される用紙の有無などを検知する。収容ローラ42は、正転及び逆転可能である。すなわち、収容ローラ42は、用紙を用紙トレイ4に搬送したり、逆方向に搬送したりできる。第2搬送路32の用紙は、収容ローラ42が逆転されると、第3搬送路33に搬送される。排出ローラ43は、その一対のローラを接触させたり離間させたりすることで、用紙の排出を行ったり行わなかったりできる。
ステープル処理部7は、第2搬送路32の近傍に配置されている。ステープル処理部7は、上端部が排出ローラ43に近接するように傾いた処理トレイ70と、処理トレイ70に沿うように配置された収容ベルト71と、処理トレイ70の下端部に位置するステープルユニット72とを有している。処理トレイ70の上端側近傍部の上方には、収容上パドル78が配置されている。処理トレイ70の下端部近傍部の上方には、収容下パドル79が設けられている。
第3搬送路33には、その上流側(スイッチバックポイント34側)から、スイッチバックローラ44と、サドル搬入ローラ45と、サドル搬入センサ46とが設けられている。第3搬送路33のうちサドル搬入センサ46よりも下流側の部位は、中綴じ処理部8の内部に位置している。スイッチバックローラ44は、第2搬送路32に位置する用紙が収容ローラ42が逆転されることで第3搬送路33に導入されると、その用紙を第3搬送路33に沿って搬送する。サドル搬入ローラ45は、用紙を中綴じ処理部8に搬送する。サドル搬入センサ46は、中綴じ処理部8に搬送される用紙を検知する。
中綴じ処理部8には、第3搬送路33に沿うように、中綴じトレイ80が配置されている。中綴じトレイ80付近には、中綴じステープラ83や折りナイフ86などが設けられている。中綴じ処理部8には、折りナイフ86に対向するように、一対の折りローラ90が配置されている。
[後処理の説明]
用紙後処理装置1における後処理は、制御部10の制御に基づいて行われる。制御部10は、画像形成装置本体110の操作部111等を介したユーザからの指示入力内容に応じて、適宜、指定された後処理を実行する。換言すると、制御部10は、画像形成装置本体110の制御部120を介して、画像形成装置本体110の操作部111によりユーザからの指示入力を受け付け、受け付けた内容に応じて用紙後処理装置1の動作を制御する。
用紙後処理装置1は、画像形成装置本体110から1枚ずつ送出される用紙を順次搬送路21,31〜33上で搬送して、処理トレイ70又は中綴じ処理トレイ80に積載する。この間、ユーザからの指示入力内容に応じて、穿孔処理部6による穿孔処理が行われる。ステープル処理部7又は中綴じ処理部8は、処理トレイ70,80に積載された複数枚の用紙の束毎に後処理を行った後、その用紙を排出する。
穿孔処理部6は、搬送される用紙毎に、後処理位置又はその近傍位置において、穿孔ユニット37により用紙に穿孔を行う。穿孔された用紙は、他の後処理内容に応じて、処理トレイ70,80に搬送されたり、処理部本体3から排出されたりする。
ステープル処理部7は、搬送される用紙を1枚ずつ処理トレイ70に重ね、所定の枚数の用紙をステープルユニット72で平綴じし、冊子とする。平綴じされた冊子は、用紙トレイ4上に排出される。
すなわち、ステープル処理部7では、水平搬送部2より1枚ずつ送出される用紙が用紙トレイ4方向に搬送される。用紙の後端が収容ローラ42を通過すると、収容上パドル78、収容下パドル79、収容ベルト71の駆動が開始され、用紙が処理トレイ70に積載される。用紙積載動作と並行して、平綴じ整合板(図示せず)が動作することで、用紙の幅方向の整合動作が行われる。このようにして、一式の用紙束のうち複数の用紙の最終用紙の積載動作及び整合動作までが完了されると、後処理位置又はその近傍位置において、ステープルユニット72によるステープル処理が行われる。ステープル処理が完了すると、排出ローラ43が用紙に圧接されて駆動され、ステープル処理された用紙が処理トレイ70から用紙トレイ4に排出される。
[穿孔ユニット37の構成及び穿孔処理の概略]
図4は、穿孔ユニット37の構成について説明する図である。
図4において、下段の図は、用紙の搬送方向に向かって穿孔ユニット37を見たときを示す側面図である。上段の図は、下段の図に対応する平面図である。矢印D1は、用紙901の搬送方向を示す。矢印D2は、穿孔ユニット37の移動方向を示す。
図4に示されるように、穿孔ユニット37は、所定の間隔で配置された2つの穿孔刃37a,37bと、紙端検知センサ38とを有している。穿孔ユニット37は、用紙の搬送方向に対して直交する方向(矢印D2方向)に移動する。この移動には、パルスモータ39が用いられる。穿孔ユニット37の矢印D2方向の位置は、ホームセンサ37hにより検知されるホーム位置を基準としてパルスモータ39の回転量を調整することで、調整可能である。
穿孔処理が行われるとき、穿孔ユニット37は、ホーム位置から矢印D2方向に移動する。穿孔ユニット37が後処理位置付近まで移動してから、2つの穿孔刃37a,37bを搬送された用紙901に対して下ろすことにより、用紙901の2箇所に穿孔することができる。
