JP2018122856A - ハイブリッド車両の制御装置および変速制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
内燃機関ICEと駆動輪19との間に、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段(手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8)を形成可能な動力伝達機構を備えたハイブリッド車両の制御装置の制御装置(21,22,24)は、駆動輪19の回転数に対する内燃機関ICEの回転数の比が異なる所定の比となる複数の疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成し、車両の加速期間において、動力伝達経路の切り替えを伴わずに疑似変速段の変速として内燃機関ICEの回転数が減少する疑似有段変速と、動力伝達経路の切り替えに伴って内燃機関ICEの回転数が減少する機械有段変速と、を実行し、疑似有段変速の実行に際して、駆動輪19の駆動力を、機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる。
【選択図】図1
Description
この従来技術では、エンジン使用走行モード中に手動変速制御から自動変速制御へ切り替えられた場合、シフトアップ要求があるときは、エンジン回転数の低下を待ってモータ使用走行モードに遷移することで、加速応答性を確保することが記載されている。また、自動変速機としては、前進5速・後退1速のものが示されている。
一方、走行用電動機を動力源として走行する場合は、高トルクの駆動が可能であるため、変速の必要性は低く、多段変速の実施が難しい。
さらに、制御装置は、車両が加速されている期間において、
動力伝達経路の切り替えを伴わずに疑似変速段の変速として内燃機関の回転数が減少する疑似有段変速と、
動力伝達経路の切り替えに伴って内燃機関の回転数が減少する機械有段変速と、
を実行するとともに、
疑似有段変速の実行に際して、駆動輪の駆動力を、機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる。
また、本発明の変速制御方法では、疑似変速段の形成に際し、駆動輪の駆動力により生じる車両の前後方向加速度を、まず、動力伝達機構が、所定の変速比であるときに生じる前後方向加速度を模して、変速初期では立ち上げ、その後、前後方向加速度の変化を抑えた後、次の変速に備えて前後加速度を低下させる。
したがって、実在の機械的変速段の数よりも多段階の変速演出が可能となり、低コストで多段化要求を満足可能となる。
まず、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の構成を説明する。
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施の形態1におけるハイブリッド車両の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「ハイブリッド車両の制御系構成」、「変速制御系構成」、「変速段及びシフトスケジュールマップ構成」、「手動モード変速制御処理構成」に分けて説明する。
図1は、実施の形態1の発進制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。
歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられている。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられている。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設されている。
第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられている。
第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられている。
第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられている。
このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2による内燃機関ICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、内燃機関ICEの駆動で第2モータジェネレータMG2により発電する(これをMG2発電と称する)。このMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギヤ列となる。
第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを噛み合い締結させる変速要求時には、両モータジェネレータMG1,MG2のいずれかによる回転同期作動により、クラッチ入出力差回転数を同期判定回転数範囲内として噛み合いストロークさせて変速を実現する。なお、係合クラッチC3の締結時には第1モータジェネレータMG1により回転同期させ、第1、第2係合クラッチC1,C2の締結時には第2モータジェネレータMG2により回転同期させる。
右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109(図1参照)のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
C1/C2セレクト動作機構40は、第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。
さらに、変速機コントロールユニット23には、マニュアルモードスイッチ79からのスイッチ信号が入力される。このマニュアルモードスイッチ79は、ドライバが後述する手動モード変速制御による変速を行いたい場合に操作するスイッチである。
一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位してカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態とし、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、内燃機関ICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
