JP6536269B2 - 圧電素子及び圧電アクチュエータ - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子及び圧電アクチュエータに関する。
互いに対向する第一及び第二主面を有する圧電素子と、圧電素子を支持する支持部材と、を備えた圧電アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の圧電アクチュエータでは、ハードディスク装置(HDD)用のサスペンションのアクチュエータベースが上記支持部材に相当しており、圧電素子は、その変位をアクチュエータベースに伝達する。
特開2012−155832号公報
本発明は、変位のばらつきが抑制されている圧電素子及び圧電アクチュエータを提供することを目的とする。
本発明者らは、変位のばらつきが抑制されている圧電素子について、調査研究を行った。その結果、本発明者らは、以下の事実を見出し、本発明を想到するに至った。
圧電素子における変位のばらつきは、圧電素子の形状に起因している。すなわち、圧電素子の形状が、その変位に影響を与えており、形状のばらつきが変位のばらつきの要因となっている。圧電素子は、一般に、圧電セラミック材料を焼成する過程を経て形成される。圧電セラミック材料を焼成する過程を経ると、圧電素子に歪み又は撓みなどが生じる可能性がある。歪み又は撓みなどは、圧電素子間で一様に制御することが難しく、圧電素子毎で異なってしまう。このため、圧電素子の形状にばらつきが生じ、変位がばらついてしまう。したがって、圧電素子の形状のばらつきを抑制することが可能であれば、変位のばらつきが抑制されている圧電素子を実現することができる。
そこで、本発明に係る圧電素子は、互いに対向する第一及び第二主面を有する圧電体と、第一主面上に配置されており、第一極性とされる外部電極と、第一主面と第二主面とが対向している方向で外部電極と対向するように圧電体内に配置されており、第一極性とは異なる第二極性とされる内部電極と、を備え、圧電体における、内部電極から外部電極までの領域が分極されている分極領域であり、内部電極から第二主面までの領域が分極されていない未分極領域である。
本発明に係る圧電素子では、分極領域が第一主面側に配置されており、未分極領域が第二主面側に配置されている。分極領域には分極による歪が残留するため、圧電素子は第一主面側が湾曲内側となるように撓んだ形状を呈する。分極領域と未分極領域とに起因した圧電素子の撓みにより、圧電素子の形状が制御され、圧電素子の形状にばらつきが生じ難い。したがって、本発明によれば、変位のばらつきが抑制されている圧電素子を実現することができる。
内部電極から外部電極までの距離は、内部電極から第二主面までの距離以上であってもよい。この場合、分極領域の厚さは、未分極領域の厚さ以上となる。このため、たとえば、分極領域の厚さが未分極領域の厚さ未満である圧電素子に比して、圧電素子は、撓んだ形状をより確実に呈する。したがって、変位のばらつきがより確実に抑制されている圧電素子を実現することができる。
上記圧電素子は、厚さが100μm以下であってもよい。厚さが100μm以下である圧電素子では、厚さが100μmより大きい圧電素子に比して、分極領域に残留する歪の影響が大きい。したがって、圧電素子の厚さが100μm以下である場合、圧電素子は、撓んだ形状をより一層確実に呈する。
本発明に係る圧電アクチュエータは、上記圧電素子と、圧電素子を第一主面側で接着剤樹脂を介して支持する支持部材と、を備える。
本発明に係る圧電アクチュエータでは、上記圧電素子を備えるため、変位のばらつきが抑制されている。また、圧電素子の外部電極が第一主面側に配置されているため、支持部材に設けられた接着樹脂と外部電極との接着面積を増大させることができる。
本発明によれば、変位のばらつきが抑制されている圧電素子及び圧電アクチュエータを提供することができる。
