JP2007150188A - 圧電デバイスの制御方法 - Google Patents

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幸司 池田
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Abstract

【課題】位置決めの動作速度が高速である圧電デバイスを実現する手段を提供すること。
【解決手段】圧電デバイス10の圧電素子24aには、分極方向と逆向きの電界をかけ、また圧電素子24bには、分極方向と同じ向きの電界をかけ、圧電デバイス10に変位を生じさせ、前記圧電素子24a、24bとが配設された薄板部16a、16bを撓ませる圧電デバイス10の制御方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、圧電素子の変位動作に基づいて作動する可動部を備えた圧電デバイス(アクチュエータ等)、又は可動部の変位を圧電素子により検出することが可能な圧電デバイス(センサ等)、の制御方法に関する。
光学や磁気記録、精密加工等の分野において、サブミクロンオーダーで光路長や位置を調整することが可能な変位素子のニーズが高まっている。そして、それに伴い、強誘電体等の圧電材料に電圧を印加したときに惹起される逆圧電効果等に基づく変位を利用した素子や、それを用いたデバイスの開発が進められている。例えば、特許文献1には、バイモルフ素子を用いたアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、分割して設けられたバイモルフの電極を選択して駆動することにより、高精度な位置決めを高速に行うことが出来るものであり、特許文献1の図4には、2枚のバイモルフを対向させて使用する構造が示されている。
ところが、このアクチュエータには、可動部分の作動量が小さいという問題があった。又、このアクチュエータを含む圧電材料を用いたアクチュエータでは、全ての部分を脆弱で比較的重い材料である圧電材料によって構成しているため、機械的強度が低く、ハンドリング性、耐衝撃性、耐湿性に劣り、加えて、アクチュエータ自体が重く作動時に有害な振動の影響を受け易い、という問題を抱えていた。更に、外力に対して弱い構造のものが多く、高共振周波数化を図ることが困難である、という問題を有していた。
これに対し、特許文献2には、一対の薄板部の少なくとも片方に圧電素子を配設したデバイスが開示されている。このデバイスは、例えばアクチュエータとして利用した場合に、外力に対する強度が高く、高共振周波数化を容易に達成出来、薄板部の撓み量が大きく、有害な振動の影響を受け難く、応答が速く、機械的強度が高く、高レベルのハンドリング性・耐衝撃性・耐湿性を有する、という優れた圧電デバイスであり、上記の課題を解決したもの、といえた。
特開昭63−64640号公報 特許第3436725号公報 特許第3466550号公報 特開2001−320099号公報 特開2002−289936号公報
しかしながら、圧電材料を用いたデバイスに対する性能向上の望みは尽きず、例えばアクチュエータについていえば、近時、特に、位置決めの精度を少なくとも維持しつつ、位置決めの動作速度の更なる高速化を要求する声が多く聞かれるようになった。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記要望に応えるため、特許文献2に開示された圧電デバイスの更なる性能向上を実現する手段を提供することにある。
本出願人は検討を重ねた結果、特許文献2に開示された圧電デバイスを、例えばアクチュエータとして用いる場合に、薄板部の剛性を高めることによって、圧電素子の変位に基づく振動の共振周波数を更に高め、もって位置決め動作の高速化を図ることが可能なことに想到した。しかし、一方、薄板部の剛性を高めると、圧電素子の性能が同じ場合には、位置決め動作にかかるアクチュエータとしての薄板部の撓み量は小さくなってしまうため、別途、圧電素子にかける電圧を高める等の対策が必要となるという問題に直面した。高電圧化は、電源系統が複雑になりコスト増を招来するため、好ましくない。そこで、更なる研究を進め、その結果、一対の薄板部の両方に圧電素子を配設し、その一方の薄板部に配設された圧電素子において、(圧電層の)分極方向と同じ方向に(駆動)電圧を印加するとともに、他方の薄板部に配設された圧電素子において、(圧電層の)分極方向と反対方向に、残留分極が消失しない程度の大きさの電圧を印加し、一方の薄板部をサポートするように他方の薄板部を撓ませることによって、薄板部の剛性を高めても、同じ電圧でアクチュエータとしての薄板部の撓み量を大きくすることが可能であることを見出すに至り、本発明を完成した。具体的には、本発明は、以下の手段を提供する。
即ち、本発明によれば、可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する方法であって、圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と逆向きの電界をかけて(圧電素子に)変位を生じさせ、圧電素子が配設された少なくとも1つの薄板部を撓ませる圧電デバイスの制御方法が提供される。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、制御対象である圧電デバイスは、一対の薄板部の両内壁と、可動部の内壁と、固定部の内壁と、により、孔部が形成されたものであることが好ましい。換言すれば、本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、一対の薄板部の両内壁と、可動部の内壁と、固定部の内壁と、により、孔部が形成された圧電デバイスを制御する方法として好適である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、制御対象である圧電デバイスは、可動部を一対有し、一対の薄板部の先端部分に、それぞれ可動部を備えるものであることが好ましい。換言すれば、本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、可動部を一対有し、一対の薄板部の先端部分に、それぞれ可動部を備える圧電デバイスを制御する方法として好適である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、制御対象である圧電デバイスは、固定部及び可動部が平板状を呈するとともに、薄板部を一対有し、その一対の薄板部が、固定部及び可動部の両側縁部から所定高さ起立して互いに対向して、固定部及び可動部の両側縁部に沿って形成されたものであることが好ましい。換言すれば、本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、固定部及び可動部が平板状を呈するとともに、薄板部を一対有し、その一対の薄板部が、固定部及び可動部の両側縁部から所定高さ起立して互いに対向して、固定部及び可動部の両側縁部に沿って形成された圧電デバイスを制御する方法として好適である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と同じ向きの電界をかける場合において、次の(1)式を満たすことが好ましい。
Figure 2007150188
但し、(1)式において、E1は圧電素子にかけられる分極方向と同じ向きの電界(V/mm)、t1はその分極方向と同じ向きの電界がかかる時間(sec)、E2は圧電素子にかけられる分極方向と逆向きの電界(V/mm)、t2はその分極方向と逆向きの電界がかかる時間(sec)、をそれぞれ示し、n=0.5である。n=1.0であることが好ましく、n=2.0であることが、より好ましい。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかける場合において、次の(2)式を満たすことが好ましい。
|E1|+|E2|=|Er| …… (2)
但し、(2)式において、E1は圧電素子にかけられる分極方向と同じ向きの電界(V/mm)、E2は圧電素子にかけられる分極方向と逆向きの電界(V/mm)、Erは分極方向と同じ向きのみの電界をかける場合の電界(V/mm、従来の制御方法の電界)、をそれぞれ示し、且つ、|E2|<|E0|である。尚、E0は圧電素子の残留分極が0(零)になる電界(V/mm、抗電界)である。
上記(2)式は、圧電素子の分極方向と逆向きの電界を(圧電素子に)かけて変位を生じさせる本発明に係る圧電デバイスの制御方法であって、圧電素子の分極方向と同じ向きの電界を(圧電素子に)かける場合の制御方法を実施する際の、圧電素子にかけられる分極方向と同じ向きの電界E1と、圧電素子にかけられる分極方向と逆向きの電界E2とを、分極方向と同じ向きのみの電界をかける従来の制御方法の場合の電界Erを基に決定する手段を示すものである。上記(2)式で求められるE1及びE2の範囲で圧電素子を駆動するように制御すれば、従来方法より効率が向上する。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と同じ向きの電界をかけない場合において、次の(3)式を満たすことが好ましい。
Figure 2007150188
但し、(3)式において、E0は圧電素子の残留分極が0(零)になる電界((V/mm)、即ち、抗電界)、Etは圧電素子にかけられる電界(V/mm)、Tは圧電層の厚さの設計値(μm)、σは圧電層の厚さにかかる標準偏差((μm)、ばらつき)、をそれぞれ示す。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子にかけられるそれの(圧電素子の)分極方向と逆向きの電界が、負の電界であることが好ましい。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子にかけられる電界が、変位量と比例関係にある範囲の電界であることが好ましい。電界と変位量とが比例関係にあるとは、両者の関係をグラフに示したときに直線的に示される関係にあることをいう。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、(正電圧電源を使用して)正電圧を印加することが好ましい。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、(負電圧電源を使用して)負電圧を印加することが好ましい。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、一対の薄板部のそれぞれに、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する場合に、一対の薄板部のそれぞれに配設された全ての圧電素子に、それ(各圧電素子)の分極方向と同じ向き及び逆向きの電界をかけて変位を生じさせるとともに、一方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、他方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、の位相をずらすことが好ましい。このとき、位相のずれが180°である(位相を180°ずらす)ことが好ましい。