「自動変速制御」は、図3に示すように、車速VSPと駆動力(ドライバ要求トルクF)とに応じた変速段に制御する。
第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」は、内燃機関ICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、または、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
この手動モード変速制御は、エンジン車による手動変速を体感できるように多段階に変速を行う制御である。そして、この手動モード変速制御では、後述する疑似変速段を用いて、多段歯車変速機1が有する内燃機関ICEと駆動輪19とが接続された実際の変速段の数である4段階よりも多段階の変速を行う。
この図5において、実線により示す手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8が、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続された変速段である。この場合、多段歯車変速機1を、「EV1st ICE1st」およびICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)のいずれかに制御する。
まず、図5において、実線により示す手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8の変速比について説明する。
この場合の変速比は、主として、第3歯車103と第8歯車108とのギヤ比で決定される。
し、手動6速M6では「EV2nd ICE-」を選択する。
「EV1st ICE-」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第2係合クラッチC2をNに制御するとともに、第3係合クラッチC3をLeftに制御する。これにより、第1モータジェネレータMG1の動力は、図6の装飾線M1、M3.M4に示すように、第5歯車105と第10歯車110とを介した伝達を経て、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。
すなわち、図5に示すように、手動1速M1では、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されている手動2速M2の変速比よりも高変速比の疑似変速段を形成する。一方、手動3速M3および手動4速M4では、機械的に接続されている内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されている手動2速M2の変速比と手動5速M5の変速比との間で略等間隔で配置した変速比の疑似変速段を形成する。
この場合の変速比は、主として、第4歯車104と第9歯車109とのギヤ比により決定される。この「EV2nd ICE-」でのギヤ比は、「EV- ICE3rd」での第12歯車112と第6歯車106とのギヤ比よりも小さく、「EV- ICE4th」での第2歯車102と第6歯車106とのギヤ比と同等の値となる。
自動変速制御の場合は、車速VSPとドライバ要求トルクFとに応じて予め設定された変速段iを算出する。
ここで、機械的に存在する変速段xとは、前述した内燃機関ICEと駆動輪19とが直結した手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8のいずれかの変速段である。また、機械的に存在する変速段xではない場合とは、変速段iが、内燃機関ICEと駆動輪19とが接続されていない、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6のいずれかである場合である。
このとき、内燃機関ICEは、駆動輪19と接続されていないが、内燃機関ICEは、ドライバ要求トルクF、すなわち、ドライバのアクセル操作に応じた出力トルクとして発電を行う。この内燃機関ICEの駆動および発電による駆動トルクの吸収により発生する音や振動で、ドライバに対して内燃機関ICEの駆動による加速感を演出できる。
そして、エンジン回転数は、図5において矢印により示すように、車速と仮想の変速比とに応じて変化させる。
次に、実施の形態1の作用を図8のタイムチャートに基づいて説明する。
なお、この図8のタイムチャートは、t0の時点の停車状態から、t1の時点から手動モード変速制御で発進し、図5において矢印により示すように各手動変速段M1〜M6に一段ずつシフトアップしながら加速を行った場合の動作例を示している。
以下に、手動変速段M1〜M6の手動変速段ごとに説明する。
t1の時点からt2の時点の間は、手動1速M1として第1モータジェネレータMG1の駆動力により発進する。この手動1速M1は、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されていない仮想の疑似変速段であり、図7のステップS7の処理に基づいて、第1モータジェネレータMG1によりドライバ要求トルクF分のトルクを発生させる。
この場合、多段歯車変速機1は、「EV1st ICE-」とし、図4の締結表に示すように、第3係合クラッチC3をLeftとするとともに、第1係合クラッチC1および第2係合クラッチC2をNとする。
これにより、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、図示のような山なり形状に出力制御する。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t1の時点から徐々に上昇し、変速を行うt2の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
加えて、図示を省略したエンジン回転数メータの指針も、内燃機関ICEの出力トルクにより加速を行っているとともに、変速を行っているかのように回動する。
なお、この手動2速M2では、疑似変速段である手動1速M1の変速比に対して現実の変速比が低くなるため、前後加速度Gは、手動1速M1の際の前後加速度Gよりも若干低い値となる。
