JP6532276B2 - 難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物、及びそれを塗布してなる難燃性ポリエステル系繊維 - Google Patents

難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物、及びそれを塗布してなる難燃性ポリエステル系繊維 Download PDF

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本発明は、難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物に関し、特に、特定のリン酸エステル化合物を含有する、ポリエステル系繊維等の難燃硬仕上げ加工や、難燃コーティング加工に好適な水系ポリウレタン樹脂組成物、及び、該水系ポリウレタン樹脂組成物により処理されてなる難燃性ポリエステル系繊維に関する。
自動車や鉄道等の車輛内装用シート材や、カーテン、カーペット等のインテリア用シート材に使用される繊維材料には、繊維の抜け落ち防止や強度向上の目的から、繊維の表面にバッキング剤を塗布するバックコートが施されている。特に、自動車用のシート材においては、安全性の観点から難燃性を有することが望まれており、従来は、これらのシート材に難燃性を付与するために、ヘキサブロモシクロドデカン等のハロゲン系難燃剤、酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、若しくはこれらを組み合わせた難燃剤をバッキング剤に添加する方法が採用されてきた(例えば、特許文献1等)。しかしながら、これらの化合物は、難燃剤としての性能が優れている一方、生態系への有害性が特に高い物質であると認定されているため、環境に配慮した、難燃性バッキング剤が求められている。
既に、環境に配慮したバッキング剤として、水系ウレタン樹脂にリン系の難燃剤を添加した水系ウレタン樹脂組成物が提案されており、これを繊維に塗布し、難燃性を有する繊維材料を得る方法が知られている(例えば、特許文献2及び3等)。しかしながらこれらの方法では、ある程度の難燃性が発現されるものの、市場の要求を満足する難燃性を持つ繊維材料を得ることはできなかった。また、水系ウレタン樹脂組成物を長期保管した際に、難燃剤成分が一部分離して沈降するため、貯蔵安定性が不十分であるという欠点があった。
また、難燃性を発現させるために、水酸基を持った反応性の含リン化合物を用いて、水系ウレタン樹脂の主鎖にリン原子を組み込む方法も提案されている(例えば、特許文献4及び5等)。しかしながらこれらの方法では、リンが樹脂骨格に組み込まれるので上記の貯蔵安定性の問題は解消されるものの、繊維材料にした時の耐水性が悪いだけでなく、市場の要求を満たす難燃性を持つ繊維材料を得ることはできなかった。
特開2009−299199号公報 特開2013−87122号公報 国際公開2014−045577号公報 特開2011−236284号公報 特開2012−72246号公報
本発明者等は、前記した従来の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、高い難燃性を有する特定のリン化合物を、水中に、安定に分散させるに適した水系ポリウレタン樹脂を見出し、本発明に到達した。
従って、本発明の第1の目的は、環境適応性に優れたリン系の難燃剤を用いて、難燃性及び貯蔵安定性に優れた水系ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、環境適応性に優れると共に、高い難燃性を有する繊維材料を提供することにある。
即ち、本発明は、少なくとも、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びアニオン性基導入剤(c)を反応させてなるウレタンプレポリマー(A)と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)を、前記(A)成分と(B)成分の合計量が水中に10〜70質量%含有される様に分散させてなる分散液に、さらに鎖伸長剤(C)を添加し、反応させてなることを特徴とする難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物、及び、該難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物を塗布してなる、難燃性ポリエステル系繊維である。但し、リン酸エステル化合物(B)中のn=1で表されるリン酸エステルの含有量は、リン酸エステル化合物(B)の総量に対し、75〜85質量%である。
Figure 0006532276
但し、上記式(1)におけるnは1〜5の整数であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(CH−、又は−SO−を表す。
本発明においては、前記カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)が、ポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートジオールであることが好ましく、前記ポリイソシアネート(b)が、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族イソシアネートの2量体、及び脂肪族イソシアネートの3量体からなる群の中から選択される少なくとも1種であることが好ましく、前記リン酸エステル化合物(B)の含有量が、該化合物に由来するリンの含有量として、水系ポリウレタン樹脂組成物中の0.1〜3質量%となる量であることが好ましい。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、貯蔵安定性が良好なリン酸エステル混合物を適量含むので、貯蔵安定性と共に環境適正にも優れた難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物であり、繊維材料にこれを塗布することによって、難燃性及び環境適正に優れた繊維材料を容易に得ることができる。
以下に、本発明の難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物及びこれを塗布してなる難燃性ポリエステル系繊維について詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではなく、本明細書の記載事項に基づいて当業者が容易に設計変更することができる発明も本発明に包含される。
本発明の難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物は、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びアニオン性基導入剤(c)を、公知の方法によって反応させて調製したウレタンプレポリマー(A)と、下記一般式(1)に示されるリン酸エステル化合物(B)を含有したウレタンプレポリマー組成物を、上記(A)成分と(B)成分が水中に10〜70質量%含有されるように分散させ、更に、前記分散させた(A)成分のウレタンプレポリマーを、鎖伸長剤(C)によって架橋することによって得られるものである。