実施形態に係るサスペンションを示す概略平面図である。 図1に示されたII−II線に沿った断面構成を説明するための図である。 図1に示された圧電素子の構成及び固定構造を示す斜視図である。 図1に示された圧電素子の動作を説明するための図である。 図1のサスペンションの動作を説明するための図である。 比較例に係るサスペンションを示す図である。 図6に示された圧電素子の固定構造を示す斜視図である。 図6に示された圧電素子の製造方法について説明するための図である。 図6に示された圧電素子の形状のばらつきについて説明するための図である。 図6に示された圧電素子の動作を説明するための図である。 図6のサスペンションの動作を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図3を参照して、本実施形態に係る圧電アクチュエータの構成を説明する。本実施形態は、HDD用のサスペンション10が圧電アクチュエータを含んでいる例である。図1は、実施形態に係るサスペンションを示す概略平面図である。図2は、図1に示されたII−II線に沿った断面構成を説明するための図である。図3は、図1に示された圧電素子の構成及び固定構造を示す斜視図である。
図1に示されたデュアル・アクチュエータ方式のサスペンション10は、ロードビーム11と、マイクロアクチュエータ部12と、ベースプレート13と、ヒンジ部材14と、を備えている。
ロードビーム11は、ばね性を有する金属板からなる。ロードビーム11の厚さは、例えば100μm程度である。ロードビーム11の先端部には、フレキシャ15が取付けられている。フレキシャ15は、ロードビーム11よりもさらに薄い金属製の薄板ばねからなる。フレキシャ15の前端部に、磁気ヘッドを構成するスライダ16が配置されている。
ベースプレート13の基部20に、円形のボス孔21が形成されている。ベースプレート13の基部20と前端部22との間には、後述する圧電素子40を収容可能な大きさの一対の開口部23が形成されている。一対の開口部23の間に、ベースプレート13の前後方向(サスペンション10の長手方向)に延びる帯状の連結部24が設けられている。連結部24は、ベースプレート13の幅方向(サスペンション10の長手方向と交差する方向)への所定範囲の撓みが許容されるように構成されている。
ベースプレート13の基部20は、図示しないボイスコイルモータによって駆動されるアクチュエータアームの先端部に固定されている。これにより、ベースプレート13は、ボイスコイルモータによって旋回駆動される。ベースプレート13は、ステンレス鋼などの金属板からなる。ベースプレート13の厚さは、例えば200μm程度である。本実施形態の場合、ベースプレート13とヒンジ部材14とによって、アクチュエータベース25が構成されている。
ヒンジ部材14は、基部30と、ブリッジ部31と、中間部32と、一対のヒンジ部33と、先端部34と、を有している。基部30は、ベースプレート13の基部20に重ねて固定されている。ブリッジ部31は、帯状を呈し、ベースプレート13の連結部24と対応した位置に形成されている。中間部32は、ベースプレート13の前端部22と対応した位置に形成されている。各ヒンジ部33は、板厚方向に弾性変形可能な可撓性を有している。先端部34は、ロードビーム11に固定されている。ヒンジ部材14は、ばね性を有する金属板からなる。ヒンジ部材14の厚さは、例えば50μm程度である。
図2にも示されるように、マイクロアクチュエータ部12には、一対の圧電素子40が配置されている。各圧電素子40は、いわゆる積層型圧電素子である。圧電素子100の厚さは、例えば、100μm以下であり、好ましくは70μm以下である。各圧電素子40は、図2にも示されるように、圧電体41と、第一外部電極42と、第二外部電極43と、内部電極44とを備えている。
圧電体41は、長方形平板状を呈している。圧電体41は、第一及び第二主面41a,41bと、第一及び第二端面41c,41dと、を含んでいる。第一及び第二主面41a,41bは、第一方向D1(圧電素子40の厚さ方向)で互いに対向している。第一及び第二端面41c,41dは、第二方向D2(圧電素子40の長手方向)で互いに対向している。第一及び第二端面41c,41dは、第一及び第二主面41a,41bを接続するように、第一方向D1に延びている。
圧電体41の外形寸法は、例えば、長さ1.5mm、幅0.45mm、厚さ0.05mmである。ここでは、圧電体41は、圧電セラミックからなる。圧電セラミックとしては、PZT[Pb(Zr,Ti)O]、PT[PbTiO]、PLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O]、又はチタン酸バリウム[BaTiO]などが挙げられる。圧電体41は、例えば、PZTなどの圧電セラミック材料で構成されている。
