JP6657614B2 - 電動車両の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動系にモータジェネレータと変速機を備えた電動車両の制動力制御装置に関する発明である。
従来、モータジェネレータによる回生減速によって生じる制動力が所定制動力よりも大きいときには、変速機の変速を禁止して回生し、回生減速によって生じる制動力が所定制動力以下のときには、変速を許可して回生を中止する電動車両の制動力制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4039427号公報
しかしながら、従来装置にあっては、変速機の変速段に拘らず「所定制動力」を基準とし、回生を行う場合には変速を禁止し、変速を行う場合には回生を禁止していた。そのため、「所定制動力」の大きさによっては、再加速時に変速が遅れて加速のもたつきを感じてしまったり、逆に回生できる電力が制限されてしまったりするという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、再加速時の駆動力発生の遅れを防止しつつ、回生電力の低減防止を達成する電動車両の制動力制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の制動力制御装置は、動力源となるモータジェネレータから駆動輪までの動力伝達経路に、複数の変速段を実現する変速機が搭載されると共に、モータジェネレータの最大回生制動力の範囲内で、ドライバーの要求制動力に応じてモータジェネレータの回生制動力を制御することで回生減速を行う制動力コントローラを備えた電動車両において、前記変速機は、回生減速に伴ってダウンシフトを行うと共に、ダウンシフト時に動力伝達経路を切り、前記制動力コントローラは、回生減速中に変速機の変速段が最ロー変速段のとき、モータジェネレータの回生制動力の最大値を、最大回生制動力に対して制限せず、回生減速中に変速機の変速段が非最ロー変速段のとき、モータジェネレータの回生制動力の最大値を、最大回生制動力に対して制限すると共に、この回生制動力の最大値の制限量を、ダウンシフト時に生じる制動力変化量に基づいて設定する。
よって、本発明では、回生減速に伴うダウンシフトを禁止しないので、車速が低くなったときには状況に合わせて変速機を最ロー変速段とすることができ、再加速時の変速遅れが生じ得ず、加速のもたつきを感じることを防止できる。
また、回生制動力の最大値を制限せず、モータジェネレータの回生電力をできる限り多くできるのは、変速機でのダウンシフトが生じ得ない領域(最ロー変速段)となる。そのため、ダウンシフト時には回生制動力の制動力が制限されることになり、ダウンシフトに伴って動力伝達経路が切れても、回生制動力抜けが大きくなることはない。その一方で、最ロー変速段のときには、モータジェネレータの回生電力をできる限り多くすることができるため、回生電力の低減防止を図ることができる。
この結果、再加速時の駆動力発生の遅れを防止しつつ、回生電力の低減防止を達成することができる。
実施例1の制動力制御装置が適用された車両の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施例1の多段歯車変速機の変速制御系の構成を示す制御系構成図である。 実施例1の多段歯車変速機において変速パターンを切り替える考え方を示す変速マップ概要図である。 実施例1の多段歯車変速機において3つの係合クラッチの切り替え位置による変速段を示す締結作動表である。 実施例1にて実行される制動力制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1にて使用するシフトマップの一例である。 ドライバーからの制動要求時に減速する際の車速・MG1回転数・車両制動力・要求制動力・MG1トルク・車両ブレーキ力・第3係合クラッチ状態の各特性を示すタイムチャートである。 第1モータジェネレータMG1の回生制動力の最大値と、変速段・制限制動力・MAX制動力・要求制動力との関係を示す説明図である。 第1モータジェネレータMG1の回生制動力の最大値に対して、要求制動力が下回る場合の関係を示す説明図である。 第1モータジェネレータMG1の回生制動力の最大値に対して、要求制動力が上回る場合の関係を示す説明図である。
以下、本発明の電動車両の制動力制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
実施例1の制動力制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(電動車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1における電動車両の制動力制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速制御系構成」、「変速段構成」、「制動力制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の制動力制御装置が適用された車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、内燃機関ICEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、3つの係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1と、を備えている。なお、「ICE」は「Internal-Combustion Engine」の略称である。
前記内燃機関ICEは、ハイブリッド車両の動力源であり、例えば、クランク軸方向を車幅方向として車両のフロントルームに配置したガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどである。この内燃機関ICEは、多段歯車変速機1の変速機ケース10に連結されると共に、内燃機関出力軸が、多段歯車変速機1の第1軸11に接続される。なお、内燃機関ICEは、基本的に、第2モータジェネレータMG2をスタータモータとしてMG2始動する。但し、極低温時などのように強電バッテリ3を用いたMG2始動が確保できない場合に備えてスタータモータ2を残している。
前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、ハイブリッド車両の動力源であり、いずれも強電バッテリ3を共通の電源とする三相交流の永久磁石型同期モータである。第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。第2モータジェネレータMG2のステータは、第2モータジェネレータMG2のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第2モータジェネレータMG2のロータに一体の第2モータ軸が、多段歯車変速機1の第6軸16に接続される。第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第1インバータ4が、第1ACハーネス5を介して接続される。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第2インバータ6が、第2ACハーネス7を介して接続される。強電バッテリ3と第1インバータ4及び第2インバータ6は、ジャンクションボックス9を介してDCハーネス8により接続される。
