JP6539478B2 - タイヤ用金型及びタイヤ - Google Patents
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Description
ところで、加硫成型時における空気抜き孔の空気等排出性能は、成型面から背面に貫通する空気抜き孔の断面積が大きくなる程、向上するので、空気抜き孔の断面積大きくした方が良い。例えば、従来から知られている空気抜き孔が円形状の場合、断面積を決める空気抜き孔の孔径を大きくし過ぎると、それに対応してタイヤ表面に形成されるスピューの径も大きくなる。スピューは、タイヤ表面から外側へ突き出た凸状の突起物であるため、加硫成型後に除去しても、残ったスピュー痕によって、タイヤ表面の路面への接触状態すなわち接地性を悪化させてしまう。その結果、製品タイヤとしての初期の摩耗性能、偏摩耗性能、グリップ性能、操縦安定性能、WET排水性能等の運動性能に悪影響を及ぼすことになる。例えば、スピュー痕による初期のタイヤの接地性の悪さにより、タイヤ踏面やブロックの一部に偏って摩耗する偏摩耗が初期に進行すると、初期に生じた偏摩耗の形態がスピュー痕の消失後にも影響を及ぼし、偏摩耗が徐々に大きく進展してしまう。タイヤ踏面やブロックの偏摩耗の形状によっては、偏摩耗性能だけでなく、タイヤ全体としての摩耗性能、グリップ性能、操縦安定性能、WET排水性能等の運動性能をも大きく悪化させる虞がある。一般的には、空気抜き孔は、孔径が1mm〜2mm程度の断面円形状とすることにより、孔径を大きくする程性能が向上する空気等排出性能と、孔径を小さくする程性能が向上する製品タイヤの外観性能、運動性能、摩耗性能等との背反する性能の妥協を図っている。このような妥協を図りつつも、空気抜き孔には、空気の排気を許容しつつ、加硫成型後のタイヤ表面にスピューを形成しない、または、除去する必要がない程スピューをほとんど形成しない、または除去する必要がない程スピューが小さく、かつ、高さが低くするような性能が要求されている。
特許文献1乃至特許文献3には、タイヤ表面に形成されるゴムばりであるスピューの形成を抑制するための技術が開示されている。特許文献1では、ワイヤ放電加工により円周方向や幅方向に沿って延長する切込みを成型面に形成することや、金型の分割面において成型面から背面にかけて連続する切込みを形成することにより、当該切込みを成型面側から背面側に空気を排出する空気抜き孔に代わる空気抜き溝として構成している。特許文献2では、ドリル加工により金型の分割面に貫通する排気孔を設け、さらに、ワイヤ放電加工により成型面から排気孔に貫通するスリットを排気孔の延長する方向に沿って加工することにより、スリット及び排気孔を介して空気を外部に排出する構成としている。特許文献3では、鋳造により金型を製造する際に、金型を構成する素材の膨張係数とは異なる素材からなる薄板状のブレードを成型面から背面に貫通するように複数設けて鋳ぐるみとし、冷却後のブレードと金型本体との収縮率の差からブレードと金型本体との間に生じる隙間を空気抜き孔として形成することにより、成型面側から背面側に空気を排出する構成としている。
そこで、本発明では、未加硫のゴムを加硫成型する際の空気等排出性能を確保しつつ、加硫成型後のスピューの発生を抑制して加硫成型後のタイヤの外観性能を向上させることが可能なタイヤ用金型及び当該タイヤ用金型により成型されたタイヤを提供することを目的とする。
1番目に、空気等を排出するように金型に形成された空気抜き孔を、成型面から直接背面に貫通するようにし、空気等排出性能を変えないように(成型面に開口する空気抜き孔の面積が同じになるように)成型面に開口する空気抜き孔の幅を0.5mmよりも小さくしてゆくと、既定の加硫成型の条件を変更しなくても、スピューの高さが減少してゆくことを見出した。すなわち、従来の空気等排出性能を維持したまま、孔径が1mm〜2mmの円形状の空気抜き孔の形状を変形させて、空気抜き孔の幅を0.5mmまで小さくした場合には、空気抜き孔の幅を変化させているにも関わらず、同じ高さを維持し、スピューの高さに変化が見られなかった。ところが、幅を0.5mmよりも小さくしてゆくと、それにつれて同一のスピューの高さを維持しようとしてもスピューの高さが低くなる高さ減少領域があることが判明した。この高さ減少領域では、空気抜き孔の幅の減少にともなって、形成されるスピューの高さも7.5mmよりも漸次低くなるため、加硫成型後のスピューの除去が不要となり、タイヤの外観性能、運動性能及び摩耗性能が悪化することなくすべての性能で良好となることが判明した。
