JP6531510B2 - エンジン始動制御装置およびエンジン始動方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン始動制御装置およびエンジン始動方法に関する。
従来、エンジン始動制御装置において始動時の応答性を高めてショックの発生抑制を図るものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来装置は、車両停車に伴うエンジン自動停止後、運転者がブレーキペダルから足を離した時点でエンジン始動を予測し、エンジン始動を開始するようにしている。したがって、運転者がアクセルペダルを踏み込むエンジン始動要求操作を行ってからエンジン始動を行う場合と比較して、始動タイミングを早めて始動応答性を高めることができる。また、この始動応答遅れによるショックの発生も抑制できる。
特開平9−209790号公報
上述の従来技術では、エンジン始動を予測した時点でエンジン始動を行うようにしている。すなわち、始動用モータによりエンジン回転数を上昇させるとともに、燃料噴射および点火を行ってエンジンを始動させる。
この場合、高応答でエンジンを始動させるには、始動用モータによるエンジン回転数上昇を短時間に行う必要がある。
しかしながら、短時間でエンジン回転数を上昇させた場合、エンジン回転に伴う空気の吸排により生じるポンピングロスやフリクションなどによる負荷が大きくなる。このため、効率的なエンジン始動ができず、応答性や燃費に悪影響を与える。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、始動時の負荷を軽減し、始動応答性および燃費を向上可能なエンジン始動制御装置およびエンジン始動方法を提供することを目的とする。
本発明のエンジン始動制御装置は、車両状態に基づいて前記エンジンの始動要求の有無を判定し、前記始動要求が有るとエンジンを始動する始動コントローラを備える。
さらに、始動コントローラは、エンジンの停止時に、車両状態に基づいて始動要求の予測を行い、始動要求有りとの判定前に始動要求が予測される場合、エンジンの始動前に始動用モータによりエンジンの回転数上昇を開始する予測始動モードを備える。
本発明では、始動コントローラは、予測始動モードでは、始動要求有りとの判定前に始動要求が予測される場合、エンジンの始動前に始動用モータによりエンジンの回転数上昇を開始する。
このように、始動要求有りとの判定よりも前の時点にエンジン回転数上昇を開始するため、始動要求有りと判定されてからエンジン回転数の上昇を開始する場合と比較して、緩やかに回転数を上昇させることができる。
これにより、本発明のエンジン始動制御装置は、エンジン回転に伴う空気の吸排によるポンピングロスやフリクションなどによる負荷を軽減でき、始動応答性および燃費の向上が可能である。
実施例1のエンジン始動装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施例1のエンジン始動装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機の変速制御系の構成を示す制御系構成図である。 実施例1のエンジン始動装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において変速パターンを切り替える考え方を示す変速マップ概要図である。 実施例1のエンジン始動装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において3つの係合クラッチの切り替え位置による変速段を示す締結表である。 実施例1のエンジン始動制御装置で実行されるエンジン始動制御の処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のエンジン始動制御装置におけるエンジン始動要求判定線および始動予測線の説明図である。 実施例1のエンジン始動制御装置による通常始動モードでのエンジン始動の動作を示すタイムチャートである。 実施例1のエンジン始動制御装置による予測始動モードでのエンジン始動の動作例を示すタイムチャートである。 実施例1のエンジン始動制御装置による予測始動モードでのエンジン始動の他の動作例を示すタイムチャートである。
以下、本発明のエンジン始動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1のエンジン始動制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1におけるエンジン始動制御装置を備えたハイブリッド車両の構成を、「全体システム構成」、「ハイブリッド車両の制御系構成」、「変速制御系構成」、「変速段及びシフトスケジュールマップ構成」、「エンジン始動制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1のエンジン始動制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ハイブリッド車両の駆動系は、エンジンICEと、第1モータジェネレータ(走行用電動機)MG1と、第2モータジェネレータ(発電用電動機)MG2と、第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1と、を備えている。なお、「ICE」は「Internal-Combustion Engine」の略称である。
エンジンICEは、例えば、クランク軸方向を車幅方向として車両のフロントルームに配置したガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどである。このエンジンICEは、多段歯車変速機1の変速機ケース10に連結されると共に、エンジン出力軸が、多段歯車変速機1の第1軸11に接続される。なお、エンジンICEは、基本的に、第2モータジェネレータMG2をスタータモータとして始動(MG2始動)する。但し、極低温時などのように強電バッテリ3を用いたMG2始動が確保できない場合に備えてスタータモータ2を設けている。
第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、いずれも強電バッテリ3を共通の電源とする三相交流の永久磁石型同期モータである。
第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。
第2モータジェネレータMG2のステータは、第2モータジェネレータMG2のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第2モータジェネレータMG2のロータに一体の第2モータ軸が、多段歯車変速機1の第6軸16に接続されている。
第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第1インバータ4が、第1ACハーネス5を介して接続されている。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第2インバータ6が、第2ACハーネス7を介して接続される。強電バッテリ3と第1インバータ4及び第2インバータ6は、ジャンクションボックス9を介してDCハーネス8により接続されている。
多段歯車変速機1は、変速比が異なる複数の歯車対を有する常時噛み合い式変速機であり、変速機ケース10内に互いに平行に配置され、歯車が設けられる第1〜第6歯車軸11〜16と、歯車対を選択する第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3と、を備える。
歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられている。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられている。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設されている。
第1軸11は、エンジンICEが連結された軸であり、第1軸11には、図1の右側から順に、第1歯車101、第2歯車102、第3歯車103が配置されている。
第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられている。
第2軸12は、第1モータジェネレータMG1が連結され、第1軸11の外側位置に軸心を一致させて同軸配置された円筒軸であり、第2軸12には、図1の右側から順に、第4歯車104、第5歯車105が配置されている。
第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第3軸13は、多段歯車変速機1の出力側に配置された軸であり、第3軸13には、図1の右側から順に、第6歯車106、第7歯車107、第8歯車108、第9歯車109、第10歯車110が配置されている。
第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられている。
そして、第6歯車106は第1軸11の第2歯車102に噛み合い、第7歯車107はデファレンシャル歯車17の第16歯車116と噛み合い、第8歯車108は第1軸11の第3歯車103に噛み合う。第9歯車109は第2軸12の第4歯車104に噛み合い、第10歯車110は第2軸12の第5歯車105に噛み合っている。
第4軸14は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14には、図1の右側から順に、第11歯車111、第12歯車112、第13歯車113が配置されている。第11歯車111は、第4軸14に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第12歯車112と第13歯車113は、軸方向に突出するボス部が第4軸14の外周に挿入される遊転歯車であり、第1係合クラッチC1を介し第4軸14に対して駆動連結可能に設けられている。そして、第11歯車111は第1軸11の第1歯車101に噛み合い、第12歯車112は第1軸11の第2歯車102と噛み合い、第13歯車113は第2軸12の第4歯車104と噛み合っている。
第5軸15は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14の第11歯車111と噛み合う第14歯車114が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられている。
そして、第2モータジェネレータMG2とエンジンICEは、互いに噛み合う第15歯車115、第14歯車114、第11歯車111、第1歯車101により構成されるギヤ列により機械的に連結されている。
このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2によるエンジンICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、エンジンICEの駆動で第2モータジェネレータMG2により発電するMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギヤ列となる。
第1係合クラッチC1は、第4軸14のうち、第12歯車112と第13歯車113の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
第2係合クラッチC2は、第1軸11のうち、第2歯車102と第3歯車103の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
第3係合クラッチC3は、第3軸13のうち、第9歯車109と第10歯車110の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。
そして、多段歯車変速機1の第3軸13に一体(一体化固定を含む)に設けられた第7歯車107に噛み合う第16歯車116は、デファレンシャル歯車17及び左右のドライブ軸18を介して左右の駆動輪19に接続されている。
[ハイブリッド車両の制御系構成]
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
ハイブリッドコントロールモジュール21(略称:「HCM」)は、車両全体の消費エネルギを適切に管理する機能を担う統合制御手段である。このハイブリッドコントロールモジュール21は、他のコントロールユニット(モータコントロールユニット22、変速機コントロールユニット23、エンジンコントロールユニット24など)とCAN通信線25により双方向情報交換可能に接続されている。なお、CAN通信線25の「CAN」とは、「Controller Area Network」の略称である。
モータコントロールユニット22(略称:「MCU」)は、第1インバータ4と第2インバータ6に対する制御指令により第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御などを行う。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に対する制御モードとしては、「トルク制御」と「回転数FB制御」がある。「トルク制御」は、目標駆動力に対して分担する目標モータトルクが決まると、実モータトルクを目標モータトルクに追従させる制御を行う。「回転数FB制御」は、変速要求時に各係合クラッチC1,C2,C3の何れかを噛み合い締結する際に、クラッチ入出力回転数を回転同期させる目標モータ回転数を決め、実モータ回転数を目標モータ回転数に収束させるようFBトルクを出力する制御である。
変速機コントロールユニット23(略称:「TMCU」)は、所定の入力情報に基づいて各電動アクチュエータ31,32,33(図2参照)へ電流指令を出力することにより、多段歯車変速機1の変速パターンを切り替える変速制御を行う。この変速制御では、各係合クラッチC1,C2,C3を選択的に噛み合い締結/解放させ、複数対の歯車対から動力伝達に関与する歯車対を選択する。ここで、解放状態の各係合クラッチC1,C2,C3の何れかを締結する変速要求時は、クラッチ入出力の差回転数を抑え噛み合い締結するため、第1モータジェネレータMG1または第2モータジェネレータMG2の回転数FB制御(回転同期制御)を併用する。
エンジンコントロールユニット24(略称:「ECU」)は、所定の入力情報に基づきモータコントロールユニット22や点火プラグや燃料噴射アクチュエータなどへ制御指令を出力し、エンジンICEの始動制御やエンジンICEの停止制御や燃料カット制御などを行う。
[変速制御系構成]
多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかの噛み合い締結させる変速要求時には、両モータジェネレータMG1,MG2のいずれかによる回転同期作動により、クラッチ入出力差回転数を同期判定回転数範囲内として噛み合いストロークさせて変速を実現する。なお、係合クラッチC3の締結時には第1モータジェネレータMG1により回転同期させ、第1、第2係合クラッチC1,C2の締結時には第2モータジェネレータMG2により回転同期させる。