次に、本発明によれば、可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設された圧電デバイスであって、上記少なくとも1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層の厚さと、他の圧電素子の圧電層の厚さと、が異なる圧電デバイスが提供される(本発明に係る第1の圧電デバイスとよぶ)。圧電層の厚さが異なるとは、例えば、一の圧電素子の圧電層の厚さが、他の圧電素子の圧電層の厚さより、厚いことを意味する。圧電層の1層の厚さは、2μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。一の圧電素子の圧電層の厚さと、他の圧電素子の圧電層の厚さとの差は、適宜、圧電層(圧電材料)の抗電界と組み合わせにより任意に設定することが可能であるが、0.5μm以上50μm以下が好ましい。
続いて、本発明によれば、可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設された圧電デバイスであって、上記少なくとも1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界と、他の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界と、が異なる圧電デバイスが提供される(本発明に係る第2の圧電デバイスとよぶ)。圧電材料の抗電界が異なるとは、例えば、一の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界が、他の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界より、大きいことを意味する。尚、本明細書において、単に、本発明に係る圧電デバイスというときには、本発明に係る第1及び第2の圧電デバイスの両方を指すものとする。
本発明に係る圧電デバイスにおいては、相対向する一対の薄板部のそれぞれに、2つの圧電素子が配設され、一方の薄板部の可動部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の固定部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きであり、一方の薄板部の固定部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の可動部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きであることが好ましい。
次に、本発明によれば、可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを製造する方法であって、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に配設される2つの圧電素子のためのそれぞれ分離した2つの信号電極と、2つの圧電素子に共通する1つの共通電極と、を作製し、2つの信号電極を2つの圧電素子毎に使用して、2つの圧電素子が相互に逆向きの分極方向になるように分極処理を施した後、2つの信号電極を接続する工程を含む圧電デバイスの製造方法が提供される。
尚、本明細書において、分極の方向について圧電素子の分極方向、と表現するが、これは、圧電素子を構成し圧電材料で形成される圧電層の分極方向を意味する。
先ず、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の効果について説明する。本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、圧電素子に、(一般に行われない)それの分極方向と逆向きの電界をかけて変位を生じさせる。そして、それによって圧電素子が配設された少なくとも1つの薄板部を撓ませるので、圧電素子における電界(印加する電圧)と変位量との関係が直線的な関係(比例する関係)の範囲において、又は電界に対し変位の変化量が大きい範囲において、逆圧電効果等に基づき、圧電素子に変位を生じさせ、これを利用して、例えばアクチュエータとして可動部に変位を生じさせることが出来る。そのため、同じ電圧(絶対値)を印加した場合に、分極方向と同じ向きのみの電界をかける場合に比較して、より大きな圧電素子の変位が得られ、電気/機械変換効率がよい。そして、圧電素子の変位がより大きくなることから、薄板部の剛性を高めても、同じ電圧で同じアクチュエータとしての薄板部の撓み量(又は可動部の変位量)を得ることが出来る。従って、圧電素子の変位に基づく振動の共振周波数を更に高められ、位置決め動作の高速化を図ることが可能である。
圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけて変位を生じさせると、分極が解け(残留分極が減少し)、圧電素子が所定の変位能力を発揮しなくなる。あるいは、分極反転が起きて逆方向に分極されることにより、歪の発生方向(伸縮)が意図した方向と逆転する。一般に、圧電素子を利用する場合に分極方向と逆向きの電界をかけないのは、このためである。しかし、本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、その圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかける場合において、即ち、分極方向と同じ向きの電界と逆向きの電界の両方をかける場合において、上記(1)式を満たす場合には、圧電素子が所定の変位能力を維持し得ることを見出し、その条件下で圧電素子に電界をかける(電圧を印加する)ことを提案している。即ち、(1)式によれば、分極方向と逆向きの電界をかけた場合の残留電極の管理が可能になるのである。そのため、圧電素子の性能は安定し、信頼性を犠牲にすることなく、上記の、分極方向と逆向きの電界をかけることによる効率向上を実現することが可能である。
又、本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、その圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかけない場合において、即ち、分極方向と逆向きの電界のみをかける場合において、上記(3)式を満たす場合には、圧電素子が所定の変位能力を維持し得ることを見出し、その条件下で圧電素子に電界をかける(電圧を印加する)ことを提案している。即ち、(3)式によれば、分極方向と逆向きの電界をかけた場合の残留分極の管理が可能になるのである。そのため、圧電素子の性能は安定し、信頼性を犠牲にすることなく、上記の、分極方向と逆向きの電界をかけることによる効率向上を実現することが可能である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、正電圧を印加することが出来、又、負電圧を印加することも可能である。従って、電源電圧の自由度が高く、既存の電源設備を使用出来、付帯設備の無用なコスト増を招来しない。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、一対の薄板部のそれぞれに1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスに対し、一対の薄板部のそれぞれに配設された全ての圧電素子に、それ(各圧電素子)の分極方向と同じ向き及び逆向きの電界をかけて変位を生じさせ、且つ、一方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、他方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、の位相を、好ましくは180°ずらした制御を行う。このような制御によれば、例えば本発明に係る圧電デバイスをアクチュエータとして利用する場合に、薄板部は互いに、一方の(又は他方の)薄板部をそれに配設された圧電素子の変位により撓ませるとき、この一方の(又は他方の)薄板部の撓み(変形)をサポート(又はアシスト)するように、他方の(又は一方の)薄板部がそれに配設された圧電素子の変位によって撓むため、アクチュエータとして両方の薄板部で得られる撓み量(可動部の変位量)が、他方の(又は一方の)薄板部が撓まず一方の(又は他方の)薄板部をサポートしない場合(従来の制御方法)に比較して、より大きくなる。これは、換言すれば、印加電圧を同一、得ようとする薄板部の撓み量(又は可動部の変位量)を同一とするならば、薄板部の剛性を高めることが出来ることを意味する。従って、圧電素子の変位に基づく振動の共振周波数を更に高めることが出来、位置決め動作の高速化を図ることが可能である。
尚、本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、一対の薄板部のそれぞれに、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する場合に、一方の薄板部に配設された圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と同じ向きのみの電界をかけるとともに、他方の薄板部に配設された圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と逆向きのみの電界をかけるようにしてもよい。この場合には、一方の薄板部がリード役としてのみ撓み、他方の薄板部がサポート(アシスト)役としてのみ撓む、という態様に限定されるが、この点を除けば、同様の効果が得られる。即ち、アクチュエータとして両方の薄板部で得られる撓み量(ひいては可動部の変位量)は大きくなり、薄板部を厚くしても変位の低下を少なく出来るので、剛性を高めることが出来、その結果、圧電素子の変位に基づく振動の共振周波数を更に高めることが出来、位置決め動作の高速化を図ることが可能となる。