Figure 0006532276
但し、上記式(1)におけるnは1〜5の整数、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(CH−、又は−SO−を表す。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物の製造方法は特に限定されることはないが、上記(A)成分及び(B)成分を含有する分散液の調製については、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール、ポリイソシアネート及びアニオン性基導入剤を反応させてウレタンプレポリマーを製造し、次いでリン酸エステル化合物を添加してウレタンプレポリマー組成物を調製した後、必要に応じて更にアニオン性基中和剤を添加してなる組成物を、必要に応じて乳化剤を含む水溶液中に加えて分散させる方法(プレポリマーミキシング法)。
(2)カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール、ポリイソシアネート及びアニオン性基導入剤を反応させてウレタンプレポリマーを製造し、次いでリン酸エステル化合物を添加してウレタンプレポリマー組成物を調製した後、予め用意した、必要に応じてアニオン性基中和剤及び/又は乳化剤を加えた水溶液を、プレポリマー組成物に更に加えて分散させる(転相法)。
本発明においては、上記(1)又は(2)の方法により水分散させたウレタンプレポリマー組成物に、例えばポリアミンのような鎖伸長剤を加えて、水中でウレタンプレポリマーを鎖伸長させる。
上記リン酸エステル化合物(B)を添加する場合、ウレタンプレポリマーを水中に分散させた後にリン酸エステル化合物(B)を添加したり、予め水中にリン酸エステル化合物を添加した後にウレタンプレポリマーを水に分散したりする方法を採用した場合には、難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物を製造した後に、リン酸エステル化合物(B)が分離、沈降するので好ましくない。
従って、本発明においては、前記(1)及び(2)に記載したように、リン酸エステル化合物(B)をウレタンプレポリマー(A)と混合してから、水中に分散させる必要がある。
次に、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物の各成分について説明する。
先ず、ウレタンプレポリマー(A)を調製するためのポリオール(a)は、特に限定されることはなく、公知のものの中から適宜選択して使用することができる。例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応させて得られる脂肪族ポリエステルポリオールや、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合させて得られるポリエステル、及びこれらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
上記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式構造含有ポリオール;及びビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノール型ポリオールを使用することができる。
本発明においては、これらの中でも、脂肪族ポリオール又は脂環式構造含有ポリオールを使用することが好ましく、脂肪族ジオールを使用することがより好ましい。
前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ポリカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸やシクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族ポリカルボン酸;オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;及び、それらの無水物又はエステル誘導体を、単独で又は2種以上併用して使用することができる。本発明においては、これらの中でも、脂肪族ポリカルボン酸を使用することが好ましく、脂肪族ジカルボン酸を使用することがより好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、塗膜にした時の強度や耐薬品性等の観点から、芳香族構造を有するポリエステルポリオールを使用することが好ましく、中でも、2〜6個の炭素原子を有する低分子のポリオールと、芳香族ポリカルボン酸とを反応させて得られるものがより好ましい。
前記カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)に使用することが可能なポリカーボネートジオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/またはホスゲンと、後述するポリオールとを反応させて得られるものを使用することができる。
上記炭酸エステルとしては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート等を挙げることができる。
前記ポリカーボネートジオールを製造するためのポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。本発明においては、これらの中でも、脂肪族ジオールを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールを使用することがより好ましい。
また、前記カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)に使用可能なポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素を2個以上有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
上記開始剤としては、例えば水、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリトリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、サッカロース、エチレンジアミン、N−エチルジエチレントリアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、燐酸、酸性リン酸エステル等を使用することができる。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
前記したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、並びにポリエーテルポリオールの中では、調製した水系ウレタン樹脂組成物を塗膜にした時の、耐水性、強度等の物性面での観点から、ポリエステルポリオール、又はポリカーボネートジオールを使用することが好ましく、1,6−ヘキサンジオールを使用したポリカーボネートジオールを使用することがより好ましい。