また、締結されている各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを解放させる変速要求があると、解放クラッチのクラッチ伝達トルクを低下させ、解放トルク判定値以下になると解放ストロークを開始することで変速を実現している。以下、図2に基づき、多段歯車変速機1の変速制御系構成を説明する。
多段歯車変速機1は、その変速制御系として、図2に示すように、前述した第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3を備えている。また、多段歯車変速機1は、その変速制御系のアクチュエータとして、C1,C2シフト動作用の第1電動アクチュエータ31と、C1,C2セレクト動作用の第2電動アクチュエータ32と、C3シフト動作用の第3電動アクチュエータ33を備えている。
そして、多段歯車変速機1は、アクチュエータ動作をクラッチ係合/解放動作に変換するシフト機構として、C1/C2セレクト動作機構40と、C1シフト動作機構41と、C2シフト動作機構42と、C3シフト動作機構43を備えている。これら、第1電動アクチュエータ31と第2電動アクチュエータ32と第3電動アクチュエータ33の作動は、変速機コントロールユニット23により制御される。
第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3は、ニュートラル位置(N:解放位置)と、左側締結位置(Left:左側クラッチ噛み合い締結位置)と、右側締結位置(Right:右側クラッチ噛み合い締結位置)と、を切り替えるドグクラッチである。各係合クラッチC1,C2,C3は何れも同じ構成であり、カップリングスリーブ51,52,53と、左側ドグクラッチリング54,55,56と、右側ドグクラッチリング57,58,59と、を備える。
カップリングスリーブ51,52,53は、第4軸14,第1軸11,第3軸13(図1参照)に固定された図外のハブを介してスプライン結合により軸方向にストローク可能に設けられている。これらカップリングスリーブ51,52,53は、両側に平らな頂面によるドグ歯51a,51b,52a,52b,53a,53bを有する。さらに、カップリングスリーブ51,52,53は、周方向中央部にフォーク溝51c,52c,53cを有する。
左側ドグクラッチリング54,55,56は、各係合クラッチC1,C2,C3の左側遊転歯車である各歯車113,103,110(図1参照)のボス部に固定され、ドグ歯51a,52a,53aに対向する平らな頂面によるドグ歯54a,55a,56aを有する。
右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109(図1参照)のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
C1/C2セレクト動作機構40は、第1電動アクチュエータ31とC1シフト動作機構41の連結を選択する第1位置と、第1電動アクチュエータ31とC2シフト動作機構42の連結を選択する第2位置と、を選択する機構である。
C1/C2セレクト動作機構40は、第1位置の選択時には、シフトロッド62と第1係合クラッチC1のシフトロッド64を連結すると共に、第2係合クラッチC2のシフトロッド65をニュートラル位置にロックする。
C1/C2セレクト動作機構40は、第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。
つまり、C1/C2セレクト動作機構40が第1位置と第2位置のうち、一方の係合クラッチをシフト動作する位置を選択すると、他方の係合クラッチはニュートラル位置でロック固定する機構としている。
C1シフト動作機構41とC2シフト動作機構42とC3シフト動作機構43は、第1、第3電動アクチュエータ31,33の回動動作を、カップリングスリーブ51,52,53の軸方向ストローク動作に変換する機構である。各シフト動作機構41,42,43は何れも同じ構成であり、回動リンク61,63と、シフトロッド62,64,65,66と、シフトフォーク67,68,69と、を備えている。回動リンク61,63は、一端が第1、第3電動アクチュエータ31,33のアクチュエータ軸に設けられ、他端がシフトロッド64(またはシフトロッド65),66に相対変位可能に連結される。シフトロッド64,65,66は、ロッド分割位置にスプリング64a,65a,66aが介装され、ロッド伝達力の大きさと方向に応じて伸縮可能とされている。シフトフォーク67,68,69は、一端がシフトロッド64,65,66に固定され、他端がカップリングスリーブ51,52,53のフォーク溝51c,52c,53cに配置されている。
変速機コントロールユニット23は、車速センサ71、アクセル開度センサ72、変速機出力軸回転数センサ73、エンジン回転数センサ74、MG1回転数センサ75、MG2回転数センサ76、インヒビタースイッチ77、バッテリSOCセンサ78などからのセンサ信号やスイッチ信号を入力する。なお、変速機出力軸回転数センサ73は、第3軸13(図1参照)の軸端部に設けられ、第3軸13の軸回転数を検出する。
そして、変速機コントロールユニット23は、カップリングスリーブ51,52,53の位置によって決まる各係合クラッチC1,C2,C3の噛み合い締結と解放を制御する位置サーボ制御部(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。この位置サーボ制御部は、第1スリーブ位置センサ81、第2スリーブ位置センサ82、第3スリーブ位置センサ83からのセンサ信号を入力する。そして、位置サーボ制御部は、カップリングスリーブ51,52,53の位置が噛み合いストロークによる締結位置または解放位置になるように、各電動アクチュエータ31,32,33に電流を与える。
各係合クラッチC1,C2,C3は、カップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯との双方が噛合した噛み合い位置にある締結状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13に駆動連結する。
一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位してカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態とし、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
[変速段及びシフトスケジュールマップ構成]
多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、エンジンICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
変速段の考え方は、図3に示すように、車速VSPが所定車速VSP0以下の発進領域においては、多段歯車変速機1が発進要素(滑り要素)を持たないため、「EVモード」でモータ駆動力のみによるモータ発進とする。そして、走行領域においては、駆動力の要求が大きいとき、エンジン駆動力をモータ駆動力によりアシストする「パラレルHEVモード」により対応するという変速段の考え方を採る。つまり、車速VSPの上昇に従って、ICE変速段は、(ICE1st→)ICE2nd→ICE3rd→ICE4thへと変速段が移行し、EV変速段は、EV1st→EV2ndへと変速段が移行する。
