JP6531510B2 - エンジン始動制御装置およびエンジン始動方法 - Google Patents
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Description
この従来装置は、車両停車に伴うエンジン自動停止後、運転者がブレーキペダルから足を離した時点でエンジン始動を予測し、エンジン始動を開始するようにしている。したがって、運転者がアクセルペダルを踏み込むエンジン始動要求操作を行ってからエンジン始動を行う場合と比較して、始動タイミングを早めて始動応答性を高めることができる。また、この始動応答遅れによるショックの発生も抑制できる。
この場合、高応答でエンジンを始動させるには、始動用モータによるエンジン回転数上昇を短時間に行う必要がある。
しかしながら、短時間でエンジン回転数を上昇させた場合、エンジン回転に伴う空気の吸排により生じるポンピングロスやフリクションなどによる負荷が大きくなる。このため、効率的なエンジン始動ができず、応答性や燃費に悪影響を与える。
さらに、始動コントローラは、エンジンの停止時に、車両状態に基づいて始動要求の予測を行い、始動要求有りとの判定前に始動要求が予測される場合、エンジンの始動前に始動用モータによりエンジンの回転数上昇を開始する予測始動モードを備える。
このように、始動要求有りとの判定よりも前の時点にエンジン回転数上昇を開始するため、始動要求有りと判定されてからエンジン回転数の上昇を開始する場合と比較して、緩やかに回転数を上昇させることができる。
これにより、本発明のエンジン始動制御装置は、エンジン回転に伴う空気の吸排によるポンピングロスやフリクションなどによる負荷を軽減でき、始動応答性および燃費の向上が可能である。
実施例1のエンジン始動制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1におけるエンジン始動制御装置を備えたハイブリッド車両の構成を、「全体システム構成」、「ハイブリッド車両の制御系構成」、「変速制御系構成」、「変速段及びシフトスケジュールマップ構成」、「エンジン始動制御処理構成」に分けて説明する。
図1は、実施例1のエンジン始動制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。
歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられている。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられている。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設されている。
第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられている。
第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられている。
第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられている。
このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2によるエンジンICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、エンジンICEの駆動で第2モータジェネレータMG2により発電するMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギヤ列となる。
第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかの噛み合い締結させる変速要求時には、両モータジェネレータMG1,MG2のいずれかによる回転同期作動により、クラッチ入出力差回転数を同期判定回転数範囲内として噛み合いストロークさせて変速を実現する。なお、係合クラッチC3の締結時には第1モータジェネレータMG1により回転同期させ、第1、第2係合クラッチC1,C2の締結時には第2モータジェネレータMG2により回転同期させる。
C1/C2セレクト動作機構40は、第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。
一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位してカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態とし、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、エンジンICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
なお、図3において、点線により「EVモード」と「パラレルHEVモード」とを切り替えるEV⇔HEV切替線を示している。このEV⇔HEV切替線よりも上の領域が「パラレルHEVモード」の領域であり、EV⇔HEV切替線よりも下の領域が「EVモード」の領域である。このEVモードとパラレルHEVモードとの切り替えは、変速コントロールユニット23による変速制御に伴い、ハイブリッドコントロールモジュール21により総合的に制御する。したがって、EVモードからパラレルHEVモードへのモード遷移時には、エンジンICEを始動し、逆に、パラレルHEVモードからEVモードへのモード遷移時には、エンジンICEを停止させるようエンジンコントロールユニット24により制御する。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、エンジンICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、または、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、エンジンICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、エンジンICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