本実施の形態において、後処理位置は、用紙901が搬送される位置と、後処理情報とに応じて定められる。後処理情報には、穿孔処理により穿孔する穴の数に関する情報や、用紙901のサイズに関する情報などが含まれる。すなわち、穿孔ユニット37がホーム位置から後処理位置まで移動するとき、穿孔ユニット37の移動に伴い、紙端検知センサ38により用紙901の端部が検出される。そうすると、制御部10は、その地点から所定の移動量だけ移動した位置を後処理位置として決定する。換言すると、制御部10は、用紙901の端部検出地点から所定の移動量だけ穿孔ユニット37を移動させてから、穿孔処理を実行させる。これにより、用紙901が搬送された位置が、搬送方向に対して直交する方向にぶれても、いずれの用紙901においても同じ位置に穿孔される。穿孔時には、穿孔ユニット37が後処理位置から移動しないように、パルスモータ39に停止時の状態のまま電流を流し続けることで保持力(保持トルク)を発生させる。
図4に基づいて具体的に説明すると、例えば、ホーム位置から用紙901の端部が検出されるまで距離d1だけ穿孔ユニット37が移動する。ここで、用紙901の端部が検出されると、その地点から、距離d2だけ穿孔ユニット37が移動し、停止する。停止した地点が、用紙901に対する後処理位置である。すなわち、ホーム位置から後処理位置までの距離d3は、距離d1と距離d2とを加算したものである。距離d1は、用紙901が搬送された位置に応じて変化しうる。距離d2は、略一定になるように制御される。したがって、いずれの位置に用紙901が搬送されても、用紙901に対して穿孔される位置は、いずれの用紙901においても略同じになる。
ここで、搬送される用紙のサイズが異なる場合、そのサイズに応じて、後処理位置は変更される。すなわち、上記説明の距離d2は、用紙のサイズに応じて予め設定されており、搬送される用紙がいずれのサイズであるかに応じて、変更される。
図5は、穿孔処理の後処理位置について説明する図である。
図5においては、用紙の搬送方向に直交する方向D2のサイズが用紙901とは異なる用紙902が搬送された状態の例が示されている。用紙902は、例えば、用紙901よりも大きい。そのため、用紙902が搬送されたとき、穿孔ユニット37は、用紙902の端部が検出されてから後処理位置まで、用紙901が搬送されたときよりも長い距離d2だけ移動されて停止される。
なお、制御部10は、用紙のサイズに関する情報を、制御部120から送信された後処理情報に基づいて把握すればよい。用紙のサイズに関する情報は、これに限られず、用紙の搬送路に設けられたセンサ等を用いて把握されるようにしてもよい。
なお、上記では、2穴の穿孔を行うことができるもの(2穴パンチ)を例として挙げている。穿孔ユニット37は、これに限られず、例えば2穴と4穴とを切り替え可能であったり、2穴と3穴とを切り替え可能であったり、4穴のみ穿孔可能であったりしてもよい。これらの仕様は、画像形成装置100の出荷先(仕向地)等に応じて、適宜選択されればよい。このように仕向地が異なったり、切り替えた結果穴数が異なったりすると、穿孔ユニット37の保持力の必要量が異なる。
[ステープルユニット72の構成及びステープル処理の概略]
図6は、ステープルユニット72の構成について説明する図である。
本実施の形態において、ステープルユニット72は、搬送方向D1(以下の説明において、搬送方向D1を前方といい、その反対方向を後方ということがある)に搬送され、処理トレイ70に重ねられた用紙901の、搬送方向D1の先端近傍に配置されている。ステープルユニット72は、用紙901の搬送方向D1の先端(以下、前端ということがある))の近傍部位に、ステープル72aを配置することで、複数の用紙901を綴じることができる。
ステープルユニット72は、用紙901の前端隅部において、用紙901に対して回転可能である。すなわち、ステープル処理を行う場合に、用紙901に対するステープル72aの角度は、変更可能である。例えば、ステープル72aの長手方向が用紙901の前端縁と平行になるようにステープル72aを配置することができる(ステープル72aを0度に配置することができる)。また、例えば、ステープル72aの長手方向と用紙901の前端縁とが略45度の角度をなすようにステープル72aを配置することができる(ステープル72aを45度に配置することができる)。
なお、ステープルユニット72の重心COGは、用紙901の前端からさらに搬送方向D1の前方に離れた位置にある。
図7は、ステープルユニット72の移動について説明する図である。
ステープルユニット72は、パルスモータ77が駆動されるのに伴って、用紙901の搬送方向D1に直交する方向(矢印D3方向)に移動する。例えば、ステープル処理部7は、搬送方向D1に間隔をおいて配置された、2つのレール72eを有している。2つのレール72eの各々は、矢印D3方向が長手方向になるように構成されている。ステープルユニット72は、この2つのレール72eにガイドされて、矢印D3方向に移動する。具体的には、ステープルユニット72の前方のレール72eに嵌合する部位に係合するスライダ72dが設けられている。スライダ72dがパルスモータ77により矢印D3方向に移動されることにより、ステープルユニット72が変位する。
