JP6421699B2 - ハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置 Download PDF

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本発明は、電動機による回生減速中にEVダウン変速をする際、クラッチ解放中に抜ける回生制動トルクを補填するハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置に関する。
従来、回生制動トルクが駆動軸に付与されている時は変速制御手段による変速手段の変速比の変更を禁止し、回生制動トルクの駆動軸への付与が終了するか又は終了する間際の過程にあるときに変速比の変更を許可するハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−79379号公報
しかしながら、従来装置にあっては、回生制動トルクが駆動軸に付与されている時は変速比の変更を禁止する構成になっていた。このため、回生制動中に運転者によってアクセルが踏み込まれ、ダウン変速が必要となった時、ダウン変速の遅れによる再加速のもたつきを生じる。一方、回生制動トルクが駆動軸に付与されている時に変速を許可すると、制動トルク切れとなるダウン変速が介入することでトルク抜けが生じる、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填確保とドライバに与える違和感低減との両立を図るハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両は、動力源として第1電動機と第2電動機と内燃機関を備え、動力源から駆動輪までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機が搭載される。
変速機は、電動機変速段である複数のEV変速段と内燃機関変速段である複数のICE変速段を有する変速機構と、変速要素として、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチと、を備える。
このハイブリッド車両において、第1電動機による回生減速中にEV変速段のダウン変速を実施するとき、第2電動機と前記内燃機関の少なくとも一方の制動トルクによりクラッチ解放中に抜ける回生制動トルクを補填する回生/変速協調コントローラを設ける。
回生/変速協調コントローラは、回生減速中にEVダウン変速要求があると、複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段を選択し、EVダウン変速を実施する。
よって、回生減速中にEVダウン変速要求があると、複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段が選択され、EVダウン変速が実施される。
即ち、第2電動機と内燃機関の少なくとも一方の制動トルクによって回生制動トルクを補填するとき、ダウン変速中において内燃機関回転数を上昇することによりなされる。一方、回生減速シーンは、ドライバが騒音や振動に対して敏感なアクセル足離し操作状態である。
これに対し、回生制動トルクを補填するICE変速段が選択されることで、制動トルク切れを抑える回生制動トルクの補填が確保される。そして、内燃機関回転数を所定回転数以下に抑えることで、内燃機関回転数の上昇による音振影響がドライバの許容範囲内になり、ドライバに与える違和感が低減される。
この結果、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填確保とドライバに与える違和感低減との両立を図ることができる。
実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機の変速制御系の構成を示す制御系構成図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において変速パターンを切り替える考え方を示す変速マップ概要図である。 実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において3つの係合クラッチの切り替え位置による変速パターンを示す変速段図である。 実施例1のハイブリッドコントロールモジュールで実行される回生/変速協調制御処理の流れを示すフローチャートである。 走行中に選択される変速段の切り替え領域を示すシフトスケジュールマップ図である。 各ICE変速段に対する車速VSPとエンジン回転数を示すマップ図である。 ドライブ側駆動力が不足する車速を説明する図であり、「EV1st」と「EV2nd」の変速段を選択する選択領域が割り当てられたマップの一例である。 実施例1のハイブリッドコントロールモジュールで実行される回生/変速協調制御を実行するときであって、EVダウン変速を実施するときの変速段と係合クラッチC1,C2,C3の各特性を示すタイムチャートである。 実施例1のハイブリッドコントロールモジュールで実行される回生/変速協調制御を実行するときであって、EVダウン変速を実施するときの前後加速度・各回転数・各トルクの各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の回生/変速協調制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1におけるハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速制御系構成」、「変速段構成」、「回生/変速協調制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の回生/変速協調制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、内燃機関ICEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、3つの係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1と、を備えている。なお、「ICE」は「Internal-Combustion Engine」の略称である。
前記内燃機関ICEは、例えば、クランク軸方向を車幅方向として車両のフロントルームに配置したガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。この内燃機関ICEは、多段歯車変速機1の変速機ケース10に連結されると共に、内燃機関出力軸が、多段歯車変速機1の第1軸11に接続される。なお、内燃機関ICEは、基本的に、第2モータジェネレータMG2をスタータモータとしてMG2始動する。但し、極低温時などのように強電バッテリ3を用いたMG2始動が確保できない場合に備えてスタータモータ2を残している。
前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、いずれも強電バッテリ3を共通の電源とする三相交流の永久磁石型同期モータである。第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。第2モータジェネレータMG2のステータは、第2モータジェネレータMG2のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第2モータジェネレータMG2のロータに一体の第2モータ軸が、多段歯車変速機1の第6軸16に接続される。第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第1インバータ4が、第1ACハーネス5を介して接続される。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第2インバータ6が、第2ACハーネス7を介して接続される。強電バッテリ3と第1インバータ4及び第2インバータ6は、ジャンクションボックス9を介してDCハーネス8により接続される。
前記多段歯車変速機1は、変速比が異なる複数の歯車対を有する常時噛み合い式変速機であり、変速機ケース10内に互いに平行に配置され、歯車が設けられる6つの歯車軸11〜16と、歯車対を選択する3つの係合クラッチC1,C2,C3と、を備える。歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられる。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられる。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設される。
