JP2018122856A - ハイブリッド車両の制御装置および変速制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御装置および変速制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで多段変速要求を満足可能なハイブリッド車両の制御装置を提供する。
【解決手段】
内燃機関ICEと駆動輪19との間に、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段(手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8)を形成可能な動力伝達機構を備えたハイブリッド車両の制御装置の制御装置(21,22,24)は、駆動輪19の回転数に対する内燃機関ICEの回転数の比が異なる所定の比となる複数の疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成し、車両の加速期間において、動力伝達経路の切り替えを伴わずに疑似変速段の変速として内燃機関ICEの回転数が減少する疑似有段変速と、動力伝達経路の切り替えに伴って内燃機関ICEの回転数が減少する機械有段変速と、を実行し、疑似有段変速の実行に際して、駆動輪19の駆動力を、機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置および変速制御方法に関する。
従来、手動変速機能付き自動変速機を備えたハイブリッド車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来技術では、エンジン使用走行モード中に手動変速制御から自動変速制御へ切り替えられた場合、シフトアップ要求があるときは、エンジン回転数の低下を待ってモータ使用走行モードに遷移することで、加速応答性を確保することが記載されている。また、自動変速機としては、前進5速・後退1速のものが示されている。
特開2009−143501号公報
上述の手動変速制御を行う場合、変速感を演出するには多段化が要求されるが、例えば、上述の従来技術のような前進5速よりも多段変速可能な多段変速機を搭載した場合、コストの増加、大型化、重量増加を招く。
一方、走行用電動機を動力源として走行する場合は、高トルクの駆動が可能であるため、変速の必要性は低く、多段変速の実施が難しい。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、低コストで多段変速要求を満足可能なハイブリッド車両の制御装置および変速制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、駆動輪の回転数に対する内燃機関の回転数の比が異なる所定の比となる複数の疑似変速段を形成する。
さらに、制御装置は、車両が加速されている期間において、
動力伝達経路の切り替えを伴わずに疑似変速段の変速として内燃機関の回転数が減少する疑似有段変速と、
動力伝達経路の切り替えに伴って内燃機関の回転数が減少する機械有段変速と、
を実行するとともに、
疑似有段変速の実行に際して、駆動輪の駆動力を、機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる。
また、本発明の変速制御方法では、疑似変速段の形成に際し、駆動輪の駆動力により生じる車両の前後方向加速度を、まず、動力伝達機構が、所定の変速比であるときに生じる前後方向加速度を模して、変速初期では立ち上げ、その後、前後方向加速度の変化を抑えた後、次の変速に備えて前後加速度を低下させる。
本発明では、運転者に実在する機械的変速段とは異なる変速段を体感させることが可能となる。
したがって、実在の機械的変速段の数よりも多段階の変速演出が可能となり、低コストで多段化要求を満足可能となる。
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機の変速制御系の構成を示す制御系構成図である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において変速パターンを切り替える考え方を示す変速マップ概要図である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において3つの係合クラッチの切り替え位置による変速段を示す締結表である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置において手動モード変速制御時に切替可能な変速段における各段の変速比に応じた車速とエンジン回転数特性との関係を示す変速比特性図である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置に適用した多段歯車変速機において各手動変速段の動力伝達経路を示す駆動力伝達経路説明図である。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置における手動モード変速制御の処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置における手動モード変速制御での動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態2のハイブリッド車両の制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系を示す概略図である。 実施の形態2のハイブリッド車両の制御装置の手動モード変速制御の処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態2のハイブリッド車両の制御装置における手動モード変速制御での動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態3のハイブリッド車両の制御装置における手動モード変速制御での動作例を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置の構成を説明する。
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施の形態1におけるハイブリッド車両の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「ハイブリッド車両の制御系構成」、「変速制御系構成」、「変速段及びシフトスケジュールマップ構成」、「手動モード変速制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施の形態1の発進制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ハイブリッド車両の駆動系は、内燃機関ICEと、第1モータジェネレータ(走行用電動機)MG1と、第2モータジェネレータ(発電用電動機)MG2と、第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1と、を備えている。なお、「ICE」は「Internal-Combustion Engine」の略称である。
内燃機関ICEは、例えば、クランク軸方向を車幅方向として車両のフロントルームに配置したガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどである。この内燃機関ICEは、多段歯車変速機1の変速機ケース10に連結されると共に、内燃機関出力軸が、多段歯車変速機1の第1軸11に接続される。なお、内燃機関ICEは、基本的に、第2モータジェネレータMG2をスタータモータとして始動を行う(これをMG2始動と称する)。但し、極低温時などのように強電バッテリ3を用いたMG2始動が確保できない場合に備えてスタータモータ2を設けている。
第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、いずれも強電バッテリ3を共通の電源とする三相交流の永久磁石型同期モータである。
第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。
第2モータジェネレータMG2のステータは、第2モータジェネレータMG2のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第2モータジェネレータMG2のロータに一体の第2モータ軸が、多段歯車変速機1の第6軸16に接続されている。
第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第1インバータ4が、第1ACハーネス5を介して接続されている。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第2インバータ6が、第2ACハーネス7を介して接続される。強電バッテリ3と第1インバータ4及び第2インバータ6は、ジャンクションボックス9を介してDCハーネス8により接続されている。
多段歯車変速機1は、変速比が異なる複数の歯車対を有する常時噛み合い式変速機であり、変速機ケース10内に互いに平行に配置され、歯車が設けられる第1〜第6軸11〜16と、歯車対を選択する第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3と、を備える。
歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられている。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられている。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設されている。
第1軸11は、内燃機関ICEが連結された軸であり、第1軸11には、図1の右側から順に、第1歯車101、第2歯車102、第3歯車103が配置されている。
