JP6421698B2 - ハイブリッド車両の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、係合クラッチの解放を伴う変速を実施するとき、変速中に抜けるトルクをトルク補填するハイブリッド車両の変速制御装置に関する。
従来、エンジン用変速部位が変速するときにモータで車両駆動力補填が出来る自動変速機において、エンジン用変速部位が変速する予備動作として、エンジンのトルクを落とす仕様としているハイブリッド車両の変速制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−71541号公報
しかしながら、従来装置にあっては、エンジン変速部位が変速する予備動作として、モータで補填できる最大トルクまでエンジントルクを落とす構成になっていた。このため、エンジントルクを落とす量が大きくなり、ドライバ要求トルクとの乖離が大きくなり違和感が発生しやすくなる、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、係合クラッチの解放を伴う変速を実施するとき、ドライバに違和感を与えることなく、余分なトルクダウンを回避するハイブリッド車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を実現するため、本発明のハイブリッド車両は、動力源として第1動力源と第2動力源を備え、動力源から駆動輪までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機が搭載される。変速機は、複数の変速段を有する変速機構と、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチと、を備える。
このハイブリッド車両において、第1動力源から駆動輪までの駆動力伝達系に有する係合クラッチの解放を伴う変速を実施するとき、変速中に抜けるトルクを第2動力源によりトルク補填する前に、第1動力源からのトルク絶対値を低下するトルクダウンを行う変速コントローラを設ける。
変速コントローラは、変速開始前に変速中トルク段差を想定し、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下と判断されると、トルク補填前のトルクダウンを行わない。
よって、変速開始前に変速中トルク段差が想定され、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下と判断されると、トルク補填前のトルクダウンが行われない。
即ち、トルクダウンを行わない条件として、変速開始前に想定される変速中の想定トルク段差が変速段差許容トルク以下になるとの条件を与えている。このため、変速中トルク段差条件が成立すると、トルク補填前のトルクダウンが行われず、余分なトルクダウンが回避される。そして、トルク補填前はドライバ要求トルクが確保されるし、変速中はトルク補填によりトルク段差が変速段差許容トルク以下に抑えられる。よって、走行中に変速が介入しても、ドライバ要求トルクと車両走行トルクのトルク乖離幅が小さく抑えられ、ドライバに違和感を与えることがない。
この結果、係合クラッチの解放を伴う変速を実施するとき、ドライバに違和感を与えることなく、余分なトルクダウンを回避することができる。
実施例1の変速制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す全体システム図である。 実施例1の変速制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機の変速制御系の構成を示す制御系構成図である。 実施例1の変速制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において変速段を切り替える考え方を示す変速マップ概要図である。 実施例1の変速制御装置が適用されたハイブリッド車両に搭載された多段歯車変速機において3つの係合クラッチの切り替え位置による変速段を示す締結表である。 実施例1の変速機コントロールユニットで実行される変速制御処理の流れを示すフローチャートである。 バッテリSOCが低SOC領域と高SOC領域を除いた通常容量領域であるときに選択される通常時使用変速段の切り替え領域を示すシフトスケジュールマップ図である。 架け替え変速前の通常時使用変速段(EV2nd、ICE3rd)での多段歯車変速機におけるMG1トルク及びICEトルクの伝達経路を示すトルクフロー図である。 架け替え変速後の通常時使用変速段(EV2nd、ICE4th)での多段歯車変速機におけるMG1トルク及びICEトルクの伝達経路を示すトルクフロー図である。 比較例においてドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合に変速するときのドライバ要求トルク・車両走行トルク・ENGトルク・MGトルクの各特性を示すタイムチャートである。 比較例においてドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合に変速するときのドライバ要求トルク・車両走行トルク・ENGトルク・MGトルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1においてドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合に変速するときのドライバ要求トルク・車両走行トルク・ENGトルク・MGトルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1においてドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合に変速するときのドライバ要求トルク・車両走行トルク・ENGトルク・MGトルクの各特性を示すタイムチャートである。 実施例1においてドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合に変速するときのドライバ要求トルクの大小による車両走行トルク・ENGトルク・MGトルクの各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車両の変速制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1の変速制御装置は、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1におけるハイブリッド車両の変速制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速制御系構成」、「変速段構成」、「変速制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の変速制御装置が適用されたハイブリッド車両の駆動系及び制御系を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
ハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、内燃機関ICEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、3つの係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1と、を備えている。なお、「ICE」は「Internal-Combustion Engine」の略称である。
前記内燃機関ICEは、例えば、クランク軸方向を車幅方向として車両のフロントルームに配置したガソリンエンジンやディーゼルエンジン等である。この内燃機関ICEは、多段歯車変速機1の変速機ケース10に連結されると共に、内燃機関出力軸が、多段歯車変速機1の第1軸11に接続される。なお、内燃機関ICEは、基本的に、第2モータジェネレータMG2をスタータモータとしてMG2始動する。但し、極低温時などのように強電バッテリ3を用いたMG2始動が確保できない場合に備えてスタータモータ2を残している。
前記第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2は、いずれも強電バッテリ3を共通の電源とする三相交流の永久磁石型同期モータである。第1モータジェネレータMG1のステータは、第1モータジェネレータMG1のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第1モータジェネレータMG1のロータに一体の第1モータ軸が、多段歯車変速機1の第2軸12に接続される。第2モータジェネレータMG2のステータは、第2モータジェネレータMG2のケースに固定され、そのケースが多段歯車変速機1の変速機ケース10に固定される。そして、第2モータジェネレータMG2のロータに一体の第2モータ軸が、多段歯車変速機1の第6軸16に接続される。第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第1インバータ4が、第1ACハーネス5を介して接続される。第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、力行時に直流を三相交流に変換し、回生時に三相交流を直流に変換する第2インバータ6が、第2ACハーネス7を介して接続される。強電バッテリ3と第1インバータ4及び第2インバータ6は、ジャンクションボックス9を介してDCハーネス8により接続される。