2つのレール72eのうち図7において右側の端部にステープルユニット72があるとき、それを検知するホームセンサ37hが設けられている。すなわち、ステープルユニット72のホーム位置は、2つのレール72eの右側の端部に設定されている。ステープルユニット72がホーム位置にあるとき、ステープル72aは0度の角度に配置可能になっている。
なお、前方のレール72eのうち、図7において右側の端部は、円弧状に延長されている。この延長部分は、後方のレール72eの右側の端部からの距離が等しくなるように形成されている。そのため、ステープルユニット72がレール72eの右側の端部に位置する状態(図7において実線で示す状態)で、スライダ72dが図7において右側に移動されることで、ステープルユニット72が、後方のレール72eの右側の端部を中心に回転する。これにより、ステープル72aの配置角度を0度から変更することができる。
本実施の形態において、後処理位置は、用紙901が搬送される位置と、用紙901のサイズ情報と、その他の後処理情報とに応じて定められる。その他の後処理情報には、ステープル72aの角度や本数、位置等の情報が含まれる。ステープルユニット72には、紙端検知センサ73が設けられている。すなわち、ステープルユニット72がホーム位置から後処理位置まで移動させるとき、ステープルユニット72の移動に伴い、紙端検知センサ73により用紙901の端部が検出される。そうすると、制御部10は、用紙901のサイズ情報と後処理情報とに応じて、その地点から所定の移動量だけ移動した位置を後処理位置として決定する。換言すると、制御部10は、用紙901の端部検出地点から所定の移動量だけステープルユニット72を移動させてから、ステープル処理を実行させる。これにより、用紙901が搬送された位置が、搬送方向に対して直交する方向にぶれても、いずれの用紙901においても同じ位置にステープル72aを配置することができる。ステープル72aで綴じ動作を行うときには、ステープルユニット72が後処理位置から移動しないように、パルスモータ77に停止時の状態のまま電流を流し続けることで保持力を発生させる。
図8は、ステープルユニット72の重心COGの位置について説明する側面図である。
図8に示されるように、ステープル72aを0度から傾斜させて配置するとき、ステープルユニット72は、ステープルユニット72よりも後方に離れた回転軸Zaを中心に、矢印Rで示されるように回転する。
本実施の形態において、搬送された用紙901は、処理トレイ70上に、前方が下方となるように傾斜した状態で積載されている。ステープルユニット72の回転軸Zaは、用紙901に対して直交するように設定されている。これにより、ステープルユニット72の回転角度(ステープル72aの角度)にかかわらず、用紙901を綴じることができるようになっている。
ところで、ステープルユニット72の重心COGは、回転軸Zaよりも前方に離れた位置にある。特に、本実施の形態では、重心COGは、ステープル72aが0度となる状態で、回転軸Zaから前方に最も離れるような位置にある。そのため、ステープルユニット72が回転軸Zaを中心に回転すると、重心COGが若干上方に変位する。そうすると、ステープルユニット72が回転した状態では、重力により、回転軸Za周りのモーメントがステープルユニット72に加わる。そのため、ステープルユニット72を後処理位置に保持するために必要な保持力は、ステープル72aの角度によって変化する。
[パルスモータ39,77の制御に関する説明]
以下に、本実施の形態におけるパルスモータ39,77の制御に関して説明する。パルスモータ39,77は、制御部10により制御されて駆動される。これにより、穿孔ユニット37やステープルユニット72(総称して後処理ユニット37,72ということがある。)がホーム位置と後処理位置までの間で移動する。そして、後処理位置においては、パルスモータ39,77が停止した状態を維持し、後処理ユニット37,72を保持する。これにより、後処理位置において、後処理が実行される。
図9は、従来の、一般的な穿孔処理のシーケンス図である。
図9において、上段は、いわゆる低速機(単位時間当たりの画像形成枚数が少ない画像形成装置)における穿孔処理のシーケンス図である。下段は、いわゆる高速機における穿孔処理のシーケンス図である。上段と下段とのそれぞれのシーケンス図において、情報から、搬送される用紙の後端の位置(ペーパー後端)と、穿孔ユニット37の移動速度(パンチ移動)と、パルスモータ39の電流値と、穿孔刃37a,37bの変位量(パンチ穿孔)とが示されている。
図9に示されるように、穿孔ユニット37は、用紙毎に、ホーム位置から後処理位置に変位して後処理を行い、その後、再びホーム位置に戻ることを繰り返す。例えば時刻t11から時刻t14までの期間は、穿孔ユニット37が後処理位置で保持されている状態である。この期間は、ある程度の時間があり、また、穿孔ユニット37を保持するために少なくない電流がパルスモータ39に供給されている。この期間の電流を少なく抑えられれば、電力を効果的に削減することができる。
特に、図9において下段に示されるような高速機においては、単位時間当たりに行われる後処理の数も多い。そうすると、後処理1回当たりに消費される電力の増減の量がわずかであっても、全体の消費電力への影響は大きくなる。
