以下、添付図面を参照して、本実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図5を参照して、実施形態に係る圧電アクチュエータの構成を説明する。実施形態は、HDD用のサスペンション10が圧電アクチュエータを含んでいる例である。図1は、実施形態に係るサスペンションを示す概略平面図である。図2は、図1に示されたII−II線に沿った断面構成を説明するための図である。図3は、図1に示された圧電素子の斜視図である。図4は、図3に示されたIV−IV線に沿った断面構成を説明するための図である。図5は、図3に示されたV−V線に沿った断面構成を説明するための図である。
図1に示されたデュアル・アクチュエータ方式のサスペンション10は、ロードビーム11と、マイクロアクチュエータ部12と、ベースプレート13と、ヒンジ部材14と、を備えている。
ロードビーム11は、ばね性を有する金属板からなる。ロードビーム11の厚さは、たとえば、100μm程度である。ロードビーム11の先端部には、フレキシャ15が取付けられている。フレキシャ15は、ロードビーム11よりもさらに薄い金属製の薄板ばねからなる。フレキシャ15の前端部に、磁気ヘッドを構成するスライダ16が配置されている。
ベースプレート13の基部20に、円形のボス孔21が形成されている。ベースプレート13の基部20と前端部22との間には、後述する圧電素子40を収容可能な大きさの一対の開口部23が形成されている。一対の開口部23の間に、ベースプレート13の前後方向(サスペンション10の長辺方向)に延びる帯状の連結部24が設けられている。連結部24は、ベースプレート13の短辺方向(サスペンション10の長辺方向と交差する方向)への所定範囲の撓みが許容されるように構成されている。
ベースプレート13の基部20は、図示しないボイスコイルモータによって駆動されるアクチュエータアームの先端部に固定されている。これにより、ベースプレート13は、ボイスコイルモータによって旋回駆動される。ベースプレート13は、ステンレス鋼などの金属板からなる。ベースプレート13の厚さは、たとえば、200μm程度である。本実施形態の場合、ベースプレート13とヒンジ部材14とによって、アクチュエータベース25が構成されている。
ヒンジ部材14は、基部30と、ブリッジ部31と、中間部32と、一対のヒンジ部33と、先端部34と、を有している。基部30は、ベースプレート13の基部20に重ねて固定されている。ブリッジ部31は、帯状を呈し、ベースプレート13の連結部24と対応した位置に形成されている。中間部32は、ベースプレート13の前端部22と対応した位置に形成されている。各ヒンジ部33は、板厚方向に弾性変形可能な可撓性を有している。先端部34は、ロードビーム11に固定されている。ヒンジ部材14は、ばね性を有する金属板からなる。ヒンジ部材14の厚さは、たとえば、50μm程度である。
マイクロアクチュエータ部12には、一対の圧電素子40が配置されている。各圧電素子40は、いわゆる積層型圧電素子である。各圧電素子40は、図2〜図5にも示されるように、圧電体41と、圧電体41の外表面上に設けられている第一及び第二外部電極42,43と、圧電体41内に設けられている第一及び第二内部電極44,45と、樹脂50と、を備えている。
圧電体41は、略長方形板状である。圧電体41は、略長方形状を呈し、かつ、圧電体41の厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」という)で互いに対向する第一及び第二主面41a,41bと、第一及び第二主面41a,41bの長辺方向(以下、単に「長辺方向」という)Dで互いに対向する第一及び第二端面41c,41dと、第一及び第二主面41a,41bの短辺方向(以下、単に「短辺方向」という)で互いに対向する第一及び第二側面41e,41fと、を有している。
圧電体41の外形寸法は、たとえば、長辺方向Dに沿う長さ1.0mm、短辺方向に沿う長さ0.3mm、厚さ0.05mmである。圧電体41は、圧電セラミックからなる。圧電セラミックとしては、PZT[Pb(Zr,Ti)O3]、PT[PbTiO3]、PLZT[(Pb,La)(Zr,Ti)O3]、又はチタン酸バリウム[BaTiO3]などが挙げられる。圧電体41は、たとえば、PZTなどの圧電セラミック材料で構成されている。