圧電体41における、電極部分42aから内部電極44までの領域は分極されている分極領域411であり、内部電極44から第二主面41bまでの領域は分極されていない未分極領域412である。ここで、分極されている状態とは、自発分極の向きがランダムな状態ではなく、自発分極の向きが一方向に揃った状態である。分極領域411には分極による歪が残留し、第一方向D1に伸長するとともに、第二方向D2に収縮している。このため、圧電素子40は第一主面41a側が湾曲内側となるように撓んでいる。撓み量Δtは、10μm程度である。なお、図2では、理解を容易にするため、撓み量Δtが大きく示されている。
第一外部電極42は、圧電体41の第一主面41a上に配置されている電極部分42aと、第一端面41c上に配置されている電極部分42bと、を有している。
電極部分42aの第二方向D2の一端は、電極部分42bの第一方向D1における一端と電気的に接続されている。電極部分42aの第二方向D2の他端は、第二端面41dから離間している。第二方向D2におけるその離間距離は、例えば、0.1mmである。電極部分42bは、第一端面41cの全部を覆うように配置されている。電極部分42a,42bの厚さは、200〜500nm程度に設定される。
第二外部電極43は、第一主面41a上に配置されている電極部分43aと、第二端面41d上に配置されている電極部分43bと、第二主面41b上に配置されている電極部分43cと、を有している。
電極部分43aの第二方向D2の長さは、例えば、0.1mmである。電極部分43aの第二方向D2の一端は、電極部分42aの第二方向D2の他端から離間している。第二方向D2におけるその離間距離は、第一主面41aにおいて第一及び第二外部電極42,43から露出した露出部分41eの第二方向D2の長さに等しく、例えば、0.1mmである。電極部分43aの第二方向D2の他端は、電極部分43bの第一方向D1における一端と電気的に接続されている。
電極部分43cの第二方向D2の長さは、電極部分43aの第二方向D2の長さと同等である。電極部分43cの他端は、電極部分43aの第一方向D1における他端と電気的に接続されている。電極部分43a〜43cの厚さは、電極部分42a,42bの厚さと同程度に設定される。すなわち、電極部分43a〜43cの厚さは、例えば200〜500nm程度に設定される。
第一及び第二外部電極42,43は、互いに異なる極性とされる。例えば、第一外部電極が正極とされる場合、第二外部電極は負極とされ、第一外部電極が負極とされる場合、第二外部電極は正極とされる。本実施形態では、第一及び第二外部電極42,43は、Cr/Ni−Cu/Au積層構造(圧電体41側から順にCr層、Ni−Cu合金層、Au層が積層された構造)からなる。すなわち、第一及び第二外部電極42,43は、同じ積層構造を有している。
第一及び第二外部電極42,43は、例えば、スパッタリング法により形成されている。なお、第一及び第二外部電極42,43は、スパッタリング法以外の方法(例えば、焼き付け法、電解めっき法、又は蒸着法など)により形成されていてもよい。第一及び第二外部電極42,43は、単層の同じ金属層(Cr層、Ni−Cu合金層、Au層、又はNi層など)として形成されていてもよく、例えば、第一及び第二外部電極42,43がAuまたはPtからなってもよい。
内部電極44は、圧電体41の内部に配置されている。内部電極44は、圧電体41の第一方向D1の中央に配置されている。内部電極44は、第一及び第二主面41a,41bと対向すると共に略平行に配置されている。すなわち、内部電極44は、電極部分42aと第一方向D1で対向すると共に略平行に配置されている。
内部電極44から電極部分42aまでの距離t1は、内部電極44から第二主面41bまでの距離t2以上である。すなわち、分極領域411の厚さ(第一方向D1の長さ)は、未分極領域412の厚さ以上である。ここでは、距離t1は、距離t2と同等である。すなわち、分極領域411の厚さは、未分極領域412の厚さと同等である。