以上の各変速段の切り替えは、図3に示す変速段の考え方に基づき、変速段を切り替える変速要求を出すための図示を省略したスケジュールマップに基づいて実行する。
実施例1では、前述のように、「EVモード」によりモータ発進を行うが、その後、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)あるいは組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)への変速に伴い停止状態のエンジンICEを始動させる。
この「EVモード」での走行状態から、エンジンICEを始動させるエンジン始動制御を図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、このエンジン始動制御は、上述のように変速制御と連動してエンジンコントロールユニット24により実施する。
図5は、エンジン始動制御の処理の流れを示すフローチャートであって、このエンジン始動制御は、EVモードによる走行時、すなわち、エンジンICEを停止させ、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行するモードにて実施する。
このエンジン始動要求の予測の説明の前に、まず、図6に示すエンジン始動要求判定線について説明する。
このエンジン始動要求判定線は、車両状態(車速とドライバ要求駆動力)が、エンジンICEを停止させたEVモードから、エンジンICEを駆動させたパラレルHEVモードに移行する状態であるか否かを判定するのに用いる。すなわち、エンジンコントロールユニット24は、車両状態(ドライバ要求駆動力と車速)が、エンジン停止領域から、このエンジン始動要求判定線を横切ると、エンジン始動要求有りと判定する。
すなわち、エンジンコントロールユニット24は、車両状態(ドライバ要求駆動力および車速)が、エンジン始動要求判定線をエンジン停止領域からエンジン作動領域に向かって横切ることが予測される場合に、エンジン始動要求を予測する。
すなわち、ステップS2では、高い始動応答性が要求されているか否か、つまり、ドライバの加速要求度が高いか否かを判定している。そこで、ステップS2では、アクセル開度の変化速度に基づいて、この変化速度が予め設定された応答性要求判定値よりも大きい場合に、始動応答性要求有りと判定し、応答性要求判定値以下の場合は、始動応答性要求無しと判定する。
この予測始動モードでのエンジン回転数の上昇開始は、通常始動モードのエンジン回転数上昇開始よりも早いタイミングで行う。このため、ステップS5の処理では、通常始動モードよりも緩やかなエンジン回転数上昇勾配で、エンジン始動時までにエンジンICEが自立運転可能な回転数まで上昇させる。
また、この第2モータジェネレータMG2による予測始動モードでのエンジン回転数の上昇時では、車両状態がエンジン始動要求判定線を横切って下記のエンジン始動を行うまでエンジンICEの燃料噴射および点火は行わない。
これにより、エンジン回転に伴う空気の吸排により生じるポンピングロスやフリクションなどによる負荷を、通常始動モードでのエンジン始動時よりも軽減することができる。
次に、実施例の作用を図7〜図9のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、ドライバがエンジン始動応答性要求を越える加速操作を行った時の動作例を図7に基づいて説明する。
この場合、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線を横切ることで、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
これに加え、図7に示すように、アクセル開度の上昇の傾きが、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも急で、応答性要求(加速要求)が有ることから、エンジンコントロールユニット24は、始動応答性要求有りと判定する(ステップS2)。
したがって、エンジンコントロールユニット24は、通常始動モードのエンジン始動を行う。すなわち、車両状態が図6のエンジン始動要求判定線(エンジン始動開度)を越えた図7のt12の時点で、第2モータジェネレータMG2によりエンジン回転数を上昇させるとともに、エンジンICEの燃料噴射および点火を行う(ステップS3)。なお、第2モータジェネレータMG2の駆動は、エンジン回転数が予め設定されたアイドリング回転数を越えて、エンジンICEが自立運転していると判定された時点で停止する。
この動作例では、ドライバが、t21の時点から図外のアクセルペダルを踏み込む加速操作を行い、アクセル開度が徐々に上昇する。このアクセル開度の上昇により、t22の時点で、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線を横切る。これにより、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
したがって、この場合は、ステップS2からステップS4に進み、さらに、ステップS1におけるエンジン始動要求予測有りの判定に応じ、エンジン始動前に、第2モータジェネレータMG2によるエンジン回転数上昇を開始する(ステップS5)。
この場合、エンジン回転数の上昇は、図7に示す通常始動モード(すなわち、ステップS3の処理の場合)よりも緩やかな上昇とする。また、この時点では、エンジンICEの燃料噴射および点火は行わず、エンジン回転数の上昇は、第2モータジェネレータMG2の出力トルクのみで行う。そして、本実施例1では、エンジン始動要求予測有りとの判定からエンジン始動要求判定までの間に、エンジン回転数が少なくともアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数に上昇する傾きとする。