なお、第1モータジェネレータMG1は、制動力要求時、回生を行うことでロータを負荷とし、車両に制動力を作用させる回生減速を行う。ここで、「制動力要求時」とは、例えばアクセル足離し操作や、ブレーキペダルの踏込操作である。
前記多段歯車変速機1は、変速比が異なる複数の歯車対と、変速段を切り替える変速要素と、を有し、複数の変速段を実現する常時噛み合い式変速機である。この多段歯車変速機1は、内燃機関ICE、第1モータジェネレータMG1、第2モータジェネレータMG2から駆動輪19への動力伝達経路に配置されている。
この多段歯車変速機1は、変速機ケース10内に互いに平行に配置され、歯車が設けられる6つの歯車軸11〜16と、歯車対を選択する変速要素である3つの係合クラッチC1,C2,C3と、を備える。歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられる。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられる。ここで、第1,第2,第3係合クラッチC1,C2,C3は、いずれも摩擦締結要素を持っておらず、変速時に噛み合い状態を解放して動力伝達経路を切るドグクラッチである。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設される。
前記第1軸11は、内燃機関ICEが連結される軸であり、第1軸11には、図1の右側から順に、第1歯車101、第2歯車102、第3歯車103が配置される。第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられる。
前記第2軸12は、第1モータジェネレータMG1が連結され、第1軸11の外側位置に軸心を一致させて同軸配置された円筒軸であり、第2軸12には、図1の右側から順に、第4歯車104、第5歯車105が配置される。第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第3軸13は、多段歯車変速機1の出力側に配置されると共に変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第3軸13には、図1の右側から順に、第6歯車106、第7歯車107、第8歯車108、第9歯車109、第10歯車110が配置される。第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられる。
そして、第6歯車106は第1軸11の第2歯車102に噛み合い、第7歯車107はデファレンシャル歯車17の第16歯車116と噛み合い、第8歯車108は第1軸11の第3歯車103に噛み合う。第9歯車109は第2軸12の第4歯車104に噛み合い、第10歯車110は第2軸12の第5歯車105に噛み合う。
前記第4軸14は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14には、図1の右側から順に、第11歯車111、第12歯車112、第13歯車113が配置される。第11歯車111は、第4軸14に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第12歯車112と第13歯車113は、軸方向に突出するボス部が第4軸14の外周に挿入される遊転歯車であり、第1係合クラッチC1を介し第4軸14に対して駆動連結可能に設けられる。
そして、第11歯車111は第1軸11の第1歯車101に噛み合い、第12歯車112は第1軸11の第2歯車102と噛み合い、第13歯車113は第2軸12の第4歯車104と噛み合う。
前記第5軸15は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14の第11歯車111と噛み合う第14歯車114が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
そして、第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEは、互いに噛み合う第15歯車115、第14歯車114、第11歯車111、第1歯車101により構成されるギヤ列により機械的に連結されている。このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2による内燃機関ICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、内燃機関ICEの駆動で第2モータジェネレータMG2を発電するMG2発電時、ICE回転数を増速する増速ギヤ列となる。
前記第1係合クラッチC1は、第4軸14のうち、第12歯車112と第13歯車113の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第1係合クラッチC1は、左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。また、この第1係合クラッチC1は、中立位置(N)のとき、第4軸14に対して第12歯車112及び第13歯車113をいずれも解放する。さらに、この第1係合クラッチC1は、右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
前記第2係合クラッチC2は、第1軸11のうち、第2歯車102と第3歯車103の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第2係合クラッチC2は、左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。また、この第2係合クラッチC2は、中立位置(N)のとき、第1軸11に対して第2歯車102及び第3歯車103をいずれも解放する。さらに、この第2係合クラッチC2は、右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
前記第3係合クラッチC3は、第3軸13のうち、第9歯車109と第10歯車110の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第3係合クラッチC3は、左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。また、この第3係合クラッチC3は、中立位置(N)のとき、第3軸13に対して第9歯車109及び第10歯車110をいずれも解放する。さらに、この第3係合クラッチC3は、右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。
そして、多段歯車変速機1の第3軸13に一体(一体化固定を含む)に設けられた第7歯車107に噛み合う第16歯車116は、デファレンシャル歯車17及び左右のドライブ軸18を介して左右の駆動輪19に接続されている。
実施例1の車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
前記ハイブリッドコントロールモジュール21(略称:「HCM」)は、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する機能を担う統合制御手段である。このハイブリッドコントロールモジュール21は、他のコントロールユニット(モータコントロールユニット22、変速機コントロールユニット23、エンジンコントロールユニット24など)とCAN通信線25により双方向情報交換可能に接続されている。なお、CAN通信線25の「CAN」とは、「Controller Area Network」の略称である。