前記第1軸11は、内燃機関ICEが連結される軸であり、第1軸11には、図1の右側から順に、第1歯車101、第2歯車102、第3歯車103が配置される。第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられる。
前記第2軸12は、第1モータジェネレータMG1が連結され、第1軸11の外側位置に軸心を一致させて同軸配置された円筒軸であり、第2軸12には、図1の右側から順に、第4歯車104、第5歯車105が配置される。第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第3軸13は、多段歯車変速機1の出力側に配置された軸であり、第3軸13には、図1の右側から順に、第6歯車106、第7歯車107、第8歯車108、第9歯車109、第10歯車110が配置される。第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられる。そして、第6歯車106は第1軸11の第2歯車102に噛み合い、第7歯車107はデファレンシャル歯車17の第16歯車116と噛み合い、第8歯車108は第1軸11の第3歯車103に噛み合う。第9歯車109は第2軸12の第4歯車104に噛み合い、第10歯車110は第2軸12の第5歯車105に噛み合う。
前記第4軸14は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14には、図1の右側から順に、第11歯車111、第12歯車112、第13歯車113が配置される。第11歯車111は、第4軸14に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第12歯車112と第13歯車113は、軸方向に突出するボス部が第4軸14の外周に挿入される遊転歯車であり、第1係合クラッチC1を介し第4軸14に対して駆動連結可能に設けられる。そして、第11歯車111は第1軸11の第1歯車101に噛み合い、第12歯車112は第1軸11の第2歯車102と噛み合い、第13歯車113は第2軸12の第4歯車104と噛み合う。
前記第5軸15は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14の第11歯車111と噛み合う第14歯車114が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEは、互いに噛み合う第15歯車115、第14歯車114、第11歯車111、第1歯車101により構成されるギヤ列により機械的に連結されている。このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2による内燃機関ICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、内燃機関ICEの駆動で第2モータジェネレータMG2を発電するMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギヤ列となる。
前記第1係合クラッチC1は、第4軸14のうち、第12歯車112と第13歯車113の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
前記第2係合クラッチC2は、第1軸11のうち、第2歯車102と第3歯車103の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
前記第3係合クラッチC3は、第3軸13のうち、第9歯車109と第10歯車110の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。そして、多段歯車変速機1の第3軸13に一体(一体化固定を含む)に設けられた第7歯車107に噛み合う第16歯車116は、デファレンシャル歯車17及び左右のドライブ軸18を介して左右の駆動輪19に接続されている。
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
前記ハイブリッドコントロールモジュール21(略称:「HCM」)は、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する機能を担う統合制御手段である。このハイブリッドコントロールモジュール21は、他のコントロールユニット(モータコントロールユニット22、変速機コントロールユニット23、エンジンコントロールユニット24など)とCAN通信線25により双方向情報交換可能に接続されている。なお、CAN通信線25の「CAN」とは、「Controller Area Network」の略称である。
前記モータコントロールユニット22(略称:「MCU」)は、第1インバータ4と第2インバータ6に対する制御指令により第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御などを行う。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に対する制御モードとしては、「トルク制御」と「回転数FB制御」がある。「トルク制御」は、目標トルクに対して分担する目標モータトルクが決まると、実モータトルクを目標モータトルクに追従させる制御を行う。「回転数FB制御」は、走行中に係合クラッチC1,C2,C3の何れかを噛み合い締結する変速要求があると、クラッチ入出力回転数を回転同期させる目標モータ回転数を決め、実モータ回転数を目標モータ回転数に収束させるようにFBトルクを出力する制御を行う。
前記変速機コントロールユニット23(略称:「TMCU」)は、所定の入力情報に基づいて電動アクチュエータ31,32,33(図2参照)へ電流指令を出力することにより、多段歯車変速機1の変速段を切り替える変速制御を行う。この変速制御では、係合クラッチC1,C2,C3を選択的に噛み合い締結/解放させ、複数対の歯車対から動力伝達に関与する歯車対を選択する。ここで、解放されている係合クラッチC1,C2,C3の何れかを締結する変速要求時には、クラッチ入出力の差回転数を抑えて噛み合い締結を確保するために、第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2の回転数FB制御(回転同期制御)を併用する。
前記エンジンコントロールユニット24(略称:「ECU」)は、所定の入力情報に基づいてモータコントロールユニット22や点火プラグや燃料噴射アクチュエータなどへ制御指令を出力することにより、内燃機関ICEの始動制御や内燃機関ICEの停止制御や燃料カット制御などを行う。
[変速制御系構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを噛み合い締結させる変速要求があると、クラッチ入出力の差回転数を、第1モータジェネレータMG1(係合クラッチC3の締結時)又は第2モータジェネレータMG2(係合クラッチC1,C2の締結時)により回転同期させ、同期判定回転数範囲内になると噛み合いストロークを開始することで実現している。又、締結されている係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを解放させる変速要求があると、解放クラッチのクラッチ伝達トルクを低下させ、解放トルク判定値以下になると解放ストロークを開始することで実現している。以下、図2に基づき、多段歯車変速機1の変速制御系構成を説明する。
変速制御系は、図2に示すように、係合クラッチとして、第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3を備えている。アクチュエータとして、C2,C3シフト動作用の第1電動アクチュエータ31と、C2,C3セレクト動作用の第2電動アクチュエータ32と、C3シフト動作用の第3電動アクチュエータ33を備えている。そして、アクチュエータ動作をクラッチ係合/解放動作に変換するシフト機構として、C1/C2セレクト動作機構40と、C1シフト動作機構41と、C2シフト動作機構42と、C3シフト動作機構43を備えている。さらに、第1電動アクチュエータ31と第2電動アクチュエータ32と第3電動アクチュエータ33の制御手段として、変速機コントロールユニット23を備えている。