第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられている。
第2軸12は、第1モータジェネレータMG1が連結され、第1軸11の外側位置に軸心を一致させて同軸配置された円筒軸であり、第2軸12には、図1の右側から順に、第4歯車104、第5歯車105が配置されている。
第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第3軸13は、多段歯車変速機1の出力側に配置された軸であり、第3軸13には、図1の右側から順に、第6歯車106、第7歯車107、第8歯車108、第9歯車109、第10歯車110が配置されている。
第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。
第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられている。
そして、第6歯車106は第1軸11の第2歯車102に噛み合い、第7歯車107はデファレンシャル歯車17の第16歯車116と噛み合い、第8歯車108は第1軸11の第3歯車103に噛み合う。第9歯車109は第2軸12の第4歯車104に噛み合い、第10歯車110は第2軸12の第5歯車105に噛み合っている。
第4軸14は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14には、図1の右側から順に、第11歯車111、第12歯車112、第13歯車113が配置されている。第11歯車111は、第4軸14に対して一体(一体化固定を含む)に設けられている。第12歯車112と第13歯車113は、軸方向に突出するボス部が第4軸14の外周に挿入される遊転歯車であり、第1係合クラッチC1を介し第4軸14に対して駆動連結可能に設けられている。そして、第11歯車111は第1軸11の第1歯車101に噛み合い、第12歯車112は第1軸11の第2歯車102と噛み合い、第13歯車113は第2軸12の第4歯車104と噛み合っている。
第5軸15は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14の第11歯車111と噛み合う第14歯車114が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられている。
そして、第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEは、互いに噛み合う第15歯車115、第14歯車114、第11歯車111、第1歯車101により構成されるギヤ列により機械的に連結されている。
このギヤ列は、第2モータジェネレータMG2による内燃機関ICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギヤ列となり、内燃機関ICEの駆動で第2モータジェネレータMG2により発電する(これをMG2発電と称する)。このMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギヤ列となる。
第1係合クラッチC1は、第4軸14のうち、第12歯車112と第13歯車113の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
第2係合クラッチC2は、第1軸11のうち、第2歯車102と第3歯車103の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
第3係合クラッチC3は、第3軸13のうち、第9歯車109と第10歯車110の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。
第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。
そして、多段歯車変速機1の第3軸13に一体(一体化固定を含む)に設けられた第7歯車107に噛み合う第16歯車116は、デファレンシャル歯車17及び左右のドライブ軸18を介して左右の駆動輪19に接続されている。
[ハイブリッド車両の制御系構成]
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
ハイブリッドコントロールモジュール21(略称:「HCM」)は、車両全体の消費エネルギを適切に管理する機能を担う統合制御手段である。このハイブリッドコントロールモジュール21は、他のコントロールユニット(モータコントロールユニット22、変速機コントロールユニット23、エンジンコントロールユニット24など)とCAN通信線25により双方向情報交換可能に接続されている。なお、CAN通信線25の「CAN」とは、「Controller Area Network」の略称である。
モータコントロールユニット22(略称:「MCU」)は、第1インバータ4と第2インバータ6に対する制御指令により第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御などを行う。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に対する制御モードとしては、「トルク制御」と「回転数FB制御」がある。「トルク制御」は、目標駆動力に対して分担する目標モータトルクが決まると、実モータトルクを目標モータトルクに追従させる制御を行う。「回転数FB制御」は、変速要求時に各係合クラッチC1,C2,C3の何れかを噛み合い締結する際に、クラッチ入出力回転数を回転同期させる目標モータ回転数を決め、実モータ回転数を目標モータ回転数に収束させるようFBトルクを出力する制御である。
変速機コントロールユニット23(略称:「TMCU」)は、所定の入力情報に基づいて各電動アクチュエータ31,32,33(図2参照)へ電流指令を出力することにより、多段歯車変速機1の変速パターンを切り替える変速制御を行う。この変速制御では、各係合クラッチC1,C2,C3を選択的に噛み合い締結/解放させ、複数対の歯車対から動力伝達に関与する歯車対を選択する。ここで、解放状態の各係合クラッチC1,C2,C3の何れかを締結する変速要求時は、クラッチ入出力の差回転数を抑え噛み合い締結するため、第1モータジェネレータMG1または第2モータジェネレータMG2の回転数FB制御(回転同期制御)を併用する。
エンジンコントロールユニット24(略称:「ECU」)は、所定の入力情報に基づきモータコントロールユニット22や点火プラグや燃料噴射アクチュエータなどへ制御指令を出力し、内燃機関ICEの始動制御や内燃機関ICEの停止制御や燃料カット制御などを行う。
[変速制御系構成]
多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを噛み合い締結させる変速要求時には、両モータジェネレータMG1,MG2のいずれかによる回転同期作動により、クラッチ入出力差回転数を同期判定回転数範囲内として噛み合いストロークさせて変速を実現する。なお、係合クラッチC3の締結時には第1モータジェネレータMG1により回転同期させ、第1、第2係合クラッチC1,C2の締結時には第2モータジェネレータMG2により回転同期させる。
また、締結されている各係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを解放させる変速要求があると、解放クラッチのクラッチ伝達トルクを低下させ、解放トルク判定値以下になると解放ストロークを開始することで変速を実現している。以下、図2に基づき、多段歯車変速機1の変速制御系構成を説明する。
多段歯車変速機1は、その変速制御系として、図2に示すように、前述した第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3を備えている。また、多段歯車変速機1は、その変速制御系のアクチュエータとして、C1,C2シフト動作用の第1電動アクチュエータ31と、C1,C2セレクト動作用の第2電動アクチュエータ32と、C3シフト動作用の第3電動アクチュエータ33を備えている。
そして、多段歯車変速機1は、アクチュエータ動作をクラッチ係合/解放動作に変換するシフト機構として、C1/C2セレクト動作機構40と、C1シフト動作機構41と、C2シフト動作機構42と、C3シフト動作機構43を備えている。これら、第1電動アクチュエータ31と第2電動アクチュエータ32と第3電動アクチュエータ33の作動は、変速機コントロールユニット23により制御される。
第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3は、ニュートラル位置(N:解放位置)と、左側締結位置(Left:左側クラッチ噛み合い締結位置)と、右側締結位置(Right:右側クラッチ噛み合い締結位置)と、を切り替えるドグクラッチである。各係合クラッチC1,C2,C3は何れも同じ構成であり、カップリングスリーブ51,52,53と、左側ドグクラッチリング54,55,56と、右側ドグクラッチリング57,58,59と、を備える。
カップリングスリーブ51,52,53は、第4軸14,第1軸11,第3軸13(図1参照)に固定された図外のハブを介してスプライン結合により軸方向にストローク可能に設けられている。これらカップリングスリーブ51,52,53は、両側に平らな頂面によるドグ歯51a,51b,52a,52b,53a,53bを有する。さらに、カップリングスリーブ51,52,53は、周方向中央部にフォーク溝51c,52c,53cを有する。
左側ドグクラッチリング54,55,56は、各係合クラッチC1,C2,C3の左側遊転歯車である各歯車113,103,110(図1参照)のボス部に固定され、ドグ歯51a,52a,53aに対向する平らな頂面によるドグ歯54a,55a,56aを有する。
右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109(図1参照)のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