図10は、パルスモータ39,77の励磁状態を示すシーケンス図である。
図10においては、上段から、モータの動作クロック、A相の電流、B相の電流、相電流が1相であるか2相であるかが示されている。
本実施の形態においては、制御部10は、パルスモータ39,77を1−2相励磁方式で駆動する。そのため、1クロック毎に、1相励磁状態と2相励磁状態とが交互に繰り返される。1相励磁状態の方が、2相励磁状態よりも、電流が流される相の数が少ない。したがって、消費される電力が、2相励磁状態よりも1相励磁状態の方が少ない。他方、2相励磁状態の方が、1相励磁状態よりも、大きなトルクが発生する。すなわち、保持電流が変わらない場合、パルスモータ39,77による後処理ユニット37,72の保持力は、パルスモータ39,77の相励磁状態により決定される。
後処理を行う場合、制御部10は、次のような制御を行う。すなわち、用紙の端部が検出されたときに、そのときのパルスモータ39,77の制御に関する情報に基づいて、後処理位置を決定する。このとき、決定した後処理位置に停止したときにパルスモータ39,77の保持力を決定する電力が常に小さくなるように、後処理位置が決定される。具体的には、本実施の形態においては、パルスモータ39,77が1相励磁状態である状態で停止するようにして、後処理位置が決定される。換言すると、パルスモータ39,77が1相励磁状態である状態で停止するように、パルスモータ39,77が制御される。
図11は、制御部10がパルスモータ39,77の制御に用いる減速カーブを示す図である。
図11において、2つの減速カーブ(減速カーブA、減速カーブB;減速態様の一例)が示されている。減速カーブA,Bは、後処理ユニット37,72を後処理位置で停止させる制御に用いられる。すなわち、減速カーブA,Bは、パルスモータ39,77を減速させて停止させるまでのパルスレートの推移を示す。
制御部10は、用紙の端部が検出されたときに、そのときのパルスモータ39,77の電圧を印加している相に関する相情報を検出する。そして、その相情報に基づいて、減速カーブA,Bの一方を選択する。すなわち、制御部10は、相情報と、用紙のサイズ情報とに基づいて、通常の位置でパルスモータ39,77を停止させた場合の励磁相(停止相ということもある。)を推定する。そして、制御部10は、その推定結果に基づいて、1相励磁状態で停止するように、減速カーブA,Bの一方を選択する。
図12は、推定される停止位置での相と選択する減速カーブとの関係を示す表である。
図12に示されるように、推定された停止相が1相励磁状態であるとき、減速カーブAが選択される。減速カーブAは、通常利用される減速カーブであって、そのまま、1相励磁状態で停止するように制御を行うための減速カーブである。
他方、推定された停止相が2相励磁状態であるとき、減速カーブBが選択される。減速カーブBは、推定された停止相が2相励磁状態であるときに1相励磁状態で停止するように制御を行うための減速カーブである。
図13は、穿孔処理時において停止時の励磁相の推定に用いられる表である。
図13に示されるテーブルは、用紙の端面検出時に検出された相情報(1相励磁状態であるか2相励磁状態であるか)と、用紙のサイズ情報とに応じて、推定できる停止相が対応付けられているものである。制御部10は、このようなテーブルを参照して、停止相を推定できる。例えば、用紙の端面の検出時の励磁相が1相励磁状態であって、用紙のサイズが「A4T(A4縦)」であるときには、1相励磁状態で停止すると推定できる。また、例えば、用紙の端面の検出時の励磁相が2相励磁状態であって、用紙のサイズが「A4Y(A4横)」であるときには、2相励磁状態で停止すると推定できる。
なお、ステープル処理時においても、同様のテーブルを用いて、停止相の推定が行われるようにすればよい。上記のようなテーブルを使った制御により、必ず、後処理位置において、パルスモータ39,77を、1相励磁状態で停止させることができる。2相励磁状態で停止するのではなく、それより流れる電流が少ない1相励磁状態で停止するので、消費電力を低減することができる。
図14は、従来の穿孔処理部の動作を示す第1のシーケンス図である。
図14においては、後処理位置において2相励磁で停止した場合の例が示されている。上段から、ホームセンサ37hの出力、パルスモータ39の駆動パルス、そのパルス速度、パルスモータ39の回転速度、紙端検知センサ38の出力、穿孔動作が示されている。
図14に示されるように、時刻t21に紙端検知センサ38により用紙の端部が検知されると、その時点から所定数のパルスがパルスモータ39に印加されてモータが駆動される。時刻t22に所定数のパルスの印加が終わる。このとき、最後のパルスモータ39の励磁状態は2相励磁状態であり、そのまま、電圧の印加が続けられる。時刻t22から停止時の振動が収束するまで待って、振動が収束した時刻t23から、穿孔動作が行われる。時刻t24に穿孔動作が終了すると、穿孔ユニット37のホーム位置への復帰動作が行われる。
この場合、穿孔動作が行われるときに、用紙を保持するために常に2相励磁状態が維持され、比較的多くの電力が消費されることになる。