なお、従来の空気抜き孔(孔径が1mm〜2mmの円形状)により形成されたスピューは、カッターで除去した残りのスピュー痕が走行による摩耗によってなくなるまでに、トレッドゴム弾性率の柔らかいウィンタータイヤで300km程度の初期走行が必要であり、トレッドゴム弾性率の硬い夏用の高性能乗用車タイヤで500kmから1000km程度の初期走行が必要であった。
なお、空気抜き孔の幅を0mm(空気抜き孔のない状態)とした場合には、空気等排気性能が0となり、タイヤ表面の傷、凹み、内部への空気入りが発生し、タイヤが製造できなくなってしまった。
さらには、これらスピューの高さ減少開始領域、断続領域、消失領域の順番に、タイヤの外観性能及びタイヤの運動性能、摩耗性能のすべての性能がより良好となってゆくことが判明した。
また、空気抜き孔の形状は、成型面に開口する幅が小さく、成型面に沿う合計の長さが長い方が、タイヤの外観性能、タイヤの運動性能及び摩耗性能が良好であることから、空気抜き孔は、形状がスリット状であることが望ましいことも判明した。
また、空気抜き孔の幅とは、当該金型の当該空気抜き孔を備えた成型面である内面側から外面側に向けて当該成型面を正面から視た場合の、成型面における開口部の短手方向の寸法をいう。
また、スピューの幅とは、タイヤ表面に沿う短手方向の寸法であって、所謂厚みである。
また、スピューの高さとは、タイヤ表面から離れる方向に延びる寸法をいう。例えば、スピューがタイヤ表面に垂直である場合には、タイヤ表面での法線方向、スピューがタイヤ表面に垂直でない場合には、タイヤ表面からスピューが延びている方向に沿うスピュー先端までの寸法をいう。
また、スピューの長さとは、1つの空気抜き孔により形成されたスピューの長さ寸法をいう。すなわち、スピューの幅の垂直二等分線がタイヤ表面に沿って延長する長さである。空気抜き孔が複数のスリットにより構成されている場合には、各スリットにより形成されたスピューのタイヤ表面に沿う長さの合計の長さ、いわゆるペリフェリの長さをいう。
上述の課題を解決するためのタイヤ用金型の構成として、未加硫のゴムに型付けする成型面を有し、タイヤ円周方向に複数に分割されたセクショナルモールド用のタイヤ用金型であって、成型面から背面に貫通する空気抜き孔と、背面に、タイヤ円周方向の一端側の分割面と他端側の分割面にかけて延長し、空気抜き孔が開口する溝とを備え、空気抜き孔の成型面に開口する幅が、0mmより大きく0.5mmより小さい構成とした。
本構成によれば、タイヤ表面と成型面との間の空気を金型外部へ排出することができるとともに、空気抜き孔への未加硫のゴムの侵入が抑制されるため、成型後のタイヤの表面に生じるばりとしてのスピューの除去工程を省略でき、タイヤの生産効率を向上させることができる。すなわち、成型後のタイヤは、スピューの除去処理を行っていないにも関わらず、外観性能に優れたものとなる。
また、タイヤ用金型の他の構成として、空気抜き孔は、一の孔で形成されたスリット、または、複数の孔を点線状に配置して形成されたスリットからなり、スリットが成型面に開口する形状は、端部が終端、または環形状、もしくはそれらを組合せた形状で形成されることを特徴とする。
本構成によれば、空気抜き孔への未加硫のゴムの侵入が抑制されるため、成型後のタイヤの表面に生じるばりとしてのスピューの除去工程を省略でき、タイヤの生産効率を向上させることができる。すなわち、成型後のタイヤは、スピューの除去処理を行っていないにも関わらず、外観性能に優れたものとなる。