また、このt2〜t3の間では、内燃機関ICEが機械的に駆動輪19に接続されるため、現実のドライバの加速操作に応じた加速感、および、内燃機関ICEによる音や振動が実際に得られる。
この場合、第1係合クラッチC1をLeftからNに切り替えるもので、その切り替えに先立ち、第1係合クラッチC1の前後の回転同期を行う。すなわち、図8に示すように、t3の時点の直前で、エンジン回転数を低下させる一方で、第1モータジェネレータMG1の出力トルクを上昇させて力行モータ回転数を上昇させ、回転同期を行って伝達トルクを低下させた上で、ニュートラルNに切り替える。
すなわち、t3の時点からt4の時点では、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、図5に示す手動3速M3の変速比で内燃機関ICEの出力トルクにより加速したと仮定した場合の前後加速度Gが得られるように制御する。なお、この手動3速M3のときの前後加速度Gは、手動2速M2の前後加速度Gよりも若干低い値となるように第1モータジェネレータMG1の出力トルクを制御する。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t3の時点から徐々に上昇し、変速を行うt4の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
この手動3速M3から手動4速M4への変速を模して、t4の時点の前には、内燃機関ICEと駆動輪19との接続を断つクラッチ解放が実行される場合を仮定して、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を低下させる。これにより、変速の際のトルク抜け感を演出する。
手動4速M4による加速時間(t4〜t5の間隔)を、手動1速M1、手動2速M2、手動3速M3の加速時間よりも若干長くすることで、手動変速の演出効果を高める。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t4の時点から徐々に上昇し、変速を行うt5の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
したがって、第1係合クラッチC1はNのまま、第2係合クラッチC2をNからLeftに切り替えるとともに、第3係合クラッチC3をLeftからNに切り替える。
また、第2係合クラッチC2は、内燃機関ICEをアイドル状態とするとともに、上記の力行モータトルクの低下によりモータ回転数が低下して第2係合クラッチC2の入出力側の回転同期ができた時点で、第2係合クラッチC2をLeftに切り替える。
また、t6の時点よりも前に第1モータジェネレータMG1の出力トルクを上昇させて第3係合クラッチC3の入出力回転を同期させてNからRightに切り替える。
したがって、内燃機関ICEによる音、振動およびエンジン回転数メータ(図示省略)の指針の回動により、内燃機関ICEの出力トルクTeで加速を行っているかのような演出効
果を得ることができる。
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
車両の動力源としての走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)と、
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の電源に含まれ、内燃機関ICEの駆動により発電する発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)と、
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)、内燃機関ICE、発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)の作動を制御する出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)と、
を備え、内燃機関ICEを駆動させて発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)により発電しながら、走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の駆動力により走行するシリーズHEV走行が可能なハイブリッド車両の制御装置において、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、シリーズHEV走行時に、駆動輪19に有段の変速機を介して仮想内燃機関(内燃機関ICE)が接続されていると仮定した場合の各変速段に応じた車両の前後加速度変化を模して走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の出力を制御して疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
このため、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に結合していない状態で、疑似変速段を形成して、実際の多段歯車変速機1の機械的な変速段よりも多段化した変速をドライバに体感させることが可能となる。具体的には、本実施の形態1では、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6の疑似変速段を形成して、実際に内燃機関ICEが駆動輪19を機械的に結合する変速段の数である4段よりも多い8段階の変速体感が可能である。
よって、実際に8段の変速が可能な変速機よりも低コスト、小型、軽量の前進4速の多段歯車変速機1を用いながら、8段階の変速を体感可能であり、低コストで多段化要求を満足可能となる。
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)の形成時に、内燃機関ICEの出力トルクと回転数とを、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)に応じた内燃機関ICEの出力を模して制御することを特徴とする。