なお、図3において、点線により「EVモード」と「パラレルHEVモード」とを切り替えるEV⇔HEV切替線を示している。このEV⇔HEV切替線よりも上の領域が「パラレルHEVモード」の領域であり、EV⇔HEV切替線よりも下の領域が「EVモード」の領域である。このEVモードとパラレルHEVモードとの切り替えは、変速コントロールユニット23による変速制御に伴い、ハイブリッドコントロールモジュール21により総合的に制御する。したがって、EVモードからパラレルHEVモードへのモード遷移時には、エンジンICEを始動し、逆に、パラレルHEVモードからEVモードへのモード遷移時には、エンジンICEを停止させるようエンジンコントロールユニット24により制御する。
第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」は、エンジンICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV- ICEgen」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「Neutral」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV- ICE3rd」である。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、エンジンICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、または、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1st ICE1st」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV1st ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV1st ICE3rd」である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、エンジンICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1.5 ICE2nd」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2nd ICE3rd’」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV2nd ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV2nd ICE3rd」である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、エンジンICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、エンジンICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2.5 ICE4th」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE4th」である。
次に、第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる上記全変速段から「通常時使用変速段」を分ける手法について説明する。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
そして、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段の中から「通常使わない変速段(図4の右下がりハッチング)」と「低SOC等で使う変速段(図4の破線枠)」を除いた変速段を、「通常時使用変速段(図4の太線枠)」とする。ここで、「通常使わない変速段」とは、「EV2nd ICE3rd’」と「EV1st ICE4th」であり、「低SOC等で使う変速段」とは、「EV- ICEgen」と「EV1st ICE1st」である。
よって、「通常時使用変速段」は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)と、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)と、組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)に、「Neutral」を加えることによって構成される。
以上の各変速段の切り替えは、図3に示す変速段の考え方に基づき、変速段を切り替える変速要求を出すための図示を省略したスケジュールマップに基づいて実行する。
[エンジン始動制御処理構成]
実施例1では、前述のように、「EVモード」によりモータ発進を行うが、その後、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)あるいは組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)への変速に伴い停止状態のエンジンICEを始動させる。
この「EVモード」での走行状態から、エンジンICEを始動させるエンジン始動制御を図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、このエンジン始動制御は、上述のように変速制御と連動してエンジンコントロールユニット24により実施する。
図5は、エンジン始動制御の処理の流れを示すフローチャートであって、このエンジン始動制御は、EVモードによる走行時、すなわち、エンジンICEを停止させ、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行するモードにて実施する。
まず、ステップS1では、車速とドライバ要求駆動力とに基づいてエンジン始動要求の予測を行った後、ステップS2に進む。
このエンジン始動要求の予測の説明の前に、まず、図6に示すエンジン始動要求判定線について説明する。
このエンジン始動要求判定線は、車両状態(車速とドライバ要求駆動力)が、エンジンICEを停止させたEVモードから、エンジンICEを駆動させたパラレルHEVモードに移行する状態であるか否かを判定するのに用いる。すなわち、エンジンコントロールユニット24は、車両状態(ドライバ要求駆動力と車速)が、エンジン停止領域から、このエンジン始動要求判定線を横切ると、エンジン始動要求有りと判定する。
また、エンジン始動要求判定線は、図3に示すEV⇔HEV切替線に対応して設定されている。すなわち、EVモードの領域(EV1st,EV2nd)から、パラレルHEVモード(EV1st ICE2nd,EV1st ICE3rd,EV2nd ICE2nd,EV2nd ICE3rd,EV2nd ICE4th)の領域との間に設定されている。
さらに、本実施例1では、図6に示すように、エンジン始動要求判定線のエンジン停止領域側に始動要求予測線を設定している。この始動要求予測線は、エンジンICEの停止時であって、始動要求判定がなされる前に(車両状態がエンジン始動要求判定線を横切る前に)、エンジン始動要求有りと判定がなされることを予測するために設定している。
すなわち、エンジンコントロールユニット24は、車両状態(ドライバ要求駆動力および車速)が、エンジン始動要求判定線をエンジン停止領域からエンジン作動領域に向かって横切ることが予測される場合に、エンジン始動要求を予測する。
そこで、上述のように、エンジン始動要求判定線に対してエンジン停止領域側に、始動予測線を設定している。そして、ステップS1の処理では、車両状態がこの始動予測線を横切った時に、図において点線により示す車両状態の変化方向がエンジン始動要求判定線を横切る場合に、エンジン始動要求を予測(エンジン始動要求予測有り)と判定する。なお、車両状態が始動予測線を横切らない場合、および、車両状態が始動予測線を横切った場合であっても、車両状態の変化方向がエンジン始動要求判定線を横切る方向ではない場合は、エンジン始動要求予測無しとする。