前記モータコントロールユニット22(略称:「MCU」)は、第1インバータ4と第2インバータ6に対する制御指令により第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御などを行う。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に対する制御モードとしては、「トルク制御」と「回転数FB制御」がある。
「トルク制御」では、力行時、目標駆動力に対して分担する目標モータトルクが決まると、実モータトルクを目標モータトルクに追従させる制御を行う。「回転数FB制御」では、走行中に係合クラッチC1,C2,C3の何れかを噛み合い締結する変速要求があると、クラッチ入出力回転数を回転同期させる目標モータ回転数を決め、実モータ回転数を目標モータ回転数に収束させるようにFBトルクを出力する制御を行う。
さらに、この実施例1では、このモータコントロールユニット22によって、制動力要求時に第1モータジェネレータMG1による回生減速を行い、車両制動力を制御する。すなわち、モータコントロールユニット22は、制動力要求時、第1モータジェネレータMG1によって出力可能な最大の回生制動力(最大回生制動力)までの範囲で、ドライバーの要求制動力に応じて目標回生トルク(目標回生制動力)を設定する。そして、実モータトルク(負値)を、設定した目標回生トルクに追従させることで、回生制動力の制御を行う。なお、この回生制動力が車両に作用することで行う減速動作を「回生減速」という。
そして、このモータコントロールユニット22は、回生減速中に、多段歯車変速機1の変速段が最ロー変速段であれば、第1モータジェネレータMG1の回生制動力を制限しない。つまり、最ロー変速段のときの回生制動力の最大値を、最大回生制動力に設定する。また、モータコントロールユニット22は、回生減速中に、多段歯車変速機1の変速段が非最ロー変速段であれば、第1モータジェネレータMG1による回生制動力を制限し、回生制動力の最大値を、ダウンシフト時にドライバーが許容できる大きさの車両の制動力変化量と同等の大きさに設定する。さらに、このモータコントロールユニット22は、第1モータジェネレータMG1による回生制動力が、ドライバーの要求制動力に対して不足するときには、回生減速以外の制動手段による制動力である機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって不足制動力を補償する。すなわち、このモータコントロールユニット22は、制動力コントローラに相当する。
前記変速機コントロールユニット23(略称:「TMCU」)は、所定の入力情報に基づいて各電動アクチュエータ31,32,33(図2参照)へ電流指令を出力することにより、多段歯車変速機1の変速パターンを切り替える変速制御を行う。この変速制御では、係合クラッチC1,C2,C3を選択的に噛み合い締結/解放させ、複数対の歯車対から動力伝達に関与する歯車対を選択する。ここで、解放されている各係合クラッチC1,C2,C3の何れかを締結する変速要求時には、クラッチ入出力の差回転数を抑えて噛み合い締結を確保するために、第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2の回転数FB制御(回転同期制御)を併用する。
前記エンジンコントロールユニット24(略称:「ECU」)は、所定の入力情報に基づいてモータコントロールユニット22や点火プラグや燃料噴射アクチュエータなどへ制御指令を出力することにより、内燃機関ICEの始動制御や内燃機関ICEの停止制御や燃料カット制御などを行う。
[変速制御系構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを噛み合い締結させる変速要求があると、クラッチ入出力の差回転数を、第1モータジェネレータMG1(係合クラッチC3の締結時)又は第2モータジェネレータMG2(係合クラッチC1,C2の締結時)により回転同期させ、同期判定回転数範囲内になると噛み合いストロークを開始することで実現している。また、締結されている係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを解放させる変速要求があると、解放クラッチのクラッチ伝達トルクを低下させ、解放トルク判定値以下になると解放ストロークを開始することで実現している。以下、図2に基づき、多段歯車変速機1の変速制御系構成を説明する。
変速制御系は、図2に示すように、係合クラッチとして、第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3を備えている。アクチュエータとして、C1,C2シフト動作用の第1電動アクチュエータ31と、C1,C2セレクト動作用の第2電動アクチュエータ32と、C3シフト動作用の第3電動アクチュエータ33を備えている。そして、アクチュエータ動作をクラッチ係合/解放動作に変換するシフト機構として、C1/C2セレクト動作機構40と、C1シフト動作機構41と、C2シフト動作機構42と、C3シフト動作機構43を備えている。さらに、第1電動アクチュエータ31と第2電動アクチュエータ32と第3電動アクチュエータ33の制御手段として、変速機コントロールユニット23を備えている。
前記第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3は、ニュートラル位置(N:解放位置)と、左側締結位置(Left:左側クラッチ噛み合い締結位置)と、右側締結位置(Right:右側クラッチ噛み合い締結位置)と、を切り替えるドグクラッチである。各係合クラッチC1,C2,C3は何れも同じ構成であり、カップリングスリーブ51,52,53と、左側ドグクラッチリング54,55,56と、右側ドグクラッチリング57,58,59と、を備える。
カップリングスリーブ51,52,53は、第4軸14,第1軸11,第3軸13に固定された図外のハブを介してスプライン結合により軸方向にストローク可能に設けられたもので、両側に平らな頂面によるドグ歯51a,51b,52a,52b,53a,53bを有する。さらに、カップリングスリーブ51,52,53の周方向中央部にフォーク溝51c,52c,53cを有する。
左側ドグクラッチリング54,55,56は、各係合クラッチC1,C2,C3の左側遊転歯車である各歯車113,103,110のボス部に固定され、ドグ歯51a,52a,53aに対向する平らな頂面によるドグ歯54a,55a,56aを有する。
右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
前記C1/C2セレクト動作機構40は、第1電動アクチュエータ31とC1シフト動作機構41の連結を選択する第1位置と、第1電動アクチュエータ31とC2シフト動作機構42の連結を選択する第2位置と、を選択する機構である。
第1位置の選択時には、シフトロッド62と第1係合クラッチC1のシフトロッド64を連結すると共に、第2係合クラッチC2のシフトロッド65をニュートラル位置にロックする。第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。つまり、第1位置と第2位置のうち、一方の係合クラッチをシフト動作する位置を選択すると、他方の係合クラッチはニュートラル位置でロック固定する機構としている。
前記C1シフト動作機構41とC2シフト動作機構42とC3シフト動作機構43は、第1,第3電動アクチュエータ31,33の回動動作を、カップリングスリーブ51,52,53の軸方向ストローク動作に変換する機構である。各シフト動作機構41,42,43は何れも同じ構成であり、回動リンク61,63と、シフトロッド62,64,65,66と、シフトフォーク67,68,69と、を備える。