C1/C2セレクト動作機構40は、第1電動アクチュエータ31とC1シフト動作機構41の連結を選択する第1位置と、第1電動アクチュエータ31とC2シフト動作機構42の連結を選択する第2位置と、を選択する機構である。
C1/C2セレクト動作機構40は、第1位置の選択時には、シフトロッド62と第1係合クラッチC1のシフトロッド64を連結すると共に、第2係合クラッチC2のシフトロッド65をニュートラル位置にロックする。
C1/C2セレクト動作機構40は、第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。
つまり、C1/C2セレクト動作機構40が第1位置と第2位置のうち、一方の係合クラッチをシフト動作する位置を選択すると、他方の係合クラッチはニュートラル位置でロック固定する機構としている。
C1シフト動作機構41とC2シフト動作機構42とC3シフト動作機構43は、第1、第3電動アクチュエータ31,33の回動動作を、カップリングスリーブ51,52,53の軸方向ストローク動作に変換する機構である。各シフト動作機構41,42,43は何れも同じ構成であり、回動リンク61,63と、シフトロッド62,64,65,66と、シフトフォーク67,68,69と、を備えている。回動リンク61,63は、一端が第1、第3電動アクチュエータ31,33のアクチュエータ軸に設けられ、他端がシフトロッド64(またはシフトロッド65),66に相対変位可能に連結される。シフトロッド64,65,66は、ロッド分割位置にスプリング64a,65a,66aが介装され、ロッド伝達力の大きさと方向に応じて伸縮可能とされている。シフトフォーク67,68,69は、一端がシフトロッド64,65,66に固定され、他端がカップリングスリーブ51,52,53のフォーク溝51c,52c,53cに配置されている。
変速機コントロールユニット23は、車速センサ71、アクセル開度センサ72、変速機出力軸回転数センサ73、エンジン回転数センサ74、MG1回転数センサ75、MG2回転数センサ76、インヒビタースイッチ77、バッテリSOCセンサ78などからのセンサ信号やスイッチ信号を入力する。なお、変速機出力軸回転数センサ73は、第3軸13(図1参照)の軸端部に設けられ、第3軸13の軸回転数を検出する。
さらに、変速機コントロールユニット23には、マニュアルモードスイッチ79からのスイッチ信号が入力される。このマニュアルモードスイッチ79は、ドライバが後述する手動モード変速制御による変速を行いたい場合に操作するスイッチである。
そして、変速機コントロールユニット23は、カップリングスリーブ51,52,53の位置によって決まる各係合クラッチC1,C2,C3の噛み合い締結と解放を制御する位置サーボ制御部(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。この位置サーボ制御部は、第1スリーブ位置センサ81、第2スリーブ位置センサ82、第3スリーブ位置センサ83からのセンサ信号を入力する。そして、位置サーボ制御部は、カップリングスリーブ51,52,53の位置が噛み合いストロークによる締結位置または解放位置になるように、各電動アクチュエータ31,32,33に電流を与える。
各係合クラッチC1,C2,C3は、カップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯との双方が噛合した噛み合い位置にある締結状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13に駆動連結する。
一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位してカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態とし、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
[変速段及びシフトスケジュールマップ構成]
多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、内燃機関ICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
変速機コントロールユニット23は、多段歯車変速機1の変速を行うのにあたり、「自動変速制御」と「手動モード変速制御」とを実行する。
「自動変速制御」は、図3に示すように、車速VSPと駆動力(ドライバ要求トルクF)とに応じた変速段に制御する。
自動変速制御における変速段の考え方は、図3に示すように、車速VSPが所定車速VSP0以下の発進領域においては、多段歯車変速機1が発進要素(滑り要素)を持たないため、「EVモード」でモータ駆動力のみによるモータ発進とする。そして、走行領域においては、駆動力の要求が大きいとき、エンジン駆動力をモータ駆動力によりアシストする「パラレルHEVモード」により対応するという変速段の考え方を採る。つまり、車速VSPの上昇に従って、ICE変速段は、(ICE1st→)ICE2nd→ICE3rd→ICE4thへと変速段が移行し、EV変速段は、EV1st→EV2ndへと変速段が移行する。
なお、図3において、点線により「EVモード」と「パラレルHEVモード」とを切り替えるEV⇔HEV切替線を示している。このEV⇔HEV切替線よりも上の領域が「パラレルHEVモード」の領域であり、EV⇔HEV切替線よりも下の領域が「EVモード」の領域である。
一方、「手動モード変速制御」は、いわゆる手動変速機による変速を演出する変速制御である。この手動モード変速制御は、完全に自動で変速制御を行ってもよいし、ドライバにより図示を省略したパドルシフトなどのシフト操作部の操作に応じて行ってもよい。本実施の形態1では、この「手動モード変速制御」による選択可能な変速段として、手動1速M1〜手動8速M8までの8段階の変速段(図5参照)を設定している。これらの手動1速M1〜手動8速M8のうち、内燃機関ICEと駆動輪19とが直結した変速段と、内燃機関ICEと駆動輪19とが切り離された仮想の疑似変速段とが存在するが、その詳細については後述する。
以下に、多段歯車変速機1により実現する変速段について説明する。
第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」は、内燃機関ICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV- ICEgen」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「Neutral」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV- ICE3rd」である。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、または、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1st ICE1st」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV1st ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV1st ICE3rd」である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1.5 ICE2nd」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2nd ICE3rd’」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV2nd ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV2nd ICE3rd」である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、または、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2.5 ICE4th」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE4th」である。
次に、第1〜第3係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる上記全変速段から「通常時使用変速段」を分ける手法について説明する。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
そして、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段の中から「通常使わない変速段(図3の右下がりハッチング)」と「低SOC等で使う変速段(図3の破線枠)」を除いた変速段を、「通常時使用変速段(図3の太線枠)」とする。ここで、「通常使わない変速段」とは、「EV2nd ICE3rd’」と「EV1st ICE4th」であり、「低SOC等で使う変速段」とは、「EV- ICEgen」と「EV1st ICE1st」である。また、「EV1st ICE1st」は、後述する手動変速モードでも使用する。
よって、「通常時使用変速段」は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)と、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)と、組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)に、「Neutral」を加えることによって構成される。
[手動モード変速制御処理構成]
この手動モード変速制御は、エンジン車による手動変速を体感できるように多段階に変速を行う制御である。そして、この手動モード変速制御では、後述する疑似変速段を用いて、多段歯車変速機1が有する内燃機関ICEと駆動輪19とが接続された実際の変速段の数である4段階よりも多段階の変速を行う。