第一外部電極42は、第一端面41c上に設けられている電極部分42aと、第一主面41a上に設けられている電極部分42bと、を有している。電極部分42aと電極部分42bとは一体的に設けられている。第一外部電極42は、短辺方向から見て、L字状をなしている。第一外部電極42の厚さは、たとえば、200〜500nm程度に設定されている。
電極部分42aは、第一端面41cの全面を覆っている。電極部分42bは、第一主面41aの第一端面41c側の部分を覆っている。電極部分42bの面積は、第一主面41aの面積の、たとえば、80%である。第一主面41aの第二端面41d側の部分41gは、第一外部電極42が設けられておらず、第一外部電極42から露出している。部分41gの長辺方向Dに沿う長さは、たとえば、0.2mmである。
第二外部電極43は、第二端面41d上に設けられている電極部分43aと、第二主面41b上に設けられている電極部分43bと、を有している。電極部分43aと電極部分43bとは一体的に設けられている。第二外部電極43は、短辺方向から見て、L字状をなしている。第二外部電極43の厚さは、第一外部電極42の厚さと同じに設定されている。すなわち、第二外部電極43の厚さは、たとえば、200〜500nm程度に設定されている。
電極部分43aは、第二端面41dの全面を覆っている。電極部分43bは、第二主面41bの第二端面41d側の部分を覆っている。電極部分43bの面積は、第二主面41bの面積の、たとえば、80%である。第二主面41aの第一端面41c側の部分41hは、第二外部電極43が設けられておらず、第二外部電極43から露出している。部分41hの長辺方向Dに沿う長さは、たとえば、0.2mmである。
本実施形態では、第一及び第二外部電極42,43は、Cr/Ni−Cu/Au積層構造(圧電体41側から順にCr層、Ni−Cu合金層、Au層が積層された構造)とされている。すなわち、第一及び第二外部電極42,43は、同じ積層構造を有している。第一及び第二外部電極42,43は、スパッタリング法により形成されている。第一及び第二外部電極42,43は、スパッタリング法以外の方法(たとえば、焼き付け法、電解めっき法、又は蒸着法など)により形成されていてもよい。第一及び第二外部電極42,43は、単層の同じ金属層(Cr層、Ni−Cu合金層、Au層、又はNi層など)として形成されていてもよい。
第一内部電極44は、圧電体41内において、第二内部電極45よりも第一主面41a側に設けられている。第一内部電極44は、電極部分42b及び第二内部電極45のそれぞれと厚さ方向で対向すると共に、略平行をなしている。第一内部電極44は、第二外部電極43に接続されている。より詳細には、第一内部電極44の第二端面41d側の端部は、電極部分43aに接続されている。第一内部電極44の第一端面41c側の端部は、第一端面41cから離間している。第一内部電極44の第一端面41c側の端部と第一端面41cとの離間距離は、たとえば、0.2mmである。第一内部電極44の短辺方向の端部は、第一及び第二側面41e,41fにおいて露出している。すなわち、第一内部電極44の短辺方向に沿う長さは、圧電体41の短辺方向に沿う長さと等しい。
第二内部電極45は、圧電体41内において、第一内部電極44よりも第二主面41b側に設けられている。第二内部電極45は、電極部分43b及び第一内部電極44のそれぞれと厚さ方向で対向すると共に、略平行をなしている。第二内部電極45は、第一外部電極42に接続されている。より詳細には、第二内部電極45の第一端面41c側の端部は、電極部分42aに接続されている。第二内部電極45の第二端面41d側の端部は、第二端面41dから離間している。第二内部電極45の第二端面41d側の端部と第二端面41dとの離間距離は、たとえば、0.2mmである。第二内部電極45の短辺方向の端部は、第一及び第二側面41e,41fにおいて露出している。すなわち、第二内部電極45の短辺方向に沿う長さは、圧電体41の短辺方向に沿う長さと等しい。
本実施形態では、第一及び第二内部電極44,45は、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(たとえば、Ag、Pd、Au、Pt又はこれらの合金など)からなる。第一及び第二内部電極44,45は、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。電極部分42bと、第一内部電極44と、第二内部電極45と、電極部分43bとは、厚さ方向に沿って、この順に設けられている。これらの電極は、厚さ方向に沿って、極性が交互に異なるように設けられている。