次に、本発明に係る第1の圧電デバイスの効果について説明する。本発明に係る第1の圧電デバイスは、一対の薄板部のうちの1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層の厚さ(μm)と、他の圧電素子の圧電層の厚さ(μm)と、が異なるため、圧電層が薄い方の圧電素子の分極方向と同じ向きであり、且つ、圧電層が厚い方の圧電素子の抗電界(V/mm)に至らないそれより小さな電圧(V)であれば、同じ電圧を、上記2つの圧電素子に印加することにより、その2つの圧電素子に反対方向の変位を生じさせることが出来る。この場合において、電極端子は、信号電極(例えば正極)及び共通電極(例えばグランド電極)ともに1つでよく、圧電デバイスの配線系統が簡素になり、且つ、電源装置側の制御も簡略化される。
本発明に係る第2の圧電デバイスは、一対の薄板部のうちの1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界(V/mm)と、他の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界(V/mm)と、が異なるため、例えば、アクチュエータとして利用し、その2つの圧電素子が同じ厚さの圧電層を有する場合において、抗電界が小さい圧電材料で形成された圧電層を有する圧電素子の分極方向と同じ向きであり、且つ、抗電界が大きい圧電材料で形成された圧電層を有する圧電素子のその抗電界(V/mm)に至らないそれより小さな電圧(V)であれば、同じ電圧を、上記2つの圧電素子に印加することにより、その2つの圧電素子に反対方向の変位を生じさせることが出来る。この場合において、電極端子は、信号電極(例えば正極)及び共通電極(例えば負極)ともに1つでよく、圧電デバイスの配線系統が簡素になり、且つ、電源装置側の制御も簡略化される。
本発明に係る第1及び第2の圧電デバイスの好ましい態様では、相対向する一対の薄板部のそれぞれに、2つの圧電素子が配設され、一方の薄板部の可動部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の固定部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きであり、一方の薄板部の固定部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の可動部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きとする。このような態様では、同一の機能を有する圧電素子が孔部を挟んで対角方向に配置されるため、この対角方向に配置された圧電素子を同時に駆動させることにより、薄板部をS字状に変形させ、変位量を増大させることが可能である。更に、可動部の回転モードの変位を抑えて大きく変位させることが可能である、加えて、この態様では、薄板部のそれぞれに2つの圧電素子が配設されているから、薄板部の強度が高まる。特に、固定部及び可動部と、薄板部と、の接合部上に圧電素子を配設することによって、その部分の強度を向上させることが出来、高共振周波数化による応答速度の高いデバイスを実現することが可能である(特許文献3を参照)。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
先ず、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスについて説明する。図1は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスの一例を示す斜視図である。図1に示される圧電デバイス10は、全体として長尺の直方体の形状を呈し、その長軸方向のほぼ中央部分に孔部12が設けられた基体14を有する。基体14の好ましい態様は、焼成により一体化されたセラミック積層体で構成されたものである。
基体14は、可動部20と、その可動部20を持着する相対向する一対の薄板部16a,16bと、その一対の薄板部16a,16bを支持する固定部22とを具備する。そして、薄板部16a,16bには、それぞれ圧電素子24a,24bが形成されている。圧電デバイス10において、孔部12は、一対の薄板部16a,16bの両内壁と、可動部20の内壁20aと、固定部22の内壁22aと、により、矩形状に形成されており、圧電素子24a,24bの駆動によって、可動部20が変位し(アクチュエータ等の場合)、又は、可動部20の変位を圧電素子24a,24bにより検出する(センサ等の場合)構成を有する。
圧電素子24a,24bは、圧電層26と、その圧電層26の両側に形成された一対の電極層28,30とを有して構成され、電極層28は、一対の薄板部16a,16bに形成されている。圧電デバイス10では、圧電素子24a,24bを構成する一対の電極層28,30及び圧電層26の各先端面は概ね揃っており、この圧電素子24a,24bにおいて実質的に駆動する駆動部18(一対の電極層28及び30が圧電層26を間に挟んで重なる部分)は、固定部22の外表面の一部から薄板部16a,16bの外表面の一部にかけて、連続的に形成されている。
圧電デバイス10をアクチュエータ等として利用する場合に、一対の電極層28,30への電圧の印加は、固定部22の両側面(素子形成面)上に形成された端子(パッド)32,34を通じて行われる。端子32,34の位置は、電極層28に対応する端子32が固定部22の後端寄りに形成され、外部空間側の電極層30に対応する端子34が固定部22の内壁22a寄りに形成されている。そして、圧電素子24a,24b(圧電層26)は、例えば、電極層28から電極層30へ向けた方向に分極した場合、その分極方向と同じ向きの電界がかかるように、例えば正の電圧電源を用いて、変位させたい方向例えばの薄板部16aであれば、圧電素子24aの電極層28を正極(信号電極)とし、電極層30をグランド電極(共通電極)として、電圧を印加することにより、電界誘起歪みに基づく横効果により、圧電層26を収縮させ、薄板部16aを、屈曲させて可動部を16aの方向に変位させることが出来る。反対の方向薄板部16bの方向に変位させたいときには、圧電素子24bの電極に前記と同様に電圧を印加する。上記した分極方向と電界の方向は一例であって、上記した組み合わせに限定されない。
次に、本発明に係る圧電デバイスについて説明する。本発明に係る圧電デバイスは、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスにも該当するものである。図16は、本発明に係る圧電デバイスの一の実施形態を示す斜視図である。図16に示される圧電デバイス160は、圧電デバイス10と概ね同形態を呈するデバイスであり、全体として長尺の直方体の形状を呈し、その長軸方向のほぼ中央部分に孔部12が設けられた基体14を有する。基体14の好ましい態様は、焼成により一体化されたセラミック積層体で構成されたものである。
基体14は、可動部20と、その可動部20を持着する相対向する一対の薄板部16a,16bと、その一対の薄板部16a,16bを支持する固定部22とを具備する。そして、圧電デバイス160では、薄板部16aに2つの圧電素子24a,24cが形成され、薄板部16bに2つの圧電素子24b,24dが形成される。このように、薄板部16a,16bのそれぞれに2つの圧電素子(圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24d)が配設される態様によって、薄板部16a,16bの強度が高められている。圧電デバイス160において、圧電デバイス10と同様に、孔部12は、一対の薄板部16a,16bの両内壁と、可動部20の内壁20aと、固定部22の内壁22aと、により、矩形状に形成されており、圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24dの駆動によって、可動部20が変位し(アクチュエータ等の場合)、又は、可動部20の変位を圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24dにより検出する(センサ等の場合)構成を有する。
圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24dは、それぞれが圧電層26と、その圧電層26の両側に形成された一対の電極層28,30とを有して構成され、電極層28は、一対の薄板部16a,16bに形成されている。圧電デバイス160では、固定部22側に配設される圧電素子24a及び圧電素子24bも、可動部20側に配設される圧電素子24c及び圧電素子24dも、一対の電極層28,30及び圧電層26の各先端面は概ね揃っており、これら圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24dにおいて実質的に駆動する駆動部18(一対の電極層28及び30が圧電層26を間に挟んで重なる部分)は、固定部22の外表面の一部から薄板部16a,16bの外表面の一部にかけて、連続的に形成されている。
圧電デバイス160において、(図16において点線で区切って示される)薄板部16aに配設された圧電素子24aと圧電素子24cとは、電極層28及び電極層30が、それぞれ一体的に連続して形成され、導通しており、圧電デバイス160をアクチュエータ等として利用する場合に、圧電素子24a,24cにおける一対の電極層28,30への電圧の印加は、固定部22の両側面(素子形成面)上に形成された端子(パッド)32,34を通じて行われる。端子32,34の位置は、電極層28に対応する端子32が固定部22の後端寄りに形成され、外部空間側の電極層30に対応する端子34が固定部22の内壁22a寄りに形成されている。薄板部16b側でも同様であり、圧電素子24bと圧電素子24dとの間では、電極層28及び電極層30が、それぞれ一体的に連続して形成され、導通しており、圧電素子24b,24dにおける一対の電極層28,30への電圧の印加は、固定部22の両側面(素子形成面)上に形成された端子(パッド)32,34を通じて行われる。端子32,34の位置は、電極層28に対応する端子32が固定部22の後端寄りに形成され、外部空間側の電極層30に対応する端子34が固定部22の内壁22a寄りに形成されている。