回動リンク61,63は、一端が第1,第3電動アクチュエータ31,33のアクチュエータ軸に設けられ、他端がシフトロッド64(又はシフトロッド65),66に相対変位可能に連結される。シフトロッド64,65,66は、ロッド分割位置にスプリング64a,65a,66aが介装され、ロッド伝達力の大きさと方向に応じて伸縮可能とされている。シフトフォーク67,68,69は、一端がシフトロッド64,65,66に固定され、他端がカップリングスリーブ51,52,53のフォーク溝51c,52c,53cに配置される。
前記変速機コントロールユニット23は、車速センサ71、アクセル開度センサ72、変速機出力軸回転数センサ73、エンジン回転数センサ74、MG1回転数センサ75、MG2回転数センサ76、インヒビタースイッチ77、バッテリSOCセンサ78、フットブレーキセンサ79等からのセンサ信号やスイッチ信号を入力する。なお、変速機出力軸回転数センサ73は、第3軸13の軸端部に設けられ、第3軸13の軸回転数を検出する。
さらに、この変速機コントロールユニット23は、カップリングスリーブ51,52,53の位置によって決まる係合クラッチC1,C2,C3の噛み合い締結と解放を制御する位置サーボ制御部(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。この位置サーボ制御部は、第1スリーブ位置センサ81、第2スリーブ位置センサ82、第3スリーブ位置センサ83からのセンサ信号を入力する。そして、各スリーブ位置センサ81,82,83のセンサ値を読み込み、カップリングスリーブ51,52,53の位置が噛み合いストロークによる締結位置又は解放位置になるように、電動アクチュエータ31,32,33に電流を与える。即ち、カップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯との双方が噛合した噛み合い位置にある締結状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位することでカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
[変速段構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、内燃機関ICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
変速段の考え方は、図3に示すように、車速VSPが所定車速VSP0以下の発進領域においては、多段歯車変速機1が発進要素(回転差吸収要素、滑り要素)を持たないため、「EVモード」でモータ駆動力のみによるモータ発進とする。そして、走行領域においては、図3に示すように、駆動力の要求が大きいとき、エンジン駆動力をモータ駆動力によりアシストする「パラレルHEVモード」により対応するという変速段の考え方を採る。つまり、車速VSPの上昇に従って、ICE変速段は、(ICE1st→)ICE2nd→ICE3rd→ICE4thへと変速段が移行し、EV変速段は、EV1st→EV2ndへと変速段が移行する。よって、図3に示す変速段の考え方に基づき、変速段を切り替える変速要求を出すための変速マップを作成する。
一方、係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4中の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」及び「ICEgen」は、内燃機関ICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV- ICEgen」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「Neutral」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV- ICE3rd」である。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、又は、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。「EV- ICE3rd」の変速段は、第1モータジェネレータMG1を停止して内燃機関ICEで3速ICE走行を行う「ICE走行モード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1st ICE1st」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV1st ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV1st ICE3rd」である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行(回生)する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行(回生)を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1.5 ICE2nd」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE2nd」である。
ここで、「EV- ICE2rd」の変速段は、第1モータジェネレータMG1を停止して内燃機関ICEで2速ICE走行を行う「ICE走行モード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2nd ICE3rd’」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV2nd ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV2nd ICE3rd」である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行(回生)する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行(回生)を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE4th」である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2.5 ICE4th」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE4th」である。
ここで、「EV- ICE4th」の変速段は、第1モータジェネレータMG1を停止して内燃機関ICEで4速ICE走行を行う「ICE走行モード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE4th」である。
次に、係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる上記全変速段から「通常時使用変速段」を分ける手法について説明する。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