本発明で使用するカルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)の数平均分子量は、特に制限されることはないが、好ましくは300〜5000であり、500〜3000であることがより好ましい。
本発明におけるウレタンプレポリマー(A)を製造するためのポリイソシアネート(b)は、特に限定されることはなく、公知のものの中から適宜選択して使用することができる。例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、これらのポリイソシアネートの2量体、3量体や、ビューレット化イソシアネート等の変性体等を、単独で、又は2種以上併用して使用することができる。
上記ポリイソシアネートの中では、製造した難燃性水系ウレタン樹脂組成物を塗膜にした時の耐光性の観点から、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族イソシアネートの2量体、又は脂肪族イソシアネートの3量体が好ましく、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
本発明で使用する、ウレタンプレポリマー(A)を調製するためのアニオン性基導入剤(c)としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、及び、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類等が挙げられる。
上記アニオン性基導入剤の中では、入手容易性の観点から、カルボキシル基を含有するポリオール類を使用することが好ましく、ジメチロールプロピオン酸を使用することがより好ましい。
次に、ウレタンプレポリマー(A)を構成する成分である、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びアニオン性基導入剤(c)の比率について説明する。
本発明におけるウレタンプレポリマー(A)の製造においては、ポリイソシアネート(b)の全イソシアネート基当量と、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)及びアニオン性基導入剤(c)に含まれる、全水酸基当量の比(NCO/OH)が1.0未満である場合には、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーが生成する。しかしながら、末端に水酸基を有するウレタンプレポリマーより末端イソシアネートプレポリマーの方が水分散性及び鎖伸長による高分子量化等が容易であるという観点から、一般に、末端イソシアネートプレポリマーの方が好まれる。
従って本発明においても比(NCO/OH)を1.0以上にすることが好ましいが、1.1未満ではウレタンプレポリマーが比較的高分子量化し、水への分散性が劣る傾向となるので、最終製品である水系ポリウレタン樹脂組成物の保存安定性等が悪くなる場合がある。
一方、比(NCO/OH)が2.5を超えると、プレポリマーの水分散時におけるイソシアネート基と水との反応に伴って生成する、二酸化炭素によって急激な発泡が生じる等の製造上の問題や、塗膜の基材に対する接着性が劣るといった問題を生じる場合がある。
従って本発明のウレタンプレポリマー(A)においては、前記比(NCO/OH)比が1.1〜2.5となるように、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及びアニオン性基導入剤(c)を配合することが好ましく、1.2〜2.0となるように配合することがより好ましく、1.3〜1.8となるように配合することが特に好ましい。
また、アニオン性基導入剤(c)の配合量は、ウレタンプレポリマーの酸価が20〜80になるように配合することが、水への分散がより容易になるという観点から好ましく、酸価は25〜50であることがより好ましい。
上記ウレタンプレポリマー(A)の製造においては、反応に不活性であって、且つ、水との親和性が大きい溶媒を、必要に応じて用いてもよい。このような溶媒として好適なものとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒の使用量は、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、3〜200質量部であることが好ましい。これらの溶媒として沸点100℃以下の溶媒を使用する場合には、水系ポリウレタン樹脂を合成した後、その溶媒を減圧留去等によって除去することが好ましい。
次に、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)について説明する。
Figure 0006532276
但し、上記式(1)におけるnは1〜5の整数であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(CH−、又は−SO−を表す。
本発明においては、上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)の内、Rが単結合又は−C(CH−であるものが、入手が容易であるという点から好ましく、単結合であることが特に好ましい。
本発明で使用するリン酸エステル化合物(B)は、nが1〜5の整数であるリン酸エステルの混合物であるが、n=1である成分の含有量が、リン酸エステル化合物(B)の総量における75〜85質量%であることが必要であり、78〜82質量%であることが好ましい。n=1である成分の含有量が上記の割合である場合には、製造した難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物を長期保存する場合の保存安定性が良好であり、該組成物を塗布した繊維材料が、高い難燃性を有することができる。これに対し、n=1である成分の含有量が75質量%よりも少ない場合には、水系ポリウレタン樹脂組成物の貯蔵安定性は良好であるものの、高い難燃性を有する繊維材料を得ることができない。また、n=1である成分の含有量が85質量%よりも多い場合には、高い難燃性を有する繊維材料を得られるものの、水系ポリウレタン樹脂組成物の貯蔵安定性が著しく低下する。
水中に分散する前の、ウレタンプレポリマー組成物中に含まれるリン酸エステル化合物(B)の割合は、水系ポリウレタン樹脂組成物の総量に対し、リン酸エステル化合物(B)に由来するリン含有量が0.1〜3質量%となるように配合することが好ましく、0.5〜2質量%となるように配合することがより好ましい。上記リン含有量が0.1質量%よりも少ない場合には難燃性が不十分となる傾向にあり、3質量%よりも多い場合には、ウレタンプレポリマー組成物の粘度が上がり、水への分散が困難になる傾向となる。
リン酸エステル化合物(B)の合成方法は特に制限されるものではないが、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとフェノール及びオキシ塩化リンを、塩化マグネシウム等の触媒の存在下に反応させ、脱塩酸することにより合成することができる。この場合、オキシ塩化リンの4,4’−ジヒドロキシビフェニルに対する使用量を調節することによって、n=1のリン酸エステル化合物の含有割合を75〜85質量%に調節することができる。オキシ塩化リンの好ましい使用量は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル1モルに対して3.0〜5.5モルであり、3.5〜4.5モルであることがより好ましい。