図15は、従来の穿孔処理部の動作を示す第2のシーケンス図である。
図15においては、後処理位置において2相励磁状態で停止した後に1相励磁状態に変更される場合の例が示されている。時刻t32までは、図14と同様に制御が行われ、2相励磁状態で停止する。ここで、振動が収束した時刻t33に、パルスモータ39に1パルス分だけ次の相の1相励磁のパルスが加えられ、パルスモータ39が追加的に駆動される。そのため、穿孔動作が行われる間は1相励磁状態で穿孔ユニット37が保持される。したがって、消費電力が比較的少なくなる。
しかしながら、一旦2相励磁状態で停止後に1相分だけ動作させ、1相励磁状態とした場合には、移動による振動が発生する。そのため、時刻t33からさらに振動が収束するまで待たねばならず、穿孔準備が完了するまでの時間が長くかかってしまう。
図16は、本実施の形態の穿孔処理部6の動作を示すシーケンス図である。
図16においては、時刻t41に紙端検知センサ38により用紙の端部が検知されると、その時点でのパルスモータ39の励磁相が検出される。そして、停止時の励磁相が2相励磁になると推定されたら、通常選択される減速カーブ(例えば、減速カーブA)とは異なる減速カーブ(例えば、減速カーブB)を用いて後処理位置が決定され、パルスモータ39が停止される。図16において、減速カーブBを用いた場合が実線で、減速カーブAを用いた場合が破線で示されている。
ここで、減速カーブBであれば、例えば、減速カーブBに従って、減速カーブAでパルスモータ39に供給されるパルスに1パルスだけ追加した制御が行われる。これにより、時刻t42においてパルスモータ39が停止するとき、1相励磁状態となる。1パルス追加する分だけ、振動が収束して穿孔動作が行えるようになるタイミングが遅くなるが、この遅延は、図15において振動が発生するために必要な待ち時間と比較すると無視できるほど短い。したがって、生産性を高め、かつ、消費電力を低減することができる。また、本来の理想的な停止位置よりも1相分だけずれた、1位相隣接位置を後処理位置として停止するが、この1相分のずれは、許容できる程度のものである。
なお、図16のように減速カーブBを用いると、本来後処理位置となるべき理想的な後処理位置に1位相隣接した位置を後処理位置として、穿孔ユニット37が停止される。この理想的な後処理位置からの1相分のずれは、許容できる程度のものである。ただし、制御部10は、このときの後処理位置が、用紙に対応する、後処理を行うために理想的な位置ではないと判断してもよい。このように判断したとき、制御部10は、穿孔ユニット37が穿孔処理を行う前に、穿孔ユニット37を、理想的な後処理位置に位置するように再変位させてもよい。再変位させることにより振動が生じた場合には後処理を行うタイミングを遅延させる必要がある場合もあるが、穿孔する位置の正確さと、消費電力の低減とを両立させることができる。
[制御部10が行う制御の流れに関する説明]
図17は、パルスモータ39,77の制御の初期化処理を示すフローチャートである。
図17に示されるように、ステップS11において、制御部10は、現在の後処理ユニット37,72の位置がホーム位置であるか否かを判断する。
ステップS11においてNOであれば、ステップS12において、制御部10は、後処理ユニット37,72をホーム位置に移動させる。
ステップS13において、パルスモータ39,77について、ホーム位置電流を、規定相に流して励磁させた状態で停止させる。これにより、後処理ユニット37,72は、ホーム位置で待機する。
図18は、後処理動作の実行時のパルスモータ39,77の制御を示すフローチャートである。
図18に示されるように、ステップS21において、制御部10は、画像形成装置本体110から後処理情報を取得する。後処理情報としては、例えば、用紙サイズが含まれる。また、穿孔処理が行われるとき、後処理情報として、穿孔処理により穿孔する穴の数に関する情報が含まれる。ステープル処理が行われるとき、後処理情報として、ステープルの種類(針種類)や、ステープルの角度などに関する情報が含まれる。
ステップS22において、制御部10は、1−2相励磁方式でパルスモータ39,77を駆動し、後処理ユニット37,72の移動を開始する。
ステップS23において、制御部10は、搬送された用紙の端部が検出されるまで、パルスモータ39,77の駆動を継続する。
用紙の端部が検出されると、ステップS24において、制御部10は、そのときのパルスモータ39,77の相情報を検出する。そして、用紙サイズなど、取得された後処理情報に基づいて、減速カーブA,Bの選択を行う。
ステップS25において、減速カーブAが選択されたか否かが確認される。
減速カーブAが選択されたとき、ステップS26において、減速カーブA選択時処理が行われる。
他方、減速カーブBが選択されたとき、ステップS27において、減速カーブB選択時処理が行われる。
ステップS26の処理又はステップS27の処理が行われると、処理が終了する。
図19は、減速カーブA選択時処理を示すフローチャートである。