そして、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段の中から「通常使わない変速段(図4の右下がりハッチング)」と「低SOCなどで使う変速段(図4の破線枠)」を除いた変速段を、「通常時使用変速段(図4の太線枠)」とする。ここで、「通常使わない変速段」とは、「EV2nd ICE3rd’」と「EV1st ICE4th」であり、「低SOCなどで使う変速段」とは、「EV- ICEgen」と「EV1st ICE1st」である。
よって、「通常時使用変速段」は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)と、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)と、組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)に、「Neutral」を加えることによって構成される。
[制動力制御処理構成]
図5は、実施例1にて実行される制動力制御処理の流れを示す。以下、制動力制御処理構成の一例をあらわす図5の各ステップについて説明する。
ステップS1では、ドライバーからの制動力要求が生じているか否かを判断する。YES(制動力要求あり)の場合はステップS2へ進み、NO(制動力要求なし)の場合はステップS1の判断を繰り返す。
ここで、「制動力要求あり」との判断は、アクセル足離し操作又はブレーキペダルの踏込操作が生じた場合に行う。
ステップS2では、ステップS1での制動力要求ありとの判断に続き、要求制動力の大きさを設定し、ステップS3へ進む。
ここで、アクセル足離し操作に基づく制動力要求時の要求制動力の大きさは、ドライバーがアクセル足離し操作を行った時に違和感を感じない大きさの制動力(いわゆるエンジンブレーキ程度の制動力)であり、予め設定した大きさとする。一方、ブレーキペダルの踏込操作に基づく制動力要求時の要求制動力の大きさは、ブレーキ踏力或いは、ブレーキストロークに応じて設定する。このブレーキ踏力及びブレーキストロークは、フットブレーキセンサ79によって検出する。
ステップS3では、ステップS2での要求制動力の設定に続き、多段歯車変速機1の変速段が最ロー変速段であるか否かを判断する。YES(最ロー変速段)の場合はステップS4へ進み、NO(非最ロー変速段)の場合はステップS5へ進む。
ここで、実施例1のハイブリッド車両では、制動力要求時には内燃機関ICEを停止すると共に、第1モータジェネレータMG1によって回生を行う。このため、「最ロー変速段」とは「EV1st ICE-」の状態を指す。また、「非最ロー変速段」とは、「EV2nd ICE-」の状態を指す。
ステップS4では、ステップS3での最ロー変速段との判断に続き、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値を「最大回生制動力(MAX制動力)」に設定し、ステップS6へ進む。
ここで、「第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力」とは、第1モータジェネレータMG1の回生時に設定した回生トルクによって生じる制動力である。そして、「最大回生制動力(MAX制動力)」とは、第1モータジェネレータMG1において設定可能な最大回生トルクによって生じる制動力である。つまり、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値を「最大回生制動力(MAX制動力)」に設定するとは、第1モータジェネレータMG1による回生制動力を制限しないことであり、第1モータジェネレータMG1の回生電力ができる限り多くなるように回生トルクを設定することができる。
ステップS5では、ステップS3での非最ロー変速段との判断に続き、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値を「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定し、ステップS6へ進む。
ここで、「第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力」とは、第1モータジェネレータMG1の回生時に設定した回生トルクによって生じる制動力である。そして、「制限時回生制動力(制限制動力)」とは、ダウンシフトを行った際、ドライバーが許容可能な車両の制動力変化量と同等の大きさの制動力である。すなわち、「EV- ICE2nd」から「EV- ICE1st」へのダウンシフト時、第3係合クラッチC3は「Left」→「N」→「Right」へと変化する。このため、第1モータジェネレータMG1から駆動輪19への動力伝達経路が切れ、ダウンシフト中に回生制動力抜けが生じて車両の制動力の変化(低下)が発生する。これに対し、ダウンシフト時にドライバーが違和感を感じることを防止するため、抜けてしまう回生制動力をドライバーが許容できる大きさに制限しておく必要がある。
つまり、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値を「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定するとは、第1モータジェネレータMG1による回生制動力が、最大でも、ダウンシフト時にドライバーが許容可能な車両の制動力変化量と同等の大きさに制限されることである。ダウンシフト前の回生制動力を、最大でも「ダウンシフト時にドライバーが許容可能な車両の制動力変化量」と同等にすることで、ダウンシフト中に回生制動力抜けが生じても、ダウンシフト時の違和感発生を防止することができる。
ステップS6では、ステップS4又はステップS5での第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値の設定に続き、このステップS4又はステップS5にて設定した回生制動力の最大値が、ステップS2にて設定した要求制動力以上であるか否かを判断する。YES(回生制動力の最大値≧要求制動力)の場合にはステップS7へ進み、NO(回生制動力の最大値<要求制動力)の場合にはステップS8へ進む。
ステップS7では、ステップS6での回生制動力の最大値≧要求制動力との判断に続き、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力のみで要求制動力を負荷することができるとして、この第1モータジェネレータMG1による回生制動力によって車両制動力を制御しながら回生減速を行い、ステップS9へ進む。
ここで、第1モータジェネレータMG1による回生制動力による車両制動力の制御は、車両の減速度変化が、要求制動力による減速度変化と一致するように目標回生トルクを設定することで行う。
ステップS8では、ステップS6での回生制動力の最大値<要求制動力との判断に続き、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力のみでは要求制動力を負荷することができないとして、要求制動力に対して第1モータジェネレータMG1による回生制動力では不足する制動力(不足制動力)を機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって補償することで車両制動力を制御しながら回生減速を行い、ステップS9へ進む。つまり、いわゆる回生協調制御(回生制動+液圧制動)による車両制動力の制御を行う。
このとき、第1モータジェネレータMG1による回生制動力を、許容されている範囲で最大となるように制御し、不足する制動力を液圧制動力によって補償することで、できるだけ回生電力を回収する。