また、タイヤ用金型の他の構成として、空気抜き孔は、当該孔の成型面から背面に貫通する際の奥行方向と直交する方向の断面において、直線状、または湾曲状、または屈曲状、もしくはそれらを組み合わせた断面形状で構成されたことや、成型面から背面に向かって直線状、または湾曲状、または、屈曲状、もしくはそれらを組み合わせた形状で延長することを特徴とする。
本構成によれば、加硫装置の構造に応じて、空気の排出方向を自由に設定したり、成型面の形状に応じて空気抜き孔を設けることができる。
また、タイヤ用金型の他の構成として、空気抜き孔は、成型面の未加硫のゴムに凹部を型付けする部分以外に設けられることを特徴とする。
本構成によれば、タイヤにおける踏面に形成されたスピューが、少しの走行により路面との摩擦によりなくなるので、タイヤ使用時の当初から初期性能に優れたタイヤを得ることができる。また、空気抜き孔にゴムがほとんど侵入しないため、タイヤの型抜き時において、ゴムの切れや空気抜き孔への詰まりの発生が抑制されるので、外観性能に優れたタイヤを得ることができる。
また、タイヤ用金型の他の構成として、タイヤ用金型をラピッドプロトタイピング法により製作したことを特徴とする。
本構成によれば、空気抜き孔の断面形状及び奥行方向の形状など自在に設定することができるとともに、金型を短時間で製造することができる。
また、タイヤの構成として、請求項1乃至請求項6いずれかに記載のタイヤ用金型によって型付けされたタイヤであって、空気抜き孔によりタイヤ表面に形成されたスピューは、成型後の当該スピューを除去しない状態において、幅が0mmより大きく0.5mmより小さく、且つ、高さが0mm以上7.5mmより小さいことを特徴とする。
本構成によれば、加硫成型後のスピューの除去が不要となり、タイヤの外観性能、運動性能及び摩耗性能を向上させることができる。なお、スピューの高さが0mmとはタイヤ表面にスピューが形成されていない状態をいう。
また、タイヤの他の構成として、スピューは、幅が0.09mmより小さく、且つ、高さが0mm以上2.0mmより小さいことを特徴とする。
本構成によれば、1つの空気抜き孔により形成される範囲において、空気抜き孔の延長する方向に連続して繋がらず、断続するように形成されるため、加硫成型後のスピューの除去が不要となり、よりタイヤの外観性能、運動性能及び摩耗性能を向上させることができる。
また、タイヤの他の構成として、スピューは、幅が0.06mmより小さく、且つ、高さが0mm以上0.5mm以下であることを特徴とする。
本構成によれば、加硫成型後のスピューの除去が不要となり、タイヤの外観性能、運動性能及び摩耗性能を、より向上させることができる。
また、タイヤの他の構成として、スピューは、1つの空気抜き孔により型付けされたタイヤ表面に沿う長さ方向に高さが変化することや、1つの空気抜き孔により型付けされたタイヤ表面に沿う長さ方向に断続して形成されることを特徴としている。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
図2は、トレッド金型11の成型面及び背面を示す図である。図2(a)に示すように、トレッド金型11は、成型面11a側において、タイヤTの外表面Taのうちの接地面を成型する接地面成型部12と、トレッド部Ttに型付けする複数の溝成型部13、取付部18とを含んで構成される。接地面成型部12は、タイヤTにおける接地面を所定曲率の曲面で成型するように形成された成型面11aにおける土台部分である。複数の溝成型部13は、接地面成型部12の表面から所定高さで突出するように設けられる。溝成型部13は、例えば接地面成型部12のタイヤ円周方向に延長し、タイヤTにおけるリブ溝を成型するリブ溝成型部13Aと、タイヤ幅方向延長してラグ溝を成型するラグ溝成型部13Bと、ショルダー溝を成型するショルダー溝成型部13Cとを有する。これらの溝成型部13は、未加硫のタイヤ表面に凹部を形成する。そして、成型面11aは、凹凸を有し、リブ溝成型部13A、ラグ溝成型部13B、ショルダー溝成型部13C等の溝成型部13で囲まれた窪み(凹部)によってタイヤにおけるブロック(陸部)を成型する。取付部18は、接地面成型部12の幅方向両端部をそれぞれ縁取るようにタイヤ円周方向に沿って設けられる。トレッド金型11は、この取付部18を介してセクターセグメント10に取り付けられる。接地面成型部12には、溝成型部13を避けるように、加硫成型時にタイヤTの外表面Taと当該トレッド金型11の成型面11aとの間に介在する空気やゴム組成物から発生したガス等を排気するための複数の空気抜き孔15が設けられる。空気抜き孔15は、薄厚なスリット状に成型面11aの接地面成型部12から背面11bに貫通するように設けられる。