樹脂50は、第一及び第二主面41a,41b上、第一及び第二側面41e,41f上、第一主面41aと第一側面41eとを接続している角41s上、第一主面41aと第二側面41fとを接続している角41t上、第二主面41bと第一側面41eとを接続している角41u上、及び、第二主面41bと第二側面41fとを接続している角41v上に一体的に設けられている。
樹脂50は、第一主面41a上に設けられている樹脂部分50aと、第二主面41b上に設けられている樹脂部分50bと、第一側面41e上に設けられている樹脂部分50eと、第二側面41f上に設けられている樹脂部分50fと、角41s上に設けられている樹脂部分50sと、角41t上に設けられている樹脂部分50tと、角41u上に設けられている樹脂部分50uと、角41v上に設けられている樹脂部分50vと、を有している。樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vは一体化され、それぞれが直接的又は間接的に互いに接続されている。より具体的には、樹脂部分50sは、樹脂部分50aと樹脂部分50eとを接続している。樹脂部分50tは、樹脂部分50aと樹脂部分50fとを接続している。樹脂部分50uは、樹脂部分50bと樹脂部分50eとを接続している。樹脂部分50vは、樹脂部分50bと樹脂部分50fとを接続している。
樹脂部分50aは、第一主面41aの全面を覆っている。樹脂部分50bは、第二主面41bの全面を覆っている。樹脂部分50eは、第一側面41eの全面を覆っている。樹脂部分50fは、第二側面41fの全面を覆っている。樹脂部分50sは、角41sの全体を覆っている。樹脂部分50tは、角41tの全体を覆っている。樹脂部分50uは、角41uの全体を覆っている。樹脂部分50vは、角41vの全体を覆っている。
樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vの長辺方向Dの両端は、圧電素子40の長辺方向Dの両端と一致している。言い換えると、樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vの第一端面41c側の表面は、電極部分42aの外表面と面一である。また、樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vの第二端面41d側の表面は、電極部分43aの外表面と面一である。即ち、樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vの長辺方向Dに沿う両端の表面と、電極部分42a,43aの外表面とは、圧電素子40の長辺方向Dに沿う両端の表面をなしている。また、圧電素子40の長辺方向Dに沿う両端の表面において、樹脂部分50a,50b,50e,50f,50s〜50vは一体化されている。
樹脂部分50aは、電極部分42bを介して第一主面41a上に設けられている樹脂部分50a1と、第一主面41a上に直接設けられている樹脂部分50a2と、を含んでいる。樹脂部分50a2は、第一主面41aの部分41g上に設けられている。また、樹脂部分50bは、電極部分43bを介して第二主面41b上に設けられている樹脂部分50b1と、第二主面41b上に直接設けられている樹脂部分50b2と、を含んでいる。樹脂部分50b2は、第二主面41bの部分41h上に設けられている。
ここで、たとえば、第一主面41a上に設けられているとは、第一主面41a上に直接設けられている場合だけでなく、第一主面41a上に他の部材を介して間接的に設けられている場合も含まれる意味である。また、たとえば、第一主面41aを覆っているとは、第一主面41aに直接接して覆っている場合だけでなく、他の部材を介して、覆っている場合も含まれる意味である。また、角41s〜41vは、圧電体41の稜線が含まれる部分であり、面取りされた形状又は丸められた形状であってもよい。なお、稜線とは、多面体の頂点同士を結ぶ線である。