図5は、手動モード変速制御時に切替可能な変速段における各段の変速比に応じた車速とエンジン回転数特性との関係を示しており、本実施の形態1では、手動1速M1〜手動8速M8の8段階の手動変速段を設定している。
この図5において、実線により示す手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8が、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続された変速段である。この場合、多段歯車変速機1を、「EV1st ICE1st」およびICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)のいずれかに制御する。
一方、図5において点線により示す手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6は、内燃機関ICEを駆動輪19から切り離し、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行する変速段である。この場合、多段歯車変速機1は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)に制御しつつ、4段階の疑似変速段を形成する。すなわち、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6では、実際には、EV1st ICE-、EV2nd ICE-のうちのいずれかの変速比でありながら、4通りの変速比を持つかのように制御する。
これらの疑似変速段では、第1モータジェネレータMG1の出力トルクを、駆動輪19に接続されていない内燃機関ICEが駆動輪19に接続されていると仮定した場合の車両の前後加速度G(前後G)変化を模して制御する。
すなわち、手動変速機を備えたエンジン車では、変速の際には、動力源である内燃機関と駆動輪との間に介在されたクラッチを解放して両者を切り離した上で、動力伝達を行うギヤ列の切り替えを行う。したがって、シフトアップ変速時には、クラッチ解放時に伴う動力伝達の中断により、一旦、前後加速度Gが低下した後、前後加速度Gが上昇するという前後加速度G変化が生じる。また、各変速段では、それぞれ各変速比に応じて、異なる前後加速度Gが生じる。
本実施の形態1では、各疑似変速段において、それぞれ、変速タイミングおよび仮定する変速比に応じた前後加速度G変化が生じるように、第1モータジェネレータMG1の駆動トルクを制御する。これにより、運転者に、仮定の変速の切り替えおよび変速比に応じた前後加速度G変化を体感させることで、疑似変速段を形成する。
以下に、手動1速M1〜手動8速M8の8段階の変速について詳細に説明する。
まず、図5において、実線により示す手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8の変速比について説明する。
手動2速M2の場合に選択する「EV1st ICE1st」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第3係合クラッチC3をLeftに制御するとともに、第2係合クラッチC2をNに制御する。この場合、内燃機関ICEの動力は、図6の装飾線M2に示すように、第1歯車101と第11歯車111とを介した伝達、第13歯車113と第4歯車104を介した伝達、第5歯車105と第10歯車110とを介した伝達を経て、駆動輪19側に伝達される。この場合の変速比は、主として、第13歯車113と第4歯車104とのギヤ比により決定される。
また、手動5速M5の場合に選択する「EV- ICE2nd」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第3係合クラッチC3をNに制御するとともに、第2係合クラッチC2をLeftに制御する。これにより、内燃機関ICEの動力は、図6の装飾線M5に示すように、第3歯車103と第8歯車108とを介して、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。
この場合の変速比は、主として、第3歯車103と第8歯車108とのギヤ比で決定される。
手動7速M7の場合に選択する「EV- ICE3rd」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1をRightに制御するとともに、第2係合クラッチC2および第3係合クラッチC3をNに制御する。これにより、内燃機関ICEの動力は、図6の装飾線M7に示すように、第1歯車101と第11歯車111とを介した伝達、第12歯車112と第2歯車102を介した伝達、第2歯車102と第6歯車106とを介した伝達を経て、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。この場合の変速比は、主として、第12歯車112と第6歯車106とのギヤ比により決定される。
手動8速M8の場合に選択する「EV- ICE4th」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第3係合クラッチC3をNに制御するとともに、第2係合クラッチC2をRightに制御する。これにより、内燃機関ICEの動力は、図6の装飾線M8に示すように、第2歯車102と第6歯車106とを介した伝達を経て、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。この場合の変速比は、主として、第2歯車102と第6歯車106とのギヤ比により決定される。
次に、内燃機関ICEと駆動輪19とを切り離し、第1モータジェネレータMG1の駆動力により走行する手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6について説明する。
図5に示すように、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4では、「EV1st ICE-」を選択
し、手動6速M6では「EV2nd ICE-」を選択する。
「EV1st ICE-」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第2係合クラッチC2をNに制御するとともに、第3係合クラッチC3をLeftに制御する。これにより、第1モータジェネレータMG1の動力は、図6の装飾線M1、M3.M4に示すように、第5歯車105と第10歯車110とを介した伝達を経て、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。
この場合の変速比は、主として、第5歯車105と第10歯車110とのギヤ比により決定される。この「EV1st ICE-」での変速比は、「EV1st ICE1st」での第13歯車113と第4歯車104とのギヤ比、「EV- ICE2nd」での第3歯車103と第8歯車108とのギヤ比よりも小さな値となる。
また、多段歯車変速機1を実際には「EV1st ICE-」とする、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4は、それぞれ、機械的には、第13歯車113と第4歯車104とのギヤ比により規定される変速比であるが、それとは異なる疑似変速段を形成する。
すなわち、図5に示すように、手動1速M1では、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されている手動2速M2の変速比よりも高変速比の疑似変速段を形成する。一方、手動3速M3および手動4速M4では、機械的に接続されている内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されている手動2速M2の変速比と手動5速M5の変速比との間で略等間隔で配置した変速比の疑似変速段を形成する。
「EV2nd ICE-」では、図4の締結表に基づいて、第1係合クラッチC1および第2係合クラッチC2をNに制御するとともに、第3係合クラッチC3をRightに制御する。これにより、第1モータジェネレータMG1の動力は、図6の装飾線M6に示すように、第4歯車104と第9歯車109とを介した伝達を経て、第3軸13から駆動輪19側に伝達される。
この場合の変速比は、主として、第4歯車104と第9歯車109とのギヤ比により決定される。この「EV2nd ICE-」でのギヤ比は、「EV- ICE3rd」での第12歯車112と第6歯車106とのギヤ比よりも小さく、「EV- ICE4th」での第2歯車102と第6歯車106とのギヤ比と同等の値となる。
多段歯車変速機1を「EV2nd ICE-」とする手動6速M6では、変速比を、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されている手動5速M5の変速比と手動7速M7の変速比との間の変速比の疑似変速段を形成する。
このように、「EV1st ICE-」および「EV2nd ICE-」のギヤ比は、図5において点線により示す手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6のギヤ比とは異なる。しかし、手動変速モードでは、第1モータジェネレータMG1の出力トルク、内燃機関ICEの出力トルクおよび回転数の制御により、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6の変速比であるかのように制御する。
以下に、図7のフローチャートに基づいて、手動モード変速制御における変速制御の処理の流れを説明する。なお、この手動モード変速制御は、図2に示すマニュアルモードスイッチ79の投入により開始し、ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24により総合的に行う。