前記多段歯車変速機1は、変速比が異なる複数の歯車対を有する常時噛み合い式変速機であり、変速機ケース10内に互いに平行に配置され、歯車が設けられる6つの歯車軸11〜16と、歯車対を選択する3つの係合クラッチC1,C2,C3と、を備える。歯車軸としては、第1軸11と、第2軸12と、第3軸13と、第4軸14と、第5軸15と、第6軸16が設けられる。係合クラッチとしては、第1係合クラッチC1と、第2係合クラッチC2と、第3係合クラッチC3が設けられる。なお、変速機ケース10には、ケース内の軸受け部分や歯車の噛み合い部分に潤滑オイルを供給する電動オイルポンプ20が付設される。
前記第1軸11は、内燃機関ICEが連結される軸であり、第1軸11には、図1の右側から順に、第1歯車101、第2歯車102、第3歯車103が配置される。第1歯車101は、第1軸11に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第2歯車102と第3歯車103は、軸方向に突出するボス部が第1軸11の外周に挿入される遊転歯車であり、第2係合クラッチC2を介し第1軸11に対して駆動連結可能に設けられる。
前記第2軸12は、第1モータジェネレータMG1が連結され、第1軸11の外側位置に軸心を一致させて同軸配置された円筒軸であり、第2軸12には、図1の右側から順に、第4歯車104、第5歯車105が配置される。第4歯車104と第5歯車105は、第2軸12に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第3軸13は、多段歯車変速機1の出力側に配置された軸であり、第3軸13には、図1の右側から順に、第6歯車106、第7歯車107、第8歯車108、第9歯車109、第10歯車110が配置される。第6歯車106と第7歯車107と第8歯車108は、第3軸13に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第9歯車109と第10歯車110は、軸方向に突出するボス部が第3軸13の外周に挿入される遊転歯車であり、第3係合クラッチC3を介し第3軸13に対して駆動連結可能に設けられる。そして、第6歯車106は第1軸11の第2歯車102に噛み合い、第7歯車107はデファレンシャル歯車17の第16歯車116と噛み合い、第8歯車108は第1軸11の第3歯車103に噛み合う。第9歯車109は第2軸12の第4歯車104に噛み合い、第10歯車110は第2軸12の第5歯車105に噛み合う。
前記第4軸14は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14には、図1の右側から順に、第11歯車111、第12歯車112、第13歯車113が配置される。第11歯車111は、第4軸14に対して一体(一体化固定を含む)に設けられる。第12歯車112と第13歯車113は、軸方向に突出するボス部が第4軸14の外周に挿入される遊転歯車であり、第1係合クラッチC1を介し第4軸14に対して駆動連結可能に設けられる。そして、第11歯車111は第1軸11の第1歯車101に噛み合い、第12歯車112は第1軸11の第2歯車102と噛み合い、第13歯車113は第2軸12の第4歯車104と噛み合う。
前記第5軸15は、変速機ケース10に両端が支持された軸であり、第4軸14の第11歯車111と噛み合う第14歯車114が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第6軸16は、第2モータジェネレータMG2が連結される軸であり、第5軸15の第14歯車114と噛み合う第15歯車115が一体(一体化固定を含む)に設けられる。
前記第2モータジェネレータMG2と内燃機関ICEは、互いに噛み合う第15歯車115、第14歯車114、第11歯車111、第1歯車101により構成されるギア列により機械的に連結されている。このギア列は、第2モータジェネレータMG2による内燃機関ICEのMG2始動時、MG2回転数を減速する減速ギア列となり、内燃機関ICEの駆動で第2モータジェネレータMG2を発電するMG2発電時、機関回転数を増速する増速ギア列となる。
前記第1係合クラッチC1は、第4軸14のうち、第12歯車112と第13歯車113の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第1係合クラッチC1が左側締結位置(Left)のとき、第4軸14と第13歯車113を駆動連結する。第1係合クラッチC1が中立位置(N)のとき、第4軸14と第12歯車112を解放すると共に、第4軸14と第13歯車113を解放する。第1係合クラッチC1が右側締結位置(Right)のとき、第4軸14と第12歯車112を駆動連結する。
前記第2係合クラッチC2は、第1軸11のうち、第2歯車102と第3歯車103の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第2係合クラッチC2が左側締結位置(Left)のとき、第1軸11と第3歯車103を駆動連結する。第2係合クラッチC2が中立位置(N)のとき、第1軸11と第2歯車102を解放すると共に、第1軸11と第3歯車103を解放する。第2係合クラッチC2が右側締結位置(Right)のとき、第1軸11と第2歯車102を駆動連結する。
前記第3係合クラッチC3は、第3軸13のうち、第9歯車109と第10歯車110の間に介装され、同期機構を持たないことで、回転同期状態での噛み合いストロークにより締結されるドグクラッチである。第3係合クラッチC3が左側締結位置(Left)のとき、第3軸13と第10歯車110を駆動連結する。第3係合クラッチC3が中立位置(N)のとき、第3軸13と第9歯車109を解放すると共に、第3軸13と第10歯車110を解放する。第3係合クラッチC3が右側締結位置(Right)のとき、第3軸13と第9歯車109を駆動連結する。そして、多段歯車変速機1の第3軸13に一体(一体化固定を含む)に設けられた第7歯車107に噛み合う第16歯車116は、デファレンシャル歯車17及び左右のドライブ軸18を介して左右の駆動輪19に接続されている。
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール21と、モータコントロールユニット22と、変速機コントロールユニット23と、エンジンコントロールユニット24と、を備えている。
前記ハイブリッドコントロールモジュール21(略称:「HCM」)は、車両全体の消費エネルギーを適切に管理する機能を担う統合制御手段である。このハイブリッドコントロールモジュール21は、他のコントロールユニット(モータコントロールユニット22、変速機コントロールユニット23、エンジンコントロールユニット24など)とCAN通信線25により双方向情報交換可能に接続されている。なお、CAN通信線25の「CAN」とは、「Controller Area Network」の略称である。
前記モータコントロールユニット22(略称:「MCU」)は、第1インバータ4と第2インバータ6に対する制御指令により第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御などを行う。第1モータジェネレータMG1及び第2モータジェネレータMG2に対する制御モードとしては、「トルク制御」と「回転数FB制御」がある。「トルク制御」は、目標駆動力に対して分担する目標モータトルクが決まると、実モータトルクを目標モータトルクに追従させる制御を行う。「回転数FB制御」は、走行中に係合クラッチC1,C2,C3の何れかを噛み合い締結する変速要求があると、クラッチ入出力回転数を回転同期させる目標モータ回転数を決め、実モータ回転数を目標モータ回転数に収束させるようにFBトルクを出力する制御を行う。
前記変速機コントロールユニット23(略称:「TMCU」)は、所定の入力情報に基づいて電動アクチュエータ31,32,33(図2参照)へ電流指令を出力することにより、多段歯車変速機1の変速段を切り替える変速制御を行う。この変速制御では、係合クラッチC1,C2,C3を選択的に噛み合い締結/解放させ、複数対の歯車対から動力伝達に関与する歯車対を選択する。ここで、解放されている係合クラッチC1,C2,C3の何れかを締結する変速要求時には、クラッチ入出力の差回転数を抑えて噛み合い締結を確保するために、第1モータジェネレータMG1又は第2モータジェネレータMG2の回転数FB制御(回転同期制御)を併用する。
前記エンジンコントロールユニット24(略称:「ECU」)は、所定の入力情報に基づいてモータコントロールユニット22や点火プラグや燃料噴射アクチュエータなどへ制御指令を出力することにより、内燃機関ICEの始動制御や内燃機関ICEの停止制御や燃料カット制御などを行う。
[変速制御系構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、変速要素として、噛み合い締結による係合クラッチC1,C2,C3(ドグクラッチ)を採用することにより引き摺りを低減することで効率化を図った点を特徴とする。そして、係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを噛み合い締結させる変速要求があると、クラッチ入出力の差回転数を、第1モータジェネレータMG1(係合クラッチC3の締結時)又は第2モータジェネレータMG2(係合クラッチC1,C2の締結時)により回転同期させ、同期判定回転数範囲内になると噛み合いストロークを開始することで実現している。又、締結されている係合クラッチC1,C2,C3のいずれかを解放させる変速要求があると、解放クラッチのクラッチ伝達トルクを低下させ、解放トルク判定値以下になると解放ストロークを開始することで実現している。以下、図2に基づき、多段歯車変速機1の変速制御系構成を説明する。