また、スリット31の長さL31a及びL31b、及びスリット32の長さL32a及びL32bは、トレッド金型11において、例えば、強度が必要とされる部分では短く設定し、強度が不要とされる部分では長く設定するとよい。また、スペース的な制約を受ける場合にも適宜長さLを設定すればよい。なお、長さとは、スリットにおける開口部の長手方向の長さ寸法、幅とは、スリットにおける開口部の短手方向の長さ寸法である。
また、スリット33の長さL33a及びL33b、スリット34の長さL34a及びL34b、スリット35の長さL35a及びL35bには、所定の長さ寸法が設定される。例えば、トレッド金型11において、強度が必要とされる場合には長さ寸法をを短く設定し、強度が不要とされる場合には長さ寸法を長く設定する。また、空気抜き孔15を設けるべきではあるがスペース的な制約を受ける場合にも、形成可能な長さ寸法で設定する。なお、空気抜き孔15の奥行方向の形状及び延長形状については後述する。
次に、図7(b)に示すように、ブラダーの押圧により、タイヤ表面と接地面成型部12の表面との接触面Mは、徐々にリブ溝成型部13A;13A、ラグ溝成型部13B;13Bに向けて四方八方に広がる。これにより、タイヤ表面と、リブ溝成型部13A;13A、ラグ溝成型部13B;13B及び接地面成型部12とで囲まれた空間の空気が4角の空気抜き孔15から排出される。
そして、最終的には、図7(e)に示すように、4角の空気抜き孔15からすべての空気が押し出されて、センターブロック成型部21の角にあたる接地面成型部12とリブ溝成型部13Aとラグ溝成型部13Bとの交差部Rにゴムが押し詰められることにより、センターブロックが所定の形状に成型される。このように加硫成型がなされることにより、リブ溝成型部13A;13A、ラグ溝成型部13B;13B及び接地面成型部12で囲まれたセンターブロック成型部21からタイヤ表面と、リブ溝成型部13A;13A,ラグ溝成型部13B;13B及び接地面成型部12とで囲まれた空間の空気が排出されるため、センターブロック成型部21には、空気だまりが生じず、ベアーの発生を抑制することができる。
これにより、空気抜き孔15を通じて背面溝20A乃至20Hに排出された空気は、セクターセグメント10の表面と背面溝20A乃至20Hとで形成された空気抜き通路を経由して、セクターセグメント10に設けられ、背面溝20A乃至20Hと外部に通じる図示しない排出口を介して、金型で囲まれる成型空間から外部に排出される。
すなわち、空気抜き孔15の奥行方向に延長する形状を、図8(a)に示すように、成型面11aから背面11bに向かって湾曲状、図8(b)に示すようなL字状や図8(c)に示すようなV字状等の屈曲状、もしくはこれらを組み合わせた形状で延長させれば良い。空気抜き孔15は、成型面11aから背面11bまで貫通してさえいれば良いので、奥行方向の形状は自由である。好ましくは、空気抜き孔15は、成型面11aから背面11bに至る奥行方向における断面積が、開口部の面積を維持するように形成すると良い。
図10(a)に示す開口部81a;82aは、2つのI字状のスリット81;82を十字状に交差させて成型面から背面に貫通する1の孔として形成した空気抜き孔15が、成型面に開口した形状を示している。この場合、成型面に開口する各スリット81;82の端部は、成型面内のそれぞれ異なる位置で終端している。また、このときの空気抜き孔15としてのスリット長さは、スリット81の長さL1とスリット82の長さL2との合計とみなす。なお、同図に示すスリット81;82の幅Wは、同一寸法である。