図19に示されるように、ステップS31に示されるように、制御部10は、減速カーブAに従ってパルスモータ39,77を減速させ、後処理位置に停止させる。停止相は1相である。このとき、制御部10は、パルスモータ39,77に所定の大きさの電流を流したままにし、後処理ユニット37,72が移動しないように保持する。すなわち、制御部10は、パルスモータ39,77に保持電力を供給する。なお、このときの電流の大きさは、パルスモータ39,77を停止させるまでに流れていた電流の大きさと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ステップS32において、後処理を開始する条件が整えば、制御部10は、後処理を開始する。
ステップS33において、制御部10は、後処理ユニット37,72を制御し、後処理を実施する。ここで、本実施の形態においては、制御部10は、取得した後処理情報に基づいて、パルスモータ39,77に後処理実行時に必要な保持電流が流れるように設定する。設定は、例えば後述のように予め設定されたテーブルを用いて行うことができる。保持電流の大きさは、ステップS31で流されていた電流の大きさよりも若干大きくなっている。すなわち、制御部10は、パルスモータ39,77に停止時よりも大きな保持電力を供給する。これにより、パルスモータ39,77による後処理ユニット37,72の保持力が大きくなる。したがって、後処理ユニット37,72を後処理位置に固定したままで適切に後処理が行われる。
ステップS34において、制御部10は、後処理が終了したか否かを確認する。
後処理が終了したら、ステップS35において、制御部10は、パルスモータ39,77を駆動し、後処理ユニット37,72をホーム位置に戻す。ホーム位置に戻ると、図18の処理に戻り、処理が終了する。
図20は、減速カーブB選択時処理を示すフローチャートである。
図20に示されるように、ステップS41に示されるように、制御部10は、減速カーブBに従ってパルスモータ39,77を減速させる。これにより、本来の後処理位置に1位相隣接した位置に後処理ユニット37,72が停止する。停止相は1相である。
ステップS42において、後処理を開始する条件が整えば、制御部10は、後処理を開始する。
ここで、図20に示す例においては、後処理が実行される直前に、1相励磁状態で停止された状態から本来後処理位置とすべきであった位置に後処理ユニット37,72を再変位させる動作が行われる。すなわち、ステップS43において、制御部10は、パルスモータ39,77を1相分駆動し、後処理ユニット37,72を理想的な後処理位置に移動させる。そして、その位置で、制御部10は、後処理ユニット37,72を制御し、後処理を実施する。これにより、ステップS41よりもパルスモータ39,77に流れる電流が大きくなり、このときの保持電力が、ステップS41においてパルスモータ39,77に供給されている保持電力よりも大きくなる。したがって、大きな保持力で後処理ユニット37,72が保持された状態で適切に後処理が行われる。
なお、このように再変位させる処理は行われなくてもよい。例えば、後処理を行う位置がそろっていることの重要性や、パルスモータ39,77の分解能等に応じて、適宜実行するようにすればよい。
ステップS44において、制御部10は、後処理が終了したか否かを確認する。
後処理が終了したら、ステップS45において、制御部10は、パルスモータ39,77を駆動し、後処理ユニット37,72をホーム位置に戻す。ホーム位置に戻ると、図18の処理に戻り、処理が終了する。
なお、減速カーブB選択時処理においても、減速カーブA選択時処理と同様に、次のような制御が行われるようにしてもよい。例えば、制御部10は、ステップS43において、パルスモータ39,77に流れる電流を、後処理情報に応じて大きくする制御を行うようにしてもよい。
このように、本実施の形態においては、後処理位置で停止中にパルスモータ39,77の電力が常に少ない電力となり、必要以上の電力が消費されないように、パルスモータ39,77の後処理位置を決定する制御、すなわち励磁相を調整する制御が行われる。後処理ユニット37,72の移動時において、用紙の端面検出時に停止時の励磁相を推測することで、適切な減速カーブA,Bを用いて1相励磁状態で確実に停止させることができる。したがって、後処理動作が遅延することなく、消費電力を確実に低減させることができる。後処理位置で停止中には励磁相の数が常に同じなので、それを前提に、保持電流を適当な値に設定することができる。過剰な保持力をパルスモータ39,77で発生させないので、パルスモータ39,77の発熱を低く抑えることができる。また、それにより、用紙後処理装置1の冷却用の構成を簡素にすることができる。
[後処理実行時における保持電流や励磁態様]
なお、本実施の形態において、保持電流は、次のようにして、後処理情報に基づいて決定することができる。
図21は、後処理情報と保持電流設定例を示す図である。
図21においては、上段から、穿孔する穴の数と保持電流の設定値とを対応付けたテーブル、ステープルの角度と保持電流の設定値とを対応付けたテーブル、及びステープルの針種類と保持電流の設定値とを対応付けたテーブルが、それぞれ示されている。
