JP6535098B2 - 金属充填微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属充填微細構造体の製造方法に関するものである。
絶縁性基材に設けられた微細孔に金属が充填されてなる金属充填微細構造体(デバイス)は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材や機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
このような異方導電性部材として、特許文献1には、「アルミニウム基板の片側の表面に陽極酸化処理を施し、上記アルミニウム基板の片側の表面に、厚み方向に存在するマイクロポアと上記マイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程と、上記陽極酸化処理工程の後に、上記陽極酸化膜の上記バリア層を除去するバリア層除去工程と、上記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して上記マイクロポアの内部に金属を充填する金属充填工程と、上記金属充填工程の後に、上記アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る基板除去工程と、を有する金属充填微細構造体の製造方法。」が記載されている([請求項1])。
国際公開第2015/029881号
本発明者らは、特許文献1に記載された金属充填微細構造体の製造方法を検討したところ、バリア層除去工程後の金属充填工程において、電解めっき処理の条件によってはマイクロポアの内部への金属の充填が不十分となり、金属が充填されないマイクロポアが残存してしまう問題、すなわち、金属充填の面内均一性が劣る問題があることが分かった。
そこで、本発明は、マイクロポアへの金属充填が容易となり、面内均一性も良好となる金属充填微細構造体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜中のバリア層を、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属を含むアルカリ水溶液を用いて除去することにより、その後の金属充填工程におけるマイクロポアへの金属充填が容易となり、面内均一性も良好となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の金属充填微細構造体の製造方法を提供する。
[1] アルミニウム基板の片側の表面に陽極酸化処理を施し、上記アルミニウム基板の片側の表面に、厚み方向に存在するマイクロポアと上記マイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程と、
上記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いて、上記陽極酸化膜の上記バリア層を除去するバリア層除去工程と、
上記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して上記マイクロポアの内部に金属M2を充填する金属充填工程と、
上記金属充填工程の後に、上記アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る基板除去工程と、を有する金属充填微細構造体の製造方法。
[2] 上記バリア層除去工程で用いる上記金属M1が、上記金属充填工程で用いる上記金属M2よりもイオン化傾向が高い金属である、[1]に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[3] 上記金属充填工程の後であって上記基板除去工程の前に、
上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、上記金属充填工程で充填した上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも突出させる表面金属突出工程を有する、[1]または[2]に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[4] 上記基板除去工程の後に、
上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、上記金属充填工程で充填した上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも突出させる裏面金属突出工程を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[5] 上記表面金属突出工程および上記裏面金属突出工程の少なくとも一方の工程が、上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも10〜1000nm突出させる工程である、[3]または[4]に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[6] 上記金属充填工程の後であって上記基板除去工程の前に、
上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける樹脂層形成工程を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[7] 上記樹脂層が、剥離可能な粘着層付きフィルムである、[6]に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[8] 上記樹脂層が、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムである、[6]または[7]に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[9] 陽極酸化処理工程により形成される陽極酸化膜の平均厚みが30μm以下となる、[6]〜[8]のいずれかに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
[10] 上記基板除去工程の後に、上記樹脂層を有する状態で金属充填微細構造体をロール状に巻き取る巻取工程を有する、[6]〜[9]のいずれかに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
本発明によれば、マイクロポアへの金属充填が容易となり、面内均一性も良好となる金属充填微細構造体の製造方法を提供することができる。
図1Aは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第1態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理を施すアルミニウム基板を示す模式的な断面図である。 図1Bは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第1態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図1Cは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第1態様)を説明するための模式的な断面図のうち、バリア層除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図1Dは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第1態様)を説明するための模式的な断面図のうち、金属充填工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図1Eは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第1態様)を説明するための模式的な断面図のうち、基板除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Aは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の他の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理を施すアルミニウム基板を示す模式的な断面図である。 