JP2004322935A - 変速機付駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】変速機付駆動装置において、省燃費性と変速の快適性を確保する。
【解決手段】変速機付駆動装置は、異なるギヤ比に設定された2組の回転要素▲1▼,▲2▼を有する変速機構Mと、2組の回転要素に入力軸4に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段C−1,C−2と、3つの要素21,22,23を有する差動機構20と、差動機構の第1及び第2の要素21,22を2組の回転要素を連結し、第3の要素23に第1の入力回転を入力する第2の入力手段1,2,C−3を有する。第3の要素に第2の入力回転を入力するモータジェネレータM/Gを設けた。これによりモータジェネレータを用いてエネルギ回生と併せて変速機の操作性の向上を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】変速機付駆動装置は、異なるギヤ比に設定された2組の回転要素▲1▼,▲2▼を有する変速機構Mと、2組の回転要素に入力軸4に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段C−1,C−2と、3つの要素21,22,23を有する差動機構20と、差動機構の第1及び第2の要素21,22を2組の回転要素を連結し、第3の要素23に第1の入力回転を入力する第2の入力手段1,2,C−3を有する。第3の要素に第2の入力回転を入力するモータジェネレータM/Gを設けた。これによりモータジェネレータを用いてエネルギ回生と併せて変速機の操作性の向上を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機付駆動装置に関し、特に、多段変速機を主体としてハイブリッド駆動装置を構成する変速機付駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される変速機として、常時噛合式の歯車変速機構と差動機構を組合せ、単独のギヤ対を通る動力伝達により達成される変速段の間に2つのギヤ対を通る並列的な動力伝達で達成される中間変速段を介在させることで、変速機構のギヤ配列に対してより多くの変速段を達成可能としながら、変速時のクラッチ操作によるトルク抜けが生じないようにした新構想の車両用変速機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−266980号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような変速機は、従来の遊星歯車機構を湿式多板クラッチにより制御する自動変速機に必須の伝達効率の低い流体伝動装置を用いないことから、乾式単板のクラッチを用いる在来の手動変速機と同様の高い伝達効率を確保して、省燃費性や快適性を得ることができる。しかしながら、近時のハイブリッド車両等の開発にみられるように、エネルギ回生による一層の省燃費性が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、上記新構想の変速機を主体としながら、その操作性の向上と、エネルギ回生を併せて可能とし、更なる快適性と省燃費性を確保する変速機付駆動装置を提供することを主たる目的とする。次に、本発明は、様々な運転モードを必要に応じて実現できる変速機付駆動装置を提供することを更なる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、それぞれ異なるギヤ比に設定された少なくとも2組の回転要素(11,12;13,14)を有する変速機構(M)と、前記2組の回転要素に入力軸(4)に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段(C−1,C−2)と、少なくとも3つの要素(21,22,23)を有する差動機構(20)と、該差動機構の第1及び第2の要素(21,22)をそれぞれ前記2組の回転要素と連結し、第3の要素(23)に第1の入力回転を入力する第2の入力手段(1,2,C−3)を有する変速機付駆動装置において、前記第3の要素に第2の入力回転を入力するモータジェネレータ(M/G)を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成において、具体的には、前記差動機構は、サンギヤ(21)と、リングギヤ(23)と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うピニオンギヤを支持するキャリア(22)とを第1、第3及び第2の要素とするダブルプラネタリギヤからなり、前記第3の要素は、リングギヤとされる。また、前記ダブルプラネタリギヤは、そのサンギヤとキャリアのいずれか一方が、前記第2の入力手段を構成する第1軸(1)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第1クラッチ(C−2)を介して入力軸(4)に連結可能とされ、他方は、前記第2の入力手段を構成する第2軸(2)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第2クラッチ(C−1)を介して入力軸に連結可能とされ、リングギヤは、前記第2の入力手段を構成する第3クラッチ(C−3)を介して入力軸に連結可能とされる。更に、前記変速機構は、前記第1軸上の歯車及び第2軸上の歯車とそれぞれ対をなす歯車を出力軸(3)上に有し、対をなす歯車のいずれか一方は、軸に常時連結され、他方は軸に選択的に連結可能とされる。
【0008】
更に、前記変速機構は、回転要素として、前記第1軸上に、第1変速段(1st)と、第2変速段(3rd)より変速比の小さい第3変速段(5th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(11,15)を有し、前記第2軸上に、第2変速段(3rd)と、第3変速段(5th)より変速比の大きな第4変速段(7th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(13,17)を有し、第1変速段と第2変速段の間の第1中間段(2nd)、第2変速段と第3変速段の間の第2中間段(4th)、第3変速段と第4変速段の間の第3中間段(6th)を達成することにより、前進7段を達成する構成とされる。更に、前記変速機構は、前記第1クラッチを係合することにより第1変速段(1st,5th)を達成し、前記第2クラッチを係合することにより第2変速段(3rd,7th)を達成し、前記第3クラッチを係合することにより、第1変速段と第2変速段の中間段(2nd,4th,6th)を達成する構成とされる。あるいは、前記変速機構は、前記第1クラッチと第2クラッチを同時係合させることにより第1変速段(1st,5th)又は第2変速段(3rd,7th)を達成する構成とすることもできる。
【0009】
上記の構成において、前記モータジェネレータは、前記第1変速段を達成する歯車と第3変速段を達成する歯車の軸への連結を切替える際に、前記差動機構の第3の要素の回転を制御して、歯車に連結される軸の回転を歯車の回転に同期させる構成とされる。また、前記モータジェネレータは、前記第1〜第3のクラッチの何れかを解放し、他の何れかを係合させる変速過渡時に、クラッチの解放及び係合により生じる出力トルク変化を吸収するトルクを発生させる構成とすることもできる。
【0010】
上記の構成において、前記変速機構は、前記第1クラッチの係合による前記差動機構への第1の入力回転の入力に対して、前記モータジェネレータのトルク制御による前記差動機構の第3の要素の回転制御により後進段を達成する構成とすることができる。この場合、前記回転制御は、前記第3の要素の回転を停止させる制御とすることができる。あるいは、前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転と同方向に回転させることでモータジェネレータを発電状態とする制御とすることもできる。あるいは、前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転とは逆方向に回転させることでモータジェネレータを駆動状態とする制御とすることもできる。あるいは、前記変速機構を中間段達成状態とし、前記モータジェネレータに前記第2の入力回転の方向とは逆方向の回転トルクを出力させることにより後進段を達成する構成とすることもできる。
【0011】
【発明の作用及び効果】
本発明の構成では、第2の入力回転をモータジェネレータにより適宜制御することができる。したがって、これにより、在来のハイブリッド駆動装置と同様に、制動・減速時のエネルギ回収に得られるエネルギを蓄電装置に貯めることで、発進や加速の補助、低速や低負荷時のモータジェネレータによる走行に利用することが可能となり、省燃費性能が大幅に向上するとともに、モータジェネレータのトルクアシストにより加速性能も改善される。
【0012】
また、モータジェネレータによって、変速機構の歯車切替時に回転数同期を強制的に行なうことにより、切替時間を短縮しながら、切替機構の耐久性の向上も可能となる。
【0013】
更に、変速機が差動機構を備えることを利用して、モータジェネレータを差動機構の反力要素の拘束手段として機能させることで、後進歯車機構によらない後退機能を持たせることができる。また、モータジェネレータを駆動手段とする後進も可能となる。したがって、変速機構のコンパクト化が可能となる。
【0014】
更に、動力伝達経路上でモータジェネレータが各クラッチの下流側に位置するため、クラッチの掴み替えを行なう変速時のイナーシャ相での駆動力変動のみならず、トルク相での駆動力変動をモータジェネレータを用いて補正することができ、それにより変速ショックの改善も可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1〜図5は本発明の変速機付駆動装置の第1実施形態を示す。図1にそのギヤトレーン構成をスケルトンで示すように、この駆動装置は、原動機(通常、燃焼機関が想定されることから、実施形態の説明においてエンジンE/Gという)にフライホイールダンパ(F/W)を介して連結使用されるトランスアクスルとして構成されている。駆動装置は、それぞれ異なるギヤ比に設定された少なくとも2組(実施形態において4組)の回転要素11〜18を有する変速機構(実施形態の説明において、M/T部という)Mと、4組の回転要素に入力軸4に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段(C−1,C−2)と、少なくとも3つの要素21,22,23を有する差動機構20と、差動機構20の第1及び第2の要素21,22をそれぞれ4組の回転要素11〜18を連結し、第3の要素23に第1の入力回転を入力する第2の入力手段1,2,(C−3)を変速機として備え、更に、第3の要素23に第2の入力回転を入力するモータジェネレータ(M/G)を備えることを構成の基本とする。
【0016】
この形態の場合、差動機構20は、サンギヤ21と、リングギヤ23と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うピニオンギヤを支持するキャリア22とを第1、第3及び第2の要素とするダブルプラネタリギヤからなり、第3の要素は、リングギヤとされている。ダブルプラネタリギヤは、そのサンギヤ21が第2の入力手段を構成する第2軸2に常時連結されると共に、第1の入力手段を構成する第1クラッチ(C−2:以下実施形態の説明において、クラッチを表す略号Cとその入力側からの配列順序の第2番目の略号2を組合わせて名称の前に付し、このクラッチを表す。他のクラッチについて同じ。)を介して入力軸4に連結可能とされ、キャリア22は、第2の入力手段を構成する第1軸1に常時連結されると共に、第1の入力手段を構成するC1クラッチを介して入力軸4に連結可能とされ、リングギヤ23は、第2の入力手段を構成するC3クラッチを介して入力軸4に連結可能とされ、更に、歯車列31〜34を介してモータジェネレータ(M/G)の出力軸5に連結されている。以下、実施形態の説明において差動機構20と3つのクラッチを総称してプラネタリ部Pという。
【0017】