変速制御系は、図2に示すように、係合クラッチとして、第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3を備えている。アクチュエータとして、C1,C2シフト動作用の第1電動アクチュエータ31と、C1,C2セレクト動作用の第2電動アクチュエータ32と、C3シフト動作用の第3電動アクチュエータ33を備えている。そして、アクチュエータ動作をクラッチ係合/解放動作に変換するシフト機構として、C1/C2セレクト動作機構40と、C1シフト動作機構41と、C2シフト動作機構42と、C3シフト動作機構43を備えている。さらに、第1電動アクチュエータ31と第2電動アクチュエータ32と第3電動アクチュエータ33の制御手段として、変速機コントロールユニット23を備えている。
前記第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2と第3係合クラッチC3は、ニュートラル位置(N:解放位置)と、左側締結位置(Left:左側クラッチ噛み合い締結位置)と、右側締結位置(Right:右側クラッチ噛み合い締結位置)と、を切り替えるドグクラッチである。各係合クラッチC1,C2,C3は何れも同じ構成であり、カップリングスリーブ51,52,53と、左側ドグクラッチリング54,55,56と、右側ドグクラッチリング57,58,59と、を備える。カップリングスリーブ51,52,53は、第4軸14,第1軸11,第3軸13に固定された図外のハブを介してスプライン結合により軸方向にストローク可能に設けられたもので、両側に平らな頂面によるドグ歯51a,51b,52a,52b,53a,53bを有する。さらに、カップリングスリーブ51,52,53の周方向中央部にフォーク溝51c,52c,53cを有する。左側ドグクラッチリング54,55,56は、各係合クラッチC1,C2,C3の左側遊転歯車である各歯車113,103,110のボス部に固定され、ドグ歯51a,52a,53aに対向する平らな頂面によるドグ歯54a,55a,56aを有する。右側ドグクラッチリング57,58,59は、各係合クラッチC1,C2,C3の右側遊転歯車である各歯車112,102,109のボス部に固定され、ドグ歯51b,52b,53bに対向する平らな頂面によるドグ歯57b,58b,59bを有する。
前記C1/C2セレクト動作機構40は、第1電動アクチュエータ31とC1シフト動作機構41の連結を選択する第1位置と、第1電動アクチュエータ31とC2シフト動作機構42の連結を選択する第2位置と、を選択する機構である。第1位置の選択時には、シフトロッド62と第1係合クラッチC1のシフトロッド64を連結すると共に、第2係合クラッチC2のシフトロッド65をニュートラル位置にロックする。第2位置の選択時には、シフトロッド62と第2係合クラッチC2のシフトロッド65を連結すると共に、第1係合クラッチC1のシフトロッド64をニュートラル位置にロックする。つまり、第1位置と第2位置のうち、一方の係合クラッチをシフト動作する位置を選択すると、他方の係合クラッチはニュートラル位置でロック固定する機構としている。
前記C1シフト動作機構41とC2シフト動作機構42とC3シフト動作機構43は、電動アクチュエータ31,33の回動動作を、カップリングスリーブ51,52,53の軸方向ストローク動作に変換する機構である。各シフト動作機構41,42,43は何れも同じ構成であり、回動リンク61,63と、シフトロッド62,64,65,66と、シフトフォーク67,68,69と、を備える。回動リンク61,63は、一端が電動アクチュエータ31,33のアクチュエータ軸に設けられ、他端がシフトロッド64(又はシフトロッド65),66に相対変位可能に連結される。シフトロッド64,65,66は、ロッド分割位置にスプリング64a,65a,66aが介装され、ロッド伝達力の大きさと方向に応じて伸縮可能とされている。シフトフォーク67,68,69は、一端がシフトロッド64,65,66に固定され、他端がカップリングスリーブ51,52,53のフォーク溝51c,52c,53cに配置される。
前記変速機コントロールユニット23は、車速センサ71、アクセル開度センサ72、変速機出力軸回転数センサ73、エンジン回転数センサ74、MG1回転数センサ75、MG2回転数センサ76、インヒビタースイッチ77からのセンサ信号やスイッチ信号を入力する。なお、変速機出力軸回転数センサ73は、第3軸13の軸端部に設けられ、第3軸13の軸回転数を検出する。そして、カップリングスリーブ51,52,53の位置によって決まる係合クラッチC1,C2,C3の噛み合い締結と解放を制御する位置サーボ制御部(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。この位置サーボ制御部は、第1スリーブ位置センサ81、第2スリーブ位置センサ82、第3スリーブ位置センサ83からのセンサ信号を入力する。そして、各スリーブ位置センサ81,82,83のセンサ値を読み込み、カップリングスリーブ51,52,53の位置が噛み合いストロークによる締結位置又は解放位置になるように、電動アクチュエータ31,32,33に電流を与える。即ち、カップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯との双方が噛合した噛み合い位置にある締結状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ51,52,53が、軸線方向へ変位することでカップリングスリーブ51,52,53に溶接されたドグ歯と遊転歯車に溶接されたドグ歯が非噛み合い位置にある解放状態にすることで、遊転歯車を第4軸14,第1軸11,第3軸13から切り離す。
[変速段構成]
実施例1の多段歯車変速機1は、流体継手などの回転差吸収要素を持たないことで動力伝達損失を低減すると共に、内燃機関ICEをモータアシストすることでICE変速段を減らし、コンパクト化(EV変速段:1-2速、ICE変速段:1-4速)を図った点を特徴とする。以下、図3及び図4に基づき、多段歯車変速機1の変速段構成を説明する。
変速段の考え方は、図3に示すように、車速VSPが所定車速VSP0以下の発進領域においては、多段歯車変速機1が発進要素(滑り要素)を持たないため、「EVモード」でモータ駆動力のみによるモータ発進とする。そして、走行領域においては、図3に示すように、駆動力の要求が大きいとき、エンジン駆動力をモータ駆動力によりアシストする「パラレルHEVモード」により対応するという変速段の考え方を採る。つまり、車速VSPの上昇に従って、ICE変速段は、(ICE1st→)ICE2nd→ICE3rd→ICE4thへと変速段が移行し、EV変速段は、EV1st→EV2ndへと変速段が移行する。よって、図3に示す変速段の考え方に基づき、変速段を切り替える変速要求を出すための変速マップを作成する。
係合クラッチC1,C2,C3を有する多段歯車変速機1により理論的に実現可能な全変速段は図4に示す通りである。なお、図4中の「Lock」は、変速段として成立しないインターロック変速段を表し、「EV-」は、第1モータジェネレータMG1が駆動輪19に駆動連結されていない状態を表し、「ICE-」は、内燃機関ICEが駆動輪19に駆動連結されていない状態を表す。以下、各変速段について説明する。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV- ICEgen」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「Neutral」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV- ICE3rd」である。
ここで、「EV- ICEgen」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第1モータジェネレータMG1で発電するMG1アイドル発電時、又は、MG1発電にMG2発電を加えたダブルアイドル発電時に選択される変速段である。「Neutral」の変速段は、停車中、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電するMG2アイドル発電時に選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1st ICE1st」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV1st ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV1st ICE3rd」である。
ここで、「EV1st ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で1速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV1.5 ICE2nd」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE2nd」である。第2係合クラッチC2が「Left」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE2nd」である。