図2Bは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Cは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、バリア層除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Dは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、金属充填工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Eは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、表面金属突出工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Fは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、基板除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図2Gは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第2態様)を説明するための模式的な断面図のうち、裏面金属突出工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図3Aは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の他の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理を施すアルミニウム基板を示す模式的な断面図である。 図3Bは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、陽極酸化処理工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図3Cは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、バリア層除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図3Dは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、金属充填工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図3Eは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、樹脂層形成工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図3Fは、本発明の金属充填微細構造体の製造方法の一例(第3態様)を説明するための模式的な断面図のうち、基板除去工程後の状態を示す模式的な断面図である。 図4は、本発明の金属充填微細構造体の製造方法で作製される金属充填微細構造体の供給形態の一例を説明する模式図である。 図5Aは、搬送性の評価に用いる試験体を説明するための模式図である。 図5Bは、搬送性の評価に用いる試験体を説明するための模式図である。
[金属充填微細構造体の製造方法]
本発明の金属充填微細構造体の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも略す。)は、アルミニウム基板の片側の表面(以下、「片面」ともいう。)に陽極酸化処理を施し、上記アルミニウム基板の片側の表面に、厚み方向に存在するマイクロポアと上記マイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程と、上記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いて、上記陽極酸化膜の上記バリア層を除去するバリア層除去工程と、上記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して上記マイクロポアの内部に金属M2を充填する金属充填工程と、上記金属充填工程の後に、上記アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る基板除去工程と、を有する金属充填微細構造体の製造方法である。
本発明においては、上述した通り、陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜中のバリア層を、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属を含むアルカリ水溶液を用いて除去することにより、その後の金属充填工程におけるマイクロポアへの金属充填が容易となり、面内均一性も良好となる。
これは、詳細には明らかではないが、およそ以下のとおりと推測される。
まず、特許文献1(国際公開第2015/029881号)に記載された製造方法について面内均一性が劣る原因について検討したところ、電解めっき処理の際に酸性のめっき液(例えば、硫酸銅水溶液など)を用いると、バリア層が除去されたマイクロポアの底部、すなわち露出したアルミニウム基板の表面において水素ガスの発生が観察されることから、本発明者らは、いったん発生した水素ガスの存在により、その後のめっき液がマイクロポアの内部に浸入し難くなったことに原因があると知見している。
これに対し、本発明の製造方法では、金属充填工程の前に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去することにより、バリア層を除去するだけでなく、マイクロポアの底部に露出したアルミニウム基板にアルミニウムよりも水素ガスが発生しにくい金属M1の金属層が形成され、その結果、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっき処理による金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
次に、本発明の製造方法における各工程の概要を図1A〜図1E、図2A〜図2G、図3A〜図3Fを用いて説明した後に、本発明の製造方法に用いられるアルミニウム基板およびアルミニウム基板に施す各処理工程について詳述する。
<第1態様>
図1A〜図1Eに示すように、金属充填微細構造体10は、アルミニウム基板1の片面に陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板1の片面に、厚み方向に存在するマイクロポア2とマイクロポア2の底部に存在するバリア層3とを有する陽極酸化膜4を形成する陽極酸化処理工程(図1Aおよび図1B参照)と、陽極酸化処理工程の後に陽極酸化膜4のバリア層3を除去するバリア層除去工程(図1Bおよび図1C参照)と、バリア層除去工程の後にマイクロポア2の内部に金属5b(金属M2)を充填する金属充填工程(図1Cおよび図1D参照)と、金属充填工程の後にアルミニウム基板1を除去する基板除去工程(図1Dおよび図1E参照)と、を有する製造方法により作製することができる。
ここで、本発明の製造方法は、上述した通り、上記バリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いることにより、陽極酸化膜4のバリア層3を除去すると同時に、マイクロポア2の底部に金属5a(金属M1)からなる金属層を形成することを特徴とするものである(図1C、図2C、図3C参照)。
<第2態様>
本発明の製造方法は、後述する表面金属突出工程および裏面金属突出工程の少なくとも一方の工程を有するのが好ましい。
例えば、図2A〜図2G(以下、これらをまとめて単に「図2」とも略す。)に示す通り、金属充填微細構造体10は、アルミニウム基板1の片面に陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板1の片面に、厚み方向に存在するマイクロポア2とマイクロポア2の底部に存在するバリア層3とを有する陽極酸化膜4を形成する陽極酸化処理工程(図2Aおよび図2B参照)と、陽極酸化処理工程の後に陽極酸化膜4のバリア層3を除去するバリア層除去工程(図2Bおよび図2C参照)と、バリア層除去工程の後にマイクロポア2の内部に金属5b(金属M2)を充填する金属充填工程(図2Cおよび図2D参照)と、金属充填工程の後に陽極酸化膜4のアルミニウム基板1が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、金属充填工程で充填した金属5を陽極酸化膜4の表面よりも突出させる表面金属突出工程(図2Dおよび図2E参照)と、表面金属突出工程の後にアルミニウム基板1を除去する基板除去工程(図2Eおよび図2F参照)と、基板除去工程の後に陽極酸化膜4のアルミニウム基板1が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、金属充填工程で充填した金属5を陽極酸化膜4の表面よりも突出させる裏面金属突出工程(図2Fおよび図2G参照)と、を有する製造方法により作製することができる。