また、図10(b)に示す開口部83aは、1のスリットを連続的に矩形状に屈曲させて成型面から背面に貫通する1の孔として形成した空気抜き孔15が成型面に開口した形状を示している。この場合、成型面に開口するスリット83の端部は、成型面内のそれぞれ異なる位置で終端している。また、このときの空気抜き孔15のスリット長さLは、屈曲形状に沿う一端から他端までの長さ寸法となる。
また、図10(c)に示す開口部84aは、環状のスリット84を成型面から背面に貫通させて形成した空気抜き孔15が成型面に開口した形状である。この場合、スリット84の内周側と外周側とに互いの位置関係に位置ずれが生じないように図外の支持手段により内周と外周とを連結しておくとよい。
また、図10(d)に示す開口部85aは、直線状に複数の孔85zを断続的に配置して1つのスリット85を形成した空気抜き孔15が、成型面に開口した形状を示している。このときの空気抜き孔15のみかけのスリット長さLは、スリット85の一端から他端までの長さ寸法とみなすことができる。
また、図10(e)に示す開口部86aは、成型面から背面に貫通する複数の円弧状の孔86zにより、1つの環状のスリット86を形成するように空気抜き孔15を形成したときの、成型面に開口した形状を示している。このときの空気抜き孔15のスリット長さLは、スリット85の一周分の周長を、真比重に対するかさ比重のようにみかけの長さ寸法とみなすことができる。実際には、真のスリット長さLは、それぞれのスリット長さの合計となることは言うまでもない。
また、図10(f)に示す開口部87aは、図10(e)に示した円弧状の孔86zよりも円周方向の長さが短い、成型面から背面に貫通する複数の孔87zを環状に断続的に配置して一つのスリット87を形成するように空気抜き孔15が、成型面に開口した形状を示している。このときの空気抜き孔15のスリット長さLは、スリット85の一周分の周長がみかけの長さ寸法とみなすことができる。
なお、図10(a)〜(f)を構成するスリット81乃至87の開口部における幅Wは、上記0.5mmよりも小さい値に設定される。また、上記環状とは、円形状、矩形状等の無端形状を含む。
図11は、空気抜き孔15が成型面11aから分割面11cに貫通するときの透視拡大図である。同図に示すように、空気抜き孔15は、成型面11aからトレッド金型11の分割面11cに向けて延長している。空気抜き孔15を形成するスリット37は、成型面11a側から背面11b側に向けて所定長さ直線状に延長したのち、成型面11aと背面11bとの厚さの範囲内において、例えば屈曲するように奥行方向において延長する方向を変えて分割面11cに開口している。同図に示すスリット37は、奥行方向において断面形状が変化しないように、例えば成型面11a側の開口部37aの長さL37aと、分割面11c側の開口部37bの長さL37bとが同じ寸法で形成されている。また、スリット37の成型面11a側の幅W37a及び分割面11c側の幅W37bが、それぞれ例えば0.001mm以上0.4mm以下の範囲に設定される。なお、上述したように、スリット37は、幅W37a,W37bが上記範囲内にあれば、成型面11a側の開口部37aから分割面11c側の開口部37bに至る区間において奥行方向と直交する断面の面積が増減するように形状を変化しても良い。このように空気の排出口となる開口部37bを分割面11cに開口させた場合、タイヤ成型時の隣接するトレッド金型11の対向する分割面11c同士の接触により十分な隙間寸法が得られないときには、図11の点線で示すように開口部37bを含み分割面11cの延長する方向に沿うように延長する溝k1を分割面11cに設けたり、背面11bに向かう図示しない溝を設けて空気を排出するようにすれば良い。
また、スリットの幅Wを0mmより大きく0.09mmより小さい範囲に設定することにより、タイヤ表面に形成されたスピューは、加硫成型後のスピューの除去工程を経ない状態において、幅が0.09mmより小さく、且つタイヤ表面に沿ったスピューの高さが、0mm以上2.0mmより小さくなるので、スピューを除去する工程を不要にすることができる。