圧電デバイス160における制御態様の一例は以下の通りである。圧電デバイス160において、薄板部16aの可動部20側に配設された圧電素子24cの分極方向と、薄板部16bの固定部22側に配設された圧電素子24bの分極方向とを同じ向きとし、ともに、例えば電極層30から電極層28へ向けた方向に分極する。そして、薄板部16aの固定部22側に配設された圧電素子24aの分極方向と、薄板部16bの可動部20側に配設された圧電素子24dの分極方向とが同じ向きになるように分極処理を行い、ともに電極層28から電極層30へ向けた方向に分極する。この場合、圧電デバイス160において、圧電素子24aの分極方向と圧電素子24cの分極方向とが相互に逆向きであり、圧電素子24bの分極方向と圧電素子24dの分極方向とが相互に逆向きであり、且つ、圧電素子24aの分極方向と圧電素子24dの分極方向とが同じ向きであり、圧電素子24bの分極方向と圧電素子24cの分極方向とが同じ向きである。圧電デバイス160のこの態様において、例えば、圧電素子24a及び圧電素子24dの分極方向と同じ向き(圧電素子24b及び圧電素子24cの分極方向と逆向き)の電界がかかるように、例えば正の電圧電源を用いて、電極層30を正極(信号電極)とし、電極層28をグランド電極(共通電極)として、電圧を印加することにより、電界誘起歪みに基づく横効果により、圧電素子24a及び圧電素子24dの圧電層26を収縮させ、圧電素子24b及び圧電素子24cの圧電層26を伸長させ、薄板部16a,16bをS字状に屈曲させ、可動部を薄板部16aの方向に変位させることが出来る。上記の電界とは逆の電界をかけることにより、可動部を薄板部16bの方向に変位させることが可能である。
又、圧電デバイス160における制御態様の他例は以下の通りである。圧電デバイス160において、薄板部16aの可動部20側に配設された圧電素子24cの分極方向と、薄板部16bの固定部22側に配設された圧電素子24dの分極方向とを同じ向きとし、ともに、例えば電極層30から電極層28へ向けた方向に分極する。そして、薄板部16aの固定部22側に配設された圧電素子24aの分極方向と、薄板部16bの可動部20側に配設された圧電素子24bの分極方向とが同じ向きになるように分極処理を行い、ともに電極層28から電極層30へ向けた方向に分極する。この場合、圧電デバイス160において、圧電素子24aの分極方向と圧電素子24cの分極方向とが相互に逆向きであり、圧電素子24bの分極方向と圧電素子24dの分極方向とが相互に逆向きであり、且つ、圧電素子24aの分極方向と圧電素子24bの分極方向とが同じ向きであり、圧電素子24cの分極方向と圧電素子24dの分極方向とが同じ向きである。圧電デバイス160のこの態様において、例えば、圧電素子24a及び圧電素子24cの分極方向と同じ向き(圧電素子24b及び圧電素子24dの分極方向と逆向き)の電界がかかるように、例えば正の電圧電源を用いて、電極層28を正極(信号電極)とし、電極層30をグランド電極(共通電極)として、可動部を変位させたい側の圧電素子に電圧を印加することにより、電界誘起歪みに基づく横効果により、例えば圧電素子24a,24c側に電圧を印加すれば圧電素子24aの圧電層26を収縮させ、圧電素子24cの圧電層26を伸長させ、薄板部16a,16bをS字状に屈曲させ、可動部を16a側に変位させることが出来る。可動部を16b側に変位させたいときは圧電素子24b,24dに上記と同様に電圧を印加すれば変位させることが出来る。上記の分極方向と電界の方向は一例であって上記の方向に限定されない。
圧電デバイス160は、本発明に係る第1の圧電デバイス、及び本発明に係る第2の圧電デバイスの両方を包含する形態の圧電デバイスである。即ち、薄板部16aに配設される2つの圧電素子24a,24cにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24cの圧電層26の厚さが、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24aの圧電層26の厚さより、厚く、同様に、薄板部16bに配設される2つの圧電素子24b,24dにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24bの圧電層26の厚さが、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24dの圧電層26の厚さより、厚いものが、本発明に係る第1の圧電デバイスである。圧電デバイス160は、本発明に係る第1の圧電デバイスに該当する場合には、圧電素子24aと圧電素子24cの圧電層の厚さの差、及び圧電素子24bと圧電素子24dの圧電層の厚さの差は、適宜、圧電層(圧電材料)の抗電界と組み合わせにより任意に設定することが出来るが、0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。
尚、本発明に係る第1の圧電デバイスは、薄板部16aに配設される2つの圧電素子24a,24cにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24cの圧電層26の厚さが、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24aの圧電層26の厚さより、厚く、同様に、薄板部16bに配設される2つの圧電素子24b,24dにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24dの圧電層26の厚さが、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24bの圧電層26の厚さより、厚いものとしてもよい。
又、薄板部16aに配設される2つの圧電素子24a,24cにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24cの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界が、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24aの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界より、大きく、同様に、薄板部16bに配設される2つの圧電素子24b,24dにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24bの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界が、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24dの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界より、大きいもの(圧電デバイス160)が、本発明に係る第2の圧電デバイスである。
尚、本発明に係る第2の圧電デバイスは、薄板部16aに配設される2つの圧電素子24a,24cにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24cの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界が、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24aの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界より、大きく、同様に、薄板部16bに配設される2つの圧電素子24b,24dにおいて、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子24dの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界が、分極方向と同じ向きに電界がかかる圧電素子24bの圧電層26を形成する圧電材料の抗電界より、大きいものとしてもよい。
又、本発明に係る第1の圧電デバイス及び第2の圧電デバイスを組み合わせることも可能である。分極方向と逆方向の電界を大きくかけたいとき、その部分の圧電素子の厚さを厚く、且つ抗電界の高い圧電材料を配置する両方を組み合わせることも可能である。このような態様により駆動するための電界の幅を、より広い範囲に設定することが可能である。
一般に、1つの薄板部に2つの圧電素子を配設する場合には、特許文献3の図5又は図6に示されるように、2つの信号電極端子と1つの共通電極端子の3つの端子で構成し、2つの信号電極端子で2つの圧電素子を制御する。しかし、圧電デバイス160では、同じ薄板部に配設される圧電素子の圧電層の厚さの違いにより本発明に係る第1の圧電デバイスの態様を採る場合であっても、同じ薄板部に配設される圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界の違いにより本発明に係る第2の圧電デバイスの態様を採る場合であっても、1つの薄板部毎に、2つの端子32,34で構成される。印加する電圧の大きさを、圧電層の厚さが厚い方(第1の圧電デバイス)の抗電界より小さくなるように、又は圧電層を形成する圧電材料の抗電界が大きい方(第2の圧電デバイス)の抗電界より小さくなるように設定することにより、2つの端子32,34間に電圧を印加するだけで、分極方向と逆向きに電界がかかる圧電素子において残留分極を減少させず、圧電素子の性能劣化を引き起こさないように、分極方向が異なる2つずつの圧電素子に、反対の変位(収縮と伸長)を生じさせることが出来る。
次に、本発明に係る圧電デバイスの制御方法について説明する。最初に、制御対象を上記した圧電デバイス10として、従来の制御方法と比較しながら、説明する。尚、本明細書において、分極処理と同じ方向に電界をかける場合を正、分極処理と逆方向の電界をかける場合を負、とする。