ここで、本発明の製造方法は、図2の第2態様に示すように、表面金属突出工程および裏面金属突出工程(以下、これらをまとめて「金属突出工程」ともいう。)をいずれも有する態様であってもよいが、表面金属突出工程および裏面金属突出工程のいずれか一方を有する態様であってもよい。
<第3態様>
本発明の製造方法は、後述する樹脂層形成工程を有するのが好ましい。
例えば、図3A〜図3F(以下、これらをまとめて単に「図3」とも略す。)に示す通り、金属充填微細構造体10は、金属充填微細構造体10は、アルミニウム基板1の片面に陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板1の片面に、厚み方向に存在するマイクロポア2とマイクロポア2の底部に存在するバリア層3とを有する陽極酸化膜4を形成する陽極酸化処理工程(図3Aおよび図3B参照)と、陽極酸化処理工程の後に陽極酸化膜4のバリア層3を除去するバリア層除去工程(図3Bおよび図3C参照)と、バリア層除去工程の後にマイクロポア2の内部に金属5b(金属M2)を充填する金属充填工程(図3Cおよび図3D参照)と、金属充填工程の後に陽極酸化膜4のアルミニウム基板1が設けられていない側の表面に樹脂層を設ける樹脂層形成工程(図3Dおよび図3E参照)と、樹脂層形成工程の後にアルミニウム基板1を除去する基板除去工程(図3Eおよび図3F参照)と、を有する製造方法により作製することができる。
ここで、図3に示す第3態様は、作製される金属充填微細構造体20をロール状に巻き取って供給することを意図した態様(図4参照)であり、使用時に樹脂層7を剥離することにより、例えば、異方導電性部材として使用することができる。
<他の態様>
本発明の製造方法は、図2に示す第2態様および図3に示す第3態様をいずれも満たす態様、すなわち、上述した陽極酸化処理工程、バリア層除去工程、金属充填工程、表面金属突出工程、樹脂層形成工程、基板除去工程および裏面金属突出工程をこの順に有する態様であってもよい。
また、本発明の製造方法は、特許文献1(国際公開第2015/029881号)の図2に示す態様、すなわち、所望の形状のマスク層を用いてアルミニウム基板の表面の一部に陽極酸化処理を施す態様であってもよい。
〔アルミニウム基板〕
本発明の製造方法に用いられるアルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハー、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
本発明においては、アルミニウム基板のうち、後述する陽極酸化処理工程により陽極酸化膜を設ける表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であるのが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上記範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
また、本発明においては、アルミニウム基板のうち後述する陽極酸化処理工程を施す片側の表面は、あらかじめ熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理が施されるのが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理および鏡面仕上げ処理については、特開2008−270158号公報の[0044]〜[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
〔陽極酸化処理工程〕
上記陽極酸化工程は、上記アルミニウム基板の片面に陽極酸化処理を施すことにより、上記アルミニウム基板の片面に、厚み方向に存在するマイクロポアとマイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する工程である。
本発明の製造方法における陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、金属充填微細構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法や定電圧処理を用いるのが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法や定電圧処理については、特開2008−270158号公報の[0056]〜[0108]段落および[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
本発明においては、上記陽極酸化処理工程は、本発明の製造方法(特に、上述した第3態様)で作製される金属充填微細構造体を図4に示すように所定径および所定幅の巻き芯21に巻き取られた形状で供給する観点から、陽極酸化処理により形成される陽極酸化膜の平均厚みが30μm以下であるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。なお、平均厚みは、陽極酸化膜を厚さ方向に対して集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)で切削加工し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE−SEM)により表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
〔バリア層除去工程〕
上記バリア層除去工程は、上記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いて、上記陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
本発明の製造方法においては、上記バリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、図1Cにも示す通り、マイクロポア2の底部に、金属M1からなる金属層5aが形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は−1.66Vである(日本化学学会誌,1982、(8),p1305−1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例およびその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1および水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
本発明においては、後述する陽極酸化処理工程において充填する金属M2と置換反応を起こし、マイクロポアの内部に充填される金属の電気的な特性に与える影響が少なくなる理由から、上記バリア層除去工程で用いる金属M1は、後述する金属充填工程で用いる金属M2よりもイオン化傾向が高い金属であることが好ましい。
具体的には、後述する金属充填工程の金属M2として銅(Cu)を用いる場合には、上記バリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe、Ni、Sn等が挙げられ、中でも、Zn、Niを用いるのが好ましく、Znを用いるのがより好ましい。
また、後述する金属充填工程の金属M2としてNiを用いる場合には、上記バリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe等が挙げられ、中でも、Znを用いるのが好ましい。
このような金属M1を含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、従来公知の化学的エッチング処理と同様の方法が挙げられる。
<化学エッチング処理>