まず、ステップS1では、変速段iへの変速要求の有無を判定し、変速要求があればステップS2に進み、変速要求が無ければ、所定周期で繰り返す処理の1回の処理を終了する。なお、この変速段iは、前述した図5に示す手動1速M1〜手動8速M8のいずれかの変速段である。
ここで、変速段iへの変速要求は自動変速制御に基づくものであってもよいし、例えば、パドルシフトなどによる手動のシフト操作に基づくものであってもよい。
自動変速制御の場合は、車速VSPとドライバ要求トルクFとに応じて予め設定された変速段iを算出する。
ステップS1において変速段iへの変速要求がある場合に進むステップS2では、変速段iが、機械的(メカ的)に存在する変速段xであるか否か判定し、変速段xの場合は、ステップS3に進み、機械的に存在する変速段xではない場合はステップS4に進む。
ここで、機械的に存在する変速段xとは、前述した内燃機関ICEと駆動輪19とが直結した手動2速M2、手動5速M5、手動7速M7、手動8速M8のいずれかの変速段である。また、機械的に存在する変速段xではない場合とは、変速段iが、内燃機関ICEと駆動輪19とが接続されていない、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6のいずれかである場合である。
ステップS2において、変速段iが機械的に存在する変速段xである場合に進むステップS3では、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクF相当分とし、多段歯車変速機1を変速段iである変速段xに変速する。
一方、ステップS2において、変速段iが、機械的に存在する変速段xではない場合に進むステップS4では、第2モータジェネレータMG2の温度が、予め設定された発電を禁止する温度閾値tyよりも高いか否か判定する。そして、第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高い場合はステップS5に進み、温度閾値ty以下の場合はステップS6に進む。
第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高い場合に進むステップS5では、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクF相当分とし、かつ、多段歯車変速機1の変速段を、変速段iより高い側で最も近い変速段x(=i+α)に制御する。すなわち、変速段iよりも高く、変速段iに最も近い、機械的に存在する変速段xに設定制御する。具体的には、変速段iが、手動1速M1の場合は手動2速M2とする。また、変速段iが、手動3速M3もしくは手動4速M4の場合は、手動5速M5とする。また、変速段iが、手動6速M6の場合は、手動7速M7とする。
ステップS4において第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値ty以下の場合に進むステップS6では、内燃機関の出力トルクTeをドライバ要求トルクFとし、かつ、この出力トルクTeにより第2モータジェネレータMG2を発電する。
このとき、内燃機関ICEは、駆動輪19と接続されていないが、内燃機関ICEは、ドライバ要求トルクF、すなわち、ドライバのアクセル操作に応じた出力トルクとして発電を行う。この内燃機関ICEの駆動および発電による駆動トルクの吸収により発生する音や振動で、ドライバに対して内燃機関ICEの駆動による加速感を演出できる。
また、本実施の形態1では、図示を省略するが、車両のインストルメントパネルにはエンジン回転数メータを備えており、内燃機関ICEの駆動に応じてエンジン回転数メータの指針が変動する。このエンジン回転数メータの指針の動きによっても、ドライバに対して内燃機関ICEの駆動による加速感を演出できる。したがって、ステップS6では、同時に内燃機関ICEの回転数を、その疑似変速段の変速比と車速とに応じた回転数となるように制御する。
上記ステップS6の処理後、ステップS7に進んで、第1モータジェネレータMG1によりドライバ要求トルクF分の出力トルクTmを発生し、駆動輪19に伝達する。このとき、変速段iで内燃機関ICEをドライバ要求トルクFに応じて駆動させたときの前後加速度Gを再現するように、第1モータジェネレータMG1の出力トルクTmを制御する。
すなわち、第1モータジェネレータMG1の出力トルクTmを駆動輪19に伝達する場合、後述する図8において力行モータ(MG1)トルクの変化を示すように、山を描くように制御する。つまり、変速初期では急上昇させることで、前後加速度Gを立ち上げ、その後、トルクを略一定に保持して前後加速度G変化を抑えた後、次の変速に向けてトルクを低下させ、前後加速度Gを低下させる。
また、上記の再現する前後加速度Gは、手動変速段M1,M3,M4,M6の各変速比の変速機を介して内燃機関ICEが駆動輪19に接続されていると仮定し、かつ、内燃機関ICEをドライバ要求トルクFに応じて駆動した場合に生じる前後加速度Gとする。
そして、エンジン回転数は、図5において矢印により示すように、車速と仮想の変速比とに応じて変化させる。
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の作用を図8のタイムチャートに基づいて説明する。
なお、この図8のタイムチャートは、t0の時点の停車状態から、t1の時点から手動モード変速制御で発進し、図5において矢印により示すように各手動変速段M1〜M6に一段ずつシフトアップしながら加速を行った場合の動作例を示している。
以下に、手動変速段M1〜M6の手動変速段ごとに説明する。
t1の時点からt2の時点の間は、手動1速M1として第1モータジェネレータMG1の駆動力により発進する。この手動1速M1は、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されていない仮想の疑似変速段であり、図7のステップS7の処理に基づいて、第1モータジェネレータMG1によりドライバ要求トルクF分のトルクを発生させる。
この場合、多段歯車変速機1は、「EV1st ICE-」とし、図4の締結表に示すように、第3係合クラッチC3をLeftとするとともに、第1係合クラッチC1および第2係合クラッチC2をNとする。
そして、第1モータジェネレータMG1は、図5に示す手動1速M1の仮想の変速比により内燃機関ICEをドライバ要求トルクFに応じて駆動させた場合の図8に示す前後加速度Gが得られるように出力トルクを制御する。具体的には、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、t1の時点から上昇させた後、ドライバがt2の時点での手動2速M2への変速に向けて仮想のクラッチを解放した場合のように前後加速度Gを低下させる。
これにより、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、図示のような山なり形状に出力制御する。
同時に、このt1の時点からt2の時点の間では、ステップS6の処理に基づいて、内燃機関ICEもドライバ要求トルクF相当の出力トルクTeを発生させ、かつ、この出力トルクTeにより第2モータジェネレータMG2を発電させて、その駆動力を吸収する。この場合の内燃機関ICEの出力トルクTeも、図示のように山なり形状の出力とし、変速によりクラッチを解放する際のトルク変化を再現する。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t1の時点から徐々に上昇し、変速を行うt2の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
したがって、手動1速M1では、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されていないにも関わらず、ドライバに対して、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されているかのように、音や振動を演出することができる。
加えて、図示を省略したエンジン回転数メータの指針も、内燃機関ICEの出力トルクにより加速を行っているとともに、変速を行っているかのように回動する。
なお、この動作例では、t1〜t2の間では、第1モータジェネレータMG1の力行出力に対して第2モータジェネレータMG2の発電量が不足しており、強電バッテリ3から不足分の電力を出力している。
次に、t2の時点での、手動1速M1から手動2速M2への変速では、多段歯車変速機1を、「EV1st ICE-」から「EV1st ICE1st」に実際に変速するもので、この変速では、第1係合クラッチC1をニュートラルNからLeftに切り替える。この場合、エンジン回転数と力行モータ回転数(第1モータジェネレータMG1の回転数)とに基づいて、第1係合クラッチC1の回転同期を行ってLeft側に締結する。
そして、t2の時点とt3の時点の間の手動2速M2(「EV1st ICE1st」)では、内燃機関ICEを機械的に駆動輪19に接続した変速段であるため、ステップS3の処理に基づいて、内燃機関ICEの出力トルクを駆動輪19に伝達する。
したがって、このt2〜t3の間では、上記回転同期後は、第1モータジェネレータMG1の回転数(力行モータ回転数)を「0」とし、かつ、第2モータジェネレータMG2の発電量に対応した発電モータトルクも「0」とする。
なお、この手動2速M2では、疑似変速段である手動1速M1の変速比に対して現実の変速比が低くなるため、前後加速度Gは、手動1速M1の際の前後加速度Gよりも若干低い値となる。
また、このt2〜t3の間では、内燃機関ICEが機械的に駆動輪19に接続されるため、現実のドライバの加速操作に応じた加速感、および、内燃機関ICEによる音や振動が実際に得られる。
次に、t3の時点での手動2速M2から手動3速M3への変速では、多段歯車変速機1を、「EV1st ICE1st」から「EV1st ICE-」に変速する。