前記第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3は、ニュートラル位置(N:解放位置)と、左側締結位置(Left:左側クラッチ噛み合い締結位置)と、右側締結位置(Right:右側クラッチ噛み合い締結位置)と、を切り替えるドグクラッチである。各係合クラッチC1,C2,C3は何れも同じ構成であり、カップリングスリーブ51,52,53と、左側ドグクラッチリング54,55,56と、右側ドグクラッチリング57,58,59と、を備える。カップリングスリーブ51,52,53は、第4軸14,第1軸11,第3軸13に固定された図外のハブを介してスプライン結合により軸方向にストローク可能に設けられたもので、両側に平らな頂面によるドグ歯51a,51b,52a,52b,53a,53bを有する。さらに、カップリングスリーブ51,52,53の周方向中央部にフォーク溝51c,52c,53cを有する。左側ドグクラッチリング54,55,56は、各係合クラッチC1,C2,C3の左側遊転歯車である各歯車113,103,110のボス部に固定され、ドグ歯51a,52a,53aに対向する平らな頂面によるドグ歯54a,55a,56aを有する。右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
前記C1/C2セレクト動作機構40は、第1電動アクチュエータ31とC1シフト動作機構41の連結を選択する第1位置と、第1電動アクチュエータ31とC2シフト動作機構42の連結を選択する第2位置と、を選択する機構である。第1位置の選択時には、シフトロッド62と第1係合クラッチC1のシフトロッド64を連結すると共に、第2係合クラッチC2のシフトロッド65をニュートラル位置にロックする。第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。つまり、第1位置と第2位置のうち、一方の係合クラッチをシフト動作する位置を選択すると、他方の係合クラッチはニュートラル位置でロック固定する機構としている。
前記C1シフト動作機構41とC2シフト動作機構42とC3シフト動作機構43は、電動アクチュエータ31,33の回動動作を、カップリングスリーブ51,52,53の軸方向ストローク動作に変換する機構である。各シフト動作機構41,42,43は何れも同じ構成であり、回動リンク61,63と、シフトロッド62,64,65,66と、シフトフォーク67,68,69と、を備える。回動リンク61,63は、一端が電動アクチュエータ31,33のアクチュエータ軸に設けられ、他端がシフトロッド64(又はシフトロッド65),66に相対変位可能に連結される。シフトロッド64,65,66は、ロッド分割位置にスプリング64a,65a,66aが介装され、ロッド伝達力の大きさと方向に応じて伸縮可能とされている。シフトフォーク67,68,69は、一端がシフトロッド64,65,66に固定され、他端がカップリングスリーブ51,52,53のフォーク溝51c,52c,53cに配置される。
前記変速機コントロールユニット23は、車速センサ71、アクセル開度センサ72、変速機出力軸回転数センサ73、エンジン回転数センサ74、MG1回転数センサ75、MG2回転数センサ76、インヒビタースイッチ77、ブレーキスイッチ78などからのセンサ信号やスイッチ信号を入力する。なお、変速機出力軸回転数センサ73は、第3軸13の軸端部に設けられ、第3軸13の軸回転数を検出する。そして、カップリングスリーブ51,52,53の位置によって決まる係合クラッチC1,C2,C3の噛み合い締結と解放を制御する位置サーボ制御部(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。この位置サーボ制御部は、第1スリーブ位置センサ81、第2スリーブ位置センサ82、第3スリーブ位置センサ83からのセンサ信号を入力する。そして、各スリーブ位置センサ81,82,83のセンサ値を読み込み、カップリングスリーブ51,52,53の位置が噛み合いストロークによる締結位置又は解放位置になるように、電動アクチュエータ31,32,33に電流を与える。即ち、カップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯との双方が噛合した噛み合い位置にある締結状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位することでカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
[変速段構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、内燃機関ICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
変速段の考え方は、図3に示すように、車速VSPが所定車速VSP0以下の発進領域においては、多段歯車変速機1が発進要素(滑り要素)を持たないため、「EVモード」でモータ駆動力のみによるモータ発進(EV発進)とする。そして、走行領域においては、図3に示すように、駆動力の要求が大きいとき、エンジン駆動力をモータ駆動力によりアシストする「パラレルHEVモード」により対応するという変速段の考え方を採る。つまり、車速VSPの上昇に従って、ICE変速段は、(ICE1st→)ICE2nd→ICE3rd→ICE4thへと変速段が移行し、EV変速段は、EV1st→EV2ndへと変速段が移行する。よって、図3に示す変速段の考え方に基づき、変速段を切り替える変速要求を出すための変速マップを作成する。
係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4中の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」は、内燃機関ICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV- ICEgen」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「Neutral」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV- ICE3rd」である。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、又は、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1st ICE1st」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV1st ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV1st ICE3rd」である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1.5 ICE2nd」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2nd ICE3rd’」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV2nd ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV2nd ICE3rd」である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2.5 ICE4th」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE4th」である。
次に、係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる上記全変速段から「通常時使用変速段」を分ける手法について説明する。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
そして、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段の中から「通常使わない変速段(図4の右下がりハッチング)」と「低SOC等で使う変速段(図4の破線枠)」を除いた変速段を、「通常時使用変速段(図4の太線枠)」とする。ここで、「通常使わない変速段」とは、「EV2nd ICE3rd’」と「EV1st ICE4th」であり、「低SOC等で使う変速段」とは、「EV- ICEgen」と「EV1st ICE1st」である。