また、始動予測線は、一定の値を設定してもよいが、可変としてもよい。可変とする場合は、車両状態に応じ、車速変化(加速度)やドライバ要求加速度が相対的に大きい場合は、相対的に小さい場合と比較して、エンジン始動要求判定線と始動予測線との間隔を広げるように設定するのが好ましい。
ステップS1においてエンジン始動要求を予測した後に進むステップS2では、始動応答性要求が有るか否かを判定し、始動応答性要求が有りの場合はステップS3に進み、始動応答性要求が無い場合はステップS4に進む。
すなわち、ステップS2では、高い始動応答性が要求されているか否か、つまり、ドライバの加速要求度が高いか否かを判定している。そこで、ステップS2では、アクセル開度の変化速度に基づいて、この変化速度が予め設定された応答性要求判定値よりも大きい場合に、始動応答性要求有りと判定し、応答性要求判定値以下の場合は、始動応答性要求無しと判定する。
具体的には、図7において、アクセル開度の上昇の傾きを、二点鎖線で示す応答性要求判定アクセル開度傾きと比較する。そして、アクセル開度の上昇の傾きが、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも急な場合に、始動応答性要求有りと判定し、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも緩やかな場合に、始動応答性要求無しと判定する。また、始動応答性要求の有無は、車速に基づいて判定することもできる。具体的には、図9に示すように、車速の上昇傾きを、二点鎖線で示す応答性要求判定車速傾きと比較する。そして、車速の上昇の傾きが、応答性要求判定車速傾きよりも急な場合に、始動応答性要求有りと判定し、応答性要求判定車速傾きよりも緩やかな場合に、始動応答性要求無しと判定する。
そして、ステップS2において始動要求応答性要求有りと判定した場合は、ステップS3に進んで、通常始動モードによるエンジン始動を行う。この通常始動モードでは、車両状態(ドライバ要求駆動力および車速)が、エンジン始動要求判定線(図6)を横切ると、第2モータジェネレータMG2によりエンジンICEの回転数上昇(クランキング)を行いつつ、エンジンICEの燃料噴射および点火を行う。
一方、ステップS2において始動応答性要求無しと判定された場合に進むステップS4では、エンジン始動要求予測有りか否か判定する(ステップS1の処理結果)。そして、エンジン始動要求予測有りの場合は予測始動モードによるエンジン始動としてステップS5、S6の処理を実行する。また、ステップS4においてエンジン始動要求予測無しの場合は、エンジン始動を行うことなく1回の処理を終了する。なお、この図5に示すエンジン始動制御は、予め設定された間隔(例えば、10msecや数十msec)で繰り返し実行する。
予測始動モードによるエンジン始動を行う場合に進むステップS5では、第2モータジェネレータMG2によりエンジン回転数の上昇を開始する。
この予測始動モードでのエンジン回転数の上昇開始は、通常始動モードのエンジン回転数上昇開始よりも早いタイミングで行う。このため、ステップS5の処理では、通常始動モードよりも緩やかなエンジン回転数上昇勾配で、エンジン始動時までにエンジンICEが自立運転可能な回転数まで上昇させる。
また、この第2モータジェネレータMG2による予測始動モードでのエンジン回転数の上昇時では、車両状態がエンジン始動要求判定線を横切って下記のエンジン始動を行うまでエンジンICEの燃料噴射および点火は行わない。
これにより、エンジン回転に伴う空気の吸排により生じるポンピングロスやフリクションなどによる負荷を、通常始動モードでのエンジン始動時よりも軽減することができる。
なお、このエンジン回転数を通常始動モードよりも緩やかに上昇させるには、第2モータジェネレータMG2の出力トルクを、通常始動モードでの出力トルクよりも低トルクとすることで行うことができる。あるいは、エンジン回転数のFB制御を行って、エンジン回転数をアイドリング回転数に向けて回転数制御により上昇させることができる。また、この回転数制御では、エンジン回転数の上昇傾きは、予め設定した一定の傾きに制御してもよい。あるいは、エンジン始動要求判定がなされると予測される時点でアイドリング回転数などの自立運転可能な回転数となるようにエンジン回転数の上昇傾きを可変制御してもよい。
その後、ステップS6では、車両状態(ドライバ要求加速度および車速)がエンジン始動要求線を横切った時点で、エンジンICEの燃料噴射および点火し、エンジンICEを自立運転させてエンジン始動を完了する。
(実施例の作用)
次に、実施例の作用を図7〜図9のタイムチャートに基づいて説明する。
まず、ドライバがエンジン始動応答性要求を越える加速操作を行った時の動作例を図7に基づいて説明する。
この動作例では、ドライバが、t11の時点で、図外のアクセルペダルを急に踏み込む急加速操作を開始し、アクセル開度が、図示のように、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも急な傾きで変化する。
この場合、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線を横切ることで、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
これに加え、図7に示すように、アクセル開度の上昇の傾きが、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも急で、応答性要求(加速要求)が有ることから、エンジンコントロールユニット24は、始動応答性要求有りと判定する(ステップS2)。
したがって、エンジンコントロールユニット24は、通常始動モードのエンジン始動を行う。すなわち、車両状態が図6のエンジン始動要求判定線(エンジン始動開度)を越えた図7のt12の時点で、第2モータジェネレータMG2によりエンジン回転数を上昇させるとともに、エンジンICEの燃料噴射および点火を行う(ステップS3)。なお、第2モータジェネレータMG2の駆動は、エンジン回転数が予め設定されたアイドリング回転数を越えて、エンジンICEが自立運転していると判定された時点で停止する。
このように、ドライバが、応答性要求判定値(応答性要求判定アクセル開度傾き)を越える加速操作を行った場合は、即座にエンジン始動を行う。これにより、車両はEVモードからパラレルHEVモードに移行し、第1モータジェネレータMG1とエンジンICEとの駆動力によりドライバ要求駆動力を発生させて、ドライバ要求駆動力に応じた加速を高応答で行うことができる。
次に、ドライバが応答性要求判定アクセル開度傾き(図7)よりも緩やかな加速操作を行った場合の動作を図8に基づいて説明する。
この動作例では、ドライバが、t21の時点から図外のアクセルペダルを踏み込む加速操作を行い、アクセル開度が徐々に上昇する。このアクセル開度の上昇により、t22の時点で、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線を横切る。これにより、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
そして、この動作例では、図8に示すように、アクセル開度の上昇傾きが、応答性要求判定値としての応答性要求判定アクセル開度傾きよりも緩やかであることから、エンジンコントロールユニット24は、始動応答性要求無しと判定する(ステップS2)。