図6及び図7は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の一の実施形態を説明するための図であり、図6は、圧電デバイス10の作動状態の一時点を示す正面図であり、図7は、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。一方、図8及び図9は、従来の圧電デバイスの制御方法を説明するための図であり、図8は、圧電デバイス10の作動状態の一時点を示す正面図であり、図9は、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。
本実施形態では、図7に示されるように、圧電素子24a,24bに印加する電圧71a,71bは、波形が17.5±22.5Vの正弦波であり、最大値が+40V、最小値が−5Vである。そして、圧電素子24aに印加される電圧71aと、圧電素子24bに印加される電圧71bとは、位相が180°ずれているから、一方の印加電圧が最大値になるときに、他方に最小値で且つ負の電圧がかかることになる。
このような波形の電圧71a,71bを、圧電素子24a,24bに印加すると、例えば、電圧の位相が90°のときには、圧電素子24aには分極方向と同じ向きの電界がかかり、圧電素子24bには分極方向と逆向きの電界がかかる。そして、図6に示されるように、圧電素子24aには最大電圧による収縮変位が生じ、圧電素子24bには最小の負の電圧による伸長変位が生じ、薄板部16a,16bは撓む(図6には、図7において電圧の位相が90°のときの圧電デバイス10の作動状態が示されている)。その結果、圧電素子24aの収縮変位に基づく薄板部16aの撓みによって可動部20の変位量Daが得られ、薄板部16aの撓みをサポートするように、圧電素子24bの伸長変位に基づく薄板部16bの撓みが起こり、それによる可動部20の変位量Dbが加わるので、可動部20のトータルの変位量(Da+Db)は、より大きくなる。
従来の制御方法では、図9に示されるように、圧電素子24a,24bに印加する電圧91a,91bは、波形が20±20Vの正弦波であり、最大値が+40V、最小値が0Vで負の電圧は用いない。圧電素子24aに印加される電圧91aと、圧電素子24bに印加される電圧91bとは、位相が180°ずれており、一方の印加電圧が最大値になるときに、他方は最小値になるが、この従来の制御方法では、負の電圧を用いないので、圧電素子24a,24bに、このような電圧91a,91bを印加して、例えば、電圧の位相が90°のときに、圧電素子24aには分極方向と同じ向きの電界がかかり、圧電素子24bには0V電界がかからないので、図8に示されるように、圧電素子24aに最大電圧による収縮変位が生じて薄板部16aが撓んだときに、圧電素子24bには変位が生じず薄板部16bは薄板部16aの撓みにつられて撓むのみであり圧電素子24bによっては撓まない(図8には、図9において電圧の位相が90°のときの圧電デバイス10の作動状態が示されている)。
即ち、圧電素子24aの収縮変位に基づく薄板部16aの撓みによって可動部20の変位量Daが得られるのみであり、圧電素子24bの変位に基づく薄板部16bの撓みによる可動部20の変位量は得られないから、可動部20のトータルの変位量(Da)は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法による変位(Da+Db)より小さい。
続いて、制御対象が、上記した本発明に係る圧電デバイスである圧電デバイス160とした場合の、本発明に係る圧電デバイスの制御方法について説明する。図10及び図11は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の他の実施形態を説明するための図であり、図10は、圧電デバイス160の作動状態の一時点を示す正面図であり、図11は、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。
本実施形態では、図11に示されるように、圧電素子24a,24c及び圧電素子24b,24dに印加する電圧111a,111bは、波形が17.5±22.5Vの正弦波であり、最大値が+40V、最小値が−5Vである。そして、圧電素子24a,24cに印加される電圧111aと、圧電素子24b,24dに印加される電圧111bとは、位相が180°ずれているから、一方の印加電圧が最大値になるときに、他方に最小値で且つ負の電圧が印加されることになる。圧電デバイス160では、圧電素子24a,24d、及び圧電素子24b,24cの分極方向がそれぞれ同じ向きであり、圧電素子24a,24dの分極方向に対して圧電素子24b,24cの分極方向は逆向きであるから、電圧111aを、薄板部16a側の圧電素子24a,24cに印加し、電圧111bを、薄板部16b側の圧電素子24b,24dに印加すると、例えば、電圧の位相が90°のときには、圧電素子24a,24dには分極方向と同じ向きの電界がかかり、圧電素子24b,24cには分極方向と逆向きの電界がかかる。
そして、図10に示されるように、圧電素子24a,24dには最大電圧による収縮変位が生じ、圧電素子24b,24cには最小の負の電圧による伸長変位が生じ、薄板部16a,16bは撓む(図10には、図11において電圧の位相が90°のときの圧電デバイス160の作動状態が示されている)。その結果、圧電素子24a,24dの収縮変位、及び圧電素子24b,24cの伸長変位に基づいて、薄板部16a,16bがS字状に撓み、可動部20が大きく変位する。
尚、図6〜図9を参酌して、従来の制御方法と比較しながら、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の実施形態を説明した、既述の例では、電圧の値が、本発明(45V、±22.5V)と従来(40V、±20V)とで異なっていたが、電圧が同じ場合にも、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が、圧電素子に、(一般になされない)それの分極方向と逆向きの電界をかけて変位を生じさせることによる効果が認められる。
図14は、圧電デバイス10に備わる圧電素子24a,24bと同じ圧電素子における、電界と変位量との関係を示すグラフである。又、図15は、圧電デバイス10に備わる圧電素子24a,24bと同じ圧電素子における、印加した最大電圧と変位量との関係を、最小電圧毎に示すグラフである。
図15において、(最大電圧−最小電圧)が等しく+40Vになる点が、P,Q,R,Sとして4つプロットされている。これらP,Q,R,Sが示す変位量から明らかなように、電圧(の絶対値)が同じ場合に、最小電圧が小さく、より負の電圧の領域を多く使用する場合の方が、より大きな変位を得ることが出来る。これは、圧電素子における電圧(電界)と変位量との関係が直線的な関係の範囲において、又は電界に対し変位の変化量が大きい範囲において、変位を生じさせることが出来るからである。図14に示されるように、電界(電圧)と変位量との関係が直線的な関係(比例する関係)の範囲、又は電界に対し変位の変化量が大きい範囲は、限定されており、例えば、図14において、電界が4.0kV/mmのとき、電界(電圧)と変位量との関係が直線的な関係であれば、変位量3.5μmが得られるところ、実際には、3μm弱の変位量しか得られないのである。
又、図15に示されるグラフの原点近傍のデータより、最小電圧の負の値が、最大電圧の正の値より大きくなっても、変位量は発現し残留分極が存在していることが示される。このことは、分極方向と電圧の方向とが同じ場合には、負の電圧が分極方向と逆向きの電界をかけ、正の電圧が分極方向と同じ向きの電界をかけることになるから、圧電素子に、それ(圧電素子)の分極方向と同じ向きの電界をかける場合においては、分極方向と逆向きの電界を、それより大きくしても、性能低下を引き起こさせずに安定して、圧電素子に変位を生じさせることが可能であることを意味する。図15に示される結果を表した式が、既述の(1)式である。図15より、最大電圧が+5Vで、最小電圧が−10Vの場合に、電圧と変位量との比例関係上に変位が確認出来ている。このことから、(1)式においてn=0.5以上であれば、圧電素子の性能低下が生じないことが推認出来る。勿論、安全のためには、n=1.0であることが好ましく、n=2.0であることが、より好ましい。
従って、本発明に係る圧電デバイスの制御方法を実施する上で、(1)式を満たすように、圧電素子の分極方向と同じ向きの電界と逆向きの電界を自由に決定すればよい。しかし、従来の制御方法の電界、即ち、分極方向と同じ向きのみの電界をかける場合の電界を基に、更に容易に、圧電素子の分極方向と同じ向きの電界と逆向きの電界を求めることが可能である。その手段を示したのが、既述の(2)式である。(2)式に従って、圧電素子の分極方向と同じ向きの電界と逆向きの電界の絶対値の和が、従来の制御方法の電界の値と同じになるように、圧電素子の分極方向と同じ向きの電界と逆向きの電界を決定することが出来る。具体的には、従来の制御方法の(正の)電界から、抗電界以下の電界を減じ、その減じた分の電界の値を、逆向きの電界の値とすればよい((2)式を参照)。このことは、圧電素子にかける電界の範囲を、その絶対値を変えないまま、負の電界側へスライドすることを意味する。こうすると、簡単に、電界と変位量との関係が直線的な関係の範囲(図14を参照)で圧電素子を駆動することが出来、このように圧電素子を駆動するように制御すれば、従来方法より大きな変位量が得られ、効率が向上する。
次に、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の更に他の実施形態について説明する。本発明に係る圧電デバイスの制御方法において、制御対象を上記した圧電デバイス10とし、図12に示されるような波形の電圧を印加することによって、可動部20の変位量を大きくする実施形態を示すことが出来る。本実施形態では、図12に示されるように、圧電素子24aに印加する電圧121aは、波形が20±20Vの正弦波であり、最大値が+40V、最小値が0Vである。又、圧電素子24bに印加する電圧121bは、波形が−5±5Vの正弦波であり、最大値が0V、最小値が−10Vである。そして、圧電素子24aに印加される電圧121aと、圧電素子24bに印加される電圧121bとは、位相が180°ずれているから、一方の印加電圧が最大値になるときに、他方に最小値で且つ負の電圧が印加されることになる。