本変形例において、穿孔処理が行われるとき、制御部10は、穿孔数に応じて保持電流を変更する。穿孔数が多いと穿孔ユニット37に加わる反力が大きくなり、穿孔位置がずれやすくなる。そのため、より大きな保持力が必要になる。例えば、穿孔数が2であるときに後処理時に流される電流の大きさがαアンペアであるとすると、穿孔数が3であるときには1.2αアンペアの大きさの電流が、穿孔数が4であるときには1.3αアンペアの大きさの電流が、それぞれ流される。
また、ステープル処理が行われるとき、制御部10は、ステープル72aの角度や針種類に応じて、保持電流を変更する。ステープル72aの角度が0度(水平)ではなく、傾斜している(斜め)とき、上述のように、ステープルユニット72にモーメントが働いている。そのため、より強い保持力でパルスモータ77にステープルユニット72を保持させる必要がある。したがって、保持電流の大きさは、角度が水平であるときをαアンペアとすると、斜めであるときには例えば1.2αアンペアに設定される。また、ステープル72aの針種類について、より多くの枚数を綴じることができる長い針を用紙に貫通させるときには、短い針を用紙に貫通させるときよりも、ステープルユニット72に加わる反力が大きくなる。そのため、保持電流の大きさは、50枚綴じ用の針を用いるときをαアンペアとすると、それより長い100枚綴じ用の針を用いるときには1.2αアンペアに設定される。
以上説明したように、本実施の形態においては、後処理ユニットが後処理位置に移動したとき、後処理情報に基づいて、保持電流が調整される。実行される後処理の内容に応じてパルスモータの保持力が調整されるので、後処理に伴う大きな反力が加わっても、後処理ユニット37,72が移動しないように保持される。後処理の内容に応じて、保持力がそれほど必要でないときには、相電流を比較的小さく抑えることができるので、消費電力を抑えたり、パルスモータ39,77の発熱を低く抑えたりすることができる。また、必要な保持力を後処理実行時には発生させ、かつ、後処理が行われるまでの待ち時間は、消費電力が比較的小さくなるように制御される。したがって、後処理位置で後処理ユニット37,72を確実に保持させつつ、電力消費を低減させることができる。特に、高い生産性を有する用紙後処理装置では、このような効果を顕著に得ることができる。
なお、このような保持電流の調整と同様にして、励磁相に関する制御を行ってもよい。すなわち、後処理時に後処理ユニット37,72を保持するために必要であれば、制御部10が、パルスモータ39,77の励磁状態を、1相励磁状態から2相励磁状態に変更する制御を行うようにしてもよい。このような制御は、後処理情報に基づいて、制御部10が行うことができる。
図22は、後処理情報とパルスモータ39,77の励磁態様の設定例を示す図である。
図22においては、上段から、穿孔する穴の数と励磁態様とを対応付けたテーブル、ステープルの角度と励磁態様とを対応付けたテーブル、及びステープルの針種類と励磁態様とを対応付けたテーブルが、それぞれ示されている。
穿孔処理が行われるとき、例えば、穿孔数が2であるときにパルスモータ39が1相励磁とすればよい場合を想定すると、穿孔数が3又は4であるときには、それより大きな穿孔ユニット37の保持力が必要となるので、2相励磁に変更される。
また、ステープル処理が行われるとき、ステープル72aの角度が水平であるときにパルスモータ39が1相励磁とすればよい場合を想定すると、角度が斜めであるときには2相励磁に変更される。また、ステープル72aの針種類について、50枚綴じ用の針を用いるときにパルスモータ39が1相励磁とすればよい場合を想定すると、それより長い100枚綴じ用の針を用いるときには2相励磁に変更される。
このように、後処理時の相励磁態様を後処理情報に基づいて設定することにより、上述と同様の効果を得ることができる。すなわち、保持力が確実に必要なときには大きな電力をパルスモータ39,77に供給して保持力を得ることができる。また、保持力がそれほど必要でないときには、1相励磁でパルスモータ39,77に通電することができるので、消費電力を抑えたり、パルスモータ39,77の発熱を低く抑えたりすることができる。
[変形例の説明]
なお、図18の処理に代えて、減速カーブの選択を行わず、単に、次のように後処理情報に応じてパルスモータ39,77に供給する電力を変更するようにしてもよい。このとき、停止時のパルスモータ39,77の相励磁状態に応じて、電力を変更するようにしてもよい。
図23は、後処理動作の実行時のパルスモータ39,77の制御の一変形例を示すフローチャートである。
図23に示されるように、ステップS70において、制御部10は、画像形成装置本体110から後処理情報を取得する。後処理情報としては、例えば、用紙サイズが含まれる。また、穿孔処理が行われるとき、後処理情報として、穿孔処理により穿孔する穴の数に関する情報が含まれる。ステープル処理が行われるとき、後処理情報として、ステープルの種類(針種類)や、ステープルの角度などに関する情報が含まれる。
ステップS71において、制御部10は、1−2相励磁方式でパルスモータ39,77を駆動し、後処理ユニット37,72の移動を開始する。
ステップS72において、制御部10は、搬送された用紙の端部が検出されるまで、パルスモータ39,77の駆動を継続する。