したがって、この場合は、ステップS2からステップS4に進み、さらに、ステップS1におけるエンジン始動要求予測有りの判定に応じ、エンジン始動前に、第2モータジェネレータMG2によるエンジン回転数上昇を開始する(ステップS5)。
この場合、エンジン回転数の上昇は、図7に示す通常始動モード(すなわち、ステップS3の処理の場合)よりも緩やかな上昇とする。また、この時点では、エンジンICEの燃料噴射および点火は行わず、エンジン回転数の上昇は、第2モータジェネレータMG2の出力トルクのみで行う。そして、本実施例1では、エンジン始動要求予測有りとの判定からエンジン始動要求判定までの間に、エンジン回転数が少なくともアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数に上昇する傾きとする。
なお、この図8に示す動作例は、エンジン回転数の上昇を回転数制御により行った例を示しており、第2モータジェネレータMG2の出力トルクは、図7の例と同様としている。また、この場合の通常始動モード(図7)よりも緩やかなエンジン回転数の上昇は、予め設定された傾きによる上昇としてもよい。あるいは、通常始動モードよりは緩やかなエンジン回転数上昇において、ドライバの加速要求(アクセル開度変化)に応じ、アクセル開度の増加速度(傾き)が小さい場合には、その増加速度が大きい場合よりもより緩やかな上昇となるように可変制御してもよい。また、始動予測から始動要求判定までの時間に基づいて、この間に、エンジン始動時にエンジンICEが自立運転可能な回転数に上昇する傾きの範囲で可変制御する。
その後、車両状態(ドライバ要求加速度、車速)が、エンジン始動要求判定線に達した時点(図では、アクセル開度がエンジン始動要求判定線に対応したエンジン始動開度に達したt23の時点)で、エンジンICEを始動する。すなわち、エンジンICEの燃料噴射を行うとともに点火し、エンジンICEを自立運転させる。
以上のように、図8に示す予測始動モードの動作例では、エンジン始動前に、緩やかにエンジン回転数を上昇させるため、ポンピングロスやフリクションなどの負荷を抑えたエンジン回転数上昇を行うことができる。
そして、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてエンジン始動を行う時点で、既に、エンジン回転数がアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数まで上昇しているため、エンジン始動要求に対して遅れなくエンジン駆動力を発生することができる。
加えて、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えた時点で、エンジン回転数を0から上昇させる場合と比較して、エンジン回転上昇時に無駄に燃料噴射を行うことが無いため、燃費が向上する。しかも、エンジン気筒内の負圧を高めてから燃焼を開始することで、燃焼を効率化して排気性能を高め、効率の良い燃焼を行うことができる。
次に、予測始動モードによる他のエンジン始動動作例を図9に基づき説明する。
この動作例では、ドライバは、t31の時点で発進操作を行い、かつ、緩やかな加速操作を行い、車速は、図示のように緩やかに上昇する。そして、車両状態(ドライバ要求駆動力(アクセル開度)、車速)が、図6に示す始動予測線をt32の時点で横切る。これにより、エンジンコントロールユニット24は、エンジン始動要求予測有りと判定する(ステップS1)。
さらに、この動作例では、図9に示すように、車速の上昇傾きが応答性要求判定車速傾きよりも緩やかであり、始動応答性要求無しと判定する(ステップS2)。なお、この応答性要求無しとの判定は、図8の例のように、アクセル開度の増加傾きにより判定することもできる。あるいは、アクセル開度に基づく判定と、車速に基づく判定とを併用し、そのいずれかが、応答性要求判定値(判定傾き)よりも大きい(急)場合に、応答性要求有りと判定し、それ以外は、応答性要求無しと判定するようにしてもよい。
その後、この動作例では、ステップS2からステップS4に進む処理を行い、ステップS1の処理にてエンジン始動要求予測有りと判定したことから、t32の時点で、第2モータジェネレータMG2によりエンジン回転数の上昇を開始する(ステップS5)。
この場合、図8の動作例と同様に、エンジン回転数の上昇は、通常始動モードよりも緩やかに上昇させる。また、この時点では、エンジンICEの燃料噴射および点火は行わない。
なお、この図9に示す動作例のエンジン回転数の上昇は、第2モータジェネレータMG2のトルク制御により行った例を示しており、第2モータジェネレータMG2の出力トルクを通常始動モードよりも低い値として、その上昇を緩やかとしている。なお、この時の2モータジェネレータMG2の出力トルクは、予め設定された一定値としてもよい。あるいは、通常始動モードよりも低い出力トルクの範囲内で、ドライバの加速要求(アクセル開度)や車速の上昇傾きに応じ、これらの値が小さいほど低出力トルクとなるように可変制御してもよい。
その後、車両状態(ドライバ要求加速度、車速)が、エンジン始動要求判定線に達した時点(図では、車速がエンジン始動要求判定線に対応したエンジン始動車速に達したt33の時点)で、燃料噴射および点火によるエンジン始動を行う。
以上のように、この図9の動作例にあっても、図8の動作例と同様に、エンジン始動前に、緩やかにエンジン回転数を上昇させるため、ポンピングロスやフリクションなどの負荷を抑えたエンジン回転数上昇を行うことができる。
そして、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてエンジン始動を行う時点で、既に、エンジン回転数がアイドル回転数付近の自立運転可能な回転数まで上昇しているため、始動要求に対して遅れなくエンジン駆動力を発生することができる。
加えて、車両状態がエンジン始動要求判定線を越えてから、エンジン回転数を0から上昇させる場合と比較して、エンジン回転上昇時に無駄に燃料噴射を行うことが無いため、燃費が向上する。しかも、エンジン気筒内の負圧を高めてから燃焼を開始することで、燃焼を効率化して排気性能を高め、効率の良い燃焼を行うことができる。
次に、実施例1の効果を説明する。
実施例1のエンジン始動制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
車両の動力源としてのエンジンICEと、
車両状態に基づいてエンジンICEの始動要求の有無を判定し、始動要求が有るとエンジンICEを始動する始動コントローラとしてのステップS3、S6の処理を行うエンジンコントロールユニット24と、
を備えたエンジン始動制御装置において、
エンジンコントロールユニット24は、エンジンICEの停止時に、車両状態としてのドライバ要求駆動トルクおよび車速に基づいて始動要求の予測(ステップSS1の処理)を行い、始動要求有りとの判定前に始動要求が予測される場合、エンジンICEの始動前に始動用モータ(第2モータジェネレータMG2)によりエンジンICEの回転数上昇を開始する(ステップS5の処理)予測始動モードを備えることを特徴とする。
実施例1のエンジン始動制御装置は、予測始動モードでは、エンジンICEの始動前からエンジン回転数の上昇を開始する。このため、始動要求有りとの判定からエンジン回転数の上昇を開始するものと比較して、始動タイミングを遅らせることなくエンジン回転数の上昇を緩やかに行うことが可能となる。
これにより、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇時のポンピングロスやフリクションなどによる負荷を軽減可能となるとともに、始動応答性および燃費の向上が可能となる。