この場合、第1係合クラッチC1をLeftからNに切り替えるもので、その切り替えに先立ち、第1係合クラッチC1の前後の回転同期を行う。すなわち、図8に示すように、t3の時点の直前で、エンジン回転数を低下させる一方で、第1モータジェネレータMG1の出力トルクを上昇させて力行モータ回転数を上昇させ、回転同期を行って伝達トルクを低下させた上で、ニュートラルNに切り替える。
このt3の時点からの手動3速M3およびt4の時点からの手動4速M4は、仮想の疑似変速段である。
すなわち、t3の時点からt4の時点では、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、図5に示す手動3速M3の変速比で内燃機関ICEの出力トルクにより加速したと仮定した場合の前後加速度Gが得られるように制御する。なお、この手動3速M3のときの前後加速度Gは、手動2速M2の前後加速度Gよりも若干低い値となるように第1モータジェネレータMG1の出力トルクを制御する。
同時に、このt3の時点からt4の時点の間でも、ステップS6の処理に基づいて、内燃機関ICEもドライバ要求トルクF相当の出力トルクTeを発生させ、かつ、この出力トルクTeにより第2モータジェネレータMG2を発電させて、その駆動力を吸収する。この場合の内燃機関ICEの出力トルクTeも、図示のように山なり形状の出力とし、変速によりクラッチを解放する際のトルク変化を再現する。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t3の時点から徐々に上昇し、変速を行うt4の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
したがって、手動3速M3では、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されていないにも関わらず、ドライバに対して、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されているかのように、音や振動を演出することができる。また、図示を省略したエンジン回転数メータの指針の回動によっても、加速および変速を演出することができる。
次に、t4の時点での手動3速M3から手動4速M4への変速では、多段歯車変速機1は、実際には「EV1st ICE-」を維持して変速は行わない。
この手動3速M3から手動4速M4への変速を模して、t4の時点の前には、内燃機関ICEと駆動輪19との接続を断つクラッチ解放が実行される場合を仮定して、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を低下させる。これにより、変速の際のトルク抜け感を演出する。
また、疑似変速段である手動4速M4t4への疑似変速後は、図5に示す手動4速M4の変速比により内燃機関ICEを駆動させた場合の前後加速度Gが得られるように第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を制御する。なお、この手動4速M4での前後加速度Gは、図8に示すように、手動3速M3での前後加速度Gよりも若干低くなるよう第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を制御する。また、
手動4速M4による加速時間(t4〜t5の間隔)を、手動1速M1、手動2速M2、手動3速M3の加速時間よりも若干長くすることで、手動変速の演出効果を高める。
同時に、このt4の時点からt5の時点の間でも、ステップS6の処理に基づいて、内燃機関ICEもドライバ要求トルクF相当の出力トルクTeを発生させ、かつ、この出力トルクTeにより第2モータジェネレータMG2を発電させて、その駆動力を吸収する。この場合の内燃機関ICEの出力トルクTeも、図示のように山なり形状の出力とし、変速によりクラッチを解放する際のトルク変化を再現する。
さらに、エンジン回転数も、図8に示すように、t4の時点から徐々に上昇し、変速を行うt5の時点の直前で、アイドル回転に向けて低下させる。
したがって、手動4速M4では、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されていないにも関わらず、ドライバに対して、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に接続されているかのように、音や振動を演出することができる。また、図示を省略したエンジン回転数メータの指針の回動によっても、加速および変速を演出することができる。
次に、t5の時点では、手動4速M4から手動5速M5へ変速するし、このとき、多段歯車変速機1は、「EV1st ICE-」から「EV- ICE2nd」に変速する。
したがって、第1係合クラッチC1はNのまま、第2係合クラッチC2をNからLeftに切り替えるとともに、第3係合クラッチC3をLeftからNに切り替える。
この場合、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を抜いてから、第3係合クラッチC3を解放する。
また、第2係合クラッチC2は、内燃機関ICEをアイドル状態とするとともに、上記の力行モータトルクの低下によりモータ回転数が低下して第2係合クラッチC2の入出力側の回転同期ができた時点で、第2係合クラッチC2をLeftに切り替える。
そして、この手動5速M5では、内燃機関ICEをドライバ要求トルクFが得られるよう駆動させ、その出力トルクTeにより走行する。このため、第1モータジェネレータMG1の回転数である力行モータ回転数を「0」とし、かつ、第2モータジェネレータMG2の発電量である発電モータトルクも「0」とする。
なお、この手動5速M5での前後加速度Gは、手動4速M4での前後加速度Gよりも若干低い値に制御し、かつ、手動5速M5による加速時間(t5〜t6の時間)も、手動4速M4の加速時間(t4〜t5の時間)よりも若干長くする。
次に、t6の時点で、手動5速M5から手動6速M6へ変速する。この場合、多段歯車変速機1は、「EV- ICE2nd」から「EV2nd ICE-」に変速する。なお、実施の形態1では、「EV1st ICE-」ではモータ回転数が高回転になりすぎるため「EV2nd ICE-」に変速するが、第1モータジェネレータMG1の性能として、この場合の回転数での駆動が可能であれば、「EV1st ICE-」としてもよい。
この多段歯車変速機1の「EV- ICE2nd」から「EV2nd ICE-」への変速では、第1係合クラッチC1はNのまま、第2係合クラッチC2をLeftからNに切り替え、かつ、第3係合クラッチC3をNからRightに切り替える。
この変速時には、内燃機関ICEの出力トルクTeをアイドル状態のトルクに低下させ、また、第1モータジェネレータMG1の回転数上昇により、第2係合クラッチC2の伝達トルクを低下させてNに切り替える。
また、t6の時点よりも前に第1モータジェネレータMG1の出力トルクを上昇させて第3係合クラッチC3の入出力回転を同期させてNからRightに切り替える。
この手動6速M6は、仮想の疑似変速段であり、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、手動6速M6の変速比(図5参照)で内燃機関ICEを駆動させた場合の前後加速度Gが得られるように制御する。なお、この手動6速M6の前後加速度Gは、手動5速M5の前後加速度Gよりもさらに若干低い値に制御する。
同時に、他の仮想の疑似変速段と同様に、実際に内燃機関ICEをドライバ要求トルクFに応じて駆動させるとともに、その駆動力を第2モータジェネレータMG2の発電により吸収する(ステップS6)。また、エンジン回転数も、図8に示すように、内燃機関ICEにより加速を行っているように変化させる。
したがって、内燃機関ICEによる音、振動およびエンジン回転数メータ(図示省略)の指針の回動により、内燃機関ICEの出力トルクTeで加速を行っているかのような演出効
果を得ることができる。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
車両の動力源としての走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)と、
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の電源に含まれ、内燃機関ICEの駆動により発電する発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)と、
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)、内燃機関ICE、発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)の作動を制御する出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)と、
を備え、内燃機関ICEを駆動させて発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)により発電しながら、走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の駆動力により走行するシリーズHEV走行が可能なハイブリッド車両の制御装置において、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、シリーズHEV走行時に、駆動輪19に有段の変速機を介して仮想内燃機関(内燃機関ICE)が接続されていると仮定した場合の各変速段に応じた車両の前後加速度変化を模して走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)の出力を制御して疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
このため、内燃機関ICEと駆動輪19とが機械的に結合していない状態で、疑似変速段を形成して、実際の多段歯車変速機1の機械的な変速段よりも多段化した変速をドライバに体感させることが可能となる。具体的には、本実施の形態1では、手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6の疑似変速段を形成して、実際に内燃機関ICEが駆動輪19を機械的に結合する変速段の数である4段よりも多い8段階の変速体感が可能である。