ステップS9では、ステップS7又はステップS8での回生減速に続き、回生減速に伴ってダウンシフト要求が発生したか否かを判断する。YES(ダウンシフト要求あり)の場合にはステップS10へ進み、NO(ダウンシフト要求なし)の場合にはステップS11へ進む。
ここで、ダウンシフト要求は、シフトマップ(図6参照)上の回生領域(Driving Forceがマイナスの領域:斜線で示す)に存在する運転点(マイナスのDriving Force=要求制動力と、車速VSPにより決まる点)が、回生領域のEV2から回生領域のEV1へと移動したときに出力される。
ステップS10では、ステップS9でのダウンシフト要求ありとの判断に続き、多段歯車変速機1においてダウンシフトを実行し、ステップS11へ進む。
ここで、多段歯車変速機1の回生減速中のダウンシフトは、まず第1モータジェネレータMG1の目標回生トルクをゼロに設定し、第3係合クラッチC3における伝達トルクを低減する。そして、第3電動アクチュエータ33によってシフトロッド66を駆動し、カップリングスリーブ53を解放ストロークさせて、ドグ歯53bと右側ドグクラッチリング59のドグ歯59bとの噛み合いを解除させる。続いて、第1モータジェネレータMG1によって第10歯車110を回転させ、この第10歯車110に固定された左側ドグクラッチリング56をカップリングスリーブ53に回転同期させる。そして、左側ドグクラッチリング56とカップリングスリーブ53とが回転同期したら、第1モータジェネレータMG1の目標駆動トルクをゼロに設定し、第3係合クラッチC3における伝達トルクを低減する。そして、第3電動アクチュエータ33によってシフトロッド66を駆動し、カップリングスリーブ53を締結ストロークさせて、ドグ歯53aと左側ドグクラッチリング56のドグ歯56aとを噛み合わせる。第3係合クラッチC3の噛み合いが完了したら、第1モータジェネレータMG1の目標回生トルクを要求制動力に合わせて設定する。
ステップS11では、停車した又は再加速要求ありのいずれかであるか否か、を判断する。YES(停車又は再加速)の場合にはエンドへ進む。NO(非停車及び非再加速)の場合にはステップS2へ戻る。
ここで、「停車」の判断は、車速センサ71によって検出された車速が、停車と判断できる所定値以下になったことで行う。また、「再加速」の判断は、アクセル開度センサ72によって検出されたアクセル開度がゼロ以上になったことで行う。
次に、作用を説明する。
実施例1の車両の制動力制御装置における作用を、「最ロー変速段時回生減速作用」、「運転フィーリング悪化防止作用」、「協調制動作用」に分けて説明する。
[制動要求時車両制動作用]
図7は、ドライバーからの制動要求時に減速する際の車速・MG1回転数・車両制動力・要求制動力・MG1トルク・車両ブレーキ力・第3係合クラッチ状態の各特性を示すタイムチャートである。以下、図5に示すフローチャート及び図7に示すタイムチャートに基づき、制動要求時に減速する際の車両制動作用を説明する。
なお、「MG1回転数」とは、第1モータジェネレータMG1の出力回転数である。「車両制動力」とは、車両に作用する制動力である。この「車両制動力」が変化することで、車両に作用する減速度が変化する。「MG1トルク」とは、第1モータジェネレータMG1の出力トルクであり、プラス側が駆動トルクを示し、マイナス側が回生トルクを示す。「車両ブレーキ力」とは、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)である。
実施例1のハイブリッド車両において、多段歯車変速機1が「EV2nd ICE-」を選択しての走行中を考える。このとき、多段歯車変速機1では、第1,第2係合クラッチC1,C2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」になっている。また、第1モータジェネレータMG1は力行状態であり、目標駆動力に応じた駆動トルクを出力している。
図7に示す時刻t時点にてブレーキペダルの踏込操作が行われると、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進み、図示しないブレーキ踏力等に基づいてドライバーの要求制動力が設定される。
要求制動力が設定されたらステップS3へと進み、多段歯車変速機1が最ロー変速段(EV1st ICE-)であるか否かが判断される。時刻t時点では、多段歯車変速機1の変速段が「EV2nd ICE-」であるため、ステップS5へと進み、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値が「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定される。
すなわち、図8に示すように、第1モータジェネレータMG1の最大回生制動力(MAX制動力)は、車速に応じて決まっている。一方、「制限時回生制動力(制限制動力)」は、ダウンシフト時にドライバーが許容可能な車両の制動力変化量と同等の大きさの制動力として設定され、車速に拘らず一定値になっている。そして、多段歯車変速機1が「EV2nd ICE-」(図8では「EV2」)のときには、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値は、「制限制動力」に設定される。
このように、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値が「制限制動力」に設定されたら、この第1モータジェネレータMG1の回生トルクは、回生制動力が最大でも「制限制動力」となるように制限される。つまり、回生制動力はこの「制限制動力」までの範囲で制御される。
そして、ステップS6へと進んで、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値が要求制動力以上であるか否かを判断する。ここで、時刻t時点では、図8に示すように、回生制動力の最大値<要求制動力となるため、ステップS8に進み、要求制動力に対して第1モータジェネレータMG1による回生制動力では不足する制動力(不足制動力)を、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって補償しながら回生減速を行う。
つまり、第1モータジェネレータMG1の回生トルクを制御して、回生制動力を最大で「制限制動力」に設定する一方、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)を、要求制動力から「制限制動力」を差し引いた「不足制動力」に設定する。これにより、車両制動力を要求制動力に追従させることができる。
その後、ステップS9へと進み、ダウンシフト要求や停車或いは再加速が生じなければ、ステップS2へと戻る。そして、第1モータジェネレータMG1による回生制動力を制限した状態で、回生協調制御による車両制動力の制御を行いつつ、減速していく。
時刻t時点において、シフトマップ(図6参照)上の運転点が、回生領域のEV2から回生領域のEV1へと移動し、ダウンシフト要求が出力されたら、ステップS9→ステップS10へと進み、多段歯車変速機1においてダウンシフトを実行する。
すなわち、まず第1モータジェネレータMG1の回生トルクを低減する。時刻t時点で第1モータジェネレータMG1の回生トルクがゼロになったら、カップリングスリーブ53の解放ストロークを開始する。時刻t時点で、カップリングスリーブ53と右側ドグクラッチリング59との噛み合いが解除され、第3係合クラッチC3が「N」状態になったら、第1モータジェネレータMG1の回転数を上昇して左側ドグクラッチリング56をカップリングスリーブ53に回転同期させる。なお、このとき、第3係合クラッチC3を介して第1モータジェネレータMG1から駆動輪19へと繋がる動力伝達経路が遮断される。また、このときには、第1モータジェネレータMG1からは回転数制御を行うための駆動トルクが出力される。