前記ウレタンプレポリマー組成物を水中に分散させるために、本発明においては、必要に応じてアニオン性基中和剤及び/又は乳化剤が使用される。
前記アニオン性基中和剤としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類;N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン類;N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類の3級アミン化合物;アンモニア、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の塩基性化合物が挙げられる。
本発明においては、これらのアニオン性基中和剤の中でも、乾燥後の耐候性及び耐水性を向上させる観点から、熱によって容易に解離する、揮発性の高いものを使用することが好ましく、特にトリメチルアミン又はトリエチルアミンを使用することが好ましい。これらの中和剤は、それぞれ単独または2種以上を併用しても良い。
本発明における上記アニオン性基中和剤の使用量は、アニオン性基1当量に対して0.5〜2.0当量であることが好ましく、0.8〜1.5当量であることがより好ましい。このアニオン性基中和剤の使用量の過不足が大きいと、ウレタンプレポリマー組成物の、水への分散が困難になったり、水系ウレタン樹脂組成物の保存安定性が低下したり、さらには、水系ウレタン樹脂膜の強度等の機械物性や、耐水性等の諸物性が低下する等の問題が生じるおそれがある。
本発明で使用する前記乳化剤としては、例えば、通常のアニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、第四級アミン塩及びピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、更に、ベタイン型、硫酸エステル型及びスルホン酸型等の両性界面活性剤、等の公知の界面活性剤を挙げることができる。
前記アニオン性界面活性剤としては、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムドデシルサルフェート等のアルキルサルフェート類;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート及びアンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキシエチレンエーテルサルフェート類;ナトリウムスルホリシノレート、スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホン酸塩;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ナトリウムベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩、ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、及びN−アシルメチルタウリン塩等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類;ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリグリセリン脂肪酸エステル類;炭素数1〜18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、アルキレングリコール及び/又はアルキレンジアミンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤を構成する炭素数1〜18のアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、第3ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、第3アミルアルコール、ヘキサノール、オクタノール、デカンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、及びステアリルアルコール等が挙げられる。
前記アルキルフェノールとしては、フェノール、メチルフェノール、2,4−ジ第3ブチルフェノール、2,5−ジ第3ブチルフェノール、3,5−ジ第3ブチルフェノール、4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−イソオクチルフェノール、4−ノニルフェノール、4−第3オクチルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、ナフトール、ビスフェノールA、及びビスフェノールF等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。また、アルキレンジアミンとしては、これらのアルキレングリコールのアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたもの等が挙げられる。更に、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加物は、ランダム付加物であってもブロック付加物であってもよい。
前記カチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルピリジニウムブロマイド及びイミダゾリニウムラウレート等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシメチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸の金属塩等のベタイン型;β−ラウリルアミノプロピオン酸の金属塩等の、アミノ酸型、硫酸エステル型及びスルホン酸型等が挙げられる。
本発明においては、上記した乳化剤の内、入手が容易で安価に使用できるノニオン性界面活性剤を使用することが好ましく、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価アルコールの脂肪酸部分エステル類;及び炭素数1〜18のアルコールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物を使用することがより好ましい。
前記乳化剤の使用量は、難燃性水系ウレタン樹脂組成物を塗布して得られる塗膜の耐水性等の観点から、ポリウレタン樹脂中の(A)成分〜(C)成分の総量100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましく、乳化剤成分を使用しないことが最も好ましい。