M/T部Mは、常時噛合式の変速機構とされ、同心二重軸関係の外軸で構成される第1軸1上の歯車としてのドライブギヤ11,15及び内軸で構成される第2軸2上の歯車としてのドライブギヤ13,17とそれぞれ対をなす歯車としての各ドリブンギヤ12,14,16,18を出力軸3上に有し、対をなす歯車のいずれか一方は、軸に回転不能に支持して常時連結され、他方はドッグクラッチM1,M2の軸方向移動によりシンクロナイズ機構を有するドッグクラッチを介して軸に選択的に連結可能に軸上に回転可能に支持されている。詳しくは、M/T部Mは、回転要素として、第1軸1上に、第1変速段(1st)と、第2変速段(3rd)より変速比の小さい第3変速段(5th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車11,15を有し、第2軸上に、第2変速段(3rd)と、第3変速段(5th)より変速比の大きな第4変速段(7th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車13,17を有し、第1変速段と第2変速段の間の第1中間段(2nd)、第2変速段と第3変速段の間の第2中間段(4th)、第3変速段と第4変速段の間の第3中間段(6th)を達成することにより、前進7段を達成する。より具体的には、M/T部Mは、C2クラッチを係合することにより第1変速段(1st)及び第3変速段(5th)を達成し、C1クラッチを係合することにより第2変速段(3rd)及び第4変速段(7th)を達成し、C3クラッチを係合することにより、第1〜第4変速段の中間段(2nd,4th,6th)を達成する。
【0018】
図2はこの駆動装置の作動を図表化して示す。図の○印は、その変速段の達成に必須な係合、△印は、その変速段の達成に必須ではないが、変速に備えるスタンバイのための係合を表す。ただし、同一変速段にある2つの△印は、いずれか一方が選択されることを意味し、シフトダウンを優先させる場合は、各欄の左側のスタンバイ係合、シフトアップを優先させる場合は、各欄の右側のスタンバイ係合が選択される。また、モータ変速段の欄に記載の変速段は、モータジェネレータ単独駆動により達成される変速段を表す。
【0019】
前記の構成からなる変速機は、M/T部Mの第1歯車対11,12(以下、この実施形態の説明において、第1歯車対を略号▲1▼で表す)をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、プラネタリ部PのC2クラッチを係合することで第1速(1st)を達成する。この状態で、エンジン(E/G)の回転がプラネタリ部PのC2クラッチ経由で第1軸1からM/T部Mのドライブギヤ11に入力され、第1歯車対▲1▼で減速され、ドッグクラッチM1を経て出力軸3に伝達される。このときの変速比は、第1歯車対▲1▼に設定されたギヤ比に従う第1速の変速比となり、この変速機の最低速段となる。
【0020】
なお、この第1速達成状態では、図2の作動図表の△印にみるように、第2歯車対13,14(同じく、第2歯車対を略号▲2▼で表す)の第2軸2への連結もドッグクラッチM2により確立しているため、第2軸2と動力伝達中の第1軸1との間には、差動機構20により両歯車対▲1▼,▲2▼のギヤ比に従う中間ギヤ比の回転数比関係が成立しているが、第2軸2はC1クラッチの解放により動力伝達には関与しない。この関係は、両軸1,2につながる差動機構20のサンギヤ21とキャリア22の回転数比関係ともなるが、差動機構20がリングギヤ23解放状態にあることで、リングギヤ23の空転により保たれる。また、この変速機は、格別の発進装置を持たないことから、この第1速で車両を発進させる場合は、C2クラッチを滑らせながら徐々に係合させるフリクション発進とされる。この点は、他の変速段で発進する場合の対応するクラッチについても同様である。
【0021】
次に、第2速(2nd)は、M/T部Mの第1歯車対▲1▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。ただし、本形態では、両ドッグクラッチによる前記連結状態は、図2の作動図表にみるように、1→2変速時は既に確立されており、3→2変速時にもシフトダウン優先の設定の場合は既に確立されている。この変速段では、前述のように、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第1歯車対▲1▼と第2歯車対▲2▼が共に出力軸3に連結された状態となっていることで、第1歯車対▲1▼のドライブギヤ11と第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13に連結する第2軸1と第1軸2との間に、差動機構20により第1歯車対▲1▼のギヤ比と第2歯車対▲2▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成されており、第2軸2に連結するプラネタリギヤのサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まっている。
【0022】
この状態が前変速段を第1速とする1→2変速で生じる場合、第1速での走行状態(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、キャリア22の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤ21の回転はそれより減速された回転(前記の回転比関係)となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて空転しているのに対して、第2速へのシフトのためにC2クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え後の状態)、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成されている前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲1▼,▲2▼を介して出力軸3に伝達されて第2速の変速段が達成される。
【0023】
第3速(3rd)は、M/T部Mの第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C1クラッチを係合することで達成される。この場合も、ドッグクラッチM2による前記連結状態は、図2の作動図表にみるように、シフトダウン優先設定の2→3変速時については予め確立されている。この状態で、エンジンの回転がC1クラッチの係合によりサンギヤ21を通過して第2軸2に入力され、その回転がドッグクラッチM2を経て第2歯車対▲2▼に伝達され、そこで第2歯車対▲2▼のギヤ比で減速されて出力軸3に伝達される。なお、この変速段で第1軸1と第2軸2との間にトルク伝達に関与せずに生成されるギヤ比は、シフトダウン優先設定の場合は、第1速及び第2速時と同様である。このことから、3→2変速の場合もC1クラッチ解放、C3クラッチ係合のクラッチ掴み替え操作のみとなる。これに対して、シフトアップ優先設定の場合は、この変速段で第1軸1と第2軸2との間にトルク伝達に関与せずに生成されるギヤ比は、後述する第4速時と同様となる。
【0024】
第4速(4th)は、M/T部Mの第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM2による第2歯車対▲2▼の連結は、3→4変速時には予め確立されており、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、シフトダウン優先設定の場合には、5→4変速時には予め確立されているので、3→4変速時には、シフトダウン優先設定の場合のみドッグクラッチM1の係合が必要となり、5→4変速時には、シフトアップ優先設定の場合のみ、ドッグクラッチM2の係合が必要となる。この変速段の場合、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第2歯車対▲2▼と第3歯車対▲3▼が共に出力軸3に連結された状態となることで、第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13と第3歯車対▲3▼のドライブギヤ15に連結する第2軸2と第1軸1との間に、差動機構20により、第2歯車対▲2▼のギヤ比と第3歯車対▲3▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成され、第2軸2に連結するプラネアリギヤのサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まる。
【0025】
この状態が前変速段を第3速とする3→4変速で生じる場合、第3速での走行状態(C1クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、サンギヤ21の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、キャリア22の回転はそれより遥かに増速された回転となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて中間速で空転している。この状態でそのままC1クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行すると、空転中のキャリア22の回転に従う第3歯車対▲3▼と出力軸3との間の回転差が大きい状態でドッグクラッチM1を係合することになるので、本発明による走行時シンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第3歯車対▲3▼のドリブンギヤ16の回転を第3軸3の回転に同期させる制御が実施される。この制御については、後に詳記する。この同期制御により第3歯車対▲3▼のドリブンギヤ16の回転を第3軸3の回転に同期したところで、C1クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲2▼,▲3▼を介して出力軸3に伝達されて第4速の変速段が達成される。
【0026】
一方、4→3変速時は、第3速達成時で述べたように、第4速で軸への連結が確立している第2歯車対▲2▼単独のトルク伝達に移行する作動となるため、4→3変速のために敢えて歯車対の連結を変更する必要はないが、シフトダウン優先設定の場合、事後の3→2変速等のシフトダウンに備える意味で、4→3変速に続く後処理として、第3歯車対▲3▼の軸への連結を第1歯車対▲1▼の軸への連結に切換えるドッグクラッチM1の切換え操作を行なう。この操作の際も、3→4変速時と同様の回転差が生じているので、本発明によるシンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第1歯車対▲1▼のドリブンギヤ12の回転を第3軸3の回転に同期させる制御が実施される。この制御についても、後に詳記する。
【0027】
第5速(5th)は、M/T部Mの第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、C2クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、4→5変速時には予め確立されている。この状態で、エンジンの回転がC2クラッチの係合によりキャリア22を通して第1軸1に入力され、その回転が第3歯車対▲3▼に伝達され、そこで第3歯車対▲3▼のギヤ比で増速され、ドッグクラッチ32を経て出力軸3に伝達される。
【0028】
第6速(6th)は、M/T部Mの第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、第4歯車対▲4▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、5→6変速、7→6変速時のいずれでも予め確立されており、ドッグクラッチM2による第4歯車対▲4▼の連結は、7→6変速時には予め確立されているので、この変速段への変速時には、ドッグクラッチ係合については、シフトダウン優先設定の5→6変速時のみドッグクラッチM2による第4歯車対▲4▼の連結が行われる。この変速段の場合、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第3歯車対▲3▼と第4歯車対▲4▼が共に出力軸3に連結された状態となることで、第3歯車対▲3▼のドライブギヤ15と第4歯車対▲4▼のドライブギヤ17に連結する第2軸2と第1軸1との間に、差動機構20により第3歯車対▲3▼のギヤ比と第4歯車対▲4▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成され、第2軸2に連結するプラネアリギヤ20のサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まる。