内部電極44の第二方向D2の一端は、第一端面41cから離間している。第二方向D2のその離間距離は、例えば、0.1mmである。内部電極44の第二方向D2の他端は、電極部分43bに接続されている。したがって、内部電極44と第二外部電極43とは同じ極性とされる。本実施形態では、内部電極44は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、Ag,Pd,Au,Ptやそれらの合金など)からなる。内部電極44は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
各圧電素子40は、圧電素子40の長手方向が、ベースプレート13の前後方向(サスペンション10の軸線方向)に沿うようにして、対応する開口部23に収容されている。すなわち、各圧電素子40は、対応する開口部23に配置されている。
図2及び図3に示されるように、各圧電素子40は、第二方向D2の一端側において、ヒンジ部材14の中間部32に支持されるように、中間部32に導電性樹脂50を介して固定されている。詳細には、電極部分42aの第一端面41c側と、電極部分42bの第一主面41a側と、がそれぞれ導電性樹脂50を介して中間部32に固定されて支持されている。導電性樹脂50は、導電性材料(例えば金属粒子など)を含有する樹脂である。導電性樹脂50は、図示しない電気配線に電気的に接続されている。
各圧電素子40は、第二方向D2の他端側において、ヒンジ部材14の基部30に支持されるように、基部30に導電性樹脂50を介して固定されている。詳細には、電極部分43aの全部と、電極部分43bの全部と、電極部分43cの第二端面41d側と、露出部分41eの第二端面41d側と、がそれぞれ導電性樹脂50を介して基部30に固定されて支持されている。導電性樹脂50は、図示しない電気配線に電気的に接続されている。
圧電素子40は、上述したように、中間部32、及び基部30により拘束されて支持されている。中間部32、及び基部30は、圧電素子40を拘束して支持する支持部材として機能する。本実施形態においては、サスペンション10が、圧電素子40と、支持部材と、を備える圧電アクチュエータを含むこととなる。
続いて、図4及び図5を参照して、圧電素子40及びサスペンション10(圧電アクチュエータ)の動作について説明する。図4は、図1に示された圧電素子の動作を説明するための図である。図5は、図1のサスペンションの動作を説明するための図である。
図4の(a)に示された圧電素子40及び図5の(a)に示されたサスペンション10では、第一及び第二外部電極42,43と内部電極44とに電圧が印加されておらず、圧電体41に電界が印加されていない。第一及び第二外部電極42,43に電圧が印加されることにより圧電素子40が駆動されると、第一及び第二外部電極42,43と内部電極44とを通して、圧電体41の分極領域411に所定の電界が印加される。これにより、分極領域411は第一方向D1に伸長する。ここでは、第一方向D1は圧電素子40の駆動方向である。
これに対して、未分極領域412は、圧電的に不活性な領域であり、第一及び第二外部電極42,43に電圧が印加されても変位しようとしない。このため、駆動時における圧電素子40では、第一主面41a側での変位量が第二主面41b側での変位量よりも大きくなる。したがって、圧電素子40が伸びる方向に変位する際、図4の(b)及び図5の(b)に示されるように、圧電素子40の撓みが抑制される。これにより、サスペンション10では、図5の(b)に示されるように、圧電素子40の変位を適切に支持部材に伝達させることができる。
次に、図6〜図11を参照して、比較例に係る圧電アクチュエータについて説明しながら、本実施形態に係る圧電素子40の効果について説明する。
図6は、比較例に係るサスペンションを示す図である。図7は、図6に示された圧電素子の固定構造を示す斜視図である。図6及び図7に示されるように、比較例に係るサスペンション110は、圧電素子100と、圧電素子100を支持する一対の支持部材104と、を備えている。圧電素子100は、圧電体101と、外部電極102,103と、を備えている。圧電体101は、長方形平板状を呈し、厚さ方向で互いに対向する一対の主面101a,101bを有する。外部電極102は、主面101aに配置されている。外部電極103は、主面101bに配置されている。外部電極102の厚さと外部電極103の厚さとは同等である。