よって、「通常時使用変速段」は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)と、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)と、組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)に、「Neutral」を加えることによって構成される。
[回生/変速協調制御処理構成]
図5は、実施例1のハイブリッドコントロールモジュール21(回生/変速協調コントローラ)で実行される回生/変速協調制御処理の流れを示す。以下、回生/変速協調制御処理構成の一例をあらわす図5の各ステップについて説明する。なお、第1係合クラッチC1及び第2係合クラッチC2が共に「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のときの「EV2nd ICE-」の変速段を、以下「EV2nd」という。また、第1係合クラッチC1及び第2係合クラッチC2が共に「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のときの「EV1st ICE-」の変速段を、以下「EV1st」という。さらに、第1係合クラッチC1が「Right」で、第2係合クラッチC2及び第3係合クラッチC3が共に「N」のときの「EV- ICE3rd」の変速段を、以下「ICE3rd」という。また、第1係合クラッチC1及び第3係合クラッチC3が共に「N」で、第2係合クラッチC2が「Right」のときの「EV- ICE4th」の変速段を、以下「ICE4th」という。
この図5のフローチャートの処理は、第1モータジェネレータMG1で回生減速中であると共に、図6に示すシフトスケジュールマップにおいて、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速(EV変速段のダウン変速、矢印A)要求があるときに、開始される。また、第1モータジェネレータMG1で回生減速中であるか否かは、アクセル足離しまたはブレーキペダルの踏込により判断される。すなわち、アクセル足離しか否かは、アクセル開度センサ72からの情報により判断される。また、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かについては、ブレーキスイッチ78等からの情報により判断される。ブレーキスイッチ78の場合には、ONかOFFかにより判断する。
ここで、高SOC時変速制御で用いられる「シフトスケジュールマップ」は、図6に示すように、車速VSPと要求制駆動力(Driving force)を座標軸とし、座標面に通常時使用変速段グループを構成する複数の変速段を選択する選択領域が割り当てられたマップである。つまり、アクセル踏み込みによるドライブ駆動領域として、発進からの低車速域に「EV1st」の選択領域が割り当てられる。そして、中〜高車速域に「EV2nd」、「EV1st ICE2nd」、「EV1st ICE3rd」、「EV2nd ICE2nd」、「EV2nd ICE3rd」、「EV2nd ICE4th」の選択領域が割り当てられる。アクセル足離し等の回生制動領域として、低車速域に「EV1st」の選択領域が割り当てられ、中〜高車速域に「EV2nd」の選択領域が割り当てられる。
ステップS1では、第1モータジェネレータMG1で回生減速中であると共にEVダウン変速要求があるとの判断(START)、或いは、ステップS6での「現在の車速>ドライブ側駆動力が不足する車速」であるとの判断に続き、回生制動トルク補填に必要な制動トルクを算出する。
ここで、「回生制動トルク補填に必要な制動トルク」とは、EVダウン変速開始前のモータ回生制動トルクにEVギヤ比を乗じて得られる出力軸の制動トルクのことである。また、第1モータジェネレータMG1の回生制動トルクを100%とした場合、「回生制動トルク補填に必要な制動トルク」については、例えば第1モータジェネレータMG1の回生制動トルクに対して60%〜80%の変動が許容される範囲とする。
ステップS2では、ステップS1での回生制動トルク補填に必要な制動トルクの算出に続き、各ICE変速段(ICE変速段:1-4速)における補填可能な制動トルクを算出する。
ここで、「各ICE変速段における補填可能な制動トルク」とは、ICE変速段におけるエンジン回転数(内燃機関回転数/ICE回転数)を算出し、そのエンジン回転数におけるフリクショントルク(制動トルク)と第2モータジェネレータMG2のモータ回転数における制動トルクを加算した合計トルクに各ICE変速段のギヤ比を乗じて得られる出力軸の制動トルクのことである。
また、「各ICE変速段におけるエンジン回転数」は、例えば、図7に示すICE変速段に対するエンジン回転数マップを用いて算出する。このマップは、図7に示すように、車速VSPとエンジン回転数(Rotation Speed)を座標軸とし、各ICE変速段に対する車速VSPとエンジン回転数を示しているマップである。
ステップS3では、ステップS2での各ICE変速段における補填可能な制動トルクの算出に続き、各ICE変速段における補填時のエンジン回転数を算出する。エンジン回転数の算出は、図7を用いて算出する。
ステップS4では、ステップS3での各ICE変速段における補填時のエンジン回転数の算出に続き、ステップS3の算出結果より、補填時のエンジン回転数が所定回転数以下(補填時のエンジン回転数≦所定回転数)となるICE変速段が有るか否かを判断する。加えて、「補填時のエンジン回転数≦所定回転数」となるICE変速段の中に、ステップS1及びステップS2の算出結果より、回生制動トルク補填に必要な制動トルクを補填可能なICE変速段が有るか否かを判断する。なお、これら2つの判断を補填条件と呼ぶ。YES(補填条件を満たすICE変速段有り)の場合はステップS5へ進み、NO(補填条件を満たすICE変速段無し)の場合はステップS6へ進む。
ここで、「所定回転数」は、ドライバが音振を許容できる範囲内で設定される。このように設定する理由は、回生減速中において、ドライバが音振(騒音や振動)に対して敏感なアクセル足離し操作状態だからである。なお、その所定回転数は、例えば、一定値で2000rpmと設定される。
ステップS5では、ステップS4での「補填条件を満たすICE変速段有り」との判断に続き、その「ICE変速段有り」に該当したICE変速段のうち最ハイ変速比の変速段を選択して、ステップS8へ進む。
ここで、「最ハイ変速比の変速段を選択する」とは、ステップS4において「ICE変速段有り」に該当したICE変速段が、複数(例えば、「ICE3rd」と「ICE4th」)ある場合、ステップS5では「ICE4th」が選択される、ということである。また、ICE変速段が単数(例えば、「ICE3rd」)の場合、ステップS5では「ICE3rd」が選択される、ということである。
ステップS6では、ステップS4での「補填条件を満たすICE変速段無し」との判断に続き、現在の車速が「ドライブ側駆動力が不足する車速」より大きいか否かを判断する。YES(現在の車速>ドライブ側駆動力が不足する車速)の場合はステップS1へ戻り、NO(現在の車速≦ドライブ側駆動力が不足する車速)の場合はステップS7へ進む。
ここで、「ドライブ側駆動力が不足する車速」は、言い換えると、EV状態で回生減速中に、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速のことである。すなわち、図8において、「現在の車速>ドライブ側駆動力が不足する車速」(車速域B1)の場合は、EV状態で回生減速中にEVダウン変速を実施すると、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できない車速である。次に、「現在の車速≦ドライブ側駆動力が不足する車速」(車速域B2)の場合は、EV状態で回生減速中にEVダウン変速を実施すると、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速である。
また、その「ドライブ側駆動力が不足する車速」は、図8に示すように、EV変速段ダウン変速前の「EV2nd」において、最大モータトルクが一定の特性と、最大モータトルクが低下する特性との境界となる車速とする。すなわち、車速域B1に、EV変速段ダウン変速線(「EV2nd」→「EV1st」)やEV変速段アップ変速線(「EV1st」→「EV2nd」)があっても、EVダウン変速を実施しない。なお、図8は、車速VSPと要求制駆動力(Driving force)を座標軸とし、座標面にEV変速段を構成する「EV1st」と「EV2nd」の変速段を選択する選択領域(モータトルク特性)が割り当てられたマップの一例である。また、発進から中車速域に「EV1st」の選択領域が割り当てられ、中〜高車速域に「EV2nd」の選択領域が割り当てられている。