第2係合クラッチC2が「N」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2nd ICE3rd’」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV2nd ICE-」、第1係合クラッチC1が「Right」であれば「EV2nd ICE3rd」である。
ここで、「EV2nd ICE-」の変速段は、内燃機関ICEを停止して第1モータジェネレータMG1で走行する「EVモード」のとき、又は、内燃機関ICEにより第2モータジェネレータMG2で発電しながら、第1モータジェネレータMG1で2速EV走行を行う「シリーズHEVモード」のときに選択される変速段である。
第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Right」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV2nd ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「N」のとき、第1係合クラッチC1の位置により次の変速段となる。第1係合クラッチC1が「Left」であれば「EV2.5 ICE4th」、第1係合クラッチC1が「N」であれば「EV- ICE4th」である。第2係合クラッチC2が「Right」で、第3係合クラッチC3が「Left」のとき、第1係合クラッチC1の位置が「N」であれば「EV1st ICE4th」である。
次に、係合クラッチC1,C2,C3の締結組み合わせによる上記全変速段から「通常時使用変速段」を分ける手法について説明する。
まず、全変速段から「インターロック変速段(図4のクロスハッチング)」と「シフト機構により選択できない変速段(図4の右上がりハッチング)」を除いた変速段を、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段とする。ここで、シフト機構により選択できない変速段とは、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Left」である「EV1.5 ICE2nd」と、第1係合クラッチC1が「Left」で、かつ、第2係合クラッチC2が「Right」である「EV2.5 ICE4th」と、をいう。シフト機構により選択できない理由は、1つの第1電動アクチュエータ31が、2つの係合クラッチC1,C2に対して兼用するシフトアクチュエータであり、かつ、C1/C2セレクト動作機構40により片方の係合クラッチはニュートラルロックされることによる。
そして、多段歯車変速機1により実現可能な複数の変速段の中から「通常使わない変速段(図4の右下がりハッチング)」と「低SOC等で使う変速段(図4の破線枠)」を除いた変速段を、「通常時使用変速段(図4の太線枠)」とする。ここで、「通常使わない変速段」とは、「EV2nd ICE3rd’」と「EV1st ICE4th」であり、「低SOC等で使う変速段」とは、「EV- ICEgen」と「EV1st ICE1st」である。
よって、「通常時使用変速段」は、EV変速段(EV1st ICE-、EV2nd ICE-)と、ICE変速段(EV- ICE2nd、EV- ICE3rd、EV- ICE4th)と、組み合わせ変速段(EV1st ICE2nd、EV1st ICE3rd、EV2nd ICE2nd、EV2nd ICE3rd、EV2nd ICE4th)に、「Neutral」を加えることによって構成される。
[変速制御処理構成]
図5は、実施例1の変速機コントロールユニット23(変速コントローラ)で実行される変速制御処理の流れを示す。以下、変速制御処理構成をあらわす各ステップについて説明する。この変速制御処理において、アクセル開度APOが一定で車速VSPが上昇する走行シーンにおいて、オートアップ変速が行われる場合を変速の一例とする。
ステップS1では、車速≧(変速実施車速−トルクダウン実施車速)であるか否かを判断する。YES(車速が変速実施車速前のトルクダウン実施車速に到達)の場合はステップS3へ進み、NO(車速が変速実施車速前のトルクダウン実施車速に未到達)の場合はステップS2へ進む。
ここで、「車速」は実際の車両速度であり、車速センサにより車速情報を取得する。「変速実施車速」は変速を開始する車速であり、図6に示すシフトスケジュールマップの変速線により決定する。「トルクダウン実施車速」は変速実施前にエンジントルクダウンを開始する車速であり、「変速実施車速」より一定車速手前の車速値とされる。以下、「車速VSP」、「変速実施車速VSP/SFT」、「トルクダウン実施車速VSP/TDWN」という。
ステップS2では、ステップS1での車速VSPが変速実施車速VSP/SFT前のトルクダウン実施車速VSP/TDWNに未到達であるとの判断に続き、ENGトルク(=エンジントルク)をドライバ要求トルクとし、ステップS1へ戻る。
ここで、「ドライバ要求トルク」は、アクセル開度APOと車速VSPにより演算されるドライバが求めるトルクであり、図6の示すシフトスケジュールマップの「Driving force」に相当する。
ステップS3では、ステップS1での車速VSPが変速実施車速VSP/SFT前のトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達したとの判断に続き、車速VSP≧変速実施車速VSP/SFTであるか否かを判断する。YES(車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達)の場合はステップS6へ進み、NO(車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに未到達)の場合はステップS4へ進む。
ここで、「車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに未到達」との判断区間は、車速VSPが、トルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達してから変速実施車速VSP/SFTに到達するまでの区間をいう。
ステップS4では、ステップS3での車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに未到達であるとの判断に続き、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)であるか否かを判断する。YES{ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)}の場合はステップS5へ進み、NO{ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)}の場合はステップS2へ進む。
ここで、「MGmaxトルク」は変速時点で第1モータジェネレータMG1が出せる最大トルクをいう。「変速段差許容トルク」は変速時にドライバが許容できるトルク段差をいう。よって、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)は、ICE変速段による変速中トルク段差(ドライバ要求トルク−MGmaxトルク)を想定し、想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルクを超えていることを意味する。このため、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断されると、ステップS5へ進み、トルク補填前のエンジントルクダウンを行う。一方、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断されると、ステップS2へ進み、トルク補填前のエンジントルクダウンを行わない。
ステップS5では、ステップS4でのドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)であるとの判断に続き、ENGトルク=(ドライバ要求トルク−トルクダウントルク)の式によりENGトルクを演算し、ENGトルクを低下させるENGトルクダウン制御を行い、ステップS1へ戻る。
ここで、「トルクダウントルク」とは、変速前段階で変速開始に向かって徐々に低下させるENGトルクダウンの制御を行うとき、トルクダウントルクの前回値に、制御周期毎のトルク低下分ΔTeを減算して求められるENGトルク低下量をいう。変速前のENGトルクダウン制御では、トルクダウン実施車速VSP/TDWNへ到達した時点でのドライバ要求トルク(=ENGトルク)を、変速実施車速VSP/SFTへの到達時に(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)まで低下させる。よって、(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)が同じとき、ドライバ要求トルク(=ENGトルク)が大きいほど、トルクダウントルクが大きくなり、ENGトルクの低下勾配が急になる。
なお、トルクダウントルクの算出例では、
トルクダウントルク={ドライバ要求トルク−(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)}×{(車速−トルクダウン実施車速)/(変速実施車速−トルクダウン実施車速)}…(1)