また、スリットの幅Wを0mmより大きく0.06mmより小さい範囲に設定することにより、タイヤ表面に形成されたスピューは、加硫成型後のスピューの除去工程を経ない状態において、幅が0.06mmより小さく、且つタイヤ表面に沿ったスピューの高さが、0mm以上0.5mm以下であるので、スピューを除去する工程を不要にすることができる。
図13は、積層造形装置40の一実施形態を示す図である。同図に示すように、積層造形装置40は、所定距離離間して設けられた左右一対のステージ41,42と、左右のステージ41,42の間に昇降自在に配備されたワークテーブル43とを備える。左右のステージ41,42は、それぞれの上面41a,42aで同一平面を形成するように水平に同じ高さに設定される。ステージ41,42は、上下方向に延長する中空の円筒状のシリンダ44,45を備える。シリンダ44,45は、ステージ41,42の上面41a,42aに開口する。シリンダ44,45の内部には、内周面に沿って摺動可能なピストン46A,47Aを有するフィーダ46,47が設けられる。フィーダ46,47は、図外の造形制御装置から出力される信号に基づいて駆動する図外の駆動機構の動作により、シリンダ44,45の軸線方向に沿って昇降する。ピストン46A,47Aの上側には、金型の母材となる金属粉末Sがステージ41,42の上面まで充填される。
各タイヤを試作する際の金型には、従来例の空気等排出性能と同じになるように、比較例1〜5、実施例1〜15に空気抜き孔を形成した。また、試作する際の加硫成型の条件は一定とした。
また、実施例1乃至実施例15に示すように、空気抜き孔の幅を0.5mmより小さくしてゆくにつれて、スピュー高さが減少してゆくことが分かった。つまり、従来例、比較例1乃至比較例4では、空気抜き孔の幅が0.5mm以上では、図16の(a),(b)のS1,S2に示すように、タイヤ表面に形成されるスピューの高さに変化が見られなかったが、幅Wを0.5mmより小さくしてゆくと、図16の(c)〜(g)のS4〜S7に示すように、スピューの高さが低くなることが分かった。これにより、スピューを除去する工程も不要となることが分かった。
また、実施例6乃至実施例15に示すように、空気抜き孔の幅を0.09mmよりも小さくするにつれて、1つの空気抜き孔により形成されるスピューが、図16の(e),(f),(g)のS5〜S7に示すように、タイヤ表面に沿う長さ方向において断続的に形成されることが分かった。すなわち、スピュー先端形状及びスピュー形成状態に示すように、スピュー先端における形状、つまりスピューの長さ方向において高さにばらつきが生じはじめ、最終的には、断続的に形成されるようになることが分かった。また、実施例9乃至実施例15に示すように、空気抜き孔の幅を0.06mmよりも小さくするにつれて、図16(g)のS7に示すように断続的に形成されていたスピューが、徐々に形成されなくなり、スピューは完全に消失してゆくことが分かった。つまり、タイヤ表面にスピューが形成されない状態となる。この場合、図16(h)のS8に示すように空気抜き孔の痕のみが表面にみられる状態(スピュー高さが0mm)、すなわち、空気抜き孔の開口縁にタイヤ表面を押しつけた痕のみが見られるような平らな状態となる。特に、実施例13乃至実施例15に示すように、空気抜き孔の幅を0mmより大きく0.01mm以下とすることにより、スピューがほとんど形成されなくなることが分かった。なお、実施例9乃至実施例12では、スピュー高さが観測されてはいるものの、すべての空気抜き孔において観測されたものではないため、実質的にはスピューの発生がない、すなわち、消失したものとしてスピュー形成形態では評価した。
また、実施例1乃至実施例15は、従来例、比較例1乃至比較例4のいずれに対しても、外観性能、運動性能及び耐摩耗性能に優れることが分かった。特に、実施例9〜15に示すように、空気抜き孔の幅を0に近づくように小さくしてゆくことにより、外観性能、運動性能及び耐摩耗性能が大きく向上してゆくことが分かった。
なお、比較例5に示すように、空気抜き孔の幅を0mmとした場合には、加硫成型することができなかった。