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、上記陽極酸化処理工程後の構造物をアルカリ水溶液に浸漬させ、マイクロポアの内部にアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜のマイクロポアの開口部側の表面にpH緩衝液に接触させる方法等により、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、上記金属M1を含むアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10〜60℃が好ましく、更に15〜45℃が好ましく、更に20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述したアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、アルカリ水溶液への浸せき時間は、5〜120分であるのが好ましく、8〜120分であるのがより好ましく、8〜90分であるのが更に好ましく、10〜90分であるのが特に好ましい。なかでも、10〜60分であるのが好ましく、15〜60分であるのがより好ましい。
〔金属充填工程〕
上記金属充填工程は、上記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して陽極酸化膜におけるマイクロポアの内部に金属M2を充填する工程である。
<金属M2>
上記金属M2は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であるのが好ましく、その具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、インジウムがドープされたスズ酸化物(ITO)等が好適に例示される。
中でも、電気伝導性の観点から、Cu、Au、Al、Niが好ましく、Cu、Auがより好ましく、Cuが更に好ましい。
<充填方法>
上記金属M2をマイクロポアの内部に充填する電解めっき処理方法としては、例えば、電解メッキ法または無電解メッキ法を用いることができる。
ここで、着色などに用いられる従来公知の電解メッキ法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもメッキが成長しないためと考えられる。
そのため、本発明の製造方法においては、電解メッキ法により金属を充填する場合は、パルス電解または定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30〜60秒であるのが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS社、北斗電工社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
メッキ液は、従来公知のメッキ液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1〜300g/Lであるのが好ましく、100〜200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10〜20g/Lであるのが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でメッキを行なうのが望ましい。
なお、無電解メッキ法では、アスペクトの高いマイクロポアからなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、本発明の製造方法においては、電解メッキ法により金属を充填するのが望ましい。
本発明においては、上記バリア層除去工程によりバリア層を除去し、かつ、マイクロポアの底部に上述した金属M1からなる金属層が形成されているため、上述した通り、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっき処理による金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
〔基板除去工程〕
上記基板除去工程は、上記金属充填工程の後に、上記アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る工程である。
アルミニウム基板を除去する方法は特に限定されず、例えば、溶解により除去する方法等が好適に挙げられる。
<アルミニウム基板の溶解>
上記アルミニウム基板の溶解は、陽極酸化膜を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いるのが好ましい。
このような処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であるのが好ましく、3μm/分以上であるのがより好ましく、5μm/分以上であるのが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となるのが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pHが4以下または8以上となる処理液であるのが好ましく、そのpHが3以下または9以上であるのがより好ましく、2以下または10以上であるのが更に好ましい。
このような処理液としては、酸またはアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであるのが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドするのが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、このような処理液の組成は特に限定されず、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、王水等を用いることができる。
また、このような処理液の酸またはアルカリ濃度は、0.01〜10mol/Lが好ましく、0.05〜5mol/Lがより好ましい。
更に、このような処理液を用いた処理温度は、−10℃〜80℃が好ましく、0℃〜60℃が好ましい。
また、上記アルミニウム基板の溶解は、上記金属充填工程後のアルミニウム基板を上述した処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒〜5時間が好ましく、1分〜3時間がより好ましい。
〔金属突出工程〕
本発明の製造方法においては、作製される金属充填微細構造体の金属接合性が向上する理由から、上述した第2態様および図2に示す通り、表面金属突出工程および/または裏面金属突出工程を有しているのが好ましい。
ここで、表面金属突出工程とは、上記金属充填工程の後であって上記基板除去工程の前に、上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、上記金属充填工程で充填した上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
また、裏面金属突出工程とは、上記基板除去工程の後に、上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、上記金属充填工程で充填した上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも突出させる工程である。
このような金属突出工程における陽極酸化膜の一部除去は、例えば、上述した金属M1および金属M2(特に金属M2)を溶解せず、陽極酸化膜、すなわち、酸化アルミニウムを溶解する酸水溶液またはアルカリ水溶液に対して、金属が充填されたマイクロポアを有する陽極酸化膜を接触させることにより行うことができる。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でも、クロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1〜10質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、25〜60℃であるのが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1〜5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20〜35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、8〜120分であるのが好ましく、10〜90分であるのがより好ましく、15〜60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、本発明の製造方法においては、作製される金属充填微細構造体を異方導電性部材として用いた際に、配線基板などの被接着物との圧着性が良好となる理由から、上記表面金属突出工程および/または上記裏面金属突出工程が、上記金属M2を上記陽極酸化膜の表面よりも10〜1000nm突出させる工程であるのが好ましく、50〜500nm突出させる工程であるのがより好ましい。