であらわされる式(1)を用いて算出する。
ステップS6では、ステップS3での車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達したとの判断に続き、EV変速段を保ったままで、ICE変速段をアップ変速するオートアップ変速を開始し、ステップS7へ進む。
ステップS7では、ステップS6でのオートアップ変速開始に続き、変速開始域のENGトルクダウン制御と変速開始域のMGトルクアップ制御を行い、ステップS8へ進む。
ここで、「変速開始域のENGトルクダウン制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値−Δ1)の式を用いてENGトルクが求められる。なお、「ENGトルク」とはエンジン指令トルクをいう。「ENGトルク前回値」とはエンジン指令トルクの前回算出値をいう。「Δ1」とは変速開始域でENGトルクを減少させる傾きをいう。
「変速開始域のMGトルクアップ制御」では、MGトルク=(MGトルク前回値+Δ2)の式を用いてMGトルクが求められる。なお、「MGトルク」とはMG1指令トルクをいう。「MGトルク前回値」とはMG1指令トルクの前回算出値をいう。「Δ2」は変速開始域でMG1トルクを増加させる傾きをいう。
ステップS8では、ステップS7での変速開始域のENGトルクダウン制御及びMGトルクアップ制御に続き、ENGトルクがゼロまで低下したか否かを判断する。YES(ENGトルク=0)の場合はステップS9へ進み、NO(ENGトルク>0)の場合はステップS7へ戻る。
ステップS9では、ステップS8でのENGトルク=0であるとの判断に続き、オートアップ変速に基づき、ICE変速段側の係合クラッチのうち、一方のクラッチを解放し、他方のクラッチを締結するクラッチ架け替えを実施し、ステップS10へ進む。
ここで、例えば、「EV2nd ICE3rd」から「EV2nd ICE4th」へのオートアップ変速の場合は、第1係合クラッチC1を解放(「Right」→「N」)し、第2係合クラッチC2を締結(「N」→「Right」)するクラッチ架け替えが実施される。なお、ICE変速段の変速要素である第1係合クラッチC1と第2係合クラッチC2は、それぞれ「Left」と「Right」のクラッチ部を有する。このため、「クラッチ架け替え」には、例えば、第2係合クラッチC2が「Left」→「N」→「Right」、或いは、「Right」→「N」→「Left」とストロークするクラッチ架け替えの場合も含まれる。
ステップS10では、ステップS9でのクラッチ架け替え、或いは、ステップS11でのMGトルク>0であるとの判断に続き、変速終了域のENGトルクアップ制御と変速終了域のMGトルクダウン制御を行い、ステップS11へ進む。
ここで、「変速終了域のENGトルクアップ制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値+Δ1)の式を用いてENGトルクが求められる。なお、「ENGトルク」とはエンジン指令トルクをいう。「ENGトルク前回値」とはエンジン指令トルクの前回算出値をいう。「Δ1」とは変速終了域でENGトルクを増加させる傾きをいう。
「変速終了域のMGトルクダウン制御」では、MGトルク=(MGトルク前回値−Δ2)の式を用いてMGトルクが求められる。なお、「MGトルク」とはMG1指令トルクをいう。「MGトルク前回値」とはMG1指令トルクの前回算出値をいう。「Δ2」は変速終了域でMG1トルクを減少させる傾きをいう。
ステップS11では、ステップS10での変速終了域のENGトルクアップ制御及びMGトルクダウン制御に続き、MGトルクがゼロまで低下したか否かを判断する。YES(MGトルク=0)の場合はステップS12へ進み、NO(MGトルク>0)の場合はステップS10へ戻る。
ステップS12では、ステップS11でのMGトルク=0であるとの判断に続き、EV変速段を保ったままで、ICE変速段をアップ変速するオートアップ変速を終了し、ステップS13へ進む。
ステップS13では、ステップS12での変速終了に続き、変速終了後のENGトルク復帰制御を行い、ステップS14へ進む。
ここで、「変速終了後のENGトルク復帰制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値+Δ3)の式を用いてENGトルクが求められる。なお、「ENGトルク」とはエンジン指令トルクをいう。「ENGトルク前回値」とはエンジン指令トルクの前回算出値をいう。「Δ3」とは変速終了後にENGトルクをドライバ要求トルクまで戻す一定の傾きをいう。
ステップS14では、ステップS13での変速終了後のENGトルク復帰制御に続き、ENGトルク=ドライバ要求トルクであるか否かを判断する。YES(ENGトルク=ドライバ要求トルク)の場合はリターンへ進み、NO(ENGトルク<ドライバ要求トルク)の場合はステップS13へ戻る。
次に、作用を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の変速制御装置における作用を、「変速制御処理作用」、「オートアップ変速制御作用」、「変速制御の特徴作用」に分けて説明する。
[変速制御処理作用]
以下、図5に示すフローチャートに基づき、アクセル開度APOが一定で車速VSPが上昇する走行シーンでのオートアップ変速制御処理作用を説明する。
車速VSPが変速実施車速前のトルクダウン実施車速VSP/TDWNに未到達であると、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へと進む流れが繰り返される。即ち、ステップS2では、ENGトルクがドライバ要求トルクとされる。その後、車速VSPが上昇することにより、車速VSPが変速実施車速VSP/SFT前のトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達すると、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS4へと進む。ステップS4では、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)であるか否かが判断される。
ステップS4でドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合は、ステップS2へ進み、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS2へと進む流れが、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達するまで繰り返される。即ち、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下であることで、ステップS2では、ENGトルクがドライバ要求トルクのまま維持され、変速開始前のENGトルクダウン制御が行われない。
一方、ステップS4でドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合は、ステップS5へ進み、ステップS1→ステップS3→ステップS4→ステップS5へと進む流れが、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達するまで繰り返される。即ち、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルクを超えていることで、ステップS5では、変速開始前にENGトルクを低下させるENGトルクダウン制御が行われる。このENGトルクダウン制御では、ENGトルク=(ドライバ要求トルク−トルクダウントルク)の式によりENGトルクが演算される。
次に、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達すると、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS3→ステップS6へと進み、ステップS6では、EV変速段を保ったままで、ICE変速段をアップ変速するオートアップ変速が開始される。オートアップ変速が開始されると、ステップS6からステップS7→ステップS8へ進み、ステップS8でENGトルク>0であると判断されている限り、ステップS7→ステップS8へと進む流れが繰り返される。即ち、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTに到達してからENGトルク=0と判断されるまでの間は、ステップS7において、変速開始域のENGトルクダウン制御と変速開始域のMGトルクアップ制御が行われる。なお、「変速開始域のENGトルクダウン制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値−Δ1)の式を用いてENGトルクが求められる。また、「変速開始域のMGトルクアップ制御」では、MGトルク=(MGトルク前回値+Δ2)の式を用いてMGトルクが求められる。
ステップS8にてENGトルク=0であると判断されると、ステップS8からステップS9へ進み、ステップS9では、オートアップ変速要求に基づき、ICE変速段側の係合クラッチのうち、一方のクラッチを解放し、他方のクラッチを締結するクラッチ架け替えが実施される。