圧電素子100の両端部は、主として主面101a側が導電性樹脂105及び樹脂106により支持部材104に固定されている。すなわち、圧電素子100は、主面101a側から圧電体101に作用する拘束力が、主面101b側から圧電体101に作用する拘束力より大きい状態で支持部材104に拘束されて支持されている。
図8は、図6に示された圧電素子の製造方法について説明するための図である。図8の(a)に示されるように、圧電素子100を製造する際は、まず、焼成後の圧電体基板と、圧電体基板の各主面上に配置された電極膜と、を備える圧電素子基板200を準備する。圧電体基板には、焼成時に歪み又は撓みなどが発生する。圧電体基板の歪み又は撓みなどは、圧電素子基板200にも反映されている。続いて、図8の(b)に示されるように、圧電素子基板200を圧電素子100の長さに対応する幅でダイシングして短冊状にした後、更に圧電素子100の幅でダイシングする。これにより、個片化された圧電素子100が得られる。
図9は、図6に示された圧電素子の形状のばらつきについて説明するための図である。上述の圧電体基板の歪み又は撓みなどは、圧電体基板が薄型化及び薄層化されるほど顕著となり、アニール処理及びダイシングの際に用いられる吸着テープによりある程度は矯正されるものの、完全には除去されない。このため、得られた圧電素子100の形状は、圧電素子100毎にばらつく。例えば、図9の(a)に示されるように、歪み又は撓みなどのない理想的な形状、図9の(b)に示されるように、歪みのある形状、及び図9の(c)に示されるように、撓みのある形状などが混在する。この結果、圧電素子100の変位も、圧電素子100毎にばらつく。
これに対して、本実施形態に係る圧電素子40では、分極領域411が第一主面41a側に配置されており、未分極領域412が第二主面41b側に配置されている。分極領域411には分極による歪が残留するため、圧電素子40は第一主面41a側が湾曲内側となるように撓んだ形状を呈する。分極領域411と未分極領域412とに起因した圧電素子40の撓みにより、圧電素子40の形状が制御され、圧電素子40の形状にばらつきが生じ難い。このように圧電素子40では、形状にばらつきが生じ難く、形状が揃うので、形状がばらつく比較例に係る圧電素子100に比べて、変位のばらつきが抑制されている。
また、圧電素子40では、内部電極44から電極部分42aまでの距離t1は、内部電極44から第二主面41bまでの距離t2以上である。すなわち、分極領域411の厚さは、未分極領域412の厚さ以上となる。このため、たとえば、分極領域の厚さが未分極領域の厚さ未満である圧電素子に比して、圧電素子40は、撓んだ形状をより確実に呈する。更に、圧電素子40は、厚さが100μm以下であるため、厚さが100μmより大きい圧電素子に比して、分極領域に残留する歪の影響が大きい。したがって、圧電素子40は、撓んだ形状をより一層確実に呈する。
図10は、図6に示された圧電素子の動作を説明するための図である。圧電素子100は、外部電極102,103を通して圧電体101に所定の電界が印加されると、図10の(a)に示されるような駆動前の状態から、図10に(b)に示されるような駆動時の状態へと変化する。圧電素子100は、駆動時の状態において、一対の主面101a,101bが対向する方向に対して直交する方向である駆動方向D0に伸長する。
図11は、図6のサスペンションの動作を説明するための図である。圧電素子100(圧電体101)の剛性が低下していると、圧電素子100は、図11の(a)に示されるように、駆動前の状態では駆動方向D0に略平行に支持部材111に支持され、撓んでいなかったとしても、図11の(b)に示されるように、駆動時の状態では撓んで変形する。すなわち、圧電素子100は、上述した状態で支持部材111に拘束されて支持されているため、駆動時の状態では拘束力が小さい主面101b側が湾曲外側となるように撓む。このように、圧電素子100が撓んで変形することにより、圧電素子100は、変位を適切に支持部材104に伝達することができない。