更に、本発明の製造方法においては、作製される金属充填微細構造体と電極とを圧着などの手法により接続(接合)する際に、突出部分が潰れた場合の面方向の絶縁性を十分に確保できる理由から、上記表面金属突出工程および/または上記裏面金属突出工程により形成される突出部分のアスペクト比(突出部分の高さ/突出部分の直径)が0.01以上20未満であるのが好ましく、6〜20であるのが好ましい。
本発明の製造方法においては、上述した金属充填工程および基板除去工程ならびに任意の金属突出工程により形成される金属からなる導通路は、柱状であるのが好ましく、その直径は、5nm超10μm以下であるのが好ましく、40nm〜1000nmであるのがより好ましい。
また、上記導通路は、アルミニウム基板の陽極酸化皮膜によって互いに絶縁された状態で存在するものであるが、その密度は、2万個/mm2以上であるのが好ましく、200万個/mm2以上であるのがより好ましく、1000万個/mm2以上であるのが更に好ましく、5000万個/mm2以上であるのが特に好ましく、1億個/mm2以上であるのが最も好ましい。
更に、隣接する各導通路の中心間距離は、20nm〜500nmであるのが好ましく、40nm〜200nmであるのがより好ましく、50nm〜140nmであるのが更に好ましい。
〔樹脂層形成工程〕
本発明の製造方法においては、作製される金属充填微細構造体の搬送性が向上する理由から、上述した第3態様および図3に示す通り、樹脂層形成工程を有しているのが好ましい。
ここで、樹脂層形成工程とは、上記金属充填工程の後(上記表面金属突出工程を有している場合は表面金属突出工程の後)であって上記基板除去工程の前に、上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける工程である。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、具体的には、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂などを挙げることができるが、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、上記樹脂層は、剥離可能な粘着層付きフィルムであるのが好ましく、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上記粘着層付きフィルムは特に限定されず、熱剥離型の樹脂層や、紫外線(ultraviolet:UV)剥離型の樹脂層などが挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセルなどを用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、スチレン−ジエンブロック共重合体系粘着剤などが挙げられる。
また、UV剥離型の樹脂層は、UV硬化型の接着層を有するもので硬化により粘着力が失われて剥離可能になるというものである。
UV硬化型の接着層としては、ベースポリマーに、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に導入したポリマー等が挙げられる。炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。
炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは単独で使用することができるが、UV硬化性のモノマーやオリゴマーを配合することもできる。
UV硬化型の接着層は、UV照射により硬化させるために光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル系化合物;ケタール系化合物;芳香族スルホニルクロリド系化合物;光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10などのインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y−4L、No.319Y−4LS、No.319Y−4M、No.319Y−4MS、No.319Y−4H、No.319Y−4HS、No.319Y−4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MSなどのリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
UV剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、ELP DU−300、ELP DU−2385KS、ELP DU−2187G、ELP NBD−3190K、ELP UE−2091Jなどのエレップホルダー〔登録商標〕(日東電工株式会社製);Adwill D−210、Adwill D−203、Adwill D−202、Adwill D−175、Adwill D−675(いずれもリンテック株式会社製);スミライト〔登録商標〕FLSのN8000シリーズ(住友ベークライト株式会社製);UC353EP−110(古河電気工業株式会社製);等のダイシングテープや、
ELP RF−7232DB、ELP UB−5133D(いずれも日東電工株式会社製);SP−575B−150、SP−541B−205、SP−537T−160、SP−537T−230(いずれも古河電気工業株式会社製);等のバックグラインドテープを利用することができる。
また、上記粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置やラミネーターを用いて貼り付けることができる。
〔巻取工程〕
本発明の製造方法においては、作製される金属充填微細構造体の搬送性が更に向上する理由から、上述した任意の樹脂層形成工程の後に上記樹脂層を有する状態で金属充填微細構造体をロール状に巻き取る巻取工程を有しているのが好ましい。
ここで、上記巻取工程における巻き取り方法は特に限定されず、例えば、図4に示すように、所定径および所定幅の巻き芯21に巻き取る方法が挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、上記巻取工程における巻き取りやすさの観点から、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みが30μm以下であるのが好ましく、5〜20μmであるのがより好ましい。なお、平均厚みは、樹脂層を除く金属充填微細構造体を厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE−SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した。
〔その他の処理工程〕
本発明の製造方法は、上述した各工程以外に、特許文献1(国際公開第2015/029881号)の[0049]〜[0057]段落に記載された研磨工程、表面平滑化工程、保護膜形成処理、水洗処理を有していてもよい。
また、製造上のハンドリング性や、金属充填微細構造体を異方導電性部材として用いる観点から、以下に示すような、種々のプロセスや形式を適用することができる。
<仮接着剤を使用したプロセス例>
本発明においては、上記基板除去工程によって金属充填微細構造体を得た後に、金属充填微細構造体を仮接着剤(Temporary Bonding Materials)を用いてシリコンウェハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上記表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、先の仮接着剤よりも接着力の強い仮接着剤を塗布してシリコンウェハ上に固定した後、先の仮接着剤で接着していたシリコンウェハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上記裏面金属突出工程を行うことができる。
<WAXを使用したプロセス例>
本発明においては、上記基板除去工程によって金属充填微細構造体を得た後に、金属充填微細構造体をワックスを用いてシリコンウェハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上記表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、仮接着剤を塗布してシリコンウェハ上に固定した後、加熱により先のワックスを溶解させてシリコンウェハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上記裏面金属突出工程を行うことができる。