(2) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジンICEの回転数上昇を、始動前の回転数上昇を行うことなくエンジンICEの始動を行う通常始動モードでのエンジンICEの回転数上昇よりも緩やかな上昇とすることを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)の効果に加え、エンジンICEにおける気体の吸排を通常始動モードよりもスムーズに行うことができ、ポンピングロスやフリクションなどによる負荷を確実に軽減することができる。
(3) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジンICEの燃料噴射および点火による始動は、始動要求有りとの判定により行うことを特徴とする。
このため、実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)、(2)の効果に加え、エンジンICEの燃焼開始を、気筒内の負圧を高めてから行うため、燃焼の効率化を図り、排気性能を高めることができる。また、始動要求に対して遅れることなくエンジン始動できる。
(4) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇開始からエンジン始動までの回転数上昇を、始動用モータとしての第2モータジェネレータMG2により行うことを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇開始からエンジン始動までのエンジン回転数上昇に燃料噴射を伴わないことから、エンジン始動時の燃料の節約効果を確実に得ることができる。
加えて、上記(1)〜(3)のようにポンピングロスが低く、燃焼効率の良い始動を行うことができるため、始動用モータが低出力であっても、自立運転可能な回転数まで効率良く上昇可能となる。また、エンジン始動までの回転数上昇を始動用モータにより行い、この間、燃料噴射を行わないため、エンジン始動時の燃料消費を軽減できる。
(5) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
車両の動力源として走行用モータとしての第1モータジェネレータMG1を備えるとともに、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行するEVモードと、第1モータジェネレータMG1およびエンジンICEの駆動力により走行するHEVモードとを切り替える走行モードコントローラとしてのハイブリッドコントロールモジュール21を備え、
エンジンコントロールユニット24によるエンジン始動は、EVモードからHEVモードへの走行モード遷移時に実行することを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、ハイブリッド車両におけるEVモードからHEVモードに移行する際のエンジン始動において、上記(1)〜(4)の効果を得ることができる。
加えて、前記ハイブリッド車両では、EVモードでのモータ発進を行うようにした。このため、走行中におけるEVモードからHEVモードへの移行に伴うエンジンICEの始動頻度が高く、この際に(1)〜(4)に記載の効率的で応答性の高いエンジン始動性がいっそう有効となる。
(6) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンICEの動力により発電を行う発電用モータジェネレータとしての第2モータジェネレータMG2を備え、
エンジンコントロールユニット24は、予測始動モードでのエンジン回転数上昇を行う始動用モータとして第2モータジェネレータMG2を用いることを特徴とする。
実施例1のエンジン始動制御装置は、上記(1)のようにポンピングロスを軽減可能であり、かつ、上記(2)のように緩やかにエンジン回転数を上昇させるために、相対的に低出力の第2モータジェネレータMG2を用いて、エンジン回転数の上昇が可能である。そして、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇に、走行用の第1モータジェネレータMG1を用いないことから、EVモードの走行性に影響を与えることなく、エンジン始動が可能である。
(7) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、ドライバの加速要求度としてのアクセル開度に基づき、加速要求度(応答性要求)が設定加速要求度(応答性要求判定値)よりも低い低加速要求時に、予測始動モードにより始動を行い、設定加速要求度(応答性要求判定値)よりも高い高加速要求時に、通常始動モードにより始動を行うことを特徴とする。
このため、実施例1のエンジン始動制御装置は、(1)〜(6)の効果に加え、ドライバの加速要求度が高い場合には、即座にエンジン始動を行って、ドライバの加速要求に応じて加速を行うことができる。したがって、EVモードからHEVモードへの移行をスムーズかつ高応答で行うことができる。
(8) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、加速要求度を車速変化とアクセル開度変化との少なくとも一方に基づいて求めることを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、(5)の効果に加え、加速要求度を、既存の汎用性の高い車速センサ、アクセル開度センサを用いて検出することができる。また、車速あるいは要求駆動力に応じた精度の高い加速要求検出を可能とする。
さらに、本実施例1では、加速要求度としての応答性要求を、車速変化とアクセル開度変化とに基づいて判定するようにした。すなわち、加速時のアクセル開度上昇傾きが、予め設定した応答性要求判定アクセル開度傾きよりも急であれば応答性要求有り(加速要求度高い)と判定し、応答性要求判定アクセル開度傾きよりも緩やかであれば応答性要求無し(加速要求度低い)と判定するようにした。
したがって、加速要求度(応答性要求)をいっそう高精度で判定することができる。
また、加速時の車速上昇傾きが、予め設定した応答性要求判定車速傾きよりも急であれば応答性要求有り(加速要求度高い)と判定し、応答性要求判定車速傾きよりも緩やかであれば応答性要求無し(加速要求度低い)と判定するようにした。
したがって、加速要求度(応答性要求)を高精度で判定することができる。
加えて、加速要求度としての応答性要求判定を、車速変化に基づく判定とアクセル開度に基づく判定とを併用することにより、いっそう高精度の判定が可能となる。
(9) 実施例1のエンジン始動制御装置は、
エンジンコントロールユニット24は、始動予測を車速とアクセル開度との少なくとも一方に基づいて行うことを特徴とする。
したがって、実施例1のエンジン始動制御装置は、(1)〜(6)の効果に加え、始動予測を、既存の汎用性の高い車速センサ、アクセル開度センサを用いて検出することができる。また、車速あるいは要求駆動力に応じた精度の高い始動予測を可能とする。
さらに、本実施例1では、始動予測を、車速とアクセル開度とに応じたマップ(図6)に基づいて判定するようにした。したがって、始動予測を、車速とアクセル開度とのいずれか一方のみに基づいて判定するよりも、高精度の予測が可能となる。
(10) 実施例1のエンジン始動制御方法は、
車両状態に基づいてエンジンICEの始動要求の有無を判定するステップと、
始動要求が有った場合に、エンジンICEの燃料噴射および点火を行ってエンジンICEを始動するステップと、の処理を行うステップS3、S6を備えたエンジン始動方法であって、