そして、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてエンジン始動を行う時点で、既に、エンジン回転数がアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数まで上昇しているため、エンジン始動要求に対して遅れなくエンジン駆動力を発生することができる。
加えて、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えた時点で、エンジン回転数を0から上昇させる場合と比較して、エンジン回転上昇時に無駄に燃料噴射を行うことが無いため、燃費が向上する。しかも、エンジン気筒内の負圧を高めてから燃焼を開始することで、燃焼を効率化して排気性能を高め、効率の良い燃焼を行うことができる。
この動作例では、ドライバは、t31の時点で発進操作を行い、かつ、緩やかな加速操作を行い、車速は、図示のように緩やかに上昇する。そして、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線をt32の時点で横切る。これにより、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
この場合、図8の動作例と同様に、エンジン回転数の上昇は、通常始動モードよりも緩やかに上昇させる。また、この時点では、エンジンICEの燃料噴射および点火は行わない。
なお、この図9に示す動作例のエンジン回転数の上昇は、第2モータジェネレータMG2のトルク制御により行った例を示しており、第2モータジェネレータMG2の出力トルクを通常始動モードよりも低い値として、その上昇を緩やかとしている。なお、この時の2モータジェネレータMG2の出力トルクは、予め設定された一定値としてもよい。あるいは、通常始動モードよりも低い出力トルクの範囲内で、ドライバの加速要求(アクセル開度)や車速の上昇傾きに応じ、これらの値が小さいほど低出力トルクとなるように可変制御してもよい。
そして、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてエンジン始動を行う時点で、既に、エンジン回転数がアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数まで上昇しているため、始動要求に対して遅れなくエンジン駆動力を発生することができる。
加えて、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてから、エンジン回転数を0から上昇させる場合と比較して、エンジン回転上昇時に無駄に燃料噴射を行うことが無いため、燃費が向上する。しかも、エンジン気筒内の負圧を高めてから燃焼を開始することで、燃焼を効率化して排気性能を高め、効率の良い燃焼を行うことができる。
実施例1のエンジン始動制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
車両の動力源としてのエンジンICEと、
車両状態に基づいてエンジンICEの始動要求の有無を判定し、始動要求が有るとエンジンICEを始動する始動コントローラとしてのステップS3、S6の処理を行うエンジンコントロールユニット24と、
を備えたエンジン始動制御装置において、
エンジンコントロールユニット24は、エンジンICEの停止時に、車両状態としてのドライバ要求駆動トルクおよび車速に基づいて始動要求の予測(ステップSS1の処理)を行い、始動要求有りとの判定前に始動要求が予測される場合、エンジンICEの始動前に始動用モータ(第2モータジェネレータMG2)によりエンジンICEの回転数上昇を開始する(ステップS5の処理)予測始動モードを備えることを特徴とする。
実施例1のエンジン始動制御装置は、予測始動モードでは、エンジンICEの始動前からエンジン回転数の上昇を開始する。このため、始動要求有りとの判定からエンジン回転数の上昇を開始するものと比較して、始動タイミングを遅らせることなくエンジン回転数の上昇を緩やかに行うことが可能となる。
これにより、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇時のポンピングロスやフリクションなどによる負荷を軽減可能となるとともに、始動応答性および燃費の向上が可能となる。
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジンICEの回転数上昇を、始動前の回転数上昇を行うことなくエンジンICEの始動を行う通常始動モードでのエンジンICEの回転数上昇よりも緩やかな上昇とすることを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)の効果に加え、エンジンICEにおける気体の吸排を通常始動モードよりもスムーズに行うことができ、ポンピングロスやフリクションなどによる負荷を確実に軽減することができる。
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジンICEの燃料噴射および点火による始動は、始動要求有りとの判定により行うことを特徴とする。
このため、実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)、(2)の効果に加え、エンジンICEの燃焼開始を、気筒内の負圧を高めてから行うため、燃焼の効率化を図り、排気性能を高めることができる。また、始動要求に対して遅れることなくエンジン始動できる。
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇開始からエンジン始動までの回転数上昇を、始動用モータとしての第2モータジェネレータMG2により行うことを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇開始からエンジン始動までのエンジン回転数上昇に燃料噴射を伴わないことから、エンジン始動時の燃料の節約効果を確実に得ることができる。