なお、固形ワックスを使っても構わないが、スカイコート(日化精工社製)などを使うと塗布厚均一性の向上を図ることができる。
<基板除去処理を後から行うプロセス例>
本発明においては、上記金属充填工程の後であって上記基板除去工程の前に、アルミニウム基板を仮接着剤、ワックスまたは機能性吸着フィルムを用いて剛性基板(例えば、シリコンウェハ、ガラス基板等)に固定した後に、上記陽極酸化膜の上記アルミニウム基板が設けられていない側の表面を研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上記表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、絶縁性材料である樹脂材料(例えば.エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)を塗布したのち、その表面に上記と同様の手法で剛性基板を貼り付けることができる。樹脂材料による貼り付けは、接着力が仮接着剤等による接着力よりも大きくなるようなものを選択し、樹脂材料による貼り付けの後に、最初に貼り付けた剛性基板は剥離し、上述した基板除去工程、研磨工程および裏面金属突出処理工程を順に行うことができる。
なお、機能性吸着フィルムとしては、Q−chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)などを使用することができる。
本発明においては、金属充填微細構造体が剥離可能な層によって剛体基板(例えば、シリコンウェハ、ガラス基板等)に貼り付けられた状態で製品として供されることが好ましい。
このような供給形態においては、金属充填微細構造体を接合部材として利用する場合には、金属充填微細構造体の表面をデバイス表面に仮接着し、剛体基板を剥離した後に接続対象となるデバイスを適切な場所に設置し、加熱圧着することで上下のデバイスを金属充填微細構造体によって接合することができる。
また、剥離可能な層には、熱剥離層を用いても構わないし、ガラス基板との組合せで光剥離層を用いても構わない。
また、本発明の製造方法においては、上述した各工程は、各工程を枚葉で行うことも可能であるし、アルミニウムのコイルを原反としてウェブで連続処理することもできる。
また、連続処理する場合には各工程間に適切な洗浄工程、乾燥工程を設置することが好ましい。
このような各処理工程を有する本発明の製造方法により、アルミニウム基板の陽極酸化膜からなる絶縁性基材に設けられたマイクロポア由来の貫通孔の内部に金属が充填されてなる金属充填微細構造体が得られる。
具体的には、本発明の製造方法により、例えば、特開2008−270158号公報に記載された異方導電性部材、すなわち、絶縁性基材(マイクロポアを有するアルミニウム基板の陽極酸化膜)中に、導電性部材(金属)からなる複数の導通路が、互いに絶縁された状態で上記絶縁性基材を厚み方向に貫通し、かつ、上記各導通路の一端が上記絶縁性基材の一方の面において露出し、上記各導通路の他端が上記絶縁性基材の他方の面において露出した状態で設けられる異方導電性部材を得ることができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
〔実施例1〕
<アルミニウム基板の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC(Direct Chill)鋳造法で作製した。
次いで、表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。
更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ1.0mmに仕上げ、JIS 1050材のアルミニウム基板を得た。
このアルミニウム基板を幅1030mmにした後、以下に示す各処理を施した。
<電解研磨処理>
上記アルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110−30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007−204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件の条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚30μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理および再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110−30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS−100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22−10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、陽極酸化処理工程後に、水酸化銅(II)をNaOH(48%)に溶解し、水を用いてNaOH50g/Lになるよう希釈したアルカリ水溶液を用いて、30℃で150秒間浸漬させるエッチング処理を施し、陽極酸化膜のマイクロポアの底部にあるバリア層を除去し、かつ、露出したアルミニウム基板の表面に同時に銅(金属M1)を析出させた。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは30μmであった。
<金属充填工程>
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、白金を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成のニッケルめっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部にニッケルが充填された金属充填微細構造体を作製した。
ここで、定電流電解は、株式会社山本鍍金試験器社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ−3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(ニッケルめっき液組成および条件)
・Ni(NHSO・4HO 1.24mol/L
・NiCl・6HO 0.04mol/L
・HBO 0.49mol/L
・電流密度 1A/dm
・電解液温 40℃
・電解時間 30μmになるように調整(Cu板上で試験)
マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜の表面をFE−SEMで観察し、1000個のマイクロポアにおける金属による封孔の有無を観察して封孔率(封孔マイクロポアの個数/1000個)を算出したところ、98%であった。
また、マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜を厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE−SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、マイクロポアの内部を確認したところ、封孔されたマイクロポアにおいては、その内部が金属で完全に充填されていることが分かった。
<基板除去工程>
次いで、塩化銅/塩酸の混合溶液に浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解して除去し、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
作製された金属充填微細構造体における導通路の直径は60nmであり、導通路間のピッチは100nmであり、導通路の密度は5770万個/mm2であった。
〔実施例2〕
バリア層除去工程で用いるアルカリ水溶液を「塩化ニッケルをNaOH(48%)に溶解し、水を用いてNaOH50g/Lになるよう希釈したアルカリ水溶液」に変更し、金属充填工程で用いるめっき液を以下に示す組成の亜鉛めっき液に変更し、以下に示す条件でめっき処理を施した以外は、実施例1と同様の条件で、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
(亜鉛めっき液組成および条件)
・水酸化ナトリウム 100g/L