クラッチ架け替えが完了すると、図5のフローチャートにおいて、ステップS9からステップS10→ステップS11へと進み、ステップS11でMGトルク>0であると判断されている限り、ステップS10→ステップS11へと進む流れが繰り返される。即ち、クラッチ架け替えが完了してからMGトルク=0と判断されるまでの間は、ステップS10において、変速終了域のENGトルクアップ制御と変速終了域のMGトルクダウン制御が行われる。なお、「変速終了域のENGトルクアップ制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値+Δ1)の式を用いてENGトルクが求められる。また、「変速終了域のMGトルクダウン制御」では、MGトルク=(MGトルク前回値−Δ2)の式を用いてMGトルクが求められる。
ステップS11にてMGトルク=0であると判断されると、ステップS12へ進み、ステップS12では、EV変速段を保ったままで、ICE変速段をアップ変速するオートアップ変速が終了される。オートアップ変速が終了されると、ステップS12からステップS13→ステップS14へ進み、ステップS14でENGトルク<ドライバ要求トルクであると判断されている限り、ステップS13→ステップS14へと進む流れが繰り返される。即ち、ステップS13では、変速終了後のENGトルク復帰制御が行われる。この「変速終了後のENGトルク復帰制御」では、ENGトルク=(ENGトルク前回値+Δ3)の式を用いてENGトルクが求められる。そして、ステップS14でENGトルク=ドライバ要求トルクと判断されると、リターンへ進み、再び、ステップS1からの制御処理が開始される。
[オートアップ変速制御作用]
以下、通常時使用変速段「EV2nd ICE3rd」での走行中、車速VSPの上昇により通常時使用変速段「EV2nd ICE4th」へアップ変速するオートアップ変速を一例とし、オートアップ変速制御作用を、図6〜図12に基づき説明する。
まず、通常時変速制御で用いられる「シフトスケジュールマップ」は、図6に示すように、車速VSPと要求制駆動力(Driving force)を座標軸とし、座標面に通常時使用変速段グループを構成する複数の変速段を選択する選択領域が割り当てられたマップである。つまり、アクセル踏み込みによる力行駆動領域として、発進からの低車速域に「EV1st」の選択領域が割り当てられる。そして、中〜高車速域に「EV2nd」、「EV1st ICE2nd」、「EV1st ICE3rd」、「EV2nd ICE2nd」、「EV2nd ICE3rd」、「EV2nd ICE4th」の選択領域が割り当てられる。アクセル足離しのブレーキ減速による回生制動領域として、低車速域に「EV1st」の選択領域が割り当てられ、中〜高車速域に「EV2nd」の選択領域が割り当てられる。
通常時使用変速段「EV2nd ICE3rd」の場合、図7に示すように、第1モータジェネレータMG1から駆動輪19へ向かう動力伝達経路に1つの第3係合クラッチC3(Right)が存在する。そして、内燃機関ICEから駆動輪19へ向かう動力伝達経路に1つの第1係合クラッチC1(Right)が存在する。
通常時使用変速段「EV2nd ICE4th」の場合、図8に示すように、第1モータジェネレータMG1から駆動輪19へ向かう動力伝達経路に1つの第3係合クラッチC3(Right)が存在する。そして、内燃機関ICEから駆動輪19へ向かう動力伝達経路に1つの第2係合クラッチC2(Right)が存在する。
つまり、「EV2nd ICE3rd」から「EV2nd ICE4th」へのオートアップ変速は、ENGトルクをENGトルク=0とし、クラッチ伝達トルクを抑えた状態で第1係合クラッチC1を「Right」位置から「N」位置へストロークし、第1係合クラッチC1を解放する。そして、第2モータジェネレータMG2による回転同期制御を行い、回転同期状態で第2係合クラッチC2を「N」位置から「Right」位置へストロークし、第2係合クラッチC2を締結するクラッチ架け替えにより行われる。以下、実施例1での変速制御作用を、比較例での変速制御作用と対比しながら説明する。
(比較例での変速制御作用)
変速中に抜ける車両駆動力をMGトルクによりトルク補填するものにおいて、変速中の想定トルク段差の大小にかかわらず、車速がトルクダウン実施車速に到達するとENGトルクを低下するENGトルクダウンを行うものを比較例とする。
この比較例において、ドライバ要求トルクが低い走行シーンであって、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合を図9に示す。また、比較例において、ドライバ要求トルクが高い走行シーンであって、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)の場合を図10に示す。
なお、図9及び図10において、時刻t1はトルクダウン実施車速到達時刻である。時刻t2は変速開始時刻(変速開始域のENGトルクダウン&MGトルクアップ開始時刻)である。時刻t3はクラッチ架け替え開始時刻である(ENGトルク=0、MGトルク=MGmaxトルク)。時刻t4はクラッチ架け替え終了時刻(変速終了域のENGトルクアップ&MGトルクダウン開始時刻)である。時刻t5は変速終了時刻(ENGトルク=MGmaxトルク、MGトルク=0)、時刻t6はENGトルク復帰終了時刻である。
図9及び図10の場合、時刻t1にてトルクダウン実施車速に到達すると、ENGトルク(=車両走行トルク)の低下が開始される。そして、トルクダウントルクによる低下勾配は、変速実施車速に到達して変速を開始する時刻t2になったとき、モータジェネレータMGの最大出力トルク(=MGmaxトルク)になるように決められる。
このように、変速中の想定トルク段差が小(図9)であるか、変速中の想定トルク段差が大(図10)であるかにかかわらず、車速がトルクダウン実施車速に到達すると予備動作として、ENGトルクを低下するENGトルクダウンが行われる。加えて、ENGトルクダウンの目標トルクをMGmaxトルク(変速中のMGトルク補填量)とし、トルクダウン実施車速に到達すると、変速開始時刻t2までにENGトルクがMGmaxトルクになることを目標とし、ENGトルクの低下勾配が決められる。
したがって、ICE変速段を変速させる際、図9及び図10から明らかなように、ドライバ要求トルク(2点鎖線特性)と、車両走行トルク(実線特性)との乖離幅が大きくなる。この結果、ドライバがアクセル開度を保ったままでの走行中であるにもかかわらず、オートアップ変速が介入すると、不意に車両走行トルクが大きく低下することで、ドライバに違和感を与えてしまう。
(実施例1での変速制御作用)
実施例1において、ドライバ要求トルクが低い走行シーンであって、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合を図11に示す。なお、図11において、時刻t1〜時刻t6は、図9及び図10の場合と同様である。
例えば、図6に示すシフトスケジュールマップ上で運転点がA点から車速VSPの上昇によりB点へ移行するとき、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断される。この場合、図11に示すように、時刻t1にてトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達しても、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)であるため、ENGトルク(=車両走行トルク=ドライバ要求トルク)を低下させない。
そして、変速実施車速VSP/SFTに到達する時刻t2になると、変速開始域のENGトルクダウンとMGトルクアップが開始され、ENGトルク=0になる時刻t3にてENGトルクダウンとMGトルクアップを終了する。時刻t2〜時刻t3の区間は、ENGトルクとMGトルクの合計により、時刻t2でのENGトルクから時刻t3でのMGmaxトルクまで車両走行トルクが低下する。そして、時刻t3〜時刻t4の区間は、MGmaxトルクにより一定の車両走行トルクが確保されるMGトルク補填区間であり、この区間においてクラッチの架け替えが行われる。
クラッチ架け替えが完了する時刻t4になると、変速終了域のENGトルクアップとMGトルクダウンが開始され、MGトルク=0になる時刻t5にてENGトルクアップとMGトルクダウンを終了する。時刻t4〜時刻t5の区間は、ENGトルクとMGトルクの合計により、MGmaxトルクから時刻t2でのENGトルクまで車両走行トルクが上昇する。よって、時刻t5になると、時刻t2以前と同様に、ENGトルク(=車両走行トルク=ドライバ要求トルク)に戻り、ENGトルクをドライバ要求トルクにまで戻すENGトルクの復帰制御を行う必要がない。
このように、比較例では、ENGトルクダウンの目標トルクをMGmaxトルクとするのに対し、実施例1では、ENGトルクダウンの目標トルクを(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)としている。このため、変速中の想定トルク段差が、変速段差許容トルク以下のときは、車速VSPがトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達しても予備動作であるENGトルクダウンを行うことなく、変速開始時刻t2では、ENGトルク(=ドライバ要求トルク)を保つようにしている。