よって、実際に8段の変速が可能な変速機よりも低コスト、小型、軽量の前進4速の多段歯車変速機1を用いながら、8段階の変速を体感可能であり、低コストで多段化要求を満足可能となる。
(2) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)の形成時に、内燃機関ICEの出力トルクと回転数とを、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)に応じた内燃機関ICEの出力を模して制御することを特徴とする。
したがって、上記(1)の効果に加え、内燃機関ICEの駆動により生じる音や振動が、ドライバ操作に対応して発生し、内燃機関ICEと駆動輪19とが多段歯車変速機1を介して実際に接続されているかのような走行フィールを演出できるという効果が得られる。すなわち、内燃機関ICEの回転数上昇やトルクの盛り上がりを体感できる。また、内燃機関ICEの回転数変化を、エンジン回転数メータ(図示省略)の指針の回動変化により視覚的にも体感することができ、演出効果をさらに向上できる。
(3) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段の形成時に、内燃機関ICEを、運転者の操作に応じた出力トルクであるドライバ要求トルクFに応じて制御し、さらに、内燃機関ICEの出力トルクを発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)の発電により吸収することを特徴とする。
したがって、内燃機関ICEを運転者の操作に応じた出力トルクとした際に、内燃機関ICEの出力トルクを第2モータジェネレータMG2の発電により吸収することで、内燃機関ICEの出力が変速機に入力される機械的なトルク伝達状態を再現できる。これにより、上記(2)の演出効果を、さらに向上できる。
(4) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)と駆動輪19との動力伝達系に多段歯車変速機1を備え、
多段歯車変速機1を制御する変速機コントロールユニット23は、手動変速を模して変速する手動モード変速制御を実行し、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、手動モード変速制御時に、疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
したがって、手動変速感を味わうことができる手動モード変速制御時に、多段化を体感できるようにして、手動モード変速制御による多段化要求を満足できる。
(5) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、多段歯車変速機1の実現可能な変速段とは異なる変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を、疑似変速段により形成することを特徴とする。具体的には、本実施の形態1では、「EV1st ICE-」を用いて、実際の変速比とは異なる3段階の変速比の疑似変速段を形成する。また、「EV2nd ICE-」を用いて、「EV2nd ICE-」の変速比とは異なる疑似変速段を形成する。
したがって、多段歯車変速機1による切替可能な変速段の数よりも多い多段化の体感を可能として、実際の多段化を図るよりも小型、軽量、低コストでの多段変速の体感が可能となる。
(6) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
多段歯車変速機1は、走行用電動機(第1モータジェネレータMG1)を動力源とし内燃機関ICEを駆動輪19から切り離したモータ変速段と、内燃機関ICEを駆動輪19に接続したエンジン変速段と、を形成可能とし、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、モータ変速段(「EV1st ICE-」「EV2nd ICE-」)で疑似変速段(手動1速M1、手動3速M3、手動4速M4、手動6速M6)を形成することを特徴とする。
したがって、エンジン変速段を用いた実際の機械的な変速に加え、モータ変速段により内燃機関ICEが駆動輪19に接続されているかのような演出を行って、ハイブリッド車両における多段歯車変速機1の多段変速演出を図ることができる。
(7) 実施の形態1のハイブリッド車両の制御装置は、
シリーズHEV走行の実施が可能か否かを検出する走行状態検出部として、ステップS4の発電用の第2モータジェネレータMG2の温度判定の処理部を備え、
出力コントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール21、モータコントロールユニット22、エンジンコントロールユニット24)は、疑似変速段形成時に、第2モータジェネレータMG2による発電ができずシリーズHEV走行の実施ができない場合、多段歯車変速機1を、エンジン変速段とし内燃機関ICEの駆動力により走行することを特徴とする。
したがって、強電バッテリ3に充電できない状態や発電用電動機(第2モータジェネレータMG2)が作動できない場合のように、シリーズHEV走行を実施できない場合であっても、手動モード変速制御を継続して多段変速を行うことができる。
(他の実施の形態)
次に、他の実施の形態のハイブリッド車両の駆動装置について説明する。
なお、他の実施の形態を説明するのにあたり、実施の形態1との相違点のみ説明する。
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1の変形例であり、実施の形態1における内燃機関ICEによる演出駆動の他の例を示す。
この実施の形態2では、図9に示すように、内燃機関ICEは、駆動輪19と完全に切りか離され、第2モータジェネレータMG2の発電専用としている。
そして、走行用の第1モータジェネレータMG1と駆動輪19との間には、有段の変速機200を設けている。
実施の形態2では、有段の変速機200を設けていないものとする。なお、変速機200を設ける場合、その構造は、実施の形態1にて示した多段歯車式のものに限らず、いわゆるCVTと呼ばれるベルト式無段変速機や、ATと呼ばれる自動変速機を用いることもできる。
この実施の形態2では、全ての手動変速段を疑似変速段により形成する。図11の動作例を示すタイムチャートでは、手動1速M1〜手動6速M6を表示しているが、実施の形態1と同様に、それ以上の変速段を形成してもよい。
図10は、実施の形態2の手動モード変速制御時の処理の流れを示すフローチャートであって、基本的には、実施の形態1と比較して、機械的に存在する変速段に対応するステップS2、S3、S5を省略している。
また、実施の形態2では、ステップS4において、発電モータとしての第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高く、発電できない場合に進むステップS25の処理が、実施の形態1と異なり、発電を中止する。
この場合、内燃機関ICEは、駆動自体を中止してもよいし、あるいは、内燃機関ICEをアイドル出力として、エンジン回転数のみ上昇させてもよい。
次に、実施の形態2の作用を、図11のタイムチャートに基づいて説明する。
図11は、実施の形態2において実施の形態1と同様の加速を行った場合の動作例を示している。
この図に示すように、手動1速M1〜手動6速M6における車速変化、前後加速度G変化、エンジン回転数の変化は、実施の形態1と同様に制御する。
また、この実施の形態2では、全ての変速段である手動1速M1〜手動6速M6において、疑似変速段を形成する。すなわち、第1モータジェネレータMG1の出力トルク(力行モータトルク)を、駆動輪19に有段の変速機を介して内燃機関ICEが接続されている場合の各変速段に応じた車両の前後加速度Gの変化を模して制御する。
そして、このとき、内燃機関ICEは、出力トルクを、ドライバ要求トルクFに応じて出力するとともに、その出力を、第2モータジェネレータMG2の発電により吸収する。
したがって、実施の形態2では、上記(1)〜(3)の効果に加え、第1モータジェネレータMG1と駆動輪19との間に有段変速機を有していないハイブリッド車両において、手動モード変速制御による多段変速の体感が可能となるという効果を奏する。
加えて、第1モータジェネレータMG1は、一般的な特性として、低回転から高トルクが出力可能であるため、シリーズHEV走行時には、多段階の変速は必ずしも必要ではない。本実施の形態1では、このようなシリーズHEV走行時に、従来には無い、エンジン車による多段階の変速を体感できる。
(実施の形態3)
実施の形態3のハイブリッド車両の制御装置は、実施の形態2の変形例であり、ステップS25およびステップS6の処理の変形例を示している。
まず、この実施の形態3におけるステップS25の処理を説明する。第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高い場合に進むステップS25では、内燃機関ICEは、エンジン回転数のみ各手動変速段の変速比と車速とに応じた回転数とする一方、エンジントルクはアイドル回転時のトルクに制御する。これにより、第2モータジェネレータMG2の発電量を抑制しつつ(最大で発電量「0」まで抑制)、内燃機関ICEは変速時の回転数に再現して、多段変速の体感演出効果を得る。
実施の形態3のステップS6では、強電バッテリ3のバッテリSOCに応じ、バッテリSOCが予め設定された要充電閾値よりも高く、予め設定された要放電閾値よりも低い場合には、実施の形態1,2と同様の処理を行う。すなわち、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクF相当とし、第2モータジェネレータMG2により発電する。