ステップS7では、ステップS6での「現在の車速≦ドライブ側駆動力が不足する車速」であるとの判断に続き、必要な制動トルクを補填可能なICE変速段のうち最ハイ変速比の変速段を選択して、ステップS8へ進む。すなわち、ステップS1及びステップS2の算出結果より、回生制動トルク補填に必要な制動トルクを補填可能なICE変速段が有るか否かを判断する。そして、必要な制動トルクを補填可能なICE変速段に該当したICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段を選択する。なお、ステップS7では、ステップS4と異なり、補填時のエンジン回転数が所定回転数以下か否かは判断しない。
ここで、「最ハイ変速比の変速段を選択する」とは、ステップS5において上述したとおりである。
ステップS8では、ステップS5における最ハイ変速比の変速段の選択、或いは、ステップS7における最ハイ変速比の変速段の選択に続き、「EV2nd」から「EV1st」へEVダウン変速を実施して、エンドへ進む。すなわち、「EV2nd」から「EV1st」へEVダウン変速を実施するとき、「EV2nd」からステップS5またはステップS7における最ハイ変速比の変速段を介してEVダウン変速を実施する。
次に、作用を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置における作用を、「回生/変速協調制御処理作用」、「回生/変速協調制御作用」、「回生/変速協調制御の特徴作用」に分けて説明する。
[回生/変速協調制御処理作用]
以下、図5に示すフローチャートに基づき、シーンでの回生/変速協調制御処理作用を、「補填条件を満たすICE変速段が有るときの回生/変速協調制御処理作用」と、「補填条件を満たすICE変速段が無いときの回生/変速協調制御処理作用」と、に分けて説明する。
(補填条件を満たすICE変速段が有るときの回生/変速協調制御処理作用)
図5のフローチャートに基づき、補填条件を満たすICE変速段が有るときの回生/変速協調制御処理作用を説明する。
まず、第1モータジェネレータMG1で回生減速中であると共に、「EV2nd」から「EV1st」へEVダウン変速要求があると、図5のフローチャートにおいて、START→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む。ステップS1では回生制動トルク補填に必要な制動トルクが算出され、ステップS2では各ICE変速段(ICE変速段:1-4速)における補填可能な制動トルクが算出され、ステップS3では各ICE変速段における補填時のエンジン回転数が算出される。また、ステップS4では、複数のICE変速段の中に、補填条件を満たすICE変速段が有るか否かが判断される。
次に、ステップS4において「補填条件を満たすICE変速段有り」と判断されると、ステップS4→ステップS5→ステップS8→ENDへと進む。ステップS5では、ステップS4での「補填条件を満たすICE変速段有り」と判断されたICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段(例えば、「ICE3rd」)が選択される。そして、ステップS8では、「ICE3rd」が選択され、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速が実施される。
(補填条件を満たすICE変速段が無いときの回生/変速協調制御処理作用)
図5のフローチャートに基づき、補填条件を満たすICE変速段が無いときの回生/変速協調制御処理作用を説明する。
まず、第1モータジェネレータMG1で回生減速中であると共に、「EV2nd」から「EV1st」へEVダウン変速要求があると、図5のフローチャートにおいて、START→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む。ここで、ステップS1からステップS4へ進む流れは、上記の「補填条件を満たすICE変速段が有るとき」と同様であるから説明を省略する。次に、ステップS4では、複数のICE変速段の中に、補填条件を満たすICE変速段が有るか否かが判断される。
また、ステップS4において「補填条件を満たすICE変速段無し」と判断されると、ステップS4からステップS6へと進む。ステップS6では、現在の車速がドライブ側でのEV駆動力が不足する車速より大きいか否かが判断される。
次に、ステップS6において「現在の車速>ドライブ側駆動力が不足する車速」と判断されると、ステップS6からステップS1へと戻る。このとき、EVダウン変速を実施せず、次の制御処理周期にEVダウン変速の実施が再判断される。そして、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む。このステップS4において「補填条件を満たすICE変速段有り」と判断されると、上述したとおりステップS5→ステップS8→ENDへと進む。しかし、ステップS4において「補填条件を満たすICE変速段無し」と判断されると、再びステップS4からステップS6へと進む。すなわち、ステップS4において「補填条件を満たすICE変速段無し」と判断されると共に、ステップS6において「現在の車速>ドライブ側駆動力が不足する車速」と判断される限り、ステップS6→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS6を繰り返すこととなる。言い換えると、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速の実施を遅らせることとなる。
一方、ステップS6において「現在の車速≦ドライブ側駆動力が不足する車速」と判断されると、ステップS6→ステップS7→ステップS8→ENDへと進む。ステップS7では、必要な制動トルクを補填可能なICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段(例えば、「ICE3rd」)が選択される。そして、ステップS8では、「ICE3rd」が選択され、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速が実施される。
[回生/変速協調制御作用]
次に、図9〜図10に基づき、回生/変速協調制御作用を説明する。
まず、図9のタイムチャートに基づき、図5のステップS8において実施されるEVダウン変速について説明する。図9では、最ハイ変速比の変速段として「ICE3rd」が選択され、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速が実施されることとする。また、図9には、各変速段のトルクフローと各係合クラッチC1,C2,C3の各特性を示す。
最初に、EVダウン変速前の「EV2nd」の変速段では、第1係合クラッチC1が「N」位置であり、第2係合クラッチC2が「N」位置であり、第3係合クラッチC3が「Right」位置である。従って、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルク(第1モータジェネレータMG1の回生制動トルク)は、駆動輪19→ドライブ軸18→デファレンシャル歯車17→第16歯車116→第7歯車107→第3軸13→第9歯車109→第4歯車104→第2軸12→第1モータジェネレータMG1へと流れる。
次に、EVダウン変速が開始されると、第1係合クラッチC1が「N」位置から「Right」位置へ切り替えられ、第4軸14と第12歯車112が駆動連結される。続いて、第3係合クラッチC3が「Right」位置から「N」位置へ切り替えられ、第3軸13と第9歯車109が解放される。これにより、変速段「EV2nd」から「ICE3rd」へ切り替えられる。
この「ICE3rd」の変速段のときの多段歯車変速機1における駆動輪19から第2モータジェネレータMG2への制動トルク(第2モータジェネレータMG2の制動トルク)の流れと、駆動輪19に対するエンジン回転数におけるフリクショントルク(内燃機関ICEの制動トルク)の流れを、図9に基づきそれぞれ説明する。