樹脂50は、一体的に設けられ、圧電体41の第一及び第二端面41c,41d以外の外表面全体を覆っている。言い換えると、第一及び第二端面41c,41dは、樹脂50から露出している。また、圧電素子40は、第一及び第二端面41c,41d以外の4面が樹脂コーティングされている。
樹脂50としては、たとえば、パラキシレン系ポリマー(たとえば、パリレン(登録商標))を用いることができる。パリレン(登録商標)は、耐電圧性が高いので、圧電素子40全体の耐電圧性も向上させることができる。
樹脂部分50a,50bの厚さは、たとえば、1μmである。樹脂部分50e,50fの厚さは、たとえば、0.1μmである。すなわち、樹脂部分50e,50fの厚さは、樹脂部分50a,50bの厚さよりも薄い。
各圧電素子40は、長辺方向Dが、ベースプレート13の前後方向(サスペンション10の軸線方向)に沿うようにして、対応する開口部23に収容されている。すなわち、各圧電素子40は、対応する開口部23に配置されている。
各圧電素子40は、第一端面41c側において、基部30に支持されるように、基部20及び基部30に導電性樹脂60によって固定されている。詳細には、電極部分42aが導電性樹脂60によって基部20及び基部30に固定されている。第一外部電極42は、導電性樹脂60によって図示しない電気配線に接続されている。導電性樹脂60は、導電性材料(たとえば、金属粒子など)を含有する樹脂である。
各圧電素子40は、第二端面41d側において、中間部32に支持されるように、前端部22及び中間部32に導電性樹脂60によって固定されている。詳細には、電極部分43aが導電性樹脂60によって前端部22及び中間部32に固定されている。第二外部電極43は、導電性樹脂60によって図示しない電気配線に接続されている。
圧電素子40は、上述したように、ヒンジ部材14の中間部32及び基部30に固定されて支持されている。本実施形態においては、サスペンション10が、圧電素子40と、支持部材(中間部32及び基部30)と、を備える圧電アクチュエータを含むこととなる。
次に、図6を参照して、サスペンション10(圧電アクチュエータ)の動作について説明する。図6は、実施形態に係るサスペンションの動作を説明するための図である。
図6の(a)に示された圧電素子40では、第一及び第二外部電極42,43に電圧が印加されておらず、第一及び第二外部電極42,43を通して圧電体41に電界が印加されていない。第一及び第二外部電極42,43に電圧が印加され、第一及び第二外部電極42,43を通して圧電体41に所定の電界が印加されることにより圧電素子40が駆動されると、圧電素子40は、図6の(b)に示されるように、駆動方向に伸長する。ここでは、駆動方向は長辺方向Dである。
次に、上述した圧電素子40の製造方法について説明する。
まず、圧電セラミック粉にバインダ及び有機溶剤などの成分を加えてペースト化する。得られたペーストから、たとえば、ドクターブレード法により、所定厚さのグリーンシートを作成する(シート工法)。次に、グリーンシートに電極膜を形成する。電極膜は、例えば、導電性ペーストを用いて形成される。更に、グリーンシートを重ね合わせて積層体とする。次に、グリーンシートの積層体を積層方向にプレス圧着し、圧電体グリーンを得る。
続いて、得られた圧電体グリーンに脱バインダ処理を施した後、焼成し、圧電体基板を得る。次に、圧電体基板の各主面上に電極膜を形成する。各電極膜は、印刷法、スパッタリング法又は蒸着法などにより形成される。以上の工程により、圧電体基板及び電極膜を備える圧電素子基板が得られる。
次に、圧電素子基板に分極処理を行う。分極処理では、たとえば、100℃の温度下で、電界強度2kV/mmの電圧を5分間程度印加する。続いて、分極処理後の圧電素子基板を製品形状に切断する。切断処理は、たとえば、分極処理後の圧電素子基板をカット用フィルムに貼り付けて行う。これにより、樹脂50が設けられる前の状態の圧電素子が個片化された状態で得られる。
続いて、圧電素子の外表面に樹脂50を設ける。たとえば、切断後、圧電素子の第二主面41b側をカット用フィルムに貼り付けたまま、パリレン(登録商標)の蒸着を行うことにより、まず、圧電素子の第二主面41b側以外の外表面上に樹脂50を設ける。次に、カット用フィルムを圧電素子の第一主面41a側に貼り換えて、同様にパリレン(登録商標)の蒸着を行い、圧電素子の第二主面41b上にも樹脂50を設ける。蒸着によれば、樹脂50を薄く設けることができる。