それに対し、バッテリSOCが要充電閾値よりも低い場合には、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクFよりも高い値とし、第2モータジェネレータMG2による発電量を増加し、強電バッテリ3を充電する。
一方、バッテリSOCが要放電閾値よりも高い場合には、内燃機関ICEの燃料カットを行って出力トルクTeを「0」とし、第2モータジェネレータMG2を力行させることでエンジン回転数を上昇させる。これにより、強電バッテリ3の放電を行って、バッテリSOCを低下させることができる。
さらに、この場合、エンジン回転数の上昇により、図示を省略したエンジン回転数メータは、実施の形態1と同様に、内燃機関ICEの駆動により加速している演出を行うことができる。また、第2モータジェネレータMG2を力行させてエンジン回転数を上昇させた場合、内燃機関ICEの出力トルクは、エンジンブレーキが作用するマイナストルク状態とすることが可能である。
次に、実施の形態3の作用を、図12のタイムチャートに基づいて説明する。
図12は、実施の形態3において実施の形態1と同様の加速を行った場合の動作例を示している。
この図に示すように、手動1速M1〜手動6速M6における車速変化、前後加速度G変化、エンジン回転数の変化は、実施の形態1と同様に制御する。
図12においてt31の時点からの手動1速M1、t32の時点からの手動2速M2は、第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値tyよりも高く、第2モータジェネレータMG2の発電を行わない場合の動作を示している。
この場合、第1モータジェネレータMG1の駆動状態は実施の形態2と同様であり、それぞれ、手動1速M1、手動2速M2での車両の前後加速度G変化を再現している。
一方、内燃機関ICEは、エンジン回転数を、実施の形態2と同様に、手動1速M1、手動2速M2での加速時の回転数を再現しているが、エンジントルクは、アイドル回転時相当に抑えている。これにより、第2モータジェネレータMG2の発電量を抑え第2モータジェネレータMG2の発熱を抑えている。
なお、この場合、第1モータジェネレータMG1は、強電バッテリ3のバッテリ出力により賄う。
図12においてt33の時点からの手動3速M3は、第2モータジェネレータMG2の温度が温度閾値ty以下であり、かつ、バッテリSOCが要充電閾値と要放電閾値との間の良好な場合の動作例を示している。
このt33の時点からの手動3速M3時の動作は実施の形態1,2と同様であり、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクF相当とし、第2モータジェネレータMG2により発電する。なお、この動作例の場合、第2モータジェネレータMG2による発電量よりも第1モータジェネレータMG1による電力使用量が上回り、その差分は、強電バッテリ3からのバッテリ出力を使用する。
t34の時点からの手動4速M4は、バッテリSOCが要充電閾値よりも低下した場合の動作例を示している。
この場合、内燃機関ICEの出力トルクTeをドライバ要求トルクFよりも高い値とし、ドライバ要求トルクFで駆動した場合よりも第2モータジェネレータMG2による発電量を増加させる。
したがって、強電バッテリ3の充電を行って、バッテリSOCを増加させることができる。
図12においてt35の時点からの手動5速M5は、バッテリSOCが要放電閾値よりも高い場合の動作例を示している。
この場合、内燃機関ICEでは燃料カットを行い、さらに、第2モータジェネレータMG2を力行駆動させることで、エンジン回転数を、手動5速M5の仮想の変速比に応じた回転数となるよう制御する。
したがって、両モータジェネレータMG1,MG2の力行駆動により強電バッテリ3の放電を行って、バッテリSOCを理想の値まで低下させることができる。
また、この場合、エンジン回転数の上昇により、図示を省略したエンジン回転数メータにおいて、指針を回動させて内燃機関ICEの駆動により加速している演出を行うことができる。
実施の形態3では、手動モード変速制御時に、第2モータジェネレータMG2が温度閾値tyよりも高温となり発電できない場合、第2モータジェネレータMG2の発電を中止し、かつ、エンジン回転数を各手動変速段の変速比に応じた回転数に制御するようにした。
したがって、手動モード変速制御では、第1モータジェネレータMG1の出力トルクの制御により手動多段変速による前後加速度Gを再現しつつ、内燃機関ICEの手動多段変速時のエンジン回転数変化を再現して、手動多段変速の演出効果を高めることができる。しかも、第2モータジェネレータMG2の発電を中止して、第2モータジェネレータMG2の温度上昇を抑制できる。
また、実施の形態3では、手動モード変速制御時に、強電バッテリ3のバッテリSOCが低くなって充電が必要な場合は、エンジントルクを、ドライバ要求トルクFよりも大きく制御するようにした。
よって、第2モータジェネレータMG2の発電量を、バッテリSOCが十分な場合よりも増加させて、強電バッテリ3のバッテリ出力を抑えたり、さらには、強電バッテリ3に充電したりすることができる。これにより、強電バッテリ3が過放電になることを抑制し、バッテリSOCを、要充電閾値よりも高い良好な状態に保つことができる。
さらに、実施の形態3では、手動モード変速制御時に、強電バッテリ3のバッテリSOCが高くなって放電が必要な場合は、内燃機関ICEの燃料カットを行い、第2モータジェネレータMG2を力行駆動させてエンジン回転数を、上昇させるようにした。
よって、走行のための第1モータジェネレータMG1の駆動による放電に加え、第2モータジェネレータMG2の駆動による放電を行って、強電バッテリ3が過充電となるのを抑制できる。しかも、この際、内燃機関ICEのエンジン回転数は、変速比に応じた回転数に制御するため、エンジン回転数メータによる演出効果を確保できる。
発電量を、バッテリSOCが十分な場合よりも増加させて、強電バッテリ3のバッテリ出力を抑えたり、さらには、強電バッテリ3に充電したりすることができる。これにより、強電バッテリ3が過放電になることを抑制し、バッテリSOCを、要放電閾値よりも低い良好な状態に保つことができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
例えば、実施の形態では、手動モード変速制御時に疑似変速段を形成するようにした例を示したが、これに限定されるものではなく、通常の自動変速時に、疑似変速段を用いた変速を行うようにしてもよい。
また、実施の形態では、疑似変速段の形成時に、内燃機関の出力トルクをドライバ要求トルクに応じた値に制御する例を示したが、これに限定されず、単に、演出効果を得るために予め設定されたトルクや回転数に制御してもよい。
また、実施の形態では、加速時のシフトアップ変速の動作例のみを示したが、シフトダウン操作にも適用することができる。
1 多段歯車変速機
3 強電バッテリ
19 駆動輪
21 ハイブリッドコントロールモジュール(制御装置)
22 モータコントロールユニット(制御装置)
23 変速機コントロールユニット
24 エンジンコントロールユニット(制御装置)
MG1 第1モータジェネレータ(走行用電動機)
MG2 第2モータジェネレータ(発電用電動機)
ICE 内燃機関

Claims (4)

  1. 車両の駆動輪を駆動する走行用電動機と、
    前記走行用電動機の電源に含まれ、内燃機関の駆動により発電する発電用電動機と、
    前記内燃機関と前記駆動輪との間に配置され、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段を形成可能な動力伝達機構と、
    を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記制御装置は、
    前記駆動輪の回転数に対する前記内燃機関の回転数の比が異なる所定の比となる複数の疑似変速段を形成し、
    かつ、前記車両が加速されている期間において、
    前記動力伝達経路の切り替えを伴わずに前記疑似変速段の変速として前記内燃機関の回転数が減少する疑似有段変速と、
    前記動力伝達経路の切り替えに伴って前記内燃機関の回転数が減少する機械有段変速と、
    を実行するとともに、
    前記疑似有段変速の実行に際して、前記駆動輪の駆動力を、前記機械有段変速に伴う駆動力の減少とその後の増加を模して変化させる
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記制御装置は、前記疑似有段変速の実行に際して、前記走行用電動機の出力を制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
    前記制御装置は、前記疑似変速段の形成時に、前記内燃機関の出力回転数を、前記疑似変速段の変速比に応じた出力回転数に制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  4. 車両の駆動輪を駆動する走行用電動機と、
    前記走行用電動機の電源に含まれ、内燃機関の駆動により発電する発電用電動機と、
    前記内燃機関と前記駆動輪との間に配置され、動力伝達経路の選択により複数の機械的変速段を形成可能な動力伝達機構と、
    を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
    前記機械的変速段の前記駆動輪の回転数に対する前記内燃機関の回転数の比である変速比とは異なる所定の変速比となる複数の疑似変速段を形成する変速制御方法であって、
    前記疑似変速段の形成に際し、前記駆動輪の駆動力により生じる前記車両の前後方向加速度を、まず、前記動力伝達機構が、前記所定の変速比であるときに生じる前記前後方向加速度を模して、変速初期では立ち上げ、その後、前記前後方向加速度の変化を抑えた後、次の変速に備えて前後加速度を低下させる変速制御方法。
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