加えて、上記(1)〜(3)のようにポンピングロスが低く、燃焼効率の良い始動を行うことができるため、始動用モータが低出力であっても、自立運転可能な回転数まで効率良く上昇可能となる。また、エンジン始動までの回転数上昇を始動用モータにより行い、この間、燃料噴射を行わないため、エンジン始動時の燃料消費を軽減できる。
車両の動力源として走行用モータとしての第1モータジェネレータMG1を備えるとともに、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行するEVモードと、第1モータジェネレータMG1およびエンジンICEの駆動力により走行するHEVモードとを切り替える走行モードコントローラとしてのハイブリッドコントロールモジュール21を備え、
エンジンコントロールユニット24によるエンジン始動は、EVモードからHEVモードへの走行モード遷移時に実行することを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、ハイブリッド車両におけるEVモードからHEVモードに移行する際のエンジン始動において、上記(1)〜(4)の効果を得ることができる。
加えて、前記ハイブリッド車両では、EVモードでのモータ発進を行うようにした。このため、走行中におけるEVモードからHEVモードへの移行に伴うエンジンICEの始動頻度が高く、この際に(1)〜(4)に記載の効率的で応答性の高いエンジン始動性がいっそう有効となる。
エンジンICEの動力により発電を行う発電用モータジェネレータとしての第2モータジェネレータMG2を備え、
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇を行う始動用モータとして第2モータジェネレータMG2を用いることを特徴とする。
実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)のようにポンピングロスを軽減可能であり、かつ、上記(2)のように緩やかにエンジン回転数を上昇させるために、相対的に低出力の第2モータジェネレータMG2を用いて、エンジン回転数の上昇が可能である。そして、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇に、走行用の第1モータジェネレータMG1を用いないことから、EVモードの走行性に影響を与えることなく、エンジン始動が可能である。
エンジンコントロールユニット24は、ドライバの加速要求度としてのアクセル開度に基づき、加速要求度(応答性要求)が設定加速要求度(応答性要求判定値)よりも低い低加速要求時に、予測始動モードにより始動を行い、設定加速要求度(応答性要求判定値)よりも高い高加速要求時に、通常始動モードにより始動を行うことを特徴とする。
このため、実施例1のエンジン始動制御装置は、(1)〜(6)の効果に加え、ドライバの加速要求度が高い場合には、即座にエンジン始動を行って、ドライバの加速要求に応じて加速を行うことができる。したがって、EVモードからHEVモードへの移行をスムーズかつ高応答で行うことができる。
エンジンコントロールユニット24は、加速要求度を車速変化とアクセル開度変化との少なくとも一方に基づいて求めることを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、(5)の効果に加え、加速要求度を、既存の汎用性の高い車速センサ、アクセル開度センサを用いて検出することができる。また、車速あるいは要求駆動力に応じた精度の高い加速要求検出を可能とする。
したがって、加速要求度(応答性要求)をいっそう高精度で判定することができる。
また、加速時の車速上昇傾きが、予め設定した応答性要求判定車速傾きよりも急であれば応答性要求有り(加速要求度高い)と判定し、応答性要求判定車速傾きよりも緩やかであれば応答性要求無し(加速要求度低い)と判定するようにした。
したがって、加速要求度(応答性要求)を高精度で判定することができる。
加えて、加速要求度としての応答性要求判定を、車速変化に基づく判定とアクセル開度に基づく判定とを併用することにより、いっそう高精度の判定が可能となる。
エンジンコントロールユニット24は、始動予測を車速とアクセル開度との少なくとも一方に基づいて行うことを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、(1)〜(6)の効果に加え、始動予測を、既存の汎用性の高い車速センサ、アクセル開度センサを用いて検出することができる。また、車速あるいは要求駆動力に応じた精度の高い始動予測を可能とする。
さらに、本実施例1では、始動予測を、車速とアクセル開度とに応じたマップ(図6)に基づいて判定するようにした。したがって、始動予測を、車速とアクセル開度とのいずれか一方のみに基づいて判定するよりも、高精度の予測が可能となる。
車両状態に基づいてエンジンICEの始動要求の有無を判定するステップと、
始動要求が有った場合に、エンジンICEの燃料噴射および点火を行ってエンジンICEを始動するステップと、の処理を行うステップS3、S6を備えたエンジン始動方法であって、
エンジンICEの始動要求の有無を判定するステップの前に、始動要求が成されるか否かの予測を行うステップS1を備えるとともに、
始動要求が予測される場合、エンジンICEを始動するステップS6の前に、始動用モータ(第2モータジェネレータMG2)によりエンジンICEの回転数上昇を開始するステップS5を備えることを特徴とする。
このように、実施例1のエンジン始動方法は、予測始動モードでは、エンジンICEの始動前からエンジン回転数の上昇を開始する。このため、始動要求有りとの判定からエンジン回転数の上昇を開始するものと比較して、始動タイミングを遅らせることなくエンジン回転数の上昇を緩やかに行うことが可能となる。