【0029】
この状態が前変速段を第5速とする5→6変速で生じる場合、第5速での走行状態(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、キャリア22の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤ21の回転はそれより減速された回転となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて空転している。そこで、この場合も先ず同期制御を実施し、それに続けてC2クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲3▼,▲4▼を介して出力軸3に伝達されて第6速の変速段が達成される。
【0030】
一方、6→5変速時は、第5速達成時で述べたように、第5速で軸への連結が確立している第3歯車対▲3▼単独のトルク伝達に移行する作動となるため、6→5変速のために敢えて歯車対の連結を変更する必要はないが、事後の5→4変速等のシフトダウンに備える意味で、6→5変速に続く後処理として、第4歯車対▲4▼の軸への連結を第2歯車対▲2▼の軸への連結に切換えるドッグクラッチM2の切換え操作を行なう。この操作の際も、6→5変速時と同様の回転差が生じているので、本発明によるシンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13の回転を第2軸2の回転に同期させる制御が実施される。この制御についても、後に詳記する。
【0031】
第7速(7th)は、M/T部Mの第4歯車対▲4▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C1クラッチを係合することで達成される。この場合も、ドッグクラッチによる前記連結状態は、6→7変速時には予め確立されている。この状態で、エンジン(E/G)の回転がC1クラッチ経由で第2軸2に入力され、その回転がドッグクラッチM2を経て第4歯車対▲4▼に伝達され、そこで第4歯車対▲4▼のギヤ比で増速されて出力軸に伝達される。
【0032】
なお、リバース(Rev)は、M/T部MのドッグクラッチM1を中立として、リバースギヤ列19a〜19cを出力軸3に連結し、プラネタリ部PのC2クラッチを係合することで達成される。この状態で、エンジン(E/G)の回転がC2クラッチ経由で第1軸1に入力され、その回転がリバースギヤ列19a〜19cで減速且つカウンタギヤ19b経由で前記各変速段とは逆転されて出力軸3に伝達される。
【0033】
以上の各変速段達成の経緯から分かるように、各奇数の変速段がプラネタリギヤ20の変速要素を変速に関与しない単なる動力伝達部材すなわち動力通過部材として達成されるのに対して、各偶数の変速段は、プラネタリギヤ20の変速要素を機能させて達成される。しかも、これら各偶数の変速段は、それを挟む奇数の変速段の達成時に連結される2つの歯車対の同時連結により達成される。
【0034】
このようにして達成される各変速段におけるプラネタリギヤ20の3つの変速要素の挙動を図3に速度線図で示す。この速度線図は、一般的な自動変速機の入力回転数を基準(速度比1)として変速特性を示す表記形式と異なり、出力軸3に伝達される出力回転数を基準(速度比1)として、各変速要素であるサンギヤ、リングギヤ及びキャリアの速度比を●印で変速段を表す数字を白抜きして表しており、これらの速度比はすなわちエンジン回転数の速度比と同義である。ちなみに第1速におけるエンジン速度比が最も高いのは、エンジン回転に対して変速機の減速比が最も大きいことを表す。また○印で囲った数字は、その変速段において連結されるM/T部Mの第1〜第4歯車対を表す。この表記方法は、後に示す全ての速度線図について同様である。
【0035】
この速度線図から分かるように、偶数の変速段は、M/T部Mの第1〜第4歯車対▲1▼〜▲4▼により本来達成可能な奇数変速段に対する中間段としてのギヤ比で、隣り合う両偶数変速段を達成する歯車対による同時動力伝達により達成されるもので、隣り合う奇数の変速段に対する経過段としても機能するものである。したがって、この変速機によれば、従来形式の常時噛合式の4速変速機に対して、歯車対を増やさずに各変速段の中間に、ギヤ比ステップを密にする形態で3速の変速段を付加することができる。
【0036】
次に,図4にこの駆動装置の制御系を含めたシステム構成をブロックで示す。図示するように、エンジン(E/G)に連結される駆動装置は、トランスアクスル(T/A)の形態を採る変速機とモータジェネレータ(M/G)からなり、その作動のための油圧源としてのオイルポンプ(O/P)が付随するハイブリッド駆動装置と、その制御のためのハイブリッドコントローラと、制御に必要な各種情報を取得するアクセル、ブレーキ、シフト,及びモードの各センサと、リレーボックスを介してハイブリッドコントローラに接続されたモータジェネレータ駆動用の高圧電池と、スタータを含む各種補機の電源としての12V電池とで構成されている。また、ハイブリッドコントローラは、エンジン(E/G)制御のためのエンジンコントローラとの交信が可能に接続(図に破線で示す)されている。なお、図上の細線は、制御系配線を示し、太線は12V系電力線を示し、極太線は高電圧系電力線を示す。
【0037】
次の図5は、ハイブリッドコントローラの詳細をブロックで示す。図示するように、ハイブリッドコントローラは、トランスアクスル(T/A)制御・駆動回路と、モータジェネレータ(M/G)制御・駆動回路と、バッテリ残量(SOC)等を管理する電池管理と、バッテリ電圧を低電圧に変換するDC−DCコンバータと、リレー制御・駆動回路とで構成される。
【0038】
前記の構成からなる本駆動装置は、種々の運転状態を実現する制御が可能である。次に示す図6は、本駆動装置により達成される代表的機能をモデル化した作動シーケンスで示す。このモデルは、エンジン始動から発進後、第1速から第4速まで加速し、第3速に減速後、回生制動減速して停車し、その後第2速モータ発進により第3速まで加速し、再度回生制動減速して停止し、後進して停車するパターンを示す。以下、各段階の機能を順を追って説明する。
【0039】
〔停車時シンクロ同期機能〕
この機能は、シフトレバーをN→Dシフトさせるときの両ドッグクラッチM1,M2係合の際に、第1軸1及び第2軸2の回転をモータジェネレータのトルク吸収により停止させて、出力軸3の0回転に同期させる機能である。この場合、具体的には、エンジン始動によりエンジン回転がアイドリング回転となるのに合わせて、モータジェネレータもこれと同速回転させている状態で、リングギヤ23の回転を、モータジェネレータによる制動トルク負荷(トルク吸収)に切替えて停止させることで、第1歯車対▲1▼と第2歯車対▲2▼の回転を停止させる操作である。
【0040】
これによりM/T部Mは、車両発進に備えて第1歯車対▲1▼がドッグクラッチM1を介して出力軸3に連結され、スタンバイのために第2歯車対▲2▼がドッグクラッチM2を介して第2軸2に連結された状態が確立される。この状態からアクセル開度がオンとされることで、モータジェネレータは高トルク出力に切替えられ、同時にC2クラッチの係合操作によるスリップ開始で車両がフリクション発進する。そして、C2クラッチの係合完了により第1速走行状態が確立したところで、モータジェネレータの出力トルクは低減され、その後はエンジントルクを主体とする加速が行なわれる。
【0041】
〔変速時トルク調整機能〕
この機能は、前記のような加速が進行し、例えば第2速にシフトアップする際のC2クラッチを解放し、C3クラッチ係合を係合するときのモータジェネレータによる変速過渡制御である。具体的には、図7のタイムチャートを参照して、解放側クラッチのトルク分担と係合側クラッチのトルク分担とが重なるトルク相において、過渡的なタイアップによるトルクの引き込み状態が生じ、これにより駆動力が低下する時期と、係合側クラッチの係合完了により回転変化が生じることでイナーシャトルクが発生する時期に、これら両トルクを相殺するトルクをモータジェネレータに出力させることで、駆動力の変動による変速ショックの発生を抑制する操作である。この機能におけるトルク相での引き込みトルクの相殺は、本形態において、モータジェネレータ(M/G)がプラネタリギヤ20を介して結果的に解放側と係合側の両クラッチより動力伝達経路上の下流側で出力軸3に連結されていることで可能となる。
【0042】
〔加速時トルクアシスト機能〕
この機能は、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、エンジントルクにモータジェネレータの出力トルクを加えることで駆動力を増す操作である。図に示すモデルでは、シフトアップと同時にアシストトルクを最大とし、その後の速度上昇につれて漸減させる制御を行なっている。
【0043】
〔走行時シンクロ同期機能〕
この機能は、前記停車時シンクロ同期機能と同様の機能を車両走行時に発揮させるものである。図6に示すモデルでは、第4速から第3速へのシフトダウンの後処理として、歯車対▲1▼を出力軸3に連結するスタンバイ係合がなされている。この走行時シンクロ同期は、シフト(クラッチ操作)の前後を問わず実行可能なものである。具体的には、図8のタイムチャートを参照して、例えば第1軸1上において、歯車対▲1▼の第1軸1への連結状態を歯車対▲3▼の第1軸1への連結状態に切替える場合、ドッグクラッチM1の係合を歯車対▲3▼から歯車対▲1▼に切替えるに際して、ドッグクラッチM1を中立状態に戻したところで、モータジェネレータの回転制御によりリングギヤ23の回転を図に破線で示すように強制的にエンジン回転に同期させる回転まで引き下げることで、図に点線で示すように、キャリア回転もエンジン回転まで引き下げられ、サンギヤ回転が維持されたまま第3歯車対▲3▼の回転が出力回転と同期する。すなわち、この機能は、シフトアップ又はシフトダウンに際して、クラッチの掴み替えに先行してドッグクラッチM1又はドッグクラッチM2を係合させるときに、軸の回転を歯車対の回転に同期させる機能としても、また、シフトアップ又はシフトダウンの後に、スタンバイのためにドッグクラッチM1又はドッグクラッチM2を係合させるときに、軸の回転を歯車対の回転に同期させる機能としても使用される。
【0044】
〔回生制動機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、アクセル開度オフの走行時に、モータジェネレータ(M/G)にトルクを吸収させて発電負荷により出力軸を制動する操作である。この例では、C1クラッチオフとして、フューエルカット及びエンジン停止による燃費削減と、エンジン(E/G)の切り離しによる引きずり抵抗の除去も併せて実行されている。
【0045】
〔停車時発電機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、アイドリング中のエンジントルクによりモータジェネレータ(M/G)を駆動して発電させ、高電圧電池を充電する操作である。
【0046】
〔モータ発進・走行機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、モータジェネレータを高トルク出力状態とし、エンジントルクによらず、又はエンジントルクを補助として車両を加速させる操作である。
【0047】
〔前後進切替機能〕
この機能は、本来、当初に例示のM/T部構成によれば、ドッグクラッチM1を中立位置とし、C2クラッチを係合させる操作で、リバース歯車列を出力軸3に連結することで可能なものであるが、本発明に特有の機能として、こうした切替えなしで実現することができる。この前後進切替機能には3つの態様がある。まず第1の態様は、図9に示すように、モータジェネレータによりリングギヤを固定し、係合中のC1クラッチからサンギヤに入るエンジン回転に対してキャリアを逆回転させる態様である。この状態は、図9の右側に示すように、エンジントルクと後退駆動力に対するモータジェネレータのトルクとリダクションギヤ比とを均衡させることで得られる。第2の態様は、図10に示すように、モータジェネレータをエンジン回転により駆動される負荷としてサンギヤに入るエンジン回転に対してリングギヤを低速回転させ、それによりキャリアを逆回転させる態様である。この場合、モータジェネレータは発電機として作動し、エンジンのエネルギは充電に利用される。第3の態様は、図11に示すように、モータジェネレータを駆動状態とし、サンギヤに入るエンジン回転に対してリングギヤを低速で逆回転させ、それによりキャリアを逆回転させる態様である。