次に、第一及び第二端面41c,41d上の樹脂50を取り除く。たとえば、第一及び第二端面41c,41dにプラズマエッチングを施すことにより、樹脂50を取り除き、第一及び第二外部電極42,43を露出させる。以上により、樹脂50が第一及び第二端面41c,41d以外の外表面上に設けられている圧電素子40が得られる。
以上説明したように、本実施形態では、サスペンション10は、圧電素子40と、支持部材と、を備えている。圧電素子40では、第一及び第二外部電極42,43は第一及び第二端面41c,41dから引き出されている。第一及び第二端面41c,41d以外の外表面である第一及び第二主面41a,41b、第一及び第二側面41e,41f、角41s〜41vは、樹脂50により覆われて保護されている。このため、圧電素子40の製造時、サスペンション10への実装時、及びサスペンション10の駆動時などにおいて、圧電素子40では、樹脂50を備えていない圧電素子に比べて、損傷を抑制することができる。
特に、圧電体41は、脆性材料からなるため、外部衝撃により割れ及び欠けが生じ易く、また、パーティクルが生じ易い。本実施形態では、圧電体41は、外部に露出していないので、割れ、欠け、及びパーティクルの発生が抑制される。
上述のように、樹脂50が設けられていることにより、圧電素子40の損傷を抑制するという本実施形態の効果が得られる。また、樹脂50の厚さが厚い程、その効果が高くなる。しかしながら、樹脂50の厚さが厚い程、圧電体41の変形(振動)が阻害され易くなる。圧電体41は、圧電体41の体積を維持したまま変位しようとするため、第一及び第二端面41c,41d側では伸びるように変形しようとする代わりに、第一及び第二主面41a,41b側並びに第一及び第二側面41e,41f側では縮むように変形しようとする。
したがって、仮に、樹脂50の厚さが全体的に厚い場合、即ち、樹脂50の厚さが全体的に樹脂部分50a,50bの厚さと同程度である場合、圧電体41の第一及び第二主面41a,41b側並びに第一及び第二側面41e,41f側の変形が阻害されるのに伴って、第一及び第二端面41c,41d側の変形も阻害される。この結果、圧電素子の変位が減少する。
これに対して、圧電素子40では、樹脂部分50e,50fの厚さは、樹脂部分50a,50bの厚さよりも薄い。このため、第一及び第二側面41e,41f側において圧電体41の変形(振動)が阻害され難い。このように圧電素子40では、変形の阻害が抑制され、圧電素子40の変位の減少度合いを低く抑えることができる。したがって、圧電素子40によれば、圧電アクチュエータの駆動量の減少度合いを低く抑えることができる。
また、図7及び図8に示される圧電素子40A,40Bのように、樹脂50の厚さが全体的に薄い場合、即ち、樹脂50の厚さが全体的に樹脂部分50e,50fの厚さと同程度である場合も、樹脂50を備えていない圧電素子よりも、損傷を抑制することができる。しかしながら、樹脂50の厚さが薄いことによって、たとえば、図7に示される圧電素子40Aのように、外部衝撃による欠け及び割れが発生する場合がある。また、たとえば、図8に示される圧電素子40Bのように、第二主面41bと第二端面41dとを接続している端部が欠け、それに伴い、第二外部電極43が切れる場合がある。この場合、電極部分43aと電極部分43bとの導通が取れないため、圧電体41のうち、電極部分43bと第二内部電極45との間に位置する領域が圧電的に非活性な領域となり、圧電体41の変位が低下する懼れがある。
これに対して、圧電素子40では、特に外部衝撃を受け易い第一及び第二主面41a,41b上に設けられている樹脂部分50a,50bの厚さが厚いので、外部衝撃による欠け及び割れが抑制される。また、第一及び第二外部電極42,43が切れることによる圧電体41の変位の低下が抑制される。