したがって、ICE変速段を変速させるとき、図11から明らかなように、ドライバ要求トルク(2点鎖線特性)と、車両走行トルク(実線特性)との乖離幅が、図9の比較例に比べて小さくなり、ドライバに与える違和感が防止される。ちなみに、ドライバ要求トルク≦(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合、比較例に対する実施例1における車両走行トルクの減少抑制による効果代は、図11に示すように、時刻t1〜時刻t3のハッチング領域と時刻t4〜時刻t6のハッチング領域にあらわれる。
一方、実施例1において、ドライバ要求トルクが高い走行シーンであって、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合を図12に示す。なお、図12において、時刻t1〜時刻t6は、図9及び図10の場合と同様である。
例えば、図6に示すシフトスケジュールマップ上で運転点がC点から車速VSPの上昇によりD点へ移行するとき、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断される。この場合、図12に示すように、時刻t1にてトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達すると、ENGトルク(=車両走行トルク)の低下が開始される。そして、時刻t1からのトルクダウントルクによる低下勾配は、変速実施車速VSP/SFTに到達する時刻t2にて(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)になるように決められる。
そして、変速実施車速VSP/SFTに到達する時刻t2になると、変速開始域のENGトルクダウンとMGトルクアップが開始され、ENGトルク=0になる時刻t3にてENGトルクダウンとMGトルクアップを終了する。時刻t2〜時刻t3の区間は、ENGトルクとMGトルクの合計により、時刻t2でのENGトルク(=MGmaxトルク+変速段差許容トルク)から時刻t3でのMGmaxトルクまで車両走行トルクが低下する。そして、時刻t3〜時刻t4の区間は、MGmaxトルクにより一定の車両走行トルクが確保されるMGトルク補填区間であり、この区間においてクラッチの架け替えが行われる。
クラッチ架け替えが完了する時刻t4になると、変速終了域のENGトルクアップとMGトルクダウンが開始され、MGトルク=0になる時刻t5にてENGトルクアップとMGトルクダウンを終了する。時刻t4〜時刻t5の区間は、ENGトルクとMGトルクの合計により、MGmaxトルクから時刻t2でのENGトルク(=MGmaxトルク+変速段差許容トルク)まで車両走行トルクが上昇する。
そして、変速終了時刻t5になると、ENGトルクをドライバ要求トルクにまで戻すENGトルクの復帰制御が開始される。このとき、ENGトルクの戻し勾配は、一定の上昇傾きによる勾配とされ、時刻t6になってENGトルクがドライバ要求トルクに到達する時刻t6になるとENGトルク復帰制御を終了する。
このように、比較例では、ENGトルクダウンの目標トルクをMGmaxトルクとするのに対し、実施例1では、ENGトルクダウンの目標トルクを(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)としている。このため、変速中の想定トルク段差が、変速段差許容トルクより大きいときは、車速VSPがトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達する時刻t1から予備動作であるENGトルクダウンが行われるものの、時刻t1から時刻t2までのENGトルクの低下目標を、MGmaxトルクに変速段差許容トルクを加えたトルク値までとしている。
したがって、ICE変速段を変速させるとき、図12から明らかなように、ドライバ要求トルク(2点鎖線特性)と、車両走行トルク(実線特性)との乖離幅が、図10の比較例に比べて小さくなり、ドライバに与える違和感が防止される。ちなみに、ドライバ要求トルク>(MGmaxトルク+変速段差許容トルク)と判断された場合、比較例に対する実施例1における車両走行トルクの減少抑制による効果代は、図12に示すように、時刻t1〜時刻t3のハッチング領域と時刻t4〜時刻t6のハッチング領域にあらわれる。
[変速制御の特徴作用]
実施例1では、変速開始前にICE変速段による変速中トルク段差を想定し、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下と判断されると、トルク補填前のENGトルクダウンを行わない構成とした(図11)。
即ち、ENGトルクダウンを行わない条件として、変速開始前に想定される変速中の想定トルク段差が変速段差許容トルク以下になるとの条件を与えている。このため、変速中トルク段差条件が成立すると、トルク補填前のENGトルクダウンが行われず、余分なENGトルクダウンが回避される。そして、トルク補填前はドライバ要求トルクが確保されるし、変速中はMGトルク補填によりトルク段差が変速段差許容トルク以下に抑えられる。よって、走行中に変速が介入してもドライバ要求トルクと車両走行トルクのトルク乖離幅が小さく抑えられ、ドライバに違和感を与えることがない。
この結果、第1係合クラッチC1及び第2係合クラッチC2の解放を伴うICE変速段の変速を実施するとき、ドライバに違和感を与えることなく、余分なENGトルクダウンが回避される。
実施例1では、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルクを超えていると判断されると、想定トルク段差が変速段差許容トルク以下となるようにトルク補填前にENGトルクダウンを行う構成とした(図12)。
即ち、ENGトルクの低下目標が、MG補填トルク(=MGmaxトルク)に変速段差許容トルクを加えたトルク値となるようにENGトルクダウンが行われる。
従って、変速中の想定トルク段差が変速段差許容トルクを超えているとき、ENGトルクの低下目標をMG補填トルクにする場合に比べ、ENGトルクダウン量が小さく抑えられ、ドライバが駆動力不足と感じることが抑制される。
実施例1では、トルク補填前にENGトルクダウンを行うとき、ドライバ要求トルクと変速実施車速VSP/SFTまでの残り車速に応じてトルクダウントルクを算出する構成とした(図13)。
即ち、図13の時刻t1〜時刻t2の特性に示すように、ドライバ要求トルク大のときは、ENGトルクダウンの低下勾配が大きくなり、ドライバ要求トルク小のときは、ENGトルクダウンの低下勾配が小さくなる。
このように、トルクダウントルクがドライバ要求トルクの大きさで変化するため、ドライバに与える違和感が軽減される。加えて、トルクダウントルクが車速に応じて変化するため、急激なトルク変化が抑えられる。
従って、トルク補填前にENGトルクダウンを行うとき、ドライバに与える違和感が軽減されると共に、急激なトルク変化が抑えられる。
実施例1では、ICE変速段による変速中トルク段差を想定する変速前のタイミングを、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTより所定車速値前に設定したトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達したタイミングとする構成とした。
即ち、走行中に車速VSPが変化することによりアップ変速要求やダウン変速要求が出されるとき、トルクダウン実施車速VSP/TDWNから変速実施車速VSP/SFTまで到達するまでに十分な車速幅を確保できる。このため、変速前のENGトルクダウンを行うとき、緩やかなENGトルクの低下勾配になる。そして、車速VSPの変化により変速要求が出される走行シーンは、ドライバはアクセル開度を保ったままで、ドライバの前後G変動に対する感度が高い走行シーンである。
従って、アクセル開度を保ったままの走行シーンでトルク補填前にENGトルクダウンを行うとき、変速介入があっても急激なトルク変化が抑えられ、ドライバに与える違和感が軽減される。
実施例1では、変速終了後にENGトルクのトルクダウントルクを戻すとき、ドライバ要求トルクの大きさにかかわらず同じ傾き勾配Δ3のトルク上昇特性により戻す構成とした(図13)。
即ち、ドライバ要求トルク小のときは、図13の時刻t5〜時刻t6の特性に示すように、傾き勾配Δ3のトルク上昇特性によりENGトルクが戻される。ドライバ要求トルク大のときは、図13の時刻t5〜時刻t6’の特性に示すように、傾き勾配Δ3のトルク上昇特性によりドライバ要求トルクが大きい分、時間を要してENGトルクが戻される。
従って、変速終了後にENGトルクのトルクダウントルクを元に戻すとき、ドライバ要求トルクの大きさにかかわらず、トルク急変による違和感を抑えつつ、応答良く元のドライバ要求トルクまで戻される。
次に、効果を説明する。
実施例1のハイブリッド車両の変速制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 動力源として第1動力源(内燃機関ICE)と第2動力源(第1モータジェネレータMG1)を備え、動力源から駆動輪19までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機(多段歯車変速機1)が搭載され、
変速機(多段歯車変速機1)は、複数の変速段(EV変速段、ICE変速段)を有する変速機構と、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチC1,C2,C3と、を備えるハイブリッド車両において、