「ICE3rd」の変速段では、第1係合クラッチC1が「Right」位置であり、第2係合クラッチC2が「N」位置であり、第3係合クラッチC3が「N」位置である。従って、駆動輪19から第2モータジェネレータMG2への制動トルクは、駆動輪19→ドライブ軸18→デファレンシャル歯車17→第16歯車116→第7歯車107→第3軸13→第6歯車106→第2歯車102→第12歯車112→第4軸14→第11歯車111→第14歯車114→第15歯車115→第6軸16→第2モータジェネレータMG2へと流れる。
また、駆動輪19に対するエンジン回転数におけるフリクショントルクは、駆動輪19→ドライブ軸18→デファレンシャル歯車17→第16歯車116→第7歯車107→第3軸13→第6歯車106→第2歯車102→第12歯車112→第4軸14→第11歯車111→第1歯車101→第1軸11→内燃機関ICEへと流れる。
次に、変速段「ICE3rd」からのEVダウン変速の続きは、第3係合クラッチC3が「N」位置から「Left」位置へ切り替えられ、第3軸13と第10歯車110が駆動連結される。続いて、第1係合クラッチC1が「Right」位置から「N」位置へ切り替えられ、第4軸14と第12歯車112が解放される。これにより、変速段「ICE3rd」から「EV1st」へ切り替えられる。
EVダウン変速後の「EV1st」の変速段では、第1係合クラッチC1が「N」位置であり、第2係合クラッチC2が「N」位置であり、第3係合クラッチC3が「Left」位置である。従って、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルクは、駆動輪19→ドライブ軸18→デファレンシャル歯車17→第16歯車116→第7歯車107→第3軸13→第10歯車110→第5歯車105→第2軸12→第1モータジェネレータMG1へと流れる。
以上のように、最ハイ変速比の変速段として「ICE3rd」が選択されたとき、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速が実施される。このため、EVダウン変速中にトルク抜けが生じるが、「ICE3rd」によって、第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEの両方の制動トルクによりクラッチ(第3係合クラッチC3)解放中に抜ける回生制動トルクが補填される。なお、EVダウン変速中、第2係合クラッチC2は「N」位置である。
続いて、図10のタイムチャートでは、図9の詳細であって、EVダウン変速が実施されときの前後加速度・各回転数・各トルクの各特性について説明する。なお、図10のフローチャートは、時刻t1より前から変速段「EV2nd」により回生減速中であり、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルクが出力されている。すなわち、第1モータジェネレータMG1で回生減速中である。また、この回生減速中に、時刻t1よりも僅か前にEVダウン変速要求があり、時刻t1のときにEVダウン変速が開始されるものとする。
時刻t1のときは、変速段「EV2nd」から「ICE3rd」への切り替えが開始される時刻である。すなわち、第1係合クラッチC1を締結(「N」→「Right」)するクラッチ架け替えのために、第2モータジェネレータMG2の第2モータ回転数制御が開始される。
時刻t1から時刻t2までの間は、第1係合クラッチC1を回転同期状態にするために、第2モータ回転数制御が実施されている時刻である。また、第2モータ回転数制御により、エンジン回転数が上昇される。このエンジン回転数が、図10のトルクの特性に示すように、駆動輪19に対するエンジン回転数におけるフリクショントルクとなる。なお、第2モータ回転数制御により、第2モータジェネレータMG2のモータトルクが上昇されている。
時刻t2のときは、第1係合クラッチC1が回転同期状態になった時刻である。このため、第1係合クラッチC1を締結(「N」→「Right」)するクラッチ架け替えが開始される。なお、時刻t3のとき、第2モータ回転数制御が終了される。
時刻t2から時刻t3までの間は、第1係合クラッチC1を締結するクラッチ架け替えが実施されている時刻である。
時刻t3のときは、第1係合クラッチC1の締結が完了された時刻である。また、時刻t3のときは、第3係合クラッチC3を解放(「Right」→「N」)するために、クラッチ伝達トルクの低下が開始される時刻である。すなわち、第1モータジェネレータMG1から第2モータジェネレータMG2へのトルクの架け替えが開始される。
時刻t3から時刻t4までの間は、第1モータジェネレータMG1から第2モータジェネレータMG2へのトルクの架け替えが実施されている時刻である。この間、トルクの架け替えにより、前後加速度Gが僅かに変動する(領域G1)。
時刻t4のときは、トルクの架け替えが完了された時刻である。このため、第3係合クラッチC3を解放(「Right」→「N」)するクラッチ架け替えが開始される。このとき、トルク架け替え前の「駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルク」と、トルク架け替え後の「駆動輪19から第2モータジェネレータMG2への制動トルク」とは、ほぼ同じになっている。
時刻t4から時刻t5までの間は、第3係合クラッチC3を解放するクラッチ架け替えが実施されている時刻である。この間、第3係合クラッチC3の解放によって、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルクが抜けるので、前後加速度Gが僅かに変動する(領域G2)。
時刻t5のときは、第3係合クラッチC3を解放するクラッチ架け替えが完了された時刻である。すなわち、変速段「EV2nd」から「ICE3rd」への切り替えが完了された時刻である。また、時刻t5のときは、変速段「ICE3rd」から「EV1st」への切り替えが開始される時刻である。すなわち、時刻t5のときは、第3係合クラッチC3を締結(「N」→「Left」)するクラッチ架け替えのために、第1モータジェネレータMG1の第1モータ回転数制御が開始される。そして、時刻t5より僅かに遅れて、第1モータジェネレータMG1の第1モータ回転数が上昇する。
時刻t5から時刻t6までの間が、第3係合クラッチC3を回転同期状態にするために、第1モータ回転数制御が実施されている時刻である。これにより、第1モータ回転数を、変速段「EV1st」へ切り替えるために目標モータ回転数まで上昇させる。なお、第1モータ回転数制御により、第1モータジェネレータMG1のモータトルクが上昇されている。
時刻t6のときが、第1モータ回転数が目標モータ回転数まで上昇したときであると共に、第3係合クラッチC3が回転同期状態になった時刻である。このため、第3係合クラッチC3を締結(「N」→「Left」)するクラッチ架け替えが開始される。
時刻t6から時刻t7までの間は、第3係合クラッチC3を締結するクラッチ架け替えが実施されている時刻である。時刻t7の前後において、第3係合クラッチC3の締結によって、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1へ回生制動トルクが入るので、前後加速度Gが僅かに変動する(領域G3)。
時刻t7のときは、第3係合クラッチC3の締結が完了された時刻である。また、時刻t7のときは、第1係合クラッチC1を解放(「Right」→「N」)するために、クラッチ伝達トルクの低下が開始される時刻である。すなわち、第2モータジェネレータMG2から第1モータジェネレータMG1へのトルクの架け替えが開始される時刻である。
時刻t7から時刻t8までの間は、第2モータジェネレータMG2から第1モータジェネレータMG1へのトルクの架け替えが実施されている時刻である。この間、トルクの架け替えにより、前後加速度Gが僅かに変動する(領域G4)。
時刻t8のときは、トルクの架け替えが終了した時刻である。このため、第1係合クラッチC1を解放(「Right」→「N」)するクラッチ架け替えが開始される。なお、EVダウン変速が実施される間に、回生制動トルクが補填される時間は、時刻t3のトルクの架け替え開始から時刻t8のトルクの架け替えが完了するまでの時間(時刻t3〜時刻t8)である。
時刻t8から時刻t9までの間は、第1係合クラッチC1を解放するクラッチ架け替えが実施されている時刻である。なお、この間の途中から、第1係合クラッチC1の解放により、エンジン回転数が低下する。また、EVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下となっている。