【0048】
上記のような前後進切替機能を利用する場合、当初の駆動装置のM/T部に代えて、図12にスケルトンで示すリバース歯車列のないM/T部構成を採用することで、M/T部の簡素化を図ることができる。この駆動装置の構成は、リバース歯車列の廃止の点を除いて実質上第1実施形態のものと同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して、この駆動装置の説明に代える。
【0049】
次の図13に示す作動図表と、図14に示す速度線図は、第1実施形態のギヤトレーンによる拡張機能を示す。前記実施形態では、M/T部の切替えに関して、シフトアップ又はシフトダウンに備えるスタンバイ状態を設定しているが、このスタンバイ状態をなくすことを条件とすれば、プラネタリ部Pをタイアップさせることで、中間段を除く各変速段を達成する制御が可能となる。すなわち、先の実施形態では、全てのクラッチを単独に係合させることで、中間段を含む各変速段を達成しているが、C1クラッチとC2クラッチをタイアップさせ、このときにモータジェネレータ出力によりリングギヤ23をエンジン回転と同速で駆動すると、中間段を除く各変速段を達成することができる。
【0050】
この作動を示す速度線図上では、各ギヤ対▲1▼〜▲4▼へのエンジン回転入力に対してリングギヤに同速のモータジェネレータ(M/G)入力を行なう(図に○印で示す)ことで、図に破線で示すように、プラネタリギヤの3要素が全て同速回転となり、そのときに出力軸への連結状態にあるいずれかのギヤ対▲1▼〜▲4▼を通る動力伝達により第1、第3、第5又は第7の各変速段が達成される。
【0051】
次の図15〜図17にギヤトレーンと作動図表と速度線図を示す第2実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してブレーキ(B−1)を追加して変速機構によらずに後進速を達成可能としたものである。この場合、ブレーキ(B−1)は、第2の入力手段を構成するリングギヤ23を固定するブレーキとされる。その余の構成は、不要となる後進段達成用の歯車列を廃した点を除き、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0052】
この実施形態では、図16の作動図表に示すように、第1歯車対▲1▼による動力伝達状態で、C1クラッチとブレーキ(B−1)を係合させることで、後進段が達成される。この状態では、図17の速度線図にみるように、サンギヤへのエンジン回転入力に対してリングギヤを固定することでキャリアが逆回転し、この回転が第1歯車対▲1▼を経て出力される。
【0053】
次の図18〜図20にギヤトレーンと作動図表と速度線図を示す第3実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してブレーキ(B−1)を追加して前進8速を達成するものである。この場合、ブレーキ(B−1)は、第1の入力手段を構成する第1軸1を固定するブレーキとされる。その余の構成は、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0054】
この実施形態では、図19の作動図表に示すように、第4歯車対▲4▼による動力伝達状態で、C3クラッチとブレーキ(B−1)を係合させることで、第7速に対するオーバドライブ段として第8速が達成される。この状態では、図20の速度線図にみるように、リングギヤへのエンジン回転入力に対してキャリアを固定することでサンギヤが第7速時より増速回転し、この回転が第4歯車対▲4▼を経て出力される。
【0055】
以上の各実施形態における変更点は、いずれも変速機能に関係するものであるが、レイアウト上の変更として、図21に示す配置を採ることもできる。この第4実施形態は、モータジェネレータ(M/G)を第1及び第2軸と同軸上に配置し、モータジェネレータ(M/G)の出力軸5を直接リングギヤ23に連結して、トランスアクスルを2軸化したものである。この形態の場合も、その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0056】
次の図22〜図24にギヤトレーンと作動図表を示す第5実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してクラッチ配列を変更して、リングギヤ23とモータジェネレータ(M/G)を直結したモードと、エンジン(E/G)とモータジェネレータ(M/G)を直結したモードとの使い分けを達成可能としたものである。この場合、プラネタリ部Pは、M/T部Mの後側に配置され、入力軸は、エンジン(E/G)を連結切り離すクラッチ(C−E)を挟んでエンジン(E/G)にフライホイールダンパを介して連結する入力軸4aと、第1軸1及び第2軸2の内側を通る入力軸4bとに分割されている。また、入力軸4bとC3クラッチとの間には、モータジェネレータ(M/G)を入力軸4bに連結切り離すクラッチ(C−M)が付加されてている。そして、モータジェネレータ(M/G)は、第1軸1及び第2軸2と同軸配置とされ、その出力軸5がクラッチ(C−M)とC3クラッチに連結されている。その余の構成は、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0057】
図23及び図24は、この実施形態の作動図表を示す。これらの図表において、括弧付の○印は、エンジン使用時のみの係合を表し、●印は、モータジェネレータ使用時のみの係合を表す。図23に示すリングギヤとモータジェネレータの直結モードでは、エンジン使用時は第1〜第7速の全ての変速段が達成され、モータジェネレータのみの使用時は、偶数変速段のみが達成される。これに対して、図24に示すエンジンとモータジェネレータの直結モードでは、エンジン使用時、モータジェネレータのみの使用時とも第1〜第7速の全ての変速段が達成される。なお、この形態におけるプラネタリギヤの3要素の作動は、第1実施形態と同様であるので、図3の参照を以って速度線図の図示に代える。
【0058】
最後の図25〜図27にギヤトレーンと作動図表を示す第6実施形態は、先の第1実施形態に対する第2実施形態の関係と同様に、第5実施形態のギヤトレーンに対して第1軸1を固定するブレーキ(B−1)を付加して、前進8速を達成するものである。この場合も、ブレーキ(B−1)は、第1の入力手段を構成する第1軸1を固定するブレーキとされる。その余の構成は、全て第5実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。また、この形態におけるプラネタリギヤの3要素の作動は、第3実施形態と同様であるので、図20の参照を以って速度線図の図示に代える。
【0059】
この実施形態では、図26及び図27の作動図表に示すように、第4歯車対▲4▼による動力伝達状態で、クラッチ(C−E)とクラッチ(C−M)の連結の基でC3クラッチとブレーキB−1を係合させることで、第7速に対するオーバドライブ段として第8速が達成される。この状態では、図20の速度線図にみるように、リングギヤ23へのエンジン回転入力に対してキャリア22を固定することでサンギヤ21が増速回転し、この回転が第4歯車対▲4▼を経て出力される。
【0060】
以上、本発明の理解のために多くの実施形態を挙げて説明したが、本発明は、例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態の変速機付駆動装置のギヤトレーンを示すスケルトン図である。
【図2】第1実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図3】第1実施形態のギヤトレーンの速度線図である。
【図4】第1実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】図4のハイブリッドコントローラの詳細を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態により達成される各種機能をモデル化して示すタイムチャートである。
【図7】第1実施形態による変速時トルク調整機能を示すタイムチャートである。
【図8】第1実施形態による変速時シンクロ同期機能を示すタイムチャートである。
【図9】第1実施形態による前後進切替機能の第1の態様を示すトルクバランス図である。
【図10】第1実施形態による前後進切替機能の第2の態様を示すトルクバランス図である。
【図11】第1実施形態による前後進切替機能の第3の態様を示すトルクバランス図である。
【図12】第1実施形態の変形形態を示すギヤトレーンのスケルトン図である。
【図13】第1実施形態の拡張機能を示す作動図表である。
【図14】第1実施形態の拡張機能を示す速度線図である。
【図15】第2実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図16】第2実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図17】第2実施形態のギヤトレーンの速度線図である。
【図18】第3実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図19】第3実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図20】第3実施形態のギヤトレーンの後進作動を示す速度線図である。
【図21】第4実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図22】第5実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図23】第5実施形態のギヤトレーンの1つのモードの作動図表である。
【図24】第5実施形態のギヤトレーンの他のモードの作動図表である。
【図25】第6実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図26】第6実施形態のギヤトレーンの1つのモードの作動図表である。
【図27】第6実施形態のギヤトレーンの他のモードの作動図表である。
【符号の説明】
M 変速機構
M/G モータジェネレータ
C−1 第2クラッチ(第1の入力手段)
C−2 第1クラッチ(第1の入力手段)
C−3 第3クラッチ(第2の入力手段)
1 第1軸(第2の入力手段)
2 第2軸(第2の入力手段)
3 出力軸
4 入力軸
11〜18 歯車(回転要素)
20 プラネタリギヤ(差動機構)
21 サンギヤ(第1の要素)
22 キャリア(第2の要素)
23 リングギヤ(第3の要素)