このような波形の電圧121a,121bを、圧電素子24a,24bに印加すると、例えば、電圧の位相が90°のときには、圧電素子24aには分極方向と同じ向きの電界がかかり、圧電素子24bには分極方向と逆向きの電界がかかり、電圧の位相が270°のときには、圧電素子24a及び圧電素子24bにかかる電界は0(零)である(図12を参照)。即ち、この場合には、圧電素子24aが配設される薄板部16aがリード役としてのみ撓み、圧電素子24bが配設される薄板部16bがサポート(アシスト)役としてのみ撓み、可動部20の変位する方向が限定されるが、この点を除けば、薄板部16bがサポート(アシスト)役として撓むことで、アクチュエータとして利用した場合の両方の薄板部16a,16bで得られる可動部20の変位量は大きい。
本実施形態においては、圧電素子24bには分極方向と逆向きの電界のみがかかり、分極方向と同じ向きの電界がかからない。このように、分極方向と逆向きの電界しかかからない場合においては、分極方向と同じ向きの電界がかかることによって分極方向の修正がなされないため、その分極方向と逆向きの電界(その電界をかけ得る負の電圧)の限界が問題となり得ると考えられる。そこで、圧電素子24bへかける負の電界を変化させて、変位量を測定する試験を行った。図13は、その試験結果を示すグラフであり、図13には、圧電素子24bとは異なる他の圧電素子Xの試験結果も併せて示されている。
図13に示されるように、負の電界を大きくし過ぎると、変位量が低下することがわかる。この図13による電界と変位量との関係を示す結果に基づいて、圧電素子の圧電層の厚さの設計値(μm)及びその標準偏差(ばらつき)から見出されたのが、既述の(3)式である。圧電素子24bの場合には、電界(抗電界)E0=1.0kV/mm、圧電層26の厚さT=14μm、ばらつきσ=2μm、であり、これを(3)式にあてはめると、Et=0.6V/mmとなる。又、圧電素子Xの場合には、電界(抗電界)E0=2.0kV/mm、圧電層26の厚さT=10μm、ばらつきσ=1.5μm、であり、これを(3)式にあてはめると、Et=1.1kV/mmとなる。これらの電界Etが、圧電素子に分極方向と逆向きの電界のみをかける場合における、残留分極の現象が生じない最適の電界として求まることになる。これら電界Etから電極に印加する最適の電圧Vt(正確には端子に印加されるそれぞれの電圧の電位差)は、Vt=Et×Tで求められる。
以上、本発明に係る圧電デバイスの制御方法について説明したが、本発明に係る圧電デバイスの制御方法においては、圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、正電圧を印加してもよく、又、負電圧を印加することも可能である。図2〜図5は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法を説明するための図であり、上記した圧電デバイス10を基に、圧電素子24aにおける、分極方向、電圧電源の正負、電極層28,30の極、を変更した例を模式的に示した正面図である。尚、図2〜図5において、圧電素子24b(圧電層26)は、電極層28から電極層30へ向けた方向に分極Pがなされており、その分極方向と同じ向きの電界Eがかかるように、正の電圧電源を用いて、電極層30に電極層28より低い電圧が印加されている様子が示されている。
図2では、圧電素子24aは、電極層28から電極層30へ向けた方向に分極Pがなされており、その分極方向と逆向きの電界Eがかかるように、正の電圧電源を用いて、電極層28に電極層30より低い電圧が印加されている様子が示されている。
図3では、圧電素子24aは、電極層30から電極層28へ向けた方向に分極Pがなされており、その分極方向と逆向きの電界Eがかかるように、正の電圧電源を用いて、電極層30に電極層28より低い電圧が印加されている様子が示されている。
図4では、圧電素子24aは、電極層28から電極層30へ向けた方向に分極Pがなされており、その分極方向と同じ向きの負の電界Eがかかるように、換言すれば、分極方向と逆向きの電界Eがかかるように、負の電圧電源を用いて、電極層28に電極層30より低い電圧が印加されている様子が示されている。
図5では、圧電素子24aは、電極層30から電極層28へ向けた方向に分極Pがなされており、その分極方向と同じ向きの電界がかかるように、換言すれば、分極方向と逆向きの電界Eがかかるように、負の電圧電源を用いて、電極層30に電極層28より低い電圧が印加されている様子が示されている。
電界の向きは端子(電極)に印加する電圧の相対的な大きさによって決まるため、電圧を発生させる電源は、圧電層以外の回路における制約がなければ、正の電圧のみ発生させる電源でも、負の電圧のみを発生させる電源でも、正負両方の電圧を発生させる電源でも使用出来る。電界は、例えば基準となる電極を共通電極と定義し、その電圧を0V(アース電位)として考えると、電界の大きさ、方向を容易に理解することが出来るが、共通電極の電位(印加させる電圧)が0V以外であっても、信号電極の電圧が相対的に共通電極の電位より大きいか小さいかによって圧電層にかかる電界が決定されるため、それらは圧電層以外の駆動回路や電源回路あるいはそれらのコスト等によって、適宜、使用する電圧や電源を選択することが可能である。又、共通電極の電圧も(例えばDC10Vのように)一定である必要はなく変動していてもよい、必要なのは、圧電層に、目的とした方向の電界がかかるように、電圧が共通電極と信号電極に、それぞれ印加されていれば、共通電極と信号電極の電圧は、任意であっても構わない。
本明細書では、共通電極が一定で0V(アース電位)を保ち、信号電極に正の電圧20±20Vを印加する態様を記載したが、その方が説明や理解が容易であるからであって、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の目的を達するためには、分極の方向と、電界の方向及び大きさと、それらの組み合わせを、本発明に係る圧電デバイスの制御方法で決められた制約の範囲内で制御することであって、そのための電源や電圧は、他の制約により、適宜、選択することが可能である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法では、印加する電圧の周波数は、周波数0kHzのDCを含む共振周波数より低い周波数の範囲で制御することが好ましい。又、一対の薄板部のそれぞれに、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する場合に、一対の薄板部のそれぞれの圧電素子に対し、各々に印加する電圧(駆動信号)は任意である。本明細書の説明では、電圧の波形として正弦波である場合が示されているが、本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、それに制約されることはなく、矩形波や複合した合成波等の任意の波形の電圧を使用することが可能である。
尚、図1〜図6、図8、図10、及び図16に示される圧電素子は、説明及び理解を容易にさせるために、圧電層を1層とし、又は電極層を省略して表されているが、圧電素子の変位を大きくするためには、より大きい歪を発生させることが可能な多層体の圧電素子(電極層に挟まれた圧電層が2層以上)が好ましく、電極層に挟まれた圧電層は3層以上8層以下であることが、より好ましい(特許文献4を参照)。分極の方向は、多層化することで複雑になるが、基本的には、本明細書における1層の場合の組み合わせで説明することが出来る。又、基体はジルコニアで形成されたものであることが好ましいが、金属であっても問題はない。更に、一対の薄板部(振動板)に圧電素子を配置した圧電デバイスに対しては、基体の材料に関係なく、本発明に係る圧電デバイスの制御方法を適用出来る。1枚の金属板を打ち抜いて折り曲げた基体に、圧電素子を接着した圧電デバイス(特許文献5を参照)であっても、本発明に係る圧電デバイスの制御方法を利用することが可能である。
以下に、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスの他の態様について説明する。図17及び図19は、本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスの他例を示す斜視図である。図17及び図19に示される圧電デバイスは、可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスであり、圧電素子の駆動によって、可動部が変位し(アクチュエータ等の場合)、又は、可動部の変位を圧電素子により検出する(センサ等の場合)構成を有する点において、既述の圧電デバイス10と共通するが、基体の態様、及び圧電素子が4層の圧電層を有するところが、圧電デバイス10と異なる。
図17に示される圧電デバイス170は、一対の可動部120a,120bを有し、基体114は、固定部22に支持された一対の薄板部116a,116bの先端部分に、それぞれ可動部120a,120bが備わっているものである。可動部120a,120bは互いに離れており、圧電デバイス10のような孔部ではなく、一対の薄板部116a,116b、一対の可動部120a,120b、及び固定部22の間に空隙部36が形成されている。図18に示されるように、この空隙部36に磁気ヘッド8を配置し、孔部112を形成するように、可動部120a,120bの、蒲鉾状の凸部を有する対向面121a,121bで磁気ヘッド8を持着し、接着剤層122a,122bで固定することにより、圧電デバイス170をハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決め手段として利用することが出来る。
圧電デバイス170に備わる圧電素子124a,124bは、それぞれが4層の圧電層26と、各圧電層26を挟んで積層された、3層の電極層28及び2層の電極層30とを有して構成される。電極層28は、一対の薄板部116a,116bに形成されるとともに、圧電素子124a,124bの表面側(最外側)に現れている。圧電デバイス170では、圧電素子124a,124bは固定部22側に配設され、実質的に駆動する駆動部18(電極層28及び30が圧電層26を間に挟んで重なる部分)は、薄板部116a,116bの外表面に連続的に形成されている。