したがって、上記(1)の効果に加え、内燃機関ICEの駆動により生じる音や振動が、ドライバ操作に対応して発生し、内燃機関ICEと駆動輪19とが多段歯車変速機1を介して実際に接続されているかのような走行フィールを演出できるという効果が得られる。すなわち、内燃機関ICEの回転数上昇やトルクの盛り上がりを体感できる。また、内燃機関ICEの回転数変化を、エンジン回転数メータ(図示省略)の指針の回動変化により視覚的にも体感することができ、演出効果をさらに向上できる。
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段の形成時に、内燃機関ICEを、運転者の操作に応じた出力トルクであるドライバ要求トルクFに応じて制御し、さらに、内燃機関ICEの出力トルクを発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)の発電により吸収することを特徴とする。
したがって、内燃機関ICEを運転者の操作に応じた出力トルクとした際に、内燃機関ICEの出力トルクを第2モータジェネレータMG2の発電により吸収することで、内燃機関ICEの出力が変速機に入力される機械的なトルク伝達状態を再現できる。これにより、上記(2)の演出効果を、さらに向上できる。
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)と駆動輪19との動力伝達系に多段歯車変速機1を備え、
多段歯車変速機1を制御する変速機コントロールユニット23は、手動変速を模して変速する手動モード変速制御を実行し、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、手動モード変速制御時に、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
したがって、手動変速感を味わうことができる手動モード変速制御時に、多段化を体感できるようにして、手動モード変速制御による多段化要求を満足できる。
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、多段歯車変速機1の実現可能な変速段とは異なる変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を、疑似変速段により形成することを特徴とする。具体的には、本実施の形態1では、「EV1st ICE-」を用いて、実際の変速比とは異なる3段階の変速比の疑似変速段を形成する。また、「EV2nd ICE-」を用いて、「EV2nd ICE-」の変速比とは異なる疑似変速段を形成する。
したがって、多段歯車変速機1による切替可能な変速段の数よりも多い多段化の体感を可能として、実際の多段化を図るよりも小型、軽量、低コストでの多段変速の体感が可能となる。
多段歯車変速機1は、走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)を動力源とし内燃機関ICEを駆動輪19から切り離したモータ変速段と、内燃機関ICEを駆動輪19に接続したエンジン変速段と、を形成可能とし、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、モータ変速段(「EV1st ICE-」「EV2nd ICE-」)で疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
したがって、エンジン変速段を用いた実際の機械的な変速に加え、モータ変速段により内燃機関ICEが駆動輪19に接続されているかのような演出を行って、ハイブリッド車両における多段歯車変速機1の多段変速演出を図ることができる。
シリーズHEV走行の実施が可能か否かを検出する走行状態検出部として、ステップS4の発電用の第2モータジェネレータMG2の温度判定の処理部を備え、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段形成時に、第2モータジェネレータMG2による発電ができずシリーズHEV走行の実施ができない場合、多段歯車変速機1を、エンジン変速段とし内燃機関ICEの駆動力により走行することを特徴とする。
したがって、強電バッテリ3に充電できない状態や発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)が作動できない場合のように、シリーズHEV走行を実施できない場合であっても、手動モード変速制御を継続して多段変速を行うことができる。
次に、他の実施の形態のハイブリッド車両の駆動装置について説明する。
なお、他の実施の形態を説明するのにあたり、実施の形態1との相違点のみ説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の変形例であり、実施の形態1における内燃機関ICEによる演出駆動の他の例を示す。
この実施の形態2では、図9に示すように、内燃機関ICEは、駆動輪19と完全に切りか離され、第2モータジェネレータMG2の発電専用としている。
そして、走行用の第1モータジェネレータMG1と駆動輪19との間には、有段の変速機200を設けている。
この場合、内燃機関ICEは、駆動自体を中止してもよいし、あるいは、内燃機関ICEをアイドル出力として、エンジン回転数のみ上昇させてもよい。
図11は、実施の形態2において実施の形態1と同様の加速を行った場合の動作例を示している。
この図に示すように、手動1速M1〜手動6速M6における車速変化、前後加速度G変化、エンジン回転数の変化は、実施の形態1と同様に制御する。
そして、このとき、内燃機関ICEは、出力トルクを、ドライバ要求トルクFに応じて出力するとともに、その出力を、第2モータジェネレータMG2の発電により吸収する。
加えて、第1モータジェネレータMG1は、一般的な特性として、低回転から高トルクが出力可能であるため、シリーズHEV走行時には、多段階の変速は必ずしも必要ではない。本実施の形態1では、このようなシリーズHEV走行時に、従来には無い、エンジン車による多段階の変速を体感できる。
実施の形態3のハイブリッド車両の制御装置は、実施の形態2の変形例であり、ステップS25およびステップS6の処理の変形例を示している。
図12は、実施の形態3において実施の形態1と同様の加速を行った場合の動作例を示している。