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機付駆動装置に関し、特に、多段変速機を主体としてハイブリッド駆動装置を構成する変速機付駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される変速機として、常時噛合式の歯車変速機構と差動機構を組合せ、単独のギヤ対を通る動力伝達により達成される変速段の間に2つのギヤ対を通る並列的な動力伝達で達成される中間変速段を介在させることで、変速機構のギヤ配列に対してより多くの変速段を達成可能としながら、変速時のクラッチ操作によるトルク抜けが生じないようにした新構想の車両用変速機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−266980号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような変速機は、従来の遊星歯車機構を湿式多板クラッチにより制御する自動変速機に必須の伝達効率の低い流体伝動装置を用いないことから、乾式単板のクラッチを用いる在来の手動変速機と同様の高い伝達効率を確保して、省燃費性や快適性を得ることができる。しかしながら、近時のハイブリッド車両等の開発にみられるように、エネルギ回生による一層の省燃費性が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、上記新構想の変速機を主体としながら、その操作性の向上と、エネルギ回生を併せて可能とし、更なる快適性と省燃費性を確保する変速機付駆動装置を提供することを主たる目的とする。次に、本発明は、様々な運転モードを必要に応じて実現できる変速機付駆動装置を提供することを更なる目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、それぞれ異なるギヤ比に設定された少なくとも2組の回転要素(11,12;13,14)を有する変速機構(M)と、前記2組の回転要素に入力軸(4)に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段(C−1,C−2)と、少なくとも3つの要素(21,22,23)を有する差動機構(20)と、該差動機構の第1及び第2の要素(21,22)をそれぞれ前記2組の回転要素と連結し、第3の要素(23)に第1の入力回転を入力する第2の入力手段(1,2,C−3)を有する変速機付駆動装置において、前記第3の要素に第2の入力回転を入力するモータジェネレータ(M/G)を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成において、具体的には、前記差動機構は、サンギヤ(21)と、リングギヤ(23)と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うピニオンギヤを支持するキャリア(22)とを第1、第3及び第2の要素とするダブルプラネタリギヤからなり、前記第3の要素は、リングギヤとされる。また、前記ダブルプラネタリギヤは、そのサンギヤとキャリアのいずれか一方が、前記第2の入力手段を構成する第1軸(1)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第1クラッチ(C−2)を介して入力軸(4)に連結可能とされ、他方は、前記第2の入力手段を構成する第2軸(2)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第2クラッチ(C−1)を介して入力軸に連結可能とされ、リングギヤは、前記第2の入力手段を構成する第3クラッチ(C−3)を介して入力軸に連結可能とされる。更に、前記変速機構は、前記第1軸上の歯車及び第2軸上の歯車とそれぞれ対をなす歯車を出力軸(3)上に有し、対をなす歯車のいずれか一方は、軸に常時連結され、他方は軸に選択的に連結可能とされる。
【0008】
更に、前記変速機構は、回転要素として、前記第1軸上に、第1変速段(1st)と、第2変速段(3rd)より変速比の小さい第3変速段(5th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(11,15)を有し、前記第2軸上に、第2変速段(3rd)と、第3変速段(5th)より変速比の大きな第4変速段(7th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(13,17)を有し、第1変速段と第2変速段の間の第1中間段(2nd)、第2変速段と第3変速段の間の第2中間段(4th)、第3変速段と第4変速段の間の第3中間段(6th)を達成することにより、前進7段を達成する構成とされる。更に、前記変速機構は、前記第1クラッチを係合することにより第1変速段(1st,5th)を達成し、前記第2クラッチを係合することにより第2変速段(3rd,7th)を達成し、前記第3クラッチを係合することにより、第1変速段と第2変速段の中間段(2nd,4th,6th)を達成する構成とされる。あるいは、前記変速機構は、前記第1クラッチと第2クラッチを同時係合させることにより第1変速段(1st,5th)又は第2変速段(3rd,7th)を達成する構成とすることもできる。
【0009】
上記の構成において、前記モータジェネレータは、前記第1変速段を達成する歯車と第3変速段を達成する歯車の軸への連結を切替える際に、前記差動機構の第3の要素の回転を制御して、歯車に連結される軸の回転を歯車の回転に同期させる構成とされる。また、前記モータジェネレータは、前記第1〜第3のクラッチの何れかを解放し、他の何れかを係合させる変速過渡時に、クラッチの解放及び係合により生じる出力トルク変化を吸収するトルクを発生させる構成とすることもできる。
【0010】
上記の構成において、前記変速機構は、前記第1クラッチの係合による前記差動機構への第1の入力回転の入力に対して、前記モータジェネレータのトルク制御による前記差動機構の第3の要素の回転制御により後進段を達成する構成とすることができる。この場合、前記回転制御は、前記第3の要素の回転を停止させる制御とすることができる。あるいは、前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転と同方向に回転させることでモータジェネレータを発電状態とする制御とすることもできる。あるいは、前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転とは逆方向に回転させることでモータジェネレータを駆動状態とする制御とすることもできる。あるいは、前記変速機構を中間段達成状態とし、前記モータジェネレータに前記第2の入力回転の方向とは逆方向の回転トルクを出力させることにより後進段を達成する構成とすることもできる。
【0011】
【発明の作用及び効果】
本発明の構成では、第2の入力回転をモータジェネレータにより適宜制御することができる。したがって、これにより、在来のハイブリッド駆動装置と同様に、制動・減速時のエネルギ回収に得られるエネルギを蓄電装置に貯めることで、発進や加速の補助、低速や低負荷時のモータジェネレータによる走行に利用することが可能となり、省燃費性能が大幅に向上するとともに、モータジェネレータのトルクアシストにより加速性能も改善される。
【0012】
また、モータジェネレータによって、変速機構の歯車切替時に回転数同期を強制的に行なうことにより、切替時間を短縮しながら、切替機構の耐久性の向上も可能となる。
【0013】
更に、変速機が差動機構を備えることを利用して、モータジェネレータを差動機構の反力要素の拘束手段として機能させることで、後進歯車機構によらない後退機能を持たせることができる。また、モータジェネレータを駆動手段とする後進も可能となる。したがって、変速機構のコンパクト化が可能となる。
【0014】
更に、動力伝達経路上でモータジェネレータが各クラッチの下流側に位置するため、クラッチの掴み替えを行なう変速時のイナーシャ相での駆動力変動のみならず、トルク相での駆動力変動をモータジェネレータを用いて補正することができ、それにより変速ショックの改善も可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1〜図5は本発明の変速機付駆動装置の第1実施形態を示す。図1にそのギヤトレーン構成をスケルトンで示すように、この駆動装置は、原動機(通常、燃焼機関が想定されることから、実施形態の説明においてエンジンE/Gという)にフライホイールダンパ(F/W)を介して連結使用されるトランスアクスルとして構成されている。駆動装置は、それぞれ異なるギヤ比に設定された少なくとも2組(実施形態において4組)の回転要素11〜18を有する変速機構(実施形態の説明において、M/T部という)Mと、4組の回転要素に入力軸4に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段(C−1,C−2)と、少なくとも3つの要素21,22,23を有する差動機構20と、差動機構20の第1及び第2の要素21,22をそれぞれ4組の回転要素11〜18を連結し、第3の要素23に第1の入力回転を入力する第2の入力手段1,2,(C−3)を変速機として備え、更に、第3の要素23に第2の入力回転を入力するモータジェネレータ(M/G)を備えることを構成の基本とする。
【0016】
この形態の場合、差動機構20は、サンギヤ21と、リングギヤ23と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うピニオンギヤを支持するキャリア22とを第1、第3及び第2の要素とするダブルプラネタリギヤからなり、第3の要素は、リングギヤとされている。ダブルプラネタリギヤは、そのサンギヤ21が第2の入力手段を構成する第2軸2に常時連結されると共に、第1の入力手段を構成する第1クラッチ(C−2:以下実施形態の説明において、クラッチを表す略号Cとその入力側からの配列順序の第2番目の略号2を組合わせて名称の前に付し、このクラッチを表す。他のクラッチについて同じ。)を介して入力軸4に連結可能とされ、キャリア22は、第2の入力手段を構成する第1軸1に常時連結されると共に、第1の入力手段を構成するC1クラッチを介して入力軸4に連結可能とされ、リングギヤ23は、第2の入力手段を構成するC3クラッチを介して入力軸4に連結可能とされ、更に、歯車列31〜34を介してモータジェネレータ(M/G)の出力軸5に連結されている。以下、実施形態の説明において差動機構20と3つのクラッチを総称してプラネタリ部Pという。
【0017】
M/T部Mは、常時噛合式の変速機構とされ、同心二重軸関係の外軸で構成される第1軸1上の歯車としてのドライブギヤ11,15及び内軸で構成される第2軸2上の歯車としてのドライブギヤ13,17とそれぞれ対をなす歯車としての各ドリブンギヤ12,14,16,18を出力軸3上に有し、対をなす歯車のいずれか一方は、軸に回転不能に支持して常時連結され、他方はドッグクラッチM1,M2の軸方向移動によりシンクロナイズ機構を有するドッグクラッチを介して軸に選択的に連結可能に軸上に回転可能に支持されている。詳しくは、M/T部Mは、回転要素として、第1軸1上に、第1変速段(1st)と、第2変速段(3rd)より変速比の小さい第3変速段(5th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車11,15を有し、第2軸上に、第2変速段(3rd)と、第3変速段(5th)より変速比の大きな第4変速段(7th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車13,17を有し、第1変速段と第2変速段の間の第1中間段(2nd)、第2変速段と第3変速段の間の第2中間段(4th)、第3変速段と第4変速段の間の第3中間段(6th)を達成することにより、前進7段を達成する。より具体的には、M/T部Mは、C2クラッチを係合することにより第1変速段(1st)及び第3変速段(5th)を達成し、C1クラッチを係合することにより第2変速段(3rd)及び第4変速段(7th)を達成し、C3クラッチを係合することにより、第1〜第4変速段の中間段(2nd,4th,6th)を達成する。
【0018】
図2はこの駆動装置の作動を図表化して示す。図の○印は、その変速段の達成に必須な係合、△印は、その変速段の達成に必須ではないが、変速に備えるスタンバイのための係合を表す。ただし、同一変速段にある2つの△印は、いずれか一方が選択されることを意味し、シフトダウンを優先させる場合は、各欄の左側のスタンバイ係合、シフトアップを優先させる場合は、各欄の右側のスタンバイ係合が選択される。また、モータ変速段の欄に記載の変速段は、モータジェネレータ単独駆動により達成される変速段を表す。
【0019】
前記の構成からなる変速機は、M/T部Mの第1歯車対11,12(以下、この実施形態の説明において、第1歯車対を略号▲1▼で表す)をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、プラネタリ部PのC2クラッチを係合することで第1速(1st)を達成する。この状態で、エンジン(E/G)の回転がプラネタリ部PのC2クラッチ経由で第1軸1からM/T部Mのドライブギヤ11に入力され、第1歯車対▲1▼で減速され、ドッグクラッチM1を経て出力軸3に伝達される。このときの変速比は、第1歯車対▲1▼に設定されたギヤ比に従う第1速の変速比となり、この変速機の最低速段となる。
【0020】