前記水分散させたウレタンプレポリマー組成物を、水中で鎖伸長させる鎖伸長剤(C)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン等の低分子ジアミン類;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、アミノエチルアミノエタノール、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類;m−キシレンジアミン、α−(m/p−アミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ジアミン類等のポリアミン;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド等のヒドラジン類;水加ヒドラジン、及び水等が挙げられる。
本発明においては、これらの中でも、入手容易性及び反応容易性の観点から、ジアミン類、ヒドラジド類及び水和ヒドラジン又は水を使用することが好ましく、エチレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド若しくは水加ヒドラジン又は水を使用することが特に好ましい。
前記鎖伸長剤の使用量は、水系ポリウレタン樹脂の塗膜物性等の観点から、鎖伸長反応前のウレタンプレポリマーにおける、イソシアネート基の1当量に対する、鎖伸長剤の対イソシアネート反応基の当量比が、0.1〜1.0の範囲となる量であることが好ましい。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、通常用いられる各種添加剤を添加することができる。
これらの添加剤の具体例としては、例えば、架橋剤、各種耐候剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤)、基材に対する密着性を特に強固にするシランカップリング剤、コロイダルシリカ又はコロイダルアルミナ等の無機質コロイドゾル、テトラアルコキシシラン及びその縮重合物、キレート剤、エポキシ化合物、顔料、染料、造膜助剤、硬化剤、外部架橋剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、凝固防止剤、ラジカル捕捉剤、耐熱性付与剤、無機又は有機の充填剤、可塑剤、滑剤、フッ素系又はシロキサン系等の帯電防止剤、補強剤、触媒、揺変剤、ワックス類、防曇剤、抗菌剤、防カビ剤、防腐触剤、及び防錆剤等を挙げることができる。
前記架橋剤としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物;これらの付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物等のアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物等が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、カルボジイミド系化合物、アジリジン系化合物、メラミン系化合物及び亜鉛錯体等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第3ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第3オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第3ブチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜C13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)‐4,6‐ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5‐トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第3ブチルフェニル−3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;及び各種の金属塩又は金属キレート、特に、ニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、リン系、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤が挙げられる。リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第3ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)−1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス( 2,4−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第3ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第3ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12アルキル〜C15アルキルの混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデンビス(2−第3ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第3ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−[(2,4,7,9−テトラキス第3ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(2−[(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]エチル アミン、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−メチル−4− [3−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]プロピル]フェノール、及び2−ブチル−2−エチルプロパンジオール−2,4,6−トリ第3ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第3ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第3ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第3ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第3ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第3ブチルフェノール) 、4,4’−ブチリデンビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第3ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第3ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第3ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第3ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第3ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第3ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第3ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及びトコフェロール等が挙げられる。