これにより、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇時のポンピングロスを軽減可能となるとともに、始動応答性向上が可能となる。
例えば、実施例1では、本発明をハイブリッド車両に適用した例を示したが、駆動源としてエンジンのみを備えたエンジン車にも適用できる。すなわち、特許文献1に記載されたような、アイドリングストップ制御を実施する車両におけるエンジンの再始動において、ブレーキペダルの足離しなどにより、エンジン始動が予測される際の再始動に適用することもできる。この場合、予測始動モードでのエンジン回転数上昇を行う始動用モータとしては、通常始動モードでのエンジン始動に用いるいわゆるスタータモータを用いることができる。また、このようなエンジン車にあっても、回生用のモータジェネレータを有している場合、このモータジェネレータを始動用モータとして用いることも可能である。
また、変速機としても、実施例1で示した、多段歯車変速機に限定されず、周知のいわゆるATやCVTや手動変速機などを用いてもよい。
21 ハイブリッドコントロールモジュール(走行モードコントローラ)
24 エンジンコントロールユニット(始動コントローラ)
ICE エンジン
MG1 第1モータジェネレータ(走行用モータ)
MG2 第2モータジェネレータ(発電用モータ)
Claims (8)
- 車両の動力源としてのエンジンおよび走行用モータと、
車両状態に基づいて前記エンジンの始動要求の有無を判定し、前記始動要求が有ると前記エンジンを始動する始動コントローラと、
前記走行用モータの駆動力により走行するEVモードと、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードとを切り替える走行モードコントローラと、
を備えたエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記エンジンの停止時に、前記車両状態に基づいて始動要求の予測を行い、前記始動要求有りとの判定前に前記始動要求が予測される場合、前記エンジンの始動前に始動用モータにより前記エンジンの回転数上昇を開始した後に前記エンジンの始動を行う予測始動モードと、前記予測始動モードでの回転数上昇を行うことなく前記エンジンの始動を行う通常始動モードと、備え、前記EVモードから前記HEVモードへの走行モード遷移時に、前記車両状態に含まれるドライバの加速要求度に基づき、前記加速要求度が設定加速要求度よりも低い低加速要求時に、前記予測始動モードにより始動を行い、前記設定加速要求度よりも高い高加速要求時に、前記通常始動モードにより始動を行う
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1に記載されたエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇を、前記通常始動モードでの前記エンジンの回転数上昇よりも緩やかな上昇とする
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記エンジンの燃料噴射および点火による始動は、前記始動要求有りとの判定により行う
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇開始から前記エンジン始動までの前記回転数上昇を、前記始動用モータにより行う
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
前記エンジンの動力により発電を行う発電用モータジェネレータを備え、
前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇を行う前記始動用モータとして前記発電用モータジェネレータを用いる
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記加速要求度を車速変化とアクセル開度変化との少なくとも一方に基づいて求める
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
前記始動コントローラは、前記始動予測を車速とアクセル開度との少なくとも一方に基づいて行う
ことを特徴とするエンジン始動制御装置。 - エンジンを停止して走行用モータの駆動力により走行するEVモードから、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードへの走行モード遷移時に実行するエンジン始動方法であって、
車両状態に基づいてエンジンの始動要求の有無を判定するステップと、
前記始動要求が有った場合に、前記エンジンの燃料噴射および点火を行ってエンジンを始動するステップと、
を備え、
前記エンジンの始動要求の有無を判定するステップの前に、始動要求が成されるか否かの予測を行うステップを備えるとともに、
前記始動要求が予測される場合、前記エンジンを始動するステップの前に、始動用モータにより前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを備え、
前記走行用モータの駆動力により走行するEVモードから、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードへの遷移時に、前記車両状態に含まれるドライバの加速要求度に基づき、前記加速要求度が設定加速要求度よりも低い低加速要求時に、前記始動要求の予測による前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを実行した後に前記エンジンを始動するステップを実行し、前記設定加速要求度よりも高い高加速要求時に、前記始動要求の予測による前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを実行せずに前記エンジンを始動するステップを実行する
ことを特徴とするエンジン始動方法。
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