エンジンICEの始動要求の有無を判定するステップの前に、始動要求が成されるか否かの予測を行うステップS1を備えるとともに、
始動要求が予測される場合、エンジンICEを始動するステップS6の前に、始動用モータ(第2モータジェネレータMG2)によりエンジンICEの回転数上昇を開始するステップS5を備えることを特徴とする。
このように、実施例1のエンジン始動方法は、予測始動モードでは、エンジンICEの始動前からエンジン回転数の上昇を開始する。このため、始動要求有りとの判定からエンジン回転数の上昇を開始するものと比較して、始動タイミングを遅らせることなくエンジン回転数の上昇を緩やかに行うことが可能となる。
これにより、実施例1のエンジン始動制御装置は、エンジン回転数上昇時のポンピングロスを軽減可能となるとともに、始動応答性向上が可能となる。
以上、本発明のエンジン始動装置およびエンジン始動方法を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
例えば、実施例1では、本発明をハイブリッド車両に適用した例を示したが、駆動源としてエンジンのみを備えたエンジン車にも適用できる。すなわち、特許文献1に記載されたような、アイドリングストップ制御を実施する車両におけるエンジンの再始動において、ブレーキペダルの足離しなどにより、エンジン始動が予測される際の再始動に適用することもできる。この場合、予測始動モードでのエンジン回転数上昇を行う始動用モータとしては、通常始動モードでのエンジン始動に用いるいわゆるスタータモータを用いることができる。また、このようなエンジン車にあっても、回生用のモータジェネレータを有している場合、このモータジェネレータを始動用モータとして用いることも可能である。
また、実施例1では、予測始動モードにおいて、エンジン回転数の上昇開始からエンジン始動開始までのエンジン回転数の上昇を始動用モータとしての第2モータジェネレータのみにより行う例を示したがこれに限定されない。例えば、始動用モータによる回転数上昇を開始後、ある程度上昇した後は、始動要求有りとなる前の時点で、エンジンの燃料噴射および点火により回転数を上昇させるようにしてもよい。これによっても、回転数上昇初期のポンピングロスを抑えるとともに、燃料噴射量を抑えることができる。さらに、予測始動モードにおけるエンジン回転数上昇を行う始動用モータとして、第2モータジェネレータ以外のスタータモータを使用することも可能である。
また、変速機としても、実施例1で示した、多段歯車変速機に限定されず、周知のいわゆるATやCVTや手動変速機などを用いてもよい。
1 多段歯車変速機
21 ハイブリッドコントロールモジュール(走行モードコントローラ)
24 エンジンコントロールユニット(始動コントローラ)
ICE エンジン
MG1 第1モータジェネレータ(走行用モータ)
MG2 第2モータジェネレータ(発電用モータ)

Claims (8)

  1. 車両の動力源としてのエンジンおよび走行用モータと、
    車両状態に基づいて前記エンジンの始動要求の有無を判定し、前記始動要求が有ると前記エンジンを始動する始動コントローラと、
    前記走行用モータの駆動力により走行するEVモードと、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードとを切り替える走行モードコントローラと、
    を備えたエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記エンジンの停止時に、前記車両状態に基づいて始動要求の予測を行い、前記始動要求有りとの判定前に前記始動要求が予測される場合、前記エンジンの始動前に始動用モータにより前記エンジンの回転数上昇を開始した後に前記エンジンの始動を行う予測始動モードと、前記予測始動モードでの回転数上昇を行うことなく前記エンジンの始動を行う通常始動モードと、備え、前記EVモードから前記HEVモードへの走行モード遷移時に、前記車両状態に含まれるドライバの加速要求度に基づき、前記加速要求度が設定加速要求度よりも低い低加速要求時に、前記予測始動モードにより始動を行い、前記設定加速要求度よりも高い高加速要求時に、前記通常始動モードにより始動を行う
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  2. 請求項1に記載されたエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇を、前記通常始動モードでの前記エンジンの回転数上昇よりも緩やかな上昇とする
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記エンジンの燃料噴射および点火による始動は、前記始動要求有りとの判定により行う
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇開始から前記エンジン始動までの前記回転数上昇を、前記始動用モータにより行う
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
    前記エンジンの動力により発電を行う発電用モータジェネレータを備え、
    前記始動コントローラは、前記予測始動モードでの前記回転数上昇を行う前記始動用モータとして前記発電用モータジェネレータを用いる
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記加速要求度を車速変化とアクセル開度変化との少なくとも一方に基づいて求める
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  7. 請求項から請求項のいずれか1項に記載のエンジン始動制御装置において、
    前記始動コントローラは、前記始動予測を車速とアクセル開度との少なくとも一方に基づいて行う
    ことを特徴とするエンジン始動制御装置。
  8. エンジンを停止して走行用モータの駆動力により走行するEVモードから、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードへの走行モード遷移時に実行するエンジン始動方法であって、
    車両状態に基づいてエンジンの始動要求の有無を判定するステップと、
    前記始動要求が有った場合に、前記エンジンの燃料噴射および点火を行ってエンジンを始動するステップと、
    を備え、
    前記エンジンの始動要求の有無を判定するステップの前に、始動要求が成されるか否かの予測を行うステップを備えるとともに、
    前記始動要求が予測される場合、前記エンジンを始動するステップの前に、始動用モータにより前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを備え、
    前記走行用モータの駆動力により走行するEVモードから、前記走行用モータおよび前記エンジンの駆動力により走行するHEVモードへの遷移時に、前記車両状態に含まれるドライバの加速要求度に基づき、前記加速要求度が設定加速要求度よりも低い低加速要求時に、前記始動要求の予測による前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを実行した後に前記エンジンを始動するステップを実行し、前記設定加速要求度よりも高い高加速要求時に、前記始動要求の予測による前記エンジンの回転数上昇を開始するステップを実行せずに前記エンジンを始動するステップを実行する
    ことを特徴とするエンジン始動方法。
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