前記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及び、ペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等の、ポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
前記耐候剤(ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤)の使用量は、水系ポリウレタン樹脂組成物中の(A)成分〜(C)成分の総量100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.01〜5質量部であることがより好ましい。0.001質量部より少ないと充分な添加効果を得られない場合があり、10質量部より多いと、水分散安定性や塗膜物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
これらの耐候剤を添加する方法としては、ウレタン原料のポリオールに添加する方法、ウレタンプレポリマーに添加する方法、ウレタンプレポリマーの水分散時における水相に添加する方法、水分散後に添加する方法の何れでも良いが、操作が容易であるという観点から、原料ポリオールに添加する方法及びウレタンプレポリマーに添加する方法が好ましい。
本発明の難燃性ポリエステル系繊維は、ポリエステル系繊維に対して、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物を含有する処理液を用いて、処理されたものである。
処理液としては、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物をそのまま用いてもよいが、前記水系ポリウレタン樹脂組成物を適宜希釈したものを用いることが好ましい。
前記、処理液中のポリウレタン樹脂の濃度は特に制限されることはないが、処理液中の1〜20質量%であることが好ましい。また処理液には、前記水系ポリウレタン樹脂組成物以外の成分を、更に、適宜添加することができる。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物を用いて処理されるポリエステル系繊維や処理方法は、特に制限されことはない。例えば、編織物、不織布等の各種ポリエステル系繊維素材に対し、前記水系ポリウレタン樹脂組成物をそのまま又は希釈して、パディング法、コーティング法、スプレー法等の任意の方法で付与し、乾燥することによって難燃性ポリエステル系繊維を得ることが可能である、これにより、被処理布の難燃性を低下させることなく、引っ張り、引き裂き、摩耗等に対する強度を向上させることが可能となる。このように、本発明明細書におけるポリエステル系繊維は、単繊維のみならず、繊維加工品を含む概念である。
また、ポリエステル系繊維素材に本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物による(塗布)処理を行った後の乾燥温度は、特に制限されることはなく、室温で風乾してもよいし、加熱乾燥してもよい。通常は、処理効率の観点から、80〜200℃で1分間〜5時間程度の乾燥を行う。また、ポリエステル系繊維素材への処理に際しては、水系のポリイソシアネート系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、エポキシ系等の架橋剤を併用しても、難燃性の補助として任意の難燃剤を併用してもよい。
本発明の難燃性ポリエステル系繊維に付与される水系ポリウレタン樹脂組成物の量は、本発明において(B)成分以外にリン含有化合物を使用しない場合には、(B)成分のリン系化合物に由来するリン含有量が、ポリエステル系繊維100質量部に対して0.1〜2質量部となるように配合させることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例等における%は、特に記載が無い限り質量基準である。
<合成例1:リン酸エステル化合物(P−1)の合成>
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを844.9g(3.8mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去した後、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒してリン酸エステル(P−1)を得た。
また、下記条件による液体クロマトグラフ測定により、P−1中の、一般式(1)におけるn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、80.1質量%であった。残りのリン酸エステルの含有量は、式(1)におけるn=2に該当する化合物が16.8質量%、n=3に該当する化合物が2.8質量%、n=4に該当する化合物が0.3質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
<合成例2:リン酸エステル化合物(P−2)の合成>
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを667.0g(3.5mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去した後、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒してリン酸エステル化合物(P−2)を得た。
また、下記条件による液体クロマトグラフ測定により、P−2中の、一般式(1)におけるn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、76.0質量%であった。残りのリン酸エステルの含有量は、式(1)におけるn=2に該当する化合物が19.2質量%、n=3に該当する化合物が4.1質量%、n=4に該当する化合物が0.7質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
<合成例3:リン酸エステル化合物(P−3)の合成>
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを889.3g(4mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去した後、フェノール423.5g(4.5mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒してリン酸エステル化合物(P−3)を得た。