用紙の端部が検出されると、ステップS73において、制御部10は、そのときのパルスモータ39,77の相情報を検出する。そして、用紙サイズに基づいて、停止時の励磁相を推定する。制御部10は、推定した励磁相に応じて、停止時の相電流を決定する。例えば、2相励磁状態で停止すると推定された場合、1相励磁状態で停止すると推定された場合と比較して、相電流を若干小さくするなどの制御が行われていてもよい。
ステップS74において、制御部10は、決定された電流がパルスモータ39,77に流れるようにして、後処理ユニット37,72を後処理位置に停止させる。
ステップS75において、後処理を開始する条件が整えば、制御部10は、後処理を開始する。
ステップS76において、制御部10は、後処理ユニット37,72を制御し、後処理を実施する。このとき、制御部10は、後処理情報に基づいて、パルスモータ39,77に後処理実行時に必要な電流が流れるように設定する。これにより、後処理ユニット37,72を保持するために必要な保持力を確実に発生させることができ、適切に後処理が行われる。
ステップS77において、制御部10は、後処理が終了したか否かを確認する。終了するまで、ステップS76の処理が行われる。
後処理が終了したら、ステップS78において、制御部10は、パルスモータ39,77を駆動し、後処理ユニット37,72をホーム位置に戻す。ホーム位置に戻ると、処理が終了する。
[その他]
後処理ユニットを移動させるためのモータ及びその制御方法は、1−2相励磁方式で駆動されるパルスモータに限られない。例えば、パルスモータを1相励磁や2相励磁で駆動するようにしてもよい。また、マイクロステップでパルスモータを駆動するようにしてもよい。このような場合には、上記の実施の形態の変形例に示されるように処理が行われてもよい。このとき、ステップS73の処理のうち停止時の励磁相に関する処理を除けばよい。
搬送された用紙に関する情報と、後処理ユニットにより行われる後処理に関する情報とに基づいて、上述の実施の形態のような、常に1相励磁状態で後処理位置に停止するようにする動作や、停止時の電流をセットする動作を実行するか否かを切り替えてもよい。例えば、制御部が、用紙情報や後処理情報に基づいて、電力に余裕があるか否かを判定し、余裕があるときには上述のような動作を行わないようにしてもよい。また、大きなサイズの用紙に後処理を行うときには、用紙毎の間隔が広がり、後処理が頻繁に行われることがないので、パルスモータの発熱が低く抑えられる。このような場合には、上述のような動作を行わないようにしてもよい。
上記実施の形態やその変形例において、制御部による制御に用いられる情報は、上記の他にも種々用いることができる。
例えば、穿孔処理により穿孔する穴の数に関する情報と共に、又はそれに代えて、穿孔処理により穿孔可能な穴の数に関する仕向け情報を利用して、励磁態様や保持電流の設定を行うようにしてもよい。
また、用紙に関する情報は、その用紙の厚さ、その用紙の紙種、及び後処理ユニットにより行う後処理毎に処理対象となる用紙の枚数のうち、少なくとも1つであればよい。例えば、用紙の厚さ、紙種、用紙の枚数等に応じて、保持電流やパルスモータの励磁態様を、より大きな、後処理を適切に行うために必要な保持力が得られるように変更するようにしてもよい。
後処理に関する制御は、画像形成本体の制御部が行ってもよい。この場合であっても、用紙後処理装置としての画像形成装置の制御部が、後処理に関する制御を行っているということができる。
用紙後処理装置と画像形成装置本体とが同一の筐体内に納められて、1台の画像形成装置が構成されていてもよい。
用紙カセットは、複数設けられており、各給紙カセットに、それぞれ、互いに種類(例えば、坪量や紙質などの種類)やサイズが異なる複数種類の用紙を装てん可能であってもよい。この場合、画像形成装置は、ユーザにより指定された給紙カセットに装てんされた用紙又は画像形成装置本体の制御部により自動的に指定された給紙カセットに装てんされた用紙に、画像形成を行うことができる。この場合、予め、ユーザにより、各給紙カセットに装てんされた用紙の坪量の情報を、各給紙カセットに関連付けて、画像形成装置本体又は用紙後処理装置に入力させておくようにしてもよい。この場合、適切に後処理が行われるように、用紙後処理装置は、後処理を行う対象となる用紙についての坪量などの情報をその制御部や画像形成装置本体から受け取るようにして、受け取った情報に応じてパルスモータの励磁態様や保持電流を制御するようにしてもよい。搬送される用紙に対応する給紙カセットに関連する情報を取得してもよい。
用紙後処理装置は、後処理として、上述のほか、のり付け等によるバインド処理(複数の用紙をまとめる処理)などを実行可能であってもよい。このような他種の後処理であっても、その後処理ユニットを移動させるときの制御方法として上述の実施の形態ものを採用することで、生産性を維持しつつ、消費電力を低減させることができる。
画像形成装置本体としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートにおいて文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。