そして、左側ドグクラッチリング56とカップリングスリーブ53とが回転同期することが分かったら、第1モータジェネレータMG1の駆動トルクを低減していく。時刻t時点で第1モータジェネレータMG1の駆動トルクがゼロになったら、カップリングスリーブ53を締結ストロークさせて、カップリングスリーブ53と左側ドグクラッチリング56とを噛み合わせていく。
時刻t時点で第3係合クラッチC3の噛み合いが完了し、第3係合クラッチC3が「Left」状態になったら、多段歯車変速機1が「EV1st ICE-」を選択した状態になる。
これにより、ステップS3→ステップS4へと進み、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値が「最大回生制動力(MAX制動力)」に設定される。
すなわち、図8に示すように、多段歯車変速機1が「EV1st ICE-」(図8では「EV1」)のときには、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値と、第1モータジェネレータMG1おいて設定可能な最大回生トルクによって生じる制動力(MAX制動力)とが同一となるように設定され、第1モータジェネレータMG1による回生制動力は、「最大回生制動力(MAX制動力)」に対して制限されることはない。
そして、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値が「MAX制動力」に設定されたら、ステップS6へと進んで、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値が要求制動力以上であるか否かを判断する。ここで、時刻t時点では、図8に示すように、回生制動力の最大値≧要求制動力であるため、ステップS7へと進み、第1モータジェネレータMG1による回生制動力のみで要求制動力を負荷し、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)をゼロに設定した上で回生減速を行う。
つまり、時刻t以降、第1モータジェネレータMG1による回生制動力が「要求制動力」になるように回生トルクを制御し、これにより、車両制動力を要求制動力に追従させていく。
その後、ステップS9へと進み、ダウンシフト要求が生じたか否かを判断する。ここで、すでに多段歯車変速機1は最ロー変速段(EV1st ICE-)であるので、ダウンシフト要求は発生し得ない。そして、ステップS11へと進んで、停車又は再加速要求が生じたか否かを判断する。
再加速要求が生じた場合にはエンドへ進み、この制動力制御処理は終了する。このとき、多段歯車変速機1の変速段は、最ロー変速段(EV1st ICE-)であるため、要求駆動力が大きくてもダウンシフトを不要とすることができ、要求駆動力を速やかに出力することができる。つまり、この実施例1では、減速に伴うダウンシフトの実行を禁止していないため、再加速時の駆動力発生の遅れを防止することができる。
また、この実施例1では、多段歯車変速機1は最ロー変速段(EV1st ICE-)のときには、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値が「最大回生制動力(MAX制動力)」に設定され、第1モータジェネレータMG1による回生制動力が、この「最大回生制動力(MAX制動力)」に対して制限されない。そのため、多段歯車変速機1が最ロー変速段(EV1st ICE-)のときは、第1モータジェネレータMG1によって回生できる最大の回生電力を回収することができ、この結果、回生電力の低減を防止することができる。
[運転フィーリング悪化防止作用]
実施例1の多段歯車変速機1は、回生減速に伴ってダウンシフトを実行する際、図7に示すように、変速中に第3係合クラッチC3を「N」状態にする必要がある。このため、ダウンシフト中に第1モータジェネレータMG1から駆動輪19への動力伝達経路が切れる。
そして、動力伝達経路が切れると、第1モータジェネレータMG1によって生じる回生制動力を駆動輪19に作用させることができなくなる。そのため、回生制動力分の制動力抜けが生じ、車両制動力が低下する。
これに対し、実施例1の制動力制御装置では、多段歯車変速機1の変速段が非最ロー変速段(EV2nd ICE-)のときには、第1モータジェネレータMG1によって生じさせることができる回生制動力の最大値が「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定される。
そのため、ダウンシフトの実行により第1モータジェネレータMG1の回生トルクをゼロにした後、第3係合クラッチC3を「N」にして第1モータジェネレータMG1から駆動輪19への動力伝達経路が切れたことで、制動力抜けが発生して車両制動力が低下しても、この低下する制動力をドライバーが許容できる大きさにすることができる。
すなわち、ダウンシフト時に抜けてしまう制動力は、回生制動力分である。機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)については変動しない。そのため、この回生制動力をダウンシフト前から「最大回生制動力(MAX制動力)」に対して制限し、「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定しておくことで、ダウンシフト時にこの回生制動力が抜けても、車両の減速度変化に対してドライバーが違和感を感じることを防止できる。
さらに、第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値を「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定した場合であっても、回生すること自体を制限するものではない。つまり、多段歯車変速機1の変速段が非最ロー変速段(EV2nd ICE-)のときには、ダウンシフト時にドライバーが許容可能な車両の制動力変化量と同等の大きさ分の回生電力を回収することができる。そのため、回生電力の低減をさらに防止することができる。
そして、図9に示すように、多段歯車変速機1の変速段が非最ロー変速段(EV2nd ICE-)のときに、要求制動力が「制限時回生制動力(制限制動力)」以下であれば、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS3→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む。
そのため、回生制動力のみよって要求制動力を負荷ながら回生減速するため、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)を用いることなく要求制動力を負荷することができ、違和感のない運転フィーリングを得ることができる。
特に、ダウンシフトに伴って回生制動力が抜ける分、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)を増加することが、ドライバーの違和感なく行うことが難しい車両であっても、非最ロー変速段のときの第1モータジェネレータMG1による回生制動力を制限することで、運転フィーリングの違和感発生を防止することができる。
[協調制動作用]