第1動力源(内燃機関ICE)から駆動輪19までの駆動力伝達系に有する係合クラッチ(第1係合クラッチC1、第2係合クラッチC2)の解放を伴う変速を実施するとき、変速中に抜けるトルクを第2動力源(第1モータジェネレータMG1)によりトルク補填する前に、第1動力源(内燃機関ICE)からのトルク絶対値を低下するトルクダウンを行う変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)を設け、
変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)は、変速開始前に変速中トルク段差を想定し、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下と判断されると、トルク補填前のトルクダウン(ENGトルクダウン)を行わない(図5のS4→S2)。
このため、第1係合クラッチC1及び第2係合クラッチC2の解放を伴う内燃機関変速段(ICE変速段)の変速を実施するとき、ドライバに違和感を与えることなく、余分なトルクダウン(ENGトルクダウン)を回避することができる。
(2) 変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)は、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルクを超えていると判断されると、変速中の想定トルク段差が変速段差許容トルク以下となるようにトルク補填前にトルクダウン(ENGトルクダウン)を行う(図5のS4→S5)。
このため、(1)の効果に加え、想定トルク段差が変速段差許容トルクを超えているとき、トルク補填前のトルクダウン量(ENGトルクダウン量)が小さく抑えられ、ドライバが駆動力不足と感じることを抑制することができる。
(3) 変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)は、トルク補填前にトルクダウン(ENGトルクダウン)を行うとき、ドライバ要求トルクと変速実施車速VSP/SFTまでの残り車速に応じてトルクダウン量(トルクダウントルク)を算出する(図5のS5、式(1))。
このため、(2)の効果に加え、トルク補填前にトルクダウン(ENGトルクダウン)を行うとき、ドライバに与える違和感を軽減することができると共に、急激なトルク変化を抑えることができる。
(4) 変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)は、変速中トルク段差を想定する変速前のタイミングを、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTより所定車速値前に設定したトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達したタイミングとする(図5のS1でYES)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、アクセル開度を保ったままの走行シーンでトルク補填前にトルクダウン(ENGトルクダウン)を行うとき、変速介入があっても急激なトルク変化が抑えられ、ドライバに与える違和感を軽減することができる。
(5) 変速コントローラ(変速機コントロールユニット23)は、変速終了後に内燃機関トルク(ENGトルク)のトルクダウン量(トルクダウントルク)を戻すとき、ドライバ要求トルクの大きさにかかわらず同じ傾き勾配(Δ3)のトルク特性(トルク上昇特性)により戻す(図5のS13→S14)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、変速終了後にENGトルクのトルクダウン量(トルクダウントルク)を戻すとき、ドライバ要求トルクの大きさにかかわらず、トルク急変による違和感を抑えつつ、応答良く元のドライバ要求トルクまで戻すことができる。
以上、本発明のハイブリッド車両の変速制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、変速コントローラの変速制御例として、「EV2nd ICE3rd」の変速段での走行中、車速VSPの上昇により「EV2nd ICE4th」の変速段へアップ変速するオートアップ変速制御例を示した。しかし、変速コントローラの変速制御例としては、アクセル開度APOの変化によりアップ変速やダウン変速する例としても良いし、アクセル開度APOと車速VSPの変化によりアップ変速やダウン変速する例としても良い。
実施例1では、ICE変速段での変速を対象とし、内燃機関ICEを第1動力源とし、第1モータジェネレータMG1を第2動力源とする例を示した。しかし、EV変速段での変速を対象とし、第1モータジェネレータMG1を第1動力源とし、内燃機関ICEと第2モータジェネレータMG2の少なくとも一方を第2動力源とする例としても良い。この場合、実施例1のようなドライブ側での変速のみならず、コースト側での変速の際も本発明を適用することができる。即ち、第1モータジェネレータMG1による回生走行中にEV変速段の変速要求があったとき、変速中に抜ける回生トルクを、内燃機関ICEでのエンブレトルクと第2モータジェネレータMG2での発電トルクの少なくとも一方によりトルク補填する。そして、トルク補填する前に、第1モータジェネレータMG1からの回生トルクの絶対値を低下するトルクダウンを行うことができる。
実施例1では、変速段差許容トルクとして、ドライバが許容する一定トルク値による例を示した。しかし、変速段差許容トルクとしては、ドライバが設定する可能な可変トルク値による例としても良い。
実施例1では、変速コントローラとして、ICE変速段による変速中トルク段差を想定する変速前のタイミングを、車速VSPが変速実施車速VSP/SFTより所定車速値前に設定したトルクダウン実施車速VSP/TDWNに到達したタイミングとする例を示した。しかし、変速コントローラとして、ICE変速段による変速中トルク段差を想定する変速前のタイミングを、シフトスケジュールマップ上で変速線を横切ったタイミングとし、変速の実施タイミングを時間的に遅らせるような例としても良い。
実施例1では、本発明の変速制御装置を、駆動系構成要素として、1つのエンジンと、2つのモータジェネレータと、3つの係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両に適用する例を示した。しかし、本発明の変速制御装置は、1つのエンジンと、1つのモータジェネレータと、3つ以外の係合クラッチを有する多段歯車変速機と、を備えたハイブリッド車両に対しても適用することができる。
ICE 内燃機関(第1動力源)
MG1 第1モータジェネレータ(第2動力源)
MG2 第2モータジェネレータ
C1 第1係合クラッチ
C2 第2係合クラッチ
C3 第3係合クラッチ
1 多段歯車変速機(変速機)
19 駆動輪
23 変速機コントロールユニット(変速コントローラ)
71 車速センサ
72 アクセル開度センサ

Claims (5)

  1. 動力源として第1動力源と第2動力源を備え、動力源から駆動輪までの駆動系に複数の変速段を実現する変速機が搭載され、
    前記変速機は、複数の変速段を有する変速機構と、解放位置からのストロークにより噛み合い締結する係合クラッチと、を備えるハイブリッド車両において、
    前記第1動力源から駆動輪までの駆動力伝達系に有する前記係合クラッチの解放を伴う変速を実施するとき、変速中に抜けるトルクを前記第2動力源によりトルク補填する前に、前記第1動力源からのトルク絶対値を低下するトルクダウンを行う変速コントローラを設け、
    前記変速コントローラは、変速開始前に変速中トルク段差を想定し、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルク以下と判断されると、前記トルク補填前のトルクダウンを行わない
    ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、変速中の想定トルク段差が、ドライバが許容できる変速段差許容トルクを超えていると判断されると、変速中の想定トルク段差が変速段差許容トルク以下となるように前記トルク補填前にトルクダウンを行う
    ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  3. 請求項2に記載されたハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、前記トルク補填前にトルクダウンを行うとき、ドライバ要求トルクと変速実施車速までの残り車速に応じてトルクダウン量を算出する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、変速中トルク段差を想定する変速前のタイミングを、車速が変速実施車速より所定車速値前に設定したトルクダウン実施車速に到達したタイミングとする
    ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
  5. 請求項1から請求項4までの何れか一項に記載されたハイブリッド車両の変速制御装置において、
    前記変速コントローラは、変速終了後にトルクダウン量を戻すとき、ドライバ要求トルクの大きさにかかわらず同じ傾き勾配のトルク特性により戻す
    ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
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