また、下記測定条件による液体クロマトグラフ測定により、P−3中の、一般式(1)におけるn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、84.9質量%であった。残りのリン酸エステルの含有量は、式(1)におけるn=2に該当する化合物の含有量が9.4質量%、n=3に該当する化合物の含有量が5.1質量%、n=4に該当する化合物の含有量が0.6質量%、n=5に該当する化合物の含有量が0質量%であった。
合成例4:リン酸エステル化合物(P−4)の合成
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを600.3g(2.7mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去した後、フェノール376.4g(4.0mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒してリン酸エステル化合物(P−4)を得た。
また、下記条件による液体クロマトグラフ測定により、P−4中の、一般式(1)におけるn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、70.5質量%であった。残りのリン酸エステルの含有量は、式(1)におけるn=2に該当する化合物の含有量が22.2質量%、n=3に該当する化合物の含有量が5.6質量%、n=4に該当する化合物の含有量が1.6質量%、n=5に該当する化合物の含有量が0.1質量%であった。
<合成例5:リン酸エステル化合物(P−5)の合成>
4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1mol)に、触媒として塩化マグネシウム0.95g(0.01mol)を加え、オキシ塩化リンを1500.8g(6.3mol)添加して、80〜100℃で3時間反応させた。余剰のオキシ塩化リンを減圧留去した後、フェノール423.5g(4.5mol)を添加し、120〜140℃で7時間反応させた。得られた粗生成物をキシレンに溶かし、酸を含む水溶液で洗浄した後、脱水・脱溶媒してリン酸エステル化合物(P−5)を得た。
また、下記条件による液体クロマトグラフ測定により、P−5中の、一般式(1)におけるn=1〜5に該当するそれぞれの化合物の総量に対する、n=1に該当する化合物の含有量を求めた結果、89.8質量%であった。残りのリン酸エステルの含有量は、式(1)におけるn=2に該当する化合物が7.0質量%、n=3に該当する化合物が3.2質量%、n=4に該当する化合物が0質量%、n=5に該当する化合物が0質量%であった。
<液体クロマトグラフ測定条件>
装置:日本分光(株)製,Pump(PU−2089 PLUS),
Detector(MD-2018 PLUS)
カラム:(株)センシュー科学製(PEGASIL ODS φ4.6mm×L250mm)
カラム温度:40℃
検出波長:261nm
展開溶媒:MeOH/0.3%リン酸水溶液
<ウレタンプレポリマー組成物の製造>
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリオールとしてデュラノールS−6002(数平均分子量2000のポリカーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製)365g(0.19モル)、ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート248g(1.1モル)、アニオン性基導入剤として、ジメチロールプロピオン酸71.5g(1.07モル)を加え、さらにN−エチル−ピロリドン238.3gを加えて均一に混合した後、110〜120℃で3時間反応させた。イソシアネート含有量(NCO%)が1.72%となったことを確認し、さらに、トリエチルアミン51.3g(0.51モル)及びP−1を1025g加え、均一に混合してウレタンプレポリマー組成物(UP−1)を得た。尚、上記NCO%は、JIS K 1603−1で規定された量であり、溶剤を含むウレタンプレポリマー中のNCO基の質量%を意味する。
<水分散/高分子量化工程>
ディスパーを備えた1Lプラスチック容器に、水574.7g、アデカネートB−1016(消泡剤、(株)ADEKA製)0.02gを加えて均一に混合した後、30〜35℃でUP−1を399.2g加え、30℃で15分間撹拌した。次いで鎖伸長剤として、(エチレンジアミン/水)質量比が1/3の混合液9.74g(エチレンジアミン0.082モル)を滴下し、30℃で1時間撹拌した。NCO基が消失するのを確認して、水系ポリウレタン樹脂PUD−1を得た。
PUD−1の溶液を下記に示す方法により、貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行い、評価を行った。
<貯蔵安定性試験>
得られたPUD−1の溶液をガラス瓶に入れ、25℃の雰囲気下、1か月静置して、外観を以下の通りに目視で評価した。
A : 全く樹脂の分離が認められない
B : 樹脂の分離又は樹脂の沈降が僅かに認められた
C : 樹脂の分離又は樹脂の沈降が多く認められた
<UL94規格VTM試験>
得られたPUD−1の溶液を、長さ21cm、幅30cm、厚さ0.1mmサイズのPETフィルム上に、バーコーターを用いて、ウレタン樹脂の膜厚が1μmとなるように塗布し、25℃で24時間静置した後、120℃、1時間加熱乾燥させ、ポリウレタン樹脂が塗布されたPETフィルムを作製した。
得られた、ポリウレタン樹脂が塗布されたPETフィルムを20cm×5cmサイズに切り取り、直径12.7mmのアルミ製の金属棒に巻きつけてUL94規格VTM試験用の試験片を作製した。
この試験片について、UL(Underwriters Laboratories)の“Test for Flammability of Plastic Materials UL 94”に準じて難燃性の試験を行い、判定した。判定方法としては、上記試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を3秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を3秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはVTM−0が最高のものであり、VTM−1、VTM−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、VTM−0〜VTM−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
<45度コイル法による難燃性試験>
市販の、長さ10cm、幅10cm、厚さ1mmサイズのポリエステル製フェルトに、得られたPUD−1の溶液を浸漬させるパディング処理を行い、150℃で3時間加熱乾燥した。その後、PUD−1を含むポリエステル製フェルトを、1辺が10cm、かつ質量が1gとなるように切断して樹脂加工布を得た。
JIS G 4309に規定された直径0.5mmの硬質ステンレス鋼線を、相互間隔が2mmとなるように、内径10mm、長さ150mmのコイルを作製し、上記の樹脂加工布を中に入れ、コイル線を備えた樹脂加工布の試験片を作製した。