時刻t9のときは、第1係合クラッチC1を解放するクラッチ架け替えが完了された時刻である。すなわち、変速段「ICE3rd」から「EV1st」への切り替えが完了された時刻であり、EVダウン変速が完了された時刻である。また、変速段「EV2nd」のときよりも「Ev1st」のときの方が、駆動輪19から第1モータジェネレータMG1への回生制動トルクが大きくなっている。
以上のように、最ハイ変速比の変速段として「ICE3rd」が選択されたとき、「EV2nd」から「EV1st」へのEVダウン変速が実施される。このため、制動トルク切れとなるEVダウン変速中(時刻t3〜時刻t8)、「第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEの両方の制動トルクによりクラッチ(第3係合クラッチC3)解放中に抜ける回生制動トルクが補填される。また、EVダウン変速中も含む時刻t1から時刻t9までにおいて、回生制動力の補填によるエンジン回転数は所定回転数以下であるため、エンジン回転数の上昇による音振影響がドライバの許容範囲内となる。
[回生/変速協調制御の特徴作用]
実施例1では、ハイブリッドコントロールモジュール21により、回生減速中にEVダウン変速要求があると、複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段が選択され、EVダウン変速が実施される構成とした(図5のステップS8、図9、図10の時刻t3〜時刻t8)。
即ち、第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEの少なくとも一方の制動トルクによって回生制動トルクを補填するとき、ダウン変速中においてエンジン回転数を上昇することによりなされる。一方、回生減速シーンは、ドライバが騒音や振動に対して敏感なアクセル足離し操作状態である。
これに対し、回生制動トルクを補填するICE変速段が選択されることで、制動トルク切れを抑える回生制動トルクの補填が確保される。そして、エンジン回転数を所定回転数以下に抑えることで、エンジン回転数の上昇による音振影響がドライバの許容範囲内になり、ドライバに与える違和感が低減される。
従って、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填確保とドライバに与える違和感低減との両立を図ることができる。
実施例1では、ハイブリッドコントロールモジュール21により、EVダウン変速が実施される際、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、最ハイ変速比のICE変速段が選択される構成とした(図5のステップS5、図7)。
即ち、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、最ハイ変速比のICE変速段が選択されるので、エンジン回転数及び第2モータジェネレータMG2のモータ回転数の変動が最小に抑えられる。このため、選択されたICE変速段に切り替えるとき、係合クラッチC1,C2のいずれかを回転同期により締結するが、このとき、回転同期のためのエネルギーロスを最小に抑えられる。
従って、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、回転同期のためのエネルギーロスを最小に抑制することができる。
加えて、エンジン回転数の変動が最小に抑えられるので、エンジン回転数の上昇による音振影響によって、ドライバに与える違和感がより低減される。従って、EVダウン変速を実施する際、ドライバに与える違和感をより低減することができる。
実施例1では、ハイブリッドコントロールモジュール21により、回生減速中にEVダウン変速要求があり、かつ、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段が無いとき、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点までEVダウン変速を遅らせる構成とした(図5のステップS6→ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS6の繰り返し、図8)。
例えば、ICE変速段が無い場合にEVダウン変速が実施され、かつ、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速より大きいとき、ドライバによりアクセルペダルが踏み込まれると、必要駆動力が不足するためドライバの加速要求に応えることができない。
これに対し、実施例1では、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点までEVダウン変速を遅らせることで、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速より大きいときに、ドライバによりアクセルペダルが踏み込まれる再加速時であっても、必要駆動力が確保される。
従って、ドライバから加速要求があったとき、その加速要求に応えることができる。
実施例1では、ハイブリッドコントロールモジュール21により、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点になると、エンジン回転数にかかわらず、回生制動トルクを補填可能なICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段を選択してEVダウン変速が実施される構成とした。
即ち、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段が無い場合であっても、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点になれば、EVダウン変速が実施される。このとき、ドライバによりアクセルペダルが踏み込まれる再加速時であっても、必要駆動力が確保される。一方、エンジン回転数にかかわらず、回生制動トルクを補填可能なICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段を選択してEVダウン変速が実施されることで、エンジン回転数の変動が最小に抑えられる。このため、エンジン回転数の上昇による音振影響によって、ドライバに与える違和感を最小に抑えられる。また、回生制動トルクの補填が確保される。
従って、ドライバから加速要求があったとき、その加速要求に応えることができつつ、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、ドライバに与える違和感を最小に抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 動力源として第1電動機(第1モータジェネレータMG1)と第2電動機(第2モータジェネレータMG2)と内燃機関ICEを備え、動力源から駆動輪19までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機(多段歯車変速機1)が搭載され、
変速機(多段歯車変速機1)は、電動機変速段である複数のEV変速段と内燃機関変速段である複数のICE変速段を有する変速機構と、変速要素として、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチC1,C2,C3と、を備えるハイブリッド車両において、
第1電動機(第1モータジェネレータMG1)による回生減速中にEV変速段のダウン変速を実施するとき、第2電動機(第2モータジェネレータMG2)と内燃機関ICEの少なくとも一方の制動トルクによりクラッチ解放中に抜ける回生制動トルクを補填する回生/変速協調コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21)を設け、
回生/変速協調コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21)は、回生減速中にEVダウン変速要求があると、複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数(エンジン回転数)が所定回転数以下になるICE変速段を選択し、EVダウン変速を実施する。
このため、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填確保とドライバに与える違和感低減との両立を図ることができる。