又、図19に示される圧電デバイス190は、基体214が、固定部222、可動部220、及び一対の薄板部216a,216bで構成され、そのうち固定部222及び可動部220が平板状を呈するとともに、一対の薄板部216a,216bが、固定部222及び可動部220の両側縁部から所定高さ起立して互いに対向して、固定部222及び可動部220の両側縁部に沿って形成されているものである。基体214を構成する可動部220と固定部222の間、可動部220と薄板部216a,216bの間の一部、固定部222と薄板部216a,216bの間の一部には、スリット212が介在しており、そのスリット212は、図19に示されるように、全体としてH字状を呈している。このような態様により、圧電デバイス190では、薄板部216a,216bに配設された圧電素子224a,224bの変位によって、薄板部216a,216bが撓み易く、更には、可動部220が変位を生じ易くなっている。図20に示されるように、この可動部220に磁気ヘッド7を配置し、可動部220で磁気ヘッド7を持着する(固定する)ことにより、圧電デバイス190をハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決め手段として利用することが出来る。
圧電デバイス190に備わる圧電素子224a,224bは、それぞれが4層の圧電層26と、各圧電層26を挟んで積層された、3層の電極層28及び2層の電極層30とを有して構成され、接着剤層322で一対の薄板部216a,216bにそれぞれ固定されている。電極層28は、一対の薄板部216a,216bの側に形成されるとともに、圧電素子224a,224bの表面側(最外側)に現れている。圧電デバイス190では、圧電素子224a,224bは固定部222側に配設され、実質的に駆動する駆動部18(電極層28及び30が圧電層26を間に挟んで重なる部分)は、薄板部216a,216bの外表面に連続的に形成されている。
ところで、本発明に係る圧電デバイスの制御方法の説明において、具体的な印加電圧を示したが、これらは、圧電デバイス10においては、圧電素子24a,24bの圧電層26を形成する圧電材料が、Mg,Nb,Laを添加したジルコン酸チタン酸鉛であり、その抗電界が1.0kV/mmの場合のものである。又、圧電デバイス160においては、2種類の抗電界の異なる圧電材料を使用しており、圧電素子24a,24dの圧電層26を形成する圧電材料が、Mg,Nb,Ta,Niを添加したジルコン酸チタン酸鉛であり、その抗電界が1.0(V/mm)の場合のものであり、一方、圧電素子24b,24cの圧電層26を形成する圧電材料は、La,Nbの添加量を変えたジルコン酸チタン酸鉛であり、その抗電界が2.0(V/mm)の場合のものである。抗電界は変位と駆動電圧のリニアリティが高い方が好ましいため歪履歴の小さい10kV/mm以下が好ましい。
圧電層に使用する圧電材料は、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)が有名であり、実施例にも示したが、この材料に限定されない。具体的な圧電材料としては、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス等の単独、又はこれらの適宜の混合物等を挙げることが出来る。特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を有し、圧電層の焼結時における薄板部(セラミックス)との反応性が小さく、安定した組成のものが得られる点において、ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛を主成分とする材料、又はチタン酸ナトリウムビスマスを主成分とする材料が好適に用いられる。更に、前記圧電材料に、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸化物等を単独で、若しくは混合したセラミックスを用いてもよい。例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛に、ランタンやストロンチウムを含有させることにより、抗電界や圧電特性を調整可能となる等の利点を得られる場合がある。
次に、本発明に係る圧電デバイスの製造方法について、製造対象を上記した圧電デバイス160として、説明する。本発明に係る圧電デバイスの製造方法は、2つの信号電極を2つの圧電素子毎に使用して、2つの圧電素子が相互に逆向きの分極方向になるように分極処理を施した後、2つの信号電極を接続する工程を含むものであり、得られる圧電デバイスは、信号電極用の端子と共通電極用の端子が、薄板部毎に1つずつとなる。それ以外の工程は、特許文献2に開示された製造方法と同じである。
先ず、所望のセラミック材料からなる粉末にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、リバースロールコーター法、ドクターブレード法等の方法により、所定の厚みを有するセラミックグリーンシートを作製する。次に、金型を用いた打抜加工やレーザ加工等の方法により、セラミックグリーンシートを、孔部12等を考慮した種々の形状に加工して、加工したセラミックグリーンシートを積層し、好ましくは熱圧着して、セラミックグリーン積層体を得る。その後、焼成してセラミック積層体を得る。
次に、セラミック積層体の両表面、即ち、のちの薄板部の表面になる所定位置に、圧電素子24a,24c、及び圧電素子24b,24dを形成する。圧電素子24a,24c、及び圧電素子24b,24dの形成法としては、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法等の厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相成長法(CVD)、めっき等の薄膜形成法を用いることが出来る。
具体的には、先ず、セラミック積層体の上記所定位置に、電極層28を印刷し、焼成する。電極層28は、圧電素子24aと圧電素子24cとにおいて接続され、圧電素子24bと圧電素子24dとにおいて接続されるように印刷する。次いで、圧電層26を印刷し、焼成する。圧電層26は、圧電素子24aと圧電素子24cとにおいて分割され、圧電素子24bと圧電素子24dとにおいて分割されるように印刷する。更に、電極層30を印刷し、焼成する。電極層30についても、圧電層26と同じように、圧電素子24aと圧電素子24cとにおいて分割され、圧電素子24bと圧電素子24dとにおいて分割されるように印刷する。このようにして、圧電素子24a,24c、及び圧電素子24b,24dを形成したら、次に、電極層28を駆動回路に電気的に接続するための端子32を印刷、焼成する。端子32は、圧電素子24a,24cの電極層28で共有され、圧電素子24b,24dの電極層28で共有される端子である。一方、最終的に全ての電極層30を駆動回路に電気的に接続するための端子34は、圧電素子24a及び圧電素子24bの電極層30のみに接続して、印刷、焼成する。そして、別途、圧電素子24c及び圧電素子24dの電極層30用の仮端子を、印刷、焼成する。
例えば、電極層28として白金(Pt)、圧電層26としてジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、電極層30として金(Au)、更に、端子32及び34として電極層30より焼成温度の低い金ペーストを選択すると、各部材の焼成温度が積層順に従って低くなるため、ある焼成段階において、それより以前に焼成された材料の再焼結が起こらず、電極層の剥離や凝集といった不具合の発生を回避することが可能である。適当な材料を選択することにより、圧電素子24a,24c、及び圧電素子24b,24dの各部材と端子32及び34を逐次印刷して、1回で一体焼成することも可能である。焼成温度は、各部材を構成する材料によって適宜決定されるが、一般には、500℃〜1500℃であり、圧電層26に対しては、好ましくは1000℃〜1400℃である。
次に、圧電素子24a,24c、及び圧電素子24b,24dが形成されたセラミック積層体に対し、のちの薄板部16a,16bが撓み易くなるように、不要な部分を切除する。切除対象部分は、主に、のちに孔部12が形成されるところである。
次に、直流電圧電源の正極を端子34に接続し負極を端子32に接続し、抗電界以上の直流高電圧を、圧電素子24a及び圧電素子24bの電極層30と電極層28との間に印加し、圧電素子24c及び圧電素子24d(それぞれの圧電層26)を分極処理する。一方、圧電素子24a及び圧電素子24bについては、直流電圧電源の正極を端子32に接続し負極を34に接続し、圧電素子24a,24bの抗電界以上の直流高電圧を電極層28と電極層30との間に印加し、圧電素子24a及び圧電素子24b(それぞれの圧電層26)を、圧電素子24c及び圧電素子24dとは逆向きに、分極処理する。このようにして、圧電素子24aと圧電素子24cが相互に逆向きの分極方向になり、圧電素子24bと圧電素子24dが相互に逆向きの分極方向になるように、分極処理を施し圧電デバイス160が完成する。又、分極の際にのみ使用する仮端子を設け、分極後に切除するとともに、圧電素子24aと圧電素子24cの電極層30(信号電極)を接続し、圧電素子24bと圧電素子24dの電極層30(信号電極)を接続することも可能である。
本発明に係る圧電デバイスの制御方法が対象とする圧電デバイスは、圧電素子により電気的エネルギーと機械的エネルギーとを相互に変換するデバイスであり、アクチュエータのような能動素子の他に、センサのような受動素子も含まれる。即ち、本発明に係る圧電デバイスの制御方法は、各種アクチュエータの他に、特に、逆圧電効果による変位を利用した各種トランスデューサ、周波数領域機能部品(フィルタ)、トランス、通信用や動力用の振動子や共振子、発振子、ディスクリミネータ等の能動素子、超音波センサや加速度センサ、角速度センサや衝撃センサ、質量センサ等の各種センサ用のセンサ素子、を制御する手段として利用することが可能である。特に、光学機器、精密機器等の各種精密部品等の変位や位置決め調整、角度調整の機構に用いられる各種アクチュエータを制御する手段に、好適に利用することが出来る。