上記試験片を、直径12.7mmのアルミ製の金属棒に巻きつけ、鉛直方向に向けたバーナーの炎に対して、角度が45度となるように試験片を接炎させ、難燃性を下記のように判定した。
試験片が着火した際に、試験片をバーナーから離し、試験片の火が消えるのを確認した後、再度、同様に試験片を接炎させて上記のテストを繰り返し、試験片が燃え尽きて着火しなくなるまでの接炎回数を計測した。接炎して着火させた回数が多いほど難燃性が高いことを意味し、着火させる回数が少ないほど、難燃性が低いことを表す。
P−1の代わりにP−2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系ポリウレタン樹脂PUD−2を得た。得られたPUD−2に対して、実施例1と同様にして、貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行い、評価を行った。
P−1の代わりにP−3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系ポリウレタン樹脂PUD−3を得た。得られたPUD−3に対して、実施例1と同様にして、貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行い、評価を行った。
比較例1
P−1の代わりにP−4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系ポリウレタン樹脂PUD−4を得た。得られたPUD−4に対して、実施例1と同様にして、貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行い、評価を行った。
比較例2
P−1の代わりにP−5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして水系ポリウレタン樹脂PUD−5を得た。得られたPUD−5に対して、実施例1と同様にして、貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行い、評価を行った。
比較例3
<ウレタンプレポリマー組成物の製造>
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた四つ口フラスコに、ポリオールとしてデュラノールS−6002を365g(0.19モル)、ポリイソシアネートとして、イソホロンジイソシアネート248g(1.1モル)、アニオン性基導入剤として、ジメチロールプロピオン酸71.5g(1.07モル)を加え、さらにN−エチル−ピロリドン238.3gを加えて均一に混合した後、110〜120℃で3時間反応させた。イソシアネート含有量(NCO%)が1.72%となったことを確認し、さらに、トリエチルアミン51.3g(0.51モル)を加え、均一に混合し、ウレタンプレポリマー組成物(UP−2)を得た。
<水分散/高分子量化工程>
ディスパーを備えた1Lプラスチック容器に、水574.7g及びアデカネートB−1016を0.02g加えて均一に混合した後、30〜35℃でUP−2を204.7g加え、30℃で15分間撹拌した。次いで鎖伸長剤として、質量比が1/3の(エチレンジアミン/水)混合液9.74g(エチレンジアミン0.082モル)を滴下し、30℃で1時間撹拌してNCO基が消失するのを確認した。その後、P−1を194.5g加え、30℃で1時間撹拌させ、水系ポリウレタン樹脂PUD−6を得た。得られたPUD−6からは、撹拌を止めるとすぐに、含リン化合物P−1と思われる成分が分離した。このため、PUD−6については、実施例1と同様の貯蔵安定性試験、UL94規格VTM試験、及び45度コイル法による難燃性試験を行えなかった。
実施例1〜3、比較例1、比較例2の評価結果を表1に示す。
Figure 0006532276
表1の結果から、本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、貯蔵安定性が良好である上、ポリエステルフィルム、及びポリエステル繊維に対して良好な難燃性を付与できることが確認された。
本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、保存安定性に優れているので種々の樹脂製品や塗料等に使用することができるのみならず、この樹脂組成物が塗布された本発明のポリエステル繊維材料は高い難燃性を有しているので、自動車や鉄道などの車輛内装用シート材や、カーテン、カーペットなどのインテリア用シート材に好適であり、産業上極めて有用である。

Claims (5)

  1. 少なくとも、カルボン酸基及びスルホン酸基を有しないポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及びアニオン性基導入剤(c)を反応させてなるウレタンプレポリマー(A)と、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル化合物(B)を、前記(A)成分と(B)成分の合計量が水中に10〜70質量%含有される様に分散させてなる分散液に、さらに鎖伸長剤(C)を添加し、反応させてなることを特徴とする難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物;但し、リン酸エステル化合物(B)中のn=1で表されるリン酸エステルの含有量は、リン酸エステル化合物(B)の総量に対し、75〜85質量%である。
    Figure 0006532276
    但し、上記式(1)におけるnは1〜5の整数であり、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、Rは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−C(CH−、又は−SO−を表す。
  2. 前記ポリオール(a)が、ポリエステルポリオール及び/又はポリカーボネートジオールである、請求項1に記載された難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物。
  3. 前記ポリイソシアネート(b)が、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族イソシアネートの2量体、及び脂肪族イソシアネートの3量体からなる群の中から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載された難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 前記リン酸エステル化合物(B)の含有量が、該化合物に由来するリンの含有量として、水系ポリウレタン樹脂組成物中の0.1〜3質量%となる量である、請求項1〜3の何れかに記載された難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載された難燃性水系ポリウレタン樹脂組成物を塗布してなる、難燃性ポリエステル系繊維。
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