(2) 回生/変速協調コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21)は、EVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数(エンジン回転数)が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、最ハイ変速比のICE変速段を選択する。
このため、(1)の効果に加え、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数(エンジン回転数)が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、回転同期のためのエネルギーロスを最小に抑制することができる。
(3) 回生/変速協調コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21)は、回生減速中にEVダウン変速要求があり、かつ、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数(エンジン回転数)が所定回転数以下になるICE変速段が無いとき、現在の車速が、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点までEVダウン変速を遅らせる。
このため、(1)または(2)の効果に加え、ドライバから加速要求があったとき、その加速要求に応えることができる。
(4) 回生/変速協調コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21)は、現在の車速VSPが、ドライバにアクセルペダルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点になると、内燃機関回転数(エンジン回転数)にかかわらず、回生制動トルクを補填可能なICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段を選択してEVダウン変速を実施する。
このため、(3)の効果に加え、ドライバから加速要求があったとき、その加速要求に応えることができつつ、回生減速中にEVダウン変速を実施する際、ドライバに与える違和感を最小に抑制することができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEの両方の制動トルクにより、クラッチ(第3係合クラッチC3)解放中に抜ける回生制動トルクを補填する例を示した。しかし、回生制動トルクを補填する制動トルクとしては、第2モータジェネレータMG2または内燃機関ICEの一方の制動トルクにより回生制動トルクを補填する例としても良い。このため、制動トルクにより回生制動トルクを補填することができる構成であれば、第2モータジェネレータMG2や内燃機関ICEの配置、多段歯車変速機1のEV変速段やICE変速段の変速数を変更しても良い。
実施例1では、本発明の回生/変速協調制御装置を、EV変速段としてEV1-2速、ICE変速段としてICE1-4速からなる多段歯車変速機1に適用する例を示した。しかし、本発明の回生/変速協調制御装置は、回生/変速協調制御が実行できる構成であれば、EV変速段がEV1-2速より多くても適用することができるし、ICE変速段が1-4速より多くても少なくても適用することができる。
実施例1では、図5のステップS4では、複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段として「ICE3rd」を選択する例を示した。しかし、選択されるICE変速段としては、回生制動トルクの補填によるエンジン回転数が所定回転数以下になるICE変速段であれば良い。例えば、選択されるICE変速段が「ICE4th」であれば、図9において、EVダウン変速中、第2係合クラッチC2が「N」位置から「Right」位置へ切り替えられ、第3係合クラッチC3が「Right」位置から「N」位置へ切り替えられて、変速段「EV2nd」から「ICE4th」へ切り替えられる。そして、第2係合クラッチC2が「Right」位置から「N」位置へ切り替えられ、第3係合クラッチC3が「N」位置から「Left」位置へ切り替えられて、変速段「ICE4th」から「EV1st」へ切り替えられる。なお、EVダウン変速中、第1係合クラッチC1は「N」位置である。
実施例1では、変速コントローラとして、複数の係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる全変速段から、インターロック変速段とシフト機構により選択できない変速段を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする例を示した。しかし、変速コントローラとしては、複数の係合クラッチの締結組み合わせによる全変速段から、インターロック変速段を除いた変速段を、変速機により実現可能な複数の変速段とする例としても良い。例えば、シフト機構を、係合クラッチC1,C2,C3のそれぞれを独立にストローク動作させる機構にすると、「シフト機構により選択できない変速段」は無くなる。この場合、故障時変速段として使用する変速段が増加する。
ICE 内燃機関
MG1 第1モータジェネレータ(電動機)
MG2 第2モータジェネレータ
C1 第1係合クラッチ
C2 第2係合クラッチ
C3 第3係合クラッチ
1 多段歯車変速機(変速機)
19 駆動輪
21 ハイブリッドコントロールモジュール(回生/変速協調コントローラ)
72 アクセル開度センサ
74 エンジン回転数センサ
78 ブレーキスイッチ

Claims (4)

  1. 動力源として第1電動機と第2電動機と内燃機関を備え、前記動力源から駆動輪までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機が搭載され、
    前記変速機は、電動機変速段である複数のEV変速段と内燃機関変速段である複数のICE変速段を有する変速機構と、変速要素として、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチと、を備えるハイブリッド車両において、
    前記第1電動機による回生減速中に前記EV変速段のダウン変速を実施するとき、前記第2電動機と前記内燃機関の少なくとも一方の制動トルクによりクラッチ解放中に抜ける回生制動トルクを補填する回生/変速協調コントローラを設け、
    前記回生/変速協調コントローラは、回生減速中にEVダウン変速要求があると、前記複数のICE変速段のうち、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段を選択し、EVダウン変速を実施する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置において、
    前記回生/変速協調コントローラは、EVダウン変速を実施する際、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段が複数ある場合、最ハイ変速比のICE変速段を選択する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置において、
    前記回生/変速協調コントローラは、回生減速中にEVダウン変速要求があり、かつ、回生制動トルクの補填による内燃機関回転数が所定回転数以下になるICE変速段が無いとき、現在の車速が、ドライバにアクセルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点までEVダウン変速を遅らせる
    ことを特徴とするハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置。
  4. 請求項3に記載されたハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置において、
    前記回生/変速協調コントローラは、現在の車速が、ドライバにアクセルを踏み込まれた場合に必要駆動力が確保できる車速以下に減速する時点になると、内燃機関回転数にかかわらず、回生制動トルクを補填可能なICE変速段のうち、最ハイ変速比の変速段を選択してEVダウン変速を実施する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の回生/変速協調制御装置。
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