なお、この第1速達成状態では、図2の作動図表の△印にみるように、第2歯車対13,14(同じく、第2歯車対を略号▲2▼で表す)の第2軸2への連結もドッグクラッチM2により確立しているため、第2軸2と動力伝達中の第1軸1との間には、差動機構20により両歯車対▲1▼,▲2▼のギヤ比に従う中間ギヤ比の回転数比関係が成立しているが、第2軸2はC1クラッチの解放により動力伝達には関与しない。この関係は、両軸1,2につながる差動機構20のサンギヤ21とキャリア22の回転数比関係ともなるが、差動機構20がリングギヤ23解放状態にあることで、リングギヤ23の空転により保たれる。また、この変速機は、格別の発進装置を持たないことから、この第1速で車両を発進させる場合は、C2クラッチを滑らせながら徐々に係合させるフリクション発進とされる。この点は、他の変速段で発進する場合の対応するクラッチについても同様である。
【0021】
次に、第2速(2nd)は、M/T部Mの第1歯車対▲1▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。ただし、本形態では、両ドッグクラッチによる前記連結状態は、図2の作動図表にみるように、1→2変速時は既に確立されており、3→2変速時にもシフトダウン優先の設定の場合は既に確立されている。この変速段では、前述のように、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第1歯車対▲1▼と第2歯車対▲2▼が共に出力軸3に連結された状態となっていることで、第1歯車対▲1▼のドライブギヤ11と第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13に連結する第2軸1と第1軸2との間に、差動機構20により第1歯車対▲1▼のギヤ比と第2歯車対▲2▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成されており、第2軸2に連結するプラネタリギヤのサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まっている。
【0022】
この状態が前変速段を第1速とする1→2変速で生じる場合、第1速での走行状態(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、キャリア22の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤ21の回転はそれより減速された回転(前記の回転比関係)となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて空転しているのに対して、第2速へのシフトのためにC2クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え後の状態)、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成されている前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲1▼,▲2▼を介して出力軸3に伝達されて第2速の変速段が達成される。
【0023】
第3速(3rd)は、M/T部Mの第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C1クラッチを係合することで達成される。この場合も、ドッグクラッチM2による前記連結状態は、図2の作動図表にみるように、シフトダウン優先設定の2→3変速時については予め確立されている。この状態で、エンジンの回転がC1クラッチの係合によりサンギヤ21を通過して第2軸2に入力され、その回転がドッグクラッチM2を経て第2歯車対▲2▼に伝達され、そこで第2歯車対▲2▼のギヤ比で減速されて出力軸3に伝達される。なお、この変速段で第1軸1と第2軸2との間にトルク伝達に関与せずに生成されるギヤ比は、シフトダウン優先設定の場合は、第1速及び第2速時と同様である。このことから、3→2変速の場合もC1クラッチ解放、C3クラッチ係合のクラッチ掴み替え操作のみとなる。これに対して、シフトアップ優先設定の場合は、この変速段で第1軸1と第2軸2との間にトルク伝達に関与せずに生成されるギヤ比は、後述する第4速時と同様となる。
【0024】
第4速(4th)は、M/T部Mの第2歯車対▲2▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM2による第2歯車対▲2▼の連結は、3→4変速時には予め確立されており、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、シフトダウン優先設定の場合には、5→4変速時には予め確立されているので、3→4変速時には、シフトダウン優先設定の場合のみドッグクラッチM1の係合が必要となり、5→4変速時には、シフトアップ優先設定の場合のみ、ドッグクラッチM2の係合が必要となる。この変速段の場合、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第2歯車対▲2▼と第3歯車対▲3▼が共に出力軸3に連結された状態となることで、第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13と第3歯車対▲3▼のドライブギヤ15に連結する第2軸2と第1軸1との間に、差動機構20により、第2歯車対▲2▼のギヤ比と第3歯車対▲3▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成され、第2軸2に連結するプラネアリギヤのサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まる。
【0025】
この状態が前変速段を第3速とする3→4変速で生じる場合、第3速での走行状態(C1クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、サンギヤ21の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、キャリア22の回転はそれより遥かに増速された回転となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて中間速で空転している。この状態でそのままC1クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行すると、空転中のキャリア22の回転に従う第3歯車対▲3▼と出力軸3との間の回転差が大きい状態でドッグクラッチM1を係合することになるので、本発明による走行時シンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第3歯車対▲3▼のドリブンギヤ16の回転を第3軸3の回転に同期させる制御が実施される。この制御については、後に詳記する。この同期制御により第3歯車対▲3▼のドリブンギヤ16の回転を第3軸3の回転に同期したところで、C1クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲2▼,▲3▼を介して出力軸3に伝達されて第4速の変速段が達成される。
【0026】
一方、4→3変速時は、第3速達成時で述べたように、第4速で軸への連結が確立している第2歯車対▲2▼単独のトルク伝達に移行する作動となるため、4→3変速のために敢えて歯車対の連結を変更する必要はないが、シフトダウン優先設定の場合、事後の3→2変速等のシフトダウンに備える意味で、4→3変速に続く後処理として、第3歯車対▲3▼の軸への連結を第1歯車対▲1▼の軸への連結に切換えるドッグクラッチM1の切換え操作を行なう。この操作の際も、3→4変速時と同様の回転差が生じているので、本発明によるシンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第1歯車対▲1▼のドリブンギヤ12の回転を第3軸3の回転に同期させる制御が実施される。この制御についても、後に詳記する。
【0027】
第5速(5th)は、M/T部Mの第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、C2クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、4→5変速時には予め確立されている。この状態で、エンジンの回転がC2クラッチの係合によりキャリア22を通して第1軸1に入力され、その回転が第3歯車対▲3▼に伝達され、そこで第3歯車対▲3▼のギヤ比で増速され、ドッグクラッチ32を経て出力軸3に伝達される。
【0028】
第6速(6th)は、M/T部Mの第3歯車対▲3▼をドッグクラッチM1で出力軸3に連結し、第4歯車対▲4▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C3クラッチを係合することで達成される。この場合、本形態では、ドッグクラッチM1による第3歯車対▲3▼の連結は、5→6変速、7→6変速時のいずれでも予め確立されており、ドッグクラッチM2による第4歯車対▲4▼の連結は、7→6変速時には予め確立されているので、この変速段への変速時には、ドッグクラッチ係合については、シフトダウン優先設定の5→6変速時のみドッグクラッチM2による第4歯車対▲4▼の連結が行われる。この変速段の場合、両ドッグクラッチM1,M2の係合により第3歯車対▲3▼と第4歯車対▲4▼が共に出力軸3に連結された状態となることで、第3歯車対▲3▼のドライブギヤ15と第4歯車対▲4▼のドライブギヤ17に連結する第2軸2と第1軸1との間に、差動機構20により第3歯車対▲3▼のギヤ比と第4歯車対▲4▼のギヤ比の中間のギヤ比が生成され、第2軸2に連結するプラネアリギヤ20のサンギヤ21と第1軸1に連結するキャリア22の回転関係が定まる。
【0029】
この状態が前変速段を第5速とする5→6変速で生じる場合、第5速での走行状態(C2クラッチからC3クラッチへの掴み替え前の状態)では、キャリア22の回転はエンジン回転と等しい回転であるのに対して、サンギヤ21の回転はそれより減速された回転となり、リングギヤ23はこれらの回転に規制されて空転している。そこで、この場合も先ず同期制御を実施し、それに続けてC2クラッチを解放し、C3クラッチの係合に移行して、空転中のリングギヤ23にエンジン回転が入力されることで、予め生成された前記中間のギヤ比に従うリングギヤ23からキャリア22へのトルク伝達と、リングギヤ23からキャリア22経由でサンギヤ21へのトルク伝達が並列的に生じ、これらのトルクが第1軸1と第2軸2経由で両歯車対▲3▼,▲4▼を介して出力軸3に伝達されて第6速の変速段が達成される。
【0030】
一方、6→5変速時は、第5速達成時で述べたように、第5速で軸への連結が確立している第3歯車対▲3▼単独のトルク伝達に移行する作動となるため、6→5変速のために敢えて歯車対の連結を変更する必要はないが、事後の5→4変速等のシフトダウンに備える意味で、6→5変速に続く後処理として、第4歯車対▲4▼の軸への連結を第2歯車対▲2▼の軸への連結に切換えるドッグクラッチM2の切換え操作を行なう。この操作の際も、6→5変速時と同様の回転差が生じているので、本発明によるシンクロ同期制御、すなわち、モータジェネレータM/Gの回転制御により第2歯車対▲2▼のドライブギヤ13の回転を第2軸2の回転に同期させる制御が実施される。この制御についても、後に詳記する。
【0031】
第7速(7th)は、M/T部Mの第4歯車対▲4▼をドッグクラッチM2で出力軸3に連結し、C1クラッチを係合することで達成される。この場合も、ドッグクラッチによる前記連結状態は、6→7変速時には予め確立されている。この状態で、エンジン(E/G)の回転がC1クラッチ経由で第2軸2に入力され、その回転がドッグクラッチM2を経て第4歯車対▲4▼に伝達され、そこで第4歯車対▲4▼のギヤ比で増速されて出力軸に伝達される。
【0032】
なお、リバース(Rev)は、M/T部MのドッグクラッチM1を中立として、リバースギヤ列19a〜19cを出力軸3に連結し、プラネタリ部PのC2クラッチを係合することで達成される。この状態で、エンジン(E/G)の回転がC2クラッチ経由で第1軸1に入力され、その回転がリバースギヤ列19a〜19cで減速且つカウンタギヤ19b経由で前記各変速段とは逆転されて出力軸3に伝達される。
【0033】
以上の各変速段達成の経緯から分かるように、各奇数の変速段がプラネタリギヤ20の変速要素を変速に関与しない単なる動力伝達部材すなわち動力通過部材として達成されるのに対して、各偶数の変速段は、プラネタリギヤ20の変速要素を機能させて達成される。しかも、これら各偶数の変速段は、それを挟む奇数の変速段の達成時に連結される2つの歯車対の同時連結により達成される。
【0034】