第一外部電極42は、第一端面41c上に設けられている電極部分42aと、第一主面41a上に設けられている電極部分42bと、を有し、樹脂50は、電極部分42bを介して第一主面41a上に設けられている樹脂部分50a1を含んでいる。また、第二外部電極43は、第二端面41d上に設けられている電極部分43aと、第二主面41b上に設けられている電極部分43bと、を有し、樹脂50は、電極部分43bを介して第二主面41b上に設けられている樹脂部分50b1を含んでいる。このように、電極部分42b,43bは、樹脂部分50a1,50b1に覆われて外部衝撃から保護されている。このため、電極部分42b,43bの損傷を抑制することができる。電極部分42b,43bが損傷されると、圧電体41において圧電的に活性な領域の占める割合が減る懼れがある。したがって、電極部分42b,43bが、樹脂部分50a1,50b1に覆われていない場合に対して、圧電素子40の変位を向上させることができる。
また、圧電素子40では、樹脂50が設けられていることにより、第一及び第二外部電極42,43の短絡(ショートパス)が生じ難い。すなわち、第一及び第二主面41a,41b上に樹脂50が設けられているため、第一及び第二主面41a,41b上では、第一外部電極42及びこれに導通する部分(以下、単に、第一外部電極42という)と、第二外部電極43及びこれに導通する部分(以下、単に、第二外部電極43という)とは、露出していない。第一外部電極42は第一端面41c上で露出しており、第二外部電極43は第二端面41d上で露出している。したがって、第一及び第二端面41c,41d間の距離が、両電極の露出した部分のなす距離(電極間距離)となる。このように、圧電素子40では、電極間距離が長いため、短絡が生じ難い。
特に、第二主面41b上に両電極の露出した部分が存在すると、気中放電による短絡が生じ易いが、圧電素子40では、第二主面41bは樹脂50により完全に覆われているため、気中放電による短絡も抑制することができる。
また、樹脂50として、耐電圧性が高いパリレン(登録商標)を用いることにより、圧電素子40全体の耐電圧性も向上することができる。このように、圧電素子40では、両電極間の短絡が抑制されるとともに、耐電圧性が向上するので、信頼性が向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
たとえば、樹脂50の厚さは、全体的に均一の厚さであってもよい。また、樹脂50は、必ずしも第一及び第二端面41c,41d以外の外表面の全てを覆っていなくてもよく、たとえば、第一及び第二端面41c,41d以外の外表面の一部が樹脂50から露出していてもよい。また、樹脂50は、必ずしも一体的に設けられている必要はなく、2つ以上に分かれて設けられていてもよい。第一及び第二主面41a,41b、第一及び第二側面41e,41f、並びに角41s〜41vのそれぞれに対して、部分的にでも樹脂50が設けられていることにより、樹脂50が設けられていない場合に対して、外部衝撃に対する圧電体41の保護機能を向上させることができる。
また、特に、圧電体41の長辺方向Dの端部(すなわち、第一及び第二端面41c,41dと第一及び第二主面41a,41bとを接続している各角、並びに、第一及び第二端面41c,41dと第一及び第二側面41e,41fとを接続している各角)が欠けることを抑制するため、樹脂50は、これらの端部近傍に設けられてもよい。言い換えると、樹脂50は、電極部分42a,43aの外表面と面一となる部分を有するように、第一及び第二主面41a,41b上と、第一及び第二側面41e,41f上に設けられてもよい。逆に、樹脂50は、長辺方向Dの中央部には設けられてなくてもよい。これにより、長辺方向Dの端部が欠け、第一及び第二外部電極42,43が切れることを抑制すると共に、圧電体41の変形が阻害され難くなる。また、樹脂50は、長辺方向Dの端部近傍に厚く設けられると共に、長辺方向Dの中央部には薄く設けられてもよい。
また、内部電極は2つに限られず、1つ以上であればよい。第一及び第二外部電極42,43は第一及び第二端面41c,41dから引き出されればよく、第一及び第二端面41c,41d上の一部に樹脂50が設けられていてもよい。また、第一及び第二端面41c,41dの全面が電極部分42a,43aにより覆われていなくてもよい。
圧電素子40〜40Bでは、ヒンジ部材14の中間部32及び基部30と、ベースプレート13の前端部22及び基部20とが支持部材として機能しているが、これに加えて、たとえば、ベースプレート13の連結部24が支持部材として機能してもよい。また、たとえば、ヒンジ部材14の中間部32及び基部30のみが支持部材として機能してもよい。
本発明は、HDD用のサスペンション10のマイクロアクチュエータ部12以外の圧電アクチュエータに用いることができる。