この図に示すように、手動1速M1〜手動6速M6における車速変化、前後加速度G変化、エンジン回転数の変化は、実施の形態1と同様に制御する。
図12においてt31の時点からの手動1速M1、t32の時点からの手動2速M2は、第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高く、第2モータジェネレータMG2の発電を行わない場合の動作を示している。
一方、内燃機関ICEは、エンジン回転数を、実施の形態2と同様に、手動1速M1、手動2速M2での加速時の回転数を再現しているが、エンジントルクは、アイドル回転時相当に抑えている。これにより、第2モータジェネレータMG2の発電量を抑え第2モータジェネレータMG2の発熱を抑えている。
なお、この場合、第1モータジェネレータMG1は、強電バッテリ3のバッテリ出力により賄う。
この場合、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクFよりも高い値とし、ドライバ要求トルクFで駆動した場合よりも第2モータジェネレータMG2による発電量を増加させる。
したがって、強電バッテリ3の充電を行って、バッテリSOCを増加させることができる。
この場合、内燃機関ICEでは燃料カットを行い、さらに、第2モータジェネレータMG2を力行駆動させることで、エンジン回転数を、手動5速M5の仮想の変速比に応じた回転数となるよう制御する。
したがって、両モータジェネレータMG1,MG2の力行駆動により強電バッテリ3の放電を行って、バッテリSOCを理想の値まで低下させることができる。
また、この場合、エンジン回転数の上昇により、図示を省略したエンジン回転数メータにおいて、指針を回動させて内燃機関ICEの駆動により加速している演出を行うことができる。
したがって、手動モード変速制御では、第1モータジェネレータMG1の出力トルクの制御により手動多段変速による前後加速度Gを再現しつつ、内燃機関ICEの手動多段変速時のエンジン回転数変化を再現して、手動多段変速の演出効果を高めることができる。しかも、第2モータジェネレータMG2の発電を中止して、第2モータジェネレータMG2の温度上昇を抑制できる。
よって、第2モータジェネレータMG2の発電量を、バッテリSOCが十分な場合よりも増加させて、強電バッテリ3のバッテリ出力を抑えたり、さらには、強電バッテリ3に充電したりすることができる。これにより、強電バッテリ3が過放電になることを抑制し、バッテリSOCを、要充電閾値よりも高い良好な状態に保つことができる。
よって、走行のための第1モータジェネレータMG1の駆動による放電に加え、第2モータジェネレータMG2の駆動による放電を行って、強電バッテリ3が過充電となるのを抑制できる。しかも、この際、内燃機関ICEのエンジン回転数は、変速比に応じた回転数に制御するため、エンジン回転数メータによる演出効果を確保できる。
発電量を、バッテリSOCが十分な場合よりも増加させて、強電バッテリ3のバッテリ出力を抑えたり、さらには、強電バッテリ3に充電したりすることができる。これにより、強電バッテリ3が過放電になることを抑制し、バッテリSOCを、要放電閾値よりも低い良好な状態に保つことができる。
また、実施の形態では、加速時のシフトアップ変速の動作例のみを示したが、シフトダウン操作にも適用することができる。
3 強電バッテリ
19 駆動輪
21 ハイブリッドコントロールモジュール(制御装置)
22 モータコントロールユニット(制御装置)
23 変速機コントロールユニット
24 エンジンコントロールユニット(制御装置)
MG1 第1モータジェネレータ(走行用電動機)
MG2 第2モータジェネレータ(発電用電動機)
ICE 内燃機関
Claims (4)
- 車両の駆動輪を駆動する走行用電動機と、
前記走行用電動機の電源に含まれ、内燃機関の駆動により発電する発電用電動機と、
前記内燃機関と前記駆動輪との間に配置され、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段を形成可能な動力伝達機構と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御装置は、
前記駆動輪の回転数に対する前記内燃機関の回転数の比が異なる所定の比となる複数の疑似変速段を形成し、
かつ、前記車両が加速されている期間において、
前記動力伝達経路の切り替えを伴わずに前記疑似変速段の変速として前記内燃機関の回転数が減少する疑似有段変速と、
前記動力伝達経路の切り替えに伴って前記内燃機関の回転数が減少する機械有段変速と、
を実行するとともに、
前記疑似有段変速の実行に際して、前記駆動輪の駆動力を、前記機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御装置は、前記疑似有段変速の実行に際して、前記走行用電動機の出力を制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記制御装置は、前記疑似変速段の形成時に、前記内燃機関の出力回転数を、前記疑似変速段の変速比に応じた出力回転数に制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 車両の駆動輪を駆動する走行用電動機と、
前記走行用電動機の電源に含まれ、内燃機関の駆動により発電する発電用電動機と、
前記内燃機関と前記駆動輪との間に配置され、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段を形成可能な動力伝達機構と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
前記機械的変速段の前記駆動輪の回転数に対する前記内燃機関の回転数の比である変速比とは異なる所定の変速比となる複数の疑似変速段を形成する変速制御方法であって、
前記疑似変速段の形成に際し、前記駆動輪の駆動力により生じる前記車両の前後方向加速度を、まず、前記動力伝達機構が、前記所定の変速比であるときに生じる前記前後方向加速度を模して、変速初期では立ち上げ、その後、前記前後方向加速度の変化を抑えた後、次の変速に備えて前後加速度を低下させる変速制御方法。
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