このようにして達成される各変速段におけるプラネタリギヤ20の3つの変速要素の挙動を図3に速度線図で示す。この速度線図は、一般的な自動変速機の入力回転数を基準(速度比1)として変速特性を示す表記形式と異なり、出力軸3に伝達される出力回転数を基準(速度比1)として、各変速要素であるサンギヤ、リングギヤ及びキャリアの速度比を●印で変速段を表す数字を白抜きして表しており、これらの速度比はすなわちエンジン回転数の速度比と同義である。ちなみに第1速におけるエンジン速度比が最も高いのは、エンジン回転に対して変速機の減速比が最も大きいことを表す。また○印で囲った数字は、その変速段において連結されるM/T部Mの第1〜第4歯車対を表す。この表記方法は、後に示す全ての速度線図について同様である。
【0035】
この速度線図から分かるように、偶数の変速段は、M/T部Mの第1〜第4歯車対▲1▼〜▲4▼により本来達成可能な奇数変速段に対する中間段としてのギヤ比で、隣り合う両偶数変速段を達成する歯車対による同時動力伝達により達成されるもので、隣り合う奇数の変速段に対する経過段としても機能するものである。したがって、この変速機によれば、従来形式の常時噛合式の4速変速機に対して、歯車対を増やさずに各変速段の中間に、ギヤ比ステップを密にする形態で3速の変速段を付加することができる。
【0036】
次に,図4にこの駆動装置の制御系を含めたシステム構成をブロックで示す。図示するように、エンジン(E/G)に連結される駆動装置は、トランスアクスル(T/A)の形態を採る変速機とモータジェネレータ(M/G)からなり、その作動のための油圧源としてのオイルポンプ(O/P)が付随するハイブリッド駆動装置と、その制御のためのハイブリッドコントローラと、制御に必要な各種情報を取得するアクセル、ブレーキ、シフト,及びモードの各センサと、リレーボックスを介してハイブリッドコントローラに接続されたモータジェネレータ駆動用の高圧電池と、スタータを含む各種補機の電源としての12V電池とで構成されている。また、ハイブリッドコントローラは、エンジン(E/G)制御のためのエンジンコントローラとの交信が可能に接続(図に破線で示す)されている。なお、図上の細線は、制御系配線を示し、太線は12V系電力線を示し、極太線は高電圧系電力線を示す。
【0037】
次の図5は、ハイブリッドコントローラの詳細をブロックで示す。図示するように、ハイブリッドコントローラは、トランスアクスル(T/A)制御・駆動回路と、モータジェネレータ(M/G)制御・駆動回路と、バッテリ残量(SOC)等を管理する電池管理と、バッテリ電圧を低電圧に変換するDC−DCコンバータと、リレー制御・駆動回路とで構成される。
【0038】
前記の構成からなる本駆動装置は、種々の運転状態を実現する制御が可能である。次に示す図6は、本駆動装置により達成される代表的機能をモデル化した作動シーケンスで示す。このモデルは、エンジン始動から発進後、第1速から第4速まで加速し、第3速に減速後、回生制動減速して停車し、その後第2速モータ発進により第3速まで加速し、再度回生制動減速して停止し、後進して停車するパターンを示す。以下、各段階の機能を順を追って説明する。
【0039】
〔停車時シンクロ同期機能〕
この機能は、シフトレバーをN→Dシフトさせるときの両ドッグクラッチM1,M2係合の際に、第1軸1及び第2軸2の回転をモータジェネレータのトルク吸収により停止させて、出力軸3の0回転に同期させる機能である。この場合、具体的には、エンジン始動によりエンジン回転がアイドリング回転となるのに合わせて、モータジェネレータもこれと同速回転させている状態で、リングギヤ23の回転を、モータジェネレータによる制動トルク負荷(トルク吸収)に切替えて停止させることで、第1歯車対▲1▼と第2歯車対▲2▼の回転を停止させる操作である。
【0040】
これによりM/T部Mは、車両発進に備えて第1歯車対▲1▼がドッグクラッチM1を介して出力軸3に連結され、スタンバイのために第2歯車対▲2▼がドッグクラッチM2を介して第2軸2に連結された状態が確立される。この状態からアクセル開度がオンとされることで、モータジェネレータは高トルク出力に切替えられ、同時にC2クラッチの係合操作によるスリップ開始で車両がフリクション発進する。そして、C2クラッチの係合完了により第1速走行状態が確立したところで、モータジェネレータの出力トルクは低減され、その後はエンジントルクを主体とする加速が行なわれる。
【0041】
〔変速時トルク調整機能〕
この機能は、前記のような加速が進行し、例えば第2速にシフトアップする際のC2クラッチを解放し、C3クラッチ係合を係合するときのモータジェネレータによる変速過渡制御である。具体的には、図7のタイムチャートを参照して、解放側クラッチのトルク分担と係合側クラッチのトルク分担とが重なるトルク相において、過渡的なタイアップによるトルクの引き込み状態が生じ、これにより駆動力が低下する時期と、係合側クラッチの係合完了により回転変化が生じることでイナーシャトルクが発生する時期に、これら両トルクを相殺するトルクをモータジェネレータに出力させることで、駆動力の変動による変速ショックの発生を抑制する操作である。この機能におけるトルク相での引き込みトルクの相殺は、本形態において、モータジェネレータ(M/G)がプラネタリギヤ20を介して結果的に解放側と係合側の両クラッチより動力伝達経路上の下流側で出力軸3に連結されていることで可能となる。
【0042】
〔加速時トルクアシスト機能〕
この機能は、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、エンジントルクにモータジェネレータの出力トルクを加えることで駆動力を増す操作である。図に示すモデルでは、シフトアップと同時にアシストトルクを最大とし、その後の速度上昇につれて漸減させる制御を行なっている。
【0043】
〔走行時シンクロ同期機能〕
この機能は、前記停車時シンクロ同期機能と同様の機能を車両走行時に発揮させるものである。図6に示すモデルでは、第4速から第3速へのシフトダウンの後処理として、歯車対▲1▼を出力軸3に連結するスタンバイ係合がなされている。この走行時シンクロ同期は、シフト(クラッチ操作)の前後を問わず実行可能なものである。具体的には、図8のタイムチャートを参照して、例えば第1軸1上において、歯車対▲1▼の第1軸1への連結状態を歯車対▲3▼の第1軸1への連結状態に切替える場合、ドッグクラッチM1の係合を歯車対▲3▼から歯車対▲1▼に切替えるに際して、ドッグクラッチM1を中立状態に戻したところで、モータジェネレータの回転制御によりリングギヤ23の回転を図に破線で示すように強制的にエンジン回転に同期させる回転まで引き下げることで、図に点線で示すように、キャリア回転もエンジン回転まで引き下げられ、サンギヤ回転が維持されたまま第3歯車対▲3▼の回転が出力回転と同期する。すなわち、この機能は、シフトアップ又はシフトダウンに際して、クラッチの掴み替えに先行してドッグクラッチM1又はドッグクラッチM2を係合させるときに、軸の回転を歯車対の回転に同期させる機能としても、また、シフトアップ又はシフトダウンの後に、スタンバイのためにドッグクラッチM1又はドッグクラッチM2を係合させるときに、軸の回転を歯車対の回転に同期させる機能としても使用される。
【0044】
〔回生制動機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、アクセル開度オフの走行時に、モータジェネレータ(M/G)にトルクを吸収させて発電負荷により出力軸を制動する操作である。この例では、C1クラッチオフとして、フューエルカット及びエンジン停止による燃費削減と、エンジン(E/G)の切り離しによる引きずり抵抗の除去も併せて実行されている。
【0045】
〔停車時発電機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、アイドリング中のエンジントルクによりモータジェネレータ(M/G)を駆動して発電させ、高電圧電池を充電する操作である。
【0046】
〔モータ発進・走行機能〕
この機能も、一般的なハブリッド駆動装置にもみられる機能で、モータジェネレータを高トルク出力状態とし、エンジントルクによらず、又はエンジントルクを補助として車両を加速させる操作である。
【0047】
〔前後進切替機能〕
この機能は、本来、当初に例示のM/T部構成によれば、ドッグクラッチM1を中立位置とし、C2クラッチを係合させる操作で、リバース歯車列を出力軸3に連結することで可能なものであるが、本発明に特有の機能として、こうした切替えなしで実現することができる。この前後進切替機能には3つの態様がある。まず第1の態様は、図9に示すように、モータジェネレータによりリングギヤを固定し、係合中のC1クラッチからサンギヤに入るエンジン回転に対してキャリアを逆回転させる態様である。この状態は、図9の右側に示すように、エンジントルクと後退駆動力に対するモータジェネレータのトルクとリダクションギヤ比とを均衡させることで得られる。第2の態様は、図10に示すように、モータジェネレータをエンジン回転により駆動される負荷としてサンギヤに入るエンジン回転に対してリングギヤを低速回転させ、それによりキャリアを逆回転させる態様である。この場合、モータジェネレータは発電機として作動し、エンジンのエネルギは充電に利用される。第3の態様は、図11に示すように、モータジェネレータを駆動状態とし、サンギヤに入るエンジン回転に対してリングギヤを低速で逆回転させ、それによりキャリアを逆回転させる態様である。
【0048】
上記のような前後進切替機能を利用する場合、当初の駆動装置のM/T部に代えて、図12にスケルトンで示すリバース歯車列のないM/T部構成を採用することで、M/T部の簡素化を図ることができる。この駆動装置の構成は、リバース歯車列の廃止の点を除いて実質上第1実施形態のものと同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して、この駆動装置の説明に代える。
【0049】
次の図13に示す作動図表と、図14に示す速度線図は、第1実施形態のギヤトレーンによる拡張機能を示す。前記実施形態では、M/T部の切替えに関して、シフトアップ又はシフトダウンに備えるスタンバイ状態を設定しているが、このスタンバイ状態をなくすことを条件とすれば、プラネタリ部Pをタイアップさせることで、中間段を除く各変速段を達成する制御が可能となる。すなわち、先の実施形態では、全てのクラッチを単独に係合させることで、中間段を含む各変速段を達成しているが、C1クラッチとC2クラッチをタイアップさせ、このときにモータジェネレータ出力によりリングギヤ23をエンジン回転と同速で駆動すると、中間段を除く各変速段を達成することができる。
【0050】
この作動を示す速度線図上では、各ギヤ対▲1▼〜▲4▼へのエンジン回転入力に対してリングギヤに同速のモータジェネレータ(M/G)入力を行なう(図に○印で示す)ことで、図に破線で示すように、プラネタリギヤの3要素が全て同速回転となり、そのときに出力軸への連結状態にあるいずれかのギヤ対▲1▼〜▲4▼を通る動力伝達により第1、第3、第5又は第7の各変速段が達成される。
【0051】
次の図15〜図17にギヤトレーンと作動図表と速度線図を示す第2実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してブレーキ(B−1)を追加して変速機構によらずに後進速を達成可能としたものである。この場合、ブレーキ(B−1)は、第2の入力手段を構成するリングギヤ23を固定するブレーキとされる。その余の構成は、不要となる後進段達成用の歯車列を廃した点を除き、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0052】
この実施形態では、図16の作動図表に示すように、第1歯車対▲1▼による動力伝達状態で、C1クラッチとブレーキ(B−1)を係合させることで、後進段が達成される。この状態では、図17の速度線図にみるように、サンギヤへのエンジン回転入力に対してリングギヤを固定することでキャリアが逆回転し、この回転が第1歯車対▲1▼を経て出力される。
【0053】
次の図18〜図20にギヤトレーンと作動図表と速度線図を示す第3実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してブレーキ(B−1)を追加して前進8速を達成するものである。この場合、ブレーキ(B−1)は、第1の入力手段を構成する第1軸1を固定するブレーキとされる。その余の構成は、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0054】