実施例1では、回生減速時、要求制動力に対して第1モータジェネレータMG1による回生制動力の最大値が不足する場合(回生制動力の最大値<要求制動力)には、不足する制動力(不足制動力)を、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって補償する。
すなわち、上述のように、多段歯車変速機1の変速段が非最ロー変速段(EV2nd ICE-)であって、回生制動力の最大値が「制限時回生制動力(制限制動力)」に設定されたときに、回生制動力の最大値<要求制動力であれば、図5に示すフローチャートにおいて、ステップS3→ステップS5→ステップS6→ステップS8へと進む。
そして、図8に示す「不足制動力」を、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって補償し、この液圧制動力と回生制動力によって要求制動力を負荷するように制御しつつ、回生減速を行う。これにより、要求制動力を満足させることができる。
また、図10に示すように、多段歯車変速機1の変速段が最ロー変速段(EV1st ICE-)であって、回生制動力の最大値が「最大回生制動力(MAX制動力)」に設定されたときであっても、回生制動力の最大値<要求制動力となったときには、ステップS3→ステップS4→ステップS6→ステップS8へと進む。
そして、図10に示す「不足制動力」を、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)によって補償し、この液圧制動力と回生制動力によって要求制動力を負荷するように制御しつつ、回生減速を行う。これにより、要求制動力を満足させることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の電動車両の制動力制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 動力源となるモータジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)から駆動輪19までの動力伝達経路に、複数の変速段を実現する変速機(多段歯車変速機1)が搭載されると共に、前記モータジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)の最大回生制動力(MAX制動力)までの範囲内で、要求制動力に応じて前記モータジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)の回生制動力を制御して回生減速を行う制動力コントローラ(モータコントロールユニット22)を備えた電動車両において、
前記変速機(多段歯車変速機1)は、前記回生減速に伴ってダウンシフトを行うと共に前記ダウンシフト時に前記動力伝達経路を切り、
前記制動力コントローラ(モータコントロールユニット22)は、前記回生減速中に前記変速機(多段歯車変速機1)の変速段が最ロー変速段(EV1st ICE-)のとき、前記モータジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)による回生制動力の最大値を、前記最大回生制動力(MAX制動力)に対して制限しない構成とした。
このため、再加速時の駆動力発生の遅れを防止しつつ、回生電力の低減防止を達成することができる。
(2) 前記制動力コントローラ(モータコントロールユニット22)は、前記回生減速中に前記変速機(多段歯車変速機1)の変速段が非最ロー変速段(EV2nd ICE-)のとき、前記回生制動力の最大値を、前記最大回生制動力(MAX制動力)に対して制限し、ダウンシフト時にドライバーが許容可能な車両の制動力変化量と同等の大きさに設定する構成とした。
このため、(1)の効果に加え、ダウンシフト時に回生制動力が抜けても、違和感のない運転フィーリングを得ることができる。
(3) 前記制動力コントローラ(モータコントロールユニット22)は、前記モータジェネレータ(第1モータジェネレータMG1)の回生制動力の最大値が、前記要求制動力に対して不足するとき、前記回生減速以外の制動手段(液圧制動力)による制動力によって不足制動力を補償する構成とした。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、回生電力を回収しつつ、要求制動力を満足させることができる。
以上、本発明の電動車両の制動力制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、本発明の制動力制御装置を、駆動系構成要素として、1つの内燃機関(エンジン)と、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両に適用する例を示した。しかし、本発明の制動力制御装置は、例えば、エンジンとモータを一つずつ搭載したハイブリット車両に適用することができるのはもちろん、モータジェネレータのみを動力源とする電気自動車や、燃料電池車であっても適用することができる。
また、実施例1では、変速機である多段歯車変速機1が、ドグクラッチからなる第3係合クラッチC3を有することで、ダウンシフト時に動力伝達経路を切る構成とする例を示したが、これに限らない。ダウンシフト時に動力伝達経路が切れる構造であれば、他のクラッチ機構を用いてもよい。
さらに、この実施例1では、回生減速以外の制動手段による制動力として、機械制動による摩擦トルク(液圧制動力)を用いる例を示したが、これに限らない。例えば、第1係合クラッチC1や第2係合クラッチC2を噛み合い締結し、内燃機関ICEを駆動輪19への動力伝達経路に接続し、この内燃機関ICEのフリクションによる制動力を回生減速以外の制動手段による制動力としてもよい。
ICE 内燃機関
MG1 第1モータジェネレータ(モータジェネレータ)
MG2 第2モータジェネレータ
C1 第1係合クラッチ
C2 第2係合クラッチ
C3 第3係合クラッチ(変速要素)
1 多段歯車変速機(変速機)
19 駆動輪
22 モータコントロールユニット(制動力コントローラ)

Claims (2)

  1. 動力源となるモータジェネレータから駆動輪までの動力伝達経路に、複数の変速段を実現する変速機が搭載されると共に、前記モータジェネレータの最大回生制動力の範囲内で、要求制動力に応じて前記モータジェネレータの回生制動力を制御することで回生減速を行う制動力コントローラを備えた電動車両において、
    前記変速機は、前記回生減速に伴ってダウンシフトを行うと共に、前記ダウンシフト時に前記動力伝達経路を切り、
    前記制動力コントローラは、前記回生減速中に前記変速機の変速段が最ロー変速段のとき、前記モータジェネレータの回生制動力の最大値を、前記最大回生制動力に対して制限せず、
    前記回生減速中に前記変速機の変速段が非最ロー変速段のとき、前記モータジェネレータの回生制動力の最大値を、前記最大回生制動力に対して制限すると共に、この回生制動力の最大値の制限量を、ダウンシフト時に生じる制動力変化量に基づいて設定する
    ことを特徴とする電動車両の制動力制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両の制動力制御装置において、
    前記制動力コントローラは、前記モータジェネレータの回生制動力の最大値が、前記要求制動力に対して不足するとき、前記回生減速以外の制動手段による制動力によって不足制動力を補償する
    ことを特徴とする電動車両の制動力制御装置。
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