・Zn 10g/L
・電流密度 1A/dm
・電解液温 50℃
・電解時間 50μmになるように調整(Cu板上で試験)
〔実施例3〕
金属充填工程で用いるめっき液を以下に示す組成の銅めっき液に変更し、以下に示す条件でめっき処理を施した以外は、実施例2と同様の条件で、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
(銅めっき液組成および条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 50g/L
・塩酸 15g/L
・温度 25℃
・電流密度 10A/dm2
〔実施例4〕
バリア層除去工程で用いるアルカリ水溶液を「水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)に酸化亜鉛を2000ppmとなるように溶解したアルカリ水溶液」に変更した以外は、実施例3と同様の条件で、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
〔実施例5〕
金属充填工程と基板除去工程との間に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、エポキシ樹脂〔EPICON(登録商標)D−591、DIC株式会社社製〕を塗布し、膜厚2μmのエポキシ樹脂層を形成した以外は、実施例4と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例6〕
金属充填工程と基板除去工程との間に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、可溶性ポリイミド(ソルピー6,6−PI、ソルピー工業株式会社製)を塗布し、膜厚2μmのポリイミド樹脂層を形成した以外は、実施例4と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例7〕
金属充填工程と基板除去工程との間に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、エポキシ樹脂〔EPICON(登録商標)D−591、DIC株式会社社製〕を塗布し、膜厚20μmのエポキシ樹脂層を形成した以外は、実施例4と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例8〕
金属充填工程と基板除去工程との間に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、可溶性ポリイミド(ソルピー6,6−PI、ソルピー工業株式会社製)を塗布し、膜厚20μmのポリイミド樹脂層を形成した以外は、実施例4と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例9〕
金属充填工程と基板除去工程との間に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、樹脂基材〔Q−Chuck 片面品Type−H(78μm厚)、丸石産業株式会社製〕を加圧して吸着させた以外は、実施例4と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂基材を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例10〕
金属充填工程と樹脂層形成工程との間に以下の表面金属突出工程を施した以外は、実施例9と同様の条件で、金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂基材を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
<表面金属突出工程>
金属充填工程後の構造体を、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に浸漬させ、突出部分の高さが5nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させた構造体を作製した。
〔実施例11〕
基板除去工程の後に、以下の裏面金属突出工程を施した以外は、実施例10と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
<裏面金属突出工程>
基板除去工程後の構造体を、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に浸漬させ、突出部分の高さが5nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させた構造体を作製した。
〔実施例12〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが50nmとなるように浸漬時間を調整した以外は、実施例11と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例13〕
樹脂層形成工程を行わなかった以外は、実施例12と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例14〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが200nmとなるように浸漬時間を調整した以外は、実施例11と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例15〕
樹脂基材〔Q−Chuck 片面品Type−H(78μm厚)、丸石産業株式会社製〕に代えて、熱剥離型の粘着層付き樹脂基材(リバアルファ 3195HS、日東電工株式会社製)を貼り付けた以外は、実施例12と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例16〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが500nmとなるように浸漬時間を調整し、樹脂基材〔Q−Chuck 片面品Type−H(78μm厚)、丸石産業株式会社製〕に代えて、UV剥離型の粘着層付き樹脂基材(ELP DU−300、日東電工株式会社製)を貼り付けた以外は、実施例11と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例17〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが500nmとなるように浸漬時間を調整した以外は、実施例15と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例18〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが5000nmとなるように浸漬時間を調整した以外は、実施例15と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例19〕
陽極酸化処理工程における再陽極酸化処理の処理時間を10時間に変更した以外は、実施例17と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例20〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが200nmとなるように浸漬時間を調整し、各処理工程をウェブ搬送で行った以外は、実施例15と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例21〕
陽極酸化処理工程における再陽極酸化処理の処理時間を1時間15分に変更した以外は、実施例20と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔実施例22〕
表面金属突出工程および裏面金属突出工程のそれぞれにおける突出部分の高さが500nmとなるように浸漬時間を調整し、陽極酸化処理工程における再陽極酸化処理の処理時間を7時間30分に変更した以外は、実施例20と同様の方法で金属充填微細構造体を作製した。なお、樹脂層を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔比較例1〕
バリア層除去工程で用いるアルカリ水溶液を「水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)」に変更し、基板除去工程を行わなかった以外は、実施例4と同様の条件で金属充填微細構造体を作製した。なお、アルミニウム基板を除く金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔比較例2〕