圧電デバイスの一例を示す斜視図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法を説明するために圧電デバイスを模式的に示した正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法を説明するために圧電デバイスを模式的に示した正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法を説明するために圧電デバイスを模式的に示した正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法を説明するために圧電デバイスを模式的に示した正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法の一の実施形態を説明するための図であり、圧電デバイスの作動状態を示す正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法の一の実施形態を説明するための図であり、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。 従来の圧電デバイスの制御方法を説明するための図であり、圧電デバイスの作動状態を示す正面図である。 従来の圧電デバイスの制御方法を説明するための図であり、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法の他の実施形態を説明するための図であり、圧電デバイスの作動状態を示す正面図である。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法の他の実施形態を説明するための図であり、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。 本発明に係る圧電デバイスの制御方法の更に他の実施形態を説明するための図であり、圧電素子に印加する電圧の波形を示すグラフである。 圧電素子へ負の電界のみをかける場合においてその電界を変化させたときの電界と変位量との関係を示すグラフである。 圧電素子における電界と変位量との関係を示すグラフである。 圧電素子における印加した最大電圧と変位量との関係を最小電圧毎に示すグラフである。 本発明に係る圧電デバイスの一の実施形態を示す斜視図である。 圧電デバイスの他例を示す斜視図である。 圧電デバイスの用途例を示す斜視図である。 圧電デバイスの他例を示す斜視図である。 圧電デバイスの用途例を示す斜視図である。
符号の説明
10,160,170,190 圧電デバイス
12,112 孔部
14,114,214 基体
16a,16b,116a,116b,216a,216b 薄板部
18 駆動部
20,120a,120b,220 可動部
22,222 固定部
24a,24b,24c,24d,124a,124b,224a,224b 圧電素子
26 圧電層
28,30 電極層
32,34 端子
36 空隙部
71a,71b,91a,91b,111a,111b 電圧(波形)
122a,122b 接着剤層
212 スリット
322 接着剤層

Claims (17)

  1. 可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、前記一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する方法であって、
    前記圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけて変位を生じさせ、圧電素子が配設された前記少なくとも1つの薄板部を撓ませる圧電デバイスの制御方法。
  2. 制御対象である前記圧電デバイスは、前記一対の薄板部の両内壁と、前記可動部の内壁と、前記固定部の内壁と、により、孔部が形成されたものである請求項1に記載の圧電デバイスの制御方法。
  3. 制御対象である前記圧電デバイスは、前記可動部を一対有し、前記一対の薄板部の先端部分に、それぞれ前記可動部を備えるものである請求項1に記載の圧電デバイスの制御方法。
  4. 制御対象である前記圧電デバイスは、前記固定部及び前記可動部が平板状を呈するとともに、前記薄板部を一対有し、その一対の薄板部が、前記固定部及び前記可動部の両側縁部から所定高さ起立して互いに対向して、前記固定部及び前記可動部の両側縁部に沿って形成されたものである請求項1に記載の圧電デバイスの制御方法。
  5. 前記圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかける場合において、次の(1)式を満たす請求項1〜4の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
    Figure 2007150188
    但し、(1)式において、E1は圧電素子にかけられる分極方向と同じ向きの電界、t1はその分極方向と同じ向きの電界がかかる時間、E2は圧電素子にかけられる分極方向と逆向きの電界、t2はその分極方向と逆向きの電界がかかる時間、をそれぞれ示し、n=0.5である。
  6. 前記圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかける場合において、次の(2)式を満たす請求項1〜5の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
    |E1|+|E2|=|Er| …… (2)
    但し、(2)式において、E1は圧電素子にかけられる分極方向と同じ向きの電界、E2は圧電素子にかけられる分極方向と逆向きの電界、Erは分極方向と同じ向きのみの電界をかける場合の電界、をそれぞれ示し、且つ、|E2|<|E0|である。尚、E0は圧電素子の残留分極が0(零)になる電界である。
  7. 前記圧電素子に、それの分極方向と同じ向きの電界をかけない場合において、次の(3)式を満たす請求項1〜4の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
    Figure 2007150188
    但し、(3)式において、E0は圧電素子の残留分極が0(零)になる電界、Etは圧電素子にかけられる電界、Tは圧電層の厚さの設計値、σは圧電層の厚さにかかる標準偏差(ばらつき)、をそれぞれ示す。
  8. 前記圧電素子にかけられるそれの分極方向と逆向きの電界が、負の電界である請求項1〜7の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
  9. 前記圧電素子にかけられる前記電界が、変位量と比例関係にある範囲の電界である請求項1〜8の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
  10. 前記圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、正電圧を印加する請求項1〜9の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
  11. 前記圧電素子に、それの分極方向と逆向きの電界をかけるために、負電圧を印加する請求項1〜9の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
  12. 前記一対の薄板部のそれぞれに、前記1以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを制御する場合に、
    前記一対の薄板部のそれぞれに配設された全ての圧電素子に、それの分極方向と同じ向き及び逆向きの電界をかけて変位を生じさせるとともに、
    一方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、他方の薄板部に配設された圧電素子に印加される電圧と、の位相をずらす請求項1〜11の何れか一項に記載の圧電デバイスの制御方法。
  13. 前記位相のずれが180°である請求項12に記載の圧電デバイスの制御方法。
  14. 可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、
    前記一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設されれた圧電デバイスであって、
    前記少なくとも1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層の厚さと、他の圧電素子の圧電層の厚さと、が異なる圧電デバイス。
  15. 可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、
    前記一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設された圧電デバイスであって、
    前記少なくとも1つの薄板部に配設される2つ以上の圧電素子のうち何れか2つの圧電素子は、それぞれの分極方向が相互に逆向きであるとともに、2つの圧電素子のうち一の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界と、他の圧電素子の圧電層を形成する圧電材料の抗電界と、が異なる圧電デバイス。
  16. 前記相対向する一対の薄板部のそれぞれに、前記2つの圧電素子が配設され、
    一方の薄板部の前記可動部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の前記固定部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きであり、
    一方の薄板部の前記固定部側に配設された圧電素子の分極方向と、他方の薄板部の前記可動部側に配設された圧電素子の分極方向とが同じ向きである請求項14又は15に記載の圧電デバイス。
  17. 可動部と、その可動部を持着する一対の薄板部と、その一対の薄板部を支持する固定部と、を具備し、
    前記一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に、圧電層と、少なくとも一対の電極層と、が積層されてなる、2つ以上の圧電素子が配設された圧電デバイスを製造する方法であって、
    前記一対の薄板部のうち少なくとも1つの薄板部に配設される2つの圧電素子のためのそれぞれ分離した2つの信号電極と、前記2つの圧電素子に共通する1つの共通電極と、を作製し、前記2つの信号電極を前記2つの圧電素子毎に使用して、前記2つの圧電素子が相互に逆向きの分極方向になるように分極処理を施した後、前記2つの信号電極を接続する工程を含む圧電デバイスの製造方法。
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