以上説明したように、本実施形態に係る金型を用いて未加硫のタイヤを成型するタイヤの製造方法によれば、スピューによるタイヤの初期性能、外観性能、運動性能及び摩耗性能への影響を抑えることが可能になり、初期性能、外観性能、運動性能及び摩耗性能に優れたタイヤを形成することができる。
なお、空気抜き孔15の他の形成例として、背面11bから延長する空気抜き孔15の一端側を溝成型部13の一側面と他側面の両方に開口するように分岐させて形成しても可能である。すなわち、溝成型部13を一側面から他側面に貫通するスリット状の孔と、この孔に一端が開口し、他端が背面溝20に開口するスリット状の孔により空気抜き孔15を形成しても良いが、この場合、溝成型部13の一側面に開口する開口部の面積と他側側に開口する開口部の面積との和が、背面11bに至る孔の断面積、及び背面11b側に開口する面積と等しくなるように形成することが好ましい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
15 空気抜き孔、20A乃至20H 背面溝、31乃至35 スリット、
T タイヤ。
Claims (11)
- 未加硫のゴムに型付けする成型面を有し、タイヤ円周方向に複数に分割されたセクショナルモールド用のタイヤ用金型であって、
前記成型面から背面に貫通する空気抜き孔と、
前記背面に、タイヤ円周方向の一端側の分割面と他端側の分割面にかけて延長し、前記空気抜き孔が開口する溝とを備え、
前記空気抜き孔の成型面に開口する幅が、0mmより大きく0.5mmより小さいことを特徴とするタイヤ用金型。 - 前記空気抜き孔は、一の孔で形成されたスリット、または、複数の孔を点線状に配置して形成されたスリットからなり、
前記スリットが成型面に開口する形状は、端部が終端、または環形状、もしくはそれらを組合せた形状で形成されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用金型。 - 前記空気抜き孔は、当該孔の成型面から背面に貫通する際の奥行方向と直交する方向の断面において、直線状、または湾曲状、または屈曲状、もしくはそれらを組み合わせた断面形状で構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ用金型。
- 前記空気抜き孔は、成型面から背面に向かって直線状、または湾曲状、または屈曲状、もしくはそれらを組み合わせた形状で延長することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載のタイヤ用金型。
- 前記空気抜き孔は、前記成型面の前記未加硫のゴムに凹部を型付けする部分以外に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載のタイヤ用金型。
- 前記タイヤ用金型をラピッドプロトタイピング法により製作したことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれかに記載のタイヤ用金型。
- 請求項1乃至請求項6いずれかに記載のタイヤ用金型によってタイヤ表面が型付けされたタイヤであって、
前記空気抜き孔により形成されたスピューは、成型後の当該スピューを除去しない状態において、幅が0mmより大きく0.5mmより小さく、
且つ、高さが0mm以上7.5mmより小さいことを特徴とするタイヤ。 - 前記スピューは、幅が0.09mmより小さく、
且つ、高さが、0mm以上2.0mmより小さいことを特徴とする請求項7に記載のタイヤ。 - 前記スピューは、幅が0.06mmより小さく、
且つ、高さが0mm以上0.5mm以下であることを特徴とする請求項7又は請求項8いずれかに記載のタイヤ。 - 前記スピューは、1つの前記空気抜き孔により型付けされたタイヤ表面に沿う長さ方向に高さが変化することを特徴とする請求項7乃至請求項9いずれかに記載のタイヤ。
- 前記スピューは、1つの前記空気抜き孔により型付けされたタイヤ表面に沿う長さ方向に断続して形成されることを特徴とする請求項7乃至請求項10いずれかに記載のタイヤ。
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