これに対して、本実施形態に係る圧電素子40では、未分極領域412は、圧電的に不活性な領域であるため、圧電素子40が変位する際、第一主面41a側での変位量が第二主面41b側での変位量よりも大きくなる。したがって、圧電素子40は、伸びる方向に変位する際、第一主面41a側が湾曲外側となるように撓もうとする。これにより、分極領域411に残留する歪により圧電素子40に生じていた、第一主面41a側が湾曲内側となる撓みが抑制される。しかも、圧電素子40では、第一主面41a側が中間部32及び基部30により拘束されて支持されている。したがって、第一主面41a側が湾曲外側となるように圧電素子40が撓むことが、中間部32及び基部30により抑制される。この結果、圧電素子40は、変位を適切に中間部32及び基部30に伝達することができる。
また、比較例に係る圧電素子100が変位する際は、図11に示されるように、導電性樹脂105及び樹脂106が、駆動方向D0に垂直な方向に引っ張られ、剥がれやすくなる。これに対して、本実施形態に係る圧電素子40が変位する際は、図5に示されるように、導電性樹脂50は、第一方向D1に圧縮される力を受ける。したがって、導電性樹脂50の剥がれが抑制される。
また、圧電素子40の電極部分42aは、第一主面41aに配置されている。このため、第二主面41b側が中間部32及び基部30により支持されている場合に比べて、第一主面41a側が中間部32及び基部30により支持されていることにより、中間部32に設けられた導電性樹脂50と電極部分42aとの接着面積を増大させることができる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
ヒンジ部材14の基部30及び中間部32が支持部材として機能しているが、これに加えて、例えば、ベースプレート13の基部20及び前端部22、ベースプレート13の連結部24などが支持部材として機能してもよい。
圧電素子40では、第一外部電極42は、少なくとも電極部分42aを有していればよく、電極部分42bを有していなくてもよい。また、第一及び第二外部電極42,43が同じ材料からなっていてもよい。
本発明は、HDD用のサスペンション10のマイクロアクチュエータ部12以外の圧電アクチュエータに用いることができる。
10…サスペンション、30…基部、32…中間部、40…圧電素子、41…圧電体、41a…第一主面、41b…第二主面、411…分極領域、412…未分極領域、42…第一外部電極、42a…電極部分、44…内部電極、50…導電性樹脂、D1…第一方向、t1,t2…距離。

Claims (4)

  1. 互いに対向する第一及び第二主面を有する圧電体と、
    前記第一主面上に配置されており、第一極性とされる第一外部電極と、
    前記第一主面と前記第二主面とが対向している方向で前記第一外部電極と対向するように前記圧電体内に配置されており、前記第一極性とは異なる第二極性とされる内部電極と、
    前記圧電体上に配置されており、前記内部電極に接続された第二外部電極と、を備え、
    前記圧電体における、前記内部電極から前記第一外部電極までの領域が分極されている分極領域であり、前記内部電極から前記第二主面までの領域が分極されていない未分極領域であり、
    前記第二主面には、前記第一外部電極と接続されている電極が配置されていない、圧電素子。
  2. 前記内部電極から前記第一外部電極までの距離は、前記内部電極から前記第二主面までの距離以上である、請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記圧電素子の厚さが100μm以下である、請求項1又は2に記載の圧電素子。
  4. 電素子と、
    前記圧電素子を前記第一主面側で接着剤樹脂を介して支持する支持部材と、を備え
    前記圧電素子は、
    互いに対向する第一及び第二主面を有する圧電体と、
    前記第一主面上に配置されており、第一極性とされる外部電極と、
    前記第一主面と前記第二主面とが対向している方向で前記外部電極と対向するように前記圧電体内に配置されており、前記第一極性とは異なる第二極性とされる内部電極と、を備え、
    前記圧電体における、前記内部電極から前記外部電極までの領域が分極されている分極領域であり、前記内部電極から前記第二主面までの領域が分極されていない未分極領域である、圧電アクチュエータ。
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