バリア層除去工程で用いるアルカリ水溶液を「水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)」に変更した以外は、実施例4と同様の条件で金属充填微細構造体を作製した。なお、金属充填微細構造体の平均厚みは下記第1表に示す通りであった。
〔評価〕
実施例1〜22および比較例1〜2で作製した各金属充填微細構造体について、以下に示す方法により、搬送性、面内均一性、単離性および両面圧着性を評価した。これらの結果を下記第1表に示す。
<搬送性>
作製した各金属充填微細構造体のうち、樹脂層を設けていない金属充填微細構造体については、図5Aに示すように直径100mmφのゴム製ロール30に金属充填微細構造体10を巻きつけて表面状態を観察した。
一方、樹脂層を設けた金属充填微細構造体については、図5Bに示すように直径100mmφの2本のゴム製ロール30の間に金属充填微細構造体20を渡して、回転させることにより、表面状態を観察した。
なお、金属充填微細構造体の幅は310mmとした。310mmとすることで12インチウェハまでのサイズに適用することができる。
観察の結果、表面にクラックがない状態のものを「A」と評価し、表面にクラックが見られるが回転時に脱落などがない状態のものを「B」と評価し、表面にクラックが見られ、回転時に部分的な脱落が見られる状態のものを「C」と評価し、表面にクラックが見られ、回転時に過半の部分で脱落が見られる状態のものを「D」と評価し、セットした段階で過半の部分でクラックが見られ、剥離が生じた状態のものを「E」と評価した。
<面内均一性>
各金属充填微細構造体の作製中、金属充填工程の直後にFE−SEMを用い、5万倍の倍率で横方向に隣接した10視野の写真を撮影し、金属が充填されていないマイクロポアの数を全体のマイクロポアの数で除した値から金属が充填されていないマイクロポアの数の割合を算出した。
金属が充填されていないマイクロポアの割合が1%以下であるもの「A」と評価し、1%超2%以下であるもの「B」と評価し、2%超3%以下であるもの「C」と評価し、3%超10%以下であるもの「D」と評価した。
<単離性>
作製した各金属充填微細構造体について、樹脂層を形成していないもの、樹脂層を手剥離した際に樹脂残りが無いものを「A」と評価し、樹脂層が金属充填微細構造体にわずかに残っているものを「B」と評価し、樹脂層が金属充填微細構造体のほぼ全面に残っているものを「C」と評価した。
なお、比較例1は、基板除去工程を行っていないため、単離性については評価せず、下記第1表においては「−」と表記する。
<両面圧着性>
WALTS社製のTEGチップ(デイジーチェインパターン)及びインターポーザーを用意し、これらをチップボンダーの上下に設置し、予めアライメントを調整した。
アライメント調整後、下側に設置したインターポーザーのCuポスト側に、作製した各金属充填微細構造体(樹脂層を有するものは樹脂層を除去した後の金属充填微細構造体)を重ね合わせ、常温接合装置(WP−100、PMT社製)を用いて、250℃、1分間、6MPaの条件で加熱圧着をし、接合した。
接合後のサンプルについて、万能型ボンドテスター(DAGE4000、デイジ社製)を用い、TEGチップに荷重を加えて剥離強度を測定した。
その結果、剥離強度が20N以上のものを「S」と評価し、15N以上20N未満のものを「A」と評価し、10N以上15N未満のものを「B」と評価し、2N以上10N未満のものを「C」と評価し、2N未満のものを「D」と評価した。
第1表に示す結果から、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含まないアルカリ水溶液を用いてバリア層除去工程を行った場合には、基板除去工程の有無を問わず、マイクロポアに充填する金属の面内均一性が劣ることが分かった(比較例1および2)。
これに対し、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属を含むアルカリ水溶液を用いたバリア層除去工程を施した場合には、いずれも、マイクロポアに充填する金属の面内均一性が良好となることが分かった(実施例1〜22)。
特に、実施例1〜4の対比から、バリア層除去工程で用いる金属M1が金属充填工程で用いる金属M2よりもイオン化傾向が高い金属であると、マイクロポアに充填する金属の面内均一性がより良好となることが分かった。
また、実施例4と実施例5〜9との対比から、樹脂層を有している場合は、搬送性が良好となることが分かった。
1 アルミニウム基板
2 マイクロポア
3 バリア層
4 陽極酸化膜
5a 金属M1
5b 金属M2
5 金属
7 樹脂層
10,20 金属充填微細構造体
21 巻き芯
30 ゴム製ロール

Claims (9)

  1. アルミニウム基板の片側の表面に陽極酸化処理を施し、前記アルミニウム基板の片側の表面に、厚み方向に存在するマイクロポアと前記マイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程と、
    前記陽極酸化処理工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いて、前記陽極酸化膜の前記バリア層を除去するバリア層除去工程と、
    前記バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施して前記マイクロポアの内部に金属M2を充填する金属充填工程と、
    前記金属充填工程の後に、前記アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る基板除去工程と、を有し、
    前記バリア層除去工程で用いる前記金属M1が、前記金属充填工程で用いる前記金属M2よりもイオン化傾向が高い金属である、金属充填微細構造体の製造方法。
  2. 前記金属充填工程の後であって前記基板除去工程の前に、
    前記陽極酸化膜の前記アルミニウム基板が設けられていない側の表面を厚み方向に一部除去し、前記金属充填工程で充填した前記金属M2を前記陽極酸化膜の表面よりも突出させる表面金属突出工程を有する、請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  3. 前記基板除去工程の後に、
    前記陽極酸化膜の前記アルミニウム基板が設けられていた側の表面を厚み方向に一部除去し、前記金属充填工程で充填した前記金属M2を前記陽極酸化膜の表面よりも突出させる裏面金属突出工程を有する、請求項1または2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  4. 前記表面金属突出工程および前記裏面金属突出工程の少なくとも一方の工程が、前記金属M2を前記陽極酸化膜の表面よりも10〜1000nm突出させる工程である、請求項またはに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  5. 前記金属充填工程の後であって前記基板除去工程の前に、
    前記陽極酸化膜の前記アルミニウム基板が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける樹脂層形成工程を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  6. 前記樹脂層が、剥離可能な粘着層付きフィルムである、請求項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  7. 前記樹脂層が、加熱処理または紫外線露光処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムである、請求項またはに記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  8. 前記陽極酸化処理工程により形成される陽極酸化膜の平均厚みが30μm以下となる、請求項のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  9. 前記基板除去工程の後に、前記樹脂層を有する状態で金属充填微細構造体をロール状に巻き取る巻取工程を有する、請求項のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
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