この実施形態では、図19の作動図表に示すように、第4歯車対▲4▼による動力伝達状態で、C3クラッチとブレーキ(B−1)を係合させることで、第7速に対するオーバドライブ段として第8速が達成される。この状態では、図20の速度線図にみるように、リングギヤへのエンジン回転入力に対してキャリアを固定することでサンギヤが第7速時より増速回転し、この回転が第4歯車対▲4▼を経て出力される。
【0055】
以上の各実施形態における変更点は、いずれも変速機能に関係するものであるが、レイアウト上の変更として、図21に示す配置を採ることもできる。この第4実施形態は、モータジェネレータ(M/G)を第1及び第2軸と同軸上に配置し、モータジェネレータ(M/G)の出力軸5を直接リングギヤ23に連結して、トランスアクスルを2軸化したものである。この形態の場合も、その余の構成は、第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0056】
次の図22〜図24にギヤトレーンと作動図表を示す第5実施形態は、第1実施形態のギヤトレーンに対してクラッチ配列を変更して、リングギヤ23とモータジェネレータ(M/G)を直結したモードと、エンジン(E/G)とモータジェネレータ(M/G)を直結したモードとの使い分けを達成可能としたものである。この場合、プラネタリ部Pは、M/T部Mの後側に配置され、入力軸は、エンジン(E/G)を連結切り離すクラッチ(C−E)を挟んでエンジン(E/G)にフライホイールダンパを介して連結する入力軸4aと、第1軸1及び第2軸2の内側を通る入力軸4bとに分割されている。また、入力軸4bとC3クラッチとの間には、モータジェネレータ(M/G)を入力軸4bに連結切り離すクラッチ(C−M)が付加されてている。そして、モータジェネレータ(M/G)は、第1軸1及び第2軸2と同軸配置とされ、その出力軸5がクラッチ(C−M)とC3クラッチに連結されている。その余の構成は、全て第1実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。
【0057】
図23及び図24は、この実施形態の作動図表を示す。これらの図表において、括弧付の○印は、エンジン使用時のみの係合を表し、●印は、モータジェネレータ使用時のみの係合を表す。図23に示すリングギヤとモータジェネレータの直結モードでは、エンジン使用時は第1〜第7速の全ての変速段が達成され、モータジェネレータのみの使用時は、偶数変速段のみが達成される。これに対して、図24に示すエンジンとモータジェネレータの直結モードでは、エンジン使用時、モータジェネレータのみの使用時とも第1〜第7速の全ての変速段が達成される。なお、この形態におけるプラネタリギヤの3要素の作動は、第1実施形態と同様であるので、図3の参照を以って速度線図の図示に代える。
【0058】
最後の図25〜図27にギヤトレーンと作動図表を示す第6実施形態は、先の第1実施形態に対する第2実施形態の関係と同様に、第5実施形態のギヤトレーンに対して第1軸1を固定するブレーキ(B−1)を付加して、前進8速を達成するものである。この場合も、ブレーキ(B−1)は、第1の入力手段を構成する第1軸1を固定するブレーキとされる。その余の構成は、全て第5実施形態と同様であるので、相当する部材に同様の参照符号を付して説明に代える。また、この形態におけるプラネタリギヤの3要素の作動は、第3実施形態と同様であるので、図20の参照を以って速度線図の図示に代える。
【0059】
この実施形態では、図26及び図27の作動図表に示すように、第4歯車対▲4▼による動力伝達状態で、クラッチ(C−E)とクラッチ(C−M)の連結の基でC3クラッチとブレーキB−1を係合させることで、第7速に対するオーバドライブ段として第8速が達成される。この状態では、図20の速度線図にみるように、リングギヤ23へのエンジン回転入力に対してキャリア22を固定することでサンギヤ21が増速回転し、この回転が第4歯車対▲4▼を経て出力される。
【0060】
以上、本発明の理解のために多くの実施形態を挙げて説明したが、本発明は、例示の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の個々の請求項に記載の事項の範囲内で種々に具体的な構成を変更して実施することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態の変速機付駆動装置のギヤトレーンを示すスケルトン図である。
【図2】第1実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図3】第1実施形態のギヤトレーンの速度線図である。
【図4】第1実施形態のシステム構成を示すブロック図である。
【図5】図4のハイブリッドコントローラの詳細を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態により達成される各種機能をモデル化して示すタイムチャートである。
【図7】第1実施形態による変速時トルク調整機能を示すタイムチャートである。
【図8】第1実施形態による変速時シンクロ同期機能を示すタイムチャートである。
【図9】第1実施形態による前後進切替機能の第1の態様を示すトルクバランス図である。
【図10】第1実施形態による前後進切替機能の第2の態様を示すトルクバランス図である。
【図11】第1実施形態による前後進切替機能の第3の態様を示すトルクバランス図である。
【図12】第1実施形態の変形形態を示すギヤトレーンのスケルトン図である。
【図13】第1実施形態の拡張機能を示す作動図表である。
【図14】第1実施形態の拡張機能を示す速度線図である。
【図15】第2実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図16】第2実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図17】第2実施形態のギヤトレーンの速度線図である。
【図18】第3実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図19】第3実施形態のギヤトレーンの作動図表である。
【図20】第3実施形態のギヤトレーンの後進作動を示す速度線図である。
【図21】第4実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図22】第5実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図23】第5実施形態のギヤトレーンの1つのモードの作動図表である。
【図24】第5実施形態のギヤトレーンの他のモードの作動図表である。
【図25】第6実施形態のギヤトレーンのスケルトン図である。
【図26】第6実施形態のギヤトレーンの1つのモードの作動図表である。
【図27】第6実施形態のギヤトレーンの他のモードの作動図表である。
【符号の説明】
M 変速機構
M/G モータジェネレータ
C−1 第2クラッチ(第1の入力手段)
C−2 第1クラッチ(第1の入力手段)
C−3 第3クラッチ(第2の入力手段)
1 第1軸(第2の入力手段)
2 第2軸(第2の入力手段)
3 出力軸
4 入力軸
11〜18 歯車(回転要素)
20 プラネタリギヤ(差動機構)
21 サンギヤ(第1の要素)
22 キャリア(第2の要素)
23 リングギヤ(第3の要素)
Claims (14)
- それぞれ異なるギヤ比に設定された少なくとも2組の回転要素(11,12;13,14)を有する変速機構(M)と、
前記2組の回転要素に入力軸(4)に入る第1の入力回転を選択的に入力する第1の入力手段(C−1,C−2)と、
少なくとも3つの要素(21,22,23)を有する差動機構(20)と、
該差動機構の第1及び第2の要素(21,22)をそれぞれ前記2組の回転要素と連結し、第3の要素(23)に第1の入力回転を入力する第2の入力手段(1,2,C−3)を有する変速機付駆動装置において、
前記第3の要素に第2の入力回転を入力するモータジェネレータ(M/G)を設けたことを特徴とする変速機付駆動装置。 - 前記差動機構は、サンギヤ(21)と、リングギヤ(23)と、それらに個々に噛合い且つ相互に噛合うピニオンギヤを支持するキャリア(22)とを第1、第3及び第2の要素とするダブルプラネタリギヤからなり、前記第3の要素は、リングギヤである、請求項1記載の変速機付駆動装置。
- 前記ダブルプラネタリギヤは、そのサンギヤとキャリアのいずれか一方が、前記第2の入力手段を構成する第1軸(1)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第1クラッチ(C−2)を介して入力軸(4)に連結可能とされ、他方は、前記第2の入力手段を構成する第2軸(2)に常時連結されると共に、前記第1の入力手段を構成する第2クラッチ(C−1)を介して入力軸に連結可能とされ、リングギヤは、前記第2の入力手段を構成する第3クラッチ(C−3)を介して入力軸に連結可能とされた、請求項2記載の変速機付駆動装置。
- 前記変速機構は、前記第1軸上の歯車(11)及び第2軸上の歯車(13)とそれぞれ対をなす歯車(12,14)を出力軸(3)上に有し、対をなす歯車のいずれか一方は、軸に常時連結され、他方は軸に選択的に連結可能とされた、請求項3記載の変速機付駆動装置。
- 前記変速機構は、回転要素として、
前記第1軸上に、第1変速段(1st)と、第2変速段(3rd)より変速比の小さい第3変速段(5th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(11,15)を有し、
前記第2軸上に、第2変速段(3rd)と、第3変速段(5th)より変速比の大きな第4変速段(7th)をそれぞれ選択的に達成可能な歯車(13,17)を有し、
第1変速段と第2変速段の間の第1中間段(2nd)、第2変速段と第3変速段の間の第2中間段(4th)、第3変速段と第4変速段の間の第3中間段(6th)を達成することにより、前進7段を達成する、請求項3又は4記載の変速機付駆動装置。 - 前記変速機構は、前記第1クラッチを係合することにより第1変速段(1st,5th)を達成し、前記第2クラッチを係合することにより第2変速段(3rd,7th)を達成し、前記第3クラッチを係合することにより、第1変速段と第2変速段の中間段(2nd,4th,6th)を達成する、請求項1〜5のいずれか1項記載の変速機付駆動装置。
- 前記変速機構は、前記第1クラッチと第2クラッチを同時係合させることにより第1変速段(1st,5th)又は第2変速段(3rd,7th)を達成する、請求項1〜5のいずれか1項記載の変速機付駆動装置。
- 前記モータジェネレータは、前記第1変速段を達成する歯車と第3変速段を達成する歯車の軸への連結を切替える際に、前記差動機構の第3の要素の回転を制御して、歯車に連結される軸の回転を歯車の回転に同期させる、請求項6記載の変速機付駆動装置。
- 前記モータジェネレータは、前記第1〜第3のクラッチの何れかを解放し、他の何れかを係合させる変速過渡時に、クラッチの解放及び係合により生じる出力トルク変化を吸収するトルクを発生させる、請求項1〜8のいずれか1項記載の変速機付駆動装置。
- 前記変速機構は、前記第1クラッチの係合による前記差動機構への第1の入力回転の入力に対して、前記モータジェネレータのトルク制御による前記差動機構の第3の要素の回転制御により後進段を達成する、請求項1〜9のいずれか1項記載の変速機付駆動装置。
- 前記回転制御は、前記第3の要素の回転を停止させる制御である、請求項10記載の変速機付駆動装置。
- 前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転と同方向に回転させることでモータジェネレータを発電状態とする制御である、請求項10記載の変速機付駆動装置。
- 前記回転制御は、前記第3の要素を前記第1の入力回転とは逆方向に回転させることでモータジェネレータを駆動状態とする制御である、請求項10記載の変速機付駆動装置。
- 前記変速機構を中間段達成状態とし、前記モータジェネレータに前記第2の入力回転の方向とは逆方向の回転トルクを出力させることにより後進段を達成する、請求項5〜13のいずれか1項記載の変速機付駆動装置。
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